JPH0540183Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、石板の壁面への取付け構造に関する
ものである。

［従来技術］ 建築物の壁面への石材の取付け構造としては、
例えば第４，５図に示すように建築物の壁面にＬ
字形掛金具２の垂直部３をボルト４により固定
し、該掛金具２の水平部５に受金具６を取付けて
受金具６の片側に石材７を配置し、該石材７の小
口面に孔部８内に受金具６の透孔を貫通して連結
ネジ９を挿入して固定する構造や、上記したよう
な掛金具２の水平部５に折り曲げ連結ピン１０の
溶接された受金具１１を取付けて、該連結ピン１
０が石材７の孔部８内に挿入されるように石材７
を配置して取付ける構造が知られていた。

［考案の解決しようとする問題点］ しかしながら、第５図のように連結ピン１０の
溶接タイプでは、溶接時に連結ピン１０が倒れて
固定されぬよう細心の注意が必要であり、又折り
曲げて受金具１１に溶接した部分が壁面から持ち
出す石板７の取付け金具がＬ字形掛金具と受金具
のように２つに分割されているような場合には、
２つに分割された金具の調整の具合次第では接合
ボルト１２にぶつかり調整の邪魔をすることがあ
つた。

又、第４図のように連結ネジ９による固定タイ
プでは、上記の問題は解決されているのである
が、連結ネジ９の曲げ強度を同じにしようとする
とネジの山分だけ外径が大きくなり石材７の孔部
８の径が同一の場合は孔部８の中に入れる接着剤
の厚味が減少し石材７の連結ネジ９の支持破壊強
度のばらつきが大きくなるという欠点がある。

［問題点を解決するための手段］ 本考案は、前述の欠点を改善すべくなされたも
のであり、その要旨は、建築物の壁面にはＬ字形
掛金具の垂直部が固定され、該Ｌ字形掛金具の水
平部には受金具が取付けられ、受金具の少なくと
も片側面には石板の小口面が配置されており、該
石材の小口面に設けられて孔部には前記受金具に
設けられたネジ切り付透孔を貫通させて頭部と頭
部近傍にネジ部とネジ部先端にピン部を有する連
結ビスが挿入され、上記孔部と挿入された連結ビ
スとの間隙には、接着剤を介在させて連結ビスを
孔部内に固定させたことを特徴とする石板の壁面
への取付け構造に関するものである。

以下、本考案を図面に従つて更に詳細に説明す
る。

第１図は、本考案に係る石板の建築物の壁面へ
の取付け構造を示す縦断面図であり、２０は建築
物躯体の壁面、２１はこの壁面２０に取付けられ
る大理石、人造大理石、結晶化ガラス等からなる
平らな、又は曲げ加工された板状の石材、２２は
Ｌ字形掛金具、２３は受金具、２４は連結ビス、
２５は石材２１の小口面に設けられた丸孔状又は
略丸孔状の孔部、２６は石材の孔部２５と連結ビ
ス２４の隙間に充填した接着剤を示す。

図示した本考案の一具体例において、Ｌ字形掛
金具２２は建築物の壁面２０の石材２１を取付け
る所定箇所にアンカーボルト２７が上記Ｌ字形掛
金具２２の垂直部２８を貫通して埋め込まれて固
定されており、又Ｌ字形掛金具２２の水平部２９
にはボルトナツト３０を用いて受金具２３が取付
けられている。受金具２３の上側面又は下側面に
は、石材２１が所定の取付け位置において、その
石材２１の小口面を利用して受金具２３の支持面
により支持されるように配置される。

受金具２３は、例えば第２図のように、石材２
１の小口面を支持する支持面３１を有する板状体
の金具からなつており、Ｌ字形掛金具２２の水平
部２９とボルトナツト３０により締め付け固定さ
れるように取付け孔３２が穿けられており、又、
連結ビスを通しネジ止めするためのネジ切り付透
孔３３が穿けられたアンカーボルト２７を通す透
孔は、取付け位置の調整が左右方向、又は上下方
向に調節できるように横長状又は縦長状の長孔と
なつている。

