JPH11192862A - トンネル内吊架線支持装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 アンカー打ち箇所を少なくすると共に、特別
な位置調整作業を行うことなく簡単に吊架線の架線工事
を行うこと。 【解決手段】 腕金１をトンネル天井部Ｔｎのほぼ中央
の湾曲面に沿うように略山形に形成し、その頂部１ａを
下方からアンカーボルトでトンネル天井部Ｔｎに固定す
るようにする。腕金１には支持碍子２を介して支持杆３
をほぼ水平に固定する。この支持杆３のほぼ中間部に取
付位置を変更できる支持金具４を取り付ける。支持金具
４上には支持滑車６を支持するブラケット５を設ける。
支持滑車６は吊架線Ｍを載せ受けて、延線方向へ自由に
送ることができる。支持金具４上にはＴ字状の離脱防止
部材７を設ける。離脱防止部材７の横ピン７ａは支持滑
車６に載った吊架線Ｍ上に位置して、吊架線Ｍの離脱を
阻止する。離脱防止部材７の先端部から腕金１までの間
隔は２５０mm以上になるように寸法設定し、吊架線Ｍと
の必要な電気絶縁性を保つ。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、電車線路の途上に
おけるトンネル内の天井部の狭隘空間で吊架線を支持す
るためのもので、取付工事が容易な吊架線支持装置に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】トンネル内では、天井部が湾曲してお
り、吊架線を所定の絶縁距離を保って支持するために十
分な高さを確保することが困難である。従来、図９及び
図１０に示すように、トンネルの天井部Ｔｎのほぼ中央
部に、吊架線Ｍの延線方向に略Ｖ字状に一対の長幹碍子
１２を取り付けると共に、側方からほぼ水平に長幹碍子
１３を取り付け、この長幹碍子１３に支持パイプ１４を
接続して吊架線Ｍを三方向から支持している。各碍子１
２，１３は、端部に固着されたアンカープレート１１を
アンカーボルトで固定することによりトンネルの天井部
Ｔｎに取り付けられる。支持パイプ１４の先端部には、
吊架線Ｍを支持するための支持滑車１５が取り付けられ
ている。また、電車線路の曲がり箇所では、支持パイプ
１４に曲線引き金具１６を取り付けて電車線Ｔを引き留
めている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の吊架線の支
持手段で電車線の架線工事を行う場合、先ず長幹碍子１
３をほぼ水平に取り付け、次に長幹碍子１２を位置調整
しながらその端部が支持パイプ１４に合致するように取
り付ける。このため、三ヶ所にアンカーボルトを打たな
ければならないし、位置合わせのための微調整を要し、
さらにレール上を走行する作業車から離れた位置に長幹
碍子１３を取り付けるので、作業車から降りて梯子を掛
け取付位置まで移動しなければならず、取付作業に多大
な労力を費やしている。そこで、本発明は、アンカー打
ち箇所を少なくすると共に、特別な位置調整作業を行う
ことなく、作業車上で簡単に取付工事を行うことがで
き、天井部中央付近にコンパクトに取り付けることがで
きるトンネル内吊架線支持装置を提供することを課題と
している。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、第１の発明においては、トンネル内に電車線Ｔを架
設するために吊架線Ｍを支持する吊架線支持装置におい
て、トンネルの天井部Ｔｎの湾曲面に沿った曲がりを有
する横方向に延びた腕金１の中間部を天井部Ｔｎに固定
し、この腕金１に間隔をおいて上下に対向するように腕
金１の両端部に碍子２を介して横方向に支持杆３を支持
させ、吊架線Ｍを腕金１から所定の絶縁間隔をおいて延
線方向に移動自在に載せ受ける回動可能な支持滑車６を
支持杆３の中間部に支持させてトンネル内吊架線支持装
置を構成した。第２の発明においては、支持杆３上の取
付位置を変更可能な支持金具４を介して支持滑車６を設
けた。第３の発明においては、支持杆３の一端部に、電
車線Ｔを横方向から引き留める曲線引き金具８を設け
た。

