JPH0533549Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本考案は除雪機において、特に積雪深さが深い
場合にも除雪を可能とする機構に関するものであ
る。

(ロ) 従来技術 積雪が深い場合にも除雪を可能とする為に、除
雪部を上下に昇降を可能とする技術については、
公知とされているのである。

しかし除雪部を単に上下可能としただけでは
種々の不具合いが発生し、所望の除雪作業をする
ことが出来ないのである。

(ハ) 考案が解決しようとする問題点 特に積雪の深い場合には、除雪部が雪の下に入
り自由な動きが出来なくなる為、走行装置は実質
的に前後動しか出来なくなり、後退して他の角度
から除雪を始めることができず、操向クラツチに
より進行方向の修正をすることが不可能であり、
地面近くまで必ず除雪しないと徐々に除雪機全体
が傾斜面を上昇して行くこととなり、これを解消
する為には除雪部のチルト回動をも行う必要があ
るのである。

また、クローラー操向装置がいつたん傾斜面に
乗ると、除雪面が傾斜し除雪とともにその位置が
上昇してくるのであり、除雪部のローリング回動
をも可能としておく必要があるのである。

またこれらの調節は、実際に左右を雪に囲まれ
たような状態では、オペレーターが前方へ行つて
ピンの取り外し等により行うことが出来ないので
ある。

本考案はこれらの調節を油圧シリンダーにより
操作可能とし、該油圧シリンダー毎にバルブを設
けるのでは、操作頻度の少ないシリンダーもあり
無駄で有つたりコストの上昇を来すのである。

本考案は調節シリンダーを各部に設けて、深い
雪でも除雪可能とし、かつシリンダー毎にバルブ
を設けるとコストの上昇を招くので、これを省略
したものである。

(ニ) 問題を解決するための手段 本考案の目的は以上の如くであり、次に該目的
を達成する為の構成を説明すると。

走行装置に対して、昇降アーム１８により支持
した除雪部を昇降シリンダー７により上下調節可
能とし、更に該除雪部の上部を前後にチルト回動
可能とするチルトシリンダー３と、左右を上下に
ローリング回動可能とするローリングシリンダー
５と、左右を前後に調節する操向調節シリンダー
４を設け、昇降シリンダー７を操作する昇降バル
ブＶ１と、その他のシリンダーを操作する他機構
バルブＶ２とを、併置し１本の除雪部操作レバー
１により操作可能とし、他機構バルブＶ２より他
のシリンダーとの間に選択バルブＡを直列に介装
したものである。

(ホ) 実施例 本考案の目的・構成は以上の如くであり、次に
添付の図面に示した実施例の構成を説明すると。

第１図は本考案の除雪機の全体側面図、第２図
は除雪部のチルト機構と排土板１６の回動調節シ
リンダー６の部分の側面図、第３図は除雪部の操
向調節シリンダー４の作動を示す平面図、第４図
は操向調節シリンダー４の部分の斜視図、第５図
は従来のローリングシリンダー５′の部分の側面
図、第６図は本考案のローリングシリンダー５の
部分の後面図、第７図はチルトシリンダー３の取
付部の斜視図、第８図・第９図はチルトシリンダ
ー３の取付位置を変更した状態の側面図、第１０
図は操作パネル側の後面図、第１１図は選択バル
ブＡの部分の斜視図、第１２図は選択バルブＡの
側面図、第１３図は選択バルブＡの断面図、第１
４図は第１３図のＸ−Ｘ断面図、第１５図は同じ
くＹ−Ｙ断面図、第１６図は本考案の除雪機の操
作装置の油圧回路図である。

第１図において全体的な構成から説明すると、
除雪機の走行部を構成するクローラー操向装置Ｃ
の上にエンジンＢを載置して構成している。

該エンジンＥの後部に把握ハンドル５０を配置
し、該把握ハンドル５０に囲まれた位置に除雪部
操作レバー１と選択バルブ操作レバー２を配置し
ている。また除雪部のシユート１１の放擲方向を
左右に変える放擲方向レバー２４も配置されてい
るのである。該放擲方向レバー２４は連結杆２４
ａを介して、シユート１１の下部のウオームホイ
ール２７を回転し、該ウオームホイール２７の回
転によりウオーム２６とシユート１１を左右に回
動するのである。

クローラー操向装置Ｃの上に配置された機体フ
レームの後端位置に下部昇降アーム１８と上部昇
降アーム１９の下端が枢支されており、該両昇降
アーム１８，１９を平行リンク状に配置すること
により、上部ヒツチフレーム２０，２２を角度を
変えずに昇降可能に構成しており、該上部ヒツチ
フレーム２０の上端のブラケツト３０に枢結され
たチルトシリンダー３をオーガーカバー１２の上
端に枢結しているのである。

