JP2003276480A - 隧道内の電車線支持用下束装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 セグメントの結合によって内壁が構成される
隧道に、アンカーボルトを打ち込むことなく、確実に取
り付けて電車線を支持する。 【解決手段】 電車線支持装置４を支持する支持部材３
は、隧道の天井に沿って伸びるように固定された支持梁
２を介して隧道に固定される。支持梁２には接続金具５
を突出させ、これをセグメント３１の接続用ボルト又は
ナットの操作用凹所３１ｃに挿入できる位置に配置す
る。接続金具５は、セグメント３１の凹所３１ｃ内にお
いてセグメント３１の接続端面に沿う。接続金具５のボ
ルト挿通孔５ａに、セグメント３１の接続用ボルトを挿
通させ、セグメント３１と共締めして隧道に固定する。
下束装置１が、セグメント３１の接続部に対応する接続
金具５を備えた支持梁２によって隧道の天井に固定され
るから、セグメント３１の結合によって内壁が構成され
る隧道に、アンカーボルトを打ち込むことなく、確実に
取り付けられる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、プレキャストコ
ンクリート製のセグメントを接続して内壁が構成される
隧道に取り付けられる電車線支持用下束装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】電車線支持用の下束装置は、電車線を支
持する可動ブラケット等の電車線支持装置を隧道の天井
に支持するための装置である。従来、電車線支持用の下
束装置は、隧道の天井にアンカーボルトを打ち込んで固
定されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】近年、プレキャストコ
ンクリート製のセグメントをボルト、ナットで接続して
隧道の内壁を構成する工法が実施されるようになった。
このような隧道では、セグメントにアンカーボルトを打
ち込むとボルトがセグメントを貫通してしまい十分な固
定強度を得ることが困難である。従って、この発明は、
セグメントの結合によって内壁が構成される隧道に、ア
ンカーボルトを打ち込むことなく、確実に取り付けるこ
とができる電車線支持用の下束装置を提供することを目
的としている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】この発明においては、上
記課題を解決するため、隧道の天井に沿って伸びるよう
に固定される支持梁２と、支持梁２に固定され、下部に
おいて可動ブラケットのような電車線支持装置４を支持
する支持部材３とを具備させて下束装置１を構成する。
支持梁２には接続金具５を突出させ、これをセグメント
３１の接続用ボルト又はナットの操作用凹所３１ｃに挿
入できる位置に配置する。接続金具５は、セグメント３
１の凹所３１ｃ内においてセグメント３１の接続端面に
沿う方向に配置し、セグメント３１の接続用ボルト３２
を挿通させるボルト挿通孔５ａを具備させる。そして、
接続金具５をセグメント３１の接続用ボルト３２によっ
て、セグメント３１と共締めして隧道に固定する。

【０００５】

【発明の実施の形態】図面を参照して本発明の実施の形
態を説明する。図１は下束装置の正面図、図２は下束装
置の側面図、図３は下束装置の底面図、図４は接続金具
とセグメントの接続部の断面図、図５は下束装置を設置
した隧道の説明図である。

【０００６】図１，４，５において、隧道は、ボルト３
２で相互接続されたプレキャストコンクリート製の多数
のセグメント３１で内壁が構成されている。セグメント
３１は、ほぼ円弧状に湾曲したコンクリート板であり、
隧道の延長方向に順次端面が突き合わされ、円周方向の
複数箇所でボルト３２によって相互接続されている。図
４に示すように、接続されるセグメント３１の一方は、
端面に鋼鈑３１ａが埋設されており、この鋼鈑３１ａの
所要箇所（円周方向の複数箇所）にボルト挿通孔３１ｂ
が形成されている。また、ボルト挿通孔３１ｂに対応す
る位置のコンクリート部分に、ボルト３２の操作用の凹
所３１ｃが形成されている。他方のセグメント３１端面
には、ボルト挿通孔３１ｂに対応する位置に、埋め込み
ナット３１ｄの一端が突出している。そして、埋め込み
ナット３１ｄをボルト挿通孔３１ｂに挿入するように、
２つのセグメント３１が突き合わされ、操作用凹所３１
ｃから挿入されたボルト３２が埋め込みナット３１ｄに
螺合されることによって、両セグメント３１が接続され
ている。

【０００７】下束装置１は、隧道の天井となるセグメン
ト３１の下面に固定される支持梁２と、この支持梁２に
固定される支持部材３とを具備する。支持部材３の下部
には、可動ブラケットのような電車線支持装置４が支持
される。支持梁２は、隧道の天井に沿うように湾曲して
伸びる鋼材で構成され、前後左右４つが、隧道の天井を
横断方向に伸びるように設置される。支持梁２の両端部
には、接続金具５が上方に突出している。接続金具５の
相互間隔は、セグメント３１の凹所３１ｃの相互間隔に
等しく設定されており、また接続金具５には、セグメン
ト３１のボルト挿通孔３１ｂに対応するボルト挿通孔５
ａが形成されている。支持梁２の垂直板部には、延長方
向に多数のボルト挿通孔２ａが列設されている。

【０００８】支持部材３は、井桁状に組まれた横アーム
６と、縦アーム７、それに支持される下束本体８を具備
する。

【０００９】横アーム６は、左右に配置される２つの支
持梁２，２間を接続するように前後に２つ平行に設けら
れる。横アーム６は、支持梁２の垂直板部に対向する垂
直板部の両端部に、選択的に何れかのボルト挿通孔２ａ
に対応するボルト挿通用の複数の長孔６ａを有し、支持
梁２に対して隧道横断方向の位置及び水平に対する傾斜
角を調整自在である。これにより、横アーム６の角度を
線路のカント角に対応させる。

