JPH0476871B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は容器用蓋、特に、いわゆるバイアル瓶
の如き薬液用の瓶の蓋に適用して効果のある技術
に関するものである。

〔従来の技術〕

たとえば薬液用の瓶に用いられる蓋のうちの代
表的なものとしては、大別して、いわゆるフリツ
プオフキヤツプ、プルトツプキヤツプ、およびク
リーンキヤツプなどがある。

これらのうち、フリツプオフキヤツプ（たとえ
ば、実公昭52−52853号公報参照）の場合には、
樹脂成形品とアルミニウムのプレス品との接合
構造であるため、コストが高くつく、接合部間
に毛髪などの異物が挟まれることなどにより衛生
面での品質保持が困難である、さらには、開封
を指先で行うので、病院のように多量の瓶を開封
する必要がある場合には指先が痛くなつたり、開
封に時間がかかる、などの問題点がある。

また、プルトツプキヤツプの場合には、両手
で開封しなければならないので、不便であり、特
に多量に使用するところでは時間がかかる、開
封時にクリツプを上に強く引つ張る必要があるの
で、作業に力を要する、開封後のクリツプで指
などを傷付け易い、などの問題点がある。

これらに対し、クリーンキヤツプの場合には、
キヤツプの突起部を指で押せば開封できるので、
操作性が良く、多量に使用する場合にも便利であ
るなどの利点がある。

〔発明が解決しようとする問題点〕

ところが、この構造の場合にも次のような問題
点がある。

すなわち、たとえば特開昭58−1662号公報に開
示されている構造では、キヤツプの下端がキヤツ
プ取り外し用の割れ目を有し、キヤツプを取り外
すと、瓶の開口を密封しているゴム栓に一緒に外
れるようになつているので、一度開封してしま
うと、開口から異物が混入するおそれがあり、無
菌性の確保が困難である、保存が困難で、１回
の使用に限られてしまうので、ブリツクテストな
どの分注が必要なときには使用できない、などの
重大な欠点がある。

そこで、実開昭59−89855号公報には、キヤツ
プの頂面に設けた突起の基部の周囲に複数個の透
孔を列設し、この透孔の部分で突起を折り取るよ
うにした蓋構造が開示されている。

しかしながら、この蓋構造では、突起を折り取
つた後のキヤツプ開口縁が透孔形成部分と非透孔
形成部との交互の組合せによる鋭利な凹凸縁とな
るため、突起をたとえば拇指の先で押して折り取
る際に、拇指の掌側（内側）が前記凹凸縁に当た
つて傷付けられるおそれがある。

そのため、開封操作に危険性が伴う上に、操作
性が妨げられるなどの問題点もある。

さらに、キヤツプの頂面に複数個の透孔が開け
られるので、保管中に該透孔から微小なゴミなど
の異物が混入し、キヤツプ内側とゴム栓との間の
空間が開封前から汚染されてしまう、という重大
な問題点もある。

また、実開昭59−89856号公報には、容器用蓋
において、キヤツプ本体部に突起部を突設し、該
突起部の基部周囲に薄肉部を設けた構造が開示さ
れている。

しかしながら、この従来構造においても、前記
薄肉部における突起部の折り取りは促進されるも
のの、折取り作業者の指先の保護には何ら注意が
払われておらず、薄肉部も突起部の基部付近の平
面に単に凹設しただけであるので、折取り時に鋭
利な折取り部により作業者が指先を傷付けるとい
う恐れがある。

本発明の目的は、前記した諸々の問題点を一挙
に解消し、衛生的で、しかも操作性などの良好な
容器用蓋を提供することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明の容器用蓋は、開口部に密封栓を有する
容器の蓋であつて、前記開口部および密封栓を外
側から覆うキヤツプ部材を有し、このキヤツプ部
材のキヤツプ本体部の略中央外側には突起部が一
体に突設され、この突起部の基部の周囲には、該
突起部を該キヤツプ部材のキヤツプ本体部から折
り取るための薄肉部が連続状の凹溝として設けら
れ、前記密封栓は全突起部を前記キヤツプ本体部
から折り取つた後にも前記開口部の密封状態を保
持するよう構成され、前記キヤツプ本体部は前記
突起部の基部において該キヤツプ本体部の平面よ
り下方の位置まで内向きかつ下向きにテーパする
傾斜部を有し、前記薄肉部は、前記傾斜部の内端
部と前記突起部との境界部にハーフプレス加工に
よつて形成され、かつ前記傾斜部の内端部から前
記突起部に向けて次第に厚さが薄くなつており、
前記突起部を押し倒して前記薄肉部で前記キヤツ
プ本体部から折り取つた時、前記傾斜部は前記キ
ヤツプ本体部の平面よりも低い位置に凹んだ状態
に保たれ、前記傾斜部の内端側における前記薄肉
部の折取り部が折取り作業者の指先を傷付けるこ
とを阻止するよう構成されているものである。

