JPH0550050U - ラダーフレーム付エンジン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 クランクケース下端に液体ガスケットを介し
てラダーフレームを装着する際、合せ面からはみ出した
液体ガスケットがエンジン内部に落下しオイルに混入し
て、エンジン各部の故障を招くことを防止する。 【構成】 略クランク軸線方向に延在する左右の縦壁と
クランク軸線に対し横方向に延在しその両端を左右の縦
壁に連結された複数の横部材とからなるラダーフレーム
１４を具え、同ラダーフレームの左右側壁の上端面とク
ランクケースのスカート部下端面との間に液体ガスケッ
トを塗布して、同ラダーフレームをクランクケースに固
着するようにしたものにおいて、上記ラダーフレーム
に、上記側壁上端面の内周縁に沿って延在する段部３６
と、上記横部材の両端部分上端面を横切ってクランク軸
線方向に延在する凹溝４０とを、夫々鋳造によって形成
し、上記スカート部の下端面とラダーフレームの側縁上
端面との間からはみ出した余剰の液体ガスケットが上記
段部及び凹溝内に収容され保持される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、クランクケースのスカート部の下端に、平面形状が略梯子状をなす 所謂ラダーフレーム又はアンダフレームを装着したラダーフレーム付エンジンに 関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来のラダーフレーム付エンジンの一例を、便宜的に本考案の一実施例を示す 図１の概略側面図及び図２のラダーフレーム平面図を援用し、かつ図５を参照し て説明する。図中符号１０は総括的にトラック等車両用のエンジンを示し、同エ ンジン１０はクランクケース１２のスカート部下端に装着されたラダーフレーム １４を具えている。 同ラダーフレーム１４は、クランク軸線方向に延在する左右の側壁１６と、ク ランク軸線に対し直角方向に延在し夫々の両端を上記側壁１６に連結された複数 の横部材１８とを具え、同横部材１８の中央部分には、図示しないクランク軸の ジャーナル部を軸支する軸受部２０が夫々形成されている。

【０００３】 上記ラダーフレーム１４は、上記軸受部２０の両側部において上記横部材１８ 上に穿設されたボルト孔２２に夫々挿通される主締付ボルト、及び上記横部材１ ８の両端部に隣接する側壁１６内に穿設された多数のボルト孔２４に夫々挿通さ れる補助ボルトによって、上記クランクケース１２のスカート部下端に装着され る。 上記主締付ボルト及び補助ボルトを緊締することによって、上記側壁１６の上 端に形成されたフランジ部の上端面２６と、クランクケース１２のスカート部下 端面２８とが圧接される。

【０００４】 上記ラダーフレーム側壁の上端面２６とクランクケーススカート部の下端面２ ８とは、エンジン内部のオイル及びブローバイガスが外部に漏洩することを防止 するため油密に圧接される必要がある。このため上記ラダーフレーム側壁上端面 ２６とスカート部下端面２８との間に屡々液体ガスケットが介装される。（なお 図２に符号３６を付した段部、及び符号４０を付した凹溝は、後述するように、 本考案の特徴的構成をなすものであり、従来のラダーフレーム１４には設けられ ていない。）

【０００５】 上記ラダーフレーム側壁の上端面２６とスカート部下端面２８との間に塗布さ れた液体ガスケットは、上記主締付ボルト及び補助ボルトの緊締によってその一 部余剰分が両面２６及び２８の当接部分からエンジン内方及び外方にはみ出すこ ととなる。上記両面２６及び２８の当接部分からエンジン外方にはみ出した液体 ガスケットは格別問題はないが、エンジンの内方にはみ出した液体ガスケットは 、クランクケース１２の内側壁及びラダーフレーム１４の内側壁に沿って流下す るオイルと共に、同ラダーフレーム１４の下側に装着されたオイルパン３０内に 流下して固化し、又は固化したのちオイル流によってオイルパン３０内に落下し 、オイルと混合してエンジンの各部に運ばれる。 このためオイルフィルタやオイルストレーナに目詰りが発生し、或いはオイル ポンプの内部に侵入してその故障を招く等の恐れがある。

