JP2509003C - - Google Patents

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JP2509003C
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は熱可塑性合成繊維のフラットヤーンからなるテープ基材、特にプリン
トネーム、衣料用テープ、絶縁テープ、粘着テープ用として有用なテープ基材に
関する。 ここで、“フラットヤーン”とは、捲縮を有しないフィラメントヤーンを意味
する。 【0002】 【従来の技術】 昨今、プリントネーム、衣料用テープ、絶縁テープ、粘着テープの需要は増加
の一途をたどっている。そのなかでも、ポリエステルマルチフィラメント糸から
なる粘着テープは包装材、又塗装時のしきり材として多く使用されている。この
理由としては、取扱性の良さすなわち手切性の良さ、接着性能の良さが考えられ
る。特公昭64−11736号公報には伸度を27%以下とし、無糊、無撚で製
織可能な、交絡を付与したポリエステルマルチフィラメント糸を用いて手切性に
優れた薄手の基材テープを得ることが提案されている。一方、厚手基材テープ用
としてはレーヨン、スフを用いた紡績糸が使用されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 所で、前掲の特公昭64−11736号公報に開示されたポリエステルマルチ フィラメント糸は無糊、無撚で使用することを前提として、手切性を良くしたも
のである。従って、無撚のため糸条が扁平化し厚みが出ない欠点がある。更に、
“交絡”を利用していることから、糸の長手方向に沿って、締まった部分(交絡
部)と開いた部分(開繊部)とが存在し、両者の物性差から厚み斑が生じる。し
かも、交絡部が往々にして製織中に消滅し期待するほどの伸度低下とならず、不
均一な物性、形態を生みだす原因となって品質低下をきたすことがある外に、手
切性および“生地立ち性”の面でも未だ充分なものとは言えなかった。 従って、本発明の目的は、交絡によらず、無糊・無撚の状態で製織され、しか
も断面方向の形(立体構造)保持性並びに幅方向の生地立ち性が著しく改善され
たテープ用基材を提供することにある。 【0004】 【課題を解決するための手段】 本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意研究した結果、以下のような
驚くべき、かつ従来の概念からは予測だにできなかった事実を発見した。この事
実とは、熱可塑性合成繊維のフラットヤーンにおいて、その構成フィラメントの
数本が互いに融着・硬化しているだけで、交絡効果に匹敵する集束性を呈し、し
かも該糸からなるテープ用基材はその断面方向の形保持性(立体構造)並びに幅
方向の生地立ち性が著しく改善されるという事実である。 【0005】 かくして、本発明によれば、少なくとも一部のフィラメント群が互いに融着・
硬化した部分を有し且つ4%〜25%の伸長切断伸度を有する熱可塑性合成繊維
のフラットヤーンを経糸及び/又は緯糸に配してなることを特徴とするテープ基
材が提供される。 【0006】 本発明で用いる用語、語句は以下の定義に従う。 融着・硬化の判定、および構成フィラメント数に対する融着・硬化フィラメ
ントの割合の判定法 ここで、融着とは個々のフィラメントが溶融し隣り合うフィラメントと一体化
した状態か一体化に至らないまでもフィラメント同糸の境界面で密着し分離しが たい状態をいう。次に融着の割合判定方法については、任意に選んだ融着糸1m
を10cm間隙で切断した10本の融着糸を各々パラフィンに包埋しミクロトーム
で5〜10ミクロンの厚さの断面を1枚づつ10枚のプレパラートを作製し1
枚ごとに全断面積と融着部の断面積を求め下記の式で求めた融着部の割合の10
