JP2509003B2 - テ―プ基材 - Google Patents

テ―プ基材

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JP2509003B2
JP2509003B2 JP3021468A JP2146891A JP2509003B2 JP 2509003 B2 JP2509003 B2 JP 2509003B2 JP 3021468 A JP3021468 A JP 3021468A JP 2146891 A JP2146891 A JP 2146891A JP 2509003 B2 JP2509003 B2 JP 2509003B2
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勝行 笠岡
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱可塑性合成繊維のフラ
ットヤーンからなるテープ基材、特にプリントネーム、
衣料用テープ、絶縁テープ、粘着テープ用として有用な
テープ基材に関する。
【0002】ここで、“フラットヤーン”とは、捲縮を
有しないフィラメントヤーンを意味する。
【0003】
【従来の技術】昨今、プリントネーム、衣料用テープ、
絶縁テープ、粘着テープの需要は増加の一途をたどって
いる。そのなかでも、ポリエステルマルチフィラメント
糸からなる粘着テープは包装材、又塗装時のしきり材と
して多く使用されている。この理由としては、取扱性の
良さすなわち手切性の良さ、接着性能の良さが考えられ
る。特公昭64−11736号公報には伸度を27%以
下とし、無糊、無撚で製織可能な、交絡を付与したポリ
エステルマルチフィラメント糸を用いて手切性に優れた
薄手の基材テープを得ることが提案されている。一方、
厚手基材テープ用としてはレーヨン、スフを用いた紡績
糸が使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】所で、前掲の特公昭6
4−11736号公報に開示されたポリエステルマルチ
フィラメント糸は無糊、無撚で使用することを前提とし
て、手切性を良くしたものである。従って、無撚のため
糸条が扁平化し厚みが出ない欠点がある。更に、“交
絡”を利用していることから、糸の長手方向に沿って、
締まった部分(交絡部)と開いた部分(開繊部)とが存
在し、両者の物性差から厚み斑が生じる。しかも、交絡
部が往々にして製織中に消滅し期待するほどの伸度低下
とならず、不均一な物性、形態を生みだす原因となって
品質低下をきたすことがある外に、手切性および“生地
立ち性”の面でも未だ充分なものとは言えなかった。
【0005】従って、本発明の目的は、交絡によらず、
無糊・無撚の状態で製織され、しかも断面方向の形(立
体構造)保持性並びに幅方向の生地立ち性が著しく改善
されたテープ用基材を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために鋭意研究した結果、以下のような驚
くべき、かつ従来の概念からは予測だにできなかった事
実を発見した。この事実とは、熱可塑性合成繊維のフラ
ットヤーンにおいて、その構成フィラメントの数本が互
いに融着・硬化しているだけで、交絡効果に匹敵する集
束性を呈し、しかも該糸からなるテープ用基材はその断
面方向の形保持性(立体構造)並びに幅方向の生地立ち
性が著しく改善されるという事実である。
【0007】かくして、本発明によれば、少なくとも一
部のフィラメント群が互いに融着・硬化した部分を有し
且つ4%〜25%の伸長切断伸度を有する熱可塑性合成
繊維のフラットヤーンを経糸及び/又は緯糸に配してな
ることを特徴とするテープ基材が提供される。
【0008】本発明で用いる用語、語句は以下の定義に
従う。
【0009】 融着・硬化の判定、および構成フィラ
メント数に対する融着・硬化フィラメントの割合の判定
法 ここで、融着とは個々のフィラメントが溶融し隣り合う
フィラメントと一体化した状態か一体化に至らないまで
もフィラメント同糸の境界面で密着し分離しがたい状態
をいう。次に融着の割合判定方法については、任意に選
