JPH07330786A - 光学活性3級ホスフィン化合物、これを配位子とする遷移金属錯体およびこれを用いる製造法 - Google Patents

光学活性3級ホスフィン化合物、これを配位子とする遷移金属錯体およびこれを用いる製造法

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JPH07330786A
JPH07330786A JP6127786A JP12778694A JPH07330786A JP H07330786 A JPH07330786 A JP H07330786A JP 6127786 A JP6127786 A JP 6127786A JP 12778694 A JP12778694 A JP 12778694A JP H07330786 A JPH07330786 A JP H07330786A
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JP6127786A
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Kazunori Iwakura
和憲 岩倉
Masayoshi Minamii
正好 南井
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Abstract

(57)【要約】 【目的】新規なホスフィン化合物およびこれを触媒とし
て用いるオレフィンの不斉ヒドロシリル化反応を利用し
た光学活性有機ケイ素化合物の製造法を提供すること。 【構成】一般式(1)(R1 は、低級アルキル基または
水素原子を示し、低級アルキル基は、ハロゲン、低級ア
ルコキシ、フェニルで置換されていてもよい、X 1 はハ
ロゲン原子、nは1〜5の整数。)で表される3級ホス
フィン化合物またホスフィン化合物を配位子とする遷移
金属錯体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なホスフィン化合
物、それを配位とする遷移金属錯体およびこれを触媒と
して用いるオレフィンの不斉ヒドロシリル化反応を利用
した光学活性有機ケイ素化合物の製造法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】光学活性な有機ケイ素化合物は、シリル
基を官能基変換することで光学活性なアルコールや光学
活性なハロゲン化物へ容易に誘導することができ、医
薬、農薬、および強誘電性液晶材料等の光学活性化合物
の製造における有用な化合物である。このように利用価
値の高い光学活性な有機ケイ素化合物は、オレフィンの
不斉ヒドロシリル化反応によって得られる。
【0003】一方、不斉合成反応に用いられる遷移金属
触媒については数多くの報告がなされており、これらの
中でも光学活性な3級ホスフィン化合物を配位子とする
ルテニウム、パラジウム、ロジウム等の遷移金属錯体
は、不斉合成の触媒として優れた性能を有することが広
く知られている。(日本化学会編、化学総説32「有機
金属錯体の化学」、237 頁、昭和57年)。
【0004】更に、不斉ヒドロシリル化反応において、
軸不斉を有する2−ジフェニルホスフィノ−2’−メト
キシ−1,1’−ビナフチルは特に優れた配位子である
ことが知られており、特開平05−255351号公報
には、これを用いた光学活性なビシクロ[2.2.n]
系化合物の不斉ヒドロシリル化反応が記載されている
が、反応が暴走し易く、また反応を制御するために溶媒
を添加すると不斉収率が低下するという点で、必ずしも
充分なものとは言い難い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】光学活性な有機ケイ素
化合物の工業的有利な製造法を開発することを本発明の
目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような状況のもと、
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結
果、不斉合成反応において、反応の立体選択性あるいは
位置選択性および転化率に優れ、かつ反応制御が容易
な、新規なホスフィン化合物を見いだし更に種々検討を
加え本発明に至った。すなわち、本発明は、一般式
(1) (式中、R1 は、低級アルキル基または水素原子を示
し、ここで低級アルキル基は、ハロゲン原子、低級アル
コキシ基もしくはフェニル基で置換されていてもよい。
1 はハロゲン原子を示し、nは1〜5の整数を示
す。)で表される3級ホスフィン化合物および該化合物
(1)を配位子とする新規な遷移金属錯体を提供するも
のである。
【0007】さらに本発明は、3級ホスフィン化合物
(1)を配位子とする遷移金属錯体を触媒として用い、
一般式(2) (式中、R2 、R3 、R4 、R5 は、それぞれ独立にア
ルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキ
ル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、また
