JPH05340093A - コンクリート成形用型枠 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 一成形毎の離型剤の塗布作業が不要であり、
成形体表面の見栄えを改善でき、塗装などにおける下地
処理を不要とする。 【構成】 モールド型枠１は、その型面１ａに凹凸が形
成され、さらにその凹凸の表面には撥水性の離型層２が
形成されている。この離型層２は疎水性基を持った離型
材料をライニングしたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、型枠に固化したコン
クリートが接着することを防止するとともに、得られた
コンクリート成形体の表面見栄えを改善できるコンクリ
ート成形用型枠に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】コンクリート成形品は、型枠に打設した
コンクリートが硬化した後、型枠を取外すことによって
成るが、型枠のコンクリート打設面に予めグリスなどの
高粘度油脂類を型面（コンクリート打設側表面、以下型
面と称する）に塗布し、これの潤滑効果及び縁切り効果
を利用して脱型し易くするのが一般的である。特に、い
わゆるモールド型枠にあっては、他の型枠を用いた場合
に比べて脱型がしづらいためグリスの塗布が必須であ
る。これは、モールド型枠が、コンクリート成形体表面
に積極的に意匠的な外観を形成するため、コンクリート
打設面側に得ようとする成形体の表面形状に対する反転
形状の凹凸が予め形成されるものであり、固化したコン
クリート成形品の表面と型枠間に凹凸による喰付き効果
が生じるからである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな油脂類は脱型時にコンクリート成形品から型枠を引
き剥がす際に成形品側表面に付着し易く、一成形毎に型
面の清掃及び再塗布作業を行なう必要があった。また、
油脂類は粘度が高いため、特にモールド型枠を使用する
場合には凹凸のある面に均一に塗布することが難しいば
かりか、型枠の清掃が困難で再利用の妨げとなっている
反面、作業性を改善するために粘度を下げた場合には離
型剤としての機能が失われるため、毎回困難な塗布作業
を余儀無くされていた。

【０００４】一方、成形品表面には油脂類が付着したま
まなので、これによる汚れが目立ち見栄えが悪いものと
なる。また付着した油脂類は塗装の障害となるため、成
形体表面に塗装を施す場合には除去などの下地処理作業
も必要となっていた。

【０００５】この発明は以上の問題を解決するものであ
って、一成形毎の離型剤の塗布作業が不要であり、また
成形体表面の見栄えを改善でき、塗装などにおける下地
処理を不要としたコンクリート成形用型枠を提供するも
のである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、この発明は、コンクリート成形用型枠のコンクリー
ト打設側表面に、疎水性基を持った離型材料を予め塗
装，貼り付けなどによりライニングし、前記打設側表面
に前記離型材料からなる撥水性の離型層を形成したもの
である。

【０００７】

【作用】コンクリートの接着は、水の存在下でセメント
粒子が被着体表面に吸着され水和反応によってゲル化す
ることに起因する。したがって、型面に親水性基が存在
すると水に対する親和性があり、この接着現象は促進さ
れるが、この発明における疎水性基を持った離型材料は
水による型面のぬれを防止し、接着作用を阻害する。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を用いて詳細
に説明する。

【０００９】図１（ａ），（ｂ）はこの発明にかかるコ
ンクリート成形用型枠の一例としてモールド型枠を示し
ている。図において、モールド型枠１は、その型面１ａ
に凹凸が形成され、さらにその凹凸表面には図１（ａ）
の一部に拡大して示すように、撥水性の離型層２が形成
されている。この離型層２は疎水性基を持った離型材料
を塗布，スプレー塗装，ホットメルト塗装，或いは貼り
付けなどのライニング作業によって予め所定の厚みで型
面１ａに接着固定されている。

【００１０】塗布あるいはスプレー塗装用の離型材料と
しては、トリシラン，テトラシランなどの疎水性基を持
った水素化ケイ素等がある。これらは一般には防水用ス
プレーなどに用いられる撥水材として知られている材料
であり、絶乾状態の型面１ａに塗布することによって型
面１ａに強固に接着固定される。