んだ融着糸1mを10cm間隙で切断した10本の融着糸
を各々パラフィンに包埋しミクロトームで5〜10ミク
ロンの厚さの断面を1枚づつ系10枚のプレパラートを
作製し1枚ごとに全断面積と融着部の断面積を求め下記
の式で求めた融着部の割合の10枚の平均値で判定す
る。
【0010】融着部の割合(%)=(融着部断面の面積
/全断面の面積)×100 マルチフィラメント糸の単位長さに対する融着・硬
化したフィラメントの存在割合の判定法 任意に選んだ融着糸1mを5cm間隙で切断した20本の
融着糸を各々パラフィンに包埋しミクロトームで5〜1
0ミクロンの厚さの断面を1枚づつ計20枚のプレパラ
ートを作製し各々プレパラートについて融着部の有無を
測定した後次の式で単位長さに対する融着部の割合を求
める。
【0011】単位長さに対する融着部の割合(%)=
(融着部を有するプレパラートの枚数/20枚のプレパ
ラート)×100 伸長切断強力 任意に採集した40cmの長さの融着糸を5本用意し、イ
ンストロン引張測定機で試験長20cm,引張速度20cm
/分、チャック固定長上下各5cm,初荷重1/100g
/de(1/100g/deの初荷重を掛けた時点でチ
ャート上では応力(g)を零点に又、伸度(%)を零点
とする)最大荷重2kgに設定した後、測定を行いスター
トから融着糸が切断するまで強力を記録させ切断点の強
力(g)を記録計より読み取る。同じ測定を5回繰返し
その5回の平均値で表わす。
【0012】 伸長切断伸度 伸長切断力の測定と同時に伸度も記録させ、測定スター
トから切断点までの伸びを記録計より読取り次の式で伸
度を表わす。
【0013】伸度(%)=100×(切断時の試料の長
さ(cm)−試験長(cm)/試験長(cm)) 同じ測定を5回繰返しその平均で伸度を表わす。
【0014】 テープ基材の切断伸度 織物中の縦糸もしくは横糸に沿って幅3cm,長さ30cm
の長方形を5枚作製し、インストロン引張測定機を用い
て、試験長10cm,引張速度20cm/分,最大荷重チャ
ック固定長、上下各5cm,初荷重は織物がたるまない程
度に掛ける。祖測定スタートから織物が切断するまでの
伸びと荷重を記録し、最大荷重時の伸びを読取り次の式
で表わす。
【0015】切断伸度(%)=100×(最大荷重時の
試料の長さ(cm)−試験長(cm)/試験長(cm)) 同じ測定を5回繰返しその平均で伸度を表わす。
【0016】本発明は、前述のように、フラットヤーン
を構成するフィラメントの数本が融着・硬化しているだ
けで、交絡効果以上の集束性を呈し、しかも該糸からな
るテープ用基材はその断面方向の形保持性(立体構造)
並びに幅方向の生地立ち性が著しく改善されるという知
見に基づいている。したがって、本発明において熱可塑
性合成繊維のフラットヤーン中での融着・硬化したフィ
ラメント群の割合が重要であるようにも考えられる。し
かし、現実には構成フィラメントの数本(2〜15本)
が融着・硬化し、かつこのような部分がマルチフィラメ
ント糸の単位長さに対して50%以上の長さに亘って存
在していれば、所望の目的が達成されることが判明し
た。この場合、構成フィラメント本数との関係でいえ
ば、該本数に対して3〜50%の本数に相当するフィラメ
ントが融着・硬化していることが好ましい。
【0017】又融着、硬化したフィラメントは内層部、
外層部のいずれかに存在してもよく、糸条の開繊を防ぎ
扁平しにくい状態で存在していることが好ましい。
【0018】以上のような融着、硬化マルチフィラメン
ト糸は、延伸糸を加熱ヒーターで熱処理する、延伸しな
がらその途中で加熱ヒーターで熱処理するか、又は仮撚
装置で仮撚捲縮加工と同じ工程を通すが、ある加工条件
を採用することにより捲縮を有しないフラットヤーンに
することによって製造することができる。以下それぞれ
の製造方法について述べる。
【0019】延伸された熱可塑性合成繊維のフラットヤ
ーン(通常はトータルデニール40〜300de,フィ
ラメントデニール0.4〜10de)を加熱ヒーターに
より融着、硬化させる。この場合、150〜800℃の
接触式ヒーターか、非接触ヒーターで加熱する。その際
のヒーター長は高温では短く、低温度では長くなるが、
一般には生産性の面からは高温で長いヒーターを用いて
