JPH054922A - ヒト・レトロウイルス複製の阻害に有効な医薬の調製のためのキサンチンの使用 - Google Patents

ヒト・レトロウイルス複製の阻害に有効な医薬の調製のためのキサンチンの使用

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JPH054922A
JPH054922A JP3289900A JP28990091A JPH054922A JP H054922 A JPH054922 A JP H054922A JP 3289900 A JP3289900 A JP 3289900A JP 28990091 A JP28990091 A JP 28990091A JP H054922 A JPH054922 A JP H054922A
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Bruce J Dezube
ブルース・ジエイ・デズーベ
Arthur B Pardee
アーサー・ビー・パーデイー
Ruth M Ruprecht
ルート・エム・ループレヒト
William J Novick Jr
ウイリアム・ジエイ・ノビツク・ジユニア
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Dana Farber Cancer Institute Inc
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】ヒト・レトロウイルス複製の阻害に有効な、下
記式(I)または(II)で示されるキサンチン化合物群
をヒトに投与する。 (式中、R1,R2はC2〜C6アルキル基、シクロヘキシ
ル、アルコキシアルキルまたはヒドロキシアルキル基、
Aはメチル基により置換されていてもよいC4以下の炭
化水素基) (式中、R1およびR3の少なくとも一方は a) 式 (式中R4はC1〜C3アルキル基、nは2〜5)で示さ
れる分枝状ヒドロキシアルキル基を、他方は水素原子ま
たは置換されていてもよい6以下の脂肪族炭化水素基R
5を表す)、または b) 式 R6−CO−(CH2)p (式中、R6はC1〜C6アルキル、pは2、3または
4)で示されるオキソアルキル基(その場合の残りのR
1またはR3は前記定義通りである)であり、またR2
1〜C4アルキル基である) 【効果】ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染したか
HIV感染を受けやすいヒトにおいて死亡率および罹病
率を低下させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はヒト・レトロウイルス、
例えばヒト免疫不全ウイルス・タイプ1(HIV−1)
の複製を阻害するためのキサンチン類の使用に関する。
更に本発明は逆転写酵素活性低下により測定されるヒト
・レトロウイルスの増殖を阻害する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】後天性免疫不全症候群(エイズ)は、北
米、欧州および中央アフリカにおいて今や極めて重大な
状況となっている。エイズの原因体はレトロウイルス、
すなわちHIV−1であると考えられている。最近の推
計によれば、少なくとも150万人のアメリカ人がHI
V−1と称されるエイズにさらされた可能性があり、そ
して1991年までに米国内で1500万人がこのウイ
ルスに感染することになろうとされている。冒された人
は重度の免疫抑制を示し、またそれに消耗性のそして致
命的でさえもある疾患の発症を伴うことがある。
【0003】LAVおよび後に名付けられたHIV−1
LAVとして知られる最初のエイズ・レトロウイルスの単
離および確認はF. Barre-Sinoussi, et al., Science,
220:868〜871(1983)の論文に記載された。このウイル
スの一部の抽出物およびそのタンパク質の一部を該ウイ
ルスに対する抗体の検出に使用することは米国特許第
4,708,818号に記載されている。
【0004】その後エイズ・レトロウイルスのいくつか
の単離物が様々な研究者によって報告され、またそれら
単離物は様々な表示をもって文献に記述された。現在、
従来よりリンファデノパシー(lymphadenopathy)関連ウ
イルス(LAV)、免疫不全関連ウイルス(IDAV
1およびIDAV 2)、ヒトT−リンパ球好性ウイル
ス・タイプIII(HTLV−III)およびエイズ関連ウイ
ルス(ARV)と呼ばれてきたウイルスはすべて同じレ
トロウイルスの変異種であることが広く認められてい
る。例えばNature, 313:636〜637(1985)を参照された
い。
【0005】ウイルス分類国際委員会(the Internation
alCommittee on the Taxonomy ofViruses)の下に設けら
れた下部委員会はエイズ・レトロウイルスを“ヒト免疫
不全ウイルス(Human Immunodeficiency Viruses)”(省
略形では“HIV”として知られるようになる)として
公式に表記すべきことを提案した。HIV単離物に対し
て明確ではあるが制限された関係を有するヒト・レトロ
ウイルスの単離物(例えば核酸配列が20%より高いが
50%よりは低い割合でしか一致しないもの)は、この
群の既存の構成メンバーに対し余程の生物学的および構
造的類似性がない限りHIVとは呼ばない。Science, 2
32:697(1986)。
【0006】HIV−2(以前はLAV−2)と称され
るもう一つの病原性ヒト・レトロウイルスは西アフリカ
のエイズ患者から回収された。Clavel et al., Scienc
e, 233:343〜346(1986)。HIV−2感染はプロトタイ
プのエイズウイルスであるHIV−1によって生じるも
のと臨床的には区別し得ない免疫不全症候群に関係して
いる。HIV−2はHIV−1と関係はあるがそれとは
区別され、また免疫不全症候群の誘発頻度は著しく低
い。Guyader et al., Nature, 326:662〜669(1987)。
【0007】HIVと遺伝的に関連しそして生物学的に
類似したレトロウイルスはヒトより下位の霊長類から単
離されている。これらのレトロウイルスは適宜の宿主生
物種の免疫不全ウイルス、例えばサル免疫不全ウイルス
(SIV)、として表記される。SIVはthe New Engl
and Regional Primate Research Center(NERPRC)(ニ
ューイングランド地域霊長類研究センター)において、
捕らえられた赤毛ザル(Macaca mulatta)から最初に単離
された。Kanki et al., Science 228:1199(1985)。そ
の後間もなく、アフリカ産ミドリザルからSTLV−II
Iと称されるSIVが単離されたことが報告された。Kan
ki et al., Science 230:951(1985)。HIV−2とS
IVの間には幅広い血清学的交叉反応性が存在する。
【0008】HIVの伝達は性的接触を通じて起きるこ
とが多いが麻薬を静脈内投与により用いる人も高リスク
群である。さらに汚染された血液または血液製品を受け
た後も多くの人が感染している。加えて、HIV感染し
た母親からはHIV感染小児患者が生まれている。この
ウイルスは感染した母親から胎児に伝達されると考えら
れる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】多発性ヒト免疫不全ウ
イルス、例えばHIV−1およびHIV−2などの存在
は複雑な疫学像を呈している。HIV感染は今や米国に
おいて第一の公衆衛生上の脅威であり、また一部の高人
口地域における最高の死因である。これらのレトロウイ
ルスの広がりを食い止めるにはHIV感染に対する有効
なワクチンまたは薬学的組成物の開発が必要であるとい
うのが共通の理解である。ワクチン開発の研究は進んで
いるが、有効な剤は見出されていない。従って、この分
野ではヒト・レトロウイルス活性の阻害方法が必要とさ
れている。
【0010】
【本発明の概要】本発明はこれらこの分野のニーズを満
たすのに役立つものである。より詳細には、本発明はヒ
ト・レトロウイルス、例えばヒト免疫不全ウイルス(H
IV)、の複製の阻害方法を提供する。この方法は、保
護効果を示し得る、あるいはレトロウイルス複製を妨げ
得るキサンチン化合物をヒト宿主に投与することより成
る。
【0011】より詳細には、本発明の一つの方法は、式
【化16】 (式中、R1およびR2は同一であるかまたは相違しそし
て2〜6個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状ア
ルキル基、シクロヘキシル、直鎖状または分枝鎖状アル
コキシアルキルおよびヒドロキシアルキル基より成る群
より独立的に選択され;そしてAはメチル基により置換
されていてもよい4個以下の炭素原子を有する炭化水素
基である)で示される少なくとも一つの7−(オキソア
ルキル)1,3−ジアルキルキサンチンをヒトに投与す
ることより成る。
【0012】式(I)のキサンチンは、レトロウイルス複
製阻害に有効な量で使用される。
【0013】さらに、本発明は、式
【化17】 (式中、R1およびR3の少なくとも一方は a) 第三級アルコール官能を有する式
【化18】 (式中R4は1〜3個の炭素原子を有するアルキル基を
表し、またnは2〜5の整数を表す)で示される分枝状
ヒドロキシアルキル基(その場合、所望により存在する
ことのある他方のR1またはR3基は水素原子を表すかま
たはその炭素鎖が2個以下の酸素原子により中断されて
いてもよい、またはヒドロキシまたはオキソ基で置換さ
れていてもよい、6個以下の炭素原子を有する脂肪族炭
化水素基R 5を表す)、または b) 式 R6−CO−(CH2)p− (式中、R6はC1〜C6アルキルであり、そしてp=
2、3または4である)で示されるオキソアルキル基
(その場合の他方のR1またはR3は前記定義通りであ
る)であり、またR2は1〜4個の炭素原子を有するア
ルキル基である)で示される化合物をヒトに投与するこ
とより成るヒトにおけるヒト・レトロウイルス複製の阻
害方法を提供する。
【0014】式(II)のキサンチンはレトロウイルス複製
阻害に有効な量で用いられる。周知の医薬化合物である
ペントキシフィリンは一般式(II)に入る化合物の一例で
ある。ペントキシフィリンは経口投与用錠剤の形でTren
talR の商標名で市販されている。この化合物は血液の
流動性を改善するための医薬として用いられているが
(1971年に臨床実験)、レトロウイルス複製阻害剤
として有効であるとの報告はなされていない。
【0015】HIVの捉え難さおよび多様性は決定的治
療を困難にしている。ここに提供されるのは、前記キサ
