JP3618744B2 - 鈍先差込み装置用の薄肉ダイアフラム・ストッパ - Google Patents

鈍先差込み装置用の薄肉ダイアフラム・ストッパ Download PDF

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Description

本出願は1992年12月30日に出願された「Thin Diaphragm Stopper for Blunt Entry Device」という名称の、本願出願人に譲渡された係属中の米国特許出願第07/999,480号の一部継続特許出願である。この係属中の先行特許出願の出願日の利益を米国特許法第120条の規定により請求するものである。
発明の分野
本発明は、首部が開口している容器等を密封するための蓋に関するものであり、更に詳しくいえば、それを通して挿入されるべき関連鈍先差込み装置用の薄肉ダイアフラム部分を有する弾性蓋に関するものである。
発明の背景
溶液を加えたり、容器から溶液を取り出したりするために針又はカニューレを挿入することを要するバイアル等のような溶液容器を密封するために、診療環境において弾性ストッパ等の蓋及び再シール部材が広く用いられている。ストッパ等の蓋は、無菌注射液等の貯蔵のための容器すなわちバイアルに用いられている。再シール等の蓋は、静脈注射(IV)投与セット用のYサイトにおけるような医用細管流体のための流体ポート位置において用いられる。
小容量のバイアル等の注射液容器に現在使用されている蓋又はストッパには、注射器の鋭い針又はバイアルアダプタによって孔を通常開けられる。IV管理セットにおける再シールには通常、注射針又は針コネクタによって孔が開けられる。従って、挿入された鋭い差込み装置によって、貯蔵されている溶液を無菌的に加えたり、取り出したりできるようにされる。
ストッパ等の蓋は天然ゴム又は人造エラストマ等の弾性材料で通常製作される。再シールは従来、天然ゴム又は人造エラストマで製作されている。それらの材料及びその他の材料は、蓋材料に孔が開けられた後でも元の幾何学的形状を保持する固有の特性をもつ。
過去数年以内に、診療産業が「偶発的な」針の突き刺しの重要性について深刻に気が付くようになった。この産業はそれに応じて侵襲的な医療手順の実施の安全性を促進してきた。毎日の診療手順の安全な実施を促進するために、鋭い差込み装置(すなわち、「尖ったもの」)の使用が少なくなっている。先が鋭くない針を使用するという主義が広まってきた結果として、先が鈍く比較的鋭くない針及びカニューレの使用がますます広がってきている。
鈍先差込み装置の使用に関連するものは、先が鈍い器具をストッパ又は再シール中に挿入するために必要な求められている突き刺し力である。蓋として使用するために適当な材料、すなわち、高い弾性をもつ材料は、先が鈍い器具による孔開けに抵抗する比較的高く、かつ望ましくない引っ張り強度をもつ傾向がある。
鈍先差込み装置に適応するかもしれないダイアフラム部分をもつ既知の蓋構造がある。しかし、それらの既知の蓋は通常、特殊な使用のために製作されるものであって、費用がかかり、特殊な差込み装置のみに用いられ、汚染の危険があり、又は再密封性能が欠けている等、一般的に使用するには固有の制限がある。
例えば、Sandhageに付与された米国特許第2,906,423号が、ストッパの栓部分中に部分的に延長する上面中に円錐壁をもつ、引裂き抵抗の小さいゴムで形成されたストッパを開示している。切り込まれたスリットが円錐壁の頂点からストッパの底面に十分に向かって部分的に延長する。この構造によって耐湿蓋及び先が鈍いプラスチック針を押し込むことによって挿入することができる蓋が得られる。しかし、Sandhageのストッパは、差込み上面が凹状になっていてスリットが設けられているために、鈍先差込み装置を挿入する前に滅菌剤で綿棒によって消毒することが困難である。従って、多くの状況においてはこの種の再シールは汚染物質がバイアルの中に入る危険が増すことがある。又、Sandhageストッパの製作費用、成型、スリット形成及び掃除における多くのステップのための製作誤差及び品質の管理は、製作費用があまり重要ではない特殊な蓋以外のどのような製品にとっても製作を妨げるものである。