【０００５】

【発明の実施の形態】本発明の実施の一形態を図面を参
照して説明する。図１及び図２において、１は、トンネ
ルの天井部Ｔｎのほぼ中央の湾曲面に沿うように略山形
に曲折した横方向に延びる腕金である。この腕金１の頂
部１ａが下方からアンカーボルトでトンネルＴｎの天井
部に固定される。腕金１の両端部には、支持碍子２を水
平にボルト止めするための取付板１ｂが固着されてい
る。

【０００６】腕金１の取付板１ｂに取り付けられた支持
碍子２，２の下端部間には支持杆３がほぼ水平にボルト
止めされる。支持杆３は、図３に示すように、スチール
パイプ３ａの両端部に支持碍子２をボルト止めするため
の水平の板部３ｂを備えている。スチールパイプ３ａの
中間部には、軸線方向に等間隔に四つのボルト挿通孔３
ｃが並んで設けられている

【０００７】この支持杆３のほぼ中央部上には、支持金
具４を介して支持滑車６が支持されている。支持金具４
は、図４に示すように、支持杆３のスチールパイプ３ａ
上に跨るように断面略コ字状に屈曲した金属板材から成
り、その対向する側面に四つのボルト挿通孔４ａを有
し、ボルト４ｂで支持杆３に締め止められる。ボルト挿
通孔４ａは二本のボルト４ｂで固定するように相互の間
隔が支持杆３のボルト挿通孔３ｃのそれの半分で、ボル
ト挿通孔３ｃ，４ａを適宜選択して支持杆３に対する支
持金具４の取付位置をボルト挿通孔４ａのピッチで変更
できるようになっている。

【０００８】支持金具４上には、吊架線Ｍの延線方向に
対向して前後に対を成す略Ｖ字状の二つのブラケット５
が横方向に二対固着されている。ブラケット５は前後へ
斜め上方に延出し、その両端部が同じ高さ位置にある。

【０００９】ブラケット５には支持滑車６が回動自在に
軸支されている。支持滑車６は、吊架線Ｍを延線方向へ
自由に送ることができるように載せ受ける。

【００１０】支持金具４上の左右及び前後のブラケット
５，５間には、Ｔ字状の離脱防止部材７が立設されてい
る。離脱防止部材７は、支持滑車６，６間に位置し、延
線方向と直交する横ピン７ａが支持滑車６に載った吊架
線Ｍ上に位置して吊架線Ｍが滑車６からの離脱するのを
阻止する。なお、離脱防止部材７の先端部から腕金１ま
での間隔は吊架線Ｍとの必要な電気絶縁性を保つために
２５０mm以上になるように寸法設定されている。

【００１１】この吊架線支持装置は予め組み立ててお
き、腕金１の頂部１ａをアンカーボルトでトンネルの天
井部Ｔｎに取り付けて固定する。アンカーボルトは一ヶ
所のみであるから取付作業が容易であるし、特別な位置
調整を必要としない。また取付作業は、レール上を走行
する作業車上で全て行うことができる。吊架線Ｍの延線
工事においては、先ずパイロットロープを吊架線支持装
置の支持滑車６に載せて各吊架線支持装置に二本のパイ
ロットロープを通す。次に、地上のドラムに巻かれてい
る吊架線Ｍをパイロットロープに接続してパイロットロ
ープで引くことにより吊架線Ｍの延線していく。延線後
の吊架線Ｍは、吊架線支持装置において腕金１までの間
隔が２５０mm以上になるので、規定の電気的絶縁距離が
確保される。吊架線Ｍは、電車の通過時などに延線方向
に引かれるが、支持滑車６によって無理なく送られる
し、離脱防止部材７により支持滑車６からの脱落が防止
される。なお、延線工事は、上記方法に代えて公知の種
々の方法を適用できる。