ンチンを生体内でHIV複製を防止するか、または少な
くとも阻害するのに十分な量でヒトに投与することによ
り、HIV感染の広がりを防止するのに役立ち得る、そ
してかかる感染の治療の助けとなり得る剤と方法であ
る。
【0016】
【好ましい態様の詳細な説明】本発明により、一部のキ
サンチンが、ヒト・レトロウイルス複製の阻害に用いら
れる。本発明に関与する生物学的方法の性質をまず記述
することにする。その後でキサンチン類およびそれらキ
サンチンの製造方法を詳述することとする。次いで、試
験管内テストで得られた結果を提示することとする。
【0017】1.好ましい態様の詳細な説明 本発明の方法は、エンベロープ被包された一本鎖RNA
ウイルスであるヒト・レトロウイルスの阻害に用いるこ
とができる。このウイルスに含まれる逆転写酵素(R
T)は、該ウイルスのRNAゲノムのプロウイルスとし
て知られるDNAの形への転写を触媒するのに用いられ
る。DNA形は典型的には宿主細胞DNAに組み込まれ
る。好ましくは本発明に記載される如く、HIV−1お
よびHIV−2を含むヒト免疫不全ウイルス(HIV)
の活性の阻害に用いられる。
【0018】本発明の方法はHIVに感染しているか、
またはHIV感染を受けやすいヒトの治療に有用であ
る。本発明は、それに感染したヒトにおけるHIV−1
またはHIV−2の活性を阻害するのに特に有用であ
る。本発明の説明は文献上LAV−I、HTLV−II
I、およびLAV−IIとして同定されたヒトからの単離
物に関して行われるが、本発明が同じかまたは同等のレ
トロウイルスに及ぶことは理解されよう。これらのレト
ロウイルスはエイズの原因体であると考えられる。
【0019】本開示上、あるウイルスが次の基準を実質
的に満たす場合にはLAV/HTLV−IIIと同じまた
は同等のウイルスであるとする: (a) そのウイルスは、T−リンパ球、特にT−ヘルパ
ー細胞(CD4+)好性である; (b) そのウイルスは、感染CD4+ 細胞に対して細胞
傷害性がある; (c) そのウイルスは、Mg++依存性があってポリ(A)
nオリゴ(dT)12-18を逆転写用鋳型/プライマーとして
使用できるRNA依存性DNAポリメラーゼ(逆転写酵
素)をコードしている; (d) そのウイルスは、LAV/HTLV−IIIのga
gおよびenv領域によりコードされるタンパク質と免
疫学的に実質的に交叉反応する;および (e) そのウイルスは、LAVまたはHTLV−IIIに
対して実質的なヌクレオチド相同性(約75〜100
%)およびアミノ酸配列相同性(約75〜100%)を
共有する。
【0020】本発明方法に用いられる主たる薬学的活性
成分はキサンチンである。本明細書において用いられる
用語“キサンチン”は、HIV感染に対する保護(予
防)効果、HIV感染に対する治療効果を有するか、ま
たはヒトにおけるHIVの伝達を妨げる式(I)および式
IIの化合物を包含する。それらキサンチンにはHIV感
染が生ずる前にあるいはHIV感染があらわになる前に
感染発生を防止または低下させる目的で用いられる化合
物が包含される。さらにキサンチンには確立したHIV
感染に対する作用を有するが故に治療的に用いられる化
合物が包含される。さらに、キサンチンには、ヒト宿主
におけるHIV複製サイクルに介入するまたは干渉する
キサンチンを含め、HIVベクターによるヒトの感染の
防止に有用な化合物が包含される。
【0021】本発明のキサンチンが生体内でHIV複製
を阻害するメカニズムについてはすべてが分かっている
わけではない。キサンチンは、感染培養液の上清のRT
活性により測定されるHIV−1複製を阻害することが
示されている。とはいえ、ヒト・レトロウイルス活性の
阻害メカニズムは一つの要因あるいは複数の要因の組合
せ、例えばレトロウイルスの一以上の遺伝子型または表
現型形質の変化またはウイルスまたは細胞の諸プロセス
の変化などによる可能性もある。さらに、レトロウイル
スが細胞内に入る裏付けがあり、キサンチンはその入る
プロセスに変化を与える可能性もある。さらに、キサン
チンによって、ウイルス複製に必要な物質の発現をコン
トロールするゲノム要素が変化を受けたり、あるいはそ
れらの機能が影響されたりする可能性もある。すなわち
例えば、キサンチンはレトロウイルスのエンベロープ糖
タンパク質の性質を変化させたり、あるいは各種遺伝子
の発現を阻害する可能性がある。さらにまた、キサンチ
ンは、HIV感染が生じる前にあるいは生じた後に、細
胞内皮系の機能に介在することにより働く可能性もあ
る。さらにキサンチンは感染食細胞におけるHIV複製
を阻害する可能性もある。キサンチンがこれらの方法の
いずれかによりまたはそれらの組合せによりあるいは現
在では認識されていない他の方法により機能することが
理解されよう。いずれにせよ、これらの作用のうちの一
以上を達成するのに十分な量でキサンチンを患者に投与
することができる。
【0022】本発明によるキサンチンのエイズ患者への
使用は、宿主の再生を招きまた少なくとも宿主免疫系の
一層の悪化を低減させるHIV複製の阻害に基づいてい
る。ウイルス複製および細胞感染を防止または阻害する
上でのキサンチンの有効性は標準的試験管内アッセイを
用いて実証することができる。例えば、HIVの感染ま
たは複製に対するキサンチンの阻害作用は、キサンチン
の存在下および非存在下においてウイルスまたはウイル
ス感染細胞を培養し次いで結果を比較することにより実
証することができる。
【0023】ヒト・レトロウイルス複製を阻害するキサ
ンチンの能力は試験管内で逆転写酵素活性を測定するこ
とにより実証することができる。例えば、レトロウイル
ス感染細胞からの調整された(conditioned)媒質をポリ
エチレングリコール沈殿または遠心分離により濃縮する
ことができる。DNAプライマーの12〜18塩基を含
む合成鋳型プライマーを300塩基のRNA鋳型にアニ
ーリングさせることができる。RT含有バイロン(viro
n)はTriton X−100などの洗剤により破砕すること
ができる。適宜に標識されたヌクレオキシドトリホスフ
ェート、例えば放射性標識グアノシントリホスフェー
ト、二価陽イオン(通常Mg++)およびカリウムの存在
下に、RTはRNA鎖のヌクレオチド配列の指示通りに
標識ヌクレオチドをDNA鎖に効率的に取り込むことが
できる。これにより酸析出可能な放射性標識RNA:D
NAハイブリッドが得られる。この生成物は液体シンチ
レーションカウンターで分析することができ、また結果
は単位時間に取り込まれたヌクレオシドモノホスフェー
トのピコモル数として、あるいは結果を標準と対比する
ときはRT単位として表すことができる。このアッセイ
では、二つの特定の合成鋳型−プライマー、すなわちポ
リ(A)nオリゴ(dT)12-18およびポリ(C)nオリゴ(d
G)がルーチンに使用される。鋳型/プライマーポリ
(C)nオリゴ(dG)12- 18はレトロウイルス特異的であ
り、そしてMg++の存在下にヒト・レトロウイルス逆転
写酵素により効率的に利用される。
【0024】HIV−1複製の阻害は、イムノアッセイ
においてモノクローナルまたはポリクローナル抗体を用
いて検出することもできる。より詳細には、ある種のイ
ムノアッセイを用いて試験管内および生体内試験で本発
明のキサンチンの効果をスクリーニングすることができ
る。それらのアッセイには競合的酵素、連結イムノ吸着
剤アッセイ(ELISA)および抗原捕捉アッセイが包
含される。
【0025】ヒト・レトロウイルスの例えばRTまたは
gag領域等小領域の試験管内酵素増幅によるHIV−
1複製の阻害のテストのためのアッセイとしてポリメラ
ーゼ連鎖反応(PCR)を用いることもできる。RTを
コードするヌクレオチド配列はヒト・レトロウイルスに
ついて知られているので、その配列情報をPCRによる
DNA合成のプライマーとして用いるための20〜30
塩基のオリゴヌクレオチド合成に用いることができる。
検査対象細胞からのDNAを、全四種のヌクレオシドト
リホスフェート、熱安定性DNA依存性DNAポリメラ
ーゼおよび適切な緩衝剤の存在下にプライマーオリゴヌ
クレオチドに添加することができる。次にその反応混合
物は、DNAの熱変性、生成一本鎖DNAへのプライマ
ーのアニーリングおよびプライマー延長による標的配列
の多コピーの形成を含む慣用の三段階増幅手順のサイク
ルにかけることができる。各サイクルごとに、標的DN
Aが倍加し、標的配列が幾何級数的に増大する。
【0026】増幅生成物の定量にはいくつかの方法が存
在する。正常検体において最小のDNA合成となるプラ
イマー対に対しては、放射性標識ヌクレオシドトリホス
フェートを基質として用い、増幅生成物を酸析出させそ
して生成物を液体シンチレートョンカウンターで分析す
ることができる。所与のプライマー対に対して正常DN
Aにおいて有意のDNA合成が生じる場合は、生成物を
ミニスケールで分画でき、また特定のバンドを濃度計
(デンシトメーター)を用いて定量することができる。
同様に、増幅生成物に対するスポットブロットまたはサ
ザーンブロットを行うことができ、またハイブリダイズ
されたデテクター量を定量することができる。
【0027】本発明によるキサンチンのレトロウイルス
複製を阻害する効果を実証するためのもう一つの方法は
ウイルスにさらされた正常末梢血単核細胞またはその他
の培養細胞を培養することより成る。感染力テストは遊
離ウイルスまたは高感度インジケーター細胞と同時培養
されたウイルス−感染細胞のいずれかを用いることがで
きる。ウイルスは受入側インジケーター細胞中で複製す
る。キサンチンの非存在下におけるウイルス複製を薬剤
の存在下におけるウイルス複製と比較することにより、
HIVに対するキサンチンの阻害作用を実証することが
できる。
【0028】さらにまた、本発明によりレトロウイルス
複製の阻害は、ウイルス粒子、およびRT以外の各種ウ
イルスタンパク質の電子顕微鏡裏付けにより測定される
ウイルス生産を調べることによっても実証することがで
きる。ウイルスタンパク質についての各種検出プロトコ
ールは多くの動物種におけるウイルスに対して調製され
た標準抗体を用いる。免疫蛍光法はウイルスタンパク質
を速やかに検出でき、また高感度超免疫血清を調製する
ことができる。さらにまた、放射性免疫およびELIS
Aアッセイを用いて、放射性標識されたまたは比色的に
確認し得る抗原−抗体系を反応性抗原の添加により乱す
ことができる系で競合させることによりウイルスタンパ
ク質の存在を測定することができる。
【0029】本発明によるキサンチンの効果を実証する
ためのもう一つのアプローチは、一体化されていないお
よび一体化されたウイルスDNAおよびウイルスmRN
Aを検出することによりウイルスを検出することから成
る。Nature, 312:166〜169(1984)。より詳細には、典
型的実験においては、細胞を一細胞あたり多数のウイル
ス粒子を用いて細胞不含ビリオンにさらしそしてキサン