また左右の下部昇降アーム１８の前端がオーガ
ーカバー１２の下部の左右に枢結されており、機
体フレームにその後端を支持された下部昇降アー
ム１８と上部昇降アーム１９を昇降シリンダー７
により上昇した場合にも、オーガーカバー１２の
姿勢が前後に傾くことのないように構成している
のである。

そして左側の下部昇降アーム１８の先端とオー
ガーカバー１２との間に操向調節シリンダー４が
介装されているのである。

排土板１６はクローラー操向装置Ｃのフレーム
１７の先端に枢支されており、同じくフレーム１
７の先端との間で枢支された回動調節シリンダー
６の伸縮により排土板１６の高さと角度を調節可
能としているのである。

除雪部はオーガーカバー１２の前部に集雪オー
ガー１３と掻き落としオーガー１４が配置されて
おり、吹き出しブロワー１５のブロワー軸を前方
へ延長しベベルギヤボツクスを介して集雪オーガ
ー１３を駆動し、また上方へのチエーンケースを
介して掻き落としオーガー１４を駆動しているの
である。

エンジンＥの部分のギヤボツクスよりジヨイン
ト軸２４を介してチエーン２３に動力が伝達さ
れ、該チエーン２３により吹き出しブロワー１５
のブロワー軸が駆動されるのである。

本考案の要部である選択バルブＡが上部ヒツチ
フレーム２０の上に配置されているのである。

次に第２図において説明すると。

第２図においては、チルトシリンダー３を伸縮
して除雪部をチルトさせた状態を示しており、ま
た回動調節シリンダー６を伸縮して排土板１６を
上下に回動した状態をも示している。

第３図、第４図は操向調節シリンダー４による
深い雪の中での操向可能構成を示している。

従来は該操向調節シリンダー４の部分を調節杆
のピン孔を調節することにより、一方を前後に調
節して、機体の左右への操向壁を解消していたの
である。しかし、本考案においてはこの点を発展
させて、除雪部操作レバー１により操作可能な操
向調節シリンダー４により構成し、機体の左右へ
の操向壁を修正すると同時に、深い雪の中におい
ては、操向クラツチレバー３３，３３による操作
では操向出来ない場合に、該操向調節シリンダー
４を伸縮することにより操向を可能としているの
である。

第５図は従来のローリングシリンダー５′の配
置を示す図面、第６図は本考案のローリングシリ
ンダー５の配置を示す図面である。

従来は第５図の如く、下部昇降アーム１８の先
端とオーガーカバー１２の間に、該除雪部を上下
するローリングシリンダー５′を配置し、該ロー
リングシリンダー５′の伸縮により除雪部の左側
を上下して、ローリング回動を行つていたのであ
るが、本考案においては、除雪部の吹き出しブロ
ワー１５の部分をローリング回動可能にローリン
グフレーム２８に遊嵌枢支しており、該ローリン
グフレーム２８と吹き出しブロワー１５の間に介
装してローリングシリンダー５を設けているので
ある。

従来は除雪部の左端に設けたローリングシリン
ダー５′により、一端のみを上下していたので、
左端だけは上下調節出来るが右端は調節出来ない
という不具合いが有つたものである。

また一端にローリングシリンダー５′を配置し
ていることにより、ローリング角度がローリング
シリンダー５′のストロークに比して小さかつた
のである。

これに対して本考案においては、吹き出しブロ
ワー１５の周囲に枢支したことにより、左右端を
均等に上下することができ、また回動の基部近く
にローリングシリンダー５を配置することによ
り、ローリング角度を飛躍的に大きくすることが
出来たものである。

該ローリングフレーム２８は左右の下部昇降ア
ーム１８，１８の先端に固設されているのであ
る。

第７図、第８図、第９図はチルトシリンダー３
の調節幅を作業の種類により変更する状態を示し
た図面である。

上部ヒツチフレーム２０の上に固設したチルト
シリンダー３の為のブラケツト３０に前後にピン
３１の嵌入孔が開口されており、該前後のどちら
の孔にピン３１を嵌入するかにより、第８図の第
９図の状態を選択可能としているのである。

第８図の場合にはチルトシリンダー３を最長状
態に伸長した場合において、除雪部自体が垂直に
近い状態であり、オーガーカバー１２の下端と集
雪オーガー１３の下端の位置が同じであり、地表
面ギリギリまで除雪することができ地表面には雪
が残らないのである。

故にこの状態では舗装道路等の如く表面が平ら
な場合に使用し、水田やハウス内における除雪等
の場合においては第９図の如くチルトシリンダー
３が最長状態で、オーガーカバー１２の下端位置
よりも、集雪オーガー１３の下端が下になるよう
にして、オーガーカバー１２の下方に一定厚さの
状態の雪が残るようにすると、地面に凹凸がある
場合において、残した雪により走行面を水平にす
ることができるように構成しているのである。

