JPH0550956U

JPH0550956U - シャフト付きボンド磁石

Info

Publication number: JPH0550956U
Application number: JP11015391U
Authority: JP
Inventors: 貴俊大山; 和彦井上; 宏史伊東
Original assignee: TDK Corp
Current assignee: TDK Corp
Priority date: 1991-12-12
Filing date: 1991-12-12
Publication date: 1993-07-02

Abstract

(57)【要約】【目的】円筒状のボンド磁石部品とシャフトの固定構
造を工夫して、ボンド磁石部品とシャフトとの固着工程
を簡単にし、しかも固着強度の安定化を図る。【構成】磁性粉末を樹脂で成型してなる円筒状ボンド
磁石部品１の中心穴３にシャフト２を設けた構造を持
ち、前記中心穴３の一部分に小径の圧入代５を形成して
前記シャフト２を圧入で設けるとともに、前記中心穴内
面と前記シャフト２との隙間に接着剤７を設けた構成で
ある。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ステッピング・モーター、小型モーター用のローター、回転センサー、タイマー、小型時計等に装着されるシャフト付きボンド磁石に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、磁性粉末を樹脂で成型してなる円筒状のボンド磁石部品の中心穴にシャフトを固定する手段として、一般に、シャフトと磁石部品の中心穴との隙間に接着剤を介して隙間嵌めで接着する接着法と、シャフトと磁石部品の中心穴とを締まり嵌めで圧入する圧入法が知られている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、前記接着法では、円筒状のボンド磁石部品の外周面を基準として該外周面中心とシャフトの中心を一致させるために、接着剤が硬化するまでの時間 (３０秒以上)、治具を用いてシャフトとボンド磁石部品との位置関係を規定して保持する必要があるとともに、中心穴からの接着剤のはみ出し及びたれ等を拭き取る必要があり、時間及び手間がかかる。

【０００４】また、前記圧入法では、磁石部品の中心穴内径についての寸法公差管理が難しい問題がある。この場合、シャフトの圧入距離が長いため、そのボンド磁石部品の内径寸法のばらつきが大きいと、圧入不可能のものが生じたり、圧入時の力で磁石部品に割れが発生する恐れがあり、歩留りが低下する嫌いがある。また、圧入による固定だけなので、温度上昇に伴うボンド磁石部品内径の変化により、シャフトの固定強度が低下する欠点がある。

【０００５】本考案は、上記の点に鑑み、円筒状のボンド磁石部品とシャフトの固定構造を工夫することで、ボンド磁石部品とシャフトとの固着工程が簡単で、しかも固着強度の安定化を図れるシャフト付きボンド磁石を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案のシャフト付きボンド磁石は、磁性粉末を樹脂で成型してなる円筒状ボンド磁石部品の中心穴にシャフトを設けたシャフト付きボンド磁石において、前記中心穴の一部分に小径の圧入代を形成して前記シャフトを圧入で設けるとともに、前記中心穴内面と前記シャフトとの隙間に接着剤を設けた構成としている。

【０００７】

【作用】

本考案のシャフト付きボンド磁石においては、円筒状のボンド磁石部品の中心穴の一部分に小径の圧入代を形成しておき、シャフトを圧入し仮固定してボンド磁石部品に対するシャフトの位置決め保持を行うとともに、前記中心穴の前記シャフトとの隙間に接着剤を設けてボンド磁石部品とシャフトを接着一体化している。ここで、シャフトの外周の一部がボンド磁石部品の中心穴の圧入代に圧接固定され、この結果、シャフトと前記中心穴との位置関係が規定された状態で保持されるので、接着剤が硬化するまでの時間に治具等による保持の必要がなく、製造作業が容易で工程が簡略化できる。また、ボンド磁石部品中心穴のシャフトに対する圧入代の長さ（圧入部の長さ）が短いため、圧入作業が容易でボンド磁石部品の割れ発生の恐れはほとんどない（特に圧縮成形品の磁石部品は割れ易いが、この場合にも割れ発生を回避できる。）。また、接着剤による接着は、シャフト圧入前にシャフトに接着剤を塗布しておくかあるいはシャフト圧入後に前記中心穴の内周面とシャフト外周との隙間に接着剤を注入することで実行する。このように、ボンド磁石部品とシャフトの固定構造を、圧入固着と接着剤による接着の併用としているため、従来の固定構造と比べて、固着強度が大きく、温度変化による固着強度の劣化がほとんどない。また、前記シャフトの圧入固着作業を、ボンド磁石部品の外周面を基準とし、該外周面中心とシャフトの中心とを一致させた状態で実行することにより、シャフトの中心精度の向上が図れる。

【０００８】

【実施例】以下、本考案に係るシャフト付きボンド磁石の実施例を図面に従って説明する。

【０００９】図１及び図２は本考案の第１実施例を示している。これらの図において、ボンド磁石部品１は、フェライト系、Ｎd系またはＳm−Ｃo系などの磁性粉末を添加剤等とともに樹脂に混合したものを、射出成型あるいは圧縮成型等で中心穴３を有する円筒状に成型し、着磁した永久磁石部品である。前記中心穴３の一端部分には主内周面４の径より小径で、シャフト２の径よりやや小さい径を有する圧入代５（長さＬ₂）が形成されている。主内周面４の径はシャフト２の径より僅かに大きく設定され、その内周面４の圧入側端部にはボンド磁石部品１の開口に向けて広がる面取り６が施されている。前記圧入代５及び面取り６は、ボンド磁石部品１成型時に中心穴３と同時に形成される。

