JPS6114669Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はシリンダ外に突出したピストンロツド
にストツプラバーを有する油圧緩衝器に関するも
のである。

一般にこの種の油圧緩衝器においてはピストン
の圧縮行程でストツプラバーを当接するための平
坦部が必要である。このため、従来はパツキンキ
ヤツプをプレス型により成型する際、該パツキン
キヤツプの下方にはシリンダと溶接するためのス
カート部を、中間にはピストンロツドガイド孔
を、上方にはストツプラバー当接用の平坦部を有
する形状とし、このようなパツキンキヤツプを１
枚の板からプレス等により加工していた。

しかし、このような方法でパツキンキヤツプを
製造するには段部や曲げ部の加工が複雑となり、
１行程でプレス成型できないばかりでなく、曲げ
部や段部の強度をもたせるため厚板を用いなくて
はならずパツキンキヤツプの重量が大となつてし
まう欠点があつた。

また、このような欠点を改良するため、パツキ
ンキヤツプとストツプラバー当接用のキヤツプと
を別個の部材となし、しかもパツキンキヤツプに
キヤツプの周囲を溶接して設ける方法もある。し
かし、このような方法ではキヤツプにストツプラ
バーが当接するとき、パツキンキヤツプとキヤツ
プとの間に形成される室内が、該ストツプラバー
の圧縮により加圧され、この加圧空気がパツキン
キヤツプとピストンロツドとの間隙よりシールパ
ツキンに作用し、該シールパツキンの耐久性を損
う欠点があつた。

本考案はこのような従来技術の欠点に鑑みなさ
れたもので、パツキンキヤツプとキヤツプ体との
間に形成される室をこれらの間に形成される環状
間隙を介して外部と連通させるよことにより、ピ
ストンの圧縮行程でストツプラバーがキヤツプ体
に当接しても、シールパツキンの耐久性を損なう
のを防止するばかりでなく、ストツプラバーによ
つて圧縮された空気がパツキンキヤツプの周囲を
流通することにより、シールパツキンに発生する
熱を放散でき、しかも侵入ダストの排出も容易と
した油圧緩衝器を提供することにある。

上記目的を達成するために、本考案は、内部に
減衰力発生機構を備えたピストンが設けられたシ
リンダと、該シリンダの端部に固着された段付筒
状のパツキンキヤツプと、一端側が前記ピストン
に固着され他端側が該パツキンキヤツプを貫通し
てシリンダ外に突出し、突出端側にストツプラバ
ーが設けられたピストンロツドと、中央部に該ピ
ストンロツドの貫通孔を有する平坦部と前記パツ
キンキヤツプの筒部より若干大径に形成された筒
部とからなり、該筒部の先端が前記パツキンキヤ
ツプの段部に固着されたキヤツプ体と、前記パツ
キンキヤツプとキヤツプ体により形成される室を
これらの間に形成される環状間隙を介して外部に
連通するため、該キヤツプ体の筒部先端に相当す
る位置に設けられた排気孔とから構成したことに
ある。

以下、本考案の実施例を図面と共に詳細に説明
する。第１図において、１は有底筒状のシリンダ
を示し、該シリンダ１内には減衰力発生機構を備
えたピストン（図示せず）が往復動自在に設けら
れている。２は一端がピストンに取付けられたピ
ストンロツド、３は該ピストンロツド２の貫通孔
を有し、内部にピストンロツド２をシールするた
めのパツキン（図示せず）が組込まれたパツキン
キヤツプを示し、該パツキンキヤツプ３は段部３
Ａ，該段部３Ａより細い筒部３Ｂとより構成され
ている。そして、シリンダ１とパツキンキヤツプ
３の段部３Ａの周囲とは溶接等により取付けら
れ、パツキンキヤツプ３と有底のシリンダ１とに
より形成される室内には油液、高圧ガス等が封入
されて油圧緩衝器を構成している。４，５は緩衝
器の取付部である。

また、６は第２図に示すような形状を有するキ
ヤツプ体で、該キヤツプ体６はピストンロツド２
の貫通孔６Ａ、平坦部６Ｂ、該平坦部から折曲つ
た筒部６Ｃ、該筒部６Ｃ先端に形成された複数個
の突起部６Ｄとから構成される。また、キヤツプ
体６の筒部６Ｃの内径は前記パツキンキヤツプ３
の筒部３Ｂ外径よりわずかに大径に構成され、両
者間に環状間隙が形成される。このように構成さ
れるキヤツプ体６はその突起部６Ｄをパツキンキ
ヤツプ３の段部３Ａに溶接等により取付ける。こ
の結果、前記突起部６Ｄと段部３Ａとの間にはパ
ツキンキヤツプ３とキヤツプ体６とにより形成さ
れる室７を外部と連通する複数の排気孔８が形成
される。