枚の平均値で判定する。 融着部の割合(%)=(融着部断面の面積/全断面の面積)×100 【0007】 マルチフィラメント糸の単位長さに対する融着・硬化したフィラメントの存
在割合の判定法 任意に選んだ融着糸1mを5cm間隙で切断した20本の融着糸を各々パラフィ
ンに包埋しミクロトームで5〜10ミクロンの厚さの断面を1枚づつ計20枚の
プレパラートを作製し各々プレパラートについて融着部の有無を測定した後次の
式で単位長さに対する融着部の割合を求める。 単位長さに対する融着部の割合(%) =(融着部を有するプレパラートの枚数/20枚のプレパラート)×100 【0008】 伸長切断強力 任意に採集した40cmの長さの融着糸を5本用意し、インストロン引張測定機
で試験長20cm,引張速度20cm/分、チャック固定長上下各5cm,初荷重1/
100g/de(1/100g/deの初荷重を掛けた時点でチャート上では応
力(g)を零点に又、伸度(%)を零点とする)最大荷重2kgに設定した後、測
定を行いスタートから融着糸が切断するまで強力を記録させ切断点の強力(g)
を記録計より読み取る。同じ測定を5回繰返しその5回の平均値で表わす。 【0009】 伸長切断伸度 伸長切断力の測定と同時に伸度も記録させ、測定スタートから切断点までの伸
びを記録計より読取り次の式で伸度を表わす。 伸度(%)= 100×(切断時の試料の長さ(cm)−試験長(cm)/試験長(cm)) 同じ測定を5回繰返しその平均で伸度を表わす。 【0010】 テープ基材の切断伸度 織物中の縦糸もしくは横糸に沿って幅3cm,長さ30cmの長方形を5枚作製し
、インストロン引張測定機を用いて、試験長10cm,引張速度20cm/分,最大
荷重チャック固定長、上下各5cm,初荷重は織物がたるまない程度に掛ける。測
定スタートから織物が切断するまでの伸びと荷重を記録し、最大荷重時の伸びを
読取り次の式で表わす。 切断伸度(%)=100×(最大荷重時の試料の長さ(cm)−試験長(cm)/
試験長(cm)) 同じ測定を5回繰返しその平均で伸度を表わす。 【0011】 本発明は、前述のように、フラットヤーンを構成するフィラメントの数本が融
着・硬化しているだけで、交絡効果以上の集束性を呈し、しかも該糸からなるテ
ープ用基材はその断面方向の形保持性(立体構造)並びに幅方向の生地立ち性が
著しく改善されるという知見に基づいている。したがって、本発明において熱可
塑性合成繊維のフラットヤーン中での融着・硬化したフィラメント群の割合が重
要であるようにも考えられる。しかし、現実には構成フィラメントの数本(2〜
15本)が融着・硬化し、かつこのような部分がマルチフィラメント糸の単位長
さに対して50%以上の長さに亘って存在していれば、所望の目的が達成される
ことが判明した。この場合、構成フィラメント本数との関係でいえば、該本数に
対して3〜50%の本数に相当するフィラメントが融着・硬化していることが好ま
しい。 【0012】 又融着、硬化したフィラメントは内層部、外層部のいずれかに存在してもよく
、糸条の開繊を防ぎ扁平しにくい状態で存在していることが好ましい。 【0013】 以上のような融着、硬化マルチフィラメント糸は、延伸糸を加熱ヒーターで熱
処理する、延伸しながらその途中で加熱ヒーターで熱処理するか、又は仮撚装置 で仮撚捲縮加工と同じ工程を通すが、ある加工条件を採用することにより捲縮を
有しないフラットヤーンにすることによって製造することができる。以下それぞ
れの製造方法について述べる。 【0014】 延伸された熱可塑性合成繊維のフラットヤーン(通常はトータルデニール40
〜300de,フィラメントデニール0.4〜10de)を加熱ヒーターにより
融着、硬化させる。この場合、150〜800℃の接触式ヒーターか、非接触ヒ
ーターで加熱する。その際のヒーター長は高温では短く、低温度では長くなるが
、一般には生産性の面からは高温で長いヒーターを用いて加工速度を高くするこ
