JPH0545736A - フイルム、シート類の展張支持装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】合成樹脂製フィルムやシート類、特にプロジェ
クションテレビジョンやオーバーヘッドプロジェクショ
ンに適用される薄型で比較的剛性に乏しい透過型あるい
は反射型の表示画面用スクリーンを平面状に展張して支
持するのに好適な展張支持装置を提供する。 【構成】フィルム、シート類の周縁部と略同一の形状を
もつ枠体と、本体の一側縁に直交して突出する押圧片を
もつ弾性押え部材とからなり、前記枠体の少なくとも隣
会う２辺の枠材表面には、所定の深さと幅をもち、長手
方向に延在する凹溝が形成され、前記弾性押え部材の本
体と前記枠体の表面間とで上記フィルム、シート類の少
なくとも２辺の周縁部を挟持固定するとともに、弾性押
え部材の前記押圧部を前記フィルム、シート類を介して
前記枠体の凹溝に嵌合させて展張支持させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、合成樹脂製フィルムや
シート類の展張保持装置に関し、特にプロジェクション
テレビジョンやオーバーヘッドプロジェクションに適用
される薄型で比較的剛性に乏しい透過型あるいは反射型
の表示画面用スクリーンを平面状に展張して支持するの
に好適な展張支持装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】上述の表示画面用スクリーンとしては、
所期の画像表示性能を得るためにレンチキュラーレンズ
やフレネルレンズを単独に又はそれらを組み合わせて使
用する。そして、特に軽量化と解像度の向上を図るため
レンチキュラーレンズやフレネルレンズのピッチを小さ
くすると共に、スクリーン自体の薄型化が実現しつつあ
る。

【０００３】ところで、この種スクリーンの薄型化は剛
性の低下につながり、その平面形状の保持を困難にさせ
る。従来も、この平面形状を保持するようにスクリーン
を支持するための提案が数多くなされている。しかし
て、これらの提案の基本的な機構原理は大きく二つに分
けられる。その第１のものは、例えば剛性を有する枠体
をスクリーンの周囲に配置し、前記枠体とスクリーンの
周縁とを引っ張りバネ等の弾性体を介して部分的に連結
し、該弾性体によりスクリーンを常時展張方向に付勢し
ながら枠体に支持させる（実開昭59-121646 号公報、実
開昭60-154940 号公報、実開昭61-112329 号公報、実開
昭61-112330 号公報、実開昭61-112331 号公報、実開平
1-69229号公報、実開平1-117634号公報等、参照）もの
である。また第２のものは、例えば剛性を有する枠体を
スクリーンの周囲に配置し、スクリーンの外周を枠体に
固定すると共に、押え部材により枠体から逸れたスクリ
ーンの外周内側のシート面を垂直な方向から弾性的に押
圧して、スクリーンを展張方向に緊張させ、周囲環境の
影響によるスクリーンの膨張・収縮をその弾性的な押圧
力により吸収させようとする（特開平1-302338号公報参
照）ものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかるに、上記第１に
分類されたもののうち、スクリーンの四隅を連結するも
のでは、スクリーンの四辺が自由に挙動するため四隅の
引っ張り力により各辺部分が変形しやすく、外周近傍の
画像表示性能が低下しやすく、あるいはフレネルレンズ
の場合は光学的中心が投影光軸と合致しなくなる。ま
た、スクリーンの四辺部分を弾性体によって枠体に連結
するものでは、周囲環境条件の変化に基づくスクリーン
の膨張・収縮によって弾性体の引っ張り方向が変化し、
この場合もスクリーンに歪みが発生して画像表示性能が
低下する。

【０００５】また、上記第２に分類されたスクリーンの
支持手段によると、押え部材とスクリーンとの接触位置
が不変であるので、周囲の環境条件が変化すると接触部
分以外の部分に歪みが発生しやすく、第１に分類された
ものと同様に画像表示性能の安定化が図りにくい。

【０００６】更に、上述の従来方式では、その機構から
いずれもスクリーンの光学的有効面の周囲に取り付けら
れる額縁状の構造部分の幅を広くせざるを得ず、重量的
にもデザイン的にも制約を受けるようになる。また、ス
クリーン支持の為の部品点数が多く、それだけ組立コス
トが上昇する。

【０００７】従って、本発明の目的は上述の課題を解決
することにあり、構造が簡単で、且つ周囲の環境条件の
変化によりシート類が膨張・収縮しても、その平面形状
を維持して、特に投写スクリーンでは画像表示性能が低
下せず、薄型でスクリーン光学的有効面の比率を大きく
とることができるフィルム、シート類の展張支持装置を
提供するものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は合成樹脂製フィルム、シート類を展張支持
する装置であって、 前記フィルム、シート類の周縁部
と略同一の形状をもつ枠体と、本体の一側縁に直交して
突出する押圧部をもつ弾性押え部材とからなり、前記枠
体の少なくとも隣会う２辺の枠材表面には、所定の深さ
と幅をもち、長手方向に延在する凹溝が形成されてお
り、前記弾性押え部材の本体と前記枠体の表面間とで上
記フィルム、シート類の少なくとも２辺の周縁部を挟持
固定するとともに、弾性押え部材の前記押圧部を前記フ
ィルム、シート類を介して前記枠体の凹溝に嵌合させる
ことを特徴とするフィルム、シート類の展張支持装置
を、主要な構成とするものである。