９はキヤツプ体６の平坦部６Ｂより直径の大な
るプレートで、該プレート９にはキヤツプ体６の
貫通孔９Ａとほぼ同径の貫通孔９Ａを有し、該プ
レート９は前記平坦部６Ａにプロジエクシヨン溶
接により取付けられ、ストツプラバー１０の当接
を容易にしている。ここで、前記ストツプラバー
１０はピストンロツド２に固着して設けられ、シ
リンダ１内のピストンが圧縮行程の終端に近づい
たとき、プレート９に当接して緩衝作用を行なう
ものである。さらに、ストツプラバー１０の外方
にはアウタキヤツプ１１がピストンロツド２に固
着され、該アウタキヤツプ１１にはアウタシエル
１２が設けられ、該アウタシエル１２は、シリン
ダ１、ピストンロツド２、ストツプラバー１０等
のダストカバーとして作用する。

本考案は以上のように構成されるが、シリンダ
１内のピストンが圧縮行程の終端に近づくと、ス
トツプラバー１０はプレート９に当接し、更に強
い力で圧縮されると、該ストツプラバー１０、プ
レート９により形成される室内の空気は加圧され
て圧縮空気となる。しかし、圧縮空気は、プレー
ト９の貫通孔９Ａ及びキヤツプ体６の貫通孔６Ａ
とピストンロツド２との間隙、室７、キヤツプ体
６の筒部６Ｃとパツキンキヤツプ３の筒部３Ｂと
の間の環状間隙、複数個の排気孔８を介して矢示
のように外部に流出することができる。

さらに、第３図は本考案のキヤツプ体の他の実
施例を示すもので、キヤツプ体１３は貫通孔１３
Ａ、平坦部１３Ｂ、筒部１３Ｃ、該筒部１３Ｃに
形成された複数個の孔１３Ｄとから構成される。
従つて、第３図のキヤツプ体は第２図のものに比
較して孔１３Ｄが圧縮空気の排気孔となるもので
あることを除いて何ら変るところがないが、キヤ
ツプ体１３はパツキンキヤツプ３の段部３Ａに対
して全周にわたつて溶接できるから溶接効率が向
上できる利点がある。

なお、本考案の実施例においてはキヤツプ体６
の平坦部６Ｂ、キヤツプ体１３の平坦部１３Ｂに
プレート９をプロジエクシヨン溶接により固着
し、ストツプラバー１０の当接面積を増大させる
ように構成されているが、該プレート９は必ずし
も必要ではなく、ストツプラバー１０は前記平坦
部６Ｂまたは１３Ｂに直接当接させるようにして
もよいものである。

本考案は以上詳細に述べた通りであつて、下記
各項のような効果を奏する。

従来方法のようにパツキンキヤツプを複雑な
形状に加工する必要がなく、パツキンキヤツプ
とキヤツプ体を別々にプレス加工するだけでよ
いから製造コストが安く、しかも段部や曲げ部
に特別強度をもたせる必要がないから薄板を用
いたプレス加工が可能であり、軽量なパツキン
キヤツプ、キヤツプ体とすることができ、油圧
緩衝器の重量軽減に役立つ。

キヤツプ体に空気抜き通路を形成したから、
ストツプラバーがキヤツプ体に当接するたびに
加圧空気がシールパツキンに作用することがな
く、該シールパツキンの耐久性を損うことがな
い。

また、キヤツプ体には常時空気の流通がある
から、シールパツキンに発生する熱を放散する
ことができ、この点からもシールパツキンの耐
久性を向上させることができる。

さらにキヤツプ体とパツキンキヤツプとの間
の室に侵入したダストを押し出すことができる
から、ダストが該室内外に留ることがなく、ピ
ストンロツドに傷がついたり、該ピストンロツ
ドが錆びたりすることがない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す縦断面図、第２
図はキヤツプ体の斜視図、第３図はキヤツプ体の
他の実施例を示す斜視図である。 １……シリンダ、２……ピストンロツド、３…
…パツキンキヤツプ、４，５……取付部、６……
キヤツプ体、７……室、８……排気孔、９……プ
レート、１０……ストツプラバー、１１……アウ
タキヤツプ、１２……アウタシエル、１３……キ
ヤツプ体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内部に減衰力発生機構を備えたピストンが設け
   られたシリンダと、該シリンダの端部に固着され
   た段付筒状のパツキンキヤツプと、一端側が前記
   ピストンに固着され他端側が該パツキンキヤツプ
   を貫通してシリンダ外に突出し、突出端側にスト
   ツプラバーが設けられたピストンロツドと、中央
   部に該ピストンロツドの貫通孔を有する平坦部と
   前記パツキンキヤツプの筒部より若干大径に形成
   された筒部とからなり、該筒部の先端が前記パツ
   キンキヤツプの段部に固着されたキヤツプ体と、
   前記パツキンキヤツプとキヤツプ体により形成さ
   れる室をこれらの間に形成される環状間隙を介し
   て外部に連通するため、該キヤツプ体の筒部先端
   に相当する位置に設けられた排気孔とから構成し
   てある油圧緩衝器。