JPH0544135A - 粘着テープ用基布 - Google Patents

粘着テープ用基布

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JPH0544135A
JPH0544135A JP3216600A JP21660091A JPH0544135A JP H0544135 A JPH0544135 A JP H0544135A JP 3216600 A JP3216600 A JP 3216600A JP 21660091 A JP21660091 A JP 21660091A JP H0544135 A JPH0544135 A JP H0544135A
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multifilament
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正明 柳原
Kenji Kawakami
賢治 川上
Hiroyuki Nagai
宏行 長井
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 手切性よく、湿潤時の強力低下がなく、厚み
斑、凹凸感のない粘着テープを得ることのできる基布、
さらには形保持性、生地立ち性のよい基布を得る 【構成】 高配向ポリエステルマルチフィラメント
(A)を芯部とし、その周りに(A)よりも融点が2℃
以上低い低配向ポリエステルマルチフィラメント(B)
が鞘部として交互撚糸状に巻きつき、鞘部のフィラメン
トの少なくとも30%が融着、硬化した部分を有し、下
記式を満足する複合加工糸を少なくとも経糸に用いて製
織する。 400≦De×S×√E≦2,000(但し、8≦E≦
20、90≦De≦170、式中、Deはデニールを、
Sは強度を、Eは切断伸度を表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリエステルマルチフ
ィラメント糸からなる粘着テープ用基布に関し、特に厚
物の粘着テープ用基布に関する。
【0002】
【従来の技術】昨今、粘着テープの需要は増加の一途を
たどっている。その中でもポリエステルマルチフィラメ
ント糸からなる粘着テープは、包装材料や各種組立作業
における一時的な固定保持材や塗装時のしきり材として
多く使用されている。この理由としては、取扱性の良
さ、すなわち手切性の良さ、接着性能の良さが考えられ
る。
【0003】粘着テープに要求される特性の一つとし
て、幅方向に手で容易に引き裂けること、すなわち手切
性がある。通常、衣料用に用いられる糸条は伸度が高
く、また産業資材、例えばタイヤコード、漁網に用いら
れる糸条は強度が高く、上記特性の点から粘着テープ用
基材に適したポリエステル糸はなかった。
【0004】かかる手切性を向上させるため、基布の経
糸に共重合変性ポリエステルフラットヤーンを使用する
こと(特開昭58−91845号公報)、基布の経糸に
高速紡糸したポリエステル高配向未延伸糸を熱延伸して
得た低伸度、低タフネスポリエステルフィラメントを用
いること(特開昭61−218676号公報)、伸度を
27%以下とし無糊、無撚で製織可能な交絡を付与した
ポリエステルマルチフィラメントを用いること(特公昭
64−11736号公報)などが提案されている。
【0005】しかしながら、これらの提案は、いずれも
フラットヤーン使いの基布を用いた、いわゆる薄物の粘
着テープに関するものであり、かかる薄物の粘着テープ
では貼り付けた後の見栄えがよいこと、凹凸感がないこ
となどの利点がある反面、柔らかいために貼り付ける際
にしわが生じやすく、貼付作業性が悪くなるという問題
が生ずる。
【0006】このような薄物の粘着テープの問題点を解
消しようとして厚物の粘着テープも開発されている。厚
物の粘着テープ用糸としては、従来、レーヨンスフを用
いた紡績糸が使用されている。
【0007】ところで、前記特公昭64−11736号
公報に開示されたポリエステルマルチフィラメント糸
は、無糊、無撚で使用することを前提として手切性をよ
くしたものである。従って、無撚のため糸条が偏平化し
厚みがでない。さらに、交絡を利用していることから糸
の長手方向に沿って、締まった部分(交絡部)と開いた
