JP2001097819A - マイクロカプセル及びその製造方法 - Google Patents
マイクロカプセル及びその製造方法Info
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Abstract
プセルの粒径を幅広い範囲で容易にコントロールでき、
しかもマイクロカプセルの安定性、使用感が良好で、塗
布後には内包油滴が徐放されるマイクロカプセル及びそ
の製造方法を提供する。 【解決手段】 平均粒子径が0.01〜3μmの油滴を
内包し、且つカプセル化剤が親水性高分子ゲル化剤であ
り、カプセルの破断強度が500〜2,000g/cm
2であることを特徴とするマイクロカプセル。本発明の
マイクロカプセルは、内油相と、親水性高分子ゲル化剤
を含有する水相とからO/Wエマルジョンを調製し、前
記O/Wエマルジョンを外油相3中に分散乳化してO/
W/Oエマルジョンを調製し、前記O/W/Oエマルジ
ョンの水相を固化させて得られる。
Description
ル、特にカプセルの安定性、使用感、内包油滴の放出性
の改良に関する。
カプセルは、食品、医薬品、化粧品等の分野で検討さ
れ、例えば、カプセル内に薬剤を内包して配合すること
により、製品中での薬剤の安定性を改善しようとする試
みがなされている。マイクロカプセルの製造方法として
は、内包油滴となる油相と、カプセル化剤を含む水相と
からO/Wエマルジョンを調製し、このエマルジョンを
微粒子に成形、カプセル化する方法がある。例えば、O
/Wエマルジョンをさらに外油相中に分散乳化してO/
W/Oエマルジョンとし、水相を硬化させてカプセル化
する方法、O/Wエマルジョンを空気中で噴霧しながら
硬化させるスプレークーリング、O/Wエマルジョンを
ノズルから滴下して気体中あるいは液体中で硬化させる
滴下法などがある。
乳化方法ではO/Wエマルジョンの乳化粒子を1μm以
下とすることは困難であり、例え1μm以下の乳化粒子
径を持つO/Wエマルジョンができたとしてもその安定
性が十分でないため、その後の工程で油滴同士が融合
し、マイクロカプセルの内包油滴径が大きくなってしま
う傾向がある。そして、このような場合、内包油滴のカ
プセル化効率を上げるためにマイクロカプセル径を大き
くせざるを得ないという問題があった。
方法では、O/Wエマルジョンがさらに外油相に分散乳
化されるので、内包油滴同士の融合に加えて内包油滴と
外油相の合一が起こりやすい。このため、O/W/O乳
化の際に温度や攪拌速度が制限され、マイクロカプセル
の粒径のコントロールが非常に難しく、また、得られた
マイクロカプセルの安定性も十分でないという問題があ
った。また、製造時の内油相のロスを抑制することも望
まれていた。
ロカプセルの安定性や、肌上での使用感、内包油滴の放
出性も重要である。例えば、乳液やクリームなど粘性媒
体中で高速攪拌して得られるような製品においては、そ
の製造工程にマイクロカプセルを添加するとカプセルが
破壊されやすい。このような製品の製造工程中でもカプ
セルが壊れず、しかも、肌上にのばして塗布するとカプ
セルから内包油滴が徐放されるようなマイクロカプセル
を得ることは、これまで非常に困難であった。
は、水相に親水性高分子、外油相に有機変性粘土鉱物を
配合したO/W/Oエマルジョンが報告されているが、
このような場合でもO/W/Oエマルジョンからカプセ
ルを固形分として取り出し、あるいは油性分散物のま
ま、他の基剤と一緒に仕込んで製品とする場合には、製
品の製造工程中での機械的剪断やベース組成の変化によ
りカプセルが壊れてしまうことがあった。
れたものであり、その目的は、一つには、他の基剤に配
合して製品化した場合でもマイクロカプセルが壊れず、
保存安定性も良好で、しかも塗布した際には使用感が良
好で内包油滴が徐放されるマイクロカプセルを提供する
ことであり、一つにはこのようなマイクロカプセルを、
簡便且つ効率的に製造でき、しかも、カプセル粒径を幅
広い範囲で容易にコントロールできるマイクロカプセル
の製造方法を提供することにある。
み、本発明者らが検討を行った結果、親水性高分子ゲル
化剤をカプセルの破断強度が特定の範囲となるように用
いたマイクロカプセルにおいて、前記課題が解決される
