JPH0539906A - 石油燃焼装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 気化部の形状改良により気化能力の向上と圧
力損失の低減を図る。 【構成】 バーナヘッド側に広がる傾斜気化部２２、こ
の傾斜気化部２２の下方端に順次連続して設けられた逆
傾斜気化部２３及び傾斜副気化部２４とを有する気化器
２１が設けられている。また、傾斜気化部２２の上部に
送油ノズル３２を臨ませ、送油ノズル入口３１と気化空
気入口２６を有する気化器蓋２５を設け、また傾斜気化
部２２の中程から気化空気入口２６の下縁に向って水平
方向に且つ先端にいくほど小さくなる平板状に形成した
案内板２７を突出させている。案内板２７の下側に設け
た逆傾斜気化部２３の上端からバーナヘッド側に距離Ａ
だけ離れた位置から逆傾斜気化部２３の下端に連続して
傾斜副気化部２４が形成されている。これにより通路が
広くなって圧力損失が低減するとともに傾斜副気化部２
４が案内板２７の下部側にも拡大したので、気化能力が
向上する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、気化器を備えた石油燃
焼装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種の石油燃焼装置は、図６お
よび図７に示すように、有底箱状の混合室１の上面にバ
ーナヘッド２を設け、このバーナヘッド２に接して混合
室１の上流側に気化器３を設けている。気化器３には上
部に上方がバーナヘッド２側に広がりＵ字状ヒータ４を
内蔵した傾斜気化器５を設けている。また、傾斜気化部
５には表面を下方向に向けた逆傾斜気化部６を設けてい
る。さらに、この逆傾斜気化部６の下流側に、傾斜気化
部５の外方側に傾斜副気化部７を設けて、気化器３の下
部を形成している。そして、傾斜気化部５と傾斜副気化
部７との表面に水平方向に拡散溝８を設けている。ま
た、気化器蓋９には気化器３に空気を供給する気化空気
入口１０を傾斜気化部５の下部に対向するように設ける
とともに、気化空気入口１０から流入した空気を傾斜気
化部５の下部表面に導くための案内板１１を傾斜気化部
５の下部から水平方向に突出して形成している。さら
に、気化器蓋９の上部には送油ノズル入口１２が傾斜気
化部５の上部に対向するように設けられ、この送油ノズ
ル入口１２に送油ノズル１３が臨んでいる。また、バー
ナヘッド２の上方で傾斜気化部５の傾斜外壁に受熱フィ
ン１４が設けられている。ここで、燃焼ファン１５に連
通した空気室１６は気化器３とバーナヘッド２とを内包
するように設け、バーナヘッド２の下流近傍には点火電
極１７を設けている。

【０００３】また気化器サーミスター１８は気化器３の
上部外壁に設けている。次に、上記構成における予熱動
作について説明する。最初に通電されたＵ字状ヒータ４
に通電すると、気化器３が予熱される。この予熱によっ
て気化器サーミスター１８の出力が設定値になるとこの
出力を境にしてＵ字状ヒータ４が入り切りして傾斜気化
部５の温度が気化温度になるように制御される。

【０００４】続いて、燃焼動作を説明する。燃焼ファン
１５から送られる空気は気化空気入口１０から気化器３
へ流入する気化空気と、バーナヘッド２から噴出する二
次空気との２系統に分けられて供給される。特に、気化
空気は案内板１１に沿って流れ、その後、傾斜気化部５
の表面に沿って下部から上部に向かって流れる。一方、
送油ノズル１３から噴出し傾斜気化部５に衝突した灯油
は、拡散溝８により傾斜気化部５の表面に拡がり、且
つ、傾斜気化部５の表面を上昇する気化空気に押し拡げ
られて瞬時に気化する。ここで発生した気化ガスは先の
気化空気と混合して予混合気となり、バーナヘッド２か
ら噴出し、点火電極１７の放電により点火されて燃焼を
開始し、さらに、二次空気により燃焼が促進される。そ
して、受熱フィン１４で受熱した燃焼熱が気化器３に熱
伝導されると、気化器サーミスター１８の出力は設定値
に近づき、同時にＵ字状ヒータ４が入り切りして傾斜気
化部５の温度が気化温度になるように制御される。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の石油燃焼装置の構成では、案内板１１の上流側に逆
傾斜気化部５を形成することにより案内板１１に接する
傾斜気化部５の通路面積が広くなる分、圧力損失が小さ
くなるが、逆傾斜気化部６の表面を流れる灯油は灯油自
身の表面張力により帯状になって流れ、その後、傾斜副
気化部７に流入した灯油は拡散溝９の拡散作用によりわ
ずかに広がり傾斜副気化部７の表面を広い帯状になって
流れる。すなわち、傾斜副気化部７の表面は十分に気化
機能を発揮されず気化能力が小さく、ここを流れる灯油
に気化不良が生じるという課題があった。特に、逆傾斜
気化部６を流れる灯油が多くなれば、逆傾斜気化部６の
表面が下方向に向いているので灯油自身の表面張力では
逆傾斜気化部６の表面に保持できず、灯油は逆傾斜気化
部６から直接混合室１に滴下するという課題があった。

