JPH0533182B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は剛体トロリ線等の給電用電車線を、軌
道に沿つて横向きに架設する電車線支持装置に関
する。上記のような剛体トロリ線は例えばタイヤ
式電車のような新都市交通機関に用いられてい
る。

（従来技術及びその問題点） 従来の電車線支持装置は、電車の横向きガイド
輪に当接するガイドレールとは別に、独立してハ
ラペツト壁面あるいは軌道面に取付けられてい
る。そのため電車線支持装置の取付け作業におい
て、ガイドレールのレール面に対する電車線の水
平方向の張出し量の調節や、レールに対する電車
線の平行度（傾き）及び上下位置の調整に手間が
かかる。またパラペツト壁面あるいは軌道面にガ
イドレール専用の支持脚部分と電車線支持装置専
用の支持脚部分とを別々に設けなければならず、
そのために左右のパラペツトの間隔が広くなり、
軌道が大型化する。

（発明の目的） 本発明の目的は、ガイドレールに脚立を固定す
ることにより、取付け現場での上記電車線の電車
側への張出し量調整を省略あるいは容易に出来る
ようにすると共に、アジヤストナツト及び長円形
孔付カラー等を利用することにより、現場での電
車線の上下方向位置調整及び傾斜角の調整を容易
に出来るようにすることである。

（目的を達成するための手段） 上記目的を達成するために本発明は、ガイドレ
ールに固定される脚立と、複数本の電車線を取付
けるブラケツトを備え、脚立には上記ブラケツト
を取付けるための垂直取付け面を有する垂直基板
部を設け、ブラケツト又は基板部のいずれか一方
に複数個の長円形孔付カラーを回動可能に嵌合
し、該カラーを介して取付けボルトによりブラケ
ツトを取付け面に締結し、基板部にはレール長さ
方向に延びるナツト支持用長孔を有するボス部を
レール長さ方向に間隔を隔てて２箇所に設け、上
記各ボス部には取付け面と垂直な軸状のアジヤス
トナツトを回動可能に支持し、アジヤストナツト
にはその軸芯線方向と略直角な雌ねじを形成し、
アジヤストナツトに螺合するアジヤストボルトを
ブラケツトに係合し、アジヤストボルトによりブ
ラケツトの上下位置を調整自在とすると共に長円
形孔付カラーの回動により取付け面内の傾斜角を
調整自在としている。

（実施例） 第４図はゴムタイヤ式電車１及びその軌道装置
２の代表的例の断面略図を示している。この第４
図において、軌道部３は地面Ｅ上に脚台４を介し
て支持されており、軌道部３の両側には上方に延
びる１対のパラペツト５が形成されている。

電車１は下側にゴム車輪６を備え、左右両側に
横向きのガイド輪７を備えており、ゴム車輪６は
軌道部３の走行路面３ａに当接し、ガイド輪７は
断面形状Ｈ形のガイドレール８に当接している。
電車１の集電器９は３相交流の給電用トロリ線１
０に当接している。ガイドレール８をレール支持
脚１２に固定されており、レール支持脚１２は第
５図に示すようにレール長さ方向に間隔を隔てて
多数配置されると共に軌道部３に固定されてい
る。トロリ線１０を支持する電車線支持装置１５
はガイドレール８に直接固定されている。支持装
置１５はレール長さ方向に間隔を隔てて多数配置
されると共に、レール支持脚１２からレール長さ
方向に間隔を隔てた位置に配置されている。

支持装置１５の拡大側面図（第４図の拡大図）
を示す第１図において、各トロリ線１０は把持部
材２０によりがいし２１に取付支持されている。
支持装置１５は断面形状Ｔ形の脚立２３とブラケ
ツト２４等を備えており、脚立２３はガイドレー
ル８のレールガイド面８ａと平行な端面２３ａ部
分がレール８の垂直端面８ｂに当接している。断
面形状概ねコの字形の締付け金具２５、Ｕボルト
２６及びナツト２７等よりなる締付け装置とボル
ト２８及びナツト２９により、脚立２３の下端部
分がレール８の垂直端面８ｂに固定され、上方へ
と延びている。締付け金具２５の下端片には脚立
２３の幅に対応する切欠き２５ａが形成され、切
欠き２５ａ内に脚立２３を嵌込んでいる。