部分(開繊部)とが存在し、両者の物性差から厚み斑が
生じる。しかも、交絡部が往々にして製織中に消滅し、
期待するほどの伸度低下とならず、不均一な物性、形態
を生み出す原因となって品質低下をきたすことがあるほ
かに、手切性も未だ充分なものとはいえない。さらに、
複合交絡糸を製織して得られるガーゼ状布帛に腰があっ
て粘着剤が入りやすいこと、すなわち生地立ち性がよい
ことがのぞましいがこの点でも未だ充分でない。
【0008】レーヨンスフ紡績糸を基布に用いた厚物粘
着テープは、貼付作業性が良好である反面、湿潤時の強
力が乾燥時に較べ45〜55%に低下すること、基布に
厚み斑が生ずること、表面がフラットでなく凹凸感があ
り見栄えが良くないこと、接着剤の付着量が過大になり
やすいことなどの問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の課題を背景になされたもので、前記問題点を解消
し、貼付作業性、手切性が良好で、湿潤時の強力低下が
なく、厚み斑、凹凸感のない外観の良好な粘着テープと
することのできる基布、さらに、交絡によらず、無糊、
無撚の状態で製織され、しかも断面方向の形(立体構
造)保持性ならびに幅方向の生地立ち性が改善された粘
着テープ用基布を提供することにある。また、粘着剤の
「乗り」、いわゆる包摂性が改善された粘着テープ用基
布を提供することにある。
【0010】
〔式中、Deはデニールを、Sは強度(g/de)を、Eは切断伸度(%)を示す。〕
【0011】本発明で少なくとも経糸として用いられる
複合加工糸は、高配向ポリエステルマルチフィラメント
(A)を芯部とし、その周りに(A)よりも融点が2℃
以上低い低配向のポリエステルマルチフィラメント
(B)が鞘部として交互撚糸状に巻き付き、さらに鞘部
のフィラメントの少なくとも30%が互いに融着、硬化
した部分を有する。この融着、硬化によりサイジング効
果に匹敵する集束効果を発現し、必ずしも交絡を必要と
せず無糊、無撚における製織性が増す。しかも、該複合
加工糸からなる粘着テープ用基布はその断面方向の形保
持性ならびに幅方向の生地立ち性が著しく改善され、手
切性も改善される。
【0012】芯部を構成する高配向ポリエステルマルチ
フィラメント(A)において、ポリエステルとしては、
その繰り返し単位の95モル%以上がエチレンテレフタ
レートで構成されたものが好ましく、5モル%未満は他
の成分が共重合されていてもよい。該他の成分として
は、例えば酸成分として、フタル酸、イソフタル酸、ア
ジピン酸、シュウ酸、セバシン酸、スベリン酸、グルタ
ル酸の如き二塩基酸を挙げることができる。
【0013】また、該高配向ポリエステルマルチフィラ
メント(A)としては、その未延伸糸の複屈折率(Δ
n)が0.03〜0.08のものが好ましい。芯糸の未
延伸糸のΔnが0.03未満では、延伸同時仮撚加工時
耐熱性が悪く熱劣化しやすく、そのため断糸が生じやす
い。一方、Δnが0.08を超えると結晶化が促進され
る結果、延伸同時仮撚加工時に結晶が部分的に破壊され
分子鎖の再配列を必要とするため毛羽、断糸が極めて多
く、特に本発明の規定する物性値を得ることが困難とな
り好ましくない。
【0014】また、芯部の高配向ポリエステルマルチフ
ィラメント(A)は、単糸デニール1.0〜5.0デニ
ールが好ましく、断面形状は通常の円形のみならず異形
断面でもよい。また、該マルチフィラメント(A)は、
2種以上のポリエステルフィラメントからなる混繊糸で
もよいが、各フィラメントは互いに融着していないこと
が好ましい。
【0015】一方、鞘部を構成するマルチフィラメント
(B)は、前記(A)よりもその融点が2℃以上低いこ
とを要する。この融点差が2℃未満では、鞘糸のみを融
着させることが難しくなる。鞘糸部に使用されるポリエ
ステルとしては、例えば5−ナトリウムスルホイソフタ
ル酸、イソフタル酸、ジエチレングリコール、ブタンジ
オール、ヘキサンジオールなどを1〜20モル%ポリエ
チレンテレフタレートに共重合させたポリエステルを挙
げることができる。
【0016】また、このマルチフィラメント(B)は、
その未延伸糸の複屈折率(Δn)が0.008〜0.0
15のものが好ましい。かかる範囲のマルチフィラメン
トを使用すると鞘部のフィラメントの少なくとも30%
