JPH0542872U - パイプ配管用クランプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 強く押圧してもパイプが凹んだり扁平になる
等の変形をしないで強固に固定される上に、炉中ろう付
けしたときにパイプ保持部材が位置ずれしないパイプ配
管用クランプを提供し、品質の向上を図る。 【構成】 パイプ外形の円形状に形成したパイプ保持部
材２のパイプ保持部５にパイプ４を嵌着し、パイプ保持
部材の突出端部６を取付部材３の装着孔１０に嵌挿し、
装着孔１０の両側に穿設されている係止孔１２．１２を
互いに相手側へ押圧して取付部材３の装着孔１０の端面
で突出端部６を挟圧し、パイプ保持部材２に保持されて
いるパイプ４が掴持されているパイプ配管用クランプ
１。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、鋼管や銅管等のパイプ配管用クランプに係り、特に自動車の燃料 、エアー、水等の配管に好適なパイプ配管用クランプに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

自動車のパイプ配管用クランプは、激しい振動を受けてもパイプが動いたり弛 むことがなく、確実に車体に固定されていなければならないので、従来のパイプ 配管用クランプは、図８のものが使用されている。

【０００３】 この配管用クランプ２１は、取付孔２４を穿設したパイプ保持部材２２をパイ プ２３の外形に折曲成形し、仮想線で図示したようにＪ字状に成形する。Ｊ字状 に成形したパイプ保持部材２２にパイプ２３を嵌着した後、Ｊ字状の先端部がパ イプ２３を抱き込むように、開いていた先端部２２ａを押し潰してカシメ付け、 パイプ２３にカシメ付けたパイプ保持部材２２を炉中ろう付けして一体にしてい た。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

コ字状のパイプ保持部材２２の先端部２２ａを押し潰す際に、押圧力が弱いと 所定の形状に折曲成形されているパイプ２３が回って、パイプ保持部材２２を正 しい取付け方向にろう付けすることができなくなる。押圧力が強すぎるとパイプ ２３の中心に向けてパイプの外周を一緒に押圧するのであるから、パイプ２３が 凹んだり扁平に変形してパイプの内径が小さくなり、流量が不具合となる上に、 パイプ２３の中心から取付孔２４の中心までの取付け寸法が変化する。

【０００５】 略適正な押圧力で先端部２２ａをカシメ付けても、炉内で高温で加熱されたと きに、パイプ２３を抱き込んでいた先端部２２ａが熱歪により戻され、バックリ ングを起こして保持力が弱くなり、炉内で加熱中にパイプ保持部材が回って位置 ずれを起こすことがあった。

【０００６】 斯かる問題があるために従来の配管用クランプ２１のカシメ付け作業には熟練 を要する。熟練しても炉中ろう付けの加熱中に発生するバックリングは避けるこ とができないので、均一な品質のパイプ配管用クランプが得られなかった。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

この考案は上記の課題を解決したものであって、第１考案のパイプ配管用クラ ンプは、パイプ外形の円形状に湾曲させたパイプ保持部の両端部を外方へ突出形 成したパイプ保持部材の突出端部を、パイプ保持部材の外形に沿う円弧部に設け た取付部材の装着孔に嵌挿し、装着孔の両側に穿設されている係止孔を互いに相 手側へ押圧して、取付部材の装着孔端面でパイプ保持部材の突出端部を挟圧し、 パイプ保持部材に保持されているパイプが掴持されていることを特徴とするもの である。

【０００８】 第２考案のパイプ配管用クランプは、パイプ保持部材の先端部をパイプ外形の 円弧のＪ字状に湾曲させてパイプ保持部を形成し、そのパイプ保持部材の中間部 をコ字状に切った舌片をパイプ保持部に保持されているパイプの略中心に向けて 折り曲げ、舌片の先端の端面とパイプ保持部とでパイプを挟み込んでパイプが掴 持されていることを特徴とするものである。

【０００９】

【作用】

第１考案のパイプ配管用クランプは、パイプを保持しているパイプ保持部材の 両端の突出端部を挟圧して、パイプの略全周を抱き込んで掴持するのであるから 挟圧力を強くしてもパイプが変形することなく強固に保持される。

【００１０】 第２考案のパイプ配管用クランプは、舌片をパイプ保持部に保持されているパ イプの略中心に向けて折り曲げたとき、舌片の先端がパイプの表面に恰も楔を接 線方向から打ち込むようにして食い込み、円弧状に湾曲させたパイプ保持部でパ イプを掴持するのであるからパイプを変形させることなく所定の弾力でパイプが 強固に保持される。

【００１１】

【実施例】

以下、この考案の一実施例を図面に基づいて説明する。図１〜図５は第１考案 の実施例で、この実施例のパイプ保持金具は、図２、図３に示すパイプ保持部材 ２と、図４、図５に示す取付部材３の２つの部材で構成されている。

【００１２】 パイプ保持部材２は、パイプ４の外形の略全周を包むように円形状に湾曲成形 してパイプ保持部５を形成し、その両端部を外方へ突出させて突出端部６が形成 されている。対向する２つの突出端部６の間隔は、パイプ保持部５でパイプ４の 外周を締めつける締代程度の僅かの間隔、例えば0、5 mm程度が好ましい。円形状 のパイプ保持部５に２つの小判状の長孔７を穿設し、パイプ保持部５と突出端部 ６の連なる部分にも２つの小判状の長孔８が設けてある。

【００１３】 取付け孔１３を穿設した取付部材３の先端部をパイプ保持部材２の外形と同じ 半径の円弧部９に成形し、その円弧部９の頂点に装着孔１０が穿設されている。 装着孔１０の幅Ｂは、パイプ保持部材の突出端部６の外幅Ａと同じ寸法で突出端 部６が嵌挿できるようになっている。そして幅Ｂより僅か広い幅で装着孔１０の 途中まで段部１１が形成されている。装着孔１０の両側には小判状の係止孔１２ が穿設されている。