加工速度を高くすることが望ましい。
【0020】熱処理ゾーンではできる限りマルチフィラ
メントが集束し、円形に近い状態で熱処理されるほどヤ
ーンには厚味が出る。この意味では、空気乱流ノズル等
でフィラメント同糸を予め交絡させた方がよい。交絡以
外の手段を採る場合には、フィラメントが開繊、分割し
ないように予め糊剤、油剤で集束させるのがよい。又フ
ラットヤーンの直径に近い穴経を有する治具にフラット
ヤーンを通し、そのまま加熱通過させ融着、硬化させて
もよい。糊剤や油剤又は治具を用いない場合は、必要以
上のシゴキを与えたり扁平化しやすいガイドを使用しな
いことが肝要である。熱処理ゾーンでの延伸糸の弛緩率
はマイナス5%からプラス10%程度であればよい。な
お、延伸中の熱処理も上記の方法に準じて行えばよい。
【0021】一方、仮撚装置を用いて融着、硬化したフ
ラットヤーンを得る場合、フリクションディスクを用
いるときは、D/Y(ディスク周速度m/分/糸速度m
/分)を1.9以下、好ましくは1.2〜1.5に設定
する。このD/Y値は通常の捲縮加工の場合に比べて相
当に低く、その機能も単に糸を丸める程度でのものであ
って、そのままの状態で融着、硬化するので、捲縮糸と
ならずフラットヤーンとなる(その際のヒーター温度は
先に述べた150〜800℃を採用すればよい)。すな
わち、この態様は、仮撚装置を利用するが捲縮糸を作る
のでなく仮撚の機構を利用し糸を集束、丸め、厚味を出
すためのものである、スピンドル仮撚装置では仮撚係
数(α)を0.1〜0.7とすることにより捲縮形態を
とらずフラットヤーン状で融着、硬化した糸条が得られ
る。仮撚係数(α)はT・de1/2 /32500で示さ
れ、Tは仮撚数(回/m)、deは延伸糸のデニールを
示す。
【0022】勿論、未延伸糸又は半延伸糸を用いる場合
も本質的には延伸糸を用いる時と同じようにマルチフィ
ラメントの開繊や、分割を防ぎ出来る限り丸味を与えな
がら融着、硬化させることが肝要である。この場合、延
伸領域の中間域に加熱ヒーターを設け融着、硬化させれ
ばよい。未延伸糸は低温でも融着、硬化しやすいが、や
や加工法に劣るきらいがある。
【0023】これとは対照的に、半延伸糸は高温ヒータ
ーを必要とするが、加工性がよく経時変化も少ないので
加工原糸として有用である。仮撚装置を使用する場合も
延伸糸を供し得るが、一般には未延伸糸、半延伸糸を加
工する延伸仮撚(IN−DRAW)方式が望ましい。
【0024】その際の加工原糸としては、熱可塑性合成
繊維のフラットヤーン、例えばナイロン−6、ナイロン
−66などのポリアミド、ポリエチレンテレフタレー
ト、変性ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステ
ル原糸を用いればよい。勿論、これら原糸の100%使
いの外に接合タイプの複合繊維、芯鞘型複合繊維、海島
型複合繊維、あるいは一部が突出するように回転対称複
合繊維を用いることもできる。
【0025】その外、融点差、固有粘度差、伸度差の異
なる素材の組合せを使用すると、特に融着、硬化が安定
に形成される。
【0026】以上の融着、硬化したフラットヤーンは、
切断伸度が4〜25%の範囲にあることが必要である。
特に切断伸度は粘着テープにおいては、テープの手切性
を左右するものであって、特に5〜12%の範囲にある
ことが好ましい。4%未満では衝撃に対し簡単に切れて
しまい、逆に25%を超えると一本のフラットヤーンが
伸長切断に至るまでに他のフラットヤーンの伸びが発生
し、応力が加算され手切性が劣ってくる原因となる。
又、ヤーン全体の伸長切断強力は200〜600g、デ
ニール当りの伸長切断強度は1.0〜4.0g/deの
範囲にあるのが適当である。
【0027】なお、本発明における融着・硬化したフラ
ットヤーンは、上記のものに限定されるものではなく、
他の方法を利用して得たものであってもよい。
【0028】次に、融着・硬化したマルチフィラメント
糸はテープ基材とするために製織に供されるが、この場
合は、テープ基材の用途、目的に応じて経糸および/又
は緯糸に配する。このときの経糸および緯糸密度は、融
着・硬化したマルチフィラメント糸のデニールにもよる