とが望ましい。 【0015】 熱処理ゾーンではできる限りマルチフィラメントが集束し、円形に近い状態で
熱処理されるほどヤーンには厚味が出る。この意味では、空気乱流ノズル等でフ
ィラメント同糸を予め交絡させた方がよい。交絡以外の手段を採る場合には、フ
ィラメントが開繊、分割しないように予め糊剤、油剤で集束させるのがよい。又
フラットヤーンの直径に近い穴経を有する治具にフラットヤーンを通し、そのま
ま加熱通過させ融着、硬化させてもよい。糊剤や油剤又は治具を用いない場合は
、必要以上のシゴキを与えたり扁平化しやすいガイドを使用しないことが肝要で
ある。熱処理ゾーンでの延伸糸の弛緩率はマイナス5%からプラス10%程度で
あればよい。なお、延伸中の熱処理も上記の方法に準じて行えばよい。 【0016】 一方、仮撚装置を用いて融着、硬化したフラットヤーンを得る場合、フリク
ションディスクを用いるときは、D/Y(ディスク周速度m/分/糸速度m/分
)を1.9以下、好ましくは1.2〜1.5に設定する。このD/Y値は通常の
捲縮加工の場合に比べて相当に低く、その機能も単に糸を丸める程度でのもので
あって、そのままの状態で融着、硬化するので、捲縮糸とならずフラットヤーン
となる(その際のヒーター温度は先に述べた150〜800℃を採用すればよい
)。すなわち、この態様は、仮撚装置を利用するが捲縮糸を作るのでなく仮撚の
機構を利用し糸を集束、丸め、厚味を出すためのものである、スピンドル仮撚 装置では仮撚係数(α)を0.1〜0.7とすることにより捲縮形態をとらずフ
ラットヤーン状で融着、硬化した糸条が得られる。仮撚係数(α)はT・de1/
2/32500で示され、Tは仮撚数(回/m)、deは延伸糸のデニールを示
す。 【0017】 勿論、未延伸糸又は半延伸糸を用いる場合も本質的には延伸糸を用いる時と同
じようにマルチフィラメントの開繊や、分割を防ぎ出来る限り丸味を与えながら
融着、硬化させることが肝要である。この場合、延伸領域の中間域に加熱ヒータ
ーを設け融着、硬化させればよい。未延伸糸は低温でも融着、硬化しやすいが、
やや加工法に劣るきらいがある。 【0018】 これとは対照的に、半延伸糸は高温ヒーターを必要とするが、加工性がよく経
時変化も少ないので加工原糸として有用である。仮撚装置を使用する場合も延伸
糸を供し得るが、一般には未延伸糸、半延伸糸を加工する延伸仮撚(IN−DR
AW)方式が望ましい。 【0019】 その際の加工原糸としては、熱可塑性合成繊維のフラットヤーン、例えばナイ
ロン−6、ナイロン−66などのポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、変
性ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル原糸を用いればよい。勿論、
これら原糸の100%使いの外に接合タイプの複合繊維、芯鞘型複合繊維、海島
型複合繊維、あるいは一部が突出するように回転対称複合繊維を用いることもで
きる。 【0020】 その外、融点差、固有粘度差、伸度差の異なる素材の組合せを使用すると、特
に融着、硬化が安定に形成される。 【0021】 以上の融着、硬化したフラットヤーンは、切断伸度が4〜25%の範囲にある
ことが必要である。特に切断伸度は粘着テープにおいては、テープの手切性を左
右するものであって、特に5〜12%の範囲にあることが好ましい。4%未満で は衝撃に対し簡単に切れてしまい、逆に25%を超えると一本のフラットヤーン
が伸長切断に至るまでに他のフラットヤーンの伸びが発生し、応力が加算され手
切性が劣ってくる原因となる。又、ヤーン全体の伸長切断強力は200〜600
g、デニール当りの伸長切断強度は1.0〜4.0g/deの範囲にあるのが適
当である。 【0022】 なお、本発明における融着・硬化したフラットヤーンは、上記のものに限定さ