〔作 用〕

上記した手段によれば、突起部を手で押すだけ
で該突起部をキヤツプ本体部から安全かつ容易に
折り取ることができる上に、薄肉部の深さを均一
に形成することにより、突起部の折り口が鋭利な
凹凸縁とはならないので、折り取つた後に返りバ
リが立ち上がることを防止でき、指先を傷付ける
ことがない。特に、本発明においては、突起部を
押し倒して薄肉部でキヤツプ本体部から折り取つ
た時に、傾斜部はキヤツプ本体部の平面よりも低
い位置に凹んだ状態に保たれるので、傾斜部の内
端側における薄肉部の折取り部が折取り作業者の
指先で傷付けることを防ぐことができる。また、
キヤツプには透孔が存在しないので、キヤツプの
内側面と密封栓との間の空間に異物が混入するこ
とがなく、開封前の汚染を確実に防止できる。さ
らに、開封後も密封栓は取れないので、瓶内の薬
液の衛生状態は開封後においても維持・確保でき
る。

実施例 １ 第１図は本発明の一実施例である容器用蓋を装
着した薬液用瓶の断面図、第２図ａとｂは蓋の斜
視図とその薄肉部の拡大部分断面図である。

本実施例の容器用蓋１は例示的に薬液用の瓶２
の密封に適用されている。

瓶２の中には薬液３が所定量封入され、この瓶
２の開口部４の先端には、たとえばゴムで作られ
た密封栓５が嵌着され、瓶２の内部を外部から密
封遮断している。

密封栓５の略中央部は薄肉部５ａとされ、この
薄肉部５ａに注射針などを突き刺し易いようにな
つている。

瓶２の開口部４と密封栓５は蓋１で覆われ、開
封前に密封栓５が勝手に外れたり、異物が侵入し
たりしないようになつている。

容器用蓋１は、本実施例では、たとえばアルミ
ニウムの如き金属材料で一体に作られたキヤツプ
部材として構成されており、瓶２の開口部４の頂
面に対して密封栓５のフランジ部５ｂを挟持して
固定する略平面状のキヤツプ本体部６と、このキ
ヤツプ本体部６の外縁部から瓶２の開口部４の外
側面を覆うように下方に延長され、下端で内側に
かしめられて蓋１を瓶２の開口部４に固定する固
定部７と、キヤツプ本体部６の略中央部から上方
に所望長さだけ突設された丸頭状の円筒形の突起
部８とを備えている。

突起部８は、瓶２の開封を行う際に、その突起
部８をたとえば拇指の内側で押すことによつてキ
ヤツプ本体部６から折り取るためのものである。

この突起部８の折り取り操作を容易かつ安全に
行うため、本実施例では、突起部８の基部（根元
部）に、キヤツプ本体部６の材料をたとえばハー
フプレス加工することにより凹設された凹溝状の
薄肉部９が突起部８の水平断面形状と同様の円形
リング形状に連続状に形成されている。

この薄肉部９はキヤツプ本体部６の材料を貫通
していないので、該薄肉部９から蓋１の内側に異
物が侵入することは完全に阻止されている。

薄肉部９は突起部８を折り取つた時に裂断され
た折り口が返りバリを生じないように形成されて
いる。すなわち、第２図ｂに示すように、キヤツ
プ本体部６は突起部８の基部において下向きの傾
斜部６ａを有し、薄肉部９はこの傾斜部６ａの内
端部と突起部８との境界部にハーフプレス加工に
より形成されている。

すなわち、薄肉部９はハーフプレス加工により
連続状の凹溝として形成され、キヤツプ本体部６
は突起部８の基部において該キヤツプ本体部６の
平面より下方の位置にで内向きかつ下向きにテー
パする傾斜部６ａを有し、前記薄肉部９は、前記
傾斜部６ａの内端部から前記突起部８に向けて次
第に厚さが薄くなつている。

これにより、薄肉部９が折り取られた際にも折
り口に返りバリが生じることがなく、また折り口
はキヤツプ本体部６の平面よりも低い位置に凹ん
だ状態となるので、作業者が指先に切り傷を負う
ような危険を防止できる。