【０００９】

【作用】本発明のフィルム、シート類展張支持装置にフ
ィルム、シート類を展張支持させるには、先ずフィル
ム、シート類をその外周が枠体の凹溝を跨ぐようにして
展張したのち、押え部材の本体をフレネルレンズシート
の外周縁部を挟んで枠体表面に添設すると共に、押え部
材の押圧部を凹溝に嵌合させるようにしてセットし、こ
の状態でビス等の固着具により押え部材の本体によりフ
ィルム、シート類を挟んで枠体の外周側の表面に固着す
る。

【００１０】こうして枠体に固着された押え部材は、そ
の押圧部の先端がフィルム、シート類の外周面を垂直方
向に弾性的に押圧すると、押圧部の先端もにフィルム、
シート類により押し返されて均衡し、弾性的に変形す
る。この状態では、押え部材には常に原形に復帰しよう
とする弾性力が存在しており、押え部材の材質、断面形
状等を好適なものとすれば、フィルム、シート類には常
に適切な展張力が付与されることになる。

【００１１】また、周囲の温度や湿度等の環境条件が変
化してフィルム、シート類が膨張または収縮をしても、
前記押え部材はフィルム、シート類の膨張または収縮に
より発生する力を弾性的に吸収して追随変形し、フィル
ム、シート類を常に適切な展張力に維持する。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の代表的な実施例を図面に基づ
いて具体的に説明する。

【００１３】図面は本発明を投写スクリーンに適用した
展張支持装置の一実施例を示し、図１は同装置にフレネ
ルレンズを取り付けた状態を示す部分斜視図、図２は同
装置の部分断面図、図３は同装置の枠体を構成する枠部
の断面図、図４は同装置の押え部材の断面図、図５は同
装置にフレネルレンズを取り付けた状態の全体を示す平
面図である。本発明は、これらの図から明らかなように
枠体１と押え部材２の二つの構成要素を備えている。

【００１４】図示実施例において枠体１は、ＡＢＳ樹脂
やそのほか剛性の高い樹脂、アルミ材等の金属、木材等
からなり、一体成形により製作され或いは４本の枠材１
１が組み立てられた矩形状をなしており、図１及び図２
に示すように四方の各枠材１１の一表面には所定の幅と
深さをもち長手方向に延びる凹溝１２が形成されてい
る。

【００１５】もう一つの構成要素である押え部材２は、
鉄、ステンレス、アルミといった金属系材料、竹、合
板、一般木材といった木質系材料、プラスチック、ゴム
のような合成高分子系材料の単体あるいは複合材からな
り、図５に示すように前記枠体１の長短二辺の内側長さ
に略等しい長さをもつ長尺の板材である。該押え部材２
は、図１及び図４に示すように平板上の本体２１と同本
体２１の側縁から直交して突出する押圧片２２を有する
断面が略Ｌ字型をなしている。前記押圧片２２の形状
は、図４（ａ）〜（ｅ）に示すように、本体２１の中心
線と該押圧片２２の中心線が０°以外の適当な角度をも
つように形成され、且つ本体中心線に直交する方向で図
った高さは前記凹溝深さとスクリーン厚さを加えた寸法
を越えることはない。また、図４（ａ）に示す巾（Ｗ）
は凹溝にスムースに入り込むことが必要である。

【００１６】なお、図示例では隣合う二辺に前記形状の
押え部材２を取付け、他の二辺には単なる板状の押え部
材２が取り付けられる例を示している。勿論、全辺に押
圧片２２を有する押え部材２を取り付けることもでき
る。

【００１７】本実施例で用いられる投写スクリーン３は
アクリル系樹脂或いはポリカーボネートからなるフレネ
ルレンズシートを単独に使用する例であるが、物性が近
似する素材が使われる場合はフレネルレンズシートとレ
ンチキュラーレンズシートを組み合わせて使用すること
も可能である。フレネルレンズシート及びレンチキュラ
ーレンズシートは共に熱軟化温度に予熱された合成樹脂
シート表面に金型を押し付け所望の表面形状を得る金型
による押圧転写法、金型や熱硬化性樹脂の型に溶融シー
ト素材を流し込み所望の表面形状をもつシートを成形す
る鋳込み法、一般的な押出成形法、或いは多数本の合成
樹脂ストランドを溶融紡糸し、該ストランドをシート状
に引き揃えて隣接するストランド同士を融着させる方法
等によって得ることができる。また、スクリーンの展張
支持装置への取付け部としては、上記レンズシートの端
部をそのまま取付け部３１とすることができ、或いは別
に合成樹脂シートや繊維シートを用いることができ、こ
れらの取付け部用シートを接着、融着、縫着等して上記
レンズシートの端部に接続させて構成することもでき
る。

