JP2935131B2 - ホスフィン化合物の製法及びその中間体並びにそれらの製法 - Google Patents

ホスフィン化合物の製法及びその中間体並びにそれらの製法

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【発明の詳細な説明】 本発明は極めて高い不斉収率を与える配位子である光
学活性ビスホスフィンの(S,S)−1,4−ビス(o−アニ
シルフェニルホスフィノ)エタン(DIPAMP)を製造する
ための中間体である構造式(VI)で表されるホスフィン
化合物、その製法、その中間体及びその製法並びに構造
式(VI)で表されるホスフィン化合物を使用した化合物
の製法に関し、更に詳しくは構造式(VI) (式中、Phはフェニル基を示す。) で表されるジアステレオマー混合物又はその分離物、そ
の製法、構造式(VI)で表されるジアステレオマー混合
物又はその分離物を製造するための中間体である構造式
(IX) (式中、Phはフェニル基を示す。) で表されるジアステレオマー混合物又は分離物及びその
製法並びに構造式(VI)で表されるホスフィン化合物を
使用した化合物の製法に関するものであり、構造式(V
I)で表されるホスフィン化合物及びその中間体である
構造式(IX)で表される化合物は文献記載の新規化合物
である。
本発明の構造式(VI)で表されるホスフィン化合物よ
り製造される構造式(I) (式中、Phはフェニル基を示す。) で表されるホスフィン化合物は不斉触媒の配位子として
種々の不斉合成に使用することができるものである。
不斉触媒として光学活性ホスフィン配位子の有用性が
Horner,Kagan,Knowles等により報告されて以来、多数の
光学活性ホスフィン配位子が合成され、不斉触媒能が検
討されてきた。
これまでに公表された配位子は500以上にのぼり、こ
れらの中には極めて高い選択性を示すものも少なくな
い。
しかし、選択性が高いだけでなく、非常に高い触媒活
性(基質/触媒>10000)を示し、且つオレフィンの水
素化のみならずカルボニル化合物の還元、ヒドロシリル
化、異性化、炭素−炭素結合性生成反応等に幅広く適用
できる配位子はごくわずかである。
極めて高い不斉収率を与える配位子としては、リン原
子自信に不斉中心を有する光学活性ビスホスフィン、例
えば(S,S)−1,4−ビス(o−アニシルフェニルホスフ
ィノ)エタン(DIPAMP)が挙げられるが、従来法による
この種の配位子の合成は著しく困難であり、簡便な合成
法の開発が強く望まれている。
本発明者等は上記DIPAMPの新規製造法を見出すべく、
鋭意研究を重ね、ホスフィン・ボランの特異な反応性を
利用することにより、リン原子上に不斉中心を有するホ
スフィン配位子を光学純度100%で合成できるものと考
え、光学的に純粋なホスフィン・ボランの中間体の製法
を開発し、本発明を完成させたものである。
本発明の製造方法を図式的に示すと例えば下記の通り
示すことができる。
(式中、Phはフェニル基を示し、Rは低級アルキル基を
示し、Menは(−)−メントールを示し、X及びYは同
一又は異なっても良いハロゲン原子を示す。) 即ち、構造式(X)で表されるジクロロフェニルホ
スフィンに不活性溶媒の存在下に一般式(VII)で表さ
れるグリニアール試薬を反応させ、次いで塩基の存在下
に(−)−メントールを反応させ、更にボラン−テトラ
ヒドロフラン錯体(BH3−THF錯体)を反応させ、構造式
(VI)で表されるジアステレオマー混合物とし、該混合
物(VI)を分離し、構造式(VI−1)又は(VI−2)で
表されるジアステレオマー分離物とするか、構造式
(X)で表されるジクロロフェニルホスフィンと(−)
−メントールを不活性溶媒及び塩基の存在下に反応さ
せ、次いでBH3−THF錯体を反応させ、更に還元剤により
還元反応することにより、構造式(IX)で表されるジア
ステレオマー混合物とし、該混合物(IX)を一般式(VI
II)で表されるハライド類と反応させ、構造式(VI)で
表されるジアステレオマー混合物とし、該混合物を分離
することにより構造式(VI−1)又は(VI−2)で表さ
れる分離物とするか、構造式(X)で表されるジクロ
ロフェニルホスフィンと(−)−メントールを不活性溶
媒及び塩基の存在下に反応させ、次いでBH3−THF錯体を
反応させ、更に還元剤により還元反応することにより、
構造式(IX)で表されるジアステレオマー混合物とし、
該混合物(IX)を分離し、構造式(IX−1)及び(IX−
2)で表される分離物とし、該化合物(IX−1)、(IX
−2)を一般式(VIII)で表されるハライド類と不活性
溶媒及び塩基の存在下に反応させ、構造式(VI−1)又
は(VI−2)で表されるジアステレオマー分離物を製造
する。
又構造式(X)より上記方法により各工程で得られる
ジアステレオマー混合物を単離せずして、構造式(IV)
で表されるエナンチオマー混合物を製造し、この段階で
エナンチオマーを分離して構造式(IV−1)又は(IV−
2)で表されるエナンチオマー分離物を製造することも
できる。
A.(X)(VI) 本反応で使用できる不活性溶媒としては、本反応の進
行を阻害しないものであれば良く、例えばジエチルエー
テル、テトラヒドロフラン等の鎖状又は環状エーテル類
を使用することができる。
本反応で使用するグリニアール試薬の調製は通常用い
られる方法で調製して使用することができる。
グリニアール試薬の使用量は構造式(X)で表される
ジクロロフェニルホスフィンに対して等モル乃至2倍モ
ルの範囲から選択すれば良く、好ましくは等モル乃至1.