【０００６】また、気化ガスと気化空気とが混合しなが
ら傾斜副気化部７を通過する際に、傾斜副気化部７から
の加熱により熱膨張するので、傾斜副気化部７の圧力損
失が大きいという課題があった。

【０００７】本発明は上記課題を解決するもので、気化
器の気化能力の向上及び圧力損失の低減を目的としたも
のである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の石油燃焼装置はバーナヘッドの上方に位置し
かつこのバーナヘッドのある側に傾斜した傾斜気化部を
有する気化器と、前記傾斜気化部に向かって燃料を噴出
する送油ノズルと、前記傾斜気化部の略中部に対向して
設けられ気化空気を供給する気化空気入口と、前記傾斜
気化部の略中部からこの気化空気入口へ向って略水平方
向に突設し且つ先端に向かって順次小さくなる平板状に
形成した案内板とを備えたものである。

【０００９】

【作用】本発明は上記した構成によって、灯油は案内板
の下流側の傾斜気化部でも気化する分、帯状になって流
れる灯油の量は減少する。

【００１０】また、案内板は先端に向かって小さくなる
平板状を形成しているので、案内板に接する傾斜気化部
の通路断面が広くなる分、傾斜気化部の圧力損失は低減
する。

【００１１】

【実施例】以下、本発明の一実施例を添付図面にもとづ
いて説明する。

【００１２】図１〜図４において、１９は有底箱状の混
合室で、上面にバーナヘッド２０を設け、このバーナヘ
ッド２０に接して混合室１９の上流側に気化器２１を設
けている。気化器２１は上部に、上方がバーナヘッド２
０側に突出するように形成した傾斜気化部２２を設けて
ある。２３はこの傾斜気化部２２の下端に接して設け、
表面を下方向に向けて形成した半径形状の逆傾斜気化部
である。さらに、この逆傾斜気化部２３の下流側に、逆
傾斜気化部２３の上端より傾斜気化部２２の外方（バー
ナヘッド２０側）に距離Ａだけ拡張して傾斜副気化部２
４を設けて、気化器２１の下部を形成している。また、
傾斜気化部２２に対向する側には気化器蓋２５を立設
し、この気化器蓋２５に傾斜気化部２２の中程に対向す
る気化空気入口２６を設けている。そして、この傾斜気
化部２２の中程からこの気化空気入口２６へ、この気化
空気入口２６の下縁を受けるように略水平方向に突出し
て案内板２７を設け、この案内板２７は先端に向かって
細くなる平板状面を形成し、且つ、側面を下向き傾斜さ
せてある。傾斜気化部２２の上部及び下部寄りにはＵ字
状ヒータ２８の両直線部を内蔵している。傾斜気化部２
２と傾斜副気化部２４との表面には略水平方向に延びた
複数本の拡散溝２９を設けている。傾斜気化部２２の斜
面外壁にはバーナヘッド２０の上方に位置して受熱フィ
ン３０を設けている。さらに、気化空気入口２６の上方
の気化器蓋２５には、送油ノズル入口３１を設けて、傾
斜気化部２２に燃料を噴霧する送油ノズル３２を臨ませ
ている。また、気化器蓋２５の後方には、気化器２１と
バーナヘッド２０とを内包し、空気を供給する空気室３
３に連通した燃焼ファン３４を設けている。なお、３５
はバーナヘッド２０の下流近傍に設けた点火電極であ
る。３６は気化器２１の上部外壁に設けた気化器サーミ
スターである。

【００１３】次に、上記構成における予熱動作を説明す
る。最初に、Ｕ字状ヒータ２８に通電すると、気化器２
１が予熱される。この予熱によって気化器サーミスター
３６の出力が設定値に上昇するとこの出力を境にしてＵ
字状ヒータ２８が入り切りして傾斜気化部２２の温度が
気化温度になるように制御される。

【００１４】続いて、空気と灯油の供給について説明す
る。燃焼ファン３４から空気室３３へ供給された空気は
気化空気入口２６と送油ノズル入口３１とから傾斜気化
部２３へ供給される気化空気及びバーナヘッド２０へ供
給される二次空気の２系統に分けられ供給される。特
に、気化空気入口２６から供給される気化空気は慣性力
を持っているので、案内板２７が先端に向かって細くな
る平板状面を形成しているのにもかかわらず案内板２７
の表面に沿って流れる。その後、気化空気は傾斜気化部
２２の略中部に衝突し、この傾斜気化部２２の表面に沿
って上昇する。