また除雪部を上昇しながら、除雪した際に除雪
部の下方に落下する雪があるのであるが、該落下
して下部に積もつた雪は、除雪部の下降時におい
て第９図の状態の下向きにして、かきよせること
によりまず集雪オーガー１３により下部の雪を取
り除くことができ後から、オーガーカバー１２が
下降するので、オーガーカバー１２を傷めること
が少ないのである。

下降後にはまた、真直ぐに向けて50cm程度前進
し、次に除雪部を上方に向けて上昇し除雪作業を
繰り返すのである。

第１０図においては把握ハンドル５０の内部の
操作パネルの部分の配置が示されている。

該操作パネルの部分には左から除雪部操作レバ
ー１・変速レバー３２・左右の操向レバー３３・
オーガークラツチ３４・シユート１１の状態の回
動部を操作して放擲距離を調節する距離調節レバ
ー３５が設けられている。

また選択バルブ操作レバー２は回転可能に構成
しており、該選択バルブ操作レバー２を４箇所に
回動することにより、チルトシリンダー３と操向
調節シリンダー４とローリングシリンダー５と回
動調節シリンダー６のどれかを選択することが可
能に構成している。

次に第１６図の油圧回路から説明すると。

エンジンＥの側部に設けられ駆動される油圧ポ
ンプより、圧油がリリーフ弁を介して並列に配置
された昇降バルブＶ１と他機構バルブＶ２に供給
されている。

昇降バルブＶ１により上げ・中立・下げに制御
された圧油は昇降シリンダー７Ｌ，７Ｒにのみ供
給されている。

もう一つの他機構バルブＶ２により上げ・中
立・下げに制御された圧油は選択バルブＡに供給
されて、チルトシリンダー３・操向調節シリンダ
ー４・ローリングシリンダー５・回動調節シリン
ダー６のどれかに供給されるように構成されてい
る。

除雪部操作レバー１は昇降バルブＶ１と他機構
バルブＶ２の両バルブを操作可能に構成してお
り、第１０図の位置で除雪部操作レバー１を前後
に回動することにより、昇降シリンダー７が伸縮
し、下部昇降アーム１８，１８が上下に回動し除
雪部を昇降するのである。

これに対して除雪部操作レバー１を左右に回動
することにより、チルトシリンダー３が選択バル
ブ操作レバー２により選択されている場合には、
除雪部の上部が前後し、操向調節シリンダー４が
選択されている場合には、除雪部の水平位置が左
右を前後に回動され、ローリングシリンダー５が
選択されている場合には、除雪部の左右が上下に
回動し、回動調節シリンダー６が選択されている
場合には排土板１６が上下に位置を変更するもの
である。

第１１図より第１５図の構成に基づき選択バル
ブＡの構成を説明すると。

選択バルブＡはバルブケース８と回転スプール
９により構成されており、選択バルブ操作レバー
２を回動することにより回転スプール９が回転可
能に構成されている。

バルブケース８の周囲の５箇所に、パイプ継手
が構成されている。パイプ継手３６ａ，３６ｂは
他機構バルブＶ２からのパイピングの継手であ
り、パイプ継手３８ａ，３８ｂはローリングシリ
ンダー５へのパイピングの継手であり、パイプ継
手３７ａ，３７ｂは操向調節シリンダー４へのパ
イピングの継手であり、パイプ継手３９ａ，３９
ｂはチルトシリンダー３へのパイピングの継手で
あり、パイプ継手４０ａ，４０ｂは回動調節シリ
ンダー６へのパイピングの継手である。

そして回転スプール９の内部に油路９ａ，９ｂ
が開口されており。該油路９ａ，９ｂがそれぞれ
のパイプ継手へ連結するのである。

該選択バルブＡはバルブケース８と回転スプー
ル９の径を大きくすることにより、幾らでも切換
回路を構成することができ、他の部分にも油圧シ
リンダーを配置し操作させることができるもので
ある。

(ヘ) 考案の作用 本考案は以上の如く構成したものであり、１メ
ートル以上の雪の中においては、次のように除雪
作業を行うのである。

最初に除雪部を最下部に配置して変換レバー３
２により前進へ入れて、50cm程度進みこれにより
下部前方の雪を除雪し、次に前進をとめて除雪部
操作レバー１の後方回動し、除雪部を徐々に上昇
しながら上部の雪を除雪するのである。

そして上方まで除雪を終了すると、該位置でそ
のまま除雪部を下降させ、最下部の位置で、50cm
前進し、前記の除雪作用を繰り返すのである。こ
のように除雪作業をすることにより、機体を後退
させることなく、間歇的な前進作業のみで除雪作
業をすることができるのである。

