JPH05304991A - Il−2受容体重鎖に結合するポリペプチド - Google Patents

Il−2受容体重鎖に結合するポリペプチド

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JPH05304991A
JPH05304991A JP3256335A JP25633591A JPH05304991A JP H05304991 A JPH05304991 A JP H05304991A JP 3256335 A JP3256335 A JP 3256335A JP 25633591 A JP25633591 A JP 25633591A JP H05304991 A JPH05304991 A JP H05304991A
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    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides

Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明はIL−2レセプターβ鎖に結合し、
かつIL−2とIL−2レセプターβ鎖との結合を阻害
する活性を有するポリペプチド及び該ポリペプチドの製
造法、特に大腸菌による製造法である。 【効果】 本発明に係るポリペプチド及びそれを含有す
る免疫抑制剤は臓器移植時の拒絶反応の予防や自己免疫
疾患の治療に有用な薬剤である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はヒトIL−2受容体重鎖
(以下、β鎖とする)に結合することにより、ヒトIL
−2のヒトIL−2受容体β鎖への結合を阻害する活性
を有する新規ポリペプチドに関する。本ポリペプチド
は、臓器移植時の拒絶反応の予防、自己免疫疾患の治療
に有用でかつ安全性の高い免疫抑制剤として利用しうる
物質である。
【0002】
【従来の技術】臓器移植の外科的技術が著しく向上した
現在、臓器移植手術の成否は術後の移植片拒絶反応をい
かにして抑制できるかにポイントが絞られてきている。
拒絶反応は、生体が移植片を異物として認識し、それを
排除するために一連の免疫反応が惹起されることにより
生じる。そこで、従来より拒絶防止薬として、ステロイ
ド剤、アザチオプリン、メトトレキセート、6ーメルカ
プトプリンなどのいわゆる免疫抑制剤と呼ばれている薬
剤の投与が行われてきた。しかし、安全域が狭いこと、
あるいは効果が弱いことなどの理由で生着率の著しい向
上はみられなかった。ところが、近年開発されたサイク
ロスポリンAの登場により、生着率は格段の向上をみら
れるようになった。しかしながら、サイクロスポリンA
には重篤な腎毒性があることが明らかとなり、その使用
の制限を与儀なくされてきている。したがって、より安
全で、かつ効果的な免疫抑制剤の開発が望まれてきてい
る。
【0003】さて、IL−2は、ヘルパーT細胞から産
生されるタンパク質であり、生体内においてキラーT細
胞の増殖や分化誘導、B細胞の分化誘導など、広汎な働
きを有している生体防御上非常に重要な因子である。臓
器移植や骨髄移植においては、移植片の生着の鍵を握る
と考えられている宿主対移植片反応(HVG反応)、あ
るいは移植片対宿主反応(GVH反応)に、IL−2な
どにより活性化されたキラーT細胞が深く関与している
ことが示されている。他方、自己免疫疾患は生体内での
免疫系のバランスがくずれ、生体自身を攻撃することに
より発症すると考えられており、その中でも特にIL−
2をはじめとする免疫系に関与する因子の過剰産生、あ
るいはそれに対する過剰反応などがその大きな一因とな
っている可能性が高い。
【0004】これらのことから、IL−2応答を選択的
かつ効果的に抑制することができれば、臓器移植時の拒
絶反応の予防や、自己免疫疾患の治療が可能となるもの
と考えられるようになった。事実、IL−2を結合する
受容体(以下IL−2レセプターと略する)を有してい
るIL−2応答細胞を選択的に傷害することができる細
胞毒を結合させたIL−2を、自己免疫疾患の動物モデ
ルの一つであるアジュバント関節炎ラットに投与すると
関節炎の発症が遅れ症状も軽くなり、またマウス同種心
臓移植時に投与すると移植心の拒絶が抑制されるという
報告もある(Proc. Natl.Acad.Sci.USA,86巻、100
8頁、1989年)。しかし、細胞毒を結合させたIL−2
はその血中半減期が短く、効果をあげるためには大量に
投与する必要があり、それに伴う副作用が懸念される。
そこで、より安全でかつ有効なIL−2応答を抑制でき
る薬剤の開発が望まれている。
【0005】ところで、IL−2応答細胞上のIL−2
レセプターは、ともにIL−2との結合能を有する分子
量が約75,000のβ鎖と約55,000のα鎖の2つの糖タンパ
ク質分子からなることが知られている。それぞれの分子
とIL−2との結合の解離定数は、α鎖の場合10ー8
M、β鎖の場合10ー9Mであるが、α鎖とβ鎖の両方の
分子が接してIL−2との三者の会合体が形成された場
合には、解離定数が10ー12Mという高親和性の結合と
なることが明らかとなっている。また、α鎖のみを発現
している細胞では、IL−2が結合してもなんら応答反
応が生じないが、β鎖、もしくはβ鎖とα鎖の両鎖を発
現している細胞では、IL−2の結合により様々な生理
活性が惹起されることから、IL−2の生理的機能が発
現されるためにはIL−2レセプターのβ鎖の存在が必
須であると考えられるようになってきた。すなわち、I
