JPH05326338A - 固体電解コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサ及びその製造方法

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JPH05326338A
JPH05326338A JP15303292A JP15303292A JPH05326338A JP H05326338 A JPH05326338 A JP H05326338A JP 15303292 A JP15303292 A JP 15303292A JP 15303292 A JP15303292 A JP 15303292A JP H05326338 A JPH05326338 A JP H05326338A
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JP
Japan
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thermoplastic
alkyl
solid electrolytic
film
polyanion
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JP15303292A
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Maki Yamato
真樹 大和
Buerunetsuto Buorufugangu
ヴォルフガング・ヴェルネット
Kenichiro Kai
健一郎 甲斐
Kimiya Takeshita
公也 竹下
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NIPPON CHIBAGAIGII KK
Ciba Geigy Japan Ltd
Original Assignee
NIPPON CHIBAGAIGII KK
Ciba Geigy Japan Ltd
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES OR LIGHT-SENSITIVE DEVICES, OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G9/00Electrolytic capacitors, rectifiers, detectors, switching devices, light-sensitive or temperature-sensitive devices; Processes of their manufacture
    • H01G9/004Details
    • H01G9/022Electrolytes; Absorbents
    • H01G9/025Solid electrolytes
    • H01G9/028Organic semiconducting electrolytes, e.g. TCNQ
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01BCABLES; CONDUCTORS; INSULATORS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR CONDUCTIVE, INSULATING OR DIELECTRIC PROPERTIES
    • H01B1/00Conductors or conductive bodies characterised by the conductive materials; Selection of materials as conductors
    • H01B1/06Conductors or conductive bodies characterised by the conductive materials; Selection of materials as conductors mainly consisting of other non-metallic substances
    • H01B1/12Conductors or conductive bodies characterised by the conductive materials; Selection of materials as conductors mainly consisting of other non-metallic substances organic substances
    • H01B1/124Intrinsically conductive polymers
    • H01B1/127Intrinsically conductive polymers comprising five-membered aromatic rings in the main chain, e.g. polypyrroles, polythiophenes

Abstract

(57)【要約】 【構成】弁金属箔面に誘電皮膜を介して、電気伝導率が
0.1Scm-1 以上で、ガラス転移温度が−100〜15
0℃の熱可塑性有機導電性高分子複合体からなる固体電
解質層を備えた固体電解コンデンサ。 【効果】固体電解質として用いる熱可塑性有機導電性高
分子が、高い電気伝導率を示すので、小型で、かつ大容
量であり、高周波特性及び長期安定性に優れる。また、
熱可塑性の固体電解質であるので、例えば、弁金属酸化
皮膜上に熱圧着させるときにも、固体電解質の物性が劣
化することがなく、しかも簡便かつ経済的に製造するこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機導電性高分子複合
体を固体電解質として用い、小型で容量が大きく、かつ
高周波特性に優れた固体電解コンデンサ及びその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、各種電子機器のデジタル化及び高
周波化に伴い、小型で容量が大きく、かつ高周波特性に
優れたコンデンサの要求が高まっている。従来、コンデ
ンサとしては、マイカ、プラスチックフィルム、積層セ
ラミック等を用いた高周波用コンデンサや、アルミニウ
ム、タンタル等を用いた大容量の電解コンデンサが知ら
れている。しかしながら、高周波特性が優れ、かつ小型
で大容量のコンデンサは従来になく、高周波コンデンサ
は容量が不十分であり、大容量の電解コンデンサは高周
波特性に劣るという欠点があった。
【0003】一般的に、電解コンデンサは、誘電体とし
て、エッチングした弁金属を化成処理して得られた、多
孔質で大表面積の酸化皮膜を用いるので、大容量のコン
デンサを得ることができる。しかしながら、その反面、
液体電解質を用い、そしてセパレータ紙を挿入している
ため、導電性電解質部分での抵抗が大きくなり、等価直
列抵抗(ESR)が増大し、良好な高周波特性が得られ
ないという欠点があった。
【0004】また、ESRを減少させるために、抵抗が
大きい上記液体電解質に代え、抵抗が小さい固体電解質
を用いた固体電解コンデンサが知られている。固体電解
コンデンサには、無機固体電解質を使用するものと、有
機固体導電体を用いるものの2種類に大別することがで
きる。無機固体電解質を用いた電解コンデンサとして
は、例えば、弁金属としてタンタルを用い、これをエッ
チングした後、化成処理して酸化皮膜を形成し、この皮
膜に硝酸マンガンを塗布した後、熱処理し、二酸化マン
ガンの固体電解質膜を生成させ、この工程を複数回繰り
返すことにより一定の膜厚の固体電解質層を設けたコン
デンサが挙げられる。
【0005】しかしながら、このようなコンデンサは製
造工程が複雑なうえ、硝酸マンガンの熱処理過程におい
て発生するNOxが弁金属及び酸化物皮膜の物性に影響
を与え、また固体電解質の電導度も低いため、高周波特
性は充分には改善されていない。有機固体導電体を用い
た電解コンデンサとしては、例えば、特開昭58−17
609号公報及び同56−10777号公報に記載され
ている固体電解コンデンサが挙げられる。この型のコン
デンサは弁金属としてアルミニウムを用い、前述したコ
ンデンサと同様にして酸化物皮膜を形成し、該皮膜上に
コンデンサペーパを重ね、更に該コンデンサペーパ上に
陰極金属箔を重ねて巻回した後、これを無酸素下に加熱
してコンデンサペーパを炭化させ、次いで溶融した高導