は水素原子を示し、あるいは、それぞれが連結し、環を
形成していてもよい。)で示される化合物を、一般式
(3) (式中、X2 、X3 、X4 はそれぞれ独立に、水素原
子、アルキル基、アルコキシ基、またはハロゲン原子を
示す。)で示されるシラン類を反応させることを特徴と
する一般式(4) (式中、R2 、R3 、R4 、R5 、X2 、X3 、X4
前記と同じ意味を表わす。)で示される光学活性有機ケ
イ素化合物の製造法を提供するものである。
【0008】一般式(1)で表される3級ホスフィン化
合物に於いて、R1 としては、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、
フルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル
基、メトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基、メ
トキシプロピル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、
フェニルプロピル基等が挙げられるが、特に炭素数1〜
4のアルキル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシ
メチル基が好ましい。更に、一般式(1)中、X1 のハ
ロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素、沃素等が挙げ
られ、置換位置、置換数については特に限定されない
が、とりわけ4−置換、2,4−ジ置換、および2,
4,6−トリ置換が好ましい。
【0009】また、本発明に係る3級ホスフィン化合物
(1)には光学活性体である(+)体および(−)体が
存在し、本発明はこれらの(+)体、(−)体およびラ
セミ体のいずれをも含むものである。
【0010】本発明の3級ホスフィン化合物(1)のう
ちR1 が水素原子以外のもの(1a)は、例えば次の反
応経路に従って製造することができる。 (式中、R1 は、低級アルキル基を示し、低級アルキル
基は、ハロゲン原子、低級アルコキシ基もしくはフェニ
ル基で置換されていてもよい。X1 は、ハロゲン原子を
示し、nは1〜5の整数を示す。)
【0011】上記反応ルートについて以下に説明する。
炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル類等を溶媒と
し、ハロゲン化ヨードベンゼン(5)に1〜5モル倍好
ましくは1〜1.5モル倍のマグネシウムを−20℃〜
100℃好ましくは−10℃〜50℃で1〜10時間反
応させグリニャール試薬とした後、0.1〜1モル倍好
ましくは0.4〜0.6モル倍のジエチルホスファイト
と−20℃〜100℃好ましくは−10℃〜50℃で1
〜10時間反応させてジアリールホスフィンオキシド
(6)を合成する。
【0012】一方、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エ
ーテル類等を溶媒とし、ビフェナントール(7)に、2
〜20モル倍好ましくは3〜10モル倍の芳香族アミ
ン、3級アミン等の塩基存在下、2〜20モル倍好まし
くは2〜6モル倍の無水トリフルオロメタンスルホン酸
を−20〜100℃好ましくは−10〜50℃で1〜1
0時間反応させて2,2’−ジ(トリフルオロメタンス
ルホニル)−1,1’−ビナフチル(8)に誘導しす
る。
【0013】得られた化合物(8)に対し、ジメチルス
ルホキシド等の極性溶媒中、1〜20モル倍好ましくは
5〜10モル倍の3級アミン等の塩基および0.1〜1
モル倍好ましくは0.4〜0.6モル倍のパラジウム−
ホスフィン触媒存在下、1〜10モル倍好ましくは2〜
4モル倍のジアリールホスフィンオキシド(6)を−2
0〜100℃好ましくは0℃〜50℃で1〜20時間作
用させることにより、2−トリフルオロメタンスルホニ
ル−2’−ジアリールホスフィノイル−1、1’−ビナ
フチル(9)を得る。
【0014】このようにして得られた化合物(9)に対
し、水、アルコール類、エーテル類、あるいはこれらの
混合溶媒中、1〜20モル倍好ましくは5〜10モル倍
の水酸化アルカリ等の塩基を加え、−20〜100℃好
ましくは0℃〜80℃で1〜20時間加水分解反応を行
い、反応後酸析し、2−ヒドロキシ−2’−ジアリール
ホスフィノイル−1,1’−ビナフチル(10)とす
る。
【0015】この化合物(10)に対し、アルコール
類、エーテル類、ケトン類等の極性溶媒中、1〜20モ
ル倍好ましくは5〜15モル倍の炭酸アルカリ等の塩基
の存在下、1〜20モル倍好ましくは5〜15モル倍の
ハロゲン化アルキル等のアルキル化剤を−20〜120
℃好ましくは40〜100℃で1〜10時間反応させ、
2−アルコキシ−2’−ジアリールホスフィノイル−
1,1’−ビナフチル(11)を得る。
【0016】こうして得られた化合物(11)に対し、
炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル類等の溶媒
中、1〜100モル倍好ましくは40〜60モル倍の3
級アミン等の塩基存在下、1〜50モル倍好ましくは1