なお、キヤツプ本体部６の外面は第２図に二点
鎖線で示す如く、製品名や製造者名、製造番号お
よび／または記号などの表示を刻印や捺印等で行
うための表示部６ａとして用いることができる。

以下、本実施例の作用について説明する。

容器用蓋１は金属材料のプレス加工により予め
第２図に示す如く形成される。この時、突起部８
の基部には、折り取り用の薄肉部９がハーフプレ
ス加工で同時的に形成される。

そして、瓶２の中に薬液３を注入した後、開口
部４に密封栓５を嵌着し、さらに蓋１をその上か
ら嵌装して固定部７の下端を内側にかしめること
により、蓋１を瓶２の開口部４に固定すると共
に、密封栓５のフランジ部５ｂを開口部４の頂面
とキヤツプ本体部６の下面との間に挟持する。

このようにして密封栓５と蓋１を装着した瓶２
内の薬液３を取り出すために瓶２を開封する場
合、瓶２を片手の掌で把持し、たとえば拇指の掌
側を蓋１の突起部８の上部近くに押し当てて該突
起部８を第１図の実線位置から二点鎖線方向に押
す。

それにより、突起部８はその基部の薄肉部９で
容易に裂断され、該薄肉部９においてキヤツプ本
体部６からワンタツチ式に簡単に折り取られる。

この時、薄肉部９は連続凹溝として形成されて
いるので、突起部８を折り取つた際にキヤツプ本
体部６側に残る折り口は滑らかな連続縁となり、
鋭利な凹凸縁にはならない。したがつて、開封時
に指先が傷付けられるような危険性はなくなり、
開封作業を片手によるワンタツチ操作で迅速かつ
容易に安心して行うことができる。

開封時に突起部８をキヤツプ本体部６から折り
取つた後でも、密封栓５はキヤツプ本体部６と固
定部７とで瓶２の開口部４に保持されたままであ
るので、開封により異物が瓶２の中に侵入するお
それは全くない。

その後、瓶２の薬液３を取り出す際には、たと
えば注射針を密封栓５の薄肉部５ａに突き刺すこ
とにより、容易かつ衛生的に薬液３の取り出しを
行うことができる。

〔他の実施例〕

第３図、第４図、第５図、第６図、第７図はそ
れぞれ本発明による容器用蓋の他の各種実施例を
示す斜視図である。

まず、第３図の実施例は第１図および第２図の
実施例と類似するが、突起部８が略円筒形に形成
され、その先端が丸頭形状ではなくて平頭形状と
なつているものである。

第４図の実施例は第３図の実施例と類似する
が、突起部８の一側を平面状に形成し、この平面
部８ａに拇指を押し当てるようにした例である。

この場合、薄肉部９も突起部８と同様の形状に
ハーフプレス加工されている。

第５図は突起部８を角筒形状に形成すると共
に、薄肉部９もそれと同様の角形の連続凹溝形状
とした例である。

第６図は突起部８を略平坦形状に形成した例で
ある。

さらに、第７図は突起部８を円錐形状に形成し
た例である。

第３図〜第７図のいずれの場合にも突起部８は
指で軽く押すだけで、薄肉部９において簡単かつ
容易にキヤツプ本体部６から折り取ることができ
る。

なお、本発明は前記実施例に限定されるもので
はなく、他の様々な変形が可能である。

たとえば、容器用蓋１の材料をアルミニウム以
外の金属、または合成樹脂等で形成してもよく、
薄肉部９の形成もハーフプレス加工以外にモール
デイングなど、任意の方式で適宜形成することが
できる。

また、突起部８の形状も前記した例以外のもの
であつてもよく、特に、どの方向から押してもよ
いような形状であれば、突起部８の折り取りをよ
り簡単に行うことができる。

さらに、蓋１は金属であれば、たとえばめつき
法、合成樹脂の場合は顔料添加などで容易に着色
でき、色によつて品種などの識別を行うことも可
能である。

また、本発明は薬液用の瓶以外に、たとえば粉
末や凍結乾燥品などの容器など様々な容器の蓋と
して広く適用することができる。

〔発明の効果〕

(1) 本発明によれば、開口部に密封栓を有する容
器の蓋であつて、前記開口部および密封栓を外
側から覆うキヤツプ部材を有し、このキヤツプ
部材のキヤツプ本体の略中央外側には突起部が
一体に突設され、この突起部の基部の周囲に
は、該突起部を該キヤツプ部材のキヤツプ本体
から折り取るための薄肉部が連続状に設けら
れ、前記密封栓は前記突起部を前記キヤツプ本
体から折り取つた後にも前記開口部の密封状態
を保持することにより、蓋の開封がワンタツチ
式に、迅速簡単かつ容易に行われる上に、薄肉
部の折り口に返りバリが立ち上がらず、危険な
鋭利状の凹凸縁が形成されないので、開封の際
に指先を傷付けることなく安全に開封作業を行
うことができる。