チンの存在下または非存在下に培養する。高分子量DN
Aを様々な時点で抽出しそして放射性標識HIVプロー
ブを用いてそのウイルスDNA含量をアッセイする。培
養条件下にキサンチンが存在しないとウイルスDNAが
検出される。これに対し、キサンチンにより完全に保護
された細胞からのDNAにおいては、一体化されていな
いDNAも一体化されたDNAも検出されない。
【0030】ウイルス潜伏(virus-harboring)細胞およ
び組織のウイルスDNAおよびRNAの相対量測定には
サザーンおよびノーザーン・ブロット・ハイブリダイゼ
ーション法が有用である。Science, 227:177〜182(198
5)。分子的にクローン化され標識されたプロウイルスD
NAを用いて一体化されたプロウイルスに対するプロー
ブを構築でき、その場合にはハイブリダイゼーションに
よって細胞性DNAに一体化されたプロウイルスゲノム
が存在するかどうかをDNA転移実験で測定することが
できる。ほんのわずかな細胞がプロウイルスを含みさえ
すれば系内(insitu)ハイブリダイゼーションを試みる
ことができる。これらの方法はレトロウイルス複製に対
するキサンチンの作用を実証するために用いることがで
きる。
【0031】ウイルスにさらされ、そしてキサンチンと
共にまたはなしで培養された標的T細胞においてウイル
スRNAが発現されるかどうかを測定することにより、
ウイルス複製をモニターすることもできる。この実験で
は、細胞をHIVにさらし、そしてRNAをそれら細胞
から抽出する。次に、抽出されたRNAのウイルスmR
NA含量を放射性標識HIVアンチセンスRNAプロー
ブを用いたノーザーン・ブロット・ハイブリダイゼーシ
ョンによりアッセイする。Science, 227:177〜182(198
5)。阻害剤が存在しなければウイルスmRNAが検出で
きる。これらの培養物をキサンチンの存在下に長時間維
持すると細胞中のウイルスRNA発現は検出されない
か、または検出されてもその量は低下する。このアッセ
イ系によればウイルスにさらされたT細胞においてキサ
ンチンがHIVヌクレオチド合成およびmRNA発現を
阻害する能力を評価することができる。
【0032】さらに、HIV−1−感染セルラインMT
2およびMT4はウイルスの細胞病害誘導作用に対して
鋭敏である。すなわち、これらの細胞は、HIV感染ま
たは増殖に対するキサンチンの阻害作用を実証するため
のプラーク形成アッセイに用いることができる。Scienc
e, 229:563〜566(1985)。
【0033】キサンチンのHIV感染またはHIV複製
抑制効果は試験管内で、HIVの細胞病害誘導作用に対
し部分的に抵抗性のあるH9細胞における薬剤のウイル
スp24gagタンパク質発現抑制作用を測定すること
によっても実証できる。M. Popovic et al., Science,
224:497〜500(1984)。さらに、抗−HIV活性はHI
Vの細胞病害誘導作用に対するキサンチンの阻害作用を
示すことによって実証することもできる。M. Hiroaki e
t al., Science, 240:646〜649(1988)。
【0034】最後に、キサンチンの活性は試験内で正常
T細胞において示すことができる。このアッセイでは、
正常のクローン化されたヘルパー・インデューサーT細
胞、例えば正常破傷風トキシド−特異的ヘルパー・イン
デューサー・クローナルT細胞(TM II細胞)、を用い
てキサンチンの抗原誘導増殖反応に対する作用をモニタ
ーする。この方法の詳細はH. Mitsuya et al., Scienc
e, 240:646〜649(1988)。
【0035】キサンチンのHIV感染または複製防止ま
たは阻害効果は、生体内で、チンパンジー、またはヒト
免疫系の細胞で再構成されたキメラSCIDマウスを用
いて確認することができる。この霊長動物については持
続性HIV感染が示されるがエイズ様症状は表れない。
キサンチンの効果は、HIV抗原に対する血清転化(ser
oconversion)について処理群および未処理群チンパンジ
ーを比較することにより、動物から感染ウイルスを再単
離することにより、論証可能なリンパ腺症により、T4
またはT8リンパ球レベル変化により、またはこれら手
段の組合せにより実証することができる。
【0036】これらのアッセイを実証するために要求さ
れるHIVは既知の方法を用いて慣用の給源から得るこ
とができる。例えば、患者およびドナーからの末梢血、
骨髄および他の組織から調製された単核細胞をマイトー
ジェン(フィトヘマグルチニン−PHA)を用いて48
〜72時間刺激でき、そしてT細胞増殖因子(TCG
F)を補給した増殖培地を用いた細胞培養で樹立するこ
とができる。ウイルスは次により検出できる:(1)上清
液のウイルス逆転写酵素活性をモニターする;(2)ウイ
ルスを新鮮正常ヒトT−リンパ球(例えば臍帯血、成人
末梢血、または骨髄白血球)または樹立T−細胞系統に
伝達する;M. Popovic et al., Science, 224;497(198
4);(3)固定および切片状細胞を電子顕微鏡観察する;
(4)血清陽性ドナーからの血清を用いた間接免疫蛍光法
またはウエスターン・ブロット法により抗原発現をテス
トする。ウイルス陽性細胞の検出およびウイルス単離物
の確認と比較はHIV特異的免疫学的試薬および核酸プ
ローブを用いて行うことができる。F. Barre-Sinoussi
et al., Science, 220:868〜871(1983);R. C. Gallo
et al., Science, 220:865〜867(1983)。
【0037】多くの樹立細胞系統が可能性としてのHI
V−1感染標的としてテストされている。これらの細胞
系統は前述のアッセイによるキサンチン効果の実証に用
いることもできる。リンパ性白血病の成人から誘導さ
れ、そしてHTと称される新生異数体(neoplastic ane
uploid)T細胞系統の一つはHTLV−III感染を受けや
すい。リンパ腺症症候群またはエイズ患者に起源する短
期培養T−細胞(TCGF中で増殖)から集めた濃縮細
胞培養液に親細胞をくり返しさらした後、HT細胞は連
続的にHTLV−IIIを生産する。細胞増殖が低下した
ら(通常、培養液にさらした後10〜20日)、新鮮な
(未感染の)HT親細胞を培養液に添加する。HIVに
対する許容性(permissiveness)を向上させそして永続的
増殖およびウイルスの連続生産を保持するために、HT
細胞集団は広範にクローン化されている。HT細胞のこ
れらのクローンのいくつかは細胞培養として維持されて
いる。
【0038】HTのほか、その他のいくつかのTまたは
プレ−Tヒト細胞系統もHIVにより感染されそしてH
IVを生産し続けることができる。これらの細胞系統の
例はH4、H9、HUT 78、CEM、Molt 3、
およびTi7.4である。Gallo et al., 米国特許第4,
652,599号。さらに一部のB−リンパ芽球細胞系
統もHIVによって生産的に感染され得る。Montagnier
et al., Science, 225:63〜66(1984)。
【0039】要すれば、前述の諸方法はキサンチンのヒ
ト・レトロウイルス複製抑制効果を実証するために用い
ることのできる方法例である。キサンチンによるレトロ
ウイルス複製抑制の具体例は下記に含められている。
【0040】2.患者(ヒト)へのキサンチン投与 あるキサンチンまたはキサンチン混合物は、治療を必要
とする対象(ヒト)にヒト・レトロウイルス複製を低下
させるのに十分な量で投与することができる。キサンチ
ン混合物を使用することもできるが、混合物を用いるこ
とに格別な利点は認められていない。
【0041】キサンチンおよびそれらの薬学的に許容し
得る塩は、哺乳動物(ヒトを含むがヒトに限定されな
い)の治療において、丸剤、錠剤、ひし形錠、トロー
チ、カプセル、坐剤、注射液または摂取可能液などの形
で、ヒトおよび免疫系機能障害のために感染しやすいヒ
ト以外の霊長動物の治療に用いることができる。
【0042】キサンチンそれ自体で有効であるが、安定
化、結晶化上の便宜、溶解度向上、などのために、薬学
的に許容し得る付加塩の形で処方および投与することが
できる。好ましい薬学的に許容し得る付加塩には鉱酸、
例えば塩酸、硫酸、硝酸などの塩;一塩基性カルボン
酸、例えば酢酸、プロピオン酸などの塩;二塩基性カル
ボン酸の塩、例えばマレイン酸、フマール酸、シュウ酸
などの塩;および三塩基性カルボン酸例えばカルボキシ
コハク酸、クエン酸などの塩が包含される。
【0043】キサンチンは、例えば不活性希釈剤または
可食性担体と共に経口投与できる。それらは、ゼラチン
カプセルに被包できまた錠剤に圧縮できる。経口治療投
与のために、化合物を賦形剤に取り込んで、錠剤、トロ
ーチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウエ
ーハー、チューインガムなどの形で用いることができ
る。これらの製剤は少なくとも0.5%の活性化合物を
含むべきであるが、その量は個々の剤形に応じて変える
ことができ、また都合よくは、ユニットの重量の4.0
%〜約70%の幅とすることができる。かかる組成物中
のキサンチン量は、適当な用量が得られるような量であ
る。本発明による好ましい組成物および製剤は経口用量
単位剤形が約1.0mg〜約400mgの活性化合物を含む
ように調製される。
【0044】錠剤、丸剤、カプセル、トローチなどは次
の成分を含むことができる:結合剤、例えば微結晶性セ
ルロース、トラガカントゴムまたはゼラチン;賦形剤、
例えばスターチまたはラクトース;崩壊剤、例えばアル
ギン酸、プリモルゲル(Primolgel)、コーンスターチな
ど;潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウムまたはス
テローテス(Sterotes);滑剤、例えば二酸化ケイ素コ
ロイド;甘味剤例えばスクロースまたはサッカリン;ま
たはフレーバー付与剤、例えばペパーミント、サリチル
酸メチルまたはオレンジフレーバー付与剤。用量単位剤
形がカプセルのときは、前記のタイプの材料のほかに、
液体担体、例えば脂肪油を含むことができる。
【0045】他の用量単位剤形は、用量単位の物理的形
態を変える他の材料を、例えばコーティングとして含む
ことができる。すなわち、錠剤または丸剤はシュガー、
シェラック、または他の腸溶コーティング剤で被覆する
ことができる。シロップは活性化合物のほかに、甘味剤
としてのスクロース、および保存剤、色素、着色料およ
びフレーバーを含むことができる。これらの組成物の調
製に用いられる材料は薬学的に純粋、かつ使用量におい
て無毒であるべきである。
【0046】静脈内または筋肉内注射などによる非経口
治療投与のために、キサンチンを溶液または懸濁液に取
り込むことができる。これらの製剤は、少なくとも0.