が、糸のデニールが40〜220deの場合、前者は2
3〜90本/吋、後者は14〜70本/吋の範囲から選
定すればよい。又、経糸と緯糸は必ずしも同一デニール
である必要はないが、経糸の直径と緯糸の直径との和が
0.1mm以上になることが好ましい。
【0029】このようなテープ基材を粘着テープに適用
する場合には、常法により基材の一方の面には熱可塑性
合成樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
エステル、アクリル、PVC、特にそれらのフイルムを
ラミネートし、他方の面には粘着材を塗布すればよい。
【0030】
【発明の作用】テープ基材は手切性と粘着性能を考慮
し、ガーゼのような粗い目の透いた織物で形成される。
基材に厚みがあると接着剤は厚く塗布され、反対に薄い
と薄く塗布される。薄い基材の上に厚く接着材を塗布し
ようとするとテープ端から接着材がはみ出して取扱い性
が困難になり、厚みがあると織物の縦糸と横糸のすき間
に充分に接着剤が入り込む。厚みを出すには繊度を上げ
ればよいが、繊度が上がると必要以上に応力(強度)が
増えて手切性が悪くなる。繊度を増さずに撚糸すること
で糸条に丸味をもたせ厚みを出そうとすると撚糸時の撚
縮みが糸条の伸長切断伸度を高くすることとなり、これ
又手切性を悪くする。この点、本発明では同一デニール
の糸でより厚みを出すのに熱可塑性合成繊維の構成フィ
ラメント中の一部又は全部を融着させる。しかも、この
融着により、マルチフィラメント糸全体の固着ないし集
束効果をも発現し、必ずしも交絡を必要とせず、無糊・
無撚で製織に供し得る。この融着によってマルチフィラ
メント糸全体の開繊を極力押えることで、通常の非融着
フィラメント糸やウーリー糸に比べはるかに厚い粘着テ
ープ基材を得ることができる。又、糸の断面方向の型保
持性を改善し、糸条の強伸度が低下することも手切性を
良くすることとなり、一石二鳥の効果が得られる。
【0031】更に、構成フィラメントが融着しているこ
とは、糸全体の硬化にもつながり、得られる基材織物の
生地立性も改善され、作業効率の向上に寄与する。
【0032】
【実施例1】伸長切断伸度が130%のポリエステルマ
ルチフィラメント(225デニール48フィラメント、
三角断面)を、供給ローラ100m/分、延伸ローラ1
70m/分、加熱ヒーター温度270℃(接触プレー
ト、長さ2m)として延伸し、延伸中に融着、硬化させ
て132デニール48フィラメントの融着糸を得た。こ
の融着糸の伸長切断伸度は10%、糸強度2.3g/d
e、開繊部や分割部が全く見られない程に集束したもの
であった。
【0033】糸の直径は0.16mm(測定はEIKO, INDU
STRIAL CO. LTD製、DIAL THICKNESS, GAUGE 、通称ピー
コックを用いて10cm間隙で20回測定、その平均値で
表わす)であった。この融着糸を経糸および緯糸に用
い、経糸密度55本/吋、緯糸密度40本/吋で無糊・
無撚で織成し、得られた生機を基材として厚さ70ミク
ロンのポリエチレンフイルムを溶融押出して基材の表側
に貼り合せてラミネートした。そのときのフイルムと基
材を合せた厚みは0.21mmと厚手であった。このラミ
ネートした基材の表側に離型剤、裏側にアクリル酸樹脂
系の接着剤を付与して粘着テープを作製した。この粘着
テープの手切性は良好で切り口も美しく、引張強力も2
0kg/2.5cmと充分であった。
【0034】
【実施例2】伸長切断伸度が120%のポリエステルマ
ルチフィラメント(288デニール24フィラメント;
十字断面)を用いて、仮撚温度240℃、仮撚延伸倍率
1.75倍、三軸フリクションディスク(D)の周速度
455m/min 、糸加工速度(Y)350m/min (D
/Y=1.3)として加工を用い、融着糸(180デニ
ール24フィラメント)を得た。この融着糸の伸長切断
伸度は10%、糸強度2.0g/d、糸の直径は0.0
9mmであった。この融着糸の形態は仮撚捲縮糸とは全く
異なって、単にフラットヤーンが融着した形態を呈し、
捲縮性能を全く有しないものであった。なお、一般の融
着仮撚糸にあっては、S,Zの交互撚形態をとるが、本