0〜20モル倍のトリクロロシラン等の還元剤を、−2
0〜150℃で1〜5時間反応させることにより化合物
(1a)が得られる。
【0017】一方、本発明の3級ホスフィン化合物のう
ちR1 が水素原子であるもの(1b)は、例えば次の反
応経路に従って製造することができる。 (式中、X1 は、前記と同じ意味を表わす。)
【0018】すなわち、前述の方法と同様にして2−ヒ
ドロキシ−2’−ジアリールホスフィノイル−1,1’
−ビナフチル(10)を得、これに対し、炭化水素、ハ
ロゲン化炭化水素、エーテル類等の溶媒中、1〜100
モル倍好ましくは40〜60モル倍の3級アミン等の塩
基存在下、1〜50モル倍好ましくは10〜20モル倍
のトリクロロシラン等の還元剤を作用させ、−20〜1
50℃で1〜5時間反応させることにより化合物(1
b)が合成される。
【0019】本発明の化合物(1)の製造において、各
工程の反応は基質の軸不斉の環境を保持して進行するた
め、出発原料に光学活性なビナフトール(7)を用いれ
ば、最終生成物には光学活性な化合物(1)が得られ
る。また、ラセミ体のビナフトール(7)を用いれば、
ラセミ体の化合物(1)が得られてくる。よって、使用
の目的により、光学活性体およびラセミ体を作り分ける
ことが可能である。
【0020】また、本発明によって得られる3級ホスフ
ィン化合物(1)は、配位子として遷移金属に配位し、
錯体を形成する。この錯体を形成する遷移金属として
は、パラジウム、ロジウム、ルテニウム等が挙げられ
る。本発明に係る遷移金属錯体は、日本化学会編「第4
版 実験化学講座」、第18巻、有機金属錯体、199
1年 丸善 P.393に記載の方法に従って製造する
ことができる。例えば、遷移金属無機または有機塩類に
対し、3級ホスフィン化合物(1)により配位子交換す
ることで製造し、それを単離後用いることができる。あ
るいは反応系中で製造し、単離せずに用いることもでき
る。ここで用いられる遷移金属塩類としては、アリルパ
ラジウムクロリド2量体、テトラクロロパラジウム酸ナ
トリウム、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウ
ム、テトラクロロパラジウム酸アンモニウム等が挙げら
れる。
【0021】本発明によって得られる3級ホスフィン化
合物(1)の光学活性体を配位子とする遷移金属錯体
を、不斉合成反応、例えば、不斉ヒドロシリル化反応等
の触媒として用いると、高い収率かつ高い不斉収率で選
択的に目的物を得ることができる。すなわち、3級ホス
フィン化合物(1)の光学活性体を配位子とする遷移金
属錯体を触媒とし、一般式(2)で示される化合物を、
一般式(3)で示されるシラン類とを反応させることに
より、高収率かつ高い不斉収率で選択的に一般式(4)
で示される光学活性有機ケイ素化合物を製造することが
できる。
【0022】上記反応に用いられる一般式(2)で示さ
れる化合物において、R2 、R3 、R4 、R5 のアルキ
ル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチ
ル基、イソプロピル基、t−ブチル基等が挙げられ、ア
ルケニル基としては例えば2−ブテニル基、3−ペンテ
ニル基等が、アルキニル基としては例えば2−ブチニル
基、3−ペンチニル基等が、シクロアルキル基としては
例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等が、アリ
ール基としては例えばフェニル基、ナフチル基等が、ア
ラルキル基としてはベンジル基、β−フェネチル基等
が、アルコキシ基としてはメトキシ、エトキシ、プロポ
キシ基等が挙げられる。また、化合物(2)に於いてR
2 、R3 、R4 、R5 のそれぞれが連結し、環を形成し
ている(2)の化合物としては、ジヒドロフラン、シク
ロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネン、ノルボル
ナジエン、ビシクロ[2,2,2]オクテン、インデ
ン、ジヒドロナフタレン等が挙げられ、更に、これらが
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロ
ピル基、t−ブチル基等のアルキル基や、フェニル基、
トリル基等のアリール基、およびフッ素、塩素、臭素、
ヨウ素等のハロゲン原子で置換された化合物も含まれ
る。
【0023】また、本発明に使用する3級ホスフィン化
合物には、光学活性体である(+)体および(−)体が
存在し、本発明はこれらの(+)体、(−)体のいずれ
をも含むものであるが、(+)体を使用して反応を行っ
た場合の生成物と、(−)体を使用して反応を行った場
合の生成物とは鏡像異性体の関係になる。従って、目的
とする有機ケイ素化合物の立体配置に合わせて、ホスフ
ィン化合物の(+)体、(−)体のいずれかを選択して
使用すればよい。
【0024】このホスフィン化合物を配位させて用いる
遷移金属としては、パラジウム、ロジウム、ルテニウ
ム、白金等が挙げられるが、特に、パラジウムを用いた
場合に高い立体選択性で反応が進行する。
【0025】更に、一般式(3)で示されるシラン類に
