JPH05140201A - 架橋ヒアルロン酸ゲル及びその製造方法 - Google Patents

架橋ヒアルロン酸ゲル及びその製造方法

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JPH05140201A
JPH05140201A JP33575091A JP33575091A JPH05140201A JP H05140201 A JPH05140201 A JP H05140201A JP 33575091 A JP33575091 A JP 33575091A JP 33575091 A JP33575091 A JP 33575091A JP H05140201 A JPH05140201 A JP H05140201A
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hyaluronic acid
gel
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concentration
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JP33575091A
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Toshio Hariki
利男 梁木
Michihiro Yamaguchi
道広 山口
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Shiseido Co Ltd
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Shiseido Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 水性液を含む硬化ヒアルロン酸をエポキシ化
合物で架橋させてなることを特徴とする架橋ヒアルロン
酸ゲル。 【効果】 強固な膜構造で、しかも架橋度を変化させる
ことで生体による分解時間を変化させることができる安
全なゲルを提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はゲル、特に人体中にも含
まれるヒアルロン酸を用いて形成した架橋ヒアルロン酸
ゲルおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高分子有機物質を用い、各種ゲル組成物
が形成され、食品、医薬、医薬部外品等各種分野に用い
られている。これらのゲル組成物は、特に生体内投与さ
れる場合には、一般に天然物ないし天然物の加工品が用
いられているが、生体に負担を与えずに分解可能なゲル
組成物が望まれる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のゲル
は天然物由来の場合にも、その起源が植物である場合が
多く、特に人体に適用される場合には、より人体内成分
に近い成分によるゲルの形成が要望されている。
【0004】一方、人体を代表とする生体には、高分子
物質としてコンドロイチン硫酸或いはヒアルロン酸等が
知られており、特にヒアルロン酸は微生物による大量生
産も可能であり、各種薬効も有することから、近年注目
を集めている。しかしながら、ヒアルロン酸は曳糸性、
粘弾性を有することは知られている(特開昭60−23
3101号等)ものの、未だゲル形成に用いることはで
きないものであった。本発明は前記従来技術の課題に鑑
みなされたものであり、その目的は本来、生体内である
ヒアルロン酸を用いたゲル及びその製造方法を提供する
ことにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に本発明者らが鋭意検討した結果、生体内成分であるヒ
アルロン酸を特定条件下におくとゲルを形成し、更にエ
ポキシ化合物により架橋することで強固で耐酵素分解性
の高い架橋ヒアルロン酸ゲルが得られることを見出し、
本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本出願の請求項1記載の架橋ヒ
アルロン酸ゲルは、水性液を含む硬化ヒアルロン酸をエ
ポキシ化合物で架橋させてなることを特徴とする。ま
た、請求項2記載の架橋ヒアルロン酸ゲルの製造方法
は、未架橋エポキシ化合物を含むヒアルロン酸溶液を、
pH2.0〜3.8、20〜80重量%水溶性有機溶剤
存在下におき、硬化ヒアルロン酸を形成した後、架橋処
理を行うことを特徴とする。
【0007】請求項3記載の架橋ヒアルロン酸ゲルの製
造方法は、ヒアルロン酸溶液をpH2.0〜3.8、2
0〜80重量%水溶性有機溶剤存在下におき、硬化ヒア
ルロン酸を形成した後、該硬化ヒアルロン酸を未架橋エ
ポキシ化合物溶液に浸漬し、更に架橋処理を行うことを
特徴とする。請求項4記載の架橋ヒアルロン酸ゲルを油
性基剤でコーティングしたことを特徴とする。
【0008】請求項5記載のコーティング架橋ヒアルロ
ン酸ゲルの製造方法は、ヒアルロン酸溶液を油性基剤中
に分散させ、pH2.0〜3.8、20〜80重量%の
水溶性有機溶剤を添加して、ヒアルロン酸を硬化し、該
硬化ヒアルロン酸を未架橋エポキシ化合物溶液に浸漬し
た後、架橋処理することを特徴とする。
