JPH0541667U - 円鋸におけるダイヤモンドチツプの固着構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 ［目的］ ダイヤモンドチップの一端部に埋め込んだ金
属板製の溶着基板を介して台金の外周部に溶着すること
により、ダイヤモンド粒を焼結する金属粉末の材質を任
意に選択できるとともに、ダイヤモンド粒を熱損傷させ
ることなく、ダイヤモンドチップを台金に強固に固着す
る ［構成］ ダイヤモンドチップの一端部に金属板製の溶
着基板の一端部を埋込固着し、該溶着基板の他端部を円
板状に形成された台金の外周部に周方向に所定ピッチで
溶着する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、例えばブロック、コンクリート等の硬脆物質を切削あるいは切断す る円鋸に関し、特にダイヤモンド粒と金属粉末とを焼結してなるダイヤモンドチ ップを台金の外周に固着する円鋸におけるダイヤモンドチップの固着構造に関す るものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来の技術として図５〜図８に示すものがあった。即ち、図５に示すように、 円板状に形成した台金１の外周部にスリット２により周方向に分割された多数の 歯台３を形成し、この歯台３の外周面３ａにダイヤモンドチップ４を溶着する。 このダイヤモンドチップ４は、図６および図７に示すように、ダイヤモンド粒と 金属粉末とを焼結して外周面および内周面が円弧面となる直方体状に形成すると ともに、内周部にはダイヤモンド粒が存在しない金属粉末のみからなる溶着層５ を形成する。そして、上記溶着層５の内周面５ａと歯台３の外周面３ａとをレー ザ光線により加熱溶融させて上記ダイヤモンドチップ４と歯台３とを一体的に溶 着し、図８に示すように円鋸Ａを形成する。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記従来のものは、溶着層５と歯台３とを加熱溶融して溶着するため、溶着層 ５の材質、つまりダイヤモンド粒を焼結する金属粉末の材質は、ダイヤモンド粒 との焼結に適するとともに、台金１の融点に近い熱強度の大きいものに限定され る欠点があった。しかも溶着層５は強度の小さい金属粉末により形成されるため 、該溶着層５を内方（軸心方向）に大きく突出させることができず、溶着層５の 内周面５ａを加熱溶融した際に外周部に存在するダイヤモンド粒が熱損傷する欠 点があった。本考案は、上記欠点を解消した新規な円鋸におけるダイヤモンドチ ップの固着構造を得ることを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案は、上記目的を達成するために、ダイヤモンド粒と金属粉末とを焼結し てなるダイヤモンドチップの一端部に金属板製の溶着基板の一端部を埋込固着し 、該溶着基板の他端部を円板状に形成された台金の外周部に周方向に所定ピッチ で溶着する構成にしたものである。

【０００５】

【作用】

本考案は上記構成にしたものであるから、溶着基板はダイヤモンドチップに埋 め込まれるので、材質に関係なく該ダイヤモンドチップに強固に固着されること になる。また上記溶着基板は金属板製であるので強度が高くなり、その他端部を ダイヤモンドチップから大きく突出量させることができるとともに、その材質を 台金との溶着性に富んだものに適宜選択することができる。

【０００６】

【実施例】

以下本考案の実施例を図面に基いて説明する。図面において、図１は本考案の 実施例を示す台金の部分側面図、図２はダイヤモンドチップに溶着基板を固着し た状態の側面図、図３はそのIII−III断面図、図４は円鋸の部分側面図である。 図１において、１１は円板状に形成した金属製の台金であり、外周部にスリット １２により周方向に分割された多数の歯台１３を形成し、この歯台１３の外周面 １３ａにダイヤモンドチップ１４を溶着する。

【０００７】 上記ダイヤモンドチップ１４は、図２および図３に示すように、ダイヤモンド 粒と金属粉末とを焼結して歯台１３に対応する長さの直方体状に形成するととも に、この形成時に内周部に溶着基板１５を埋込固着する。即ち、上記溶着基板１ ５は台金１１と略同材質の金属板材により周方向に細長くかつダイヤモンドチッ プ１４の内周部および歯台１３の外周部に沿う円弧板状に形成するとともに、そ の外周部に断面逆三角形状の係止部１６を形成してなり、この係止部１６を含む 外周部を上記ダイヤモンドチップ１４の内周部に埋込固着する。この場合、ダイ ヤモンドチップ１４の内面に対する溶着基板１５の内周部の突出量は、後述する 溶着基板１５と歯台１３との溶着時の熱によって、ダイヤモンドチップ１４内の ダイヤモンド粒が熱損傷しない程度、例えば約１.５mm突出させる。

【０００８】 そして、上記溶着基板１５の内周面１５ａを台金１１の歯台１３の外周面に対 面させるとともに両対面部をレーザ光線により加熱溶融させて両者を一体的に溶 着し、図４に示すように、台金１１の各歯台１３にダイヤモンドチップ１４が固 着された円鋸１０を形成する。

【０００９】 上記実施例によれば、溶着基板１５はダイヤモンドチップ１４に埋め込まれる ので、異質の材質であってもダイヤモンドチップ１４に強固に固着されることに なる。また上記溶着基板１５は台金１１と略同質の金属板製であるので強度が高 く、その他端部をダイヤモンドチップ１４から大きく突出量させても負荷に十分 耐えることになる。また上記溶着基板１５はその内周面１５ａをダイヤモンドチ ップ１４の内周面から内方に大きく離間させて歯台１３の外周面１３ａに溶着す るようにしたので、この溶着時の熱がダイヤモンドチップ１４方向に伝達し難く なり、該ダイヤモンドチップ１４内のダイヤモンド粒が上記溶着時に熱損傷しな くなる。

【０００１０】

【考案の効果】

以上の説明から明らかな如く、本考案は、ダイヤモンドチップの一端部に埋め 込んだ金属板製の溶着基板を介して台金の外周部に溶着するようにしたので、ダ イヤモンド粒を焼結する金属粉末の材質を任意に選択することができるとともに 、ダイヤモンド粒を熱損傷させることなく、ダイヤモンドチップを台金に強固に 固着することができる効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す台金の部分側面図であ
る。

【図２】ダイヤモンドチップに溶着基板を固着した状態
の側面図である。

【図３】図２のIII−III断面図である。

【図４】本考案の実施例を示す円鋸の部分側面図であ
る。

【図５】従来例を示す台金の部分側面図である。

【図６】従来例を示すダイヤモンドチップの側面図であ
る。

【図７】図６のVII−VII断面図である。

【図８】従来例を示す円鋸の部分側面図である。

【符号の説明】

１０ 円鋸 １１ 台金 １２ スリット １３ 歯台 １３ａ 外周面 １４ 溶着基板 １５ａ 内周面 １６ 係止部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ダイヤモンド粒と金属粉末とを焼結して
   なるダイヤモンドチップの一端部に金属板製の溶着基板
   の一端部を埋込固着し、該溶着基板の他端部を円板状に
   形成された台金の外周部に周方向に所定ピッチで溶着し
   たことを特徴とする円鋸におけるダイヤモンドチップの
   固着構造。