電性7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(TC
NQ)錯塩を酸化皮膜・陰極金属間に充填し、冷却固化
後パッケージングして固体電解コンデンサとするもので
ある。
【0006】しかしながら、この型のコンデンサは製造
工程が複雑であり、また低分子有機固体を使用している
ため耐熱性が不十分であり、特にハンダ付け等の高温処
理が困難であるという問題点があった。また、有機固体
導電体を用いた電解コンデンサとして、耐熱性が低い低
分子有機固体導電体に代え、有機導電性高分子を固体導
電体に用いた固体電解コンデンサが知られている。
【0007】このコンデンサは、アルミニウム等の弁金
属の表面をエッチングし、次いで化成処理することによ
り酸化物皮膜を形成した後、該皮膜上に有機導電性高分
子膜を形成するか、あるいは弁金属上に有機導電性高分
子膜を電解重合法等により形成した後、該弁金属を化成
処理して酸化皮膜を形成したコンデンサである。これら
のうち酸化物皮膜上に有機導電性高子分膜を形成させる
前者の方法は、大別して二種類のものがあり、第一の方
法は酸化物皮膜を例えば二酸化マンガン等の導電性固体
電解質で被覆し、導電化した後、該被覆上に有機導電性
高分子を電解重合法により形成させるものである(特開
平2−119213号公報等参照)。第二の方法は特開
平2−74017号公報に開示されている熱溶融性の有
機導電性高分子を溶融して弁金属酸化物上に被覆するも
のである。
【0008】しかしながら、電解重合法による第一のコ
ンデンサは、高電圧大電流の条件下での使用時に発生す
るジュール熱で、弁金属及び酸化物皮膜が膨張する際、
有機導電性高分子と酸化物の熱膨張率が異なり、そして
有機導電性高分子が熱可塑性に欠けるため、有機導電性
高分子膜が酸化物膜から剥離しやすく、長期安定性に欠
け、またコンデンサの特性が劣化するという欠点があっ
た。また、酸化物膜上に有機導電性高分子を融着した第
二のコンデンサは、有機導電性高分子を熱溶融させると
きに、有機導電性高分子の物性が劣化するという欠点が
あった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、固体
電解質として熱可塑性有機導電性高分子複合体を用い
た、高周波特性が優れ、小型で大容量の固体電解コンデ
ンサ及びその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の第一は、弁金属
箔面に誘電皮膜を介して、電気伝導率が0.1Scm-1
上で、ガラス転移温度が−100〜150℃の熱可塑性
有機導電性高分子複合体からなる固体電解質層を備えた
固体電解コンデンサである。本発明の第二は、ヘテロ芳
香族化合物、アニリン又はアニリン誘導体を、熱可塑性
ポリアニオンの存在下に、電気化学的重合法又は化学酸
化重合法により重合させた熱可塑性有機導電性高分子複
合体フィルムを、ガラス転移温度以上で加熱し、弁金属
箔に積層する固体電解コンデンサの製造方法である。
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
用いられる熱可塑性有機導電性高分子複合体は、電気伝
導率が0.1Scm-1 以上で、ガラス転移温度が−100
〜150℃である。熱可塑性有機導電性高分子複合体
は、可塑剤等の添加剤を導電性高分子に添加して熱可塑
化したものや、導電性高分子の合成の際にドーパントと
して高分子量の熱可塑性ポリアニオンを用いたものなど
が挙げられる。中でも、熱可塑性ポリアニオンを用いた
複合体が、耐熱性、耐酸化性などの点で好適に用いられ
る。熱可塑性有機導電性高分子複合体を合成する際に使
用するモノマーとしては、ヘテロ芳香族化合物、アニリ
ンもしくはアニリン誘導体などを挙げることができ、こ
れらを熱可塑性ポリアニオンの存在下電気化学的に重合
させ、或は酸化剤を用い、化学重合させて得ることがで
きる。
【0012】本発明に用いるポリヘテロ芳香族化合物
は、本発明の範囲内で反復ヘテロ芳香族構造単位を含有
する単独重合体及び共重合体を意味するものとして理解
される。これらは、室温で固体であり、フィルムを形成
することができるという条件で、高分子量を有する重合
体であるか又はオリゴマーである。好適なポリヘテロ芳
香族化合物は、O、S及びNからなる群から選択された
1〜3個の異種原子、好適には1個の異種原子を含有
し、炭素原子が非置換又はC1 〜C18アルキル、好適に
はC1 〜C12アルキルにより置換されている5員又は6
員環のポリヘテロ芳香族化合物である。
【0013】好適には、電気化学的重合を実施すること
ができるように、2個の炭素原子は置換されていない。
5員又は6員環は、好適には、ピロール、チオフェン、
フラン、2,2´−ビピロール、2,2´−ビチオフェ
ン、2,2´−ビフラン、チアゾール、オキサゾール、
チアジアゾール及びイミダゾールからなる群から選択さ
れる。特に好適なものは、式
【0014】
【化1】
【0015】(式中、R1 及びR2 がそれぞれ互いに独
立して、水素又はC1 〜C18アルキルである)のピロー
ルのポリヘテロ芳香族化合物である。R1 及びR2 は、
1 〜C12アルキル、例えばメチル又はエチルであるこ
とができ、好適には水素である。ピロールのNH基はC
1 〜C12アルキル、好適にはC1 〜C6 アルキルにより
置換されていてもよい。
【0016】本発明に用いるアニリン誘導体としては、
3位においてC1 〜C12アルキル、好ましくはC1 〜C
6 アルキルで置換したアニリンなどが挙げられる。本発
明に用いられる熱可塑性ポリアニオンは、カルボキシル
基、スルホン酸基、ホスホン酸残基、硫酸化アルコール
基などのアニオン性官能基を必須の構成要素として有す
る。
【0017】カルボキシル基を有する熱可塑性ポリアニ
オンとしては、例えば、アクリル酸又はメタクリル酸の
単独重合体;アクリル酸又はメタクリル酸と、アクリレ
ート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルア
ミド、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フ
ッ化ビニリデン、アクリロニトリル、スチレン、α−メ
チルスチレン、マレイン酸無水物、マレイミド、ビニル
エーテル、ビニルエステル、ブタジエン、イソプレン等
のコモノマーとの共重合体などが挙げられる。
【0018】スルホン酸基を有する熱可塑性ポリアニオ
ンとしては、例えば、スチレンスルホン酸、ビニルスル
ホン酸、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパ
ンスルホン酸又はアクリルスルホン酸の単独重合体;ス
チレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、2−アクリルア
ミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸又はアリル
スルホン酸と、アクリレート、メタクリレート、アクリ
ルアミド、メタクリルアミド、塩化ビニル、塩化ビニリ
デン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、アクリロニト
リル、スチレン、α−メチルスチレン、マレイン酸無水
物、マレイミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、ブ
タジエン、イソプレン等のコモノマーとの共重合体など
が挙げられる。
【0019】ホスホン酸残基を有する熱可塑性ポリアニ
オンとしては、アシッドホスホオキシエチルメタクリレ
ート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピル
メタクリレート、アシッドホスホオキシプロピルメタク
リレート、アシッドホスホオキシエチルアクリレート、
アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモ
ノメタクリレート又はアシッドホスホオキシポリオキシ
プロピレングリコールモノメタクリレートの単独重合
体;
【0020】アシッドホスホオキシエチルメタクリレー
ト、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピレン
メタクリレート、アシッドホスホオキシプロピルメタク
リレート、アシッドホスホオキシエチルアクリレート、
アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモ
ノメタクリレート又はアシッドホスホオキシポリオキシ
プロピレングリコールモノメタクリレートと、アクリル
酸、メタクリル酸、アクリレート、メタクリレート、ア
クリルアミド、メタクリルアミド、塩化ビニル、塩化ビ
ニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、アクリロ
ニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、マレイン酸
無水物、マレイミド、ビニルエーテル、ビニルエステ
ル、ブタジエン、イソプレン等のコモノマーとの共重合
体などが挙げられる。硫酸化アルコール基を有する熱可
塑性ポリアニオンとしては、例えば、次式
【0021】
【化2】
【0022】で示される硫酸化アルコール基を有する熱
可塑性重合体の構造単位を、前述したポリヘテロ芳香族
化合物、アニリン又はアニリン誘導体のモノマーの構造
単位当たり、好適には0.1〜0.5個、もっとも好適
には0.2〜0.4個含有するものが挙げられる。本発
明に用いる硫酸化アルコール基を含有する適した熱可塑
性重合体は、示差走査式熱量測定法(DSC)によって
測定したガラス転移温度が−100〜+250℃であ
る。この熱可塑性重合体の重合度は、例えば5〜10,
000、好適には10〜5,000、もっと好適には1
0〜1,000であることができる。
【0023】これらの熱可塑性重合体の引張強度は、好
適には5MPa 以上であり、特に20MPa 以上である。重
合体の性質によって、引張強度は1,000MPa まで、
好適には500MPa 、もっとも好適には300MPa まで
にすることができる。熱可塑性重合体中の硫酸化アルコ
ール基に対する遊離アルコール基のモル比は例えば5
0:1〜1:50、好適には10:1〜1:10にする
ことができる。硫酸化アルコール基は、重合体骨格中の
末端位置において
【0024】
【化3】
【0025】として、又は側鎖において第1級−CH2
−O−SO3 −として、又は中央位置において
【0026】
【化4】
【0027】又は
【0028】
【化5】
【0029】として存在させることができる。熱可塑性
重合体は、種々なヒドロキシル基を含有する重合体又は
その混合物、例えばヒドロキシル含有単量体から得られ
たポリエステル、ポリエステルアミド、ポリウレタン、
ポリアミド、ポリカーボネート及びポリイミド;ビニル
エステル又はエーテルのけん化重合体;ポリブタジエ
ン、ポリイソプレン又はクロロプレンのようなヒドロキ
シル化ポリオレフィン;エステル部分中にヒドロキシル
基を含有するポリアクリレート又はポリメタクリレー
ト、ヒドロキシアルキル基を含有するポリシロキサン又
は還元されたポリケトン又はビニルアルコール、アクリ
レート、メタクリレートもしくはジオレフィンとアクリ
ロニトリル、オレフィン、ジオレフィン、塩化ビニル、
塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、ス
チレン、α−メチルスチレン、マレイン酸無水物、マレ
イミド、ビニルエーテル又はビニルエステルのようなコ
モノマーとの共重合体から誘導することができる。
【0030】硫酸化アルコール基を含有する熱可塑性重
合体は、好適には、平均して1個より多くのエポキシ基
を含有するグリシジル化合物とジオールとの重付加物
(polyaddact);ヒドロキシアルキルアクリレート及び
メタクリレートの単独重合体及び共重合体、二重結合が
ヒドロキシル化されたブタジエン、イソプレン又はクロ
ロプレンの単独重合体及び共重合体;
【0031】水素添加ケトテトラカルボン酸、特にベン
ゾフェノンテトラカルボン酸のポリイミド;ヒドロキシ
アルキルポリシロキサン;及び二重結合がヒドロキシル
化されたC4 〜C12アルケニレンジオール又はC4 〜C
12アルケニレンジアミンからのポリエステル、ポリアミ
ド、ポリウレタン及びポリイミドからなる群から選択さ
れた重合体から誘導される。熱可塑性重合体は、例え
ば、(a)平均して1個より多くのエポキシ基を含有す
るグリシジル化合物と(b)重合体鎖中に
【0032】
【化6】
【0033】を含有する少なくとも部分的に硫酸化され
たジオールとの重付加物であり得る。重付加物は、好適
には、平均して分子中に2個のエポキシ基を含有するグ
リシジル化合物から誘導される。
【0034】特に適当なグリシジル化合物は、異種原子
(例えば硫黄原子、好適には酸素又は窒素原子)に結合
した2個のグリシジル、β−メチルグリシジル、又は
2,3−エポキシシクロペンチル基を含有するものであ
る。このような化合物は、就中、ビス(2,3−エポキ
シシクロペンチル)エーテル;1,4−ブタンジオール
のような多価脂肪族アルコール又はポリプロピレングリ
コールのようなポリアルキレングリコールのジグリシジ
ルエーテル;2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキ
シル)プロパンのような環状脂肪族ポリオールのジグリ
シジルエーテル;レゾルシノール、ビス(ヒドロキシフ
ェニル)メタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン(ジオメタン)、2,2−ビス(4−ヒド
ロキシ−3´,5´−ジブロモフェニル)プロパン、
1,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタンのよう
な多価フェノールのジグリシジルエーテル;
【0035】上述した2価アルコール又は2価フェノー
ルのビス(β−メチルグリシジル)エーテル、フタル
酸、テレフタル酸、△4 −テトラヒドロフタル酸及びヘ
キサヒドロフタル酸のようなジカルボン酸のジグリシジ
ルエステル;N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−
ジグリシジルトルイジン、N,N−ジグリシジル−p−
アミノフェニルメチルエーテル、N,N´−ジメチル−
N,N´−ジグリシジルビス(p−アミノフェニル)メ
タンのような第1級アミン及びアミド及び2個の窒素原
子を含有する複素環式窒素塩基のN,N−ジグリシジル
誘導体;及びジ−第2級ジアミド及びジアミンのN,N
´−ジグリシジル誘導体;
【0036】N´,N″−ジグリシジル−N−フェニル
イソシアヌレート、N,N´−ジグリシジルエチレン尿
素、N,N´−ジグリシジル−5,6−ジメチルヒダン
トイン、N,N´−ジグリシジル−5−イソプロピルヒ
ダントイン、N,N−メチレン−ビス(N´,N´−ジ
グリシジル−5,5−ジメチルヒダントイン)、1,3
−ビス(N−グリシジル−5,5−ジメチルヒダントイ
ン)−2−ヒドロキシプロパン、N,N´−ジグリシジ
ル−5,5−ジメチル−6−イソプロピル−5,6−ジ
ヒドロウラシルである。
【0037】グリシジル化合物を脂肪族、環状脂肪族又
は芳香族ジオールと反応させて好適な重付加物を得るこ
とができる。この反応においては、第2級アルコール基
がグリシジル基において形成され、これを硫酸化するこ
とができる。
【0038】グリシジル化合物は、また、重付加によっ
て、第1級の脂肪族、環状脂肪族又は芳香族モノアミン
(例えばアニリン、トルイジン、C1 〜C12アルキルア
ミン、C2 〜C12ヒドロキシルアミン);脂肪族、環状
脂肪族又は芳香族ジカルボン酸(例えばマレイン酸、ア
ジピン酸、トリメチルアジピン酸、セバシン酸、アゼラ
イン酸、コハク酸、ドデシルコハク酸、フタル酸、テレ
フタル酸、△4 −テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ
フタル酸、4−メチルヘキサヒドロフタル酸、3,6−
エンドメチレン−△4 −テトラヒドロフタル酸、4−メ
チル−3,6−エンドメチレン−△4 −テトラヒドロフ
タル酸);
【0039】脂肪族、環状脂肪族、複素環式又は芳香族
ジ−第2級アミン又はジ−第2級カルボキサミド(例え
ばN,N´−ジメチルエチレンジアミン、N,N´−ジ
メチルプロピレン−1,3−ジアミン、N,N´−ジメ
チルヘキサメチレンジアミン、N,N´−ジシクロヘキ
シルヘキサメチレンジアミン、N,N´,N″−トリメ
チルジエチレントリアミン、N,N´−ジエチルプロピ
レン−1,3−ジアミン、N−メチル−3,5,5−ト
リメチル−3−(メチルアミノメチル)シクロヘキシル