1%の前記化合物を含むべきであるが、その重量の0.
5%〜約50%の幅で変えることができる。かかる組成
物中の活性化合物量は、適当な用量が得られる量であ
る。本発明による好ましい組成物および製剤は非経口用
量単位が0.5mg〜100mgの活性化合物を含むように
調製される。
【0047】キサンチンの溶液または懸濁液はまた次の
成分を含むことができる:滅菌希釈剤、例えば注射用
水、食塩水、油類、ポリエチレングリコール、グリセリ
ン、プロピレングリコール、またはその他の合成溶媒;
抗細菌剤、例えばベンジルアルコールまたはメチルパラ
ベン類;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸または重亜硫
酸ナトリウム;キレート形成剤、例えばエチレンジアミ
ン四酢酸;緩衝剤、例えば酢酸塩、クエン酸塩、または
リン酸塩;および張度調節剤、例えば塩化ナトリウムま
たはデキストロース。非経口製剤はガラスまたはプラス
チック製のアンプル、使い捨てシリンジまたは多重用量
バイアル中に被包することができる。
【0048】用量値はひろいと変化するが、式(I)また
は式(II)のキサンチンを、かかる治療を必要とする対象
に0.1〜25mg/kg体重/日の有効経口、非経口また
は静脈内投与用量として投与すれば好結果が得られる。
特に好ましい有効量は約1.0mg/kg体重/日である。
一般に日用量は10〜5000mg、好ましくは1600
〜3200mg/日の範囲で変化することになる。
【0049】しかしながら、いずれの特定の対象に対し
ても、個々の用量レジメンが個別のニーズ、およびキサ
ンチン投与を管理または監督する者の専門的判断にあわ
せて調節されるべきであることは理解されるべきであ
る。さらにまた、ここに述べた用量は例示であること、
そしてそれらはいささかも本発明の範囲または実施を制
限するものでないことも理解されるべきである。
【0050】キサンチンを、レトロウイルス活性を阻害
する他の治療の前、後、またはそれと同時に使用できる
ことは理解されよう。すなわち、例えばHIVの場合に
は、キサンチンを3′−アジド−2′,3′−ジデオキ
シチミジン(AZT)、2′,3′−ジデオキシシチジ
ン(ddC)、2′,3′−ジデオキシアデノシン(d
dA)、2′,3′−ジデオキシイノシン(ddI)、
またはこれら薬剤の組合せと共に用いることができる。
それらジデオキシヌクレオシドのほか、多くの他の剤を
本発明のキサンチンと併用できる。例えばキサンチンを
化合物HPA23、ホスホノフォルメート(フォスカー
ネット(foscarnet)、リバビリン(ribavirin)およびリフ
ァブチン(rifabutin)の使用に基づく治療と関連させて
投与できる。同様に、本発明のキサンチンは、コロニー
刺激因子、例えば顆粒球コロニー刺激因子(G−CS
F)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−
CSF)またはこれらの薬剤の組合せと共に用いること
ができる。さらにキサンチンは本発明に従って他の薬
剤、例えばアシクロビル(acyclovir)、α−インターフ
ェロンまたはこれら薬物の組合せと共に、ジデオキシヌ
クレオシド例えばAZTを併用するか否かにかかわりな
く用いることができる。ここに記載される抗ウイルス療
法は対象の免疫系を増強する治療と組み合せて用いるこ
ともできる。例えば免疫刺激または免疫再構成は骨髄移
植、アンプリゲン(ampligen)という薬剤の使用により、
あるいは、患者(ヒト)へのインターロイキン−2投与
により達成することができる。さらに、キサンチンは、
他の組合せ治療、例えばAZTとアンプリゲン、ddC
またはGM−CSFとの組合せと共に用いることができ
る。さらに、キサンチンはHIV感染または複製の防止
または阻害に用いられるペプチドと併用することもでき
る。
【0051】本発明は対象(ヒト)におけるレトロウイ
ルス感染の治療に、あるいはかかる感染の予防剤として
用いることができる。本発明により、レトロウイルス複
製を阻害することによって患者の症状および安寧感を向
上させることができる。患者生存率は高まるものと考え
られる。
【0052】3.式(I)のキサンチンの説明および製
本発明に用いることのできるキサンチン群の一つは次式
を有する:
【化19】 式(I)中の置換分R1およびR2は同一かまたは相違し
そして2〜6個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖
状アルキル基、シクロヘキシル、アルコキシアルキルお
よびヒドロキシアルキル基より成る群より独立的に選択
される。置換分Aはメチル基により置換されていてもよ
い4個以下の炭素原子を有する炭化水素基を表わす。
【0053】HIV−1の逆転写酵素活性を阻害するの
に特に有効であることが判明している式(I)に包含さ
れる化合物は1,3−ジブチル7−(2−オキソプロピ
ル)キサンチンである。この化合物は、本明細書中省略
して“DBOPX”とも記されるが次式を有する:
【化20】 “DBOPX” 化合物(III)のレトロウイルス活性阻害能は実証する
ことができる。
【0054】DBOPXは本発明に用いるのに特に好ま
しいキサンチンであるが、他の多くの化合物を用いるこ
とができる。例えば式(I)のキサンチンは他のアルキ
ル基により、またはアルコキシまたはヒドロキシアルキ
ル基により置換することができる。適当なアルキル基に
は分枝および直鎖状基、例えばエチル、プロピル、イソ
プロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、アミ
ル、ヘキシルなどが包含される。アルコキシ置換アルキ
ル基には組み合わされたアルコキシおよびアルキル基に
2〜6個の炭素原子を含む分枝および直鎖状基、例えば
メトキシメチル、アミルオキシメチル、メトキシエチ
ル、ブトキシエチル、プロポキシプロピル、などを包含
する。ヒドロキシアルキル基は、1〜6個の炭素原子を
含むもの、例えばヒドロキシメチル、ヒドロキシエチ
ル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシヘキシルなどであ
る。
【0055】式(I)のAにより表わされる炭化水素基
は二価の飽和脂肪族炭化水素基、すなわち、メチレン、
エチレン、トリメチレンおよびテトラメチレンであり、
それらはカルボニル基に隣接した炭素においてメチル基
で置換されていてもよい。かかるメチル置換基にはエチ
リジン、1,2−プロピレンおよび1,3−ブチレン基が
包含される。
【0056】生体内で前記式(I)のキサンチンのうち
の一つに変わる化合物、および前記式(I)のキサンチ
ンから形成される代謝物質に類似した代謝物を生体内で
生産する化合物を用いて本発明方法を実施できることは
理解されよう。
【0057】本発明に用いる式(I)の化合物は既知の
方法を用いて合成できる。例えばそれら化合物は、高め
られた温度で所望により溶媒の存在下に、式
【化21】 (式中、R1およびR2は前記定義通りである)で示され
る対応置換1,3−ジアルキルキサンチンを式 H2C=CR−CO−CH3 (IV) に相当するα,β−不飽和メチルケトンと反応させるこ
とによって製造できる。式(IV)の置換分Rは水素また
はメチル基である。反応はアルカリ性媒質中で行うこと
ができる。
【0058】別法としての製造方法の一例は、式II(式
中R1およびR2は前記定義通りである)で示される1,
3−ジアルキルキサンチン誘導体のアルカリ金属塩を式 CH3−CO−A−Hal (V) (式中Aは前記定義通りであり、またHalはハロゲン
原子、好ましくは塩素または臭素を表わす)に相当する
オキソアルキルハライドと反応させることより成る。
【0059】これらの反応は40°〜80℃の範囲の温
度で所望により高められたまたは低められた圧力下、し
かし通常は大気圧下に行うのが好ましい。個々の出発化
合物は化学量論量であるいは過剰に用いることができ
る。前記別法としての製造方法におけるアルカリ塩は前
もって、あるいは反応それ自体の中で製造できる。
【0060】これら反応に用いるのに適した溶媒は水と
混和し得る化合物、好ましくは低級アルコール、例えば
メタノール、プロパノール、イソプロパノール、および
各種ブタノール;さらにはアセトン;ピリジン;トリエ
チルアミン;多価アルコール例えばエチレングリコー
ル、およびエチレングリコールモノメチルまたはモノエ
チルエーテルである。
【0061】式(I)の化合物の骨格筋を通しての血流
を高める顕著な作用および低毒性は知られている。本発
明による使用に対してこれらの化合物中最も高活性のも
のは1,3−ジブチル7−(2−オキソプロピル)キサ
ンチン、すなわちDBPOX、である。
【0062】本発明に用いられる化合物のより詳細な説
明およびそれら化合物の製法は、米国特許第4,242,
345号に含まれているところ、その開示全体に依拠す
ることとし、また引用により本明細書の記載に含める。
【0063】4.式(II)のキサンチンの説明および製
ヒト・レトロウイルス活性阻害は式
【化22】 (式中、R1およびR3の少なくとも一方は (a) 第三級アルコール官能を有する式
