JPH053152U - 薬用瓶の蓋 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 蓋本体の内側に内蓋を設け、蓋本体の上面に
外蓋を冠着した薬用瓶の蓋において、滅菌時に水蒸気等
が内蓋を通して内部に浸透しないように構成した薬用瓶
の蓋を提供する。 【構成】 内蓋の頂面に形成した透孔の周囲に同心円状
に刻設形成する剥離用のスリットをハーフカットとして
刻設する。 【効果】 剥離用のスリットをハーフカットとしたので
滅菌時の水蒸気が剥離用スリットから内部に浸透できな
いようになった。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は薬用瓶の外装蓋、特にバイアル等の薬用瓶に適用する瓶蓋に関するも のである。

【０００２】

【従来技術】

従来より一般に使用されている薬用瓶の蓋は、薬用瓶の瓶口部を、アルミ等の 軟質金属薄板によって形成すると共にその頂面には薬液取り出し用の透孔を穿設 した口金を用いて巻き締めし、この口金の頂面に穿設した透孔部分を含む上半部 には合成樹脂製の外蓋を冠着することによって閉塞するように構成し、瓶内の薬 液を取り出す場合には、口金の上面に冠着した外蓋を除去することによって口金 の上面部に形成した透孔部分から瓶口部のゴム栓が露出させられるように構成し たものが知られていた。

【０００３】 しかしながら、このような蓋構造の場合には、薬液を取り出すために合成樹脂 製の外蓋を除去しても瓶口部は依然としてアルミ製の口金によって閉塞されてい るためにゴム栓部分に挿入した注射針等によって少量の薬液を取り出すことはで きても、瓶内の薬液を同時にかつ大量に取り出すことができないという欠点を有 していた。

【０００４】 そして、これらの問題を解決するものとして、図５に例示するように、ゴム栓 により閉塞された瓶口部を閉塞するための蓋を、アルミ等の軟質金属薄板を用い て倒皿状に形成した蓋本体ａ（口金）と、この蓋本体の内側に嵌合させる相似形 の内蓋ｂと、前記する蓋本体ａの上面に冠着させる外蓋ｃとの組合せによって構 成し、前記する蓋本体ａ、内蓋ｂ及び外蓋ｃは、外蓋ｃの内側面から下方に垂下 させた係止突起ｄを蓋本体の頂部に穿設した透孔ｅを挿通させたのち内蓋の頂面 に穿設した透孔ｆに挿通させた後に折り曲げることによって一体化させるように 構成した薬用瓶の蓋が開発された。（図５の構造は実開平２−２８９１７号公報 の記載によって公知となっている。）

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら上記した実開平２−２８９１７号公報記載の考案は、従来より公 知されている薬用瓶の蓋と比較した場合、瓶内の薬液を少量だけ取り出したり、 或いは、大量に取り出すことが任意に行えるという点で優れているが、内蓋の透 孔ｆの周縁部に形成している剥離用のスリットｇの溝が内蓋肉厚の全厚にわたる ように刻設され、スリットｇの一部だけをブリッジ状に繋がらせていただけであ ったため薬液を収容した後の薬用瓶を蒸気滅菌する時に外蓋ｃと蓋本体ａの重合 面から侵入した水分が前記したスリットｇ部分からゴム栓側に浸透して黴の発生 原因等となる恐れがあった。

【０００６】

【考案の目的】

本考案は上記した事情に鑑み、これに対応しようとするものであり、内蓋の頂 面に形成する剥離用のスリットを半切り構造とすることによって滅菌時の蒸気が スリット部分からゴム栓側に侵入することがなく、極めて安全性、衛生性に優れ た薬用瓶の蓋を提供せんとするものである。

【０００７】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面を参照して説明する。 本考案の薬用瓶の蓋は、蓋本体１と、この蓋本体１の頂面部の内側に嵌合させ る内蓋２並びに蓋本体１の上面に冠着する合成樹脂製の外蓋３との組合せによっ て構成している。

【０００８】 蓋本体１はアルミ等の軟質金属の薄板を用いて形成するものであり、円筒状に 形成した周胴部11の上面に頂面板12を一体的に形成することによって逆有底円筒 状に構成している。

【０００９】 13は頂面板12の中央部に穿設した透孔であり、この透孔13を通して薬用瓶４の 瓶口部に嵌挿したゴム栓５の上面が露出できるようになっている。

【００１０】 14は透孔13の周囲に一定の間隔を持たせながら鍵孔状に刻設した引き裂き用の スリットであり、このスリット14の両端部を頂面板12から周胴部11の上端部に達 するように刻設することによってこれに囲まれる内側を環状に形成した剥離用の タブ15となるように構成している。

【００１１】 内蓋２は、蓋本体１の内側に嵌合できる寸法でこれと相似した形状に形成する ものであり、周胴部21の上端に頂面板22を連続させることによって高さの低い逆 有底円筒状ないし逆皿状に形成している。

【００１２】 前記した周胴部21の高さはゴム栓５の高さよりも低く形成しており、使用時に ゴム栓５のフランジ部の周胴部に密着できるようにしている。

【００１３】 23は内蓋２の頂面板22の中央部に穿設した透孔であり、この透孔23の周囲には 一定の間隔をおいて引き裂き用のスリット24を同心円状に刻設形成し、スリット 24に囲まれる内側を剥離環25となるように構成している。

【００１４】 引き裂き用スリット24の大きさは、蓋本体１の頂面板12に形成した透孔13の外 径よりも少しだけ小さい寸法となるように形成することが肝要であり、これによ って内蓋２から剥離された後の剥離環25が蓋本体１の透孔13を通って上面に引き 上げられるようにしている。