れるものではなく、他の方法を利用して得たものであってもよい。 【0023】 次に、融着・硬化したマルチフィラメント糸はテープ基材とするために製織に
供されるが、この場合は、テープ基材の用途、目的に応じて経糸および/又は緯
糸に配する。このときの経糸および緯糸密度は、融着・硬化したマルチフィラメ
ント糸のデニールにもよるが、糸のデニールが40〜220deの場合、前者は
23〜90本/吋、後者は14〜70本/吋の範囲から選定すればよい。又、経
糸と緯糸は必ずしも同一デニールである必要はないが、経糸の直径と緯糸の直径
との和が0.1mm以上になることが好ましい。 【0024】 このようなテープ基材を粘着テープに適用する場合には、常法により基材の一
方の面には熱可塑性合成樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエス
テル、アクリル、PVC、特にそれらのフイルムをラミネートし、他方の面には
粘着材を塗布すればよい。 【0025】 【発明の作用】 テープ基材は手切性と粘着性能を考慮し、ガーゼのような粗い目の透いた織物
で形成される。基材に厚みがあると接着剤は厚く塗布され、反対に薄いと薄く塗
布される。薄い基材の上に厚く接着材を塗布しようとするとテープ端から接着材
がはみ出して取扱い性が困難になり、厚みがあると織物の縦糸と横糸のすき間に
充分に接着剤が入り込む。厚みを出すには繊度を上げればよいが、繊度が上がる
と必要以上に応力(強度)が増えて手切性が悪くなる。繊度を増さずに撚糸する ことで糸条に丸味をもたせ厚みを出そうとすると撚糸時の撚縮みが糸条の伸長切
断伸度を高くすることとなり、これ又手切性を悪くする。この点、本発明では同
一デニールの糸でより厚みを出すのに熱可塑性合成繊維の構成フィラメント中の
一部又は全部を融着させる。しかも、この融着により、マルチフィラメント糸全
体の固着ないし集束効果をも発現し、必ずしも交絡を必要とせず、無糊・無撚で
製繊に供し得る。この融着によってマルチフィラメント糸全体の開繊を極力押え
ることで、通常の非融着フィラメント糸やウーリー糸に比べはるかに厚い粘着テ
ープ基材を得ることができる。又、糸の断面方向の型保持性を改善し、糸条の強
伸度が低下することも手切性を良くすることとなり、一石二鳥の効果が得られる
。 【0026】 更に、構成フィラメントが融着していることは、糸全体の硬化にもつながり、
得られる基材織物の生地立性も改善され、作業効率の向上に寄与する。 【0027】 【実施例1】 伸長切断伸度が130%のポリエステルマルチフィラメント(225デニール
48フィラメント、三角断面)を、供給ローラ100m/分、延伸ローラ170
m/分、加熱ヒーター温度270℃(接触プレート、長さ2m)として延伸し、
延伸中に融着、硬化させて132デニール48フィラメントの融着糸を得た。こ
の融着糸の伸長切断伸度は10%、糸強度2.3g/de、開繊部や分割部が全
く見られない程に集束したものであった。 糸の直径は0.16mm(測定はEIKO,INDUSTRIAL CO.LTD製、DIAL THICKNESS
,GAUGE、通称ピーコックを用いて10cm間隙で20回測定、その平均値で表わ
す)であった。この融着糸を経糸および緯糸に用い、経糸密度55本/吋、緯糸
密度40本/吋で無糊・無撚で織成し、得られた生機を基材として厚さ70ミク
ロンのポリエチレンフイルムを溶融押出して基材の表側に貼り合せてラミネート
した。そのときのフイルムと基材を合せた厚みは0.21mmと厚手であった。こ
のラミネートした基材の表側に離型剤、裏側にアクリル酸樹指系の接着剤を付与
して粘着テープを作製した。この粘着テープの手切性は良好で切り口も美しく、 引張強力も20kg/2.5cmと充分であった。 【0028】 【実施例2】 伸長切断伸度が120%のポリエステルマルチフィラメント(288デニール
24フィラメント;十字断面)を用いて、仮撚温度240℃、仮撚延伸倍率1.
