JP2924275B2 - 石油燃焼装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、気化器を備えた石油燃
焼装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種の石油燃焼装置は、図７お
よび図８に示すように、有底箱状の混合室１の上面にバ
ーナヘッド２を設け、このバーナヘッド２に接して混合
室１の上流側に気化器３を設けている。気化器３にはＵ
字状ヒータ４の両直線部を上部に内蔵した上方が例えば
バーナヘッド側に広がる気化部５を形成し、この気化部
５の下流側に垂直な壁部６を形成している。そして気化
部５の表面には略水平方向に形成した複数の拡散溝７を
設けている。また気化器蓋９には、気化器３に空気を供
給する気化空気入口８を気化部５の下部に対向するよう
に設けるとともに、気化空気入口８から空気を気化部５
の下部表面に導くための案内板１０を気化部５から略水
平方向に突出して、かつ気化空気入口８の直下（下縁）
に接するように形成している。

【０００３】気化器蓋９の上部には送油ノズル入口１１
が気化部５の上部に対向するように設けられ、この送油
ノズル入口１１に送油ノズル１２が臨んでいる。また気
化部５の外壁には受熱フィンからなる受熱部１３を形成
している。ここで燃焼ファン１４に連通した空気室１５
は気化器３とバーナヘッド２とを内包しており、バーナ
ヘッド２の下流近傍には点火電極１６を設けている。な
お気化器サーミスター１７は気化器３の上部外壁に設け
ている。

【０００４】次に上記構成における予熱動作について説
明する。最初にＵ字状ヒータ４に通電すると、気化器３
が予熱される。この予熱によって気化器サーミスター１
７の出力が設定値になると、この出力を境にしてＵ字状
ヒータ４が入り切りして、気化部５の温度が気化温度に
なるように制御される。

【０００５】つづいて、燃焼動作を説明する。燃焼ファ
ン１４から送られる空気は気化空気入口８から気化器３
へ流入する気化空気と、バーナヘッド２から噴出する２
次空気との２系統に分けられて供給される。特に、気化
空気は案内板１０に衝突して、この案内板１０に沿って
流れ、その後気化部５の表面に沿って下部から上部に向
かって流れる。一方送油ノズル１２から噴出し気化部５
に衝突した灯油は、拡散溝７により気化部５の表面に拡
がり、かつ、気化部５の表面を上昇する気化空気に押し
拡げられて瞬時に気化する。ここで発生した気化ガスは
先の気化空気と混合して予混合気となり、バーナヘッド
２から噴出し、点火電極１６の放電により点火されて燃
焼を開始し、さらに、２次空気により燃焼が促進され
る。そして、受熱部１３で受熱した燃焼熱が気化器３に
熱伝導されると、気化器サーミスター１７の出力は設定
値に近づき、同時にＵ字状ヒータ４が入り切りして気化
部５の温度が気化温度になるように制御される。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の石油燃焼装置の構成では、拡散溝７にタールが付着
し、拡散溝７の灯油の拡散効果が低下したり、気化空気
の供給量が少なくなることにより、気化空気が灯油を押
し拡げる効果が弱くなった場合には、灯油が気化部５の
表面を帯状になって流れ落ち、案内板１０の上面に達
し、そして、案内板１０の上面や気化器３の内側面に沿
って流れる。このとき、一部の灯油は気化空気入口８か
ら空気室１５へ流出するという問題があり、この灯油が
臭気等の原因になることがあった。

【０００７】また、他の一部の灯油は案内板１０の端部
から案内板１０の下面に伝わり、その後、垂直な壁部６
の表面を流れずに直接混合室１に滴下するという問題が
あり、この滴下した灯油が気化不良になることがあっ
た。