脚立２３の上端部には連結金具３０が溶着さ
れ、連結金具３０には垂直取付け面３２ａを有す
る垂直板部３２が溶着されている。一方ブラケツ
ト２４は平板状に形成されると共に上記がいし２
１が固着され、基板部３２の取付け面３２ａに当
接し、３本のボルト３３、３個のナツト３６及び
３個のカラー３８により取付け面３２ａに締着さ
れている。

即ち第３図において、取付け面３２ａには上側
に１個、下側に２個のボルト挿通孔４０が形成さ
れ、ブラケツト２４には上記ボルト挿通孔４０に
対応する３個のカラー嵌合孔４３が形成され、カ
ラー嵌合孔４３には長円形孔４５を有するカラー
３８が回動可能に嵌合する。各ボルト３３はボル
ト挿通孔４０及びカラー３８の長円形孔４５に挿
入され、ナツト３６が螺着される。

垂直基板部３２の上端とブラケツト２４の上端
部の間は、２本のアジヤストボルト４６及び２本
のアジヤストナツト４７により連結されており、
ブラケツト２４の上下方向位置を調節できるよう
になつている。即ち基板部３２の上端部にはレー
ル長さ方向（矢印Ｒと平行な方向）に間隔を隔て
て１対のボス部５０が設けられており、ボス部５
０にはレール長さ方向に長いナツト支持用長孔５
１がそれぞれ形成され、各長孔５１に、基板部３
２と直角な丸軸状のアジヤストナツト４７が回動
自在に支持されている。アジヤストナツト４７の
中央部にはナツト軸芯線と直角な雌ねじ４７ａが
形成されている。一方ブラケツト２４の上端部に
は１対のボルト取付け座５３が溶着されており、
取付け座５３にはボルト挿通孔５５がそれぞれ形
成されている。

アジヤストナツト４６の上端部にはスパナ等で
掴むための角形部４６ａが形成され、また中央部
にはフランジ４６ｂが形成されている。アジヤス
トボルト４６の下半部分はアジヤストナツト４７
に螺挿され、上半部分は取付け座５３の孔５５を
通つてナツト５６が螺挿される。

（作用） 脚立２３をガイドレール８の垂直面８ｂに固定
する場合には、垂直面８ｂの上側をボルト２８及
びナツト２９により固着すると共に、垂直面８ｂ
の下側を金具２５、Ｕボルト２６及びナツト２７
により締付ける。金具２５の切欠き２５ａには脚
立２３を嵌め込む。

レール８のガイド面８ａに対するトロリ線１０
の電車側（矢印Ｃ方向側）への張打し量の調整
は、取付け現場で特に行なう必要はない。即ち脚
立２３をレール８の垂直面８ｂに直接固定するよ
うにしているので、支持装置１５の工場製造過程
において予め張出し量を設定しておくだけで、正
確に取付けることができる。

トロリ線１０の上下方向の位置調整は、両アジ
ヤストボルト４６の回動操作により行なう。アジ
ヤストボルト４６をレール長さ方向に間隔を隔て
て１対備えているので、第２図のように３個のが
いし２１を分散配置している場合でも、各がいし
２１の高さ、即ち各トロリ線１０の高さを正確に
設定できる。

基板部３２の取付け面３２ａ内における傾斜
角、即ちレール８に対するトロリ線１０の平行度
の調整は、例えば第２図の上側のカラー３８部分
を回動支点とし、下側の２個のカラー３８を回動
しながら下側の２個のボルト３３の位置を調整
し、かつ上方のアジヤストボルト３６を回動する
ことにより行なう。ブラケツト２４の回動調整量
が大きい場合、あるいは上側のカラー３８をも回
動調整する場合には、アジヤストナツト４７がボ
ス部５０の長孔５１内を移動（回動的移動）する
ことにより、アジヤストボルト４６の回動及びブ
ラケツト２４の回動が支承なく円滑に行なわれ
る。

なお上記のように上下方向位置及び傾斜角を調
整する時は、アジヤストボルト４６のナツト５６
やカラー用の各ナツト３６を仮締めしているが、
調整後は最終的に締付ける。

（別の実施例） (1) 第１図の仮想線で示すように、脚立２３の上
端部を補強用アンカーボルト６０によりパラペ
ツト５に支持するようにしてもよい。この手段
は例えばパラペツト５と脚立の端面２３ａとの
間Ｌ１が狭く、そのために脚立の補強リブ２３
ｂ部分の幅Ｌ２を短くしなければない場合等
に、脚立２３の矢印Ｃ方向あるいは逆矢印Ｃ方
向への撓みを防止できる。