おいて、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プ
ロピル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキ
シ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられ、ハロゲ
ン原子としては、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
【0026】一般式(4)で示される化合物は、一般式
(2)で示される化合物から、例えば次の方法で製造す
ることができが、これに限定されるものではない。すな
わち、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル類等を
溶媒とし、原料のオレフィン化合物に対し0.001〜
1.0モル%好ましくは0.01〜0.1モル%のアリ
ルパラジウムジクロリド等の遷移金属錯体、および遷移
金属錯体の1〜3モル倍好ましくは2モル倍の光学活性
なホスフィン化合物の混合物中に、原料のオレフィン化
合物を加え、続いてオレフィン化合物の1〜3モル倍好
ましくは1〜1.2モル倍のトリクロロシラン等のシラ
ン類を−50℃〜150℃好ましくは−20〜40℃で
反応させて光学活性な有機ケイ素化合物を得る。また、
オレフィン化合物とシラン類を加える順序は逆でもよ
く、更に、同時に加えてもよい。反応終了後通常の後処
理操作例えば、反応混合物を蒸留等によって精製するこ
とにより高純度品を得ることができる。
【0027】一方、このようにして得られる光学活性有
機ケイ素化合物はその立体配置を維持したまま容易にア
ルコール類へ誘導できる。例えば、トリクロロシリル化
合物の場合、テトラヒドロフランとメタノールの混合溶
媒中、重炭酸カリウム存在下過酸化水素を作用させるこ
とにより、シリル基が水酸基へ変換される。
【0028】
【発明の効果】本発明によって得られる3級ホスフィン
化合物(1)の光学活性体を配位子とする遷移金属錯体
を、不斉合成反応、例えば、不斉シリル化反応等の触媒
として用いると、高い収率かつ高い不斉収率で選択的に
目的物を得ることができる。また、従来の技術では反応
が暴走し易く、また反応を制御するために溶媒を添加す
ると不斉収率が低下していたが、この3級ホスフィン化
合物(1)を用いると、反応初期の誘導期が見られず、
反応が暴走することもなく、高い収率かつ高い不斉収率
で選択的に目的物を得ることができるので工業的に非常
に有用である。更に、本発明に係る3級ホスフィン化合
物(1)の光学活性体のうち、(+)体または(−)体
のいずれか一方を選択し、これを配位子とする遷移金属
錯体を触媒として使用することにより、不斉合成反応に
おいて目的とする絶対立体配置の生成物を選択的に得る
ことができる。
【0029】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
尚、実施例中の分析は次の分析装置を用いて行った。 旋光計:DIP−370型(日本分光工業株式会社製)1 H−NMRスペクトル:JNM−EX270型(27
0MHz、日本電子株式会社製) 内部標準:テトラメ
チルシラン31 P−NMRスペクトル:JNM−EX270型(10
9MHz、日本電子株式会社製) 外部標準:リン酸
【0030】実施例1−(1) 窒素雰囲気下、金属マグネシウム5.5g(0.21m
ol)のジエチルエーテル40ml懸濁液中に1−クロ
ロ−4−ヨードベンゼン50g(0.21mol)のジ
エチルエーテル40ml溶液を滴下し、15分間還流さ
せた。氷冷後、反応液中にジエチルホスファイト9.6
5g(0.07mol)のジエチルエーテル30ml溶
液を滴下し、15分間還流させた。反応液を氷冷後、1
0%塩酸水80mlをゆっくり加え、水80mlを注入
し、分液した。油層を2%塩酸水20mlで3回抽出
し、水層を先の分液水層と合わせ、これをトルエン20
mlで3回抽出した。トルエン抽出液を無水硫酸マグネ
シウムで乾燥後溶媒を留去し、粗生成物を得た。これを
カラムクロマトグラフィーで精製し、ジ(4−クロロフ
ェニル)ホスフィンオキシド8.52gを得た。収率4
5%。
【0031】実施例1−(2) (R)−ビナフトール5.73g(0.02mol)と
水酸化カリウム5.73g(0.10mol)の水11
5ml懸濁液に対し、氷冷下、無水トリフルオロメタン
スルホン酸14.11g(0.05mol)の四塩化炭
素15ml溶液を滴下した。5℃で5時間撹拌した後、
ジクロロメタンで抽出し、水洗した。有機層を無水硫酸
マグネシウムで乾燥後溶媒を留去し、粗生成物を得た。
これをカラムクロマトグラフィーで精製し、(R)−
2,2’−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)−
1,1’−ビナフチル10.05gを得た。収率91
%。
【0032】実施例1−(3) 窒素雰囲気下、(R)−2,2’−ビス(トリフルオロ
メタンスルホニル)−1,1’−ビナフチル5.41g
(9.83mmol)、ジ(4−クロロフェニル)ホス