L−2とβ鎖の結合を阻害できれば、IL−2に対する
応答が生じなくなるものと推定される。
【0006】しかし、現在までIL−2とIL−2レセ
プターのβ鎖の結合を特異的に阻害する物質として、抗
IL−2レセプターβ鎖抗体以外には知られていない
(特開平2−18527参照)。しかし、唯一知られて
いるこの抗体は、ウサギやマウスなどの異種動物を免疫
することにより得られた異種タンパク質であり、そのま
まの形でヒトに投与すると抗体に対する免疫反応が生じ
て、アナフィラキシーショックや血清病などの重篤な副
作用が起こったり、抗体の効果が減弱してしまうことが
想定され、残念ながら直ちに臨床に応用することは困難
である。このような異種動物の抗体を臨床応用する場合
の欠点を克服すべく、遺伝子工学的操作により抗原との
結合に直接関与しない抗体の定常領域(以下C領域と言
う)をヒトの抗体のC領域へと変換する技術が開発され
(Methods in Enzymology, 178巻, 459頁, 1989年)、
抗体の臨床応用への期待が高まってきている。
【0007】一般に抗体を臨床に用いる場合、抗体に期
待する作用は大きく分けて以下の2つがある。1つは、
抗体が抗原と結合して免疫複合体となり、補体系や免疫
系細胞を動員することによる抗原の除去である。抗原が
細胞表面抗原などの場合がそれに当たる。この場合に
は、補体系などを動かすために抗体のC領域が不可欠
で、上記C領域をヒト型へ変換した抗体が有効である。
もう1つは、抗体の抗原への結合による抗原活性の抑
制、あるいは逆に抗原の活性化である。抗原が生理活性
物質やそのレセプターあるいは酵素などの場合がそれに
当たる。この場合には、抗体のC領域は必要ではない。
むしろ生体内投与した場合に血中を流れる抗原と免疫複
合体を形成して、抗原が細胞の場合には細胞の破壊が、
また抗原が可溶性抗原の場合には腎臓などにトラップさ
れて炎症が生ずる可能性があるため、C領域がない方が
好ましい訳である。。更に、可変領域(以下V領域とい
う)、C領域とも含む完全な抗体の分子量が150K〜
900Kなのに対し、V領域のみからなる抗体の分子量
は約27Kと小さく、生体内投与する場合に扱いやすい
という利点もある。
【0008】抗体蛋白から抗体のV領域のみを製造する
には、抗体の重鎖(以下H鎖という)及び軽鎖(以下L
鎖という)のV領域を酵素分解によりそれぞれ得て、さ
らに何らかの方法によりそれらを結合させて機能的な抗
体V領域分子を作成しなければならないが、現在の技術
では効率よくしかも簡便に機能的な抗体V領域分子を製
造することは不可能である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
はヒトIL−2レセプターβ鎖に特異的に結合して、ヒ
トIL−2レセプターβ鎖とIL−2との結合を選択的
に阻害する活性を有する機能的な抗体V領域分子を含む
ポリペプチド、該ポリペプチドをコードする遺伝子、該
遺伝子を有するプラスミド、該プラスミドを有する形質
転換体、該形質転換体を培養して目的とするポリペプチ
ドを製造する方法及び該ポリペプチドを含有する免疫抑
制剤を提供することである。このポリペプチドは、臓器
移植時の拒絶反応の予防、アレルギー性疾患や自己免疫
疾患などの炎症性疾患の治療薬として有効な免疫抑制剤
として期待できる。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意研究を重ねた結果、以下の方法によ
り、目的とするヒトIL−2レセプターβ鎖とIL−2
との結合を選択的に阻害する活性を有する機能的な抗体
V領域分子を含むポリペプチドを製造できることを見い
だし、本発明を完成した。即ち、本発明は(1)IL−
2レセプターβ鎖に結合活性を有し、かつ(2)IL−
2とIL−2レセプターβ鎖との結合を阻害する活性を
有するポリペプチド、該ポリペプチドをコードする遺伝
子、該遺伝子を有するプラスミド、該プラスミドを有す
る形質転換体、該形質転換体を培養して目的とするポリ
ペプチドを製造する方法及び該ポリペプチドを含有する
免疫抑制剤である。
【0011】本発明に従えば、ヒトIL−2レセプター
β鎖とIL−2との結合を選択的に阻害する機能的な抗
体V領域分子を有するポリペプチドが提供される訳であ
る。本研究者らはまずヒトIL−2レセプターβ鎖に特
異的でかつヒトIL−2レセプターβ鎖とヒトIL−2
との結合を阻害する活性を有するマウスモノクローナル
抗体を産生するハイブリドーマクローンを作製した。以
下にマウス抗ヒトIL−2レセプターβ鎖モノクローナ
ル抗体を産生するハイブリドーマクローンの調製法を記
す。
【0012】ハイブリドーマは骨髄腫細胞と抗体産生細
胞を融合することにより製造される。抗体産生細胞とし
ては、IL−2レセプターβ鎖分子を高発現しているヒ
ト成人T細胞白血病ウイルス感染T細胞株であるTL-Mor
細胞で免疫されたマウスやラットなどの動物からの脾臓
またはリンパ節細胞を用いればよい。なお、免疫する細
胞としては、TL-Mor細胞以外のIL−2レセプターのβ
鎖分子を発現しているヒト細胞である限り、いかなる細
胞を用いてもかまわない。また、それらの細胞より精製
したβ鎖分子そのものを免疫原として用いてもさしつか
えない。
【0013】抗体産生細胞と骨髄腫細胞の由来する動物
の種は、両細胞が融合可能な限り異なってもよいが、通
常同一種の細胞を用いた方が良い結果が得られる。本発
明実施のための一つの好ましいハイブリドーマは、ヒト
成人T細胞白血病ウイルス感染T細胞株であるTL-Mor細