が互いに融着、硬化した部分を有する糸条を得ることが
できる。
【0017】かかる複合加工糸において、その鞘部は芯
部の周りに交互撚糸状、好ましくは連続的に交互反転し
ながら巻きついている。そして鞘部と芯部の境界部にお
いて、好ましくは互いに混合交錯して交絡部を形成し、
これにより加工時における鞘糸によるネップの発生がな
くなり、長さ方向に均一に分配された複合加工糸が得ら
れ、さらに鞘部が芯部と分離することなく糸条として一
体性を保つことができる。融着状況、集束状況から、複
合加工糸の捲縮性能(T.C)は3〜10%とすること
が好ましい。
【0018】また、該鞘部を構成するフィラメントの少
なくとも30%が互いに融着していることが必要であ
り、50%以上融着していることが好ましい。本発明に
おいては、ポリエステルマルチフィラメント中における
融着、硬化したフィラメントの割合が重要である。鞘部
の少なくとも30%が融着、硬化した部分を有し、かつ
このような部分がマルチフィラメント糸の単位長さに対
して70%以上の長さにわたって存在していれば所望の
目的が達成される。
【0019】本発明において融着とは、個々のフィラメ
ントが溶融し隣り合うフィラメントと一体化した状態
か、一体化に至らないまでもフィラメント同士の境界面
で密着し分離しがたい状態をいう。
【0020】次に、融着部の割合(構成フィラメント数
に対する融着、硬化フィラメントの割合)の判定方法に
ついては、任意に選んだ複合加工糸1mを10cm間隔
で切断した10本の切断糸を各々パラフィンに包埋し、
ミクロトームで5〜10μmの厚さの断面を1枚ずつ、
計10枚のプレパラートを作成し、1枚毎に全断面積と
融着部の断面積を求め、下記式(4)で求めた融着部の
割合の10枚の平均値で判定する。 融着部の割合(%)=〔(融着部断面の面積)/(全断
面の面積)〕×100・・・・・(4)
【0021】また、マルチフィラメント糸の単位長さに
対する融着部の割合は、次のように行う。すなわち、任
意に選んだ複合加工糸1mを5cm間隔で切断した20
本の切断糸を各々パラフィンに包埋し、ミクロトームで
5〜10μmの厚さの断面を1枚ずつ、計20枚のプレ
パラートを作成し、各々のプレパラートについて、融着
部の有無を測定した後、下記式(5)で単位長さに対す
る融着部の割合を求める。 単位長さに対する融着部の割合(%)=(融着部を有す
るプレパラートの枚数/20)×100・・・・・
(5)
【0022】本発明においては、前記のように、ポリエ
ステル複合加工糸において、仮撚状態で融着処理され、
その構成フィラメントの鞘部の少なくとも30%が融
着、硬化しているため、サイジング効果に匹敵する集束
性を呈し、しかも該糸からなる粘着テープ用基布はその
断面方向の形保持性ならびに幅方向の生地立ち性が著し
く改善される。
【0023】本発明で用いられる複合加工糸において
は、鞘糸を構成するフィラメント群の一部は、ループ、
弛み、あるいは毛羽としてマルチフィラメント表面から
浮き出ており、粘着剤の保持効果、すなわち包摂効果を
促進する。つまり、融着、硬化フィラメント糸が経糸お
よび/または緯糸として配されたとき、前記ループある
いは弛みが織り目空間に張り出して粘着剤の付与率、保
持性を向上させるのである。
【0024】本発明において用いられる複合加工糸は、
厚物の粘着テープの手切性を向上させるため、下記式
(1)〜(3)で表される条件を満足することが必要で
ある。 400≦De×S×√E≦2,000・・・・(1) 8≦E≦20 ・・・・(2) 90≦De≦170 ・・・・(3) 〔式中、Deはデニールを、Sは強度(g/de)を、
Eは切断伸度(%)を示す。〕
【0025】De×S×√E(引き裂き強度指数)およ
び切断伸度が前記範囲を超えると粘着テープの手切性が
悪化し、引き裂き後の切り口にほつれが生じ、美しい切
り口が得られない。一方、前記範囲に満たない場合、製
造工程で断糸、毛羽が多発し、安定して製造するのが困
難である。
【0026】また、複合加工糸の繊度は、粘着テープの
手切性性、厚みなどの観点から90〜170デニールと
する。強度は1.5〜2.5g/deが好ましい。
【0027】このような複合加工糸の代表的な製造方法
としては、高速紡糸法によって得た複屈折率(Δn)が
0.03〜0.08のポリエステル高配向未延伸糸