【化23】 (式中R4は1〜3個の炭素原子を有するアルキル基を
表わし、またnは2〜5の整数を表わす)で示される分
枝状ヒドロキシアルキル基(その場合、所望により存在
することのある他方のR1またはR3基は水素原子を表わ
すかまたはその炭素鎖が2個以下の酸素原子により中断
されていてもよい、またはヒドロキシまたはオキソ基で
置換されていてもよい、6個以下の炭素原子を有する脂
肪族炭化水素基R5を表わす)、または
【0064】(b) 式 R6−CO−(CH2)p− (式中R6はC1〜C6アルキルでありそしてp=2、3
または4である)で示されるオキソアルキル基(その場
合の他方のR1またはR3は前記定義通りである)であ
り、またR2は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基
である)で示されるキサンチンを患者(ヒト)に投与す
ることによっても達成することができる。式(II)のキサ
ンチンは、レトロウイルス活性阻害に有効な量で用いら
れる。これらの化合物のうちには市販されている化合物
ペントキシフィリン(TrentalR)がある。一般式(II)に
入る他の多くの化合物もヒト・レトロウイルス活性の阻
害に用いることができる。これらの化合物には以下のも
のが包含される。
【0065】
【表1】
【0066】化合物7−エトキシメチル−1−(5−ヒ
ドロキシ−5−メチルヘキシル)−3−メチルキサンチ
ン、すなわち化合物11、も本発明に用いるのに好まし
い。
【0067】生体内で前記式(II)のキサンチンのうち
の一つに変わる化合物、および前記式(II)のキサンチ
ンから形成される代謝物質に類似した代謝物質を生体内
で生産する化合物を用いて本発明方法を実施できること
は理解されよう。
【0068】例えば、経口および静脈内投与の後、ペン
トキシフィリンはほぼ完全に代謝される。代謝物質の主
な排泄路である人尿中に以下の七種類の代謝物質が確認
されている: 代謝物質I:1−(5−ヒドロキシヘキシル)−3,7
−ジメチルキサンチン 代謝物質II:1−(5,6−ジヒドロキシヘキシル)−
3,7−ジメチルキサンチン 代謝物質III:1−(4,5−ジヒドロキシヘキシル)−
3,7−ジメチルキサンチン 代謝物質IV:1−(4−カルボキシブチル)−3,7−
ジメチルキサンチン 代謝物質V:1−(3−カルボキシプロピル)−3,7
−ジメチルキサンチン 代謝物質VI:1−(5−オキソヘキシル)−3−メチル
キサンチン 代謝物質VII:1−(5−ヒドロキシヘキシル)−3−
メチルキサンチン
【0069】代謝物質IおよびVが主な代謝物質であ
る。代謝物質Vは主な尿代謝物質であり、投与用量の約
50〜60%にあたる。ペントキシフィリンおよび代謝
物質Iはほんの痕跡量しか尿中に認められない。ペント
キシフィリンのジヒドロキシ誘導体(代謝物質IIおよび
III)は排泄物質の約12%でありそして代謝物質IVは
約8%である。
【0070】式(II)の化合物は米国特許第3,737,
433号およびベルギー特許第831,051号(R1
3がオキソアルキルの場合)の開示に従って製造でき
る。R1/R3の少なくとも一方が第三級アルコールであ
る場合については1985年7月8日のドイツ優先権を
主張して1986年7月8日に出願された国際出願PC
T/EP 86/00401を参照されたい。この出願
は本発明に含まれる式(II)のキサンチンの様々な合成
経路態様をその発明として扱っている。
【0071】一つの態様例は (a) 式(VII)
【化24】 (式中R2は4個以下の炭素原子を有するアルキルを表
わす)で示される3−アルキルキサンチンを式(VIII)
【化25】 (式中Xはハロゲン、好ましくは塩素、臭素または沃素
またはスルホン酸エステル基またはリン酸エステル基を
表わし、またR4およびnは前述の意味を有する)で示
されるアルキル化剤と反応させて式(IX)
【化26】 3位に第三級ヒドロキシアルキル基およびR1位に水素
を有する化合物を得、そして
【0072】a1) これを同一のまたは異なる式(VII
I)のアルキル化剤でアルキル化してR1およびR3位に
同一または異なる第三級ヒドロキシアルキル基を有する
式(X)
【化27】 で示される本発明化合物を得、あるいは a2) それを式 R5−X (Xa) (式中Xは式(VIII)で与えられた意味を有しそしてR5
前記の意味を有する)で示される化合物を用いて式(X
I)
【化28】 で示される化合物に転化し、すべての場合について好ま
しくは塩基性媒質の存在下に操作を行うかまたはキサン
チンをそれらの塩の形で用いることより成る。
【0073】もう一つの態様は式(XII)
【化29】 で示される1,3−ジアルキル化キサンチンの第7位
を、好ましくは塩基性媒質の存在下またはそれらの塩の
形で、式(VIII)の化合物との一段階反応によって置換
して式(XI)の化合物を得ることより成る。
【0074】もう一つの態様は c) まず式(VII)の3−アルキルキサンチンを、同
じく好ましくは塩基性媒質の存在下にまたはそれらの塩
の形で、式 R15−X (XIII) で示される化合物と反応させて式(XIV)
【化30】 (式中R15はR5について記載された意味を有しまたは
ベンジルまたはジフェニルメチルを表わす)で示される
3,7−ジ置換キサンチンを形成し、そして次にそれら
の第1位を、やはり好ましくは塩基性媒質の存在下にま
たはそれらの塩の形で、式(VIII)の化合物を用いて置
換することより成る。式(XV)
【化31】 (式中R15はベンジルまたはジフェニルメチルを表わ
す)で示される化合物(XV)が得られる。また式(XV)
(式中R15はベンジルまたはジフェニルメチル基または
アルコキシメチルまたはアルコキシアルコキシメチル基
を表わす)で示される化合物を還元または加水分解条件
下に、式(XVI)
【化32】 で示される本発明化合物に変え、次いでそれらを再び所
望により式(VIII)または(Xa)で示される化合物と
反応させれば式(X)または(XV)の本発明化合物が得
られる。
【0075】もう一つの態様は、 d) 式(XI)または(XV)(式中R5またはR15はオ
キソアルキル基を表わす)で示される本発明化合物をケ
ト基に対する慣用の還元剤を用いて還元して相当する本
発明のヒドロキシアルキル化キサンチンを得ることより
成る。
【0076】ここにおいて出発物質として用いられる式
(VII)または(XII)の3−アルキル−または1,3−
ジアルキルキサンチンおよび式(VIII)、(Xa)およ
び(XIII)の“アルキル化剤”は大部分知られており、
また文献に開示された方法によって容易に製造できる。
すなわち、例えば、式(VIII)の第三級アルコールは、
有機金属合成により、式 Hal−(CH2)n−CO−CH3 (XVII) で示される立体障害のないハロケトンを、いわゆるカル
ボニル基還元アルキル化合成反応として、例えばアルキ
ルマグネシウムハライドR4−MgHal(グリニヤー
ル化合物)またはアルキルリチウム化合物R4−Liの
形で、特にマグネシウム、亜鉛またはリチウムのアルキ
ル金属化合物R4−Mと、通常条件の下で反応させるこ
とによって得ることができる(例えば、Houben-Weyl, V
ol. VI/1a、Part2(1980)、pp. 928−4
0、特にpp. 1021 ff. および1104−1112
参照)。同様にして式 Hal−(CH2)n−CO−R4 (XVIII) で示されるハロケトンをメチルマグネシウムハライドま
たはメチルリチウムと反応させても同様に標的とするも
のが得られる。
【0077】式(XVII)および(XVIII)に相当するヒ
ドロキシケトンはまた常法によりアルキル金属化合物を
用いてジオールにスムーズに転化させることができる。
これは直接にまたは水酸基を一時的にマスキングしてか
ら、例えば5,6−ジヒドロ−4H−ピランでアセター
ルを形成する(例えばHouben-Weyl, Vol. VI/1a、Pa
rt2(1980)、pp. 1113−1124参照)こと
によって行うことができ、それより化合物(VIII)の化
合物は、有利には塩基性媒質の存在下に、スルホニルま
たはリン酸ハライドまたはアンヒドリドを用いて末端第
一級ヒドロキシル基を選択的にエステル化することによ
り形成される。
【0078】式(VIII)の第三級アルコール誘導体を合
成するための他の可能性は、ω−クロロ−1−ブロモア
ルカンをモノ金属化してω−クロロアルキル金属化合物
として(Houben-Weyl, Vol. XIII/2a(1973)、
pp. 102および319)次いでそれらをケトンR4
CO−CH3と反応させることにより(その場合、金属
塩を脱離して閉環する傾向があるため中間体として形成
されるアルカノレートからの副生物形成の程度は適切な
温度コントロールにより最小に抑えられる)、あるい
は、常法により金属化されるω−ハロ−1−アルカノー
ルを出発物質として、好ましくはテトラヒドロピラニル
−(2)エーテルの形でまたは任意の所望のアルカリ金属
化合物を用いたヒドロキシ基のアルカノレート形成(M
O−CH2)n−Halの後に(例えばHouben-Weyl,Vol.