【０００８】本発明は上記問題を解決するもので、灯油
が気化空気入口から空気室へ流出したり、混合室に直接
滴下することのない安全性の高い石油燃焼装置を提供す
ることを目的としている。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の第１の課題解決手段は、気化器の上部に設け
た気化部と、この気化部側に対向して配設した気化器蓋
と、前記気化部に向かって燃料を噴出する送油ノズル
と、前記気化部に対向して前記気化器蓋に設けた気化空
気を供給する気化空気入口と、前記気化部からこの気化
空気入口へ略水平方向に突設した案内板とを備え、前記
案内板の端部には、前記気化器の内側面および前記気化
器蓋との間に空間を設けたものである。

【００１０】また、第２の課題解決手段は、前記案内板
の下面を先端から気化部へ向かって下方に傾斜させたも
のである。

【００１１】

【作用】本発明は上記した構成によって、灯油が気化部
の表面を帯状になって流れ落ち、案内板の上面に達した
場合、この灯油は案内板の上面や気化器の内側面に沿っ
て流れるが、その後は、案内板の端部が気化器蓋に接触
していないので、案内板の端部から案内板の下面に流れ
る。したがって灯油が気化空気入口から空気室へ流出す
るのを防止することができる。

【００１２】また案内板の下面を気化部へ向かって下方
に傾斜させたことにより、案内板の端部から案内板の下
面に流れた灯油がこの案内板の下面に沿って流れ、さら
に気化器の下部気化部に沿って流れる。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の一実施例を添付図面にもとづ
いて説明する。

【００１４】図１〜図４において、２１は有底箱状の混
合室で、上面にバーナヘッド２２を設けている。このバ
ーナヘッド２２に接して混合室２１の上流側に気化器２
３を設けている。気化器２３の上部には、上方が例えば
バーナヘッド２２側に突出するように傾斜した気化部２
５を設け、下部には、垂直な壁部２６を設けている。２
４は気化部２５に内蔵したＵ字状ヒータである。また気
化部２５の表面には、略水平方向に延びた複数本の拡散
溝２７を形成している。気化部２５に対向して配設した
気化器蓋２９には、気化空気を供給する気化空気入口２
８を設けている。また気化部２５の下部には、気化空気
入口２８の下縁に向って略水平方向に突出した案内板３
０を形成し、案内板３０の端部が気化器２３の内側面２
３ａおよび気化器蓋２９との間で空間３０ａを設けるよ
うにしている。３３は気化部２５の外壁に形成した受熱
フィンを有する受熱部である。また気化空気入口２８の
上方には、送油ノズル入口３１に臨ませて気化部２５に
燃料を噴出する送油ノズル３２を有している。気化器蓋
２９の後方には、気化器２３とバーナヘッド２２とを内
包し、空気を供給する空気室３５に連通した燃焼ファン
３４を設けている。なお３６はバーナヘッド２２の下流
近傍に設けられた点火電極であり、３７は気化器２３の
上部外壁に設けた気化器サーミスターである。

【００１５】次に、上記構成における予熱動作を説明す
る。最初にＵ字状ヒータ２４に通電すると、気化器２３
が予熱される。この予熱によって気化器サーミスター３
７の出力が設定値に上昇すると、この出力を境にしてＵ
字状ヒータ２４が入り切りして、気化部２５の温度が気
化温度になるように制御される。

【００１６】つづいて、燃焼動作を説明する。燃焼ファ
ン３４から空気室３５へ供給された空気は気化空気入口
２８と送油ノズル入口３１とから気化部２５へ供給され
る気化空気およびバーナヘッド２２へ供給される２次空
気の２系統に分けられ供給される。特に、気化空気入口
２８から供給される気化空気は気化部２５の下部に衝突
して、この気化部２５に沿って上昇する。

【００１７】また、送油ノズル３２から噴出した灯油は
気化部２５の上部に衝突し、気化部２５の表面を流れ落
ち、拡散溝２７に入り、この後、灯油は拡散溝２７に沿
って水平方向に流れ、さらに流れ落ち、かつ、気化空気
により押し広げられ、気化部２５の表面に広く拡散して
瞬時に気化する。