フィンオキシド8.00g(29.5mmol)、酢酸
パラジウム0.22g(0.98mmol)、1,4−
ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン0.22g
(0.97mmol)をジメチルスルホキシド10ml
に溶解し、この中にジイソプロピルエチルアミン7.6
4gを注加後、90℃で16時間撹拌した。冷却後、反
応混合物に水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を
水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去し
て粗生成物を得た。これをカラムクロマトグラフィーで
精製し、(R)−2−トリフルオロメタンスルホニル−
2’−ジ(4−クロロフェニル)ホスフィノイル−1,
1’−ビナフチル5.94gを得た。収率90%。
【0033】実施例1−(4) (R)−2−トリフルオロメタンスルホニル−2’−ジ
(4−クロロフェニル)ホスフィノイル−1,1’−ビ
ナフチル5.00g(7.45mmol)をメタノール
15ml、1,4−ジオキサン30mlの混合溶媒に溶
解し、10%水酸化ナトリウム水溶液30gを加え、室
温で3時間撹拌した。氷冷下、反応液に濃塩酸を加えて
酸性とした後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗
し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去して粗
生成物を得た。これをカラムクロマトグラフィーで精製
し、(R)−2−ヒドロキシ−2’−ジ(4−クロロフ
ェニル)ホスフィノイル−1,1’−ビナフチル2.9
3gを得た。収率73%。
【0034】実施例1−(5) (R)−2−ヒドロキシ−2’−ジ(4−クロロフェニ
ル)ホスフィノイル−1,1’−ビナフチル2.00g
(3.71mmol)、無水炭酸カリウム1.54g
(11.1mmol)のアセトン50ml懸濁液中にヨ
ウ化メチル1.58g(11.1mmol)のアセトン
10ml溶液を加え、3時間還流させた。反応液にジエ
チルエーテルを加え、塩を濾過した後、濾液の溶媒を留
去して(R)−2−メトキシ−2’−ジ(4−クロロフ
ェニル)ホスフィノイル−1,1’−ビナフチル1.9
4gを得た。収率94%。
【0035】実施例1−(6) 窒素雰囲気下、(R)−2−メトキシ−2’−ジ(4−
クロロフェニル)ホスフィノイル−1,1’−ビナフチ
ル0.90g(1.63mmol)、トリエチルアミン
1.65g(16.3mmol)のキシレン30ml溶
液中に、トリクロロシラン1.10g(8.1mmo
l)を加え、120℃で4時間加熱した。冷却し、反応
液に飽和重曹水を加えて反応を止め、濾過後、酢酸エチ
ルで抽出した。有機層を水洗し、無水硫酸マグネシウム
で乾燥後、溶媒を留去して粗生成物を得た。これをカラ
ムクロマトグラフィーで精製し、(R)−2−メトキシ
−2’−ジ(4−クロロフェニル)ホスフィノ−1,
1’−ビナフチル0.76gを得た。収率87%。
【0036】実施例2 実施例4で合成した(R)−2−ヒドロキシ−2’−ジ
(4−クロロフェニル)ホスフィノイル−1,1’−ビ
ナフチル0.80g(1.48mmol)を窒素雰囲気
下、トリエチルアミン1.50g(14.8mmol)
とともにキシレン30mlに溶解し、トリクロロシラン
1.01g(7.5mmol)を加え、120℃で4時
間加熱した。冷却し、反応液に飽和重曹水を加えて反応
を止め、濾過後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗
し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去して粗
生成物を得た。これをカラムクロマトグラフィーで精製
し、(R)−2−ヒドロキシ−2’−ジ(4−クロロフ
ェニル)ホスフィノ−1,1’−ビナフチル0.33g
を得た。収率43%。
【0037】実施例3−(1) トルエン6.95g中にアリルパラジウムクロリド2量
体1.35mg(3.69μmol、パラジウムとして
7.38μmol)、(R)−2−メトキシ−2’−ジ
(4−クロロフェニル)ホスフィノ−1,1’−ビナフ
チル7.93mg(14.78μmol)を加え溶解す
る。この中にノルボルネン6.95g(73.81mm
ol)を加えた後、トリクロロシラン12.00g(8
8.59mmol)を加え、そのまま12時間撹拌し
た。引き続き反応混合物を減圧濃縮(100℃/1To
rr)し、(1S、2S、4R)−2−トリクロロシリ
ルノルボルナンを16.41g得た。単離収率97%。
【0038】生成物の光学純度は、以下の方法により立
体配置を維持したままトリクロロシリル基を水酸基に変
換し、光学異性体分離用カラムにてGC分析を行うこと
によって求めた。
【0039】実施例3−(2) 重炭酸カリウム21.48g(214.5mmol)の
THF30mlおよびメタノール30mlの混合液に加
えて懸濁液とし、この中に、氷冷撹拌下、(1S、2
S、4R)−2−トリクロロシリルノルボルナン16.