発明の場合、仮撚数も低いこともあって、交互撚形態は
実質的に認められなかった。
【0035】更に、この融着糸を経糸および緯糸に用い
た経糸密度50本/吋、緯糸密度35本/吋で無糊、無
撚で織成し、得られた生機を基材として厚さ70ミクロ
ンのポリエチレンフイルムを溶融押出し基材の表側に貼
り合せてラミネートした。このフイルムと基材を合せた
厚みは0.23mmであって、手切性もすこぶる良好で切
り口も美しく、経方向の引張強力も18kg/2.5cmと
充分であった。
【0036】
【実施例3】伸長切断伸度が130%のポリエステルマ
ルチフィラメント(140デニール24フィラメント,
極限粘度:0.85)と伸長切断伸度が300%のカチ
オン可染糸(140デニール24フィラメント)とを圧
空圧2kg/cm2 、弛緩率1.5%で混繊した後、供給ロ
ーラ速度200m/分、延伸ローラ速度360m/分、
供給ローラと延伸ローラの中間に設けた加熱ヒーター温
度600℃(非接触ヒーター、長さ1.2m)の条件下
で延伸と同時に融着;硬化処理を行い融着糸(155デ
ニール48フィラメント)を得た。この融着糸の伸長切
断伸度は9%、伸長切断強度は高ηヤーンを用いたため
に3.0g/dと高く、糸の直径も0.14mmと太いも
のであった。又開繊部や分割部は見られず、集束性のよ
い丸味のあるものであった。
【0037】更に、この融着糸を経糸密度50本/吋、
緯糸密度35本/吋で無糊で織成し得られた生機を基材
として厚さ70ミクロンのポリエチレンフイルムを溶融
押出し、基材の表側に貼り合せてラミネートした。この
フイルムと基材を合せた厚みは0.26mmと厚く、手切
性も切り口も良好であった。
【0038】
【実施例4】伸長切断伸度が150%のポリエステルマ
ルチフィラメント(155デニール36フィラメント、
丸断面)と、同質の伸長切断伸度350%のポリエステ
ルマルチフィラメント(140デニール36フィラメン
ト、三角断面)とを引揃え、仮撚装置を利用して融着糸
(148デニール、72フィラメント)を得た。その際
の条件は、供給ローラ速度250m/分、引取ローラ速
度500m/分、供給ローラと仮撚ディスクの中間に位
置する加熱ヒーター温度250℃(接触プレート2.5
m)、仮撚フリクションディスクの周速度600m/
分、糸速度500m/分、すなわちD/Yは1.2であ
った。
【0039】このようにして得られた融着糸の形態は仮
撚捲縮糸のそれとは全く異質で、単にフラットヤーン同
士が融着した形態であって、捲縮性能を全く有さないフ
ラットヤーンであった。この融着糸は硬くて倒立性のよ
いものであり、伸長切断伸度は7%、伸長切断強度2.
6g/de、糸直径0.12mmであった。
【0040】更に、この融着糸を経糸密度48本/吋、
緯糸密度32本/吋で無糊で織成し得られた生機を基材
として厚さ70ミクロンのポリエチレンフイルムを溶融
押出し、基材の表側に貼り合せてラミネートした。この
フイルムと基材を合せた厚みは0.25mmと厚く、手切
性も切り口も良好なものであった。
【0041】
【実施例5】25℃のオルソクロロフェノール中での極
限粘度が0.65のポリエステルと98%硫酸中25℃
の相対粘度が2.4のナイロン−6とから、公知の複合
紡糸法を利用して同心円芯鞘型の複合糸を得た。その
際、複合比率はポリエステル70重量%(芯円部)、ナ
イロン−6が30重量%(外円部)、紡糸温度290
℃、紡糸速度1100m/分、延伸速度350m/分、
ホットローラ温度85℃、延伸倍率3.3倍として15
0デニール36フィラメントの延伸糸を製造した後、こ
の複合糸を融着糸とした。その場合の加工条件は供給ロ
ーラ速度200m/分、引取ローラ速度220m/分、
供給ローラと引取ローラの中間に設けた加熱ヒーター温
度は210℃(接触プレート長さ2m)とした。
【0042】得られた融着糸の形態は鞘成分(外円部)
のナイロン−6が隣り合うナイロン−6同士で融着し合
い強固に融着しているが、芯成分のポリエステルは融着
していなかったことから、伸長切断強度も3.5g/d
eと高く、伸長切断伸度は10%、糸直径0.09mmで
あって、マルチフィラメント糸の単位長さに対して70
%以上の融着、硬化部を有していた。