【００１５】 また、上記した引き裂き用のスリット24は、内蓋２を形成する金属板の板厚を 貫通しないように半切り状（ハーフカット）に刻設形成するものであり、望まし くは板厚の４分の３程度の深さをもった溝とすることがよい。

【００１６】 なお、引き裂き用のスリット24の溝の深さを上記のように半切り状に（ハーフ カットとして）構成することが本考案にとって最も重要、且つ新規な構造部分で ある。

【００１７】 蓋本体１の上面に冠着する外蓋３は、適宜の硬さを有する合成樹脂を用いて形 成するものであり周胴部が蓋本体１の周胴部11に少しだけかぶさることができる 浅い倒皿状に形成している。

【００１８】 外蓋３の裏面中央部には、内蓋２の頂面に穿設した透孔23の周縁部に当接しな がら折り曲げ係止させるための係止突起31…31が突設されており、透孔23に嵌合 した後に内蓋２の内側から加熱しながら折り曲げるか、或いは、内側から加熱し ながら押し拡げて係止突起31…31を倒伏させるように折り曲げることができるよ うに構成している。

【００１９】

【考案の効果】

上記のように構成した本考案の効果を述べれば以下のとおりである。

【００２０】 （１） 内蓋２の頂面部に刻設形成した引き裂き用のスリット24の深さを、内蓋 を構成する板厚の全体を貫通しないように一部を残すように刻設形成したので、 滅菌時に外蓋３と蓋本体１との間を通った水蒸気がスリット部分を通ってゴム栓 ５の面に到達することが絶無となり、浸透した水蒸気が原因となってゴム栓５に 黴が発生するような危険を完全に防止することができるようになった。

【００２１】 （２） 薬用瓶から少量の薬液を取り出したい場合には、蓋本体１に冠着した合 成樹脂製外蓋３の周胴部の一側を指先等で押し上げると、外蓋３の裏面中央部に 突設した係止突起31…31によって強固に一体化させられている内蓋２の剥離環25 が内蓋２に刻設した切り裂き用のスリット24部分から剥離され外蓋３と共に簡単 に除去することができる。

【００２２】 この場合切り裂き用のスリット24が外径寸法を蓋本体１の頂面中央部に穿設し た透孔13の外径よりも少しだけ小さく形成しているので剥離環25は前記した透孔 13部分からスムーズに取外しを行うことができる。

【００２３】 （３） 薬用瓶内の薬液を同時に大量に取り出したい場合には、内蓋２の透孔周 縁部に形成した剥離環25部分を外蓋３とともに取外した後に、蓋本体１の透孔周 縁部に形成した剥離用のタブ15をガイドに従って引き起こし、更に周胴部11に連 続する引き裂き用のスリット14部分を引き起こせば頂面板12が鍵孔状に二つ割り され、これに続いて周胴部11も順次引き裂かれて簡単に蓋対１の除去を図ること ができる。

【００２４】 この状態でゴム栓５を取り外せば瓶内の薬液は簡単に全量を同時に取り出すこ とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 薬用瓶に装着した状態を示す断面図。

【図２】 同上図における要部の拡大断面図。

【図３】 蓋体を構成する各部材を分離して示す展開斜
視図。

【図４】 蓋本体から外蓋を剥離した状態を裏面側から
捉えた斜視図。

【図５】 従来構造の蓋の構造を示す拡大断面図。

【符号の説明】

１ 蓋本体 11 周胴部 12 頂面板 13 透孔 14 引き裂き用のスリット 15 剥離用のタブ ２ 内蓋 21 周胴部 22 頂面板 23 透孔 24 引き裂き用のスリット 25 剥離環 ３ 外蓋 31 係止突起 ４ 薬用瓶 ５ ゴム栓 ６ 引き起こしガイド

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項１】アルミ等の軟質金属薄板を用いて逆有底円
   筒状に形成した蓋本体１と、この蓋本体１の頂面の内側
   に嵌合させることができる内蓋２と、前記蓋本体２の頂
   面部を含む上半部に冠着させる合成樹脂製の外蓋３との
   組合せによって構成するものであり、前記する蓋本体１
   は、頂面に適宜大きさの透孔13を穿設し、前記透孔13は
   その外周に鍵孔状を呈し、かつ、その両端部が蓋本体１
   の周胴部11に達するようにした切り裂き用のスリット14
   を刻設することによってこれに囲まれる内側を剥離用の
   タブ15として形成し、また、蓋本体１の内側に嵌合する
   内蓋２は、蓋本体１より少しだけ小さい相似形状に形成
   し、その頂面部には前記蓋本体１の頂面に穿設した透孔
   13の周縁部寸法よりも内側に切り裂き用のスリット24
   を、その溝の深さが内蓋２を構成する板材の全厚に達し
   ないよう半切り状態で刻設するとともに、この引き裂き
   用のスリット24の刻設部分よりも少しだけ内側に、同心
   円状に透孔23を穿設することによって引き裂き用スリッ
   ト24に囲まれる内側を剥離環25として形成し、更にま
   た、合成樹脂製の外蓋３は、蓋本体１の頂面を含む上半
   部を覆うことができる大きさをした倒皿状に形成すると
   ともに、この外蓋３の裏面中央部に突設した係止突起31
   …31が内蓋２の頂面に穿設した透孔23の周縁部に沿って
   強固に折り曲げ係止できるように構成してなる薬用瓶の
   蓋。