75倍、三軸フリクションディスク(D)の周速度455m/min、糸加工速度
(Y)350m/min(D/Y=1.3)として加工を用い、融着糸(180デ
ニール24フィラメント)を得た。この融着糸の伸長切断伸度は10%、糸強度
2.0g/d、糸の直径は0.09mmであった。この融着糸の形態は仮撚捲縮糸
とは全く異なって、単にフラットヤーンが融着した形態を呈し、捲縮性能を全く
有しないものであった。なお、一般の融着仮撚糸にあっては、S,Zの交互撚形
態をとるが、本発明の場合、仮撚数も低いこともあって、交互撚形態は実質的に
認められなかった。 更に、この融着糸を経糸および緯糸に用いた経糸密度50本/吋、緯糸密度3
5本/吋で無糊、無撚で織成し、得られた生機を基材として厚さ70ミクロンの
ポリエチレンフイルムを溶融押出し基材の表側に貼り合せてラミネートした。こ
のフイルムと基材を合せた厚みは0.23mmであって、手切性もすこぶる良好で
切り口も美しく、経方向の引張強力も18kg/2.5cmと充分であった。 【0029】 【実施例3】 伸長切断伸度が130%のポリエステルマルチフィラメント(140デニール
24フィラメント,極限粘度:0.85)と伸長切断伸度が300%のカチオン
可染糸(140デニール24フィラメント)とを圧空圧2kg/cm2、弛緩率1.
5%で混繊した後、供給ローラ速度200m/分、延伸ローラ速度360m/分
、供給ローラと延伸ローラの中間に設けた加熱ヒーター温度600℃(非接触ヒ
ーター、長さ1.2m)の条件下で延伸と同時に融着;硬化処理を行い融着糸(
155デニール48フィラメント)を得た。この融着糸の伸長切断伸度は9%、
伸長切断強度は高ηヤーンを用いたために3.0g/dと高く、糸の直径も0.
14mmと太いものであった。又開繊部や分割部は見られず、集束性のよい丸味の あるものであった。 更に、この融着糸を経糸密度50本/吋、緯糸密度35本/吋で無糊で織成し
得られた生機を基材として厚さ70ミクロンのポリエチレンフイルムを溶融押出
し、基材の表側に貼り合せてラミネートした。このフイルムと基材を合せた厚み
は0.26mmと厚く、手切性も切り口も良好であった。 【0030】 【実施例4】 伸長切断伸度が150%のポリエステルマルチフィラメント(155デニール
36フィラメント、丸断面)と、同質の伸長切断伸度350%のポリエステルマ
ルチフィラメント(140デニール36フィラメント、三角断面)とを引揃え、
仮撚装置を利用して融着糸(148デニール、72フィラメント)を得た。その
際の条件は、供給ローラ速度250m/分、引取ローラ速度500m/分、供給
ローラと仮撚ディスクの中間に位置する加熱ヒーター温度250℃(接触プレー
ト2.5m)、仮撚フリクションディスクの周速度600m/分、糸速度500
m/分、すなわちD/Yは1.2であった。 このようにして得られた融着糸の形態は仮撚捲縮糸のそれとは全く異質で、単
にフラットヤーン同士が融着した形態であって、捲縮性能を全く有さないフラッ
トヤーンであった。この融着糸は硬くて倒立性のよいものであり、伸長切断伸度
は7%、伸長切断強度2.6g/de、糸直径0.12mmであった。 更に、この融着糸を経糸密度48本/吋、緯糸密度32本/吋で無糊で織成し
得られた生機を基材として厚さ70ミクロンのポリエチレンフイルムを溶融押出
し、基材の表側に貼り合せてラミネートした。このフイルムと基材を合せた厚み
は0.25mmと厚く、手切性も切り口も良好なものであった。 【0031】 【実施例5】 25℃のオルソクロロフェノール中での極限粘度が0.65のポリエステルと
98%硫酸中25℃の相対粘度が2.4のナイロン−6とから、公知の複合紡糸
法を利用して同心円芯鞘型の複合糸を得た。その際、複合比率はポリエステル7
0重量%(芯円部)、ナイロン−6が30重量%(外円部)、紡糸温度290℃ 、紡糸速度1100m/分、延伸速度350m/分、ホットローラ温度85℃、
延伸倍率3.3倍として150デニール36フィラメントの延伸糸を製造した後
、この複合糸を融着糸とした。その場合の加工条件は供給ローラ速度200m/
分、引取ローラ速度220m/分、供給ローラと引取ローラの中間に設けた加熱