ことを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明に
かかるマイクロカプセルは、平均粒子径が0.01〜3
μmの油滴を内包し、且つカプセル化剤が親水性高分子
ゲル化剤であり、カプセルの破断強度が500〜2,0
00g/cm2であることを特徴とする。
が、加熱冷却により固化する親水性高分子ゲル化剤であ
ることが好適であり、また、親水性高分子ゲル化剤が寒
天又はカラギーナンであることが好適である。また、本
発明において、マイクロカプセルが親水性非イオン界面
活性剤と、水溶性溶媒とを含むことが好適である。ま
た、本発明にかかるマイクロカプセル油性分散物は、前
記何れかに記載のマイクロカプセルが、油相中に分散し
ていること特徴とする。
いて、内油相と、親水性高分子ゲル化剤を含有する水相
とからO/Wエマルジョンを調製し、前記O/Wエマル
ジョンを外油相中に分散乳化してO/W/Oエマルジョ
ンを調製し、前記O/W/Oエマルジョンの水相を固化
させて得られることが好適である。また、前記O/Wエ
マルジョンが、親水性非イオン界面活性剤を含有する水
溶性溶媒中に内油相を添加して水溶性溶媒中油型エマル
ジョンを調製し、該水溶性溶媒中油型エマルジョンに、
親水性高分子ゲル化剤の水溶液を添加して調製されるO
/Wエマルジョンであることが好適である。
何れかに記載のマイクロカプセル油性分散物の外油相を
除去して得られるものであることが好適である。また、
本発明のマイクロカプセル又はその油性分散物におい
て、カプセル内に油性薬剤を含有することが好適であ
る。また、本発明にかかる化粧料は、前記何れかに記載
のマイクロカプセル又はその油性分散物を配合したこと
を特徴とする。また、本発明にかかる固形化粧料は、前
記何れかに記載のマイクロカプセル又はその油性分散物
を配合したことを特徴とする。
製造方法は、内油相と、加熱冷却により固化する親水性
高分子ゲル化剤を予め加熱溶解しておいた水相とから、
該ゲル化剤の固化温度以上で平均粒子径が0.01〜3
μmのO/Wエマルジョンを調製するO/Wエマルジョ
ン調製工程と、前記O/Wエマルジョンを該ゲル化剤の
固化温度以上で外油相中に分散乳化するO/W/Oエマ
ルジョン調製工程と、前記O/W/Oエマルジョンを該
ゲル化剤の固化温度以下に冷却して水相を固化するカプ
セル化工程と、を備え、前記水相から調製されるゲルの
破断強度が500〜2,000g/cm 2であることを
特徴とする。また、前記製造方法において、O/Wエマ
ルジョン調製工程が、親水性非イオン界面活性剤を含有
する水溶性溶媒中に内油相成分を添加して水溶性溶媒中
油型エマルジョンを調製し、該水溶性溶媒中油型エマル
ジョンと、加熱冷却により固化する親水性高分子ゲル化
剤を予め加熱溶解しておいた水溶液とを該ゲル化剤の固
化温度以上で混合する工程を含むことが好適である。
包油滴となる内油相と、親水性高分子ゲル化剤を含有す
る水相とからO/Wエマルジョンを調製し、これを外油
相中に分散乳化してO/W/Oエマルジョンとし、O/
W/Oエマルジョンの水相を固化してカプセル化するこ
とにより得ることができる。図1は、本発明のマイクロ
カプセルの概念図であり、マイクロカプセル2内には、
内包油滴(内油相)1を有している。
医薬品等において通常使用されるもので、固化して親水
性のゲルを形成できるものが挙げられる。例えば、ゼラ
チン、コラーゲン等のタンパク質、寒天、カラギーナ
ン、グルコマンナン、スクレログルカン、シゾフィラ
ン、ジェランガム、アルギン酸、カードラン、ペクチ
ン、ヒアルロン酸、グアーガム等の多糖類が挙げられ
る。これらのうち、寒天、カラギーナンなどの加熱冷却
により固化してゲルを形成するものは、イオンの影響を
受けにくく、また製法が簡便で均一に固化できるという
点で好ましい。本発明においては、このような加熱冷却
により固化する親水性高分子ゲル化剤をカプセル化剤の
主成分とすることが好適である。中でも、ゲルの性質、
安定性、使用感等の点から、寒天、カラギーナンが好ま
しく、特に好ましくは寒天である。寒天としては、例え
ば、伊那寒天PS−84、Z−10、AX−30、AX
−100、AX−200、T−1、S−5、M−7(伊
那食品工業社製)等の市販品を用いることができる。本