【0043】更に、この融着糸を経糸密度40本/吋、
緯糸密度30本/吋で無糊で織成し得られた生機を基材
として厚さ70ミクロンのポリエチレンフイルムを溶融
押出し、基材の表側に貼り合せてラミネートした。この
フイルムと基材を合せた厚みは0.22mmと厚く、手切
性も切り口も良好であった。
【0044】
【実施例6】実施例5と同様にして得た複合繊維におい
て、紡糸上りの複合未延伸糸(150デニール、36フ
ィラメント,伸長切断伸度300%)と、伸長切断伸度
が130%のポリエステルマルチフィラメント糸(16
0デニール48フィラメント,丸断面)とを圧空圧3kg
/cm2 、弛緩率1.5%で混繊した後、供給ローラ速度
400m/分、加熱ヒーター温度600℃(接触ヒータ
ー、長さ2センチ)、延伸ローラ速度640m/分で延
伸と同時に融着、硬化させた。この段階では伸長切断伸
度は18%であったが、更に低伸度化させるために引続
き延伸ローラを出たあとに第二の加熱ヒーター(温度2
50℃,非接触ヒーターの長さ0.8m)を通すととも
に延伸ローラと第二の延伸ローラで1.15倍の延伸を
行って融着糸(170デニール、72フィラメント)を
得た。この融着糸の伸長切断伸度は7%、伸長切断強度
3。0g/d、糸直径0.13mm、融着部の割合は60
%を越えており、複合未延伸糸のナイロン及びポリエス
テルが融着効果を高めており、従来にない硬い融着糸で
あった。
【0045】更に、この融着糸を経糸密度50本/吋、
緯糸密度35本/吋で無糊で織成し得られた生機を基材
として厚さ70ミクロンのポリエチレンフイルムを溶融
押出し、基材の表側に貼り合せてラミネートした。この
フイルムと基材を合せた厚みは0.30mmと厚く、手切
性も切り口も良好なものであった。又、生地立ち性は全
く申し分がなく、作業性を保証するものであった。
【0046】
【比較例1】伸長切断伸度130%がポリエステルマル
チフィラメント糸(150デニール48フィラメント;
丸断面)と伸長切断伸度が300%のポリエステルマル
チフィラメント糸(150デニール36フィラメント;
三角断面、異形度;1.8)とを引揃えて、仮撚加工を
行った。その際の仮撚温度を180℃、仮撚延伸倍率を
1.7倍、三軸フリクションディスクの周速度を700
m/min 、加工速度を350m/min として、加工して
180デニール84フィラメントの仮撚糸を得た。この
仮撚糸は全く融着部分が無く伸長切断伸度は20%、糸
強度は3.5g/d、糸の直径は0.03mmであった。
この仮撚糸を経糸密度50本/吋、緯糸密度35本/吋
で無糊、無撚で織成し得られた生機を基材として厚さ7
0ミクロンのポリエチレンフイルムを溶融押出して基材
の表側に貼り合せてラミネートした。そのときのフイル
ムと基材を合せた厚みは0.13mmと薄く、厚手粘着テ
ープとほど遠い薄手粘着テープであった。
【0047】
【比較例2】伸長切断伸度130%ポリエステルマルチ
フィラメント(225デニール48フィラメント、三角
断面)を供給ローラ100m/分、加熱ヒーター温度1
80℃(接触プレート、長さ2m)、延伸ローラ速度1
70m/分で熱処理を行って比較糸を得た。
【0048】この比較糸(140デニール48フィラメ
ント)は融着、硬化しておらず、延伸倍率1.7倍に対
し伸長弾性回復が発生し、簡単に開繊、分割するような
柔らかい形態のものであった。又、この比較糸の伸長切
断伸度は20%、伸長切断強度は4.1g/dであった
が、糸直径が0.02mmと全く細く、テープ基材として
不適なものであった。
【0049】
【参考例】参考例レーヨン紡績糸177デニール(30
番)を経緯に用いた基材に同じ用に70ミクロンのポリ
エチレンフイルムを溶融押出し作製したラミネートの厚
さが0.20mmであることから、本発明の融着糸の厚さ
は充分すぎる程の厚さを有するものであった。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、従来、テープ基材用の
素材を得る際慣用されていた交絡手段に頼らなくても、
無糊・無撚の状態で製織され、しかも断面方向の形保持
性(立体構造)並びに幅方向の生地立ち性が著しく改善
