JPH05336593A - スピーカ用フレームおよびその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 金属板をプレスにて成型して形成されるスピ
ーカ用フレームとその製造方法において、多くの工程を
必要とし、コスト高になり、各工程の孔開け金型、成型
金型作成費用も多大になり、材料利用率も悪かった問題
点を解決し、少ない加工成型工程で実現できるスピーカ
用フレームの製造方法と、絞り代が少なく、材料利用率
がよく、安価なスピーカ用フレームを提供することを目
的とする。 【構成】 周縁部に設けた振動板貼付部３と、中間部に
設けたダンパー貼付部４と、中央部に設けた界磁部結合
部２と、上記振動板貼付部３とダンパー貼付部４間に複
数のスリットを成型によって展延させて形成した複数の
開口５から構成され、外径側からの材料引き込みによる
大きな絞り代を必要とせず、更に窓孔開け加工のための
材料利用率も大幅に改善される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は各種スピーカに用いられ
るフレームで、特に金属板をプレスにて成型して形成さ
れるスピーカ用フレームとその製造方法に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】以下に従来のスピーカ用フレームとその
製造方法について説明する。

【０００３】図８は従来のスピーカ用フレームの背面か
ら見た斜視図を示す。図８において、スピーカ用フレー
ム２１はスピーカの界磁部との結合面を形成する界磁部
結合部２２と、スピーカの振動系を支持する周縁部に設
けた振動板貼付部２３と、中間部に設けたダンパー貼付
部２４と、前記の振動板貼付部２３と中間部に設けたダ
ンパー貼付部２４を保持するアーム部２５と、前記振動
板貼付部２３の外周部に設けられた縁立て部２６と、前
記界磁部結合部２２とダンパー貼付部２４を結合する略
円錐面部２７で構成されている。

【０００４】図９〜図１６は従来のスピーカ用フレーム
の製造方法を示し、概ね次の八工程からなり、各工程に
おける成型形状を示す。

【０００５】（ａ）スリット工程：図９に示すように大
きい金属板の基材２８の外周部からの材料の引き込み及
び材料の伸びを良くするために、不要な部分に孔開け部
２９を形成する。

【０００６】（ｂ）絞り工程：図１０に示すように概略
の形状に絞る。

【０００７】（ｃ）窓孔抜き工程：図１１に示すように
窓孔部３０を抜く。

【０００８】（ｄ）成型工程：図１２に示すように外周
部の縁立て部以外を最終形状に形成する。

【０００９】（ｅ）端子孔開け工程：図１３に示すよう
に端子板を取付ける取付孔３１を開ける。

【００１０】（ｆ）孔開け工程：図１４に示すように界
磁部結合部２２の中央の孔３２及び取りつけ孔（図示せ
ず）を開ける。

【００１１】（ｇ）トリム工程：図１５に示すように外
周部の縁立て部２６の外形形状３３と基材２８への保持
部３４を形成する。

【００１２】（ｈ）縁曲げ・切断工程：図１６に示すよ
うに外周部の縁立て部２６を形成し、基材２８から切り
離す。

【００１３】

【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
のスピーカ用フレームの製造方法は、所定の厚みを有す
る金属板を用いて、プレスによる孔開け工程と塑性変形
加工工程で作成されており、多くの工程数を必要とす
る。従ってコスト高になるし、各工程の孔開け金型、成
型金型作成費用も多大になる。また１個のスピーカ用フ
レームを作るのに、材料となる金属板に大きな絞り代、
即ちスピーカ用フレームの最大外径寸法より大きな金属
板を必要とし、更に窓孔開け加工のため材料利用率も悪
かった。

【００１４】本発明は上記従来の問題点を解決するもの
で、少ない加工成型工程数で実現できるスピーカ用フレ
ームの製造方法と、絞り代が少なく、材料利用率がよ
く、安価なスピーカ用フレームを提供するものである。

【００１５】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明のスピーカ用フレームは、周縁部に設けた振動
板貼付部と、中間部に設けたダンパー貼付部と、中央部
に設けた界磁部結合部と、上記振動板貼付部とダンパー
貼付部間に複数のスリットを成型によって展延させて形
成した複数の開口から構成されている。

