JP3808976B2 - 同軸ケーブルかしめリング - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、同軸コネクタに嵌め込み接続した同軸ケーブルの端部に外嵌し、圧締操作によって変形せしめ、前記同軸ケーブルの先端に同軸コネクタを一体的に固着させる同軸ケーブルかしめリングに関する。
【0002】
【従来の技術】
同軸ケーブルかしめリングは、通常、特殊工具を利用して対向する二箇所を摘んだ形状に潰して圧着させたり六角状に圧着するものがあるが、特殊工具がない場合は、ペンチなどで一部分を摘んだ形状に潰しで内周を絞り込むよう圧締操作する。
その場合、周面に引っかかりのないシンプルなリング形状では工具が滑って摘みにくいから、失敗したり、締着が不充分でやり直すなど、一度の操作で完了させることが難しい。
そこで従来において、図5の(a)に示すように、予め一部分を外方に膨出させて摘み部6を形成したり、図5の(b)に示すように、内方へ窪ませて座屈部7を形成し、圧締しやすくした構造が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の製品は、操作性の改善についてそれなりの評価が認められる。
しかし、予め変形しやすいように一部を膨出、或いは窪ませた形状は、長尺の筒状に押し出し、又は引き抜き形成した後、輪切りして成形されるリング形状にとって、歩留まりが悪い。
又、一箇所を摘んで圧締するため、全周が均一に絞られてケーブルをしっかりと掴み込むが、1ランク下の径の同軸ケーブルに使用すると、絞り(変形)量を多くしなくてはならないから、それを一箇所のみの圧締操作でベルトのように全周を均等に締めるには、圧締により潰す部分が増えると共に、強力な締め付け力も必要となる。
更に、圧締過程において、リングが完全に締着されるまでは、同軸ケーブルはリングの内周に対して一点でしか接触しない遊嵌状態にあるので、両者の位置関係が定まらず、ずれやすい。
一度失敗すれば何度もやり直しをすることになるから、手間が掛かるし、仕上がりは見苦しくなる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、部分的に膨出、或いは窪ませた形状とすることなく、又、同軸ケーブルの径が1ランク細くても対応容易な同軸ケーブルかしめリングであって、その構成は、真円の内周と楕円形の外周との組み合わせにより、中心を挟んで対向する二箇所を薄肉に形成し、周方向に対して少なくとも何れか一方の薄肉部分を挟んだ両側の外周面に、前記薄肉部分の接線と直交する方向に向けて、互いに平行となる一対の工具係止用突起を、先端が前記薄肉部分よりも外側へ突出する長さで設けたことにある。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明に係る同軸ケーブルかしめリングの一実施例を、図面に基づいて説明する。
図1は同軸ケーブルかしめリング1を示したもので、アルミ合金製で、真円の内周に対して外周が楕円形に形成され、それによって中心を挟んで対向する二箇所が薄肉部分P,pとなっている。
周面には、前記薄肉部分P,pのうちの一方の薄肉部分Pを挟んだ周方向の両側に、前記薄肉部分Pの接線と直交する方向に向けて一対の工具係止用突起2,2が設けられている。
【0006】
このように形成された同軸ケーブルかしめリング1は、図2に示すように、同軸ケーブル4の先端に外嵌し、その同軸ケーブルかしめリング1が外嵌された同軸ケーブル4先端を同軸コネクタ3に嵌め込み、例えば図3に示すように、ペンチ5の先に工具係止用突起2,2を引っ掛けて両側より挟んで、それら工具係止用突起2,2を中央に押し付ける。
するとかしめリング1は、先ず薄肉部分Pが外側に突出するよう折れ曲がり(図4のa)、続いてその突出した薄肉部分Pの両側に工具係止用突起2,2が圧着され、薄肉部分Pが折り畳まれるよう潰される(図4のb)。
それにより圧締が完了し、同軸ケーブル4の先端に同軸コネクタ3が一体的に固着される(図5)。
【0007】
このようにかしめリングは、両工具係止用突起を外側からペンチなどで挟み込むだけで、薄肉部分のみが折れ曲がり、失敗はない。