ヒーター温度は210℃(接触プレート長さ2m)とした。 得られた融着糸の形態は鞘成分(外円部)のナイロン−6が隣り合うナイロン
−6同士で融着し合い強固に融着しているが、芯成分のポリエステルは融着して
いなかったことから、伸長切断強度も3.5g/deと高く、伸長切断伸度は1
0%、糸直径0.09mmであって、マルチフィラメント糸の単位長さに対して7
0%以上の融着、硬化部を有していた。 更に、この融着糸を経糸密度40本/吋、緯糸密度30本/吋で無糊で織成し
得られた生機を基材として厚さ70ミクロンのポリエチレンフイルムを溶融押出
し、基材の表側に貼り合せてラミネートした。このフイルムと基材を合せた厚み
は0.22mmと厚く、手切性も切り口も良好であった。 【0032】 【実施例6】 実施例5と同様にして得た複合繊維において、紡糸上りの複合未延伸糸(15
0デニール、36フィラメント,伸長切断伸度300%)と、伸長切断伸度が1
30%のポリエステルマルチフィラメント糸(160デニール48フィラメント
,丸断面)とを圧空圧3kg/cm2、弛緩率1.5%で混繊した後、供給ローラ速
度400m/分、加熱ヒーター温度600℃(接触ヒーター、長さ2センチ)、
延伸ローラ速度640m/分で延伸と同時に融着、硬化させた。この段階では伸
長切断伸度は18%であったが、更に低伸度化させるために引続き延伸ローラを
出たあとに第二の加熱ヒーター(温度250℃,非接触ヒーターの長さ0.8m
)を通すとともに延伸ローラと第二の延伸ローラで1.15倍の延伸を行って融
着糸(170デニール、72フィラメント)を得た。この融着糸の伸長切断伸度
は7%、伸長切断強度3。0g/d、糸直径0.13mm、融着部の割合は60%
を越えており、複合未延伸糸のナイロン及びポリエステルが融着効果を高めてお
り、従来にない硬い融着糸であった。 更に、この融着糸を経糸密度50本/吋、緯糸密度35本/吋で無糊で繊成し
得られた生機を基材として厚さ70ミクロンのポリエチレンフイルムを溶融押出
し、基材の表側に貼り合せてラミネートした。このフイルムと基材を合せた厚み
は0.30mmと厚く、手切性も切り口も良好なものであった。又、生地立ち性は
全く申し分がなく、作業性を保証するものであった。 【0033】 【比較例1】 伸長切断伸度130%がポリエステルマルチフィラメント糸(150デニール
48フィラメント;丸断面)と伸長切断伸度が300%のポリエステルマルチフ
ィラメント糸(150デニール36フィラメント;三角断面、異形度;1.8)
とを引揃えて、仮撚加工を行った。その際の仮撚温度を180℃、仮撚延伸倍率
を1.7倍、三軸フリクションディスクの周速度を700m/min、加工速度を
350m/minとして、加工して180デニール84フィラメントの仮撚糸を得
た。この仮撚糸は全く融着部分が無く伸長切断伸度は20%、糸強度は3.5g
/d、糸の直径は0.03mmであった。この仮撚糸を経糸密度50本/吋、緯糸
密度35本/吋で無糊、無撚で織成し得られた生機を基材として厚さ70ミクロ
ンのポリエチレンフイルムを溶融押出して基材の表側に貼り合せてラミネートし
た。そのときのフイルムと基材を合せた厚みは0.13mmと薄く、厚手粘着テー
プとほど遠い薄手粘着テープであった。 【0034】 【比較例2】 伸長切断伸度130%ポリエステルマルチフィラメント(225デニール48
フィラメント、三角断面)を供給ローラ100m/分、加熱ヒーター温度180
℃(接触プレート、長さ2m)、延伸ローラ速度170m/分で熱処理を行って
比較糸を得た。 この比較糸(140デニール48フィラメント)は融着、硬化しておらず、延
伸倍率1.7倍に対し伸長弾性回復が発生し、簡単に開繊、分割するような柔ら
かい形態のものであった。又、この比較糸の伸長切断伸度は20%、伸長切断強
度は4.1g/dであったが、糸直径が0.02mmと全く細く、テープ基材とし て不適なものであった。 【0035】 【参考例】 参考例 レーヨン紡績糸177デニール(30番)を経緯に用いた基材に同じ用に70
ミクロンのポリエチレンフイルムを溶融押出し作製したラミネートの厚さが0.
