JPH05320085A - パラ−第三級ブトキシフェニルジメチルカルビノールおよびその製造法 - Google Patents

パラ−第三級ブトキシフェニルジメチルカルビノールおよびその製造法

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JPH05320085A
JPH05320085A JP15003192A JP15003192A JPH05320085A JP H05320085 A JPH05320085 A JP H05320085A JP 15003192 A JP15003192 A JP 15003192A JP 15003192 A JP15003192 A JP 15003192A JP H05320085 A JPH05320085 A JP H05320085A
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Nobumitsu Kumamoto
信満 隈元
Masayuki Umeno
正行 梅野
Yukitaka Uchibori
幸隆 内堀
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は医薬品などの原料としてのパラ−第
三級ブトキシ−α−メチルスチレンの中間体(前駆体)
として有用なパラ−第三級ブトキシフェニルジメチルカ
ルビノールを提供することを目的とする。 【構成】 本発明の式(1)化合物は下記式で表わされ
る。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】 【発明の目的】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規なパラ−第三級ブト
キシフェニルジメチルカルビノールおよびその製造法に
関する。
【0002】本発明の化合物は、医薬品合成中間体およ
びヒドロキシル基を有するα−メチルスチレン重合体の
原料であるパラ−第三級ブトキシ−α−メチルスチレン
の中間体(前駆体)として有用である。
【0003】
【従来の技術】従来、本発明化合物に近似の化学構造を
有する化合物としてはいくつか知られている。例えばパ
ラ−ノルマルブトキシフェニルジメチルカルビノールが
パラ−ノルマルブトキシフェニルマグネシウムクロライ
ドとアセトンの反応により得られることが知られている
(ケミカル アブストラクト 第106巻18324
a)。またジメチルフェニルカルビノールはフェニルマ
グネシウムハライドとアセトンの反応により得られるこ
とが知られている。
【0004】しかしながら、本発明化合物については文
献未記載である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ヒドロキシル基を有す
るα−メチルスチレン重合体の原料であるパラ−第三級
ブトキシ−α−メチルスチレンは、パラ−ビニルフェニ
ルマグネシウムハライドとパラ−第三級ブトキシパーベ
ンゾエートの反応で得られる。
【0006】しかしながら、この合成方法は、反応操作
上の危険性があり、収率も低い(米国特許第4,60
3,101号明細書)。
【0007】したがって、パラ−第三級ブトキシ−α−
メチルスチレンを工業規模で、操作上の危険性もなく、
高収率で得るための新規な前駆体の開発が要望されてい
る。
【0008】本発明は、そのための新規化合物とそれを
合成する技術を提供せんとすることにある。
【0009】
【発明の構成】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した。その結果、フェニル
基のパラ位に第三級ブトキシ基を有する本発明化合物が
新規化合物であり、安価で高収率で得られること、さら
には後記参考製造例に示すごとく、パラ−第三級ブトキ
シジメチルカルビノールを4−ヒドロキシアミノ−2−
メチル−2,5−シクロヘキサジエン−1−オンなどの
重合防止剤の存在下でシュウ酸、硫酸水素カリウムなど
の脱水触媒で処理することにより、速やかにパラ−第三
級ブトキシ−α−メチルスチレンに導かれることを知見
し、パラ−第三級ブトキシ−α−メチルスチレンを得る
ための前駆体として有用であることを見いだした。
【0010】すなわち第1の本発明の要旨とするところ
は、式(1)
【化2】 で表わされるパラ−第三級ブトキシフェニルジメチルカ
ルビノールに関する。
【0011】また、第2の本発明の要旨とするところ