【００１４】 パイプ保持部材２の円形状のパイプ保持部５にパイプ４を嵌着し、パイプ保持 部材２の突出端部６を取付部材３の装着孔１０に嵌挿する。次で装着孔１０の両 側の係止孔１２を適宜のカシメ治具を用いてプレス等で互いに相手側へ押圧する 。そうすると装着孔１０の端面でパイプ保持部材の突出端部６が挟圧され、パイ プ保持部材２がコレットチャックのようにパイプ４の略全周を抱き込んで強固に 掴持する。

【００１５】 突出端部１０を挟圧してパイプ４を掴持したとき、装着孔の段部１１で突出端 部６の頂部を係止するようにすると掴持力が安定して好ましが、パイプ保持部材 ２、取付部材３の板厚、装着孔１０と係止孔１２の間の壁厚さ、突出端部６の間 隔等を掴持力に応じて適宜に設計すれば、装着孔の段部１１を省略しても実施で きる。

【００１６】 このようにパイプ４、パイプ保持部材２、取付部材３を一体にした後、従来と 同様に炉中ろう付けすると、パイプ保持部材の突出端部６が板厚の厚い取付部材 ３に挟持されてパイプ４を強固に掴持しているので、パイプ保持部材２が位置ず れすることなく正確にろう付けされる。

【００１７】 パイプ保持部材の突出端部６を挟圧する押圧力は、パイプ４の接線方向に作用 してパイプ４を押し潰さないのであるから、パイプ４が変形することもないし、 炉中ろう付けで高温に加熱されても位置ずれすることもない。

【００１８】 図６、図７に示す第２考案のパイプ配管用クランプ１Ａのパイプ保持金具は、 １個のパイプ保持部材１５である。

【００１９】 取付孔１３を穿設したパイプ保持部材１５の先端部を、Ｊ字状にパイプ外形の 円弧状に湾曲させて、パイプ保持部１６を成形する。円弧状のパイプ保持部１６ は、半円より大きい２００°程度の円弧になっている。

【００２０】 パイプ保持部材１５の中間部に２個の小孔１７を穿設し、小孔１７から先端部 へ向けてコ字状にパイプ保持部材１５を切って舌片１８が形成されている。

【００２１】 パイプ４をパイプ保持部１６に嵌着した後、舌片１８をパイプ４の略中心に向 けて折り曲げる。そうすると舌片１８の先端がパイプ４の表面に食い込んで、舌 片１８の先端の端面とパイプ保持部１６とでパイプ４が強固に掴持される。

【００２２】 舌片１８はパイプ４の接線方向から恰も楔を打ち込むように押し込まれるので あるから折り曲げの押圧力が強くてもパイプ４を変形させることがない。

【００２３】 舌片１８とパイプ保持部１６で掴持されたパイプ４は、パイプ保持部材１５の 弾力で強固に保持されているので、炉中ろう付けで高温に加熱されても保持力が 弱ることがない。従って、炉中ろう付けによってパイプ保持部材１５が位置ずれ するこもない。

【００２４】 以上のように、この考案のパイプ配管用クランプは、パイプを強固に保持する ことができるので、振動や衝撃が激しくない通常の配管の場合にはろう付けしな いで使用できる。

【００２５】

【考案の効果】

以上のようにこの考案のパイプ配管用クランプは、パイプが凹んだり扁平に変 形させることはないし、高温で炉中ろう付けしてもパイプ保持部材が位置ずれす ることがないので、熟練した作業員でなくても均一な品質のものが容易に製造す ることができて品質が向上する。そして、パイプ保持部材等のパイプ保持金具は プレス等の打ち抜き成形で製造できるので、均一な品質のパイプ配管用クランプ を安価に量産し得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】パイプ配管用クランプの第１実施例の要部を断
面した側面図である。

【図２】パイプ保持部材の正面図である。

【図３】図２のIII-III 断面図である。

【図４】取付部材の先端部を断面した側面図である。

【図５】取付部材の底面図である。

【図６】パイプ配管用クランプの第２実施例の側面図で
ある。

【図７】パイプ配管用クランプの底面図である。

【図８】従来のパイプ配管用クランプの斜視図である。

【符号の説明】

１．１Ａ…パイプ配管用クランプ ２．１５…パイプ保持部材 ３…取付部材 ４…パイプ ５．１６…パイプ保持部 ６…突出端部 ９…円弧部 １０…装着孔 １２…係止孔 １８…舌片

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 パイプ外形の円形状に湾曲させたパイプ
   保持部の両端部を外方へ突出形成したパイプ保持部材の
   突出端部を、パイプ保持部材の外形に沿う円弧部に設け
   た取付部材の装着孔に嵌挿し、装着孔の両側に穿設され
   ている係止孔を互いに相手側へ押圧して、取付部材の装
   着孔端面でパイプ保持部材の突出端部を挟圧し、パイプ
   保持部材に保持されているパイプが掴持されていること
   を特徴とするパイプ配管用クランプ。
2. 【請求項２】 パイプ保持部材の先端部をパイプ外形の
   円弧のＪ字状に湾曲させてパイプ保持部を形成し、その
   パイプ保持部材の中間部をコ字状に切った舌片をパイプ
   保持部に保持されているパイプの略中心に向けて折り曲
   げ、舌片の先端の端面とパイプ保持部とでパイプを挟み
   込んでパイプが掴持されていることを特徴とするパイプ
   配管用クランプ。