XIII/2a(1973)、p. 113参照)用い、次いで
それらをケトンR4−CO−CH3と反応させて前のパラ
グラフに記載のジオールとし(Houben-Weyl, Vol. VI/
1a、Part2(1980)、p. 1029)、次いでそ
の一級ヒドロキシ基を適当なスルホン酸またはリン酸誘
導体で選択的にエステル化することより成る。
【0079】式(VIII)(式中R4はメチル基を表わ
す)で示される化合物は、ω−ハロアルカン酸アルキル
エステル(Hal−(CH2)n−COO−アルキル)を2
当量のメチル金属化合物と反応させる(該エステルはそ
のケトンを通して反応して第三級アルコールを生じて2
個のメチル基を導入する)(Houben-Weyl, Vol. VI/1
a、Part2(1980)、pp. 1171−1174)こ
とによっても容易に入手することができる。同様にし
て、ω−ヒドロキシ−カルボン酸エステルは、そのヒド
ロキシ基を例えばテトラヒドロピラニル−(2)またはメ
トキシメチルエステルの形または所望により環状エステ
ルのようなラクトンの形で保護しまたは保護することな
くメチル金属化合物でジオールに転化することができ
(例えばHouben-Weyl, Vol. VI/1a、Part2(198
0)、pp. 1174−1179参照)、それより、その
第一級ヒドロキシ基をスルホン酸またはリン酸ハライド
またはアンヒドリドで選択的にエステル化することによ
り式(VIII)で示される活性アルキル化剤を得ることが
できる。
【0080】従って前述の方法により製造できる適切な
式(VIII)の化合物は〔(ω−1)−ヒドロキシ−(ω
−1)−メチル〕ブチル−、−ペンチル、−ヘキシルお
よび−ヘプチル、〔(ω−2)−ヒドロキシ−(ω−
2)−メチル〕ペンチル、−ヘキシル、−ヘプチル、お
よび−オクチル、および〔(ω−3)−ヒドロキシ−
(ω−3)−メチル〕ヘキシル、−ヘプチル、−オクチ
ルおよび−ノニルクロライド、ブロマイド、ヨーダイ
ド、スルホネートおよびホスフェートである。
【0081】キサンチン骨格の1−または7−位にR5
を、そして7位にR15を導入するのに適した式R5−X
(Xa)またはR15−X(XIII)の化合物の中では、ア
ルコキシメチルおよびアルコキシアルコキシメチル誘導
体は実際それらのハライドを首尾よく反応体として使用
できるので特別な地位を占めるのであるが、少なくとも
大規模に用いることには毒性の問題が生じ得る。こうし
た理由から、この特別な場合には相当するスルホネート
が好ましいが、これは例えば脂肪族カルボン酸と脂肪族
または芳香族スルホン酸との混合アンヒドリド(M.H. K
arger etal., J.Org. Chem. 36(1971)、pp.5
28−531)をホルムアルデヒドジアルキルアセター
ルまたはジアルコキシアルキルアセタールと円滑かつほ
ぼ定量的反応(M.H. Karger et al., J. Amer. Chem. S
oc. 91(1969)、pp. 5663/5665)とし
て反応させることにより容易に得ることができる。すな
わち R7-SO2-O-CO-(C1-C4)アルキル + R8-O-CH2-O-R8−(C1-C4)アルキル−CO2R8 → R7-SO2-O-CH2-O-R8 この式においてR7は脂肪族基例えばメチル、エチル
またはトリフルオロメチル、または芳香族基例えばフェ
ニル、4−トリル、または4−ブロモフェニルを表わす
が好ましくはメチルまたは4−トリルであり、そしてR
8はR5またはR15の定義に含まれるアルキルまたはアル
コキシアルキル基を表わす。
【0082】反応は物質中または反応体に不活性な無水
非プロトン溶媒中、−20°〜+40℃、好ましくは0
°〜20℃の温度で行うことができる。加水分解に敏感
で熱的に不安定である高反応性スルホネートを中間的に
単離する必要は全くない;それらは好ましくはそのまま
粗製生成物としてキサンチンの窒素上の置換に用いるこ
とができ、通常の塩基性縮合剤の添加は不必要である。
【0083】モノ−またはジ置換キサンチン誘導体(I
X)、(XVI)、(VII)、(VIII)または(Xa)また
は(XIII)の反応は通常反応体に不活性な分散剤または
溶媒中で行われる。実用的代表例は特に二極性の非プロ
トン溶媒例えばホルムアミド、ジメチルホルムアミド、
ジメチル−アセトアミド、N−メチルピロリドン、テト
ラメチル尿素、ヘキサメチル−リン酸トリアミド、ジメ
チルスルホキシド、アセトンまたはブタノンであるが、
アルコール例えばメタノール、エチレングリコールおよ
びアルキル基が1〜4個の炭素原子を有するが両者合計
で最高5個の炭素原子を有するそれらのモノ−またはジ
アルキルエーテル、エタノール、プロパノール、イソプ
ロパノールおよび各種ブタノール;炭化水素例えばベン
ゼン、トルエン、またはキシレン;ハロゲン化炭化水素
例えばジクロロメタンまたはクロロホルム;ピリジンお
よび前記溶媒の混合物およびそれらの水との混合物を用
いることもできる。
【0084】“アルキル化反応”は適切には塩基性縮合
剤の存在下に行われる。これに適した物質の例はアルカ
リ金属またはアルカリ土類の水酸化物、炭酸塩、水素化
物、アルコレート、および有機塩基例えばトリアルキル
アミン(例えばトリエチル−またはトリブチルアミ
ン)、第四級アンモニウムまたはホスホニウム水酸化
物、および固定され、所望により置換されたアンモニウ
ムまたはホスホニウム基を有する架橋樹脂である。さら
にキサンチン誘導体はアルキル化反応に直接それらの別
個に調製された塩、例えばアルカリ金属、アルカリ土
類、または所望により置換されたアンモニウムまたはホ
スホニウム塩として用いることもできる。さらにモノ−
およびジ置換キサンチン誘導体は、前述の無機縮合剤の
存在下にまたはそれらのアルカリ金属またはアルカリ土
類塩の形で、いわゆる相転移触媒例えば第三級アミン、
第四級アンモニウムまたはホスホニウム塩またはクラウ
ンエーテルの補助の下に、好ましくは二相系で相転移触
媒条件下で、アルキル化することもできる。一般に商業
的に入手できる適切な相転移触媒にはテトラ(C1
4)アルキル−およびメチルトリメチルアンモニウム
および−ホスホニウム塩、メチル−、ミリスチル−、フ
ェニル−およびベンジルトリ(C1〜C4)アルキル−お
よびセチルトリメチルアンモニウムおよび(C1
12)アルキル−およびベンジルトリフェニルホスホニ
ウム塩が包含されるが、比較的大きくかつ比較的対称性
の高い構造の陽イオンを有する化合物が一般により有効
である。
【0085】前述の方法による基Ia、R5、およびR
15の導入は、一般に、0℃〜特定の使用媒質の沸点、好
ましくは20°〜130°、の反応温度、所望により高
められたまたは低められた圧力で行われ、それに対し反
応時間は1時間より短時間あるいは数時間とすることが
できる。
【0086】式(X)で示される本発明化合物を製造す
るための3−アルキルキサンチン(VIII)の反応は2個
の第三級ヒドロキシアルキル基の導入を必要とする。同
一のあるいは異なる置換分をキサンチン骨格に順次に連
結することができ、あるいは2個の同一のヒドロキシア
ルキル基を単一ポット反応として中間体を単離すること
なく連結することができる。
【0087】7位のキサンチン原子形成を伴う式(XV)
の化合物からのベンジルおよびジフェニルメチル基の還
元分解は、特にアルカロイドおよびペプチド合成におけ
る保護基技術の枠組の中で開発され、従って周知とする
ことができる標準的条件の下で行われる。特にベンジル
化合物と液体アンモニア中ナトリウムとの反応(Houben
-Weyl, Vol. XI/1(1957)、pp. 974−97
5)の化学的還元のほか、貴金属触媒を用いた接触水素
添加分解による前述の2個のアルアルキル基の脱離も特
に実用的である(Houben-Weyl, Vol. XI/1(195
7)、pp.968−971およびVol. IV/1C、PartI
(1980)、pp. 400−404)。この場合には通
常反応媒質として低級アルコール(所望により蟻酸また
はアンモニアを添加)、または非プロトン溶媒、例えば
ジメチルホルムアミドまたは特に氷酢酸が用いられる
が、それらの水との混合物を用いることもできる。特に
適切な水素添加触媒はパラジウムブラックおよび活性炭
または硫酸バリウムに担持したパラジウムであるが他の
貴金属例えば白金、ロジウムおよびルテニウムはしばし
ば競合する環の水素添加故に副反応を生じ、従って条件
付きで使用可能であるにすぎない。水素添加分解は、好
ましくは、20℃〜100℃の温度および大気圧、好ま
しくは約10バールまでのわずかな過剰圧で行われ、そ
して反応時間は一般に数分〜数時間が必要である。
【0088】R15の位置にアルコキシメチルまたはアル
コキシアルコキシメチル基を有する式(XV)の1,3,7
−トリ置換キサンチンはO,N−アセタールを表わす。
従ってそれらの7位置換分は酸加水分解の通常の条件下
に除去することができ(Houben-Weyl, Vol. VI/1b
(1984)、pp. 741−745参照)、式(XVI)
の7H化合物が同じく形成される。加水分解的に除去で
きる好ましい基の例はメトキシ、エトキシ、およびプロ
ポキシメチル基およびメトキシエトキシ−およびエトキ
シエトキシメチル基である。反応は、有利には加熱しな
がら希鉱酸例えば塩酸または硫酸などの中で所望により
氷酢酸、ジオキサン、テトラヒドロフラン、または低級
アルコールを溶解促進剤として添加して行われる。さら
に有用なのは過塩素酸または有機酸例えばトリフルオロ
酢酸、蟻酸および酢酸と触媒量の鉱酸の組合せである。
特にアルコキシアルコキシメチル化合物は、ルイス酸例
えば臭化亜鉛および四塩化チタンなどを無水媒質、好ま
しくはジクロロメタンまたはクロロホルム中で用いて分
解することもでき、その結果中間体として形成される7
−ブロモメチルまたは7−ブロモ亜鉛誘導体は水性の後
処理の間に自然に加水分解する。鉱酸溶液中の分解にお
いては、反応温度は1位の第三級ヒドロキシアルキル基
の脱水が顕著に起こらないように選択されねばならな
い;従ってそれは一般に100℃より低くすべきであ
る。
【0089】R5またはR15の位置にオキソアルキル基
を有する式(XI)および(XV)のキサンチンの相当する
ヒドロキシアルキル化合物への還元は、実際、卑金属を
用いてあるいは接触水素添加により行うことができる
が、特に好ましい方法は、単純金属水素化物(M
n)、複合金属水素化物(M1〔M2nm)または有
機金属水素化物を用いて極めて穏やかな条件下にそして
高収率で行われる反応より成る(Houben-Weyl, Vol. IV
/1d(1981)、pp. 267−282、およびVol.