は、パラ−第三級ブトキシフェニルハライドを金属マグ
ネシウムと反応させ、パラ−第三級ブトキシフェニルマ
グネシウムハライドとし、これにアセトンを反応させる
ことを特徴とするパラ−第三級ブトキシジメチルカルビ
ノールの製造法に関する。
【0012】本発明におけるパラ−第三級ブトキシフェ
ニルジメチルカルビノールの製造法を反応式で示せば次
のとおりである。
【0013】
【化3】 (式中、Xはハロゲン原子を示す)
【0014】
【化4】 (式中、Xはハロゲン原子を示す)
【0015】
【化5】
【0016】本発明のパラ−第三級ブトキシフェニルジ
メチルカルビノール(1)は、パラ−第三級ブトキシフ
ェニルハライド(2)を金属マグネシウムと反応させ、
グリニヤール試薬であるパラ−第三級ブトキシフェニル
マグネシウムハライド(3)とし、これにアセトンを作
用させることにより合成できる。
【0017】以下、本発明化合物の製造法をさらに詳細
に説明する。
【0018】(a)パラ−第三級ブトキシフェニルマグ
ネシウムハライドの合成〔式(3)の化合物〕 グリニヤール試薬である式(3)化合物は、活性化した
金属マグネシウムを無水テトラヒドロフラン中でかき混
ぜつつ式(2)の化合物を溶媒の還流温度で滴下し、さ
らに1〜8時間の撹拌を続けることで得られる。反応に
使用する金属マグネシウムは市販のリボン状あるいは削
り状を式(2)化合物の1〜2倍モル程度で使用する。
反応に先立って、金属マグネシウムの活性化を目的に窒
素雰囲気あるいは減圧条件でかき混ぜたり、微量のヨウ
素あるいはヨウ化メチル、臭化メチル、ジブロモエタン
等で反応処理することは、反応を円滑に進める上で有効
である。式(3)の化合物の合成時の溶媒はテトラヒド
ロフランやジエチルエーテル単独あるいはベンゼンやト
ルエンなどの混合系であっても同様の結果を得ることが
できる。
【0019】(b)パラ−第三級ブトキシフェニルジメ
チルカルビノールの合成〔式(1)の化合物〕 式(1)化合物はグリニヤール試薬(3)にアセトンを
反応させて得られる。アセトンの使用量はグリニヤール
試薬(3)と等モル量でよい。また20〜40℃で滴下
し、さらに1〜5時間撹拌を続けると式(1)化合物が
得られる。
【0020】反応後は、塩化アンモニウム水溶液あるい
は希薄な鉱酸水溶液を注水して有機層を分離後、水洗
し、芒硝で脱水して溶媒を留去後、減圧蒸留により目的
とする式(1)化合物を得る。
【0021】次に実施例1〜2および参考製造例を示し
て本発明を具体的に説明する。
【0022】
【実施例】実施例1 窒素置換した1リットル容量の4径フラスコに削り状の
金属マグネシウム 29.2g(1.2モル)と無水テ
トラヒドロフラン 30mlを加え、さらに臭化エチル
約2mlを加えて撹拌し、発泡による反応を確認して、
パラ−第三級ブトキシクロルベンゼン 184.7g
(1.0モル)を400mlの無水テトラヒドロフラン
に溶解し、これを還流温度で2時間を要して滴下した。
さらに5時間還流を続けてグリニヤール試薬を得た。こ
のグリニヤール試薬の一部をとり加水分解してガスクロ
マトグラフィーにより分析を行うと、転換率は99.7
%であった。
【0023】次いで前記の操作により得られたグリニヤ
ール試薬を、30℃まで冷却後に未反応のマグネシウム
と分離するために、上澄液をグラスフィルターで濾過し
て別の1リットル容量の4径フラスコに移した。撹拌し
ながら25〜35℃でアセトン 58.1gを1時間か
けて滴下し、さらに同温度で1時間撹拌を続けた。
【0024】反応後、冷却しながら 300mlの塩化
アンモニウムを加えて生成した塩を溶解し、さらにベン
ゼン 300mlを加えて有機層を分離し、水洗後、芒
硝で脱水した。そして、溶媒を留去して粗製のパラ−第
三級ブトキシフェニルジメチルカルビノールを得た。
【0025】さらに、これにn−ヘキサンを加え再結晶
を行い、白色結晶としてパラ−第三級ブトキシフェニル
ジメチルカルビノール 169.3g(収率81.3
%)を得た。
【0026】このパラ−第三級ブトキシジメチルカルビ
ノールの融点は60.3℃であり、ガスクロマトグラフ
ィーによる分析純度は99.1%であった。元素分析値
およびNMRスペクトルは以下のとおりであった。
【0027】元素分析値
【0028】NMRスペクトル
【化6】 δ 1.34(9H,S,Ha ) δ 1.57(6H,S,Hd ) δ 1.76(1H,S,He ) δ 7.30(2H,d,Hc ) δ 6.89(2H,d,Hb