【００１８】本発明の上記スクリーン展張支持装置に上
述の投写スクリーン３たるフレネルレンズシートを展張
支持させるには、先ずフレネルレンズシートの四辺を枠
体１の凹溝１２を跨ぐようにして展張したのち、押え部
材２の本体２１をフレネルレンズシートの外周縁部を挟
んで枠体１の表面に添設すると共に、押え部材２の押圧
片２２が凹溝１２に嵌合するようにしてセットし、この
状態でビス４により押え部材２の本体２１をフレネルレ
ンズシートと共に枠体１の外周側表面に固着する。

【００１９】こうして枠体１に固着された押え部材２
は、その押圧片２２の先端がフレネルレンズシートを弾
性的に押圧すると同時にフレネルレンズシートにより押
し返されて均衡し、図４に示すＬ字型断面が弾性的に変
形して図２に示すような表面に反り返った断面となる。
この状態では、押え部材２には常に原形に復帰しようと
する弾性力が存在しており、押え部材２の材質、断面形
状等を好適なものとすれば、フレネルレンズシートには
常に適切な展張力が付与されることになる。

【００２０】また、周囲の温度や湿度等の環境条件が変
化してフレネルレンズシートが膨張または収縮をして
も、前記押え部材２はフレネルレンズシートの膨張また
は収縮により発生する力を吸収して弾性的に追随して変
形し、フレネルレンズシートには常に適切な展張力が維
持される。

【００２１】なお、本発明では押え部材２の押圧片２２
が一個でも充分にフレネルレンズシートの変形に追随し
得る場合は、枠体１の隣会う枠材１１に凹溝１２を形成
し、残る枠材１１には凹溝１２を形成せず平坦面とし
て、本実施例の如く隣合う二枠材枠材１１に押圧片２２
を有する押え部材２を使ってフレネルレンズシートの二
辺を上述のようにして固着し、残る枠材１１には単なる
平板上の押え部材２のような適宜の固着手段によりフレ
ネルレンズシートの残る二辺を固着してもよく、隣合う
二枠材１１だけではフレネルレンズシートの伸縮に追随
しきれないときは枠体１の全枠材１１の表面に凹溝１２
を形成すると共に、全凹溝１２に押圧片２２を嵌合させ
るようにしてフレネルレンズシートの四周の全縁部を押
え部材２で取り付けてもよい。

【００２２】また、図示例では枠材１１が矩形断面の場
合を示したが、所定の剛性を有するならば矩形断面に限
定されるものではなく、要はその表面に押え部材の押圧
片２２がフィルム、シート類を挟んで嵌合する凹溝１２
が形成されていればよい。更に、上記押圧片２２は、押
え部材本体に沿って連続して形成されていても、或いは
断続的に形成されていてもよい。更に、上記押え部材２
の例として長尺なものを使用しているが、これを分割し
たある程度短尺なものを複数個使用してもよい。

【００２３】

【発明の効果】以上の説明から理解できるように、本発
明は構造が簡単であるためコストの低下につながり、且
つフィルム、シート類の取付けが簡単であり、しかも押
え部材の弾性力によりフィルム、シート類には常に予め
設定された展張力が付与されて平面形状が維持され、た
とえ周囲の環境条件が変化してフィルム、シート類に膨
張とか収縮の変形が生じても押え部材がこれに追随して
弾性的に変形し、膨張・収縮に基づくフィルム、シート
類に発生する展張力の変化を吸収して一定の展張力を維
持する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例であるスクリーンの展張状態
を示す展張支持装置の部分斜視図である。

【図２】同装置の部分断面図である。

【図３】同装置の構成要素である枠体の断面図である。

【図４】同装置の構成要素である押え部材の断面図であ
る。

【図５】本発明の一実施例であるスクリーンの展張状態
を示す展張支持装置の平面図である。

【符号の説明】

１ 枠体 ２ 押え部材 ３ スクリーン ４ ビス １１ 枠材 １２ 凹溝 ２１ 本体 ２２ 押え片 ３１ 取付け部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 合成樹脂製フィルム、シート類を展張支
   持する装置であって、前記フィルム、シート類の周縁部
   と略同一の形状をもつ枠体と、本体の一側縁に直交して
   突出する押圧部をもつ弾性押え部材とからなり、 前記枠体の少なくとも隣会う２辺の枠材表面には、所定
   の深さと幅をもち、長手方向に延在する凹溝が形成され
   ており、 前記弾性押え部材の本体と前記枠体の表面間とで上記フ
   ィルム、シート類の少なくとも２辺の周縁部を挟持固定
   するとともに、弾性押え部材の前記押圧部を前記フィル
   ム、シート類を介して前記枠体の凹溝に嵌合させること
   を特徴とするフィルム、シート類の展張支持装置。