20mmであることから、本発明の融着糸の厚さは充分すぎる程の厚さを有するも
のであった。 【0036】 【発明の効果】 本発明によれば、従来、テープ基材用の素材を得る際慣用されていた交絡手段
に頼らなくても、無糊・無撚の状態で製織され、しかも断面方向の形保持性(立
体構造)並びに幅方向の生地立ち性が著しく改善されたテープ用基材、更には、
樹脂あるいは粘着材の“乗り”いわゆる包摂性が著しく改善されたテープ用基材
が提供される。 【0037】 又、厚手の粘着テープの分野にあって、これまでレーヨンスフの紡績糸しかな
かったことを考えると、本発明の意義は多大のものがある。すなわち、単にレー
ヨンスフの紡績糸に相当するデニールの熱可塑性合成繊維フラットヤーンを選ぶ
だけで、同等の特性、更にはレーヨンの欠点とされていた温湿度依存性がなくな
る。この点について、更に述べると、従来の厚手粘着テープの基材にはレーヨン
スフを用いた紡績糸が用いられていた。紡績糸の場合、精紡の場合、実撚を掛け
ながら短繊維を糸条に形成するので実撚形態からくる丸味が糸条を扁平化しにく
く厚さが保持できる。 【0038】 又レーヨンスフは伸長切断伸度も高々15%程度で手切性も良い。しかしながら
、湿度依存性が大きく高温多湿の環境では繊維が吸湿し物性の低下や接着性能の
低下となる。又、雨水や結露など一時的に多量の水分が付着した場合など繊維中
に水がしみこみ性能低下がより大きくなる欠点がある。本発明では湿度依存性が 殆んどないポリエステルマルチフィラメントを用いて厚手粘着テープ用基材が提
供される。 【0039】 以上のことから、本発明は、以下の(a)〜(o)の態様を含むものである。 (a)構成フィラメント本数の3〜50%が融着・硬化しているフラットヤーン
からなるテープ基材。 (b)融着・硬化したフィラメント群がマルチフィラメント糸の単位長さの50
%以上の長さに亘って存在するテープ基材。 (c)融着・硬化したフィラメント群がマルチフィラメント糸の比較的外周部に
存在するテープ基材。 (d)構成フィラメントの鞘部同士が少なくとも融着しているフラットヤーンか
らなるテープ基材。 (e)構成フィラメントの少なくとも一部に異形断面フィラメントを含むフラッ
トヤーンからなるテープ基材。 (f)熱可塑性合成繊維の融着フラットヤーンの伸長切断強力が200〜600
gであること。 (g)熱可塑性合成繊維の融着フラットヤーンの伸長切断強度が1.0〜4.0
g/deであること。 (h)熱可塑性合成繊維の融着フラットヤーンの伸度が5〜12%であること。 (i)熱可塑性合成繊維の融着フラットヤーンの直径が0.05mm以上であるこ
と。 (j)縦糸と横糸との直径の和が0.1mm以上であるテープ基材。 (k)熱可塑性合成繊維の融着フラットヤーンに疎水性の樹脂を含浸してなるテ
ープ基材。 (l)一方の面には熱可塑性樹脂が融着・接着され、他方の面には粘着材が付与
されているテープ基材。 (m)熱可塑性樹脂のフイルムがラミネート状態で融着・接着されているテープ
基材。 (n)粘着材が合成樹指系及び/又は天然ゴム系であるテープ基材。 (o)融着・硬化したポリエステルマルチフィラメント糸が配された方向の切断
伸度が25%以下であるテープ基材。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 少なくとも一部のフィラメント群が互いに融着・硬化した部分
    を有し且つ4%〜25%の伸長切断伸度を有する熱可塑性合成繊維のフラットヤ
    ーンを経糸及び/又は緯糸に配してなることを特徴とするテープ基材。 【請求項2】 フラットヤーン全体が仮撚によって丸味を付与され、開繊部や
    分割部が存在しないフラットヤーンである請求項1記載のテープ基材。

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