発明においては、親水性高分子ゲル化剤の2種以上を併
用してもよい。加熱冷却により固化する親水性高分子ゲ
ル化剤と共に、アルギン酸やカードラン、ヒアルロン酸
等のように、Ca等のイオンや、その他の凝固剤により
固化する親水性高分子ゲル化剤を、本発明の効果を損な
わない範囲で配合することも可能である。
子、例えば、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロ
ース、カチオン化セルロースをはじめとする合成高分子
や、キサンタンガム、ローカストビーンガム等の天然高
分子を本発明の効果を損なわない範囲で配合することも
可能である。特に、ケルトロールを寒天と併用すると、
カプセルが軟らかくなる傾向がある。水相としては、水
の他、水に溶解又は分散可能な成分や薬剤を配合するこ
ともできる。
混合せず、製造時に全体として液状であれば極性油〜非
極性油まで、通常使用され得る幅広い油分の中から選択
することができる。例えば、炭化水素油、エステル油、
高級アルコール、高級脂肪酸、天然油脂、シリコーン油
等が挙げられる。また、これら油分に溶解又は分散可能
な成分や薬剤を配合することもできる。なお、内包油滴
の外油相への浸潤防止の点から、内油相と外油相の極性
に差がある方が好ましい。
であるO/Wエマルジョンの調製においては、平均粒径
が0.01〜3μm、好ましくは0.01〜1μmと非
常に微細で、しかも安定なエマルジョンとすることが必
要である。粒径が大きすぎると、その後のO/W/O乳
化で内油相同士の融合や、内油相と外油相との合一を生
じやすく、十分な乳化を行うことができない。また、内
油相のロスが大きくなる傾向がある。
る方法として、例えば、親水性非イオン界面活性剤と水
溶性溶媒とを用いた乳化法(特公昭57−29213号
公報)が有効である。すなわち、親水性非イオン界面活
性剤を含有する水溶性溶媒中に内油相を添加して水溶性
溶媒中油型エマルジョンを製造し、該エマルジョンに親
水性高分子ゲル化剤水溶液を添加して、O/Wエマルジ
ョンを得る。親水性高分子ゲル化剤の添加については、
水溶性溶媒中油型エマルジョンに水を加えてO/Wエマ
ルジョンとしてから、親水性高分子ゲル化剤水溶液で希
釈してもよい。また、特に問題を生じない限り予め水溶
性溶媒中に親水性高分子ゲル化剤を添加しておくことも
可能である。
界面活性剤を溶解し、その後に添加する内油相との界面
に効率よく配向させる効果を持つものであり、低級一価
アルコール類、低級多価アルコール類、ケトン類、アル
デヒド類、エーテル類、アミン類、低級脂肪酸類、その
他親水性で非イオン界面活性剤を溶解するものであれば
極めて広い範囲の物質から選択することができる。具体
的には、特公昭57−29213号公報記載のものが例
示されるが、化粧料や医薬品において好ましくはエタノ
ール、プロパノール等の低級一価アルコール、1,3−
ブチレングリコール、ジエチレングリコール等の低級多
価アルコールである。なお、水溶性溶媒中に少量の水、
例えば水溶性溶媒に対して15重量%以下の水を含有し
ていてもよい。
は、POE付加型、又はPOE・POP付加型非イオン
性界面活性剤が好ましく、具体的には特公昭57−29
213号公報記載のものが例示される。第2段階のO/
W/Oエマルジョンの調製は、O/Wエマルジョンを外
油相に分散乳化することにより行う。このとき用いる乳
化機は特に限定されず、通常乳化に用いられる攪拌装置
を適宜用いればよい。なお、外油相中には、乳化剤とし
て親油性界面活性剤を配合しておくことが好ましい。親
油性界面活性剤としては、イオン性界面活性剤、非イオ
ン性界面活性剤の何れも用いることができ、外油相成分
の種類等に応じて公知のものから適宜選択して用いれば
よい。
を固化することにより、微細な内包油滴を多数含有する
マイクロカプセルとすることができる。本発明のマイク
ロカプセルの好ましい製法としては、加熱冷却により固
化する親水性高分子ゲル化剤を予め水(問題のない限り
他の水性成分を含んでいてもよい)に加熱溶解してゲル
化剤水溶液を調製しておき、これを前記水溶性溶媒中油
型エマルジョンにゲル化剤の固化温度以上で添加してO
/Wエマルジョンとし、系の温度を固化温度以上に維持
しながらO/W/Oエマルジョンまで調製した後、固化