Ogleに付与された米国特許第5,060,812号が、雄ルーア(male luer)を入れるためにストッパ・ダイアフラムを薄くする横スロット又は複数の横スロットの使用を開示している。しかし、Ogleストッパの製作は複雑であるから費用がかかる。又、Ogleストッパの上面が凹状であるために綿棒で消毒しても汚染の恐れが生ずる。
Wimmerに付与された米国特許第3,653,528号が、上面に刻み目をつけた薄いダイアフラム部分をもつストッパを開示している。このWimmerストッパの構造は綿棒による消毒の問題を大きくし、再シールを一層困難にする。先が鈍い装置を入れると円錐壁部分に沿ってダイアフラムを裂くことになる。挿入された鈍先差込み装置の周囲の密封、又は差込み装置が引き抜かれたときのダイアフラムの再密封を支援する半径方向の圧縮力はほとんどないであろう。
従って、先が鈍い針又はカニューラの挿入を容易にするための選択的な構造をダイアフラム部分がもつ再密封部材が開示されている。又、汚染を禁止するように上側ダイアフラム表面及び下側ダイアフラム表面が連続で、壊れない。
発明の概要
本発明は、鈍先差込み装置を使用できる、端部開放容器を密封するための改良した蓋に関するものである。この蓋は、中央フランジ部と周縁フランジ部と中空栓部とを有する弾性体を含む。フランジ部はダイアフラム部を半径方向に囲み、ダイアフラム部との連続結合部を有する。中央ダイアフラム部の厚さは鈍先差込み装置をそれに挿入できるような厚さである。フランジ部は容器の開口首部に接触するように配置される。栓部はダイアフラムとフランジ部との連続結合部から垂れ下がるように構成され、容器を密封するように容器の首部に係合する。ダイアフラム部は破られない連続上面と破られない連続下面とを有する。
本発明の周縁フランジ部は、所定の厚さを持ち、ダイアフラム部を囲む平らな環状リングであることが好ましい。フランジ部は、ダイアフラム部の上面と全体的に整列する上面を有する。ダイアフラム部の厚さの少なくとも一部はフランジ部の所定の厚さより薄い。更に、ダイアフラム部の厚さは全体として直線的にテーパをなす厚さ又は湾曲してテーパをなす厚さである。ダイアフラム部の下面を中央部の厚さが最も薄い凹面状にできる。
鈍先差込み装置の使用中はダイアフラム部は、破られる前は鈍先差込み装置による引っ張り応力によって内向きに変形できる。有利なことに、ダイアフラム部は鈍先差込み装置を厚さが最も薄い中央部へ向ける傾向がある。
本発明の他の構成及び利点は詳細な説明、添付図面及び添付した請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
第1図は弾性ストッパ等の蓋部材を固定するフェルールを有する標準的な溶液バイアルの斜視図である。
第1A図は従来技術の標準的な弾性ストッパの横断面図である。
第2図は本発明の弾性ストッパの横断面図である。
第3図は完全な組立て後の本発明の弾性ストッパの横断面図である。
第4図は第2の組立て段階中の本発明の弾性ストッパの横断面図である。
第5図は最初の使用段階中の本発明の弾性ストッパの横断面図である。
第6図は使用中の本発明の弾性ストッパの横断面図である。
第7図は挿入されていた鈍先差込み装置を引き抜いた後の本発明の弾性ストッパの横断面図である。
第8図は中心部を外れて取り付けられる鈍先差込み装置を示している本発明の弾性ストッパの横断面図である。
第9図は本発明によって中心部に向けられる鈍先差込み装置を示している本発明の弾性ストッパの横断面図である。
好ましい実施例の詳細な説明
本発明は種々の態様の実施例で実施できるが、この開示は本発明の一例であり、本発明をここで説明する特定の実施例に限定するものではないという了解の下に好適な実施例を図面に示して以下説明する。
ここで図面を参照する。第1図には医用溶液を貯蔵するためのガラス製バイアルVの斜視図を示す。バイアルの開口端部を密封するために、蓋部材S及び金属製フェルールFがバイアルの首部の中及び上を密封するように配置されている。