アミン、N,N´ジメチル化又はN,N´−ジエチル化
芳香族ジアミン(例えばm−又はp−フェニレンジアミ
ン、ビス(4−アミノフェニル)メタン又は−スルホ
ン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、
N,N−ジメチル−m−キシリレンジアミン)並びにエ
チレン尿素、5,5−ジメチルヒダントイン、5−イソ
プロピルヒダントイン、N,N−メチレン−ビス−5,
5−ジメチルヒダントイン、1,3−ビス(5,5−ジ
メチル)−2−ヒドロキシプロパン、5,5−ジメチル
−6−イソプロピル−5,6−ジヒドロウラシルと反応
させて直鎖状重付加物を与えることができる。
【0040】本発明に用いる好適な複合体は、重付加物
が重付加物を基にして、(a)式(I)
【0041】
【化7】
【0042】(式中、R3 及びR4 は、それぞれ互いに
独立して、脂肪族又は芳香族ジオールから2個のヒドロ
キシル基を除いた残基である)の同一又は異なる構造単
位100〜5モル%、及び(b)式(II)
【0043】
【化8】
【0044】(式中、R3 及びR4 は前述した通りであ
り、R´は水素、C1 〜C20アルキル、C1 〜C20アシ
ル又はC1 〜C20炭化水素基によりN−置換されている
アミノカルボニルである)の同一又は異なる構造単位9
5〜0モル%を含有するものである。好適には、重付加
物は、式(I)の構造単位90〜20モル%、好適には
80〜30モル%、及び式(II)の構造単位80〜10
モル%、好適には70〜20モル%を含有する。
【0045】好適な実施態様においては、R3 及びR4
は同一の基である。脂肪族ジオールから誘導されるR3
及びR4 基は、好適には2〜12個、もっとも好適には
2〜8個の炭素原子を含有する。ヒドロキシル基は、鎖
状又は環状脂肪族基に結合していてもよい。適当な脂肪
族基は、典型的には直鎖状又は有枝鎖状のC2 〜C12
ルキレン、C3 〜C8 シクロアルキレン、C1 〜C4
ルキル置換C6 〜C8シクロアルキル、シクロヘキシル
メチレン又はシクロヘキシルジメチレンである。
【0046】このような基の具体例は、エチレン、1,
2−又は1,3−プロピレン、1,2−、1,3−又は
1,4−ブチレン、1,2−、1,3−、1,4−又は
1,5−ペンチレン、1,2−、1,3−、1,4−、
1,5−又は1,6−ヘキシレン、ヘプチレン、オクチ
レン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレ
ン、1,3−シクロペンチレン、1,3−又は1,4−
シクロヘキシレン、2−メチル−1,4−シクロヘキシ
レン及びシクロヘキシル−1,4−ジメチレンである。
【0047】R´のC1 〜C20アルキルとしては、直鎖
状又は有枝鎖状であることができる。R´のアシルとし
てはC1 〜C20アルキル−CO−、C3 〜C8 −シクロ
アルキル−CO−、C1 〜C16アルキル置換C3 〜C8
シクロアルキル−CO−、C3 〜C8 シクロアルキル−
CH2 −CO−、C1 〜C14アルキル置換C3 〜C8
クロアルキル−CH2 −CO−、フェニル−CO−、ベ
ンジル−CO−、C1 〜C14アルキル置換フェニル−C
O−又はC1 〜C14アルキル置換ベンジル−CO−であ
ることができる。アミノカルボニルにおける炭化水素基
は、C1 〜C20アルキル−、C3 〜C8 シクロアルキル
−、C1 〜C16アルキル−C3 〜C8シクロアルキル
−、C3 〜C8 シクロアルキル−CH2 −、C1 〜C14
アルキル置換C3 〜C8 シクロアルキル−CH2 −、フ
ェニル、ベンジル、C1 〜C14アルキル置換フェニル又
はC1 〜C14アルキル置換ベンジルであることができ
る。R´は好適には水素である。
【0048】重付加物に対して使用される芳香族ジオー
ル基は、好適には、フェノール性基である。フェノール
性基を有するジオール基は、好適には6〜30個、もっ
とも好適には6〜20個の炭素原子を含有する。好適な
実施態様は、R3 及びR4 がそれぞれ互いに独立して式
(III)
【0049】
【化9】
【0050】[式中、Xは直接結合、C1 〜C4 アルキ
レン、C2 〜C12アルキリデン、C5〜C8 シクロアル
キリデン、−O−、−S−、−SO−、−SO2 −、−
CO−、−CO2 −、N(C1 〜C4 アルキル)−又は
−Si(CH3)2 −であり、R5 及びR6 は、それぞれ
互いに独立して、水素、ハロゲン、C1 〜C4 アルキル
又はC1 〜C4 アルコキシであり、pは1又は2であ
り、yは0又は1である]の基を有する。Xは、好適に
は直接結合、メチレン、エチレン、C2 〜C8 アルキリ
デン、シクロヘキシリデン又はシクロペンチリデン、−
O−又は−S−であり、R5 及びR6 は好適には水素又
はメチルであり、yは好適には1である。好適には、R
3 及びR4 は、基
【0051】
【化10】
【0052】である。更に、本発明に用いる好適な複合
体は、熱可塑性重合体が、少なくとも部分的に硫酸化さ
れ、エステル中に
【0053】
【化11】
【0054】を含有するアクリレート又はメタクリレー
トの単独重合体又は共重合体であるものである。この型
の好適な複合体は、熱可塑性重合体が熱可塑性重合体を
基にして、(a)式(IV)
【0055】
【化12】
【0056】の同一又は異なる構造単位100〜5モル
%、及び(b)式(V)
【0057】
【化13】
【0058】の同一又は異なる構造単位95〜0モル%
を含有するものである。式(IV)及び(V)において、
7 は水素又はメチルであり、R8 は直鎖状又は有枝鎖
状のC2 〜C18アルキレン、2〜6個のオキシアルキレ
ン単位を含有するポリ(C2 〜C8 オキシアルキレ
ン);C3 〜C8 シクロアルキレン、フェニレン、ベン
ジレン又はキシリレンであるか、又は基
【0059】
【化14】
【0060】であり、Yは−O−、−OCO−又は−N
(C1 〜C4 アルキル)−であり、R12はC1 〜C18
ルキル、C5 〜C7 シクロアルキル、C1 〜C12アルキ
ル置換C5 〜C7 シクロアルキル、フェニル、C1 〜C
12アルキル置換フェニル、ベンジル又はC1 〜C12アル
キル置換ベンジルであり、R9 は水素、C1 〜C8 アル
キル、−COOR12又は−COO- であり、R10は水
素、フッ素、塩素、シアノ又はC1 〜C6 アルキルであ
り、R11は水素、フッ素、塩素、シアノ、R12-、C1
〜C12アルキル、−COO- 、−COOR12、−CO
OR8 −OH、−OCO−R12又はフェニル(R8 及び
12は前述した意義を有す)である。好適には、熱可塑
性重合体は、式(IV)の構造単位90〜20モル%、も
っとも好適には80〜30モル%、及び式(V)の構造
単位80〜10モル%、もっとも好適には70〜20モ
ル%を含有する。
【0061】R8 のアルキレンとしては、好適には2〜
12個、もっと好適には2〜8個、もっとも好適には2
〜6個の炭素原子を含有する。このような基の具体例
は、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘ
キシレン、ヘプチレン、オクチノン、ノニレン、デシレ
ン、ウンデシレン、ドデシレン、テトラデシレン、ヘキ
サデシレン及びオクタデシレンの異性体である。好適な
基は1,2−エチレン、1,3−プロピレン、1,2
−、1,3−及び1,4−ブチレン、1,2−、1,3
−、1,4−及び1,5−ペンチレン並びに1,2−、
1,3−、1,4−,1,5−及び1,6−ヘキシレン
である。
【0062】R8 のポリ(オキサアルキレン)として
は、好適には、2〜4個のオキシアルキレン単位及びア
ルキレン部分に好適には2〜4個、もっとも好適には2
又は3個の炭素原子を含有する。R8 のシクロアルキレ
ンとしては、好適にはシクロペンチレン又はシクロヘキ
シレンである。R8 が基
【0063】
【化15】
【0064】である重合体は、ポリ−又はコポリ(メ
タ)アクリル酸のグリシジルエステルと活性水素を含有
する化合物R12−Y−Hとの反応生成物である。Yは、
好適には−O−又は−OCO−である。R12は、1〜1
8個、好適には1〜12個、もっとも好適には1〜6個
の炭素原子の直鎖状又は有枝鎖状のアルキルであること
ができる。
【0065】R12のシクロアルキルとしては、好適には
シクロペンチル又はシクロヘキシルである。R12がC1
〜C12アルキル置換シクロアルキルである場合は、シク
