JPH0547552U - クラッチカバー組立体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ダイヤフラムスプリングの支点となる支点リ
ングの塑性変形を防止する。 【構成】 クラッチカバー１の内周部の周方向複数箇所
にプレッシャプレート４側へ延びる舌片５を形成して、
この舌片５の先端部分５ａを折り曲げて支点部９を形成
し、この支点部９により一対の支点リング８ａ，８ｂを
介してダイヤフラムスプリング６を挾圧支持するように
してある。そして、一対の支点リング８ａ，８ｂのう
ち、舌片５の先端部分５ａとダイヤフラムスプリング６
との間に位置する支点リング８ａの線径をもう一方の支
点リング８ｂの線径よりも太くしてある。これにより、
舌片５の先端部分５ａの折り曲げ時に生じる支点リング
８ａの局部的応力を低減化する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は自動車のクラッチ装置に使用されるクラッチカバー組立体に関する。

【０００２】

【従来の技術】

この種のクラッチカバー組立体は、図３に示すように、クラッチカバー１の内 周部の周方向複数箇所にプレッシャプレート４側へ延びる舌片５を形成して、こ の舌片５の先端部分５ａを折り曲げて支点部９を形成し、この支点部９によりダ イヤフラムスプリング６及びこれの支点となる一対の支点リング８ａ，８ｂを挾 圧支持するようになっている（特開昭５８−１７２２７号公報参照）。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、このような従来技術にあっては、一方の支点リング８ｂがダイ ヤフラムスプリング６及びクラッチカバー１にほぼ全周に亘り接触するのに対し 、他方の支点リング８ａはその周方向複数箇所が部分的に舌片５の先端部分５ａ と接触する。そのため、舌片５の先端部分５ａとダイヤフラムスプリング６との 間に位置する他方の支点リング８ａには、舌片５の先端部分５ａの折り曲げ時（ かしめ時）に大きな局部的応力が生じ、花びら状の塑性変形部分が生じる場合が あった。斯かる支点リング８ａの変形はその耐久性を低下させる一因となり得る ため、支点リング８ａの塑性変形を防止し得る何等かの対策を講ずる必要を生じ た。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案は、クラッチカバーの内周部の周方向複数箇所にプレッシャプレート側 へ延びる舌片を形成して、この舌片の先端部分を折り曲げて支点部を形成し、こ の支点部により一対の支点リングを介してダイヤフラムスプリングを挾圧支持す るようにしたクラッチカバー組立体であって、前記舌片の先端部分とダイヤフラ ムスプリングとの間に位置する支点リングの線径をもう一方の支点リングの線径 よりも太くしたことを特徴としている。

【０００５】

【作用】

舌片の先端部分とダイヤフラムスプリングとの間の支点リングに生ずる局部的 応力を低減する。

【０００６】

【実施例】

以下本考案の実施例を図面に基づき詳述する。

【０００７】 図１〜図２において１はフライホイール２に固定するクラッチカバーである。 そして、このクラッチカバー１には、弾性変形可能な板状のストラッププレート ３を介してプレッシャプレート４を軸方向移動可能に連結してある。

【０００８】 又、このクラッチカバー１の内周部１ａの周方向複数箇所には、プレッシャプ レート４側へ延びる舌片５を形成してある。そして、この舌片５をダイヤフラム スプリング６に形成した係合溝７及びこのダイヤフラムスプリング６の両側にそ れぞれ配置した支点リング８ａ，８ｂに係合し、舌片５の先端部分５ａを折り曲 げて（かしめて）、上記ダイヤフラムスプリング６及び支点リング８ａ，８ｂを 挾圧支持する樋状の支点部９を形成してある。

【０００９】 そして、この支点部９に挾圧支持されてダイヤフラムスプリング６の支点とな る一対の支点リング８ａ，８ｂのうち、舌片５の先端部分５ａとダイヤフラムス プリング６との間に位置する支点リング８ａは、もう一方の支点リング８ｂより もその線径を太くしてある。