又、かしめリングの内周が真円であるから、断面が真円の同軸ケーブルに対してなじみが良くなり、均一した圧締力が作用して、締着力の偏りはない。
【0008】
更に薄肉部分Pの対向側にあたる他方にも薄肉部分pが形成されているので、圧締過程において、リングの内周では最初に薄肉部分pの湾曲が始まり、薄肉部分pが同軸ケーブルに面接触することによって、同軸ケーブルに対してずれないように位置決めされるから、圧締操作のみに専念できる。
而も、図6に示すように、前記薄肉部分pは、1ランク下の径の同軸ケーブル4’とそれに適合した同軸コネクタとの組み合わせに対して使用した場合、圧締操作時に前記薄肉部分pも折れ曲がり、その影響で対向する薄肉部分Pの折れ曲がり突出量が増加するので、締着不足を招くことは無くなる。
よって1ランク下の径の同軸ケーブルを同軸コネクタに固着しても、確実に固着できる。
【0009】
実施例に示した同軸ケーブルかしめリングは、一方の薄肉部側のみに工具係止用突起を設けたものであるが、両薄肉部の両側にそれぞれ工具係止用突起を設け、それらのうちの何れか一方を選択したり、両方とも利用して圧締することもできる。
両方の係止用突起を利用するケースとしては、1ランク下の径以上細い同軸ケーブルに適用した場合が想定される。
【0010】
因みに実施例の同軸ケーブルかしめリングは、長さ5mm、内径9.5mm、厚さ0.8mmで、薄肉部分の厚さは0.5mmに形成されているが、各寸法は適宜変更して差し支えなく、特にリングの径は、サイズの異なる同軸ケーブルに対応して複数種設定されるし、材質はアルミ合金以外にも、ステンレス、銅等の金属が好適に利用される。
【0011】
工具係止用突起には、表面に凹凸や波形などの滑り止め処理することできる。
【0012】
本発明は、薄肉部分を効果的に利用し、その薄肉の特定部分を折り曲げしやすくしたことを要旨とするもので、薄肉部分は、切削や圧延手段によって形成してもかまわない。
【0013】
【発明の効果】
本発明によれば、薄肉部分を挟んだ二箇所に一対の工具係止用突起を設けたので、ペンチなどでその突起を互いに接近させるよう押し付ければ、薄肉部分が外方へ突出して折れ曲がるから、軽い操作で確実に圧締し、同軸ケーブルの先端に同軸コネクタを一体的に固着させることができる。
又、中心を挟んだ対向側にも薄肉部分を設けたから、圧締過程の初期段階で、その薄肉部分が同軸ケーブルの外周に密着するよう湾曲し、同軸ケーブルに対して位置決めされ、ずれにくくなる。
更に、内周が真円で外周を楕円形状とすることにより、対向する二箇所に薄肉部分を形成すれば、内周面が同軸ケーブルの形状になじみやすくなり、均一した締着力が作用する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る同軸ケーブルかしめリングを示した説明図である。
【図2】同軸ケーブルかしめリングの取り付け説明図である。
【図3】圧締操作の説明図である。
【図4】(a),(b)は変形過程の説明図である。
【図5】同軸ケーブルの先端に同軸コネクタが固着完了された説明図である。
【図6】1ランク下の径の細い同軸ケーブル固着用として使用した場合の説明図である。
【図7】(a),(b)は従来例の説明図である。
【符号の説明】
1・・同軸ケーブルかしめリング、2・・工具係止用突起、3・・同軸コネクタ、4・・同軸ケーブル、5・・ペンチ、6・・摘み部、7・・座屈部、P,p・・薄肉部分。

Claims (1)

  1. 同軸コネクタに嵌め込み接続した同軸ケーブルの端部に外嵌し、圧締操作によって変形せしめ、前記同軸ケーブルの先端に同軸コネクタを一体的に固着させる同軸ケーブルかしめリングにおいて、
    真円の内周と楕円形の外周との組み合わせにより、中心を挟んで対向する二箇所を薄肉に形成し、周方向に対して少なくとも何れか一方の薄肉部分を挟んだ両側の外周面に、前記薄肉部分の接線と直交する方向に向けて、互いに平行となる一対の工具係止用突起を、先端が前記薄肉部分よりも外側へ突出する長さで設けた同軸ケーブルかしめリング。
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