第1A図は従来技術で周知の標準厚さのダイアフラム・ストッパ等の従来の蓋部材の横断面図を示す。鋭い差込み装置によって孔を開けることができるストッパ・ダイアフラム部D1の厚さは、ストッパ・フランジ部F1の厚さにほぼ等しい。従来は、従来の厚いダイアフラム・ストッパによって閉じられているバイアルの内部の溶液に通じるためには、鋭い差込み装置を使用しなければならなかった。鈍先差込み装置は従来の厚いダイアフラム・ストッパに孔を開けるために過大な力を必要とする。
次に第2図及び第3図を参照する。それらの図には本発明の蓋10が示されている。この蓋10は医学的に許容できて、薬びん中に入れる医用溶液に適合する(すなわち、反応しない又は不活性)弾性材料で成型することが好ましい。ストッパは、中央ダイアフラム部14と周縁フランジ部16と中空栓部18とを含む。フランジ部16は中央ダイアフラム部14を半径方向に囲み、そのダイアフラム部に連続的に結合する。中央ダイアフラム部14の厚さは、鈍先差込み装置をそれに挿入できるような厚さD2である。フランジ部16は容器の開口首部22に接触するように配置される。栓部18は中央ダイアフラム部14と半径方向の周縁フランジ部16との連続結合部から垂れ下がるように構成される。栓部の形は円錐台形で、スカートが外方にテーパをなして容器24の首部22を密封するようにして係合する。ダイアフラム部14は連続する破れない上面すなわちターゲット領域26を有する。この上面は持ち上げられた環状リップ28によって境界を定められる。ダイアフラム部は中空栓部18の端部を閉じる連続する破れない下面30も有する。
本発明の周縁フランジ部16は、所定の厚さF2を持ち、中央ダイアフラム部14を連続的に囲む平らな環状リングを有することが好ましい。フランジ部16は、ダイアフラム部14の上面26に全体として整列する上面32と、それに平行な下面34とを有する。ダイアフラム部14の少なくとも可変厚さの中央部分は周縁フランジ部16の所定の厚さF2より薄い。更に、中央ダイアフラム部14の厚さD2は、中央ダイアフラム部14の直線状又は湾曲状にテーパをなす下面30によって部分的に決定されるために可変である。ダイアフラム部の下面30は中央部の厚さが最低のD2であるような凹状であることが好ましい。
第4図において、除去できるプラスチック製キャップ38をもつ金属製フェルール36が、フェルールをストッパ10とバイアル24とにかしめ、ストッパの周縁フランジ部16中に軸線方向の圧縮力を生じさせることによって組み立てられる。中央ダイアフラム部14が適切に支持されないとすると、金属製フェルールがフランジ部16を圧縮したときに、中央ダイアフラム部のターゲット領域26はくぼんだり、刻み目がついたり(すなわち、しわが寄る)することがある。例えば、第4A図で最も良く分かるように、ダイアフラム部が適切に支持されていなければ、弾性ストッパ10でのフェルール36の組み立てによって加えられる軸線方向の力がターゲット領域26を曲げようとする。しわ寄りすなわち刻み目はバイアルが手が付けられたか、既に使用されたという誤った印象を与えることがあるために、しわが寄ることは許容できない。しわは上側ストッパ面すなわちターゲット領域26を消毒剤で綿棒による消毒を困難にするから、小さなしわでも許容できない。
第5図で最も良く分かるように、中央ダイアフラム部14は鈍先差込み装置による引っ張り応力によって最初は内側に変形する。約XXXXXXポンドの力に等しい小さい抵抗の後で、ダイアフラムには孔が開けられ、挿入された先が鈍いカニューラ又は先が丸い針40の周囲を第6図で見るように密封する。鈍先差込み装置を薄いダイアフラム・ストッパ部に突き刺すための力XXXは、鋭い針を従来の厚いダイアフラム・ストッパを突き刺すために要する力、約ZZZZZZポンドの力と比較することが好ましい。
第7図に示すように、孔を開けられたダイアフラム部は、鈍先差込み装置を取り外すと元のように一緒に密封しようとする。有利なことに、第8図及び第9図に示すように、本発明の中央ダイアフラム部すなわちターゲット領域26は鈍差込み装置40を厚さが最低の中央部に向かって押そうとする。