ロアルキル部分は、好適にはシクロペンチル又はシクロ
ヘキシルであり、アルキル部分は直鎖状又は有枝鎖状で
あり、好適には1〜6個、もっとも好適には1〜4個の
炭素原子を含有する。R12がアルキル置換フェニル又は
アルキル置換ベンジルである場合は、アルキル部分は直
鎖状又は有枝鎖状であり、好適には1〜6個、もっとも
好適には1〜4個の炭素原子を含有する。
【0066】R9 は、好適には水素である。R9 のアル
キルとしては、好適にはメチル又はエチルである。R9
が、−COOR12である場合には、R12は好適にはC1
〜C18アルキル、もっとも好適にはC1 〜C8 アルキル
である。R10のアルキルとしては、好適にはC1 〜C4
アルキル、典型的にはメチル、エチル、n−プロピル及
びn−ブチルである。R10は、好適には水素、塩素又は
1 〜C4 アルキルである。
【0067】R11が、基R12O−である場合は、R12
好適にはC1 〜C12アルキル、好ましくはC1 〜C8
ルキルである。R11のアルキル基としては、好適には1
〜6個、もっとも好適には1〜4個の炭素原子を含有す
る。R11が基−COOR12である場合は、R12は好適に
はC1 〜C12アルキル、もっとも好適にはC1 〜C8
ルキル、シクロペンチル又はシクロヘキシルである。R
11が基−OCO−R12である場合は、R12は好適にはC
1 〜C12アルキル、もっとも好適にはC1 〜C8 アルキ
ル、フェニル又はベンジルである。
【0068】R11が基−COOR8 −OHである場合
は、R8 は前述した意義を有する。好適な実施態様にお
いては、R9 は水素、フッ素、塩素、メチル又はエチル
であり、R11はフッ素、塩素、シアノ、C1 〜C4 アル
キル、C1 〜C8 アルコキシ、−COO−C1 〜C8
ルキル、−COO−R8 −OH、−OCO−C1 〜C8
アルキル又はフェニルである。特に好適な複合体は、熱
可塑性重合体が式(IV)(但し、R7 は水素又はメチル
であり、R8 は直鎖状又は有枝鎖状のC2 〜C6 アルキ
レン、シクロペンチレン又はシクロヘキシレンである)
の構造単位、及び式(V)(但し、R8 は水素であり、
10は水素又はメチルであり、R11は−COOR12又−
COOR8 −OHである)の構造単位を含有する複合体
である。
【0069】更に好適な実施態様は、熱可塑性重合体
が、(a)式(VI)
【0070】
【化16】
【0071】(式中、R15、R16及びR17は、それぞれ
互いに独立して、水素、C1 〜C20アルキル又はハロゲ
ンである)の同一又は異なる構造単位、(b)式(VII)
【0072】
【化17】
【0073】(式中、R18及びR19は、それぞれ互いに
独立して、水素、C1 〜C20アルキル又はハロゲンであ
る)の同一又は異なる構造単位、及び(c)式(VIII)
【0074】
【化18】
【0075】(式中、R20は水素、フッ素、塩素、シア
ノ又はC1 〜C8 アルキルであり、R21は水素、フッ
素、塩素、シアノ、R12O−、C1 〜C12アルキル、−
COO-、−COOR12、−COOR8 −OH、−OC
O−R12又はフェニルであり、R22は水素、C1 〜C8
アルキル、−COOR12又は−COO- である(式中、
8 及びR12は前述した意義を有す))の同一又は異な
る構造単位を含有する。もっとも好適な実施態様は、熱
可塑性重合体が、重合体鎖中に基
【0076】
【化19】
【0077】を含有する少なくとも部分的に硫酸化され
たポリビニルアルコール又はポリビニルアルコール共重
合体である複合体に関するものである。好適には、複合
体は、ポリビニルアルコール共重合体を含有する。好適
な複合体は共重合体が(a)式(VI)
【0078】
【化20】
【0079】の構造単位90〜5モル%、及び(b)式
(V)
【0080】
【化21】
【0081】(式中、R9 、R10及びR11は前述した意
義を有す)の同一又は異なる構造単位95〜10モル%
を含有する複合体である。好適には、共重合体は、式
(VI)の構造単位70〜10モル%、もっとも好適には
60〜20モル%及び式(V)の構造単位30〜90モ
ル%、もっとも好適には40〜80モル%を含有する。
【0082】特に好適な複合体は、R9 及びR10が水素
であり、R11が−OCOR12(式中、R12はC1 〜C18
アルキル、C3 〜C7 シクロアルキル、C1 〜C18アル
キル置換C3 〜C7 シクロアルキル、フェニル、ベンジ
ル、C1 〜C18アルキル置換フェニル又はC1 〜C12
ルキル置換ベンジルである)である複合体である。本発
明に用いる熱可塑性ポリアニオンは、既知であるか又は
それ自体知られている方法によって得ることのできる重
合体塩から誘導される。これらの塩は、反復構造単位中
に硫酸化アルコール基
【0083】
【化22】
【0084】(式中、M+ はアルカリ金属カチオン又は
アンモニウムカチオンである)を含有する皮膜形成熱可
塑性重合体である。硫酸化アルコール基は、重合体骨格
中に
【0085】
【化23】
【0086】(式中、M+ は前述した意義を有す)とし
て、末端位置において重合体の側鎖中の第1級−CH2
−O−SO3 -+ (式中、M+ は前述した意義を有
す)として、中央位置において
【0087】
【化24】
【0088】(式中、M+ は前述した意義を有す)とし
て、又は
【0089】
【化25】
【0090】(式中、M+ は前述した意義を有す)とし
て存在することができる。重合体のガラス転移温度は、
DSCによって測定して、−100〜+350℃、好適
には−50〜+250℃である。引張強度はDIN53
455によって測定して好適には5MPa 以上、もっとも
好適には10MPa 以上である。重合体の性質によって、
引張強度は1,000MPa まで、好適には500MPa ま
で、もっとも好適には300MPa までにすることができ
る。
【0091】重合体の重合度は、例えば、5〜10,0
00、好適には10〜5,000、もっとも好適には1
0〜1,000であることができる。好適な重合体は、
重合体中の硫酸化アルコール基に対する遊離アルコール
基の比が50:1〜1:50、好適には10:1〜1:
10であるものである。
【0092】アンモニウムカチオンは、NH4 +、プロト
ン化第1級、第2級又は第3級アミン又は第4級アンモ
ニウム又はピリジニウムであることができる。第1級ア
ミンは、1〜18個、好適には1〜12個、もっとも好
適には1〜6個の炭素原子を含有し、第2級アミンは2
〜24個、好適には2〜12個、もっとも好適には2〜
8個の炭素原子を含有し、第3級アミンは3〜30個、
好適には3〜18個、もっとも好適には3〜12個の炭
素原子を含有し、第4級アンモニウムは4〜36個、好
適には4〜24個、もっとも好適には4〜18個の炭素
原子を含有してもよい。好適な熱可塑性重合体は、M+
がLi+ 、Na+ 、又はK+ であるか又は
【0093】
【化26】
【0094】(式中、R13、R14、R15及びR16は、そ
れぞれ互いに独立して、水素、非置換又はヒドロキシル
置換されたC1 〜C18アルキル、フェニル、C1 〜C12
アルキル置換フェニル、C1 〜C18アルキル置換ベンジ
ル、C5 〜C7 シクロアルキル、C1 〜C12アルキル置
換C5 〜C7 シクロアルキルであり、又はR13及びR14
が一緒になっている場合は、テトラメチレン、ペンタメ
チレン又は3−オキサペンチレンであり、R15及びR16
は前述した意義を有する)であるものである。
【0095】本発明の好適な実施態様は、R13〜R16
少なくとも1個が水素でない重合体に関するものであ
る。アルキル基R13〜R16は、直鎖状又は有枝鎖状であ
って、好適には1〜12個、もっとも好適には1〜6個
の炭素原子を含有する。このような基の具体例は、メチ
ル、エチル、n−及びイソプロピル、n−ブチル、イソ
ブチル及び第3級ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチ
ル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシ
ル、ヘキサデシル及びオクタデシルである。R13〜R16
のヒドロキシアルキル基は、直鎖状又は有枝鎖状であ
り、好適には2〜18個、特に1〜12個、もっとも好
適には2〜6個の炭素原子を含有する。典型的な例は、
2−ヒドロキシエチル、1−又は2−ヒドロキシプロピ
ル、1−ヒドロキシブチル及び1−ヒドロキシヘキシル
である。