温度以下に冷却して水相を固化し、カプセルとする方法
が挙げられる。例えば、寒天やカラギーナンの場合、固
化温度は約30℃であり、ゲル化剤水溶液の調製温度は
90〜100℃、エマルジョンの調製温度は約50〜9
0℃とすることが好適である。なお、イオン等の添加に
より固化するものを併用する場合には、冷却前にO/W
/Oエマルジョンに、そのイオンを含む金属塩またはそ
の水溶液を添加後、冷却すればよい。
ルジョンの段階で内油相を上記のように微細且つ安定に
分散しているので、O/W/Oエマルジョン調製時の乳
化条件を自由に設定でき、カプセル径のコントロールが
容易である。例えば、O/W/O乳化時の温度は室温〜
約90℃、攪拌速度は約100〜10,000rpmの
広い範囲で行うことができ、このような場合でも、内油
相のロスがなく、内油相の融合による内包油滴径の増大
もほとんどない。O/W/O乳化時の温度、攪拌速度が
高い程、カプセル径は小さくなり、親水性ゲル化剤濃度
や外油相の粘度が高いほど、カプセル径は大きくなる傾
向がある。本発明の方法によれば、マイクロカプセル径
は5〜1000μmの幅広い範囲で制御可能である。
00〜2,000g/cm2、好ましくは700〜1,
500g/cm2である。破断強度が小さすぎると耐剪
断性が十分でなく、また、塗布時に内包油滴がほとんど
放出されて徐放性が発揮されないことがある。また、破
断強度が大きすぎる場合には、塗布後においても内包物
が放出されないことがある。なお、カプセルそのものの
破断強度を直接測定することはできないので、本発明に
おいては水相組成で調製したゲルについてレオメーター
で測定を行い、これをカプセルの破断強度とした。
プセルを肌上に塗布すると、カプセルの一部は破壊され
るものの、内包油滴を含むカプセルゲルが肌上に残り、
このゲルから経時的に水分が蒸発するに伴って内包油滴
が徐放されるものと考えられる。なお、カプセル粒径が
大きいほど多量の内包油滴を含むことができるので、徐
放時間は長くなる傾向がある。
どに添加するとカプセルが破壊されてしまうことがあ
り、マイクロカプセルを乳化系に配合する場合には、予
め乳化物を調製し、その後ゆっくりと攪拌しながらマイ
クロカプセルを配合する必要があり、工程が煩雑であっ
た。本発明のマイクロカプセルは、高速攪拌を伴う乳化
工程に添加した場合でもカプセルの破壊がほとんど起こ
らないという、非常に優れた耐剪断性を有する。従っ
て、乳化系に配合する場合には、マイクロカプセルを固
形分として、あるいは油性分散物のまま他の成分ととも
に仕込んでから、乳化を行うこともできる。また、その
他種々の基剤にも配合できる。
中、内包油滴が経時的にカプセル内に浸潤して内油相が
外油相中にしみ出したり、マイクロカプセルが壊れたり
することがほとんどない。従って、内包油滴中に安定性
の悪い油性薬剤を配合しておけば、薬剤の安定性を改善
することができる。例えば、レチノール、ビタミンE等
の易酸化性薬剤や、シクロスポリン、ビタミンCパルミ
テート、4−tert−ブチル−4’−メトキシベンゾ
イルメタン等の易結晶性油性薬剤が挙げられる。
ル化剤として油相に高級脂肪酸グリセリル、デキストリ
ン脂肪酸エステル等を配合すると、内包油滴の浸潤を顕
著に抑制することができる。なお、これら油性ゲル化剤
の配合量としては、内油相中0.05〜5重量%、好ま
しくは0.2〜1重量%である。少なすぎるとこれら油
性ゲル化剤の浸潤防止効果が十分に発揮されず、多すぎ
る場合には他の成分に影響を及ぼすことがある。
率が小さいほど軟らかくて弾力があり、ヤング率が大き
いほど硬くて弾力がないゲルであるといえるが、このヤ
ング率を本発明のマイクロカプセルを塗布した時の使用
感の指標の一つとすることができる。本発明において
は、マイクロカプセルのヤング率を30〜500N/c
m2とすることが好ましく、特に、30〜300N/c
m2、好ましくは30〜200N/cm2とすれば、な
めらかな使用感と内包油滴の徐放性が得られる。また、
カプセルのヤング率を300〜500N/cm2とする
と、マッサージ効果(スクラブ効果)と内包油滴の徐放
性が得られる。なお、カプセルのヤング率は、カプセル
の破断強度と同様、水相組成で調製したゲルについてレ
オメーターで測定を行い、これをカプセルのヤング率と
した。