【0009】以下、本発明の構成を更に詳細に説明す
る。本発明者らがヒアルロン酸の特性について検討した
ところ、ヒアルロン酸水溶液を低pH下で水溶性有機溶
剤に接触させることによりゲル化することを見出した。
前記水溶性有機溶剤には脱水性もあるが、ゲル形成前の
ヒアルロン酸水溶液よりヒアルロン酸ゲルの方が重量が
減少するとは限らない。このため、単に脱水によるゲル
化とは考えられず、本発明者らは低pH下で水溶性有機
溶剤に接触させた場合に形成されるゲル状ヒアルロン酸
を硬化ヒアルロン酸と呼ぶこととした。なお、前記水溶
性有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプ
ロパノール、アセトン等が挙げられ、この内人体に対す
る影響が少ない点等からエタノールが好ましい。
【0010】この水溶性有機溶剤の濃度は20〜80重
量%であることが好適である。20重量%以下である
と、ゲル化が起こらず、80重量%以上であるとヒアル
ロン酸が沈殿してしまうことが多い。また、ゲル化させ
る際のpHは2.0〜3.8が好適である。この範囲を
越えるとゲル化が生じず、溶解ないし沈殿を生じてしま
うことが多い。なお、ヒアルロン酸を溶解する溶媒とし
ては、水はもちろん、エチレングリコール、グリセリン
等を用いることも可能である。そして、ヒアルロン酸ゲ
ルには、ヘパリン、コラーゲン等の他の高分子を共存さ
せることによりゲル構造が強化される。また、抗ヒスタ
ミン剤等の薬剤を添加することも可能である。
【0011】また、本発明において硬化ヒアルロン酸を
エポキシ化合物により均一架橋ないし表面架橋すること
で、より強固で耐酵素分解性に優れた架橋ヒアルロン酸
ゲルを得ることができる。更に、油性物質等でヒアルロ
ン酸ゲルをコーティングすることにより、耐水性が大幅
に向上する。この際に用いられる油性物質には特に制限
がなく、流動パラフィン、油脂、脂肪酸、脂肪酸エステ
ル、シリコン油等各種の成分を用いることができる。
【0012】
【実施例】以下、図面に基づき本発明の好適な実施例を
説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものでは
ない。また配合量は特に指定がない限り、重量%で示
す。 [硬化ヒアルロン酸の製造]pHと粘度 まず、pHとヒアルロン酸の粘度の関係について検討し
た。すなわち、0.1〜1重量%のヒアルロン酸溶液
を、塩酸添加ないし0.1Mリン酸緩衝液でpHを調製
し粘度を測定した。なお、粘度はE型粘度計を用い、2
5℃で測定した。
【0013】結果を図1(塩酸調製)及び図2(リン酸
緩衝液)に示す。同図より明らかなように、pH0から
急激に粘度が上昇し、pH2.3〜2.5附近で極大値
を示し、pH4附近で極小値を示した後、更に粘度は上
昇する。そこで、本発明者らはpH2.3付近の粘度極
大値に注目し、このpH域でヒアルロン酸が何等かの構
造変化を起こすものと考えて更に検討を進めた。
【0014】ヒアルロン酸濃度とゲル形成能 一般にゲルを形成するには加熱−冷却等のトリガーが要
求される。そこで、本発明者らはゲル形成の一手段とし
て水溶性有機溶剤の添加を試みた。この結果、前述した
特異的pH域を中心として良好なゲルを形成することを
見出した。図3には水溶性有機溶剤として50%エタノ
ールを用い、ヒアルロン酸(平均分子量120万)の濃
度を変化させてゲルを形成した場合の、該ゲルのヤング
率が示されている。
【0015】同図より明らかなように、ヒアルロン酸濃
度1.0%の場合にはpH2.0〜3.3程度でゲルが
形成され、pH2.0より低い場合にはヒアルロン酸が
沈殿してしまい、pH3.3を越える場合には溶解して
しまう。また、ヒアルロン酸濃度0.6%の場合にはp
H2.0〜2.8でゲルが形成され、ヒアルロン酸濃度
0.3%の場合にはpH2.1〜2.6でゲルが形成さ
れるが、ヒアルロン酸濃度0.1%の場合にはゲルが形
成されない。なお、ゲルのヤング率はいずれのヒアルロ
ン酸濃度でも、ゲル形成領域ではpHが低いほど高くな
る傾向にある。
【0016】一方、ゲルの収縮率は図4に示すようにな
る。すなわち、ヒアルロン酸溶液をエタノール溶液に投
入する前の重量をW0、投入して形成されたゲルの重量
をWとする。従って、W/W0は有機溶剤投入前後での
保水比を示す。同図より明らかなように、前記ヤング率
とは逆の結果を示し、いずれの濃度領域でもpHが上昇
するほどW/W0が大きくなる傾向にある。
【0017】すなわち、pH2.0〜2.5付近ではW
/W0<1であり、ゲル化により脱水が起きていること
が示唆されるが、pH2.5以上ではW/W0>1であ
り、50%アルコール水溶液ではむしろ吸液が行なわれ
ていることが示唆される。このようにW/W0>1であ
ってもゲル形成が行なわれることから、有機溶剤の添加
によるゲル化は単に脱水によるものではなく、ヒアルロ
ン酸自体の構造変化が要因であることが理解させる。
【0018】また、図5にはゲル1cm-3当りのヒアルロ
ン酸重量%(ゲル化後:Cf)が示されている。同図よ
り、ヒアルロン酸の濃度が高いほど、またpHが低いほ
ど単位体積当りのヒアルロン酸量は減少しており、含液
率の高いゲルを得ることができる。以上の結果、エタノ
ール50%区ではゲル形成領域はヒアルロン酸濃度が高
いほど広くなるが、ゲル形成が行なわれるpH域は2.