石材２１の小口面に設けられた孔部２５には、
受金具２３のネジ切り付透孔３３を貫通して連結
ビス２４が挿入されている。

この連結ビス２４は、第３図のように、拡大さ
れた頭部３４と頭部３４の近傍のネジ山を有する
ネジ部３５とネジ部３５の先端のネジ山が切られ
ていないピン部３６とを有しており、受金具２３
のネジ切り付透孔３３と嵌合する部分にネジ山が
残されて、石材２１の孔部２５に挿入される部分
にはネジ山が残されていない形状となつている。
受金具２３のネジ切り付透孔３３を通して連結ビ
ス２４を石材２１の孔部に挿入した時、ネジ切り
付透孔３３と連結ビス２４のネジ部３５との間で
ネジ止めされ、固定されるようになつている。

石材２１の孔部２５と連結ビス２４との隙間に
は、固定性、接着性、耐久性に富み、かつ石材よ
り硬度の低い樹脂等の接着剤２６、例えばエポキ
シ系接着剤が緩衝材として充填されており、建築
物に振動や変位が生じた場合や膨張収縮等の歪が
加わつた場合、連結ビス２４が孔部２５の中で簡
単に座屈し、結果として石材を破損しないよう連
結ビス２４をしつかりと保持している。

石板２の小口面の丸穴孔部２５の径は石材２１
の板厚によつて異なるが石材２１が例えば10〜20
mm厚である場合には、丸穴孔部２５の径は４〜
6φが適当であり、その場合連結ビス２４の径は
２〜4φが最も適正な緩衝効果をもつ寸法条件と
なる。又連結ビス２４のピン径を3φにてネジ山
をつけるとM4の小ネジが最小のネジ径である。
本考案の連結ビス２４においては、頭部３４およ
びネジ部３５はM4小ネジと全く同一でネジ切り
の長さも３〜５mmとし残りはピン部３６としたも
のが適当である。連結ビス２４のネジ部３５のネ
ジ切り長さについてはネジ嵌合力保持の為、受金
具２３の板厚分だけであることが望ましく、又板
厚より大きく出てしまうと従来の連結ビスと同じ
ことになつて好ましくない。上記したような連結
ビスを用いた場合実験結果よりこの連結ビスと受
金具との直角性、嵌合力、そして石板丸穴部分で
の保持力ともに従来タイプより良いことが確認さ
れた。

本考案の石材の壁面への取付け構造は、石材の
上下の小口面での取付け、左右の小口面の取付
け、上下又は左右の順次施工などその他各態様に
おいて適用可能である。

［考案の効果］ 本考案は、第４図のような従来の連結ネジ９の
ネジ切り部分を受金具６の板厚分程度残し、他の
石材７の孔部８に入る部分はネジ山を除去しその
外径を最小とするように改良することにより、石
材７の孔部８の内径をも最小の径で最大の強度を
出せるようにし、結果として石材の厚味を薄くで
きるため外壁の軽量化を可能とすることができ
る。又、従来型のピン溶接タイプに対しては製造
コストと精度の点で又ビス固定タイプに対しては
石板の保持力の確保の点で本考案が優れた効果を
有している。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一具体例に係る石板の壁面へ
の取付け構造を示す部分的縦断面図、第２図は本
考案において使用される一具体例に係る受金具の
平面図、第３図は同じく連結ビスの側面図、第
４，５図は従来例に係る石板の壁面への取付け構
造を示す部分的縦断面図を示す。 ２０……建築物の壁面、２１……石材、２２…
…Ｌ字形掛金具、２３……受金具、２４……連結
ビス、２５……孔部、２６……接着剤。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 建築物の壁面にはＬ字形掛金具の垂直部が固定
   され、該Ｌ字形掛金具の水平部には受金具が取付
   けられ、受金具の少なくとも片側面には石板の小
   口面が配置されており、該石材の小口面に設けら
   れた孔部には前記受金具に設けられたネジ切り付
   透孔を貫通させて頭部と頭部近傍にネジ部とネジ
   部先端にピン部を有する連結ビスが挿入され、上
   記孔部と挿入された連結ビスとの間隙には、接着
   剤を介在させて連結ビスを孔部内に固定させたこ
   とを特徴とする石板の壁面への取付け構造。