41g(71.47mmol)を滴下する。そのまま2
時間撹拌し、更に30%過酸化水素水を55ml加えた
後、50℃で24時間撹拌した。反応液を室温まで冷却
し、ジエチルエーテルで抽出した後、有機層を飽和食塩
水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去
して(1S、2S、4R)−2−ノルボルナノールを
5.60g得た。単離収率70%。これを光学異性体分
離用カラムにてGC分析を行い、光学純度を決定したと
ころ、95%eeであった。旋光度[α]D 20−3.0 °
(C=2.82,CHCl 3 )1 H NMR(CDCl3 ) δppm:0.88〜
1.73(m,9H)、2.09(d,J=4.4H
z,1H)、2.31(s,1H)、3.82(d,J
=6.8Hz,1H)
【0040】比較例1 実施例3において、(R)−2−メトキシ−2’−ジ
(4−クロロフェニル)ホスフィノ−1,1’−ビナフ
チルのかわりに(R)−(+)−2−ジフェニルホスフ
ィノ−2’−メトキシ−1,1’−ビナフチルを用い
て、実施例1に準拠して実施した。その結果、(1S、
2S、4R)−2−トリクロロシリルノルボルナンが、
単離収率95%で得られたが、光学純度は89%eeで
あった。
【0041】比較例2 比較例1において、トルエンを加えずに無溶媒で実施し
たところ、反応開始数分後から急激に発熱が始まり、反
応の制御が困難となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07M 7:00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1) (式中、R1 は、低級アルキル基または水素原子を示
    し、ここで低級アルキル基は、ハロゲン原子、低級アル
    コキシ基もしくはフェニル基で置換されていてもよい。
    1 はハロゲン原子を示し、nは1〜5の整数を示
    す。)で表される3級ホスフィン化合物。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の3級ホスフィン化合物を
    配位子とする遷移金属錯体。
  3. 【請求項3】光学活性体であることを特徴とする請求項
    1に記載の3級ホスフィン化合物。
  4. 【請求項4】請求項3に記載の光学活性3級ホスフィン
    化合物を配位子とする遷移金属錯体。
  5. 【請求項5】請求項4に記載の光学活性3級ホスフィン
    化合物を配位子とする遷移金属錯体存在下、一般式
    (2) (式中、R2 、R3 、R4 、R5 は、それぞれ独立にア
    ルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキ
    ル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、また
    は水素原子を示し、あるいは、それぞれが連結し、環を
    形成していてもよい。)で示される化合物を、一般式
    (3) (式中、X2 、X3 、X4 はそれぞれ独立に、水素原
    子、アルキル基、アルコキシ基、またはハロゲン原子を
    示す。)で示されるシラン類を反応させることを特徴と
    する一般式(4) (式中、R2 、R3 、R4 、R5 、X2 、X3 、X4
    前記と同じ意味を表わす。)で示される光学活性有機ケ
    イ素化合物の製造法。
  6. 【請求項6】遷移金属錯体としてパラジウム化合物を用
    いる請求項5に記載の製造法。
  7. 【請求項7】シラン類としてトリクロロシランを用いる
    請求項5または6に記載の製造法。
  8. 【請求項8】一般式(1)で示される化合物がノルボル
    ネンである請求項5、6または7に記載の製造法。
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