に限定されず、例えば、乳液、クリーム、ローション、
美容液、マッサージ料、スクラブ料等の基礎化粧料、ボ
ディソープ、クレンジング料等の洗浄料、ファンデーシ
ョン、フェイスパウダー、頬紅、口紅、アイシャドウ、
アイブロウ、マスカラ、フェイスパウダー等のメークア
ップ化粧料、ヘアークリーム、へアートニック、トリー
トメント、育毛料、シャンプー、リンス等の毛髪化粧料
等が挙げられる。また、その性状としては乳化状、可溶
化状、液状、固形状、ジェル状、ムース状、スプレー状
等が挙げられる。これらは、本発明の効果が損なわれな
い限り特に制限されない。また、本発明の化粧料には、
通常化粧料に用いられる成分を配合することができる。
分散物の状態で、あるいは、遠心分離、濾過等の常法に
より外油相3の一部あるいは全部を除去してから他の基
剤に配合することもできる。また、ファンデーションや
口紅等の固形化粧料や、ローション等の水性基剤に配合
することも可能である。なお、本発明のマイクロカプセ
ルを固形分のまま長期にわたって放置すると収縮を生じ
ることがあるので、水性基剤又は油性基剤中でストック
することが好ましい。以下、具体例を挙げて本発明を説
明する。なお、配合量は特に指定のない限り重量%で示
す。
3−ブチレングリコール及びPOE(60)硬化ヒマシ
油の混合物に徐々に添加して、水溶性溶媒中油型エマル
ジョンを得た。寒天をイオン交換水に90℃で加熱溶解
して寒天水溶液を調製し、50℃まで冷却した。50℃
に加熱した前記水溶性溶媒中油型エマルジョンに、前記
寒天水溶液を攪拌しながら添加して、O/Wエマルジョ
ン(平均粒子径0.5μm)を得た。O/Wエマルジョ
ンを外油相に添加して50℃×500rpmで乳化し、
O/W/Oエマルジョンを調製した。これを徐々に室温
まで冷却し、水相の寒天を固化させることにより、マイ
クロカプセル油性分散物(カプセル平均粒子径100μ
m、内包油滴平均粒子径0.5μm)を得た。
子径は動的光散乱法(大塚電子社製ダイナミック光散乱
光度計DLS−700使用)により測定し、またマイク
ロカプセルの平均粒子径は、レーザ回折/散乱式粒度分
布測定装置(堀場製作所製)で測定した粒度分布から求
めた。
90℃で加熱溶解し、冷却して厚さ32mmのゲルを調
製した。このゲルの破断強度及びヤング率をレオメータ
ー(不動工業製NRM−2010−CW)により測定
し、カプセルの破断強度、ヤング率とした。測定条件は
下記の通り。 レンジ:200g テストスピード:5cm/min スイープスピード:5cm/min アダプタ径:破断強度500g/cm2未満の時 10mm 破断強度500g/cm2以上の時 3mm 検出器:2kg
に添加した場合の安定性(耐剪断性)について、次のよ
うに調べた。すなわち、下記の処方でマイクロカプセル
を配合したW/Oクリームを調製した。W/O乳化はホ
モミキサーで70℃×9000rpmで行った。得られ
たクリーム中のマイクロカプセルの破壊の有無を顕微鏡
にて観察し、カプセルの破壊が認められた場合は耐剪断
性×、破壊が認められなかった場合には耐剪断性○とし
た。
物、及び5%香料含有エタノール溶液(コントロール)
各0.1gをそれぞれ左右の手首内側にへらでのせた。
これを指先でのばす前(塗布前)、のばした直後(塗布
直後)及び1、3、6、12時間経過後に、におい(香
料臭)の強さを下記の基準で評価した。 評価基準 ◎:におい強い。 ○:においがやや強い。 △:においが弱い。 ×:においがほとんどしない。
2は耐剪断性は良好であるが、塗布によるにおいの放出
性において、コントロールとの差がほとんどなく、塗布
時にカプセルから香料がほとんど放出されるものと考え
られる。また、試料6は、塗布後もにおいがほとんど感
じられず、カプセル内の香料は放出されないと考えられ
る。これに対して、試料3〜5はにおいの持続時間が非
常に長く、カプセルから香料が徐放された。従って、耐
剪断性と塗布後の内包油滴の徐放性を発揮するために
は、カプセルの破断強度は500〜2,000g/cm
2、特に700〜1,500g/cm 2であることが好
適である。
ロカプセル(実施例)と、従来法により調製したマイク
ロカプセル(比較例)について、比較を行った。なお、
何れの場合もO/Wエマルジョンの平均粒子径は、0.