【0096】アルキル置換フェニル及びアルキル置換ベ
ンジルとしては、例えば、メチルフェニル、ジメチルフ
ェニル、エチルフェニル、n−又はイソプロピルフェニ
ル、n−、イソ−又は第3級ブチルフェニル、ヘキシル
フェニル、オクチルフェニル、デシルフェニル、ドデシ
ルフェニル及び適当にアルキル置換されたベンジル基等
を挙げることができる。R13〜R16のシクロアルキルと
しては、好適にはシクロペンチル又はシクロヘキシルで
ある。
【0097】R13〜R16のアルキルシクロアルキルとし
ては、好適にはC1 〜C12アルキル置換シクロペンチル
又はC1 〜C12アルキル置換シクロヘキシルである。も
っとも好適には、R13〜R16は、C1 〜C6 アルキルで
ある。本発明に使用するのに適した硫酸化アルコール基
を含む熱可塑性重合体は、既知の方法で、不活性溶剤中
において、反復構造単位中にアルコール基を含有する熱
可塑性の被膜形成能を有する重合体をSO3 と反応さ
せ、次に反応混合物をアルカリ金属塩基又はアンモニウ
ム塩基で中和し、重合体を単離することによって得るこ
とができる。方法は、それ自体公知である。SO3 は、
例えば気体の形態で反応溶液に導入することができる。
市販のピリジン/SO3 複合体を使用することが好適で
ある。
【0098】適当な不活性溶剤は、好適には極性の非プ
ロトン性溶剤である。溶剤の選定は、主として、ヒドロ
キシル基含有重合体の溶解度によってきまってくる。溶
剤は、単独で又は少なくとも2種の溶剤の混合物として
使用することができる。適当な溶剤の具体例としては、
ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、
メチレングリコール、ジメチルエチレングリコール、ジ
メチルジエチレングリコール、ジエチルジエチレングリ
コール、ジメチルトリエチレングリコール等のエーテ
ル;塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエ
タン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2,2
−テトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;γ−ブ
チロラクトン、o−バレロラクトン、ビバロラクトン、
カルボキサミド等のラクトン;
【0099】N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−
ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、N−メチル−γ−ブチロラクタム、N−メチル−ε
−カプロラクタム、N−メチルピロリドン、N−アセチ
ルピロリドン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホ
ラミド等のラクタム;ジメチルスルホキシド等のスルホ
キシド;ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、トリメ
チルスルホン、テトラメチレンスルホン;N−メチルピ
ロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリ
ン等のスルホン;ベンゾニトリル、クロロベンゼン、o
−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼ
ン、ニトロベンゼン等の置換されたベンゼンなどを挙げ
ることができる。
【0100】反応温度は、20〜150℃、好適には4
0〜100℃の範囲にある。反応時間は、約5〜10時
間である。反応終了後、反応混合物を、気体のSO3
使用した場合はアルカリ金属塩基又は水酸化アンモニウ
ムで、又はアミンヒドロキシドの水性又は有機溶液で中
和する。アミン/SO3 複合体、例えばピリジン/SO
3 複合体を使用する場合は、対応するアンモニウム塩が
形成される。これは、電気化学的方法に直接使用するこ
とができる。また、塩中のアンモニウム基をより強い塩
基によって置換することもできる。硫酸化重合体の塩
は、通常、水で沈澱される。次に、重合体をろ過により
単離し、水又は有機非溶剤で洗浄することにより精製
し、その後乾燥することができる。
【0101】ポリオレフィンは、例えばオレフィンコモ
ノマーなしに、又はオレフィンコモノマーと一緒に、エ
ステル部分に−O−SO3+ 基を含有するアクリレー
ト及びメタクリレートのラジカル重合によって製造する
ことができる。硫酸化アルコール基を含有する重合体の
適当な塩は、また、熱可塑性を有している。出発重合体
に比較して、それらのガラス転移温度は実質的に未変化
であり、それらは機械的性質、例えば高度な引張強度及
び曲げ強度及び高度な柔軟性によって区別される。それ
らは、ポリヘテロ芳香族化合物の電導性ポリカチオンに
対する最も適当なポリアニオンである。
【0102】本発明に用いる導電性高分子複合体は、そ
れ自体既知の方法で水性、水性−有機又は有機溶液中に
おいて、硫酸化アルコール基を含有する重合体塩の存在
下でポリヘテロ芳香族化合物、アニリン又はアニリン誘
導体のモノマーを電気化学的に重合させ、その後陽極か
ら複合体を分離することによって製造される。この複合
体は、通常、フィルムとして沈着させる。フィルムの厚
さは、電気分解の時間及び電流密度を調節することによ
り、1〜500μm 、好ましくは10〜300μm の厚
さにする。電気化学的重合は、定電位で又は定電流で実
施することができる。適当な陽極物質は、例えば金属
(チタン、ニッケル、白金、スチール)又はITOガラ
スである。電流密度は、例えば0.5〜20mA/cm2、好
適には1〜5mA/cm2にすることができる。
【0103】電気化学的重合は、水又は水性有機溶液中
で実施することもでき、緩衝剤を同時に使用するのが好
ましい。緩衝剤としては、アンモニウム部分に1〜6
個、好適には1〜4個の炭素原子を含有する1〜3個、
好適には2又は3個のアルキル基を有するアルキルアン
モニウムホスフェートを挙げることができる。適当な緩
衝剤の具体例は、トリメチルアンモニウムホスフェー
ト、トリエチルアンモニウムホスフェート、トリ−n−
プロピルアンモニウムホスフェート及びトリ−n−ブチ
ルアンモニウムホスフェートである。また、プロトン化
形態の陽イオン交換体も好ましい。
【0104】電気化学的に重合させるに際し、同時に陽
極上に沈着する物質、例えば陰イオン性可塑剤又は陰イ
オン性染料を反応混合物に加えることもできる。電気化
学的重合の終了後、複合体をフィルムの形態で陽極から
分離又は剥離し、溶剤で洗浄することによって精製する
ことができる。
【0105】複合体は、0.1S/cm以上の高度な導電率
を有している。更に、複合体は、高度な靭性、引張強
度、曲げ強度及び柔軟性等の優れた機械的性質を有して
いる。驚くべきことは、複合体は、低いガラス転移温度
を有しており、その結果、ポリアニオン濃度が低い場合
でも、導電性を喪失することなく、熱可塑成形法により
加工することができる。また、驚くべきことは、複合体
は、熱可塑性重合体に対する方法、例えば成型方法によ
って、特に好適にはガラス転移温度の範囲内の溶融及び
分解温度以下の温度で圧伸法(深絞り成形)により加工
することができる。また、延伸方向により、導電率の著
しい増大がみられる。例えば、200%延伸した複合体
では導電率が5倍まで増大した。
【0106】本発明の複合体を化学酸化重合法によって
製造する場合には、例えば、酸化剤とポリアニオンの混
合溶液を適当な基板上に塗布し、減圧下でポリヘテロ芳
香族化合物、アニリン又はアニリン誘導体のモノマーの
蒸気にさらすことにより有機導電性高分子膜を得る方法
や、酸化剤を前記基板上に塗布後、ポリアニオンと前記
モノマーの混合溶液を塗布して有機導電性高分子膜を生
成させる方法などの各種方法によって本発明の複合体を
製造することができる。
【0107】本発明に用いる弁金属としては、アルミニ
ウム(Al)又はタンタル(Ta)等を用いることがで
きる。中でも、所定の電気的特性を確保するために、純
度が99.99%以上のものが好ましい。純度が99.
99%未満だと所望の誘電率を有する酸化皮膜が得られ
なかったり、また、得られた酸化皮膜中に一部未酸化の
不純物が残るなどして誘電体皮膜の物性に悪影響を及ぼ
す場合があり、結果として本発明の高周波特性に優れた
大容量コンデンサが得られないからである。
【0108】弁金属の厚さは、特に限定はないが、1.