0〜3.3程度である。またヒアルロン酸0.1%では
ゲル化せず、0.3%以上が必要である。次にエタノー
ル濃度を80%にして同様の試験を行った。結果を図6
〜8に示す。
【0019】各ゲルの物性の傾向自体は前記エタノール
濃度50%の場合とほぼ同様であるが、ゲル形成pH領
域はむしろヒアルロン酸濃度が高くなるに従って狭くな
る傾向にあり、ヒアルロン酸濃度1.0%の場合にはp
H2.0〜2.8、ヒアルロン酸濃度0.6%の場合に
はpH2.0〜3.0、ヒアルロン酸濃度0.3%の場
合にはpH2.0〜3.8程度でゲル形成が可能で、更
にヒアルロン酸0.1%の場合にもpH2.3でゲル形
成が可能であることが確認された。
【0020】なお、エタノール濃度が80%の場合には
ゲル形成領域以上ないし以下のpH濃度ではいずれも沈
殿を生じてしまう。また、エタノール50%の場合と比
較してW/W0は小さくなり、一方脱水が進行すること
から単位ゲル容積当りのヒアルロン酸濃度及びヤング率
は増加する。 以上の結果から、ゲル形成に必要なヒア
ルロン酸濃度は0.1%が下限であり、ヒアルロン酸濃
度0.3%未満では有機溶剤濃度を80%程度とするこ
とが必要である。また、ゲル形成の際のpHは2.0〜
3.8程度が好適である。
【0021】有機溶剤濃度とゲル形成能 次に水溶性有機溶剤濃度とゲル特性について検討を進め
た。すなわち、20〜100%のエタノール濃度の水溶
液に3N−HClを滴下し、pHを2.35±0.03
に調製した液100mlを、あらかじめビーカーの中にと
った1%ヒアルロン酸(平均分子量120,000)水
溶液5gの上に上層させ、ゲル化させた。図9にはエタ
ノール濃度と、ヤング率、保水比及びゲル中ヒアルロン
酸濃度の関係が示されている。同図よりエタノール濃度
が40%〜80%でゲル形成が可能であることが理解さ
れる。
【0022】なお、ヒアルロン酸濃度を低下させれば、
エタノール濃度が90%程度でもゲル形成が可能である
が、脱水作用によりゲル中ヒアルロン酸濃度は殆ど変化
がなくなってしまう。このため、ヒアルロン酸ゲルを形
成する際の現実的な有機溶剤濃度は40〜80%であ
る。
【0023】ヒアルロン酸の分子量とゲル形成能 次に、ヒアルロン酸の濃度とゲル形成能について検討し
た。図10にはヒアルロン酸の平均分子量を180万〜
58万とした場合に、pH2.35、エタノール濃度8
0%の条件下に形成されたゲルの特性を示す。同図より
明らかなように、ヤング率はヒアルロン酸の濃度が高い
ほど、また分子量が大きいほど高くなる傾向が強い。
【0024】一方、図11に示すように保水比(W/W
0)は分子量が大きいほど小さくなる傾向にあるが、ヒ
アルロン酸の初期濃度(Ci)への依存は小さいことが
理解される。なお、図12より明らかなように、ゲル単
位容積当り同一のヒアルロン酸濃度であると、ヤング率
はヒアルロン酸の分子量にあまり依存しない。
【0025】[硬化ヒアルロン酸の架橋]前述のように
して形成される硬化ヒアルロン酸を、更にエポキシ化合
物により架橋することで、強固で且つ耐酵素分解性に優
れた架橋ヒアルロン酸ゲルを得ることができる。この架
橋は硬化ヒアルロン酸の全体を均一に架橋する均一架橋
と、硬化ヒアルロン酸の表面のみを架橋する表面架橋の
いずれでもよい。
【0026】硬化ヒアルロン酸の均一架橋 ヒアルロン酸に2.5%グリセロールポリグリシジルエ