(2) 図示の実施例は３本のトロリ線を支持する３
相交流用の電車線支持装置であるが、本発明は
２本の電線が使用される直流用の電車線支持装
置にも適用できる。

(3) 図示の実施例では傾斜角調整用のカラー３８
及びボルト３３等を３組備えているが、２組備
えるだけでも良い。

(4) 長円形付カラー３８を基板部３２に嵌合する
ようにしてもよい。

（発明の効果） 以上説明したように本発明は： (1) 取付け面３２ａを有する垂直基板部３２と、
取付け面３２ａに固定されるブラケツト２４を
備え、長円形孔付カラー３８を介してブラケツ
ト２４をを垂直取付け面３２ａに締結し、取付
け面３２ａに直角な軸状アジヤストナツト４７
及びこのアジヤストナツト４７に螺合するアジ
ヤストボルト４６により、ブラケツト２４の上
下方向位置及び取付け面３２ａ内の傾斜角、例
えばレール８に対するトロリ線１０の平行度を
調整するようにしているので、取付け作業現場
においてトロリ線１０の上下方向位置及び傾斜
角（レール８に対する平行度）を簡単に調整で
き、現場での作業能率が向上する。

(2) アジヤストボルト４６及びアジヤストナツト
４７の組をレール長さ方向に間隔を隔てて２組
備えいるので、例えば第２図のように３個のが
いし２１が分散配置されている３相交流用装置
でも、がいし２１を支持するブラケツト２４の
上下方向の位置及び傾斜角を簡単かつ正確に調
整できる。

(3) アジヤストナツト４７を支持するボス部５０
の支持孔５１をレール長さ方向に長く形成して
いるので、たとえばブラケツト２４の回動調整
量が大きくなつても、長孔５１内をアジヤスト
ナツト４７が移動することにより、ブラケツト
２４の回動調整を円滑に行なうことができる。

(4) 電車１のガイド輪７に当接するガイドレール
８に、直接電車線支持装置１５を固定するの
で、電車線支持装置専用の支持脚をパラペツト
等に設ける必要はなくなる。

従つて軌道装置の敷設工事及び電車線支持装
置１５の付設工事が簡単なり、作業能率が向上
し、工期を短縮できる。

(5) 電車線支持装置用の支持脚をパラペツト５等
に設ける必要がなくなるので、パラペツト５の
間隔を狭くすることが可能になり、それにより
軌道２をコンパクトにすることができる。

(6) 電車線支持装置をガイドレール８に固定する
ので、レールガイド面８ａに対するトロリ線１
０の水平方向への張出し量の調整が現場におい
て簡単に行なうことができる。

特に第１図に示すようにレール８の垂直面８
ｂに脚立２３の垂直端面２３ａを固定するよう
にすると、現場での上記調整作業は省略でき
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による電車線支持装置の側面
図、第２図は正面図（第１図の矢視図）、第３
図は第１図の要部の分解斜視図、第４図は本発明
による電車線支持装置が備えられた軌道装置の全
体断面図、第５図は第４図の−断面部分図で
ある。 １……電車、８……ガイドレール、１０……ト
ロリ線、２３……脚立、２４……ブラケツト、３
２……垂直基板部、３２ａ……垂直取付け面、３
８……長円形孔付カラー、４５……長円形孔、４
６……アジヤストボルト、４７……アジヤストナ
ツト、４７ａ……雌ねじ、５０……ボス部、５１
……長孔。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ガイドレールに固定される脚立と、複数本の
   電車線を取付けるブラケツトを備え、脚立には上
   記ブラケツトを取付けるための垂直取付け面を有
   する垂直基板部を設け、ブラケツト又は基板部の
   いずれか一方に複数個の長円形孔付カラーを回動
   可能に嵌合し、該カラーを介して取付けボルトに
   よりブラケツトを取付け面に締結し、基板部には
   レール長さ方向に延びるナツト支持用長孔を有す
   るボス部をレール長さ方向に間隔を隔てて２箇所
   に設け、上記各ボス部には取付け面と垂直な軸状
   のアジヤストナツトを回動可能に支持し、アジヤ
   ストナツトにはその軸芯線方向と略直角な雌ねじ
   を形成し、アジヤストナツトに螺合するアジヤス
   トボルトをブラケツトに係合し、アジヤストボル
   トによりブラケツトの上下位置を調整自在とする
   と共に長円形孔付カラーの回動により取付け面内
   の傾斜角を調整自在としたことを特徴とする電車
   線支持装置。