JPH0556594U - 車両用アームレストのインサート部材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案の目的は、金型に装着された表皮材の
内倒れによって生じる外観不良を防止し、作業工程に影
響を与えず歩留まりの良好な車両用アームレストのイン
サート部材を提供することにある。 【構成】 本考案のインサート部材３０は、表皮材を金
型に配置した後に、金型に支持されて表皮材の開口側か
ら表皮材内に装着されて表皮材の芯材となるインサート
部材３０であり、インサート部材３０には表皮材の開口
端部側に向けて延出した弾性リブ３４が形成され、この
弾性リブ３４の端部側によって表皮材の開口端部を金型
側へ付勢した構成とした。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は車両用アームレストのインサート部材に係り、特に外観不良を防止し て歩留まりを良好にした車両用アームレストのインサート部材に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来から自動車等のドアに取付けられるアームレストにおいては、予め表皮材 を開口を含んで所定形状に成形しておき、この表皮材を成形金型のキャビティ面 に配置したあと、表皮材の開口側からインサート部材を装着し、さらにウレタン 樹脂等を発泡して一体成形している。

【０００３】 しかし単に金型５１に表皮材Ｈを配置した状態で、インサート部材５４を配置 して成形すると、図５で示すように、表皮材Ｈの開口端部５２側が内倒れを生じ てしまい、ウレタンを注入して発泡するときに、発泡ウレタン５５があふれ出て 表皮材Ｈの開口端部５２側から表面５３側に露出して、結果的に図６で示すよう な外観不良となってしまう不都合が生じる。この傾向は金型５１に表皮材Ｈを配 置したときに逆アールとなる絞面において顕著である。このため、表皮材の内倒 れを防止するために、金型内で表皮材の開口端部の近傍に別部材等を配置して、 表皮材の内倒れを防止することが考えられる。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかし金型５１内で表皮材Ｈの開口端５２部の近傍に別部材等を配置すること は、別部材が必要となり部品点数が増加すると共に、別部材を配置するための工 数が増加することとなる。また別部材の配置を手作業で行なうとバラ付き等が生 じ、歩留まりに影響が出てしまうという不都合もあった。さらに、別部材で表皮 材を押える場合には、成形表皮材の厚さのバラ付きに応じた変形が外形形状に現 われてしまい、成形表皮材の厚みを吸収できないという問題があった。

【０００５】 本考案の目的は、金型に装着された表皮材の内倒れによって生じる外観不良を 防止し、作業工程に影響を与えず歩留まりの良好な車両用アームレストのインサ ート部材を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案の車両用アームレストのインサート部材は、開口部が形成された表皮材 を金型に配置した後に、金型に支持され表皮材の開口側から表皮材内に装着され て表皮材の芯材となるインサート部材において、該インサート部材には表皮材の 開口端部側に向けて延出した弾性リブが形成され、該弾性リブの端部側によって 前記表皮材の開口端部側が金型側へ付勢された構成とした。そして弾性リブを櫛 状に形成すると好適である。

【０００７】

【実施例】

以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する部 材，配置等は本考案を限定するものでなく、本考案の趣旨の範囲内で種々改変す ることができるものである。

【０００８】 本考案におけるアームレスト１０は、図２で示すように、予め袋状をした表皮 材Ｈを成形しておき、この表皮材Ｈを、図４で示すように、成形金型２０のキャ ビティ面２１に配置したあと、表皮材Ｈの開口１１側からインサート部材３０を 装着し、さらにウレタン樹脂等を発泡して一体発泡成形により形成されるもので ある。そして本例のアームレスト１０は、デザイン等を考慮してドア基材Ｄとの 接合部Ｅに、成形時に逆アールとなる絞面１２が形成されている。

【０００９】 本例のインサート部材３０は、図３で示すように、底面３１と、この底面３１ に連続した側面３２とから構成された断面Ｌ字状をした長尺本体３３と、この長 尺本体３３の底面３１と側面３２のそれぞれの自由端面３１ａ，３２ａの位置で 、表皮材Ｈ内に配置したときに表皮材Ｈ側に延出した弾性リブ３４が形成されて いる。本例の弾性リブ３４は、アームレスト１０の絞面１２側に向けて延出した 複数の棒体３４ａからなる櫛状をしており、底面３１において側面３２と反対側 位置と、図３における側面３２の裏側とに、それぞれ形成されている。なお図３ 中、符号３５は基材Ｄ側との取付け部であり、符号３６は補強リブ、符号３７は 発泡材としてのウレタンの食い付き穴である。