されたテープ用基材、更には、樹脂あるいは粘着材の
“乗り”いわゆる包摂性が著しく改善されたテープ用基
材が提供される。
【0051】又、厚手の粘着テープの分野にあって、こ
れまでレーヨンスフの紡績糸しかなかったことを考える
と、本発明の意義は多大のものがある。すなわち、単に
レーヨンスフの紡績糸に相当するデニールの熱可塑性合
成繊維フラットヤーンを選ぶだけで、同等の特性、更に
はレーヨンの欠点とされていた温湿度依存性がなくな
る。この点について、更に述べると、従来の厚手粘着テ
ープの基材にはレーヨンスフを用いた紡績糸が用いられ
ていた。紡績糸の場合、精紡の場合、実撚を掛けながら
短繊維を糸条に形成するので実撚形態からくる丸味が糸
条を扁平化しにくく厚さが保持できる。又レーヨンスフ
は伸長切断伸度も高々15%程度で手切性も良い。しかし
ながら、湿度依存性が大きく高温多湿の環境では繊維が
吸湿し物性の低下や接着性能の低下となる。又、雨水や
結露など一時的に多量の水分が付着した場合など繊維中
に水がしみこみ性能低下がより大きくなる欠点がある。
本発明では湿度依存性が殆んどないポリエステルマルチ
フィラメントを用いて厚手粘着テープ用基材が提供され
る。
【0052】以上のことから、本発明は、以下の(a)
〜(o)の態様を含むものである。 (a)構成フィラメント本数の3〜50%が融着・硬化
しているフラットヤーンからなるテープ基材。 (b)融着・硬化したフィラメント群がマルチフィラメ
ント糸の単位長さの50%以上の長さに亘って存在する
テープ基材。 (c)融着・硬化したフィラメント群がマルチフィラメ
ント糸の比較的外周部に存在するテープ基材。 (d)構成フィラメントの鞘部同士が少なくとも融着し
ているフラットヤーンからなるテープ基材。 (e)構成フィラメントの少なくとも一部に異形断面フ
ィラメントを含むフラットヤーンからなるテープ基材。 (f)熱可塑性合成繊維の融着フラットヤーンの伸長切
断強力が200〜600gであること。 (g)熱可塑性合成繊維の融着フラットヤーンの伸長切
断強度が1.0〜4.0g/deであること。 (h)熱可塑性合成繊維の融着フラットヤーンの伸度が
5〜12%であること。 (i)熱可塑性合成繊維の融着フラットヤーンの直径が
0.05mm以上であること。 (j)縦糸と横糸との直径の和が0.1mm以上であるテ
ープ基材。 (k)熱可塑性合成繊維の融着フラットヤーンに疎水性
の樹脂を含浸してなるテープ基材。 (l)一方の面には熱可塑性樹脂が融着・接着され、他
方の面には粘着材が付与されているテープ基材。 (m)熱可塑性樹脂のフイルムがラミネート状態で融着
・接着されているテープ基材。 (n)粘着材が合成樹脂系及び/又は天然ゴム系である
テープ基材。 (o)融着・硬化したポリエステルマルチフィラメント
糸が配された方向の切断伸度が25%以下であるテープ
基材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D03D 15/00 D03D 15/00 G

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一部のフィラメント群が互い
    に融着・硬化した部分を有し且つ4%〜25%の伸長切
    断伸度を有する熱可塑性合成繊維のフラットヤーンを経
    糸及び/又は緯糸に配してなることを特徴とするテープ
    基材。
  2. 【請求項2】 フラットヤーン全体が仮撚によって丸味
    を付与されている請求項1記載のテープ基材
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JPS5398448A (en) * 1977-02-04 1978-08-28 Mitsubishi Rayon Co Method of manufacture of yarn to be textured in hard twist hand
JPS61218676A (ja) * 1985-03-25 1986-09-29 Asahi Chem Ind Co Ltd 粘着テ−プ用基布

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