0μm 〜1.0mmの範囲内のものが好ましく、さらに好
ましくは、30μm 〜300μm である。厚さが1.0
μm未満のときには、化成処理により酸化皮膜を形成す
る際に穴が生じ易く、穴が開いた状態でコンデンサを製
造すると該穴において電流のリークが発生し、高周波特
性に優れたコンデンサが得られない場合があり、1.0
mmを超えるときには、コンデンサを製造した際に全体と
して寸法が大きくなり、小型大容量コンデンサが得られ
ない。
【0109】本発明のコンデンサの製造方法は、まず上
記弁金属をエッチングして表面を粗面化し、次いで該表
面上に電解酸化又は空気酸化により酸化物を生成させて
誘電体皮膜とする。電解酸化は、例えばジアンモニウム
アジピン酸等の1〜5%水溶液中で25〜45V 、50
〜100℃の条件にて好適に行うことができる。得られ
た誘電体酸化皮膜上に前述した熱可塑性の有機導電性高
分子皮膜を形成する。その際、誘電体皮膜上に、直接有
機導電性高分子を電解重合法により形成すれば誘電体皮
膜−導電性高分子間に大接触面積を確保することができ
るので大容量コンデンサが得られる。このような目的の
ためには、上記誘電体皮膜表面を導電化する必要があ
る。
【0110】上記導電化は、金属又は導電性を有する金
属化合物を真空蒸着、イオンプレーティング又は塗布な
どの方法により金属又は導電性を有する金属化合物の薄
膜を形成することにより行う。この場合、金属又は導電
性を有する金属化合物を2種以上混合して使用してもよ
い。誘電体酸化皮膜表面を導電化するために使用される
金属の具体例としては、アルミニウム、チタニウム、コ
バルト、ニッケル、銅、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、
パラジウム、銀、インジウム、スズ、イリジウム、タリ
ウム、タングステン、白金、金等が挙げられる。
【0111】また、誘電体酸化皮膜表面を導電化するた
めに使用される導電性を有する金属化合物は、導電性を
有する限り種類を問わないが、例えば酸化チタン、酸化
バナジウム、酸化マンガン、酸化ルテニウム、酸化ロジ
ウム、酸化インジウム、酸化スズ、酸化オスミウム、酸
化イリジウム、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化鉛、
酸化鉄等の金属酸化物が好ましい。
【0112】上記金属又は金属化合物は、真空蒸着、イ
オンプレーティング法等の公知の方法で皮膜を形成する
ことができ、また、次のような塗布法により、膜形成を
行うこともできる。 (イ)二酸化マンガン膜の形成 誘電体酸化皮膜を5〜25%硝酸マンガン溶液に浸漬
し、次いで、これを150〜350℃で5〜30分間加
熱し、硝酸マンガンを熱分解して二酸化マンガン膜を上
記誘電体酸化皮膜上に形成する。
【0113】(ロ)二酸化鉛膜の形成 誘電体酸化皮膜を鉛イオンを含む反応母液に浸漬し、2
00〜300℃の高温で熱分解する方法(特公昭68−
21414号公報)、触媒として銀イオンを用い、化学
的に析出させる方法(特公昭49−29374号公
報)、鉛酸ナトリウムの水溶液に浸漬し、減圧下、60
℃で30時間放置して分解する方法(特開昭62−12
6625号公報)等により、誘電体酸化皮膜上に二酸化
鉛膜を形成することができる。
【0114】(ハ)三酸化バナジウム膜の形成 誘電体酸化皮膜を、メタバナジン酸アンモニウムに還元
剤としてナトリウムボロンハイドライドを加えた水溶液
中に浸漬し、減圧下で3時間放置する方法(特開昭62
−126624号公報)により、三酸化バナジウム層を
形成することができる。 (ニ)四三酸化鉄膜の形成 誘電体酸化皮膜を、鉄イオンを含む反応母液、例えば硫
酸アンモニウムでPH4.5に調整した飽和硫酸第二鉄水
溶液に浸漬し、100℃で3時間放置する方法(特開昭
62−126623号公報)により、四三酸化鉄層を形
成することができる。
【0115】なお、導電性金属化合物膜の形成方法は上
述のものには限定されず、好適な導電膜が得られる限
り、いずれの方法によってもよい。次に、このような弁
金属酸化物皮膜上に、上記熱可塑性有機導電性高分子膜
を以下の方法により設けることができる。
【0116】(1)前述の方法により表面を導電化した
弁金属誘電体酸化皮膜上に、既述した本発明の熱可塑性
有機導電性高分子を電解重合法によって形成する。電解
重合条件は、本発明の条件の範囲内で選べばよい。すな
わち、上記誘電体酸化皮膜上の導電性膜を陽極とし、適
当な対極を設置した電解浴中、熱可塑性ポリアニオンの
存在下、ヘテロ芳香族化合物、アニリン又はアニリン誘
導体のモノマーを本発明の範囲内で電解重合することに
より、弁金属/弁金属誘電体酸化皮膜/熱可塑性有機導
電性高分子からなる本発明のコンデンサの構造が製造さ
れる。
【0117】(2)前述した化学酸化重合法による本発
明の有機導電性高分子の製造方法において、基板として
弁金属誘電体酸化皮膜を用いることにより、本発明の弁
金属/弁金属誘電体酸化皮膜/熱可塑性有機導電性高分
子のコンデンサ構造が製造される。すなわち、例えば酸
化剤とポリアニオンの混合溶液を誘電体酸化皮膜を有す
る弁金属に塗布し、減圧下でピロールの蒸気にさらして
該導電性高分子膜を得る方法や、酸化剤を該誘電体酸化
皮膜を有する弁金属に塗布後、ポリアニオンとピロール
の混合溶液を塗布して該導電性高分子膜を得る方法など
により、本発明のコンデンサ構造が構築される。
【0118】(3)前述の方法で電気化学的に製造した
導電性高分子フィルムを、そのガラス転移点以上の温度
に加熱し、上記誘電体酸化皮膜を有する弁金属に圧着す
る方法である。熱圧着の温度としては、導電性高分子フ
ィルムのガラス転移温度以上であれば如何なる温度でも
よいが、好ましくは、250℃からそのポリアニオンの
ガラス転移温度より10℃高い温度の温度範囲で、かつ
ポリアニオンの分解温度以下で行う。熱圧着の圧力とし
ては、誘電体酸化皮膜を有する弁金属を変形させない圧
力であれば如何なる圧力でもよいが、好ましくは0.1
kg/cm2〜50kg/cm2、更に好ましくは1kg/cm2〜20kg
/cm2の範囲の圧力である。
【0119】熱圧着の時間としては、該弁金属表面に十
分に接着できる時間であれば特に限定するものではない
が、経済的かつ作業効率から1〜30分程度、好ましく
は1〜15分程度の時間である。また、本発明の導電性
高分子の表面をプラズマなどにより処理することによ
り、接着性を向上することができる。また、コンデンサ
の容量を向上させるために、あらかじめ該誘電体酸化皮
膜を有する弁金属の表面に化学酸化重合法により導電性
高分子を形成させた弁金属を用いて熱圧着を行うことも
できる。上記(1)の方法は、大容量コンデンサを製造
する場合に特に好ましく、(2)、(3)の方法は、簡
易な製法で高周波特性に優れたコンデンサを製造する場
合、特に好ましい。
【0120】
【実施例】以下、実施例を示し、本発明を更に具体的に
説明する。 実施例1ポリアニオンの合成 ビスフェノールAジグリシジルエーテル及びビスフェノ
ールAの重付加物(重合度約100)28.4g を、ジ
メチルホルムアミド(DMF)150mlに50℃で溶解
した溶液に、ピリジン−SO3 錯体4.4g をDMF2
0mlに溶解した溶液を添加して反応させ、5時間後に反
応混合物を5℃に冷却した後、トリブチルアミン8.7
mlを加えた。次に、反応混合物を水に加え、沈殿した重
合体塩をろ別し、水洗後、高真空下で乾燥して下記式
【0121】
【化27】
【0122】で示されるビスフェノールAジグリシジル
エーテル及びビスフェノールAの硫酸化重付加物のトリ
ブチルアンモニウム塩45g を得た。ポリアニオン構造
単位中の硫酸化アルコール基の構造反復単位に対するモ
ル比(MR)は0.25であった。
【0123】電解コンデンサの作製 エッチング処理したアルミニウム箔(20mm×20mm、
厚さ90μm)を陽極とし、3%ジアンモニウムアジピン
酸水溶液中で、35V 、80℃で化成処理し、箔の表面
に酸化アルミニウムの誘電体酸化皮膜を形成させた。こ