(A)と、複屈折率(Δn)が0.008〜0.015
のポリエステル低配向未延伸糸(B)とを合糸して前交
絡した後、同時延伸仮撚加工に付して、芯−鞘構造、つ
まり伸度の低いフィラメント糸を芯部としてこの周りに
伸度の高い糸が鞘部として交互撚糸状態で巻きついた構
造の複合加工糸を得る方法(特公昭61−19733号
公報)を挙げることができる。
【0028】この場合、ヒーター温度は高めに設定する
必要があり、また芯糸および鞘糸はトータルデニール、
フィラメント本数の好ましい範囲は次の表1のとおりで
ある。
【0029】
【表1】
【0030】同時延伸仮撚加工においては、起毛機能を
兼備した仮撚具を使用することが本発明で規定する引き
裂き強度指数を得るためにはより好ましい。加工倍率を
上昇させて強伸度の低下をはかるよりも、起毛具を設置
する方が強伸度を自由にコンロールでき、工程断糸の増
加がなく安定した生産が可能であるためである。
【0031】このような仮撚具の具体例としては、複数
個の円板摩擦体を装着した3本またはそれ以上の軸を、
各軸の円板が互いに部分的に重合交叉し、螺旋に沿って
位置するように平行に設け、その際複数個の円板摩擦体
を糸に仮撚のみを入れる施撚摩擦体と、糸に毛羽を与え
る起毛摩擦体(起毛デイスク)とから構成したものを挙
げることができる。
【0032】しかし、起毛具を仮撚具と別に設けてもよ
いことはいうまでもない。起毛具としては、例えば特公
昭46−19743号公報、特公昭49−38379号
公報、特公昭48−7891号公報、特公昭48−31
942号公報などに示される回転ないし固定の粗面体も
しくは切断刃が有利に使用される。そして、このような
起毛具は、通常仮撚捲縮機のヒーター出口端と仮撚具の
間の冷却ゾーンに設ける。
【0033】仮撚装置は、外接式摩擦仮撚装置で仮撚捲
縮加工条件は従来採用されている範囲で適宜選定すれば
よい。
【0034】また、複合加工糸の製造方法として、同一
方向に回転する平行3本以上の回転軸に複数個の円板摩
擦体を部分的に重合、交叉するように設けた仮撚加工装
置であって、円板摩擦体の表面粗度が7〜30Sである
摩擦式仮撚装置を用いて、最大延伸比の73〜85%の
延伸比で加熱延伸すると共に円板摩擦体の回転速度と糸
条速度の比(D/Y)を2.4以上にして、延伸同時仮
撚加工(同時に起毛加工)し、次いで、流体交絡処理を
施す方法を挙げることができる。
【0035】円板摩擦体の表面粗度およびD/Yを前記
のようにすることにより、ポリエステル繊維表面が積極
的に擦過される。その結果、得られる複合加工糸は低強
度、低伸度となりやすく、前記式(1)〜(3)を満足
する複合加工糸が容易に得られる。
【0036】円板摩擦体の表面粗度が7S未満である
と、ポリエステル繊維表面を積極的に擦過することがで
きず、低強度、低伸度化が困難で本発明で規定する物性
の複合加工糸を得ることが困難である。一方、表面粗度
が30Sを超える場合には、粗度のバラツキが大きくな
り、その結果得られる複合加工糸の強伸度などのバラツ
キが大きくなって満足のいく品質のものが得られない。
【0037】次に、延伸比は、最大延伸比の73〜85
%とすることが好ましい。最大延伸比の73%未満では
低伸度化することが困難である。一方、最大延伸比の8
5%を超える場合には延伸同時仮撚加工時、断糸が多発
し、得られる複合加工糸に毛羽が多数存在することにな
り好ましくない。
【0038】本発明で規定する物性値を有する複合加工
糸を得るには、前記方法のほか、極限粘度の低いポリエ
ステルを使用する方法、特定の紡糸、延伸条件を採用す
る方法、擦過体により擦過処理する方法など、従来公知
の方法を用いることもできる。
【0039】なお、本発明で用いられる鞘糸の少なくと
も30%が互いに融着、硬化した部分を有する複合加工
糸の製造方法は、前記方法に限定されるものではなく、
他の方法を用いてもよい。
【0040】本発明の粘着テープ用基布は、テープの用
途、目的に応じて、このようにして得られた複合加工糸
を経糸(および緯糸)に配して製織して得られる。この
時の経糸および緯糸の密度は、複合加工糸のデニールに
もよるが、前者は23〜90本/インチ、後者は14〜
70本/インチの範囲から選定すればよい。
【0041】また、経糸と緯糸は必ずしも同一デニール