ーテル(架橋エポキシ化合物:デナコールEX−313
TMを下記表1に示す所定量、20%リン酸1アンモニウ
ムを0.1ml添加し、pH2.4の50%エタノール水
溶液中に注入した。そして、得られた硬化ヒアルロン酸
を、120℃でエポキシのIR−ピークが消失するまで
加熱乾燥し、均一架橋ヒアルロン酸ゲルを得た。この均
一架橋ヒアルロン酸ゲルについて、次のようにして対酵
素性を調べた。
【0027】すなわち、架橋ヒアルロン酸ゲルを小さく
刻んで60℃で攪拌し、架橋ヒアルロン酸ゲルとして1
0mg/2mlの濃度とする。そして、ヒアルロニダーゼを
50UNIT/ml添加し、8ml試験管で酵素分解を行い、分
解反応の結果生成したグルクロン酸残基をカルバゾール
・硫酸法にて定量した。
【表1】 ──────────────────────────────────── エポキシ化合物/ヒアルロン酸比 1/5 1/10 1/20 1/40 1/80 ──────────────────────────────────── 2.5%W/Vエポキシ化合物 1.6 0.8 0.4 0.2 0.1 1%ヒアルロン酸 20.0g ──────────────────────────────────── 架橋率 59.2 29.6 11.8 4.9 2.0 ──────────────────────────────────── 時間と分解率の関係を図13に示す。同図より架橋率が
高くなるとヒアルロニダーゼによる分解が遅延し、耐酵
素分解性が向上することが理解される。この結果、例え
ば本実施例にかかる架橋ヒアルロン酸に薬効成分を包含
させて体内投与した場合、架橋率によって任意の分解速
度を得ることができる。従って、薬効成分の効果を長時
間持続させることなどが可能となる。
【0028】硬化ヒアルロン酸ゲルの表面架橋 1%ヒアルロン酸溶液20gに20%リン酸1アンモニ
ウム1.0mlを加え、pH2.4の50%エタノール水
溶液中に注入して硬化ヒアルロン酸を得た。そして、2
0gグリセロールポリグリシジルエーテル/100mlエ
タノール溶液中へ前記硬化ヒアルロン酸をそれぞれ、
0.5,1.0,2.0,4.0,8.0,16.0,
32.0時間浸漬した。
【0029】次に、エタノールで硬化ヒアルロン酸を洗
浄後、120℃で加熱乾燥した。なお、加熱時間は、F
T−IRでエポキシピークが消失するまでとした。この
方法によれば、硬化ヒアルロン酸ゲルの表面にのみ架橋
を形成することができる。そして、前記耐酵素分解性に
より、体内で所定時間後に包含薬効成分を一時に放出す
ることが可能となる。
【0030】以上のように本発明にかかる架橋ヒアルロ
ン酸ゲルの形成方法によれば、生体内に普遍的に存在す
るヒアルロン酸を原料として良好なゲルを形成すること
ができ、生体への影響が極めて少ないゲルを提供するこ
とができる。また、本架橋法ではヒアルロン酸を酸性下
で処理することができるので、ヒアルロン酸を著しく分
解することがなく、しかも架橋度を大きくすることがで
きる。なお、本発明にかかるヒアルロン酸ゲルは、次に
示すような各種処理が可能である。
【0031】[コーティングゲルの製造]本発明にかか
るヒアルロン酸ゲルは、例えば油性基剤中でヒアルロン
酸水溶液を分散させ、pH調製した有機溶剤を添加する
ことにより、油性基剤によりコーティングされたゲルを
形成することができ、更にこの硬化ヒアルロン酸をエポ