【００１５】また、送油ノズル３２から噴出された灯油
は傾斜気化部２２の上部に衝突し傾斜気化部２２の表面
を流れ落ち、拡散溝２９に入り、この後、灯油は拡散溝
２９に沿って水平方向に流れ、更に流れ落ち、且つ、気
化空気により押し広げられ、傾斜気化部２２の表面に広
く拡散して瞬時に気化する。

【００１６】そして、傾斜気化部２２で発生した気化ガ
スと気化空気とが傾斜気化部２２を通過するが、案内板
２７は先端に向かって細くなる平板状面を形成している
ので、案内板２７に接する傾斜気化部２２の通路断面が
広くなる分、傾斜気化部２２の圧力損失は前述の従来例
と同等である。さらに、気化ガスと気化空気とが混合し
ながら傾斜副気化部２４を通過する際に、傾斜副気化部
２４からの加熱により熱膨張するが、逆傾斜気化部２３
の上端より傾斜気化部２２の外方に拡張して傾斜副気化
部２４を設けているので、傾斜副気化部２４の通路断面
積が広くなる分、傾斜副気化部２４の圧力損失は低減す
る。

【００１７】次に、燃焼動作について説明する。発生し
た気化ガスは混合室１９でさらに気化空気と混合して、
バーナヘッド２０で点火電極３５により着火し二次空気
と共に燃焼するので、燃焼特性が良い。受熱フィン３０
で受熱した燃焼熱が気化器２１に熱伝導されると、気化
器サーミスター３６の出力は設定値に近づき、同時にＵ
字状ヒータ２８が入り切りして傾斜気化部２２の温度が
気化温度になるように制御している。また、燃焼熱は受
熱フィン３０で熱回収されるので、Ｕ字状ヒータ２８の
使用頻度が少なくなり、電気代の低減が図れる。

【００１８】一方、送油ノズル３２から変質した灯油が
供給されたり、傾斜気化部２２の表面へのタール付着に
より傾斜気化部２２の気化能力が低下する場合、灯油は
傾斜気化部２２から傾斜副気化部２４へ流入する。その
際に、前述の従来例に比べて、案内板２７の下流側にも
傾斜気化部２２が拡大し、且つ、逆傾斜気化部２３がさ
らに下流側に位置する分、灯油は案内板２７の下流側の
傾斜気化部２２でも気化できるので、逆傾斜気化部２３
に流入する灯油が少なくなり、傾斜副気化部２４の表面
に帯状になって流れる灯油の量は減少する。その結果、
傾斜副気化部２４に流入した灯油は確実に気化できる。

【００１９】また、図５に示すように、気化器２１の上
部から下部に傾斜気化部３７を設ければ、傾斜気化部３
７の下部の圧力損失は大きくなるが、拡散溝２９を多数
設けられる。灯油はこの傾斜気化部３７の下部表面を広
範囲に拡散するので、傾斜気化部３７の表面は十分に気
化機能を発揮できる。なお、前記実施例と同一部材には
同一番号を付記している。

【００２０】

【発明の効果】以上のように本発明の石油燃焼装置によ
れば次の効果が得られる。 （１）案内板を先端に向かって小さくなる平板状に形成
しているので、案内板に接する傾斜気化部の通路断面が
広くなる分、傾斜気化部の圧力損失の低減が図れる。 （２）傾斜気化部を案内板の下流側にも拡大したので、
帯状になって流れる灯油の量は減少する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の石油燃焼装置の要部を示す
部分断面斜視図

【図２】同装置の縦断面図

【図３】同装置の要部を示す側面切欠き断面図

【図４】同装置の外観斜視図

【図５】本発明の他の実施例の石油燃焼装置の要部を示
す部分断面斜視図

【図６】従来の石油燃焼装置の要部を示す断面斜視図

【図７】同装置の縦断面図

【符号の説明】

２０ バーナヘッド ２１ 気化器 ２２、３７ 傾斜気化部 ２３ 逆傾斜気化部 ２４ 傾斜副気化部 ２６ 気化空気入口 ２７ 案内板

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】バーナヘッドの上方に位置しかつこのバー
   ナヘッドのある側に傾斜した傾斜気化部を有する気化器
   と、前記傾斜気化部に向かって燃焼を噴出する送油ノズ
   ルと、前記傾斜気化部の略中部に対向して設けられ気化
   空気を供給する気化空気入口と、前記傾斜気化部の略中
   部からこの気化空気入口へ向ってこの気化空気入口の下
   縁に近接するように略水平方向に突出し且つ先端に向か
   って順次小さくなる平板状に形成した案内板とを備えた
   石油燃焼装置。