である必要はないが、経糸の直径と緯糸の直径の和が
0.1mm以上になることが好ましい。
【0042】このような粘着テープ用基布を用いて粘着
テープを作成する場合には、常法により、基布の一方の
面には熱可塑性合成樹脂、例えばポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリエステル、アクリル樹脂、PVC、特に
それらのフィルムをラミネートし、他方の面には粘着剤
を塗布すればよい。
【0043】
【作用】本発明に用いられる複合加工糸においては、鞘
糸の少なくとも30%が互いに融着、硬化した部分を有
することから、仮撚時の実撚形態が解撚側で残留する
か、部分的に残留するか、またはほとんど解撚された状
態であっても、一部の融着によってマルチフィラメント
糸全体の開繊を極力抑えることで、通常のフィラメント
糸やウーリー糸に比べはるかに厚い粘着テープ用基布を
得ることができる。
【0044】また、本発明においては、実撚を施したマ
ルチフィラメント糸をフィラメントの一部または全部を
融着させることで、糸の断面方向の形保持性を改善し、
糸条の強伸度を低下させることで手切性を向上させ、一
石二鳥の効果が得られる。
【0045】さらに、構成フィラメントが融着している
ことは、糸全体の硬化につながり、得られる基布の生地
立ち性も改善され、粘着テープの貼付作業性が向上す
る。
【0046】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明する。なお、実施例中、各特性値の測定は下記に従
った。 融点(℃) 示差走査熱量計(デユポン社製、990型)を用い、昇
温速度20℃/分、チッソ雰囲気下、チップ状サンプル
10mgで測定した。なお、サンプルは、一度290℃
まで昇温溶融したのち氷水中で急冷したものを再昇温
し、その融解ピーク値を融点とした。
【0047】鞘糸の融着率(%) 前記、融着部の割合判定方法に従った。 複合加工糸の強度(S)、切断伸度(E) JIS L−1013−75に準じて測定した。 糸(複合加工糸)の直径(mm) EIKO INDUSTRIAL CO.LTD製、D
IAL THICKNESS、GAUGE、通称ピーコ
ックを用いて、10cm間隔で20回測定し、その平均
値で表す。 基布の引き裂き強力 織物中の経糸もしくは緯糸に沿って幅3cm、長さ30
cmの長方形を5枚作成し、インストロン引張測定機を
用いて、試験長10cm、引張速度20cm/分、最大
荷重チャック固定長、上下各5cm、初荷重は織物がた
るまない程度にかける。測定スタートから織物が切断す
るまでの伸びと荷重を記録し、破断時の最大荷重を読み
取りその値をkg/2.5cmで表す。同じ測定を5回
繰り返しその平均値で表した。
【0048】粘着テープの手切性の評価 ○:極めて簡単に引き裂くことができる。 △:引き裂くことがやや困難。 ×:簡単に引き裂くことができない。 貼付テープの外観(生地立ち性)の評価 ○:表面がフラットで凹凸斑全くなし。生地立ち性良
好。 △:やや凹凸感あり。 ×:凹凸、厚み斑が大きく、生地立ち性の斑大。
【0049】実施例1〜6 切断伸度が130%、複屈折率(Δn)0.045の高
配向ポリエチレンテレフタレート(PET)マルチフィ
ラメントと、切断伸度が300%、複屈折率(Δn)
0.010の表2に示す共重合成分を共重合したポリエ
チレンテレフタレートからなる低配向マルチフィラメン
トとを引き揃え、図1に示した装置で交絡処理および延
伸仮撚起毛加工を行った。その際の仮撚延伸倍率と仮撚
温度は表2のとおりに設定した。また、仮撚具の起毛デ
イスクの有無を表2に記した。三軸フリクションデイス
クの加工速度を350m/分として複合加工糸を得た。
得られた複合加工糸の引き裂き強度指数、鞘糸の融着
率、物性、加工断糸、直径を測定した。結果を表2に示
す。
【0050】得られた複合加工糸を経糸および緯糸に用
い、経糸密度50本/インチ、緯糸密度35本/インチ
で無糊、無撚で織成し、得られた生機を基布として、厚
さ70μmのポリエチレンフィルムを溶融押出して、基
布の表側に貼り合わせてラミネートとした。その時のフ
ィルムと基布を合わせて厚み(テープ厚み)を測定し
た。このラミネートした基材の表側に離型剤、裏側にア
クリル酸樹脂系の接着剤を付与して粘着テープを作成し