胞で免疫したマウスの脾臓細胞またはリンパ節細胞と、
マウス骨髄腫細胞との間のハイブリドーマである。例え
ば、生理食塩水に懸濁したTL-Mor細胞で免疫したBalb/c
マウスの脾臓細胞とBalb/cマウスの骨髄腫細胞SP2/0-Ag
14の間のハイブリドーマで後記の実施例でも示す様に優
れた結果が得られた。骨髄腫細胞としては、SP2/0-Ag14
のほかに、X63-Ag8-6.5.3, P3-X63-Ag8-U1,P3-X63-Ag8,
P3-NSI/1-Ag4-1, MPC11-4.5.6.TG.1.7, (以上マウス
細胞)、210.RCY.Ag1.2.3 (ラット細胞)、SK0-007,GH
15006TG-A12 (以上ヒト細胞)等の8アザグアニン耐性
の細胞株を用いてもよい。ハイブリドーマの作成と、更
にその中からIL−2レセプターのβ鎖分子に結合し、
IL−2の生理活性を阻害できるモノクローナル抗体を
産生しているクローンの選択は、例えば次の様にして行
える。ポリエチレングリコール、あるいはセンダイウイ
ルスなどを用いて抗体産生細胞と骨髄腫細胞とを融合さ
せる。融合したハイブリドーマのみが、ヒポキサンチ
ン、チミジン、アミノプテリンを含む培地(HAT培
地)中で生育することができる。得られたハイブリドー
マがすべて抗体を産生しているわけではないし、抗体を
産生しているハイブリドーマがすべて目的とする抗体を
産生しているわけではないので、それらのハイブリドー
マクローンの中からIL−2レセプターのβ鎖分子に結
合し、IL−2の生理活性を阻害できるモノクローナル
抗体を産生しているハイブリドーマクローンを選択しな
ければならない。
【0014】その選択は例えば以下の様な方法を用いて
行うことができる。すなわち、一次スクリーニングとし
て125I標識ヒトIL−2を作成し、ハイブリドーマ培
養上清による125I標識ヒトIL−2と、IL−2レセ
プターのβ鎖分子,及びα鎖分子をともに発現している
TL-Mor細胞との結合阻害を測定する。二次スクリーニン
グとして、ハイブリドーマ培養上清による125I標識ヒ
トIL−2と、IL−2レセプターのα鎖のみを発現し
ているヒト成人T細胞白血病ウイルス感染T細胞株であ
るMT-1細胞との結合阻害活性を測定する。TL-Mor細胞と
IL−2との結合阻害活性を有しており、MT-1細胞とI
L−2との結合阻害活性を有していなければ、そのハイ
ブリドーマがIL−2レセプターのβ鎖分子に対する抗
体を産生しているハイブリドーマとなる。
【0015】125I標識ヒトIL−2の作成法として
は、IL−2が生理活性を有している限り、ボルトン・
ハンター法、ラクトパーオキシダーゼ法、クロラミンー
T法などいかなる方法を用いてもかまわない。また、一
次スクリーニングに用いる細胞は、β鎖、及びα鎖をと
もに発現しているヒト細胞である限り、いかなる細胞を
用いてもかまわない。また、二次スクリーニングに用い
る細胞も、β鎖、あるいはα鎖のいづれか一方を発現し
ているヒト細胞である限り、いかなる細胞を用いてもか
まわない。
【0016】こうして得られたハイブリドーマクローン
よりtotalRNAを抽出し、モノクローナル抗体のV領
域をコードする遺伝子(cDNA)を取得する。本発明
者らはより迅速に目的とするcDNAを取得する方法を
鋭意工夫し、以下の様な方法により抗体のV領域をコー
ドするcDNAを取得した。すなわち、まず既に遺伝子
の塩基配列が報告されているマウスIgGのH鎖、及び
L鎖の塩基配列を基に、それぞれのV領域の遺伝子の
5'端、及び3’端に共通性の高い20〜30個の塩基
配列(プライマーDNA)を考案する。その際、5’側
プライマーは5’側から3’側の方向にデザインし、L
鎖V領域プライマーに、翻訳開始コドンであるATG配
列をその5’側に付加する。3’側プライマーはATG
配列を付加しなかった鎖、即ちH鎖のプライマーに翻訳
終止コドンをその3’側に付加する。3’側プライマー
の場合には、その相補的配列を3’側から5’側へ向か
ってデザインし直せばよい。もちろん、H鎖V領域プラ
イマーの5’側にATG配列を付加し、L鎖V領域にプ
ライマーに3’側に終止コドンを付加しても良い。終止
コドンとしてはTAA,TAG,TGAのいずれを用いても良い。
尚、本発明の実施例に於いては、終止コドンとしてTGA
を用いた。次にH鎖及びL鎖のそれぞれのプライマーD
NAの5’側(3’側プライマーはデザインし直したも
のの5’側)に、発現ベクターに挿入するための適当な
制限酵素サイトを導入しておく。 デザインしたプライ
マーDNAはDNA合成機などを用いて化学合成する。
【0017】次に、得られたハイブリドーマより公知の
方法に従ってtotalRNAを抽出し、逆転写酵素と3’
側プライマーDNAを用いて一本鎖cDNAを作製し、
5’側プライマーDNA及び3’側プライマーDNAを
用い、TaqポリメラーゼによるPolymerase Chain Reacti
on法(PCR法、Science, 230巻, 1350頁, 1985年)に
て抗体のH鎖及びL鎖のV領域をコードするDNA断片
のみをそれぞれ選択的に増幅し取得する。
【0018】さて、取得したこれらのV領域をコードす
る遺伝子を大腸菌等で発現させ、機能的な抗体V領域分
子を調製する場合、それぞれの遺伝子を単独、あるいは
1つのベクターに同時に組み込んで発現させ、その後そ
れらをアッセンブリさせてもよいが、その効率は極めて
悪いことが知られている(Science, 240巻, 1038頁,198
8年)。本来抗体は、H鎖とL鎖がSS架橋による共有
結合で結合したものがさらにそのH鎖同士でSS結合し