【０００６】 そこで従来、図５に良く示されているように、ラダーフレーム側壁の上端面２ ６に、浅い樋状の溝３２を機械加工により削設し、余剰の液体ガスケットのエン ジン内方へのはみ出しを防止する対策が施されている。しかしながら、ラダーフ レーム側壁上端面２６に多数の溝３２を削設するために、多大の機械加工費を要 するので、ラダーフレーム１４の製造コスト、ひいてはエンジンの製造コストが 増大する不都合があった。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、上記事情に鑑み創案されたもので、エンジンのクランクケーススカ ート部の下端に液体ガスケットを介しラダーフレームを装着するエンジンにおい て、上記液体ガスケットがラダーフレームの内周壁に沿い流下し又は固化したの ち落下してオイルに混入することを効果的に防止することができる構造簡単かつ 安価な構成を提供することを目的とするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため、本考案は、略クランク軸線方向に延在する左右の縦 壁とクランク軸線に対し横方向に延在しその両端を上記左右の縦壁に連結された 複数の横部材とからなるラダーフレームを具え、同ラダーフレームの左右側壁の 上端面とクランクケースのスカート部下端面との間に液体ガスケットを塗布して 、同ラダーフレームをボルト等の緊締手段によりクランクケースに固着するよう にしたものにおいて、上記ラダーフレームに、上記側壁上端面の内周縁に沿って 延在する段部と、上記横部材の両端部分上端面を横切ってクランク軸線方向に延 在する凹溝とを、夫々鋳造によって形成し、上記スカート部の下端面とラダーフ レームの側縁上端面との間からはみ出した余剰の液体ガスケットが上記段部及び 凹溝内に収容され保持されるように構成したことを特徴とするラダーフレーム付 エンジンを提案するものである。

【０００９】

【実施例】

以下本考案の実施例を図１ないし図４について具体的に説明する。（なお図１ ，図２及び図５を参照して前述した従来の構成と実質的に同一又は対応する部材 及び部分には同一の符号を付し、重複説明は省略する。）本考案によれば、クラ ンクケース１２のスカート部下端に装着されるラダーフレーム１４が、鋳鉄（勿 論可鍛鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄等を含む。）によって鋳造される。ラダーフレーム１ ４は、クランク軸線方向に延在する左右の側壁１６と、クランク軸線に直交する 方向に延在する複数の横部材１８とを具え、上記側壁１６の上端に形成されたフ ランジ部３４の内周縁には、その上端面２６から下方に凹設した段部３６が上記 横部材１８相互間の中間部分に鋳造時に形成され、また横部材１８との接合部分 における上端面３８（上記上端面２６と実質的に同一平面上にある）にも、同上 端面３８を横切ってクランク軸線方向に延びた樋状の凹溝４０が鋳造によって形 成されている。特に図２の平面図に良く示されているように、上記段部３６と凹 溝４０とは、左右側壁の全長にわたり互に連通している。

【００１０】 クランクケース１２のスカート部下端に上記ラダーフレーム１４を装着する場 合、通常ラダーフレーム側縁１６の上端フランジ部３４の上端面２６に液体ガス ケットｇを塗布したのち、スカート部下端のフランジ部４２の下端面２８を上記 上端面２６に当接させ、ラダーフレーム１４のボルト孔２２に主締付ボルトを挿 入してクランクケース側の対応するねじ孔に螺合し締付けると共に、ボルト孔２ ４に補助ボルトを挿入してクランクケース側の対応するねじ孔に螺合して締付け る。

【００１１】 上記主締付ボルト及び補助ボルトの緊締によって、クランクケーススカート部 の下端フランジ部４２の下端面２８とラダーフレーム側縁の上端フランジ部３４ の上端面２６との間から余剰の液体ガスケットが、図４に符号Ａ及びＢで示され ているように、エンジンの外方及び内方に夫々はみ出すこととなる。