5μmとした。また、水相で調製したゲルの破断強度は
何れも1,000g/cm2であった。結果を表2に示
す。
調製時の乳化粒子径とほとんど同じであるのに対し、比
較例の内包油滴径は10μmにまで大きくなった。これ
は、比較例ではO/Wエマルジョンが不安定で、O/W
/O乳化時に内油相の融合が著しく生じたためと考えら
れる。
50℃×500rpm(マイルドな乳化条件)及び70℃
×2500rpm(シビアな乳化条件)何れの場合にも、
カプセル化効率はほぼ100%であり、内油相のロスが
なかった。これに対し、比較例では、50℃×500r
pmの乳化条件でさえ、カプセル化効率は低く、内油相
のロスが著しい。さらに高温あるいは高速攪拌してシビ
アな条件でO/W/O乳化を行うと、O/W/Oエマル
ジョンは得られなかった。このことから、比較例では内
油相同士の融合に加えて、内油相と外油相の合一も起こ
っていることが示唆された。また、実施例のマイクロカ
プセルは乳化工程に添加しても壊れず耐剪断性に優れて
いたが、比較例のマイクロカプセルは破壊が多かった。
さらに、実施例のマイクロカプセル油性分散物の50℃
2ヶ月保存後の内油相カプセル化率は、ほぼ100%を
維持していた。
はその製造における乳化条件を自由に設定できるので、
マイクロカプセルの粒径のコントロールが容易である。
また、内油相のカプセル化率が高く、製造時のロスがな
いことが理解される。なお、表2のマイクロカプセルの
処方および製法、内油相カプセル化率測定法は次の通り
である。
とした。(3)、(4)及び(6)0.5%の混合物に
内油相を徐々に添加して、水溶性溶媒中油型エマルジョ
ンを得た。(5)を(6)の残部に90℃で加熱溶解し
て寒天水溶液を調製し、50℃まで冷却した。50℃に
加熱した前記水溶性溶媒中油型エマルジョンに、前記寒
天水溶液を攪拌しながら添加して、O/Wエマルジョン
を得た。O/Wエマルジョンを、所定の温度を維持しな
がら(7)と(8)の混合物に添加して乳化し、O/W
/Oエマルジョンを調製した。これを徐々に室温まで冷
却し、水相の寒天を固化させることにより、マイクロカ
プセル油性分散物を得た。
とした。(3)、(4)及び(6)13%の混合物に内
油相を添加して乳化し、O/Wエマルジョンを得た。
(5)を(6)の残部に90℃で加熱溶解して寒天水溶
液を調製し、50℃まで冷却した。50℃に加熱した前
記O/Wエマルジョンに、寒天水溶液を混合した。以
下、上記実施例と同様に行った。
レン酸エチル0.2重量%を配合し、得られたマイクロ
カプセル油性分散物を遠心分離して、外油相中のγ-リ
ノレン酸エチル量を高速液体クロマトグラフィーにより
定量した。γ-リノレン酸エチルの配合量、外油相中の
γ-リノレン酸エチル量から、下記計算式によりカプセ
ル化率を算出した。 カプセル化率(%)=[(配合量−外油相中の含有量)
/配合量]×100
相とした。(3)、(4)及び(6)0.5%の混合物
に内油相を徐々に添加して、水溶性溶媒中油型エマルジ
ョンを得た。(5)を(6)の残部に90℃で加熱溶解
してカラギーナン水溶液を調製し、50℃まで冷却し
た。50℃に加熱した前記水溶性溶媒中油型エマルジョ
ンに、前記カラギーナン水溶液を攪拌しながら添加し
て、O/Wエマルジョンを得た(平均粒子径0.5μ
m)。O/Wエマルジョンを、(7)、(8)、(9)
の混合物に加え、50℃×7000rpmで乳化してO/
W/Oエマルジョンを調製した。これを徐々に室温まで
冷却して、水相のカラギーナンを固化させることによ
り、マイクロカプセル油性分散物を得た。得られたマイ
クロカプセルの平均粒径は10μm、内包油滴の平均粒
径は0.5μmであり、内油相のカプセル化率は100
%であった。また、カプセルの破断強度は1,500g
/cm2であった。
施例1に準じてマイクロカプセル油性分散物を調製し、
これを濾過してマイクロカプセルを得た。カプセル1、
2の破断強度はそれぞれ1,080g/cm2、1,10
0g/cm2であった。 (クリームの調製)表4の処方で常法によりO/Wクリ
ームを調製し、0℃、室温、50℃で保存し、結晶析出
の有無を経時的に、最長1ヶ月後まで肉眼観察した。
ト等の薬剤は、溶剤への溶解性が悪く容易に結晶化を起
こすため、加熱するなどして一時的に溶剤に溶解して配
合することはできるものの、経時的に結晶析出が認めら