た形のダイマーを形成している。H鎖とL鎖のSS架橋
の位置はともにC領域であり、V領域同士は非共有結合
で結合している。したがって、抗体V領域分子を調製す
る場合、その非共有結合のみに頼らなければならないた
め、機能的な分子の形成効率が悪いものと考えられる。
最近になって、それぞれのV領域をリンカーを用いて連
結させ、1本鎖の機能的な分子として大腸菌で発現させ
る技術が開発された(Science, 242巻, 423頁, 1988
年)。 そこで本発明者らはその技術を応用して、抗体
V領域のみからなる機能的な1本鎖抗IL−2レセプタ
ーβ鎖抗体のV領域を含有するポリペプチドを発現させ
ることに成功している。
【0019】すなわち、まず、上流からプロモーター領
域、リボゾーム結合領域、ATG配列を付加した5’側
プライマーに導入した制限酵素サイト、同鎖3’側プラ
イマーに導入した制限酵素サイト、抗体L鎖V領域と抗
体H鎖V領域とを繋ぐための適当な長さのリンカーペプ
チドをコードするDNA配列、ATG配列を付加してい
ない5’側プライマーに導入した制限酵素サイト、同鎖
3’側プライマーに導入した制限酵素サイト、最後にタ
ーミネーター領域の順に含有する発現ベクターを構築す
る。この際、PCRにより増幅したそれぞれのV領域D
NAを挿入する場合、リンカーペプチド、及びその後の
V領域DNAの翻訳がずれないように注意する。さて、
本発明においてプロモーターの由来は問うところではな
く、例えば大腸菌のtrpプロモーター、tacプロモータ
ー、trcプロモーター、lacプロモーターや、さらにはλ
ファージのλPLプロモーター、λPRプロモーターなど
を用いることができる。リボゾーム結合領域は、例えば
大腸菌のtrpLやtrpE、lacZのリボゾーム結合領域
や、λファージのCII蛋白のリボゾーム結合領域を用
いることができる。あるいは化学合成したDNA配列を
用いることができる。また、目的とするポリペプチドを
大腸菌体内に顆粒状として大量に蓄積させるために、リ
ボゾーム結合領域を2つ以上としてもよい。
【0020】それぞれの抗体V領域を繋ぐためのリンカ
ーペプチドの配列は、調製した抗体V領域分子が機能的
である限りいかなる配列でもよいが、生体内投与時の副
作用を最小限とするためになるべく短く、独自の構造を
有しないような配列とした方が望ましい。ターミネータ
ーとしては、例えば大腸菌のtrpAターミネーター、rrn
Bターミネーター、recAターミネーターなどを用いるこ
とができる。また、発現プラスミドのコピー数は一般的
に多い方が好ましく、複製起点としてpBR系の複製起点
よりpUC系の方が望ましい。構築した発現プラスミドD
NAにPCRにて増幅したH鎖、及びL鎖V領域DNA
をそれぞれ挿入する。挿入後、この発現プラスミドを通
常の方法で宿主に形質転換させ、そして発現させれば良
い。発現させる生物としては、原核生物及び真核生物の
何れであってもよい。原核生物の例としては、大腸菌、
枯草菌などを挙げることができる。真核細胞は例えば酵
母、CHO細胞などを用いれば良い。好ましくは原核細
胞、更に好ましくは大腸菌を宿主として用いるのが良
い。発現ベクターをこれらの生物に組み込む方法も公知
の方法を利用すればよく、例えば大腸菌では、対数増殖
期の細胞を50mMの塩化カルシウムで氷中約30分処理す
ることにより、大腸菌の細胞壁の構造が変化し、続いて
プラスミドDNAを注入し約10分後30℃〜42℃で
2分間の熱処理を施した後、培地を加え30℃〜37℃
で約60分培養することにより、発現プラスミドDNA
を生物に組み込むことができる。
【0021】目的とする機能的な抗体V領域を有するポ
リペプチドは、このような生物を培養することによって
当該生物の体内あるいは培地中に蓄積させることができ
る。培地は各生物を培養しうるそれぞれの公知の培地を
利用すればよく、培養条件も公知の条件でよい。培養後
は、目的とする機能的な抗体V領域分子を公知の方法で
取得すればよい。さて、本発明のポリペプチドは、IL
−2レセプターβ鎖に結合してIL−2とIL−2レセ
プターβ鎖との結合を選択的に阻害する活性を有してお
り、臓器移植時の拒絶反応の予防などに対して有効なも
のである。また、本発明のポリペプチドの構造は配列表
の配列番号1叉は2記載の配列に限定されるものではな
く、IL−2レセプターβ鎖に結合し、かつIL−2と
IL−2とIL−2レセプターβ鎖との結合を阻害する
活性を有する限り本発明のポリペプチドに含まれる。例
えば、(1)配列番号1叉は2記載のポリペプチド構造
中の1若しくは複数個のアミノ酸を他のアミノ酸に置換
した構造を有するポリペプチド、(2)配列番号1叉は
2記載のポリペプチド構造中のN末端及び/叉はC末端
より1若しくは複数個のアミノ酸が欠損し、かつ連続し
ているアミノ酸配列を有するポリペプチド、(3)配列
番号1叉は2記載のポリペプチドのN末端及び/叉はC
末端に1若しくは複数個のアミノ酸が付加された構造を
有するポリペプチド及び(4)配列番号1叉は2記載の
ポリペプチド構造中の1若しくは複数個のアミノ酸がア
セチル化、アミド化叉はポリエチレン付加された構造を
有するポリペプチド、等もIL−2レセプターβ鎖に結
合し、かつIL−2とIL−2とIL−2レセプターβ
鎖との結合を阻害する活性を有する限り本発明のポリペ
プチドに含まれる。特に、配列表の配列番号1及び2記
載のポリペプチドのN末端のMetは微生物を用いて発現
する過程又は精製過程において切断され、その結果N末
端がAspとなる場合がある。このポリペプチドも上記活