【００１１】 また本例のインサート部材３０は、ナイロン６を材料として用いて、射出成形 等の公知の方法により成形されている。しかし、材質はこれに限定されるもので はなく、ポリプロピレン、ポリエチレン等の比較的硬い熱可塑性合成樹脂材料に よって作製しても良く、また成形方法においても、材質との関係で適当な方法が 用いられる。

【００１２】 上記構成からなるインサート部材３０を用いてアームレスト１０を製造する場 合について、図４に基づいて説明する。 本例のアームレスト１０は逆アール形状をした絞面１２があるためにアンダー カットとならないようにする必要があり、このため金型２０は、図４で示すよう に、固定金型２１と、第１可動金型２２と、第２可動金型２３とを用いて成形す る。そして第１及び第２可動金型（或は第１可動金型だけ）２２，２３を開いた 状態で、成形表皮材Ｈを金型２０のキャビティ面２４に沿わせて配置する。つぎ にインサート部材３０の取付け部３５と、図示しない第１可動金型２２に形成さ れた支持部材と係合して、金型２０内に配置された表皮材Ｈ内にインサート部材 ３０を装着する。このとき、インサート部材３０には弾性リブ３４が形成されて いるので、この弾性リブ３４の自由端部側が表皮材Ｈの絞面１２である開口１１ の端部と直接当接して、表皮材Ｈは金型２０側へ付勢されることになり、表皮材 Ｈの絞面１２における内倒れが防止される。

【００１３】 次に発泡材２５であるウレタン液を注入して発泡させるが、表皮材Ｈは弾性リ ブ３４によってキャビティ面２４に付勢されているので、従来のように表皮材Ｈ の表面側に発泡材２５が回って外形不良を起こすことがない。また成形表皮材Ｈ の肉厚にバラ付きが生じていても、弾性リブ３４が可撓して表皮材Ｈの厚みを吸 収するので、表皮材Ｈの肉厚に影響されずに表皮材Ｈをキャビティ面２４側に押 しつけることができる。

【００１４】 上記実施例においては、弾性リブ３４を櫛状に形成した例を示したが、弾性リ ブは弾性のある板状体であってもよいことは勿論である。 なお弾性リブ３４による「しなり」によって、反発力が生じてもインサート部 材３０は、金型２０側と取付け部３５によって一定の位置に配置されているので 、位置ずれは生じない。

【００１５】

【考案の効果】

以上のように本考案によるインサート部材によれば、弾性リブの端部側によっ て表皮材の開口端部が金型側へ付勢された状態で成形されるので、表皮材の厚み のバラ付きによる影響を弾性リブで吸収することにより確実にウレタンの絞面へ の流出防止が図れ、外観不良低減となり、金型に装着された表皮材の内倒れによ って生じる外観不良を防止し、作業工程に影響を与えず歩留まりの良好な車両用 アームレストとなる。特に、本考案のインサート部材は金型に表皮材を配置した ときに逆アールとなるようなアームレスト形状には顕著な効果を奏するものであ る。

【図面の簡単な説明】

【図１】アームレストを備えたドアの平面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ線断面図である。

【図３】インサート部材の斜視図である。

【図４】アームレストの製造を説明する要部断面図であ
る。

【図５】従来例を示す図４と同様な要部断面図である。

【図６】従来例の不都合が生じたアームレストの要部正
面図である。

【符号の説明】

１０ 車両用アームレスト １１ 開口 ２０ 金型 ３０ インサート部材 ３４ 弾性リブ Ｈ 表皮材

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 開口部が形成された表皮材を金型に配置
   した後に、金型に支持されて表皮材の開口側から表皮材
   内に装着され表皮材の芯材となるインサート部材におい
   て、該インサート部材には表皮材の開口端部側に向けて
   延出した弾性リブが形成され、該弾性リブの端部側によ
   って前記表皮材の開口端部側が金型側へ付勢されてなる
   車両用アームレストのインサート部材。
2. 【請求項２】 前記弾性リブは櫛状に形成されてなる請
   求項１記載の車両用アームレストのインサート部材。