れることがある(クリームC、D)。一方、クリーム
A、Bのように、これら薬剤を内包したマイクロカプセ
ルを配合した場合には、結晶析出は全く認められなかっ
た。よって、本発明のマイクロカプセルは非常に安定
で、これを用いれば従来配合が困難な薬剤も安定に配合
することができ、しかも肌に塗布した際にはこれら薬剤
が徐放される製品が可能となる。また、本発明のマイク
ロカプセルは多量の水溶性薬剤も水相中に安定に内包で
きるので、従来水溶性薬剤が配合困難であった製剤にも
有用である。
マイクロカプセル油性分散物を調製し、これを濾過して
マイクロカプセルを得た(カプセル破断強度1,400
g/cm2)。
専門パネル20名により口紅の使用テストを行い、保湿
効果及びしわ改善効果の持続性について、アンケートを
実施し、下記の基準で評価を行った。 評価基準 ◎:16名以上が持続性ありと回答した。 ○:11〜15名が持続性ありと回答した。 △:6〜10名が持続性ありと回答した。 ×:5名以下が持続性ありと回答した。
易酸化性薬剤は配合困難で、またアスコルビン酸誘導体
等の水溶性保湿剤も配合することができない(口紅
B)。一方、口紅Aのように本発明のマイクロカプセル
を用いれば、このような薬剤を口紅に安定に配合するこ
とができ、保湿効果やしわ改善効果の持続性がある口紅
を得ることができる。
たところ、マイクロカプセルを配合した頬紅Aは、保湿
効果やしわ改善効果の持続性が高いものであった。
し、50℃で1ヶ月間保存後の変色の有無を肉眼で観察
した。ビタミンEアセテートをそのまま配合したファン
デーションBでは、変色が認められた。これは、無機顔
料中に含まれる金属イオンにより、ビタミンEが分解を
受けたためと思われる。これに対して、ビタミンEアセ
テートを内包するマイクロカプセルを配合したファンデ
ーションAでは変色は認めれられなかった。
を調製した。通常のゼリー状パックは水性であるため
に、油分や油性薬剤を配合することは困難であるが、本
発明のマイクロカプセルを用いれば、油分や油性薬剤を
安定に配合することができ、塗布した際にはこれら内包
物が徐放されるパックを得ることができる。
(6)を攪拌溶解し、これに(4)、(7)及び(8)
を混合溶解したものを加え、さらに(3)を加えて攪拌
し、マイクロカプセル配合液剤を得た。本液剤を不織布
等のシートに含浸させて、シート状製品とした。
2)0.5%の混合物に内油相を徐々に添加して、水溶
性溶媒中油型エマルジョンを得た。(7)、(8)、
(11)及び(13)を(12)10%に90℃で加熱
溶解してゲル化剤水溶液を調製し、50℃まで冷却し
た。50℃に加熱した前記水溶性溶媒中油型エマルジョ
ンに、前記ゲル化剤水溶液を攪拌しながら添加して、O
/Wエマルジョンを得た。O/Wエマルジョンを外油相
に加えて50℃で乳化し、O/W/Oエマルジョンを調
製した。さらに、(9)、(10)及び(12)の残部
を混合溶解した水溶液を添加して、十分に攪拌後、徐々
に室温まで冷却して、マイクロカプセル油性分散物を調
製し、これを濾過してマイクロカプセルを得た(破断強
度800g/cm2)。
スプレー缶に充填した。
相)。(6)に(2)〜(5)及び(9)〜(10)を
加え、室温で混合した(アルコール相)。アルコール相
を水相に添加し、さらに(7)を添加して攪拌し、化粧
水を得た。
(9)を加え、70℃に加熱した(水相)。(1)〜
(5)を混合溶解し、(6)、(12)、(13)を加
え、70℃に加熱した(油相)。油相を水相に加え、ホ
モミキサーで混合乳化し、(10)を添加してさらに混
合した。脱気、濾過、冷却して、エモリエントローショ
ンを得た。
(9)、(10)、(13)、(14)を加えて、70
℃に調整した(油相)。(12)に(8)を加え、70
℃に調整した(水相)。ホモミキサーで油相と水相を混
合乳化した後、(11)を添加してさらに混合し、脱
気、濾過、冷却して、クリームを得た。
(4)、(5)、(9)、(10)を加えて、70℃に
調整し、均一に分散、溶解して油性ゲルを得た。(8)
に(6)を加え、70℃に調整した(水相)。水相を油
性ゲル中に十分攪拌しながら徐々に添加し、ホモミキサ
ーで均一に混合した後、(7)を添加してさらに混合
し、脱気、濾過、冷却して、クリームを得た。
て、アルカリ水溶液とした。(8)の残部に(3)、