性、即ち(1)ヒトIL−2受容体重鎖に結合活性を有
し、(2)IL−2とIL−2受容体重鎖との結合を阻害
する活性を有する。また、Metが結合した形で生産さ
せた後、アミノペプチダーゼ等の酵素でN末端Metを
はずしたものも上記活性を有する。更に、必要により本
発明のポリペプチドに毒素を付加したものを用いても良
い。
【0022】本発明に係る免疫抑制剤は上記ポリペプチ
ドを0.1重量%〜100重量%、好ましくは0.5重量%〜70
重量%の割合で含有すればよい。したがって、本発明の
ポリペプチドをそのまま投与してもよいし、また通常製
剤用担体と混合して調製した製剤の形で投与される。製
剤用担体としては、製剤分野において常用され、かつ本
発明のポリペプチドと反応しない物質が用いられる。注
射剤の場合には、本発明のポリペプチドを水に溶解させ
て調製されるが、必要に応じて生理食塩水、ぶどう糖溶
液に溶解させてもよく、また緩衝剤、保存剤、安定化剤
あるいは賦形剤を含有させてもよい。また、これらの製
剤は治療上価値のある他の成分を含有していてもよい。
【0023】本発明に係る免疫抑制剤の投与方法として
は、経口、注射、直腸内などいずれの方法を用いてもか
まわないが、注射による投与が好ましい。投与量は、投
与方法、患者の症状、年齢などにより異なるが、通常1
回0.001〜1000mg、好ましくは0.01〜10mgを1日当
り1〜3回投与すればよい。
【0024】以下本発明を実施例に基づいて更に詳細に
説明する。尚、本発明は実施例に限定されるものではな
い。
【0025】
【実施例】
(実施例1、ハイブリドーマの調製)6〜8週令の雌の
BALB/cマウスに、生理食塩水に懸濁したTL-Mor細胞を1
匹あたり1X10個7腹腔内投与することにより免疫し
た。その10日後、同様の操作により追加免疫し、更に
その5日後、マウスの眼窩静脈より採血して、後に述べ
る参考例に示す方法に従って125I標識IL−2のTL-Mo
r細胞に対する結合阻害活性を調べることにより抗体価
を測定した。抗体価の高かったマウスを更に同様の操作
にて最終免疫し、その3日後、脾臓を摘出して脾臓細胞
とマウス骨髄腫細胞(SP2/0-Ag14)とを、50%ポリエ
チレングリコール#4000(半井化学社製)存在下に
て細胞数で10:1の割合で混合し、細胞融合させた。
融合細胞を、10%牛胎児血清(ギブコ社製)を含むRP
MI1640培地(ギブコ社製)にて5X106個/mlとな
るように懸濁し、1穴あたり5X105個のマウス胸腺
細胞を含有する96穴平底プレート(コーニング社製)
に100μlずつ分注した。1日、2日、3日、6日後
に培地の半量をヒポキサンチン、アミノプテリン、チミ
ジンを含む培地(HAT培地)と交換し、以後3日ごと
に同様の操作を繰り返した。融合より約2週間後、融合
した細胞(ハイブリドーマ)の増殖してきた各穴の培養
上清について、125I標識IL−2のTL-Mor細胞に対す
る結合阻害活性、及びMT-1細胞に対する結合阻害活性を
測定し、TL-Mor細胞に対する結合阻害活性を有してお
り、MT-1細胞に対する結合阻害活性を有していない穴に
含まれるハイブリドーマを、限界希釈法にてクローン化
した。
【0026】更にそれぞれのハイブリドーマクローンの
培養上清中の阻害活性を測定して、抗IL−2レセプタ
ーβ鎖抗体産生ハイブリドーマを得た。更に、得られた
抗IL−2レセプターβ鎖抗体産生ハイブリドーマの培
養上清について、以下の方法にてIL−2の生理活性の
抑制能を調べた。10%牛胎児血清を含むRPMI1640培地
にて2X105個/mlの濃度となるように懸濁したILT
-Mat細胞液を1穴あたり100μlずつ96穴平底マイ
クロプレートに分注して、サンプルの培養上清を50μ
l加え、37℃、30分間インキュベートした。更に、
10%牛胎児血清を含むRPMI1640培地にて200u/m
lに調製したヒトリコンビナントIL−2溶液を50μ
lずつ加えて、5%CO2存在下37℃にて48時間培
養した。最後の4時間は1μCiの3H−チミジン(デ
ュポン社製)を加えて培養し、細胞内に取り込まれた放
射活性量をシンチレーシンカウンター(パッカード社
製)にて測定することにより、培養上清によるIL−2
の生理活性の阻害能を調べた。このような方法にて抗I
L−2レセプターβ鎖に対する抗体を産生するハイブリ
ドーマを調製した。こうして得られたハイブリドーマと
してTU27(FERM BP-2510)、TU25(FERM BP-35
29)がある。
【0027】(実施例2、ハイブリドーマより抗体のV
領域cDNAの調製)5X106個のハイブリドーマT
U27、あるいはTU25をPBSにて洗浄後、guanidine
thiocyanate, N-lauryl sarcosine, EDTAを含むRNA
抽出用緩衝液(ファルマシア社製)を加えて懸濁した
後、あらかじめ等容量のCesium Cloride溶液(ρ=1.51g
/ml,ファルマシア社製)を入れたチューブ重層し、12
5,000xgにて16時間遠心した。上清を吸い取っ
たのち、1mMEDTAを含む10mMトリス塩酸塩緩衝液
(pH7.5)を加えて懸濁し、新しいチューブに入
れ、65℃で5分間インキュベートした。更に、2M P
otassium Acetate(pH5.0)(ファルマシア社製)
を1/10容量とエタノール(ナカライテスク社製)を
3倍容量加えて、−20℃に一晩放置した。5,000
xgにて20分間遠心して、上清を捨てた後、80%エ
タノールにて遠心洗浄し、沈澱を乾燥させた。沈澱を1
mMEDTAを含む10mMトリス塩酸塩緩衝液(pH7.