キシ化合物で架橋することにより気中安定性を向上させ
ることも可能である。すなわち、流動パラフィン中に1
%ヒアルロン酸溶液を添加し、ホモミキサーで攪拌す
る。この結果、流動パラフィン中に微細なヒアルロン酸
が分散した状態が得られる。この後、pH2.4の50
%エタノール水溶液を添加して攪拌・放置する。そし
て、余剰の流動パラフィンを除去し、硬化ヒアルロン酸
を得る。
【0032】この硬化ヒアルロン酸をリン酸1ナトウリ
ム(pH4.5 触媒)およびグリセリンジグリシジル
エーテルのエチルアルコール溶液に3時間浸漬し、この
後エチルアルコールで洗浄し、120℃で加熱乾燥す
る。なお、加熱乾燥はFT−IRでエポキシピークが消
失するまで行った。この表面架橋ヒアルロン酸ゲルは流
動パラフィンにコーティングされており、空気中に長時
間放置してもゲル状態に変化を生じることが少なく、し
かもゲルの微細化(粒子径100μm程度)を行なうこ
とができ、更に水中でも安定であるという利点を有す
る。
【0033】[微細ゲルの製造]非水溶性有機溶剤中
に、界面活性剤を添加したヒアルロン酸溶液を分散さ
せ、pH調製した有機溶剤を添加することにより、極め
て微細なヒアルロン酸ゲルを形成することができる。す
なわち、N−ヘキサン中に、SPAN20TM(界面活性
剤)を添加した1%ヒアルロン酸水溶液を投入し、50
0rpmでスターラ攪拌する。この結果、N−ヘキサン中
に微細なヒアルロン酸溶液が分散した状態が得られる。
そしてpH2.4の50%エタノール水溶液を添加して
攪拌・放置する。この後、余剰のN−ヘキサンを除去
し、硬化ヒアルロン酸を得る。
【0034】この硬化ヒアルロン酸をリン酸1ナトウリ
ム(pH4.5 触媒)およびグリセリンジグリシジル
エーテルのエチルアルコール溶液に3時間浸漬し、この
後エチルアルコールで洗浄後、120℃で加熱乾燥す
る。なお、加熱乾燥はFT−IRでエポキシピークが消
失するまで行った。この場合には、粒子径10μm以下
の微細ヒアルロン酸ゲルを得ることができる。
【0035】以上のようにして製造されたヒアルロン酸
ゲルは、例えば次のような用途に用いることができる。 (1)新剤型化粧料(マイクロスフィア、球状、紐状、膜
状等) (2)安定なマルチプルエマルジョン(O/W/O型エマ
ルジョン等)への配合 (3)薬剤、保湿剤、コラーゲン等を内包したヒアルロン
酸マイクロスフィア(プレシェーブローション、ネイル
エナメル、ファンデーション等) (4)ヒアルロン酸/抗ヒスタミン剤の非アレルギー粉末
点鼻薬等 (5)ソフトカプセル(2層にして内相に油性薬剤を包合
させる) (6)歯槽膿漏治療用ヒアルロン酸膜 (7)ホルモン生体埋め込み徐放基剤 (8)シリカ表面被覆クロマト用樹脂 (9)抗体ラベルヒアルロン酸ナノスフェア (10)血液抗凝固膜(ヒアルロン酸/ヘパリン) 次に、これらの架橋ヒアルロン酸ゲルを応用したより具
体的な実施例について説明する。
【0036】実施例1 ビタミンA−パルミテート内包
ヒアルロン酸マイクロカプセル 1,3−ブチレングリコール25g、純水5g、HCO
−60 2.5gの混合溶液に、ビタミンA−パルミテ
ート5gを溶解した流動パラフィン50gをO/W乳化
した。このエマルジョン20gに等量の1.5%ヒアル
ロン酸、20%リン酸1アンモニウム1.0ml、および
2.5w/v%グリセロールポリグリシジルエーテル0.