VI/1b(1984)、pp. 141−155)。ケトン
の還元に使用できる数多くの複合金属水素化物の中でも
最も頻繁に用いられる試剤としては、例えばリチウムア
ラネート、リチウムボロハイドライド、そして特にナト
リウムボロハイドライドが挙げられるがこれはその低反
応性の故に扱いやすくそして特にアルコール性、アルコ
ール−水性、および純水性溶液または懸濁液中での操作
を可能にする。その他の点では慣用的な不活性溶媒例え
ばエーテル(例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフ
ラン、1,2−ジメトキシエタン)、炭化水素およびピ
リジンなどのほかに、ニトリル例えばアセトニトリルを
反応媒質として用いることもできる。適切には0℃〜特
定溶媒の沸点の温度、好ましくは室温、で行われる水素
添加は、一般に速やかに行われ、そして数分〜数時間内
に完了する。
【0090】さらに、式(II)の第三級ヒドロキシアル
キルキサンチンは、 e) 式(XIX)
【化33】 で示される置換キサンチン(これはR9およびR10の位
置に、 −(CH2)n−CO−CH3 (XX);または −(CH2)n−CO−R4 (XXI) で示される二つの同一のまたは相違する基、あるいは式
(XX)または(XXI)の一方のみの置換分と水素または
基R5またはR15を有する)を(C1〜C3)アルキル−
またはメチル金属化合物と反応させてカルボニル基を還
元“アルキル化”して式(IX)〜(XVI)の本発明キサ
ンチンとし、あるいは
【0091】f) 式 −(CH2)n−Hal(XVII)
(式中、Halは好ましくは塩素または臭素を表わす)
で示される二つの同一のまたは相違する基、あるいは唯
一のかかる基と他方の位置に水素または置換分R5また
はR15を有する式(XIX)のキサンチンのターミナル位
を金属化し、次いでそれらを式 R4−CO−CH3 (XVIII) で示されるケトンと反応させてカルボニル基を還元アル
キル化して式(IX)〜(XVI)の本発明キサンチンと
し、あるいは
【0092】g) R9および/またはR10の位置に基 −(CH2)n−COO−(C1〜C4)アルキル (XXIV) そして所望により他方の位置に水素または基R5または
15を有する式(XIX)のキサンチンをアルコキシカル
ボニル基あたり2当量のメチル金属化合物により式(I
X)〜(XVI)(式中R4はメチルを表わす)のキサンチ
ンに変え、あるいは
【0093】h) R9およびR10の位置に式
【化34】 で示される二つの同一のまたは相違する基または唯一の
かかる基と水素または基R5またはR15を有する式(XI
X)のキサンチン(前記基(XXV)はそのC=C二重結合
を分枝炭素原子上位置異性配置に例えば−C=CH2
して含むこともできる)をマルコウニコフ規則に従う酸
触媒水和により式(IX)〜(XVI)の本発明キサンチン
としそして所望により次いで1−または7−位に水素原
子を有する式Ib′の第三級ヒドロキシアルキルキサン
チンが方法e)〜h)により得られる場合にはそれらを
所望により塩基性媒質の存在下にまたはそれらの塩の形
で、式(VIII)または(Xa)または(XIII)のアルキ
ル化剤を用いて式(X)または(XI)または(XV)で示
されるトリ置換化合物に変えることによっても製造でき
る(前記式中のR2、R4、R5、R15およびnは前述の
意味を有する)。
【0094】このために出発物質として必要とされる3
−アルキル化モノ−またはジオキソアルキル−(XIX
a)、−(ω−ハロアルキル)(XIXb)、−(ω−ア
ルコキシカルボニルアルキル)−(XIXc)、および−
アルケニルキサンチン(XIXd)は知られているか、ま
たは例えば3−アルキル−キサンチン(VII)およびス
ルホニルオキシ−またはハロケトン(XVII)および(XV
III)、ω−ハロアルキルスルホネート、または1,ω−
ジハロアルカン(例えば:V.B. Kalcheva et al., Jour
nal fur prakt. Chemie 327(1985)、pp. 16
5−168参照)、ω−スルホニルオキシまたはω−ハ
ロカルボン酸アルキルエステルまたはスルホニルオキシ
またはハロアルケン(式(XXV)に相当する)より、式
(VIII)および(Xa)の化合物によるモノ−およびジ
置換キサンチンのアルキル化についてすでに詳述した反
応条件下に容易に製造することができる。
【0095】R9およびR10基において官能化されたキ
サンチン(XIXa)および(XIXc)の有機金属反応にお
いて、その手順はアルキル化剤として用いられる式(VI
II)の第三級アルコールの製造について記載されたもの
と基本的に同じである。すなわち、ケトン(XIXa)お
よびエステル(XIXc)の還元アルキル化は、例えばア
ルキルカリウム、−ナトリウム、−リチウム、−マグネ
シウム、−亜鉛、−カドミウム、−アルミニウム、およ
び−スズ化合物を用いて行うことができる。最近推奨さ
れているアルキルチタニウムおよび−ジルコニウム化合
物(D. Seebach et al., Agnew, Chem. 95(198
3)、pp. 12−26)も用いることができる。しかし
ながら、ナトリウムおよびカリウムのアルキル金属化合
物は高反応性の故に副反応の傾向があり、また亜鉛およ
びカドミウムのそれは比較的鈍いことから、アルキルリ
チウムおよび−マグネシウム(グリニヤール)化合物が
普通好ましい。
【0096】強力な求核性有機金属化合物は加水分解お
よび酸化に対して極めて敏感である。従ってそれらの安
全な取扱いには、所望により不活性気体雰囲気下、無水
媒質中での操作が必要である。通常の溶媒または分散剤
は主としてアルキル金属化合物の調製にも適しているも
のである。実用的な例は特に、一以上のエーテル態酸素
原子を有するエーテル、例えばジエチル、ジプロピル、
ジブチル、またはジイソアミルエーテル、1,2−ジメ
トキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、テト
ラヒドロピラン、フラン、およびアニソール、および脂
肪族または芳香族炭化水素、例えば石油エーテル、シク
ロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチル
ベンゼンおよびテトラヒドロナフタレンであるが、第三
級アミン、例えばトリエチルアミン、または双極性非プ
ロトン溶媒例えばヘキサメチルリン酸トリアミド、およ
び前述の溶媒の混合物も首尾よく用いることができる。
カルボニル化合物(XIXa)および(XIXc)と式R4
MgHalのグリニヤール化合物との反応も、有利に
は、有機金属化合物をエーテルに入れそしてケトンまた
はエステルをジクロロメタンまたは1,2−ジクロロエ
タン中の溶液として滴加することによって行うことがで
きる。臭化マグネシウムの添加がしばしば推奨される
が、これにより有機金属化合物の求核性を、複雑な環状
遷移状態に参画することによって高めることができる。
【0097】前記ケトンまたはエステルと有機金属化合
物は一般に、−20℃〜100℃の温度、好ましくは0
℃〜60℃、または室温で外部冷却することなく混合さ
れ、そして通常アルキル金属化合物を小過剰に用いる。
次いで反応は通常、短時間還流加熱することにより完了
し、そのためには数分〜数時間の時間で一般に十分であ
る。形成されるアルカノレートは、好ましくは、水性塩
化アンモニウム溶液または希酢酸を用いて分解される。
【0098】金属マグネシウムおよびリチウムが主とし
てω−ハロアルキルキサンチン(XIXb)の金属化に適
している。他方において、リチウムによるハロゲン原子
の置換(これは有機リチウム試薬、一般に1−ブチル
−、2−ブチル−、t−ブチル−、またはフェニルリチ
ウムを用いても可能である)は従たる役割を果たす。し
かしながら特にグリニヤール化合物が用いられ、そして
有利にはそれらをキサンチン(XIXa)および(XIXc)
のアルキル金属化合物との反応に特に適しているとして
列挙されたエーテル、炭化水素、第三級アミンまたは非
プロトン溶媒中、25°〜125℃の温度、好ましくは
100℃より低い温度で調製する。金属化反応を炭化水
素中で行う場合には、エーテル例えばテトラヒドロフラ
ン、または第三級アミン例えばトリエチルアミンを化学
量論量で添加するのがしばしば有用であることがわかっ
ている。触媒、例えばブタノール、塩化アルミニウム、
四塩化ケイ素、テトラクロロメタン、およびアルミニウ
ムまたはマグネシウムアルコレートなどの使用も役立つ
ことがある。ハロゲン−金属交換において塩化物は通常
相当する臭化物および沃化物よりも遅く反応するが、一
般によりよい有機金属化合物収率を与える。反応開始を
促進するために、いくばくかの臭化マグネシウム、いく
ばくかの沃素粒、または数滴の臭素、テトラクロロメタ
ン、または沃化メチルを添加してわずかに加熱すること
がしばしば推奨される。得られたグリニヤール化合物は
通常単離されずにそのまま、キサンチン(XIXa)およ
び(XIXc)の還元アルキル化について記載された反応
条件下に式(XXIII)のケトンと反応させる。
【0099】式(XXV)の構造要素を有するアルケニル
キサンチン(XIXd)のC=C二重結合への水の付加
(その場合に、ヒドロキシ基はマルコウニコフ規則に従
って水素数の少ない炭素原子に付加して第三級アルコー
ルを形成する)は、通常、水性溶液または懸濁液中、強
酸、例えば硫酸、硝酸、またはリン酸の存在下に行われ
る。ハロゲン化水素およびスルホン酸、例えばトリフル
オロメタンスルホン酸、酸交換樹脂、三弗化ホウ素錯
体、またはシュウ酸も触媒として用いることができる。
しかしながら、硫酸中で操作することが好ましく、また
一般に50〜65%の酸濃度および0°〜10℃の温度
で十分である。しかしながら、それよりも低いまたは高
い酸濃度および/または反応温度も場合により使用でき
る。いずれにせよ、約60℃を超えると逆にオレフィン
への脱水が妨げになる程に顕しくなることがあるので、
反応温度はなるべく低く保つべきである。
【0100】酸に対して不活性な溶媒、例えば1,4−
ジオキサン、ベンゼンまたはトルエン、の添加も場合に
より有益である。(特に高い酸濃度を用いる場合には)
酸触媒水和においてエステルが中間体として形成される
ことがあるので、そのエステルを加水分解するために反
応バッチを酸の作用後短時間加熱しつつ大量の水で処理
すること、あるいはその混合物をアルカリ性の範囲で処
理することが推奨される。
【0101】本発明による1−および7H−化合物(I
X)または(XVI)の化合物(VIII)または(Xa)また
は(XIII)を用いたN−アルキル化による式(X)また