5)にて溶解してtotalRNA画分とした。
【0028】次に、totalRNA画分溶液に、あらかじ
めデザインした抗体のH鎖、L鎖のV領域の3’側に相
補的なプライマー溶液(最終濃度で1μM)、deoxyNTP
混合液、cDNA合成用緩衝液(アマシャム社製)、RN
Aase Inhibitor(宝酒造社製)、及びReverse Transcri
ptase(宝酒造社製)を加えて42℃にて1時間反応さ
せcDNAを合成した。更に、PCR用緩衝液(シータ
ス社製)、deoxyNTP混合液、抗体H鎖、及び抗体L鎖V
領域cDNA増幅用5’側プライマー、及び3’側プラ
イマー(それぞれ最終濃度1μM)、及びTaq Polymera
se(宝酒造社製)を加えPCR(シータス社、サーマル
サイクラー)を行った。反応は変性30秒(94℃)、
アニール30秒(55℃)、プライマーイクステンショ
ン1分(72℃)にて30サイクル行い、各サイクル毎
にプライマーイクステンションの時間を15秒ずつ延長
させた。反応後、1mMEDTAを含む40mMトリス酢酸
緩衝液(pH8.0)にてアガロースゲル電気泳動を行
い、該当するcDNAフラグメントを切り出し、ジーン
クリーンキット(バイオ101社製)を用いて抽出・精
製した。なお、cDNAの合成、及びPCRに用いたプ
ライマーの配列を図1に示した。
【0029】(実施例3、発現ベクターの構築)図3に
示すように、まずpT13SNco(本プラスミドを含有する
E. coli AJ-12447は、FERM P-10757 として寄託されて
いる。)[J. Biochem.,104巻, 30-34頁,1988年に記
載]を制限酵素ClaI、BamHI(いずれも宝酒造社製)に
て切断して得られる大きいDNA断片と、通常の方法で
作成した図2に示された配列を有する合成DNA断片
(リンカー)とをT4DNAリガーゼ(宝酒造社製)を
用いて連結した。
【0030】次に、同じく図3に示す通り、合成DNA
断片とプラスミドpT13SNcoを制限酵素ClaIとBamHIで切
断して得られる大きい断片を連結する。この連結したプ
ラスミドを制限酵素EcoRI、PvuII(いずれも宝酒造社
製)にて切断して得られる小さいDNA断片と、pUC18
(Messing J., Methods in Enzymology, 101巻, 20-78
頁, 1983年)のHindIIIサイトとNdeIサイトを、制限酵
素で切断後T4DNAポリメラーゼ(宝酒造社製)で平
滑化し、更にT4リガーゼを用いて連結することにより
消失させたものを、EcoRI、HincII(宝酒造社製)にて
切断して得られる大きいDNA断片とをT4リガーゼに
て連結することにより、複製起点をpUC系とするpFv-DE
を得た。
【0031】(実施例4、pFv-DEへの抗体V領域cDN
Aの組み込み、及びV領域のみからなる抗体生産菌の調
製)図4に示すように、まずpFv-DEを制限酵素NdeI、Sa
lI(宝酒造社製)で切断して得られる大きいDNA断片
と、PCRを行った後回収したTU25及びTU27の
L鎖V領域cDNAを同じくNdeI、SalIで切断した断片
をT4リガーゼにて連結した。TU25のL鎖V領域は
配列表の配列番号2に示される塩基配列中の4−324
番目に当たる。またTU27のL鎖V領域は配列表の配
列番号1に示される塩基配列中の4−324番目に当た
る。尚、両配列に於いて塩基配列中の1−3番目は翻訳
開始コドンATGである。次に、その連結したプラスミ
ドを更に制限酵素XhoI、HindIII(宝酒造社製)で切断
して得られる大きいDNA断片と、PCR後回収したT
U27及びTU25のH鎖V領域cDNAを同様にXho
I、HindIIIで切断した断片をT4リガーゼにて連結する
ことにより、V領域のみからなる抗体を発現するpFv(TU
27)-DE、及びpFv(TU25)-DEを構築、取得した。続いてそ
れぞれのプラスミドを大腸菌HB101株に形質転換し、V
領域のみからなる抗体を生産する菌(E. Coli pFv(TU2
7)-DE/HB101 AJ-12646, FERM P-12490)、及び(E. Col
i pFv(TU25)-DE/HB101 AJ-12647,FERM P-12491)を得
た。尚、PU27のH鎖V領域は配列表の配列番号1に
示される塩基配列中の367−720番目にあたる。ま
た、PU25のH鎖V領域は配列表の配列番号2に示さ
れる塩基配列中の367−717番目に該当する。
【0032】(実施例5、V領域のみからなる抗体生産
菌より、生産物の取得)得られた形質転換株 E. Coli
pFv(TU27)-DE/HB101(FERM P-12490)、及びE. Coli pF
v(TU25)-DE/HB101(FERM P-12491)を50μg/mlの
アンピシリンを含む2xTY[1.6%トリプトン、1
%酵母エキス、(以上バクト社製)、0.5%NaOH、p
H7.0]5ml中で37℃一晩生育させた。ついで、そ
の培養懸濁液5mlを100mlのM9−カザミノ酸培
地(0.6%Na2HPO4・12H2O、0.3%KH2PO4、0.0
5%NaCl、0.1%NH4Cl、0.05%MgSO4・7H20、
0.00147%CaCl2、0.2%グルコース、0.2
%カザミノ酸、0.02%L-ロイシン、0.02%L-プ
ロリン、0.0002%チアミン塩酸塩、100μg/
mlアンピシリン、pH6.9)へ接種し、37℃にて
3時間培養した。その後、25μg/mlとなるように
3-インドールアクリル酸(IAA)を添加し、更に37℃
にて20時間誘導培養した。この一部の菌体懸濁液を位
相差顕微鏡により約1500倍にて観察すると、大腸菌
体内の顆粒形成が認められた。
【0033】続いて上記の如く培養した菌体懸濁液を遠
心分離機にかけ菌体を集め、2倍濃縮となるように、3
0mMNaClを含む20mMTris-HCl緩衝液(pH7.