【００１０】縦アーム７は、２つの横アーム６，６の間
を隧道延長方向に結合するように、平行に２本設けられ
る。横アーム６には、縦アーム７をボルト、ナットで結
合するための複数のボルト挿通孔６ｂがそれの延長方向
に列設されている。従って、縦アーム７は、対応するボ
ルト挿通孔７ｂを横アーム６の何れのボルト挿通孔６ｂ
に合致させかの選択により、それの隧道横断方向の配置
を調整することができる。これにより、線路にカント角
がある場合に、電車線をパンタグラフの位置に適合させ
る等の調整ができる。

【００１１】下束本体８は、取付板９と、それの中央か
ら下方へ垂直に突出する支柱１０とを具備する。取付板
９は、縦アーム７に形成された複数のボルト挿通孔７ａ
に対応するボルト挿通用の複数の長孔９ａを有し、縦ア
ーム７に対して隧道延長方向の位置を調整自在である。
下束本体８の支柱１０に、電車線支持装置４が支持され
る。

【００１２】なお、セグメント３１は、埋め込みナット
３１ｄに代えて、アンカーボルトを備えるものとし、ナ
ットを螺合して相互接続するものとしてもよい。この場
合に、接続金具５のボルト挿通孔５ａには、アンカーボ
ルトが挿入されることになる。

【００１３】この発明の下束装置は、セグメント３１の
接続部に対応する接続金具５を備えた支持梁２によって
隧道の天井に固定されるものであり、支持梁２自体の具
体的形状、個数及び支持部材３の具体的構造等について
は種々の変更が可能である。電車線支持装置４も可動ブ
ラケットに限らない。例えば、単一の支持梁２の下に２
つの碍子を介して水平に支持アームのような支持部材を
支持し、これに曲線引き金具のような電車線支持装置を
取り付ける構造とすることができる。従って、図示の実
施形態に限定されるものではない。この発明の下束装置
を適用するセグメント３１は、図示のものに限定されな
い。突き合わされたセグメントの少なくとも一方に、ボ
ルト、ナットの締付操作用の凹所３１ｃが設けられるも
のであれば、この発明の下束装置を適用できる。

【００１４】

【発明の効果】以上のように、本発明においては、下束
装置１が、セグメント３１の接続部に対応する接続金具
５を備えた支持梁２によって隧道の天井に固定されるか
ら、セグメントの結合によって内壁が構成される隧道
に、アンカーボルトを打ち込むことなく、容易に、また
確実に取り付けることができるという効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】下束装置の正面図である。

【図２】下束装置の側面図である。

【図３】下束装置の底面図である。

【図４】接続金具とセグメントの接続部の断面図であ
る。

【図５】下束装置を設置した隧道の説明図である。

【符号の説明】

１ 下束装置 ２ 支持梁 ２ａ ボルト挿通孔 ３ 支持部材 ４ 電車線支持装置（可動ブラケット） ５ 接続金具 ５ａ ボルト挿通孔 ６ 横アーム ６ａ 長孔 ７ 縦アーム ７ａ ボルト挿通孔 ８ 下束本体 ９ 取付板 ９ａ 長孔 １０ 支柱 ３１ セグメント ３１ａ 鋼鈑 ３１ｂ ボルト挿通孔 ３１ｃ 操作用凹所 ３１ｄ 埋め込みナット ３２ ボルト

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡邊 祐一 東京都台東区北上野１丁目10番14号 日本 鉄道建設公団関東支社内 (72)発明者 大森 秀夫 東京都品川区南品川６丁目５番19号 三和 テッキ株式会社内 Ｆターム(参考） 2D055 AA00 BA01 CA03 GC06 LA17

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ボルトで相互接続されたプレキャストコ
   ンクリート製の多数のセグメントで内壁が構成される隧
   道であって、各セグメントの隧道延長方向の接続端面同
   士が、一方のセグメントの接続端面付近に形成された操
   作用凹所から挿入されるボルト又はナットにより隧道延
   長方向に接続されるものの天井に設置される電車線支持
   用下束装置であって、 前記セグメントの凹所に挿入できる位置に接続金具を突
   出させ隧道の天井に沿って伸びる支持梁と、 この支持梁に固定され下部において電車線支持装置を支
   持する支持部材とを具備し、 前記支持梁の接続金具は、前記凹所内において前記セグ
   メントの接続端面に沿う方向に配置され、セグメントの
   接続用ボルトを挿通させるボルト挿通孔を備え、セグメ
   ントの接続用ボルトによって、セグメントと共締めして
   隧道に固定されることを特徴とする隧道内の電車線支持
   用下束装置。
2. 【請求項２】 前記支持部材は、前記支持梁に対して位
   置調整可能に固定されることを特徴とする請求項１に記
   載の隧道内の電車線支持用下束装置。
3. 【請求項３】 前記支持部材は、前記隧道上部の前後左
   右に配置される４つの前記支持梁によって支持され、 支持梁は、隧道の天井に沿って隧道の横断方向に伸び、
   両端部に前記接続金具を備えることを特徴とする請求項
   １に記載の隧道内の電車線支持用下束装置。
4. 【請求項４】 前記支持部材は、左右に配置される２つ
   の前記支持梁に接続される前後２つの横アームと、 これら２つの横アームの間を隧道延長方向に結合し、横
   アームとの結合位置を隧道の横断方向に位置調整可能な
   平行２本の縦アームと、 この縦アームに支持され下方へ支柱を垂下させる下束本
   体とを具備し、 この下束本体の支柱に前記電車線支持装置が支持される
   ことを特徴とする請求項３に記載の隧道内の電車線支持
   用下束装置。