た。得られた粘着テープの手切性、貼付テープの外観を
調べた。その結果を表2に示す。
【0051】比較例1〜4 延伸倍率または仮撚温度を表2記載の条件にかえるほか
は実施例1と同様にして複合加工糸を得、この複合加工
糸を使用して実施例1と同様にして基布を得、粘着テー
プを作成した。複合加工糸の特性値、粘着テープの特性
を表2に示す。
【0052】比較例5〜7 延伸倍率または仮撚温度を表2記載の条件にかえるほか
は実施例4と同様にして複合加工糸を得、この複合加工
糸を使用して実施例4と同様にして基布を得、粘着テー
プを作成した。複合加工糸の特性値、粘着テープの特性
を表2に示す。
【0053】比較例8 鞘糸として共重合成分を含まないPETマルチフィラメ
ントを使用し、表2記載の加工条件に変えるほかは実施
例1と同様にして複合加工糸を得、粘着テープを得た。
このときの結果を表2に示す。
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、交絡にたよらなくても
無糊、無撚の状態で製織され、しかも断面方向の形保持
性および幅方向の生地立ち性が著しく改善された粘着テ
ープ用基布、さらには粘着剤の乗り、いわゆる包摂性が
著しく改善された粘着テープ用基布が提供される。厚物
の粘着テープの分野にあって、これまでレーヨンスフの
紡績糸を基布とするものしかなかったことを考えると本
発明の意義は多大なものがある。
【0055】すなわち、従来の厚手粘着テープ用基布に
は、レーヨンスフを用いた紡績糸が用いられていた。紡
績糸の場合、精紡の場合、実撚をかけながら短繊維を糸
条に形成するので実撚形態からくる丸みが糸条を偏平化
しにくく、厚さが保持できる。また、レーヨンスフは、
切断伸度もたかだか15%程度で手切性もよい。しかし
ながら、温度依存性が大きく、高温多湿の環境では繊維
が吸湿し、物性の低下や接着性能の低下となる。また、
雨水や結露など一時的に多量の水分が付着した場合など
繊維中に水がしみこみ、性能低下がより大きくなる欠点
がある。本発明では、温湿度依存性が殆どないポリエス
テルマルチフィラメントを用いて厚手粘着テープ用基布
が提供される。
【0056】さらに、本発明の粘着テープ用基布を用い
ると、貼付作業性がよく、しかも厚さ斑、凹凸感のな
い、外観の良好な粘着テープを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で使用した複合加工糸を製造する装置
を示す概略図である。
【符号の説明】
1、1′ 原糸 2 ガイド 3 張力調整装置 4 フィードローラー 5 空気噴射ノズル 6 第1デリベリーローラー 7 ヒーター 8 仮撚具 9 第2デリベリーローラー 10 チーズ
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D02G 3/38 7199−3B 3/44 7199−3B D02J 3/02 J 7199−3B D03D 15/00 A 7199−3B

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高配向ポリエステルマルチフィラメント
    (A)を芯部とし、その周りに(A)よりも融点が2℃
    以上低い低配向のポリエステルマルチフィラメント
    (B)が鞘部として交互撚糸状に巻き付き、さらに鞘部
    のフィラメントの少なくとも30%が互いに融着、硬化
    した部分を有し、下記式(1)〜(3)で表される条件
    を満足する複合加工糸を少なくとも経糸として用いたこ
    とを特徴とする粘着テープ用基布。 400≦De×S×√E≦2,000・・・・(1) 8≦E≦20 ・・・・(2) 90≦De≦170 ・・・・(3) 〔式中、Deはデニールを、Sは強度(g/de)を、
    Eは切断伸度(%)を示す。〕
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009133046A (ja) * 2007-11-29 2009-06-18 Pt Polyfin Canggih 布粘着テープ基布用複合仮撚加工糸及びその製造方法及び厚手粘着テープ基布

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