本発明の好適な実施例においては、ダイアフラム部14の厚さD2はフランジ部16の厚さF2より十分薄い。D2は約0.03インチが好ましく、F2は約0.050インチが好ましい。
ダイアフラム部14の下面30はテーパをなし、かつ湾曲することが好ましい。この構造によってしわが寄ることを阻止する支持が行われる。この構造によって、孔が開けられたストッパの再密封を支援する半径方向圧縮力も与えられる。最後に、丸くされたダイアフラム表面30によって、挿入される溶液に接触するストッパの内面を組み立て前に掃除及び消毒することが容易になる。
ダイアフラムの丸くされた内面の半径Rとターゲット領域Cの直径及び栓のくぼみ度との比は0.4〜0.6の範囲が好ましい。
第2図のストッパの構造は、経済的な製作のために容易に大量成型できる。本発明は、消毒のために外面を滑らかにすると共に、鈍先差込み装置を突き刺すことができる薄いダイアフラム・ストッパの利点も提供するものである。又、この構造は、組み立て中に加えられる力に対する構造的な抵抗をもたせることによって、組立て中に生ずるかもしれないしわが寄った外観又は手が付けられた外観も避けられる。
本発明のストッパ体は弾性材料で単一工程法で大量に成型できる。それ以外の製作工程は不要である。成型したストッパを組立て前に掃除及び滅菌することは容易である。というのは、表面が露出しており、かつほとんど曲線状だからである。表面には不連続な表面の破れがなく、特に流体が接触する栓の中空内部部分に不連続な表面の破れがない。従って、本発明のストッパの製作及び組み立ては単純で複雑ではない。
上記説明は例としてのみ行ったもので、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。本発明の趣旨を逸脱することなしに多くの変更修正を行うことができる。例えば、薄いダイアフラム部に上面と下面とで交互に湾曲したテーパを付けることができる。従って、請求の範囲は上記特定の実施例によって限定されるものではない。

Claims (7)

  1. 持ち上げられた環状リップの内側領域であ 中央ダイアフラム部と、この中央ダイアフラム部との連続結合部を有しダイアフラム部を囲む周縁フランジ部と、中空栓部とを有する弾性体を備えており、中央ダイアフラム部の厚さは鈍先差込み装置をそれに挿入するための厚さであり、フランジ部は容器の開口首部に接触するために配置され、栓部はダイアフラムとフランジ部の連続結合部から垂れ下がるように構成されて容器の首部に密封係合し、ダイアフラム部は連続した破れていない上面と連続した破れていない下面とを有しており、前記下面が前記中央ダイアフラム部(C)の直径0.4から0.6倍の範囲の曲率半径(R)を有していることを特徴とする容器の開口首部を密封すると共に鈍先差込み装置を用いる蓋。
  2. 周縁フランジ部が、ダイアフラム部を囲む所定の厚さの環状リングであり、フランジ部はダイアフラム部の上面に全体として整列する上面を有することを特徴とする請求項1に記載の蓋。
  3. ダイアフラム部の厚さの少なくとも一部がフランジ部の所定の厚さより薄いことを特徴とする請求項2に記載の蓋。
  4. ダイアフラム部の下面が、中央部が最も薄い凹状であることを特徴とする請求項1に記載の蓋。
  5. ダイアフラム部が、破損前に鈍先差込み装置による引っ張り応力で内向きに変形可能であることを特徴とする請求項4に記載の蓋。
  6. ダイアフラム部の内向き変形が鈍先差込み装置の中心を最も薄い部分へ向ける働きをすることを特徴とする請求項5に記載の蓋。
  7. ダイアフラム部の中央の最低厚さが0.030インチ(0.762mm)であり、ターゲット領域の直径及び栓のくぼみが0.100インチ(2.54mm)であり、栓のくぼみにおける先端部の半径が0.053インチ(1.35mm)であることを特徴とする請求項6に記載の蓋。
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