5mlを溶解し、更にそれをシリコンオイル中へ攪拌下に
分散した。これにpH2.0の90%エタノールを加
え、エマルジョン液滴を硬化後、120℃でエポキシの
IR−ピークが消失するまで加熱した。そして、20%
KOHで中和し、濾過、エタノール洗浄して、平均粒径
200μmのビタミンA−パルミテート内包ヒアルロン
酸マイクロカプセルを調製した。
【0037】こうして得たマイクロカプセルを流動パラ
フィン中に分散させ、50℃保存におけるビタミンA−
パルミテートの安定性を調べた。カプセル化せず、流動
パラフィンに直接ビタミンA−パルミテートを溶解した
系を対照として、液体クロマトにより残存率を分析し
た。その結果、対照の場合、一カ月後には40%程度し
か残存していないのに対し、カプセル化した場合、80
%以上残っていることが確認された。すなわち、カプセ
ル化することでビタミンA−パルミテートの酸化が抑制
された。
【0038】実施例2 リノール酸エチル内包ヒアルロ
ン酸マイクロカプセル ビタミンA−パルミテートの代りにリノール酸エチルを
用いることを除いて、実施例1と同様の操作で、リノー
ル酸エチル内包ヒアルロン酸マイクロカプセルを調製し
た。本カプセルを流動パラフィン中に分散して、50℃
における安定性試験を実施した結果、一カ月後でもリノ
ール酸エチルが95%以上残存することを確認した。す
なわち、実施例1と同様、カプセル化することで酸化が
抑制された。
【0039】実施例3 薬物内包ヒアルロン酸微粉末 抗アレルギー剤であるフマル酸ケトチフェン微粉末(2
50メッシュ篩下)1g及び20%リン酸1アンモニウ
ム1.0mlを1.0%ヒアルロン酸水溶液10g中に均
一に分散し、それを流動パラフィン中に滴下し、高速で
攪拌した。これにpH2.4の60%メタノール水溶液
を加え、液滴を固化した後、20gグリセロールポリグ
リシジルエーテル/100mlエタノール中に浸漬し、濾
過後120℃で加熱乾燥した。こうして得たフマル酸ケ
トチフェン内包ヒアルロン酸粉末の平均粒径は約300
μmであった。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように本発明にかかる架橋
ヒアルロン酸ゲルによれば、強固な膜構造で、しかも架
橋度を変化させることで生体による分解時間を変化させ
ることができる安全なゲルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】,
【図2】ヒアルロン酸溶液を低pHにおいた場合の、p
Hと粘度の関係を示す説明図である。
【図3】50%エタノール、低pHで形成したヒアルロ
ン酸ゲルのヤング率を示す説明図である。
【図4】50%エタノール、低pHで形成したヒアルロ
ン酸ゲルの保水比を示す説明図である。
【図5】50%エタノール、低pHで形成したヒアルロ
ン酸ゲルの、単位ゲル容積中のヒアルロン酸量を示す説
明図である。
【図6】80%エタノール、低pHで形成したヒアルロ
ン酸ゲルのヤング率を示す説明図である。
【図7】80%エタノール、低pHで形成したヒアルロ
ン酸ゲルの保水比を示す説明図である。
【図8】80%エタノール、低pHで形成したヒアルロ
ン酸ゲルの、単位ゲル容積中のヒアルロン酸量を示す説
明図である。
【図9】エタノール濃度と、ヒアルロン酸ゲルのヤング
率、保水比、単位ゲル容積中のヒアルロン酸量を示す説
明図である。
【図10】各種分子量のヒアルロン酸のゲル形成前濃度
とヤング率の関係を示す説明図である。
【図11】各種分子量のヒアルロン酸のゲル形成前濃度
と保水比の関係を示す説明図である。
【図12】各種分子量のヒアルロン酸ゲルの、単位ゲル
容積中のヒアルロン酸量を示す説明図である。
【図13】架橋ヒアルロン酸ゲルの、架橋度と耐酵素分
解性の関係を示す説明図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水性液を含む硬化ヒアルロン酸をエポキ
    シ化合物で架橋させてなることを特徴とする架橋ヒアル
    ロン酸ゲル。
  2. 【請求項2】 未架橋エポキシ化合物を含むヒアルロン
    酸溶液を、pH2.0〜3.8、20〜80重量%水溶
    性有機溶剤存在下におき、硬化ヒアルロン酸を形成した
    後、架橋処理を行うことを特徴とする架橋ヒアルロン酸
    ゲルの製造方法。
  3. 【請求項3】 ヒアルロン酸溶液をpH2.0〜3.
    8、20〜80重量%水溶性有機溶剤存在下におき、硬
    化ヒアルロン酸を形成した後、該硬化ヒアルロン酸を未
    架橋エポキシ化合物溶液に浸漬し、更に架橋処理を行う
    ことを特徴とする架橋ヒアルロン酸ゲルの製造方法。
  4. 【請求項4】 架橋ヒアルロン酸ゲルを油性基剤でコー
    ティングしたことを特徴とする架橋ヒアルロン酸ゲル。
  5. 【請求項5】 ヒアルロン酸溶液を油性基剤中に分散さ
    せ、pH2.0〜3.8、20〜80重量%の水溶性有
    機溶剤を添加してヒアルロン酸をゲル化し、該硬化ヒア
    ルロン酸を未架橋エポキシ化合物溶液に浸漬した後、架
    橋処理することを特徴とするコーティング架橋ヒアルロ
    ン酸ゲルの製造方法。
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