【００１０】前記シャフト２は、例えばステンレス等の円柱金属棒であり、前記ボンド磁石部品１の中心穴３に圧入され、仮固着されて、ボンド磁石部品１に対して位置決め保持される。図２に示すように、シャフト２は、予め中央部分の外周に接着剤７を適量塗布されており、その一端をボンド磁石部品１の中心穴３の面取り６を有する開口から内側に挿入し、中心穴３の圧入代５に圧接させながら挿入して所定位置まで圧入することで、ボンド磁石部品１とシャフト２の両者の位置関係が規定された状態で一体化される。この際、中心穴３の圧入代５の長さによる圧入距離Ｌ₂が短いため圧入作業は容易に行うことができ、シャフト２に塗布された接着剤７は、前記中心穴３の主内周面４とシャフト２外周との隙間が接着剤溜まりとなりその隙間に浸透する。なお、前記接着剤７は、嫌気性接着剤あるいは熱硬化性のエポキシ系等の接着剤である。

【００１１】ちなみに、上記ボンド磁石部品１及びシャフト２の各寸法について述べれば、例えば、ボンド磁石部品１は、外径を５mm、全長Ｌ₁を５mmとして、圧入代５の長さＬ₂は０.２mm〜２mmに形成されており、シャフト２の径は１mm〜３mm程度である。ボンド磁石部品１とシャフト２の固定時におけるシャフト２外周とボンド磁石部品１の主内周面４との隙間ｄは０.１mm〜０.３mm程度である。

【００１２】以上の第１実施例の構成によると、ボンド磁石部品１の中心穴３に対するシャフト２の圧入距離が短いため、圧入作業が容易でボンド磁石部品１の割れ発生の恐れはほとんどない。前記圧入代５による圧入固着でシャフト２とボンド磁石部品１との位置関係が規定された状態で保持されるので、接着剤７が硬化するまでの時間に治具等による保持の必要がなく、工程が簡略化できる。また、接着剤７による接着は、前記中心穴３の圧入代寄り部分の主内周面４とシャフト２外周との隙間が接着剤溜まりとなり接着剤の漏れを防止するとともに、接着剤７をシャフト２とボンド磁石部品１の主内周面４との間隙に効果的に浸透させることができる。このように、ボンド磁石部品１とシャフト２の固定構造を、圧入固着と接着剤による接着の併用としているため、固着強度が大きく、温度変化による固着強度の劣化がほとんどない。

【００１３】また、前述のシャフト２の圧入固着作業を、ボンド磁石部品１の外周面を基準とし、該外周面中心とシャフト２の中心とを一致させた状態で実行することにより、シャフト２の中心精度を向上させることができる。

【００１４】図３は本考案の第２実施例を示しており、ボンド磁石部品１Ａの中心穴３Ａに圧入代５（長さＬ₂）を形成するとともに、残りの部分である主内周面を、面取り６を有する圧入側開口に向けて広がったテーパー状主内周面１４としたものである。中心穴３Ａの前記テーパー状主内周面１４は、その内径が当該ボンド磁石部品１の外周面外径と同心になるように、ボンド磁石部品１Ａ成型時に圧入代５及び面取り６とともに同時に形成される。この場合、前記第１実施例と同様に、予め接着剤７を塗布したシャフト２を前記ボンド磁石部品１Ａの中心穴３Ａに圧入することで、ボンド磁石部品１Ａとシャフト２が両者の位置関係が規定された状態で一体化される。なお、その他の構成及び作用は前記第１実施例と同様である。

【００１５】なお、前記各実施例では、シャフト２をボンド磁石部品１,１Ａに圧入する前に、接着剤７をシャフト２に塗布しておく構成としたが、シャフト２をボンド磁石部品１,１Ａに圧入した後、中心穴３,３Ａの面取り６を有する開口からシャフト２外周と主内周面４,１４の隙間に接着剤７を注入する構成としてもよい。

【００１６】また、圧入代５を中心穴３,３Ａの一端部分に形成する構成としたが、中心穴の中央部分などの一部分に圧入代を形成する構成としてよい。

【００１７】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案のシャフト付きボンド磁石によれば、シャフトの外周の一部をボンド磁石部品の中心穴の圧入代に圧接固定することでシャフトと前記中心穴との位置関係が規定された状態で保持できるので、接着剤が硬化するまでの時間に治具等による保持の必要がなく、作業が容易で工程が簡略化できる。また、ボンド磁石部品の中心穴に対するシャフトの圧入距離が短いため、圧入作業が容易でボンド磁石部品の割れ発生の恐れはほとんどなく、歩留りの向上を図れる。また、ボンド磁石部品とシャフトの固定構造を、圧入固着と接着剤による接着の併用としているため、従来の固定構造と比べて、固着強度が大きく、温度変化による固着強度の劣化がほとんどなく安定している。また、前記シャフトの圧入固着作業を、ボンド磁石部品の外周面を基準とし、該外周面中心とシャフトの中心とを一致させた状態で実行することにより、シャフトの中心精度の向上が図れる。このように、本考案によれば、安価で信頼性の高いシャフト付きボンド磁石が得られ、特に小型モーター等に用いられる小型のローターなどに適している。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るシャフト付きボンド磁石の第１実
施例を示す正断面図である。

【図２】同分解断面図である。

【図３】第２実施例を示す正断面図である。

【符号の説明】

１,１Ａボンド磁石部品２シャフト３,３Ａ中心穴４,１４主内周面５圧入代７接着剤

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】磁性粉末を樹脂で成型してなる円筒状ボ
ンド磁石部品の中心穴にシャフトを設けたシャフト付き
ボンド磁石において、前記中心穴の一部分に小径の圧入
代を形成して前記シャフトを圧入で設けるとともに、前
記中心穴内面と前記シャフトとの隙間に接着剤を設けた
ことを特徴とするシャフト付きボンド磁石。
【請求項２】前記磁石部品が圧縮成形品である請求項
１記載のシャフト付きボンド磁石。