JPH0536081Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、アキユームレータに内装されたフリ
ーピストンが、作動油室の壁面に衝突する際に発
する打撃音の防止手段に関する。

（従来の技術） 二輪車のフロントフオークには作動油とガスと
を封入したアキユームレータをフロントフオーク
本体の外側に備えたものがある。アキユームレー
タ内部は摺動自由なフリーピストンにより作動油
室とガス室とに画成され、作動油室がフロントフ
オーク本体に連通することにより、伸縮に伴うフ
ロントフオーク本体内部の油量変動を補償してい
る。

（考案の課題） ところで、フロントフオークが大きく伸張した
時などは、アキユームレータの作動油室の作動油
が急速にフロントフオーク本体に流入するのに伴
い、作動油室が空になり、ガス室の圧力によりフ
リーピストンが作動油室の反対側の壁面に衝突し
て不快な打撃音を発生させたり、度重なる衝突に
よりフリーピストンやアキユームレータを傷めや
すいという問題があつた。

本考案は、フリーピストン式のアキユームレー
タの以上のような問題点を解決すべく、簡単かつ
効果的な緩衝機構を備えたアキユームレータを提
供することを目的とする。

（課題を達成するための手段） 本考案は、シリンダの内側を摺動自由なフリー
ピストンによりガス室と作動油室とに画成したフ
リーピストン式アキユームレータにおいて、フリ
ーピストンの作動油室側の端面に、前記フリーピ
ストンの端面を被覆する衝突部とフリーピストン
の外周部に嵌合する環状のベアリング部とを樹脂
材料により一体成型したキヤツプ状の緩衝部材を
嵌装している。

（作用） 作動油室から作動油が流出し、ガス室の圧力で
フリーピストンが対向する作動油室の壁面に衝突
する際に、緩衝部材がフリーピストンと壁面との
直接接触を阻止するとともに、衝突の衝撃を緩和
する。

（実施例） 第１図及び第２図に本考案の実施例を示す。

第１図に示すアキユームレータは、シリンダ１
とその両端を密閉するトツプキヤツプ２とボトム
キヤツプ３とで外殻を構成し、内部にフリーピス
トン４を摺動自由に収装したものである。

シリンダ１の内側はフリーピストン４により、
トツプキヤツプ２側のガスを封入したガス室５
と、ボトムキヤツプ３側の作動油室６とに画成さ
れる。作動油室６はボトムキヤツプ３に形成した
ポート７を介して、図示されないフロントフオー
クの油室に接続される。

フリーピストン４の外周部にはシリンダ１の内
壁に摺接するＯリング８が装着される。また、フ
リーピストン４の作動油室６側の端面４Ａには、
相対して作動油室６の壁面を構成するボトムキヤ
ツプ３との衝突を緩衝する部材としてリング９が
装着される。

リング９は、第２図にその詳細を示したよう
に、フリーピストン端面４Ａをその外周付近にて
被覆する衝突部９Ａとフリーピストン４Ａの外周
部に嵌合する環状のベアリング部９Ｂとをテフロ
ン材等の樹脂材料を材質としてモールド加工によ
り一体成型したキヤツプ状のものである。

次に作用を説明する。

アキユームレータを接続したフロントフオーク
が収縮すると、余剰作動油がポート７から作動油
室６に流入し、フリーピストン４をガス室５側へ
摺動させる。これにより、作動油室６は拡大し、
ガス室５は封入ガスを圧縮しつつ縮小する。ま
た、フロントフオークが伸張に転じると、作動油
室６の作動油はポート７からフロントフオークへ
と還流し、フリーピストン４はガス室５の圧縮ガ
スの圧力で作動油室６側へと摺動する。

ところで、フロントフオークが激しく伸縮する
と、アキユームレータにおいてもフリーピストン
４が激しく摺動する。そして、この過程で作動油
室６の作動油が伸張するフロントフオークに全量
吸い込まれると、フリーピストン４がボトムキヤ
ツプ３に衝突するが、この時フリーピストン４の
端面４Ａに装着したリング９がボトムキヤツプ３
に衝突することにより、フリーピストン４本体は
ボトムキヤツプ３との直接衝突を免れる。また、
ゴムないし樹脂製のリング９により衝突の衝撃も
緩和される。

したがつて、作動中のアキユームレータが耳障
りな衝突音を発生することはなく、フリーピスト
ン４とボトムキヤツプ３の度重なる衝突による部
材の摩耗や損傷も防止できる。

また、緩衝部材としてのリング９は上述したよ
うに緩衝機能を発揮する衝突部９Ａにベアリング
部９Ｂを樹脂製材料により一体成型し、これをフ
リーピストン４の端部に嵌装した構成であるの
で、その組み立てが容易であると共にコストアツ
プを抑えられるという利点がある。

以上のアキユームレータはフロントフオークに
限らず、他の油圧機器に使用した場合にも同様の
好ましい緩衝作用を発揮する。また、緩衝部材は
必ずしもリング９のような形状に限定されず、要
はフリーピストン４とボトムキヤツプ３との直接
衝突を阻止できる形状であれば良い。

（考案の効果） 以上のように、本考案はアキユームレータのフ
リーピストンの作動油室側の端面に、対向する作
動油室の壁面との衝突を緩衝する部材を係止した
ため、作動油室からの作動油の流出に伴い、ガス
室の圧力でフリーピストンが作動油室の壁面に衝
突する際に、この緩衝部材がフリーピストン本体
と壁面との直接接触を阻止して衝突の衝撃を緩和
する。このため、フリーピストンと作動油室の壁
面との衝突による不快な打撃音の発生が抑制され
るとともに度重なる衝突による部材の損耗をも防
止できる。

また、本考案では緩衝部材としてのフリーピス
トンの端部に緩衝機能を発揮する衝突部とベアリ
ング部を樹脂製材料により一体成型したものを嵌
装する構成としたので、組み立てが容易であると
共にコストアツプを抑えられるという効果が得ら
れる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例のアキユームレータ
の縦断面図、第２図はそのフリーピストンの詳細
縦断面図である。 １……シリンダ、３……ボトムキヤツプ、４…
…フリーピストン、４Ａ……フリーピストン端
面、５……ガス室、６……作動油室、９……リン
グ（緩衝部材）、９Ａ……衝突部、９Ｂ……ベア
リング部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダの内側を摺動自由なフリーピストンに
   よりガス室と作動油室とに画成したフリーピスト
   ン式アキユームレータにおいて、フリーピストン
   の作動油室側の端面に、前記フリーピストンの端
   面を被覆する衝突部とフリーピストンの外周部に
   嵌合する環状のベアリング部とを樹脂材料により
   一体成型したキヤツプ状の緩衝部材を嵌装したこ
   とを特徴とするフリーピストン式アキユームレー
   タ。