【００１６】また、本発明のスピーカ用フレームの製造
方法は、金属板の周縁部から中間部にかけて複数個のス
リットを形成した後、この金属板を、周縁部に振動板貼
付部を、中間部にダンパー貼付部を、中央部に界磁部結
合部を形成するようにプレス成型し、振動板貼付部とダ
ンパー貼付部との間にスリットを展延した複数の開口を
形成する工程で構成されている。

【００１７】

【作用】スピーカ用フレームの形状で、従来のアーム部
と窓孔部の構成を、周縁部の振動板貼付部と、中間部の
ダンパー貼付部との間にスリットを展延した複数の開口
を形成する構成により、外径側からの材料引き込みによ
る大きな絞り代を必要とせず、更に窓孔開け加工のため
の材料利用率も大幅に改善される。

【００１８】更に製造方法を上記のようにすることによ
り、少なくとも従来の実施例で述べた絞り工程、窓孔抜
き工程、トリム工程、縁曲げ工程が省略でき、少ない加
工成型工程数で実現できる。

【００１９】

【実施例】以下本発明の一実施例について説明する。

【００２０】図１は本発明の一実施例におけるスピーカ
用フレーム１の背面から見た斜視図である。スピーカ用
フレーム１はスピーカの界磁部との結合面を形成する界
磁部結合部２と、スピーカの振動系を支持する周縁部に
設けた振動板貼付部３と、中間部に設けたダンパー貼付
部４と、前記振動板貼付部３とダンパー貼付部４の間に
設けた複数のスリットを成型によって展延させて形成し
た複数の開口５と、前記振動板貼付部３の外周部に設け
られた縁立て部６と、前記界磁部結合部２とダンパー貼
付部４を結合する略円錐面部７で構成されている。

【００２１】次に本発明のスピーカ用フレームの製造方
法の一実施例を示す。本発明のスピーカ用フレームの製
造方法は、スリット工程、成型工程１、成型工程２、端
子孔開け工程、孔開け・切断工程の五工程で構成したも
のである。

【００２２】尚、成型工程１，２はフレーム形状により
同時に実施も可能であることはいうまでもない。

【００２３】以下図面を用いて説明する。図２〜図６は
本発明のスピーカ用フレームの製造方法の一実施例にお
ける各工程でのスピーカ用フレームの形状を示したもの
である。

【００２４】（ａ）スリット工程：図２に示すようにス
ピーカの界磁部との結合面を形成する界磁部結合部２と
ダンパー貼付部４及び両方を接続する略円錐面部７の成
型時に材料の伸びを考慮するために設ける中央の孔８の
形成と、端子板取付部９の形成と、振動板貼付部３の外
周部に設けられた縁立て部６の外形形状１０と金属板の
基材１１との保持部１２の形成と、振動板貼付部３とダ
ンパー貼付部４の間に半径方向に交互に配列された複数
のスリット１３を形成する。

【００２５】（ｂ）成型工程１：次に、図３に示すよう
に周縁部に設けた振動板貼付部３と、外周部の縁立て部
６と、界磁部結合部２とダンパー貼付部４及び両方を接
続する略円錐面部７を最終形状に形成する。

【００２６】（ｃ）成型工程２：次に図４に示すように
振動板貼付部３とダンパー貼付部４の間に形成した複数
のスリット１３を展延させて複数の開口５を形成する。

【００２７】（ｄ）端子孔開け工程：続いて図５に示す
ように端子の取付孔１４を開ける。

【００２８】（ｅ）孔開け・切断工程：最後に図６に示
すように界磁部結合部中央の孔１５及び必要に応じて、
取りつけ孔（図示せず）を開ける工程と金属板の基材１
１からスピーカ用フレーム１を切り離す。

【００２９】以上のようなスピーカ用フレームの構成に
より、基材１１において外径側からの材料引き込みによ
る大きな絞り代を必要とせず、更に窓孔開け加工のため
の材料利用率も大幅に改善される。

【００３０】更にスピーカ用フレームの製造方法を上記
のように構成することにより、少なくとも従来の実施例
で述べた（ｂ）絞り工程、（ｃ）窓孔抜き工程、（ｇ）
トリム工程、（ｈ）縁曲げ工程が省略でき、少ない成型
工程数で実現できる。さらに順送方式（各成型工程の金
型を一台のプレスに設定して、帯状の金属板を成型しな
がら一工程ずつ順次送る成型方式）では金型の総重量が
軽いために、小型のプレスで高速に順送でき、少ない加
工工数で実現できる。