【0029】実施例2 窒素置換した1リットル容量の4径フラスコに削り状の
金属マグネシウム 29.2g(1.2モル)と無水テ
トラヒドロフラン 30mlを加え、さらに臭化エチル
約2mlを加えて撹拌し、発泡による反応を確認して、
パラ−第三級ブトキシブロムベンゼン 229.1g
(1.0モル)を400mlの無水テトラヒドロフラン
に溶解し、これを還流温度で2時間を要して滴下した。
さらに5時間還流を続けてグリニヤール試薬を得た。こ
のグリニヤール試薬の一部をとり加水分解してガスクロ
マトグラフィーにより分析を行うと、転換率は99.8
%であった。
【0030】次いで前記の操作により得られたグリニヤ
ール試薬を、30℃まで冷却後に未反応のマグネシウム
と分離するために、上澄液をグラスフイルターで濾過し
て別の1リットル容量の4径フラスコに移した。撹拌し
ながら25〜30℃でアセトン 58.1gを1時間か
けて滴下し、さらに同温度で1時間撹拌を続けた。
【0031】反応後、冷却撹拌しながら300mlの塩
化アンモニウムを加えて生成した塩を溶解し、さらにベ
ンゼン 300mlを加えて有機層を分離し、水洗後、
芒硝で脱水した。そして、溶媒を留去して粗製のパラ−
第三級ブトキシフェニルジメチルカルビノールを得た。
【0032】さらに、これにn−ヘキサンを加え再結晶
を行い、白色結晶としてパラ−第三級ブトキシフェニル
ジメチルカルビノール 167.9g(収率80.6
%)を得た。
【0033】このパラ−第三級ブトキシフェニルジメチ
ルカルビノールの融点、ガスクロトグラフィーによる分
析純度、元素分析値およびNMRスペクトルは実施例1
の値と一致した。
【0034】参考製造例 パラ−第三級ブトキシ−α−
メチルスチレンの合成 水分計を取り付けた1リットル容量の4径フラスコにパ
ラ−第三級ブトキシフェニルジメチルカルビノール 2
08.3g(1.2モル)とトルエン 200mlを加
えた。さらに、脱水触媒としてシュウ酸 10gと重合
防止剤である4−ヒドロキシアミノ−2−メチル−2,
5−シクロヘキサジエン−1−オン 0.2gを加え
た。減圧条件下で水を留去しながら、60〜65℃で2
時間撹拌した。反応終了後、30℃まで冷却し、300
mlの水で水洗し、さらに1%炭酸ナトリウム水溶液
200mlで洗浄後、芒硝で脱水した。
【0035】そして、溶媒を留去して粗製のパラ−第三
級ブトキシ−α−メチルスチレンを得た。
【0036】さらに、これに重合防止剤として第三級ブ
チルカテコールを添加し、減圧条件下で蒸留し、沸点
75℃/0.2mmHgの留分を167.2g(収率8
7.9%)得た。ガスクロマトグラフィーによる分析純
度は99.8%であり、元素分析値とNMRスペクトル
は標品のパラ−第三級ブトキシ−α−メチルスチレンと
一致した。
【0037】
【発明の効果】本発明の化合物は、ヒドロキシル基を有
するα−メチルスチレン重合体の原料であるパラ−第三
級ブトキシ−α−メチルスチレンの中間体として有用で
ある。また、本発明化合物はグリニヤール試薬とアセト
ンを反応させることにより高収率で安全に、しかも簡単
な操作で得られるため、工業的に極めて有利である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式 【化1】 で表わされるパラ−第三級ブトキシフェニルジメチルカ
    ルビノール。
  2. 【請求項2】 パラ−第三級ブトキシフェニルハライド
    を金属マグネシウムと反応させ、パラ−第三級ブトキシ
    フェニルマグネシウムハライドとし、これにアセトンを
    作用させることを特徴とするパラ−第三級ブトキシフェ
    ニルジメチルカルビノールの製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003055285A (ja) * 2001-08-09 2003-02-26 Hokko Chem Ind Co Ltd 4−tert−ブトキシ−4’−ハロゲノビフェニルおよびその製法、並びに4−ハロゲノ−4’−ヒドロキシビフェニルの製法
JP2004524358A (ja) * 2001-02-13 2004-08-12 エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー フェニル酢酸誘導体の製造方法

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