【００１８】次に、発生した気化ガスは混合室２１で気
化空気と混合して、バーナヘッド２２で２次空気と共に
燃焼する。受熱部３３で受熱した燃焼熱が気化器２３に
熱伝導されると、気化器サーミスター３７の出力は設定
値に近づき、同時にＵ字状ヒータ２４が入り切りして、
気化部２５の温度が気化温度になるように制御される。
なお、燃焼熱は受熱部３３で熱回収されるので、Ｕ字状
ヒータ２４の使用頻度は少なくなる。

【００１９】拡散溝２７にタールが付着し拡散溝２７の
灯油の拡散効果が低下したり、気化空気の供給量が少な
くなることにより、気化空気が灯油を押し拡げる効果が
弱くなった場合には、灯油が気化部２５の表面を帯状に
なって流れ落ち、案内板３０の上面に達する。そして、
灯油は案内板３０の上面や気化器２３の内側面２３ａに
沿って流れ、その後、空間３０ａに達すると灯油は案内
板３０の端部から案内板３０の下面に流れるので、灯油
が気化空気入口２８から空気室３５へ流入するのを防止
することができる。

【００２０】次に案内板３０の他の実施例について説明
する。図５および図６に示すように、前記実施例と相違
する点は案内板４０に気化部２５に向かって下方に傾斜
させた下面４０ａを形成したことにある。なおその他の
部材は前記実施例と同じである。この案内板４０の効果
を説明する。案内板４０の端部から案内板４０の下面４
０ａに流れた灯油は、その部分が斜面になっているため
その部分で滴下することなく、さらに傾斜した下面４０
ａに沿って下方に流れ、その後、垂直な壁部２６に流れ
ながら気化する。したがって、直接混合室２１に滴下す
ることによる気化不良が防止できる。

【００２１】

【発明の効果】以上のように本発明の石油燃焼装置によ
れば、次の効果が得られる。 （１）案内板を気化部から気化空気入口へ略水平方向に
突出し、かつ気化器の内側面および気化器蓋との間に空
間を設けて形成したことにより、案内板の上面に達した
灯油は、案内板の端部から案内板の下面に流れるので、
灯油が気化空気入口から空気室へ流出することが防止で
きる。 （２）案内板の下面を先端から気化部へ向かって下方に
傾斜させているために、案内板の端部から案内板の下面
に流れた灯油はこの案内板の下面に沿って流れ、さらに
気化器の下部気化部に拡がりながら流れて気化する。し
たがって気化不良が防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の石油燃焼装置の要部を示す
部分断面斜視図

【図２】同石油燃焼装置の縦断面図

【図３】同石油燃焼装置の要部を示す切欠き側面図

【図４】同石油燃焼装置の一部切欠き外観斜視図

【図５】同石油燃焼装置の気化器の案内板部の拡大部分
斜視図

【図６】同案内板部の拡大側面断面図

【図７】従来の石油燃焼装置の要部を示す部分断面斜視
図

【図８】同石油燃焼装置の縦断面図

【符号の説明】

２２ バーナヘッド ２３ 気化器 ２３ａ 内側面 ２５ 気化部 ２８ 気化空気入口 ２９ 気化器蓋 ３０、４０ 案内板 ３０ａ 空間 ３２ 送油ノズル ４０ａ 下面

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】燃料を気化する気化器と、この気化器の上
   部に設けた気化部と、この気化部側に対向して配設した
   気化器蓋と、前記気化部に向かって燃料を噴出する送油
   ノズルと、前記気化部に対向して前記気化器蓋に設けた
   気化空気を供給する気化空気入口と、前記気化部からこ
   の気化空気入口へ略水平方向に突設した案内板とを備
   え、前記案内板の端部には、前記気化器の内側面および
   前記気化蓋との間に空間を設けた石油燃焼装置。
2. 【請求項２】案内板の下面を先端から傾斜気化部へ向か
   って下方に傾斜させた請求項１記載の石油燃焼装置。