(4)を均一に溶解させた後、(2)を添加した(水
相)。(1)に(5)を加え、50℃で加熱溶解し、
(9)を添加した。これに、水相を攪拌しながら徐々に
添加し、アルカリ水溶液を添加、攪拌後、(7)を加
え、十分に攪拌してジェルを得た。
し、カプセルの安定性、塗布時の内包油滴の徐放性に優
れるマイクロカプセルが得られる。本発明のマイクロカ
プセルの製造は簡便で内油相のロスがなく効率的であ
り、カプセル径を容易にコントロールできる。
る。
Claims (14)
- 【請求項1】 平均粒子径が0.01〜3μmの油滴を
内包し、且つカプセル化剤が親水性高分子ゲル化剤であ
り、カプセルの破断強度が500〜2,000g/cm
2であることを特徴とするマイクロカプセル。 - 【請求項2】 請求項1記載のマイクロカプセルにおい
て、カプセル化剤の主成分が、加熱冷却により固化する
親水性高分子ゲル化剤であることを特徴とするマイクロ
カプセル。 - 【請求項3】 請求項1又は2記載のマイクロカプセル
において、親水性高分子ゲル化剤が寒天であることを特
徴とするマイクロカプセル。 - 【請求項4】 請求項1又は2記載のマイクロカプセル
において、親水性高分子ゲル化剤がカラギーナンである
ことを特徴とするマイクロカプセル。 - 【請求項5】 請求項1〜4の何れかに記載のマイクロ
カプセルにおいて、マイクロカプセルが親水性非イオン
界面活性剤と、水溶性溶媒とを含むことを特徴とするマ
イクロカプセル。 - 【請求項6】 請求項1〜5の何れかに記載のマイクロ
カプセルが、油相中に分散していること特徴とするマイ
クロカプセル油性分散物。 - 【請求項7】 請求項6記載のマイクロカプセル油性分
散物において、 内油相と、親水性高分子ゲル化剤を含有する水相とから
O/Wエマルジョンを調製し、 前記O/Wエマルジョンを外油相中に分散乳化してO/
W/Oエマルジョンを調製し、 前記O/W/Oエマルジョンの水相を固化させて得られ
ることを特徴とするマイクロカプセル油性分散物。 - 【請求項8】 請求項7記載のマイクロカプセル油性分
散物において、前記O/Wエマルジョンが、親水性非イ
オン界面活性剤を含有する水溶性溶媒中に内油相を添加
して水溶性溶媒中油型エマルジョンを調製し、 該水溶性溶媒中油型エマルジョンに親水性高分子ゲル化
剤の水溶液を添加して調製されるO/Wエマルジョンで
あることを特徴とするマイクロカプセル油性分散物。 - 【請求項9】 請求項1〜5の何れかに記載のマイクロ
カプセルにおいて、請求項7又は8の何れかに記載のマ
イクロカプセル油性分散物の外油相を除去して得られる
ことを特徴とするマイクロカプセル。 - 【請求項10】 請求項1〜9の何れかに記載のマイク
ロカプセル又はその油性分散物において、カプセル内に
油性薬剤を含有することを特徴とするマイクロカプセル
又はその油性分散物。 - 【請求項11】 請求項1〜9の何れかに記載のマイク
ロカプセル又はその油性分散物を配合したことを特徴と
する化粧料。 - 【請求項12】 請求項1〜9の何れかに記載のマイク
ロカプセル又はその油性分散物を配合したことを特徴と
する固形化粧料。 - 【請求項13】 内油相と、加熱冷却により固化する親
水性高分子ゲル化剤を予め加熱溶解しておいた水相とか
ら、該ゲル化剤の固化温度以上で平均粒子径が0.01
〜3μmのO/Wエマルジョンを調製するO/Wエマル
ジョン調製工程と、 前記O/Wエマルジョンを該ゲル化剤の固化温度以上で
外油相中に分散乳化するO/W/Oエマルジョン調製工
程と、 前記O/W/Oエマルジョンを該ゲル化剤の固化温度以
下に冷却して水相を固化するカプセル化工程と、を備
え、前記水相から調製されるゲルの破断強度が500〜
2,000g/cm 2であることを特徴とするマイクロ
カプセルの製造方法。 - 【請求項14】 請求項13記載の製造方法において、
O/Wエマルジョン調製工程が、親水性非イオン界面活
性剤を含有する水溶性溶媒中に内油相成分を添加して水
溶性溶媒中油型エマルジョンを調製し、 該水溶性溶媒中油型エマルジョンと、加熱冷却により固
化する親水性高分子ゲル化剤を予め加熱溶解しておいた
水溶液とを該ゲル化剤の固化温度以上で混合する工程を
含むことを特徴とするマイクロカプセルの製造方法。
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