しかも、本発明においては、キヤツプ本体部
は突起部の基部において該キヤツプ本体部の平
面より下方の位置まで内向きかつ下向きにテー
パする傾斜部を有し、薄肉部は、前記傾斜部の
内端部と前記突起部との境界部にハーフプレス
加工によつて形成され、かつ前記傾斜部の内端
部から前記突起部に向けて次第に厚さが薄くな
つており、前記突起部を押し倒して前記薄肉部
で前記キヤツプ本体部から折り取つた時、前記
傾斜部は前記キヤツプ本体部の平面よりも低い
位置に凹んだ状態に保たれ、前記傾斜部の内端
側における前記薄肉部の折取り部が折取り作業
者の指先を傷付けることを防ぐことができる。

特に、近年問題となつているＢ型肝炎の院内
感染による死亡例やエイズ問題などの予防にと
つて切り傷防止は医療事故対策上、極めて有用
である。

(2) 突起部の基部に透孔を形成しないので、開封
前の保管時などにゴミなどの異物がキヤツプの
内側と密封栓との間の空間に侵入して汚染を生
じることも確実に防止でき、密封栓の外面など
も清潔な状態で保たれる。

(3) 開封後も密封栓は容器から脱落しないので、
容器の内部と外部とは密封栓で確実に遮断さ
れ、衛生状態を良好なまま維持することができ
る。

(4) 突起部の突設により、僅かな押力で容易に開
封でき、特に、多量の容器の開封が必要な場合
に極めて好適であり、また容器を箱などから取
り出す際にも突起部を指でつまんで容易に取り
出すことができる。

(5) 蓋の全体を金属または合成樹脂などの単一材
料で一体に形成することにより、蓋を安価に製
作、加工することができる。

(6) 突起部を折り取つた後では再び原状に戻すこ
とができず、改ざんを防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例である容器用蓋を装
着した薬液用瓶の断面図、第２図ａ，ｂはそれぞ
れ蓋の斜視図とその薄肉部の拡大部分断面図、第
３図、第４図、第５図、第６図、第７図はそれぞ
れ本発明による容器用蓋の他の各種実施例を示す
斜視図である。 １…容器用蓋、２…瓶、３…薬液、４…開口
部、５…密封栓、５ａ…薄肉部、５ｂ…フランジ
部、６…キヤツプ本体部、６ａ…傾斜部、６ｂ…
表示部、７…固定部、８…突起部、８ａ…平面
部、９…薄肉部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 開口部に密封栓を有する容器の蓋であつて、
   前記開口部および密封栓を外側から覆うキヤツプ
   部材を有し、このキヤツプ部材のキヤツプ本体部
   の略中央外側には突起部が一体に突設され、この
   突起部の基部の周囲には、該突起部を該キヤツプ
   部材のキヤツプ本体部から折り取るための薄肉部
   が連続状の凹溝として設けられ、前記密封栓は前
   記突起部を前記キヤツプ本体部から折り取つた後
   にも前記開口部の密封状態を保持するよう構成さ
   れ、前記キヤツプ本体部は前記突起部の基部にお
   いて該キヤツプ本体部の平面より下方の位置まで
   内向きかつ下向きにテーパする傾斜部を有し、前
   記薄肉部は、前記傾斜部の内端部と前記突起部と
   の境界部にハーフプレス加工によつて形成され、
   かつ前記傾斜部の内端部から前記突起部に向けて
   次第に厚さが薄くなつており、前記突起部を押し
   倒して前記薄肉部で前記キヤツプ本体部から折り
   取つた時、前記傾斜部は前記キヤツプ本体部の平
   面よりも低い位置に凹んだ状態に保たれ、前記傾
   斜部の内端側における前記薄肉部の折取り部が折
   取り作業者の指先を傷付けることを阻止するよう
   構成されていることを特徴とする容器用蓋。 ２ 前記キヤツプ部材が金属または合成樹脂の単
   一材料で一体形成されていることを特徴とする特
   許請求の範囲第１項記載の容器用蓋。 ３ 前記容器が薬液用の瓶であることを特徴とす
   る特許請求の範囲第１項記載の容器用蓋。