【００１０】 又、ダイヤフラムスプリング６は、上記したようにクラッチカバー１の支点部 ９で支持してあり、その外周端がプレッシャプレート４に当接し、その内周端が 図外のクラッチレリーズベアリングに係合されるようになっている。そして、こ のダイヤフラムスプリング６は、その内周端が図外のクラッチレリーズベアリン グにより図１中左側方向へ押し込まれない限り、常時プレッシャプレート４をフ ライホイール２側へ押圧する。一方、ダイヤフラムスプリング６は、その内周端 がクラッチレリーズベアリングにより図中左側方向へ押された場合、支点リング ８ａ，８ｂを支点として図１の時計回り方向に回動し、プレッシャプレート４に 作用させていたばね力を解除する。

【００１１】 以上の実施例構造によれば、一方の支点リング８ａは、舌片５の先端部分５ａ に対して周方向に部分的に接触するようになっているため、ダイヤフラムスプリ ング６及びクラッチカバー１とほぼ全周に亘り接触する他方の支点リング８ｂよ りもその接触部分が少ない。しかし、一方の支点リング８ａはその線径が他方の 支点リング８ｂの線径よりも太いため、舌片の先端部分をかしめる際に生じる支 点リング８ａの局部的応力は支点リング８ａに塑性変形を生じさせる程大きくな らない。

【００１２】 以上のように本実施例は、一方の支点リング８ａを他方の支点リング８ｂより も太くすることにより、舌片５の先端部分５ａのかしめ時に両支点リング８ａ， ８ｂが塑性変形を生じないようにしてあるため、支点リング８ａ，８ｂの塑性変 形に起因するクラッチ荷重特性上のヒステリシスの増加や支点リング８ａの破損 等の不具合の発生を防止することができる。尚、本実施例は、舌片５の先端部分 ５ａとダイヤフラムスプリング６の間に位置する支点リング８ａのみを太くする ようにしてあるため、両支点リング８ａ，８ｂを太くする場合に比べて軸方向寸 法を小さくすることができると共に、クラッチカバー組立体の重量及び材料費の 低減化を図ることができる。

【００１３】

【考案の効果】

以上の説明から明らかなように本考案は、ダイヤフラムスプリングの支点とな る一対の支点リングのうち、舌片の先端部分とダイヤフラムスプリングとの間に 位置する支点リングの線径をもう一方の支点リングの線径よりも太くすることに より、舌片の先端部分の折り曲げ時（かしめ時）に生じる支点リングの局部的応 力を低減し、舌片の先端部分とダイヤフラムスプリングとの間に位置する支点リ ングの塑性変形を防止するようにしてあるため、その支点リングの塑性変形に起 因するクラッチ荷重特性上のヒステリシスの増加や支点リングの折損等の不具合 の発生を防止でき、長期に亘り円滑なクラッチ操作を可能とする。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示すクラッチカバー組立体の
断面図（図２のＡ−Ａ線に沿う断面図）。

【図２】同クラッチカバー組立体の正面図。

【図３】従来のクラッチカバー組立体の要部断面図。

【符号の説明】

１…クラッチカバー、４…プレッシャプレート、５…舌
片、５ａ…先端部分、６…ダイヤフラムスプリング、８
ａ，８ｂ…支点リング、９…支点部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 クラッチカバーの内周部の周方向複数箇
   所にプレッシャプレート側へ延びる舌片を形成して、こ
   の舌片の先端部分を折り曲げて支点部を形成し、この支
   点部により一対の支点リングを介してダイヤフラムスプ
   リングを挾圧支持するようにしたクラッチカバー組立体
   において、前記舌片の先端部分とダイヤフラムスプリン
   グとの間に位置する支点リングの線径をもう一方の支点
   リングの線径よりも太くしたことを特徴とするクラッチ
   カバー組立体。