【００１２】他の実施形態を図５乃至図８に示す。な
お、先の実施形態と同一の構成部分には同一の符号を付
して説明を省略する。支持杆３の一方の板部３ｂの外側
には、曲線引き金具８を取り付けるための取付パイプ３
ｄが延長するように固着されている。取付パイプ３ｄに
取り付けられる曲線引き金具８は、電車線Ｔの曲がり箇
所で電車線Ｔを曲がりの外側へ引き留めるもので、図７
及び図８に示すように、取付金具９を介して取り付けら
れる。取付金具９は、取付パイプ３ｄの周りにねじで固
定する抱持部９ａと、抱持部９ａから側方へ延びるアー
ム部９ｂと、曲線引き金具８をねじ止めする固定部９ｃ
とを備えている。曲線引き金具８は、固定部９ｃにねじ
止めされる引手部８ａと、引手部８ａからほぼ水平に延
出した後下方へ傾斜するように若干曲がって吊架線Ｍの
下方に至るパイプアーム８ｂと、電車線Ｔを把持する把
持部８ｃとを有する。引手部８ａにはパイプアーム８ｂ
を上下に弾性的に揺動可能に付勢するばねを内蔵してい
る。

【００１３】この吊架線支持装置は、電車線Ｔの曲がり
箇所に取り付けられ、先の実施形態と同様にして吊架線
Ｍを支持する。この曲がり箇所では曲線引き金具８が電
車線Ｔを曲がりの外側へ引き留める。この吊架線支持装
置には曲線引き金具８を付設できるので、曲線引き金具
８をトンネル内の狭隘空間に設けることができる。

【００１４】

【発明の効果】以上のように、第１の発明においては、
トンネル内に電車線Ｔを架設するために吊架線Ｍを支持
する吊架線支持装置において、トンネルの天井部Ｔｎの
湾曲面に沿った曲がりを有する横方向に延びた腕金１の
中間部を天井部Ｔｎに固定し、この腕金１に間隔をおい
て上下に対向するように腕金１の両端部に碍子２を介し
て横方向に支持杆３を支持させ、吊架線Ｍを腕金１から
所定の絶縁間隔をおいて延線方向に移動自在に載せ受け
る回動可能な支持滑車６を支持杆３の中間部に支持させ
てトンネル内吊架線支持装置を構成したたため、トンネ
ルの天井部Ｔｎの一ヶ所に腕金を固定するだけで簡単に
かつコンパクトに取り付けることができるし、特別な位
置合わせ等を必要とせず、さらにレールを走行する作業
車上での作業のみとなるので、取付作業の労力を大幅に
軽減することができるという効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る吊架線支持装置の正面図である。

【図２】腕金の底面図である。

【図３】支持杆の底面図である。

【図４】支持金具の側面図である。

【図５】他の実施形態の吊架線支持装置の正面図であ
る。

【図６】支持杆の底面図である。

【図７】支持金具の平面図である。

【図８】支持金具の側面図である。

【図９】従来の吊架線支持装置の正面図である。

【図１０】従来の吊架線支持装置の平面図である。

【符号の説明】

１ 腕金 １ａ 頂部 ２ 支持碍子 ３ 支持杆 ４ 支持金具 ５ ブラケット ６ 支持滑車 ７ 離脱防止部材 ８ 曲線引き金具 Ｔｎ トンネル天井部 Ｍ 吊架線

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 トンネル内に電車線を架設するために吊
   架線を支持する吊架線支持装置において、 前記トンネルの天井部の湾曲面にほぼ沿った曲がりを有
   し、中間部が天井に固定される横方向に延びた腕金と、 この腕金と間隔をおいて上下に対向するように腕金の両
   端部に碍子を介して横方向に支持される支持杆と、 この支持杆の中間部に支持され、吊架線を腕金から所定
   の絶縁間隔をおいて延線方向に移動自在に載せ受ける回
   動可能な支持滑車とを具備することを特徴とするトンネ
   ル内吊架線支持装置。
2. 【請求項２】 前記支持滑車は、前記支持杆上の取付位
   置を変更可能な支持金具を介して支持されていることを
   特徴とする請求項１に記載のトンネル内吊架線支持装
   置。
3. 【請求項３】 前記支持杆の一端部には、電車線を横方
   向から引き留める曲線引き金具が設けられていることを
   特徴とする請求項１に記載のトンネル内吊架線支持装
   置。