【００３１】図７は本発明の他の実施例におけるスピー
カ用フレーム１６の背面から見た斜視図である。ダンパ
ー貼付部１７を兼ね備えた界磁部結合部１８を中央部に
設け、周縁部に設けた振動板貼付部３と界磁部結合部１
８間に複数のスリットを成型によって展延させて形成し
た複数の開口１９を設けたスピーカ用フレームである。
製造方法では、前記の方法と類似であるが、成型性が良
い。

【００３２】

【発明の効果】以上のように本発明のスピーカ用フレー
ムは、その構成により基材において外径側からの材料引
き込みによる大きな絞り代を必要とせず、加工に必要な
金属板の基材の材料利用率を向上することができる。更
に窓孔開け加工のための材料利用率も大幅に改善され
る。

【００３３】更にスピーカ用フレームの製造方法を上記
のように編成することにより、少なくとも従来の実施例
で述べた絞り工程、窓孔抜き工程、トリム工程、縁曲げ
工程が省略でき、少ない加工成型工程数で実現でき、順
送方式では金型の総重量が軽いために、小型のプレスで
高速に順送でき、少ない加工工数で実現できるので、金
型費と加工費の削減で低コストなスピーカ用フレームの
実現が図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例におけるスピーカ用フレーム
の背面から見た斜視図

【図２】本発明のスピーカ用フレームの製造方法の一実
施例におけるスリット工程の平面図

【図３】同実施例における成型工程１の斜視図

【図４】同実施例における成型工程２の斜視図

【図５】同実施例における端子孔開け工程の斜視図

【図６】同実施例における孔開け、切断工程後の斜視図

【図７】本発明の他の実施例におけるスピーカ用フレー
ムの背面から見た斜視図

【図８】従来のスピーカ用フレームの背面から見た斜視
図

【図９】従来のスピーカ用フレームの製造方法を示し、
スリット工程における斜視図

【図１０】同絞り工程の斜視図

【図１１】同窓孔抜き工程の斜視図

【図１２】同成型工程の斜視図

【図１３】同端子孔開け工程の斜視図

【図１４】同孔開け工程の斜視図

【図１５】同トリム工程の斜視図

【図１６】同縁曲げ・切断工程の斜視図

【符号の説明】

１ スピーカ用フレーム ２，１８ 界磁部結合部 ３ 振動板貼付部 ４，１７ ダンパー貼付部 ５，１９ 複数の開口 ６ 縁立て部 ７ 略円錐面部 ８ 中央の孔 ９，１４ 端子板取付部 １０ 縁立て部の外形形状 １１ 金属板の基材 １２ 保持部 １３ 複数のスリット １５ 中央の孔 １６ スピーカ用フレーム

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】周縁部に設けた振動板貼付部と、中間部に
   設けたダンパー貼付部と、中央部に設けた界磁部結合部
   と、上記振動板貼付部とダンパー貼付部間に複数のスリ
   ットを成型によって展延させて形成した複数の開口を設
   けたスピーカ用フレーム。
2. 【請求項２】ダンパー貼付部を兼ね備えた界磁部結合部
   を中央部に設け、周縁部に設けた振動板貼付部と界磁部
   結合部間に複数のスリットを成型によって展延させて形
   成した複数の開口を設けたスピーカ用フレーム。
3. 【請求項３】金属板の周縁部から中間部にかけて複数個
   のスリットを形成した後、この金属板を、周縁部に振動
   板貼付部を、中間部にダンパー貼付部を、中央部に界磁
   部結合部を形成するようにプレス成型し、振動板貼付部
   とダンパー貼付部との間にスリットを展延した複数の開
   口を形成するスピーカ用フレームの製造方法。
4. 【請求項４】中央部にダンパー貼付部を兼ね備えた界磁
   部結合部を形成するようにプレス成型し、振動板貼付部
   と界磁部結合部との間にスリットを展延した複数の開口
   を形成する特許請求項３に記載のスピーカ用フレームの
   製造方法。