3倍モルの範囲である。
グリニアール試薬の滴下温度は0℃以下の温度であ
り、好ましくは−50℃乃至−80℃の範囲である。
本反応はアルゴン雰囲気下で行うのが好ましい。
滴下終了後、光学活性アルコールの一つである(−)
−メントールを塩基の存在下に添加すれば良い。
光学活性アルコールは(−)−メントールにとくに限
定されるものではない。
(−)−メントールの使用量は構造式(X)で表され
るジクロロフェニルホスフィンに対して等モル乃至1.5
倍モルの範囲から選択すれば良く、好ましくは1.0乃至
1.3倍モルの範囲である。
本反応で使用できる塩基としては有機塩基又は無機塩
基を使用することができ、好ましくはトリエチルアミ
ン、ピリジン等の有機塩基の使用が良い。
本反応は−80℃乃至室温の範囲で行えば良く、好まし
くは反応系に(−)−メントール及び塩基を添加する際
は−50℃乃至−80℃の範囲であり、添加後は徐々に室温
までの範囲で反応を行えば良い。
反応時間は反応量、反応温度等により一定しないが数
分乃至48時間の範囲で行えば良い。
反応終了後、反応系から生成する塩を除き、BH3−THF
錯体を加え反応することにより目的物を製造することが
できる。
BH3−THF錯体は市販されているものを使用すれば良
く、その量は一般式(X)で表されるジクロロフェニル
ホスフィンに対して等モル以上反応系内に存在すればよ
い。
反応温度は0℃乃至室温の範囲から選択して行なえば
良い。
反応時間は反応量、反応温度等により一定しないが数
分乃至48時間の範囲で行えば良い。
反応終了後、常法により目的物を含む反応液からジア
ステレオマーとして単離し、例えば再結晶法、カラムク
ロマトグラフィー法、液体カラムクロマトグラフィー
法、薄層クロマトグラフィー法等によりジアステレオマ
ーを分離することができる。
E.(X)(IX)(IX−1),(IX−2) 本反応で使用できる不活性溶媒としてはAで例示の不
活性溶媒を使用することができる。
光学活性アルコールの一つである(−)−メントール
を塩基の存在下に添加すれば良いが、光学活性アルコー
ルとしてはこれに限定されるものではない。
(−)−メントールの使用量は構造式(X)で表され
るジクロロフェニルホスフィンに対して等モル乃至1.5
倍モルの範囲から選択すれば良く、好ましくは等モル乃
至若干過剰モルの範囲である。
本反応で使用できる塩基としては有機塩基又は無機塩
基を使用することができ、好ましくはトリエチルアミ
ン、ピリジン等の有機塩基の使用が良い。
本反応は0℃乃至室温の範囲で行えば良く、好ましく
は室温付近の温度で行あのが良い。
反応時間は反応量、反応温度等により一定しないが数
分乃至48時間の範囲で行えば良い。
次いで、反応系から生成する塩を除き、BH3−THF錯体
及び還元剤を加えて反応を行えば良い。
BH3−THF錯体及び還元剤の添加は0℃付近の温度下で
行なうのが良く、添加後、徐々に室温付近までの温度で
反応を行なえば良い。
BH3−THF錯体は市販されているものを使用すれば良
く、その量は一般式(X)で表されるジクロロフェニル
ホスフィンに対して等モル以上反応系内に存在すればよ
い。
還元剤としては、例えばリチウムアルミニウムハイド
ライド(LiAlH4)等の還元剤を使用すれば良く、その添
加量は一般式(X)で表されるジクロロフェニルホスフ
ィンに対して等モル乃至1.5倍量の範囲で添加すれば良
い。
本反応はアルゴン雰囲気下で行なうのが好ましい。
反応終了後、常法により目的物を単離し、必要に応じ
て、例えばシリカゲル薄層クロマトグラフィー法等によ
り分離し、各ジアステレオマーを単離することができ
る。
C.(IX−1),(IX−2)(VI−1),(VI−2) 本反応で使用できる不活性溶媒としては、例えばジエ
チルエーテル、テトラヒドロフラン等の鎖状又は環状エ
ーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭
化水素を使用することができる。
本反応で使用する触媒としてはパラジウム−ホスフィ
ン化合物を使用することができ、例えばテトラキス(ト
リフェニルホスフィン)パラジウムを使用することがで
き、その添加量は構造式(IX)で表される化合物に対し
て0.0001乃至0.5モルの範囲から選択すれば良く、好ま
しくは0.01乃至0.1モルの範囲である。
反応温度は室温乃至使用する不活性溶媒の沸点域から
適宜選択すれば良い。
本反応は等モル反応であるので、各反応剤を等モル使
用すれば良いが、いずれかを過剰に使用することもでき
る。
D.(IX)(VI) 本反応はCと同様にすることにより目的物を製造する
ことができる。
E.(VI−1),(VI−2)(IV−1),(IV−2) 本反応で使用できる不活性溶媒としては、例えばCで
例示の不活性溶媒を使用することができる。
本反応は等モル反応であるので、構造式(VI−1)又
は(VI−2)で表される化合物に対して構造式(V)で
表されるアルキルリチウム類を等モル使用すれば良い
が、いずれかの反応試剤を過剰に使用することも出来
る。
反応温度は0℃乃至室温の範囲から選択して使用すれ
ば良い。
反応時間は反応量、反応温度等により一定しないが数
分乃至48時間の範囲から選択すれば良い。
反応終了後、目的物を含む反応液から常法により単離
し、例えばシリカゲル薄層クロマトグラフィー法等で分
離することにより目的物を得ることができる。
以下に本発明の代表的な実施例を示すが、本発明はこ
れらに限定されるものではない。
実施例1. ジクロロフェニルホスフィン1.1ml(8.1ミリモル)を
テトラヒドロフラン40mlに溶解し、この溶液にo−アニ
シルマグネシウムブロミド40ml(0.25モル/1テトラヒ
ドロフラン溶液)をアルゴン雰囲気下に−78℃で激しく
攪拌しながら50分かけて滴下した。
滴下終了後、(−)−メントール1.56g(10ミリモ
ル)とピリジン0.8(10ミリモル)を−78℃の温度下に
加え、冷浴を除き反応混合物を室温下に1晩攪拌し、反
応を行った。
反応後、反応混合物を素早く濾過し、ピリジニウム塩
を除き、更に濾液を0℃に冷却した。次いで、BH3−THF
錯体30ml(1.0モル/1テトラヒドロフラン溶液)を加
え室温下に1時間反応を行った後、1N塩酸100mlを加え
た。
反応終了後、目的物を含む反応液からエーテルで抽出
し、抽出液を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで
乾燥後、溶媒を減圧下に留去し、得られた残渣をシリカ
ゲルクロマトグラフィー(ベンゼン:n−ヘキサン=1:
1)で精製した。
目的物は粘稠物として得られるが、ヘキサン中からそ
れぞれのジアステレオマーの混合物として白色粉末結晶
2.83gを得た。
(収率 90%) ジアステレオマーの分離は分取用シリカゲル薄層クマ
トグラフィー(トルエン:シクロヘキサン=1:4)で分
離した。
物性(VI−1):油状物 〔α〕D25−75.6゜(c9,9,C6H6) IR(neat)2950,2390,1590,1480,1280cm-1 1 H−NMR(500MHz,CDCl3)δ値(ppm) 0.49(d,3H,J=6.87Hz),0.80−1.64(m,16H),1.92−
1.96(m,1H), 2.09(d,1H,J=11.8Hz),3.53(s,3H),4.23−4.25(m,
1H),6.80−7.96(m,9H), 100% de (VI−2):m.p.85.0−85.5℃ 〔α〕D25−49.0゜(c1.0,C6H6) IR(KBr)2940,2390,1480,1280,1015,765cm-1 1 H−NMR(500MHz,CDCl3)δ値(ppm) 0.55(d,3H,J=6.8Hz),0.79−1.64(m,16H),1.87−1.