5)を添加し、懸濁後、0.5MEDTA(pH8.0)で
1mg/mlになるように溶かしたリゾチーム溶液3
7.5mlを添加し、撹はんした後、氷中にて1時間放
置した。ついで超音波破砕で菌体を破壊し、6000r
pm,5分間の遠心分離で顆粒を回収した。この顆粒を
6M塩酸グアニジンで可溶化し、目的ポリペプチド濃度
が250μg/ml、及び2M塩酸グアニジン溶液とな
るように調製した後、これに酸化型グルタチオン1mM
と還元型グルタチオン10mMとなるように添加し、p
H8.0で室温で10〜16時間放置した。次に、5%
グリセロール、100mMKCl、0.05mMEDTAを含
む50mMグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH1
0.0)に対して透析を行い目的とするポリペプチドFv
(TU27)、及びポリペプチドFv(TU25)得た。本物質はSD
Sポリアクリルアミドゲル電気泳動により、その分子量
は実施例6に従って推定されたアミノ酸配列から計算さ
れた値とそれぞれほぼ一致し、また、プロテインシーク
エンサーにてN末端側のアミノ酸配列を検定した結果、
予想されたアミノ酸配列のN末端にメチオニンが付加し
た配列を有することが確認された。配列表の配列番号1
及び2参照。
【0034】(実施例6、塩基配列の決定、及びアミノ
酸配列の推定)構築したV領域のみからなるポリペプチ
ドを発現するプラスミドpFv(TU27)-DE、及びpFv(TU25)
-DEをアルカリSDS法にて精製し、市販されているシ
ークエンス用プライマーM4、あるいはRV(宝酒造社
製)を用い、7-DEAZAシークエンスキット(宝酒造社
製)にて塩基配列を決定した。得られた塩基配列よりア
ミノ酸配列配列を推定した。なお、配列表の配列番号1
にポリペプチドFv(TU27)をコードする塩基配列とそれに
対応するアミノ酸配列、配列表の配列番号2にポリペプ
チドFv(TU25)をコードする塩基配列とそれに対応するア
ミノ酸配列を示した。即ち、配列表の配列番号1に示さ
れるように、ポリペプチドFv(TU27)はN末端にMet,C末
端にSerを有する240個のアミノ酸からなるポリペプ
チドである。また、ポリペプチドFv(TU25)はN末端にMe
t、C末端にSerを有する239個のアミノ酸からなるポ
リペプチドである。両配列のホモロジーを計算するとL
鎖においては94、2%、H鎖においては60、4%で
あった。また、L鎖及びH鎖を併せたトータルにおいて
は76、8%である。このことは、若干構造が異なって
もIL−2レセプターβ鎖に結合活性を有し、かつIL
−2とIL−2レセプターβ鎖との結合を阻害する活性
を有するポリペプチドの存在を立証している。
【0035】(実施例7、ポリペプチドFv(TU27)、及び
Fv(TU25)の抗体活性の検定)0.5%BSA、0.02%N
aN3を含むRPMI-1640培地に懸濁した5X105個のYT
細胞に、同培地にて適当な濃度に希釈したポリペプチド
Fv(TU27)、TU27抗体、ポリペプチドFv(TU25)及びTU25抗
体を添加し、4℃にて1時間反応した。次に、クロラミ
ンT法により125I標識したTU27抗体、あるいはTU25抗
体を添加し、4°Cにて2時間反応させた後、細胞に結
合した放射活性を測定した。図5に示す通り、ポリペプ
チドFv(TU27)、及びポリペプチドFv(TU25)はそれぞれTU
27モノクローナル抗体(ハイブリドーマ FERM BP-2510
由来)、TU25モノクローナル抗体(ハイブリドーマ、FE
RM BP-3529由来)のYT細胞表面上にあるIL−2レセ
プターβ鎖への結合を阻害する活性を有していることが
明らかとなった。次に、0.5%BSA、0.02%NaN3
を含むRPMI-1640培地に懸濁した5X105個のIL−2
レセプターβ鎖のcDNAを導入したMOLT4細胞に、同
培地にて適当な濃度に希釈したポリペプチドFv(TU27)、
TU27モノクローナル抗体(ハイブリドーマ FERM BP-251
0由来)、ポリペプチドFv(TU25)及びTU25モノクローナ
ル抗体(ハイブリドーマ、FERM BP-3529由来)を添加
し、4°Cにて1時間反応した。次に、ボルトンハンタ
ー法により125I標識したIL−2を添加し、4°Cに
て2時間反応させた後、細胞に結合した放射活性を測定
した。図6に示す通り、ポリペプチドFv(TU27)及びFv(T
U25)はいづれもIL−2のIL−2レセプターβ鎖への
結合を阻害する活性を有していることが明らかとなっ
た。
【0036】
【発明の効果】本発明のIL−2レセプターβ鎖に結合
して、IL−2のレセプターへの結合を阻害する活性を
有する抗体のV領域のみからなるポリペプチドは、臓器
移植時の拒絶反応の予防や自己免疫疾患の治療に有用で
かつ安全性の高い免疫抑制剤として利用できる。
【0037】
【図面の簡単な説明】
【図1】プライマーの配列を示す。
【図2】L鎖V領域とH鎖V領域をつなぐ為のリンカー
のDNA配列を示す。
【図3】プラスミドpFv-DEの構築工程を示す図面であ
る。
【図4】プラスミドpFv(TU25)-DE、及びpFv(TU27)-DEの
構築工程を示す図面である。
【図5】Fv(TU27)、及びFv(TU25)が、
それぞれ125I標識TU27、125I標識TU25抗体の
YT細胞への結合を阻害する活性を有することを示す図
面である。
【図6】Fv(TU27)、及びFv(TU25)が、
125I標識IL−2のIL−2レセプターβ鎖cDNA
導入MOLT4細胞への結合を阻害する活性を有するこ
とを示す図面である。