は(XV)のトリ置換キサンチンへの所望による転化につ
いての実験条件はすでに詳述した。
【0102】アルキル基R4の鎖長(少なくともC2)お
よび/または置換分R5の構造(例えば2−ヒドロキシ
プロピル)に応じて、式(II)の第三級ヒドロキシアル
キルキサンチンは1個または2個の不整炭素原子を有す
ることができ、またそれ故に立体異性体として存在し得
る。従って本発明は純粋な立体異性化合物およびそれら
の混合物に関する。
【0103】ここで本発明を以下の実施例で更に詳述す
る。
【0104】
【実施例】特許請求の範囲に記載の本発明の効果を実証
すべく、式(II)の化合物をテストして試験管内レトロ
ウイルス活性阻害を実証した。一般式(I)および(I
I)に包含される様々な化合物が有効であるが、ペント
キシフィリンを好ましい本発明の一態様として用いてそ
れらの例示とする。
【0105】実施例 1 ヒトJurkat細胞(CD4+ T−細胞リンパ腫系統)を1
0%牛胎児血清、ペニシリン、ストレプトマイシンおよ
びL−グルタミンを補給したRPMI−1640で増殖
させた。HIV−1がJurkat細胞中で生産された。対数
増殖期の間に細胞不含の上清を集め、(Dayton etal.,
Cell 1986、44:941−947の方法に従っ
て)RT活性をテストしそしてアリコートとして−70
℃使用まで凍結した。Jurkat細胞を様々な濃度のペント
キシフィリンで4時間前処理した後でHIV−1(10
4cpm単位のRT活性)を培養物に添加した。それら細胞
は適切なペントキシフィリン濃度に合計7日間保ち、そ
の時点で細胞不含上清中のRT活性を測定した。並行し
て、各種濃度のペントキシフィリンで7日間処理した未
感染Jurkat細胞のトリパン(trypan)ブルー染色により
細胞生存度をテストした。結果はコントロールに対する
%として表わす。
【0106】
【表2】
【0107】ペントキシフィリンに7日間さらした後の
細胞生存度は>95%である。
【0108】ペントキシフィリンは、HIVに急性感染
したJurkat細胞における逆転写酵素活性(HIV−1複
製のマーカー)により測定されるHIV−1複製を低下
させた。
【0109】実施例 2 ヒト末梢血単核細胞(PBM)を、正常HIV−1血清
陰性者から献血された血液のFicoll-Hypaque勾配遠心分
離により採取した。PBMを20%牛胎児血清、ペニシ
リン、ストレプトマイシンおよびL−グルタミンを補給
したRPMI−1640で培養した。細胞を一夜15μ
g/mlのコンカナバリンAで刺激した後、それらをアッ
セイ期間中10単位/mlインターロイキン−2(IL−
2)中に保った。ペントキシフィリンによるPBM中で
のHIV−1複製の阻害をテストするために、PBMを
各種濃度のペントキシフィリンで4時間前処理した後、
HIV−1(104cpm単位のRT活性)を培養物に添加
した。それら細胞を適切な薬剤濃度に合計7日間保ち、
その時点で細胞不含上清中のRT活性を測定した。並行
して、各種濃度のペントキシフィリンで7日間処理した
未感染PBMのトリパンブルー染色により細胞傷害性を
分析した。結果を未処置のコントロールに対する%とし
て表わす。
【0110】
【表3】
【0111】ペントキシフィリンは、HIV−1に急性
感染した末梢血単核細胞における逆転写酵素活性により
測定されるHIV−1複製を低下させた。
【0112】実施例 3 HIV−1 LTRの介在する遺伝子発現のダウン−レ
ギュレーション(down-regulation):U38細胞(Fel
ber BK, Pavlakis GN. Science 1988、239:1
84−187)を10ng/mlフォルボール(phorbol)
−12−ミリステート−13−アセテート(PMA)の
存在下または非存在下に培養した。U38細胞は単核細
胞様(monocytoid)ヒト細胞系統U937から誘導さ
れ、そしてクロラムフェニコールアセチルトランスフェ
ラーゼ(CAT)遺伝子に連結されたHIV−1 LT
Rの一体化されたコピーを含有する。これらの細胞はD
r. Barbara Febler (National Cancer Institute, Fre
derick, メリーランド州、米国)の親切により提供され
たものである。2時間後に、細胞をリン酸緩衝食塩水
(PBS)で1回洗浄しそして各種濃度のペントキシフ
ィリンの存在下に培養した。2日後に細胞生存度をトリ
パンブルー染色によりテストし、そしてCAT活性は細
胞抽出物をタンパク質含量について標準化した後、既報
の方法(Sodroski, J.et al., Science 1985、22
7:171−173)により測定した。
【0113】
【表4】
【0114】
【表5】
【0115】ペントキシフィリンはフォルボールエステ
ルで最初に前処理したかどうかに拘わらず、U38細胞
におけるクロラムフェニコールトランスアセチラーゼ活
性(CAT)を低下させた。CATアッセイは、HIV
−1ロングターミナルリピート(LTR)に作用する遺
伝子活性因子に対する剤の作用を測定するためにしばし
ば用いられる。
【0116】要すれば、キサンチンはヒトの治療のため
の抗ウイルス剤として特に有用である。それらキサンチ
ンはヒトにおけるレトロウイルス感染の予防および治療
の両方にとって価値ある剤である。それらはエイズウイ
ルスに対して抗ウイルス活性を示すが、このことは従来
の抗ウイルス剤の極めて限定された特異的な抗ウイルス
活性に鑑み、極めて異例でありかつ予想外のことであ
る。これらキサンチンは動物およびヒト細胞組織におい
てウイルス誘導細胞傷害の抑制を示すことができる。こ
れらキサンチンはエイズ関連日和見感染発生の低下およ
び中枢神経系に対する進行性、消耗性作用の低下を含
め、ヒトにおける死亡率および罹病率を低下させること
もできる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 592156013 デイナ−フアーバー・キヤンサー・インス テイチユート DANA−FARBER CANCER INSTITUTE アメリカ合衆国マサチユーセツツ州02115. ボストン.ビニーストリート44 (72)発明者 ブルース・ジエイ・デズーベ アメリカ合衆国マサチユーセツツ州02159. ニユートンセンター.メドウブルツクロー ド109 (72)発明者 アーサー・ビー・パーデイー アメリカ合衆国マサチユーセツツ州02146. ブルツクライン.コドマンロード30 (72)発明者 ルート・エム・ループレヒト アメリカ合衆国マサチユーセツツ州02215. ボストン.ブルツクラインアベニユー400 (72)発明者 ウイリアム・ジエイ・ノビツク・ジユニア アメリカ合衆国ニユージヤージー州08833. レバノン.バートルズロード.アール・デ イー・ナンバー2

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一つの式(I) 【化1】 (式中、R1およびR2は同一かまたは相違しそして2〜
    6個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状アルキル
    基、シクロヘキシル、直鎖状または分枝鎖状アルコキシ
    アルキルおよびヒドロキシアルキル基より成る群より選
    択され;Aはメチル基により置換されていてもよい4個
    以下の炭素原子を有する炭化水素基を表す)で示される
    7−(オキソアルキル)1,3−ジアルキルキサンチン
    または少なくとも一つの式II 【化2】 (式中、R1およびR3の少なくとも一方は a) 式 【化3】 (式中R4は1〜3個の炭素原子を有するアルキル基を
    表し、またnは2〜5の整数を表す)で示される分枝状
    ヒドロキシアルキル基(その際、場合により存在するこ
    とのある他方のR1またはR3基は水素原子を表すかまた
    はその炭素鎖が2個以下の酸素原子により中断されてい
    てもよい、またはヒドロキシまたはオキソ基で置換され
    ていてもよい、6個以下の炭素原子を有する脂肪族炭化
    水素基R5を表す)、または b) 式 R6−CO−(CH2)p (式中、R6はC1〜C6アルキルであり、そしてpは
    2、3または4である)で示されるオキソアルキル基
    (その場合の残りのR1またはR3は前記定義通りであ
    る)であり、またR2はC1〜C4アルキル基である)で
    示される化合物の、ヒト・レトロウイルス複製の阻害に
    有効な医薬の調製のための使用。
  2. 【請求項2】 ヒト・レトロウイルスがヒト免疫不全ウ
    イルス・タイプ1(HIV−1)である請求項1記載の
    使用。
  3. 【請求項3】 式(I)の化合物が1,3−ジブチル−7
    −(2−オキソプロピル)キサンチンである請求項1記
    載の使用。
  4. 【請求項4】 式IIの化合物がペントキシフィリンであ
    る請求項1記載の使用。
  5. 【請求項5】 式IIにおいて、 R1がCH3−CO−(CH2)4− R2が−CH33が−CH2−CH2−CH3 である請求項1記載の使用。
  6. 【請求項6】 式IIにおいてR1が 【化4】 2が−CH3、そして R3が−CH2−CH2−O−CH3 である請求項1記載の使用。
  7. 【請求項7】 式IIにおいてR1が 【化5】 2がCH3、そして R3が−CH2−O−(CH2)2−O−CH3 である請求項1記載の使用。
  8. 【請求項8】 式IIにおいてR1が 【化6】 2が−CH3、そして R3が−H である請求項1記載の使用。
  9. 【請求項9】 式IIにおいてR1が 【化7】 2が−CH3、そして R3が−CH2−CH2−CH3 である請求項1記載の使用。
  10. 【請求項10】 式IIにおいてR1が 【化8】 2が−CH3、そしてR3が 【化9】 である請求項1記載の使用。
  11. 【請求項11】 式IIにおいてR1が 【化10】 2が−CH3、そしてR3が 【化11】 である請求項1記載の使用。
  12. 【請求項12】 式IIにおいてR1が 【化12】 2が−CH2−CH3、そして R3が−CH2−O−CH2−CH3 である請求項1記載の使用。
  13. 【請求項13】 式IIにおいてR1が 【化13】 2が−CH3、そしてR3が 【化14】 である請求項1記載の使用。
  14. 【請求項14】 式IIにおいてR1が 【化15】 2が−CH3、そして R3が−CH2−O−CH2−CH3 である請求項1記載の使用。
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