91(m,1H), 2.06(d,1H,J=13.2Hz),3.53(s,3H),4.26−4.29(m,
1H),6.82−7.93(m,9H), 93% de 実施例2. (VI−2)83mg(0.2ミリモル)を乾燥ベンゼン3mlに
溶解し、該溶解にメチルリチウムのエーテル溶液0.5ml
(1.3モル/1エーテル溶液)を室温下に加えた。3時
間同温度下に攪拌を行い、1N−塩酸を加え反応を停止し
た。反応後、有機層を分液し、更に水層をエーテルで4
回抽出した。抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒
を減圧下に留去し、得られた残渣を分取用シリカゲル薄
層クロマトグラフィー(ベンゼン:n−ヘキサン)で分取
し、目的物である(IV−2)で表されるo−アニシルメ
チルフェニルホスフィン−ボラン50mgを得た(収率:95
%)。
同様にして、(VI−1)から他方のエナンチオマーを
得た。
物性(IV−1): 〔α〕D25−27.0゜(c1.5,MeOH) 100 de (IV−2): 〔α〕D25+25.2゜(c1.6,MeOH) 93% de 実施例3. ジクロロフェニルホスフィン25ml(0.185モル)を乾
燥ベンゼン100mlに溶解し、この溶液に乾燥ベンゼン100
mlに溶解した(−)−メントール28.8g(0.185モル)と
ピリジン15ml(0.185モル)とをアルゴン雰囲気下に室
温で2時間滴下した。滴下後12時間反応後、反応液を素
早く濾過してピリジニウム塩を除き、濾液にリチウムア
ルミニウムハイドライド8.42g(0.222モル)及びBH3−T
HF錯体225ml(1.0モル/1テトラヒドロフラン溶液)を
0℃で加え、室温で3分間反応を行った後、反応液を濃
塩酸40ml、氷約200g及び水100mlの混合物中に注ぎ、有
機層を分取し、更に水層をエーテルで4回抽出した。有
機層とエーテル層を合わせた飽和食塩水で洗浄し、硫酸
マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下に留去し、得られ
た残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ベンゼン:n−
ヘキサン=1:1)で精製することによりジアステレオマ
ー混合物(IX)を白色結晶として20.6g得た。(収率40
%)。更に得られた結晶をヘキサンから3回再結晶する
ことにより純粋なジアステレオマー5.7gを得た。
ジアステレオマーの分離は分取用シリカゲル薄層クマ
トグラフィー(トルエン:シクロヘキサン)で分離し
た。
物性(IX−1):無色結晶,m.p.94−96℃ 〔α〕D25−117.6゜(c1.0,ClCH2CH2 Cl) IR(KBr,cm-1)2900,2375,1445,1135,1060,970.1 H−NMR(500MHz,CDCl3)δ値(ppm) 0.63(d,3H,J=7.15Hz),0.888(d,3H,6.60Hz),0.893
(d,3H,J=6.88Hz), 2.01−2.08(m,2H),3.85−3.94(m,1H),7.48−7.81
(m,5H),31 P−NMR(121MHz)(CDCl3:(PhO)3PO ext),δ値 109.5(q,J(PB)=58.96Hz).11 B−NMR(96MHz)(CDCl3:(CH3O)B ext),δ値 −58.90(d,J(PB)=58.96Hz). MS(70eV)m/e264(M −BH3) 100ee (IX−2):無色結晶,m.p.81−83℃ 〔α〕D25−62.8(c1.0,ClCH2CH2 Cl) IR(KBr,cm-12900,2390,1435,1130,1060,970.1 H−NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm) 0.70(d,3H,J=6.87Hz),0.85(d,3H,6.87Hz),0.91
(d,3H,J=6.32Hz), 1.92−2.08(m,2H),3.97〜4.04(m,1H),7.49−7.82
(m,5H),31 P−NMR(121MHz)(CDCl3:(PhO)3PO ext),δ値 111.1(q,J(PB)=58.96Hz).11 B−NMR(96MHz)(CDCl3:(CH3O)B ext),δ値 −59.90(d,J(PB)=58.96Hz). 100ee 実施例4. トルエン2ml中に(IX−1)278mg(1ミリモル)、o
−ヨードアニソール468mg(2ミリモル)をテトラキス
(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)115mg
(0.1ミリモル)及び炭酸ナトリウム553mg(4ミリモ