のアルミニウム箔を、10%硝酸マンガン溶液に浸漬し
た後、250℃の雰囲気下で10分間熱分解し、箔の表
面に二酸化マンガンの層を形成させた。
【0124】次に、陽極として二酸化マンガン層を形成
したアルミニウム箔を、陰極として白金板を、電解液と
して上記ポリアニオン0.05M 、ピロール5%及び水
1%を含有するプロピレンカーボネート溶液を用い、電
流密度0.5ma/cm2で120分間定電流電解を行い、箔
の表面に均一なポリピロールの薄膜を形成した。これを
エタノールで洗浄した後、50℃で乾燥し、次いで、表
面にカーボンペースト及び銀ペーストを塗布して対極を
形成し、対極リードを取り付けた後、エポキシ樹脂で封
止してコンデンサを作製した。得られたコンデンサは、
120Hzにおける静電容量が20μF/cm2 であり、損失
角の正接(tanδ)が2.0%であった。
【0125】実施例2 陽極及び陰極としてステンレス板を、電解液として実施
例1で用いた電解液を用い、電流密度2.0mA/cm2で6
0分間定電流電解を行った。次に、陽極上に形成させた
黒色のフィルムを剥離し、エタノールで洗浄した後、5
0℃で乾燥し、厚さ100μm のポリピロールフィルム
を得た。得られたポリピロールフィルムは、電気伝導率
が12S/cm、ガラス転移温度が110℃、破断点強度
(室温)が76MPa 、室温及び100℃における破断点
伸度が42%(室温)、137%(100℃)であっ
た。
【0126】次に、実施例1と同様にして化成処理した
エッチドアルミニウム箔(10mm×25mm、厚さ90μ
m)に、上記ポリピロールフィルム(12mm×12mm)を
ヒートプレスで、150℃で5分間熱圧着してラミネー
ションし、実施例1と同様にしてコンデンサを作製し
た。得られたコンデンサは、120Hzにおける静電容量
が0.4μF/cm2 、損失角の正接(tanδ)が1.5%で
あった。
【0127】実施例3 実施例1と同様にして化成処理したエッチドアルミニウ
ム箔(10mm×25mm、厚さ90μm)を、10%過硫酸
アンモニウム水溶液で侵食した後、減圧下でピロール蒸
気を接触させ、アルミニウム箔の表面にポリピロールを
化学酸化により形成させた。次に、このアルミニウム箔
に実施例2で用いたポリピロールフィルム(12mm×1
2mm)を実施例2と同様にしてラミネーションし、コン
デンサを作製した。得られたコンデンサは、120Hzに
おける静電容量が4.2μF/cm2、損失角の正接(tan
δ)が1.5%であった。
【0128】実施例4 実施例1と同様にして化成処理した平滑なアルミニウム
箔(20mm×20mm、厚さ40μm)に、実施例2で用い
たポリピロールフィルム(10mm×10mm)を実施例2
と同様にしてラミネーションし、コンデンサを作製し
た。得られたコンデンサは、120Hzにおける静電容量
が3.9nF/cm2、損失角の正接(tanδ)が1.7%であ
った。
【0129】実施例5ポリアニオンの合成 スチレン−ブタジエン共重合体(スチレン含有率24
%)37.3g を1,4−ジオキサン400mlに溶解し
た溶液に、3−クロロ化安息香酸24.7g を1,4−
ジオキサン60mlに溶解した溶液を、氷冷下で徐々に滴
下し、17時間撹拌した。これに濃塩酸30mlを加え、
80℃に加熱し、4時間撹拌した後、室温に戻し、更に
17時間撹拌した。得られた反応溶液をメタノールに滴
下し、沈殿した重合化合物をメタノールで反復洗浄した
後、40℃で真空乾燥した。
【0130】次に、乾燥した重合体12.5g を、乾燥
DMF100mlと1,4−ジオキサン40mlの混合溶媒
に溶解し、この溶液にピリジン−SO3 錯体7.0g を
加え、5時間反応させた。この反応溶液を10℃に冷却
し、トリブチルアミン9.4mlで中和した後、水に加
え、次いで沈殿した重合体塩をろ別し、水で反復洗浄し
た後、高真空下で乾燥し、下記式
【0131】
【化28】
【0132】で示される二重結合がヒドロキシル化され
たスチレン−ブタジエン共重合体の硫酸化物16.9g
を得た。ポリアニオン構造単位中の硫酸化アルコール基
の構造反復全単位に対するモル比(MR)は0.20で
あった。
【0133】電解コンデンサの作製 得られたポリアニオンを用いた他は、実施例1と同様に
して、陽極上に黒色のポリピロールフィルムを形成させ
た。得られたポリピロールフィルムの膜厚は、106μ
m であり、電気伝導率は23.7S/cm、室温に於ける破
断点強度は72Mpa 、破断点伸度は106%であった。
また、このポリピロールフィルムを100℃で170%
延伸した後の電気伝導率は72S/cmに増加していた。次
に得られた黒色フィルムの表面を酸素プラズマにより改
質した後、10mm×10mmに切り出し、これを実施例2
と同様にして、化成処理した平滑なアルミニウム箔(2
0mm×20mm、厚さ40μm )にラミネーションし、実
施例1と同様にしてコンデンサを作製した。得られたコ
ンデンサは、120Hzにおける静電容量が80nF/cm2
損失角の正接(tanδ)が2.0%であった。
【0134】比較例1 アニオンとして、トルエンスルホン酸のトリブチルアン
モニウム塩を用いた以外は、実施例2と同様にして黒色
のフィルムを得た。このポリピロールフィルムの膜厚は
40μm 、電導度は、80S/cm、室温に於ける破断点強
度は80MPa 、破断点伸度は40%であった。次に、得
られたポリピロールフィルムを10mm×10mmに切り出
し、これを実施例2と同様にして、化成処理した平滑な
アルミニウム箔(20mm×20mm、厚さ40μm )にラ
ミネーションしようとしたが、該ポリピロールフィルム
は、アルミニウム箔から剥離し、コンデンサを作製する
ことができなかった。
【0135】比較例2 比較例1で用いたポリピロールフィルムの表面を酸素プ
ラズマにより改質した後、10mm×10mmに切り出し、
これを実施例2と同様にして、化成処理した平滑なアル
ミニウム箔(20mm×20mm、厚さ40μm )にラミネ
ーションしようとしたが、該ポリピロールフィルムは、
アルミニウム箔から剥離し、コンデンサを作製すること
ができなかった。
【0136】
【発明の効果】本発明の固体電解コンデンサは、固体電
解質として用いる熱可塑性有機導電性高分子が、高い電
気伝導率を示すので、小型で、かつ大容量であり、高周
波特性及び長期安定性に優れる。また、熱可塑性の固体
電解質であるので、例えば、弁金属酸化皮膜上に熱圧着
させるときにも、固体電解質の物性が劣化することがな
く、しかも簡便かつ経済的に製造することができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弁金属箔面に誘電皮膜を介して、電気伝
    導率が0.1Scm-1以上で、ガラス転移温度が−100
    〜150℃の熱可塑性有機導電性高分子複合体からなる
    固体電解質層を備えた固体電解コンデンサ。
  2. 【請求項2】 弁金属が、タンタル又はアルミニウムで
    ある請求項1記載の固体電解コンデンサ。
  3. 【請求項3】 熱可塑性有機導電性高分子複合体が、ヘ
    テロ芳香族化合物、アニリン又はアニリン誘導体を、熱
    可塑性ポリアニオンの存在下に重合させた複合体である
    請求項1記載の固体電解コンデンサ。
  4. 【請求項4】 熱可塑性ポリアニオンが、カルボキシル
    基、スルホン酸基、ホスホン酸残基又は硫酸化アルコー
    ル基を含み、ガラス転移温度が−100〜250℃の熱
    可塑性重合体である請求項3記載の固体電解コンデン
    サ。
  5. 【請求項5】 ヘテロ芳香族化合物、アニリン又はアニ
    リン誘導体を、熱可塑性ポリアニオンの存在下に、電気
    化学的重合法又は化学酸化重合法により重合させた熱可
    塑性有機導電性高分子複合体フィルムを、ガラス転移温
    度以上で加熱し、弁金属箔に積層する固体電解コンデン
    サの製造方法。
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