しかし除雪機の癖があるので、徐々に機体の進
行方向が曲がるのである。この曲げは操向クラツ
チレバー３３を操作しても、左右は雪の壁である
ので操向することができないのである。

この場合には操向調節シリンダー４により除雪
部の前後の水平傾きを調整して、除雪しながら曲
がりを修正するのである。

またクローラー操向装置Ｃが傾斜面に乗り上げ
た状態となり傾斜した場合には、除雪部のみをロ
ーリングシリンダー５により傾斜させて修正する
ことが出来るのである。

またチルトシリンダー３の伸縮により、集雪オ
ーガー１３と掻き落としオーガー１４の前後位置
を調節することができ、除雪部を上下する場合に
チルト角度も調整しながら昇降するのである。

これにより上方の雪の掻き落としオーガー１４
による掻き落としがスムーズに行えるのである。

(ト) 考案の効果 本考案は以上の如く構成したので次のような効
果を奏するものである。

第１に、チルトシリンダー３を設けたことによ
り、下部から上方へ除雪を行う際において、掻き
落としオーガー１４による掻き込み操作がスムー
ズに行えるのである。

第２に、操向調節シリンダー４を設けたことに
より、左右を雪に囲まれた状態で、機体の癖によ
り除雪機が徐々に曲がる状態を、操向調節シリン
ダー４の伸縮により把握ハンドル５０の位置から
操作し、真直ぐに走行させることができるのであ
る。

また該操向調節シリンダー４は機体の操向癖を
修正するだけではなく、深い雪の中で操向クラツ
チレバー３３，３３による操向が出来ない場合
に、除雪部操作レバー１を操作することにより、
積極的に機体を操向を行うことができるように成
つたものである。

第３に、チルトシリンダー３により除雪部を大
きくチルト可能としたことにより、上昇時には上
を向けて除雪し、その際に除雪部の下に落下した
雪を下降時には除雪部を最大限度下向きにして下
降することにより、オーガーカバー１２が雪に干
渉する前に集雪オーガー１３により掻き集めて放
擲するとこができて、下降時の除雪にも強く成つ
たものである。

第４に、ローリングシリンダー５を吹き出しブ
ロワー１５の周囲を設けて、ブロワー軸を中心に
除雪部の左右を上下に回動することにより、回動
調節幅を大きく取ることができるのである。

第４に、これらの複数のシリンダーを配置した
場合には、それぞれ毎にバルブを配置する必要が
あり、レバーも対応して配置する必要があるので
あるが、本考案の場合には他機構バルブＶ２と各
複数のシリンダーの間に選択バルブＡを設けたこ
とにより、選択バルブＡの切換選択により他機構
バルブＶ２をそれぞれのバルブとして兼用するこ
とができるので、バルブとレバーの数を減少さ
せ、パイピングの配管も減少させることが出来た
ものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の除雪機の全体側面図、第２図
は除雪部のチルト機構と排土板１６の回動調節シ
リンダー６の部分の側面図、第３図は除雪部の操
向調節シリンダー４の作動を示す平面図、第４図
は操向調節シリンダー４の部分の斜視図、第５図
は従来のローリングシリンダー５′の部分の側面
図、第６図は本考案のローリングシリンダー５の
部分の後面図、第７図はチルトシリンダー３の取
付部の斜視図、第８図・第９図はチルトシリンダ
ー３の取付位置を変更した状態の側面図、第１０
図は操作パネル側の後面図、第１１図は選択バル
ブＡの部分の斜視図、第１２図は選択バルブＡの
側面図、第１３図は選択バルブＡの断面図、第１
４図は第１３図のＸ−Ｘ断面図、第１５図は同じ
くＹ−Ｙ断面図、第１６図は本考案の除雪機の操
作装置の油圧回路図である。 Ａ……選択バルブ、Ｃ……クローラー操向装
置、１……除雪部操作レバー、２……選択バルブ
操作レバー、３……チルトシリンダー、４……操
向調節シリンダー、５……ローリングシリンダ
ー、６……回動調節シリンダー、７……昇降シリ
ンダー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 昇降アーム１８により支持した除雪部を昇降シ
   リンダー７により上下調節可能とし、更に該除雪
   部の上部を前後にチルト回動可能とするチルトシ
   リンダー３と、左右を上下にローリング回動可能
   とするローリングシリンダー５と、左右を前後に
   調節する操向調節シリンダー４を設け、昇降シリ
   ンダー７を操作する昇降バルブＶ１と、その他の
   シリンダーを操作する他機構バルブＶ２とを、併
   置し１本の除雪部操作レバー１により操作可能と
   し、他機構バルブＶ２より他のシリンダーとの間
   に、選択バルブＡを直列に介装したことを特徴と
   する除雪機の操作装置。