ル)を加え、該混合液をアルゴン雰囲気下に70−80℃で
1日攪拌反応を行った後、1N−塩酸を加え反応を停止し
た。
反応後、有機層を分取し、更に水層からエーテルで3
度抽出し、有機層及びエーテル層を合わせチオ硫酸ナト
リウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム
で乾燥後、溶媒を減圧下に留去し、得られた残渣をシリ
カゲル薄層クロマトグラフィーで分取した。
収量 234mg 物性(IV−1):油状物 参考例1. 光学活性ホスフィン−ボラン488mg(2ミリモル,89%
ee)をアルゴン雰囲気下で乾燥テトラヒドロフランに溶
解し、−78℃に冷却した。該溶液にsec−ブチルリチウ
ム2.2ml(1.0モル/1テトラヒドロフラン溶液)を加え
2時間攪拌下に反応を行った。更に激しく攪拌下に無水
塩化銅404mg(3ミリモル)を加え、反応温度を1.5時間
かけて徐々に室温まで上げ、その後1時間室温で反応を
行い、希塩酸を加え反応を停止した。
反応後、目的物を含む反応液よりクロロホルムで抽出
し、抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に留去
し、残渣を分取用シリカゲル薄層クロマトグラフィー
(酢酸エチル:ヘキサン:ジクロロメタン=1:4:1)で
精製し目的物を得た。
物性 m.p.162.5−163.0℃ 〔α〕D25−70.2゜(c1.3,CHCl3) 参考例2. 参考例1で得られたビス−ホスフィン−ボラン100mg
(0.21ミリモル)を脱気したジエチルアミンに溶解し、
該溶液をアルゴン雰囲気下に10時か50℃に保った。反応
終了後、過剰のジエチルアミンを減圧下に留去し、残渣
をアルゴン雰囲気下に脱気ベンゼンで塩基性アルミナの
短いカラムに通して、実質的に純粋な目的物81mg(収
率:84%)を得た。更にアルゴン雰囲気下に熱メタノー
ルより再結晶し、純粋な目的物を得た。
物性 m.p.102−103℃ 〔α〕D25+87.0(c1.0,CHCl3
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07F 9/00 - 19/00 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】構造式(VI) (式中、Phはフェニル基を示す。) で表されるジアステレオマー混合物又はその分離物。
  2. 【請求項2】構造式(X) Ph−P−Cl2 (X) (式中、Phはフェニル基を示す。) で表されるジクロロフェニルホスフィンに一般式(VI
    I) (式中、Xはハロゲン原子を示す。) で表されるグリニアール試薬を反応させ、次いで塩基の
    存在下に(−)−メントールを反応させ、更にボラン−
    テトラヒドロフラン錯体を反応させ、ジアステレオマー
    混合物とし、該ジアステレオマー混合物を分離し若しく
    は分離しないことを特徴とする構造式(VI) (式中、Phは前記に同じ。) で表されるジアステレオマー混合物及びその分離物の製
    法。
  3. 【請求項3】構造式(IX) (式中、Phはフェニル基を示す。) で表されるジアステレオマー混合物又は分離物。
  4. 【請求項4】構造式(X) Ph−P−Cl2 (X) (式中、Phはフェニル基を示す。) で表されるジクロロフェニルホスフィンを塩基の存在下
    に(−)−メントールと反応させ、次いでボラン−テト
    ラヒドロフラン錯体を反応させ、更に還元剤で還元反応
    を行いジアステレオマー混合物とし、該混合物を分離し
    若しくは分離しないことを特徴とする構造式(IX) (式中、Phは前記に同じ。) で表されるジアステレオマー混合物又は分離物の製法。
  5. 【請求項5】構造式(IX) (式中、Phはフェニル基を示す。) で表されるジアステレオマー混合物又は分離物と一般式
    (VIII) (式中、Yはハロゲン原子を示す。) で表されるハライド類と触媒の存在下に反応させジアス
    テレオマー混合物又は分離物とし、混合物の場合、分離
    し若しくは分離しないことを特徴とする構造式(VI) (式中、Phは前記に同じ。) で表されるジアスレレオマー混合物又は分離物の製法。
  6. 【請求項6】構造式(VI) (式中、Phはフェニル基を示す。) で表されるジアステレオマー分離物と構造式(V) CH3−Li (V) で表されるリチウム化合物とを反応させることを特徴と
    する構造式(IV) (式中、Phは前記に同じ。) で表されるいずれかのエナンチオマー分離物の製法。
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