【００１１】ホットメルト塗装あるいは貼り付けによる
離型材料としては、テフロン（登録商標），ポリエチレ
ン，ポリプロピレンなどの疎水性基を持った熱可塑性樹
脂材料が用いられ、絶乾状態の型面１ａにホットメルト
ガン等によって溶融状態のこれら樹脂材料を吹き付け塗
装し、冷却によって固化させるか、あるいはフィルムを
型面１ａに押し当て、熱風吹き付けによって型面に沿っ
て溶融させ、冷却により固化させれば撥水性離型層２が
形成されることになる。

【００１２】以上の方法によって形成された離型層２は
そのいずれもが絶乾状態のコンクリート表面に対する親
和性があり、かつ型面１ａに形成された微細な凹凸内部
に喰込むことによるアンカー効果によって型面１ａに強
固に接着し、またその表面は滑性を帯び、水に対するぬ
れがない層となる。

【００１３】次に以上の構成のモールド型枠１を用いた
コンクリート成形方法を説明する。なお、基本的には従
来と同様鉄筋を配置した上でコンクリートを型１内に打
設し、コンクリート固化後に型枠１を解体して脱型すれ
ば型面１ａの凹凸形状に応じた表面凹凸のコンクリート
成形体が完成する。

【００１４】固化過程では、図１（ａ）に示すようにセ
メント粒子Ｃ1 は水の存在下で被着体である型面１ａに
吸着しゲル化しようとするが、水は型面１ａの離型層２
の表面で図中矢印に示すようにはじかれた状態であるた
め、表面に接する界面部分のみゲル化して固化し、型面
１ａからは縁切りされた状態となり、型面１ａに対する
コンクリート成形体Ｃの接着現象を未然に防止できるこ
とになる。

【００１５】脱型時においては型面１ａが成形体Ｃから
離間する方向に力を加えれば、凹凸があっても比較的ス
ムーズに脱型できる。このとき、離型層２は図１（ｂ）
に示すように型面１ａに固着したままであるので、離型
層としての機能も維持し、転用回数を大幅に向上するこ
とができる。

【００１６】一方、成形体Ｃの表面は、離型層２の付着
がない上に、前記セメントゲルによる緻密な表面層Ｃ2
が形成されるため、平滑でむらのない表面となり、見栄
えが向上するとともに、この表面にコンクリート用塗料
を塗装するに際しても下地処理などの手間を要すること
なくそのまま塗装を行うことができる。

【００１７】なお、以上の実施例ではこの発明をモール
ド型枠１に適用した場合を示したが、他の型枠にも適用
可能であることは勿論であり、またコンクリート成形体
Ｃの凹凸部分のある表面のみをモールド型枠１で構成
し、他面に他の型枠を用いることも可能である。

【００１８】

【発明の効果】以上実施例によって詳細に説明したよう
に、この発明によるコンクリート成形用型枠にあって
は、疎水性基を持った離型材料は水による型面のぬれを
防止し、接着作用を阻害し、またライニングにより型面
に強固に接着しているため、脱型時の引き剥がし力によ
っては剥がれることがなく、一成形毎の離型剤の塗布作
業が不要であり、作業性を大巾に改善できる。同時に成
形体表面の見栄えを改善でき、塗装などにおける下地処
理を不要にできる利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明によるコンクリート成形用モールド型
枠の説明図であり、（ａ）はコンクリートの成形時の部
分断面図である。（ｂ）は同脱型時の部分断面図であ
る。

【符号の説明】

１ モールド型枠 １ａ 型面（コンクリート打設側表面） ２ 撥水性離型層 Ｃ コンクリート成形体 Ｃ1 セメント粒子 Ｃ2 表面層

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 コンクリート成形用型枠のコンクリート
   打設側表面に、疎水性基を持った離型材料を予め塗装，
   貼り付けなどによりライニングし、該打設側表面に前記
   離型材料からなる撥水性の離型層を形成したことを特徴
   とするコンクリート成形用型枠。