【００１２】 上記クランクケース１２の下端面２８とラダーフレーム１４の上端面２６との 間から外方にはみ出した余剰液体ガスケットＡは、ラダーフレーム１４の取付後 、簡単に拭き取ることができ、またたとえそのまま放置し固化しても、エンジン の運転上格別の不具合を招くようなことはない。一方、上記両面２６及び２８か らエンジン内方にはみ出した余剰液体ガスケットＢは、段部３６及び凹溝４０内 に収容されて固化するので、同段部３６及び凹溝４０内に保持される。従って、 図４に矢印Ｃで示すようにクランクケース１２及びラダーフレーム１４の内周壁 に沿って流下するオイルによってオイルパン３０内に押し流されることがない。 この結果、固化した余剰液体ガスケットの小片がオイルに混合入してオイルスト レーナやオイルフイルタの目詰りを促進したり、オイルポンプ内に侵入して焼付 き等を起す不具合がない。 また、余剰の液体ガスケットを収容し保持する上記段部３６及び凹溝４０が、 機械加工によらず鋳造によって形成されるので、図５に示した従来の構造と較べ 、ラダーフレーム１４の製造コスト、ひいてはエンジンの製造コストを相応して 低減し得る利点がある。

【００１３】

【考案の効果】

叙上のように、本考案に係るラダーフレーム付エンジンは、略クランク軸線方 向に延在する左右の縦壁とクランク軸線に対し横方向に延在しその両端を上記左 右の縦壁に連結された複数の横部材とからなるラダーフレームを具え、同ラダー フレームの左右側壁の上端面とクランクケースのスカート部下端面との間に液体 ガスケットを塗布して、同ラダーフレームをボルト等の緊締手段によりクランク ケースに固着するようにしたものにおいて、上記ラダーフレームに、上記側壁上 端面の内周縁に沿って延在する段部と、上記横部材の両端部分上端面を横切って クランク軸線方向に延在する凹溝とを、夫々鋳造によって形成し、上記スカート 部の下端面とラダーフレームの側縁上端面との間からはみ出した余剰の液体ガス ケットが上記段部及び凹溝内に収容され保持されるように構成したことを特徴と し、クランクケーススカート部とラダーフレームとの当接面からはみ出した余剰 液体ガスケットのオイルへの混入を効果的に防止することができ、固化した液体 ガスケットの小片によってオイルストレーナやオイルフイルタに目詰りが生じた り、オイルポンプが焼付く等の故障を起すことがない構造簡単かつ安価な構成を 提供することができるので、実用上有益である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示すエンジン全体の側面図
である。

【図２】図１に示したエンジンのラダーフレームを示し
た平面図である。

【図３】図２のＩＩＩ−ＩＩＩ線に沿う断面図である。

【図４】図１のＩＶ−ＩＶ線に沿う断面図である。

【図５】従来のラダーフレームの部分的拡大平面図であ
る。

【符号の説明】

１０ エンジン １２ クランクケース １４ ラダーフレーム ３６ 段部 ４０ 凹溝

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 略クランク軸線方向に延在する左右の縦
   壁とクランク軸線に対し横方向に延在しその両端を上記
   左右の縦壁に連結された複数の横部材とからなるラダー
   フレームを具え、同ラダーフレームの左右側壁の上端面
   とクランクケースのスカート部下端面との間に液体ガス
   ケットを塗布して、同ラダーフレームをボルト等の緊締
   手段によりクランクケースに固着するようにしたものに
   おいて、上記ラダーフレームに、上記側壁上端面の内周
   縁に沿って延在する段部と、上記横部材の両端部分上端
   面を横切ってクランク軸線方向に延在する凹溝とを、夫
   々鋳造によって形成し、上記スカート部の下端面とラダ
   ーフレームの側縁上端面との間からはみ出した余剰の液
   体ガスケットが上記段部及び凹溝内に収容され保持され
   るように構成したことを特徴とするラダーフレーム付エ
   ンジン