【配列表】配列番号:1 配列の長さ:720 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 起源 細胞の種類:ハイブリドーマ クローン名:FERM BP-2510 配列 ATG GAT ATT CTG CTG ACC CAG TCT CCA GCC ATC CTG TCT GTG AGT CCG 48 Met Asp Ile Leu Leu Thr Gln Ser Pro Ala Ile Leu Ser Val Ser Pro 1 5 10 15 GGA GAA AGA GTC AGT TTC TCC TGC AGG GCC AGT CAG AGC ATT GGC ACA 96 Gly Glu Arg Val Ser Phe Ser Cys Arg Ala Ser Gln Ser Ile Gly Thr 20 25 30 AGC ATA CAC TGG TAT CAG CAA AGA ACA AAT GGT TCT CCA AGG CTT CTC 144 Ser Ile His Trp Tyr Gln Gln Arg Thr Asn Gly Ser Pro Arg Leu Leu 35 40 45 ATT AAA TAT GCT TCT GAG TCT CTC TCT GGG ATC CCT TCC AGG TTT AGT 192 Ile Lys Tyr Ala Ser Glu Ser Leu Ser Gly Ile Pro Ser Arg Phe Ser 50 55 60 GGC AGT GGA TCA GGG ACA GAT TTT ACT CTT AGC ATC ACC AGT GTG GAT 240 Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Ser Ile Thr Ser Val Asp 65 70 75 80 TCT GAA GAT ATT GCA GAT TAT TAC TGT CAA CAA ACT AAT AGC TGG CCA 288 Ser Glu Asp Ile Ala Asp Tyr Tyr Cys Gln Gln Thr Asn Ser Trp Pro 85 90 95 ACG ACG TTC GGT GGA GGG ACC AAG CTG GAG CTC AAA GTC GAC AAA TCC 336 Thr Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Leu Glu Leu Lys Val Asp Lys Ser 100 105 110 TCA GGA TCT GGC TCC GAA TCC AAA AGC ACG CAG GTC AAA CTC GAG GAG 384 Ser Gly Ser Gly Ser Glu Ser Lys Ser Thr Gln Val Lys Leu Glu Glu 115 120 125 TCT GGA CCT GGC CTG GTG AAA CCT TCT CAG TCT CTG TCC CTC ACC TGC 432 Ser Gly Pro Gly Leu Val Lys Pro Ser Gln Ser Leu Ser Leu Thr Cys 130 135 140 ACT GTC ACT GGC TAC CCA ATC ACC AGT GAT TAT GCC TGG GAC TGG ATC 480 Thr Val Thr Gly Tyr Pro Ile Thr Ser Asp Tyr Ala Trp Asp Trp Ile 145 150 155 160 CGG CAG TTT CCA GGA AAC AAA CTG GAG TGG ATG GGC TAC GTA AGC TAC 528 Arg Gln Phe Pro Gly Asn Lys Leu Glu Trp Met Gly Tyr Val Ser Tyr 165 170 175 AGT GGT AGC ACT GAC TAC AAC CCA TCT CTC AAA AGT CGA ATC TCT ATC 576 Ser Gly Ser Thr Asp Tyr Asn Pro Ser Leu Lys Ser Arg Ile Ser Ile 180 185 190 AGT CGA GAC ACA TCC AAG AAC CAG TTC TTC CTG CAG TTG AAT TCT GTG 624 Ser Arg Asp Thr Ser Lys Asn Gln Phe Phe Leu Gln Leu Asn Ser Val 195 200 205 ACT ACT GAG GAC ACA GCC ACA TAT TAC TGT GCA AGA GGT GGT TTC CCC 672 Thr Thr Glu Asp Thr Ala Thr Tyr Tyr Cys Ala Arg Gly Gly Phe Pro 210 215 220 TAT GCT ATG GAC TAC TGG GGT CAA GGG ACC ACG GTC ACC GTC TCC TCA 720 Tyr Ala Met Asp Tyr Trp Gly Gln Gly Thr Thr Val Thr Val Ser Ser 225 230 235 240 配列番号:2 配列の長さ:717 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 起源: 細胞の種類:ハイブリドーマ クローン名:FERM BP-3529 配列 ATG GAC ATT CAG CTG ACC CAG TCT CCA
GCC ATC CTG TCT GTG AGT CCA 48 Met Asp Ile Gln Leu Thr Gln Ser Pro
Ala Ile Leu Ser Val Ser Pro 1 5
10 15 GGA GAA AGA GTC AGT TTC TCC TGC AGG
GCC AGT CAG ACC ATT GGC ACA 96 Gly Glu Arg Val Ser Phe Ser Cys Arg
Ala Ser Gln Thr Ile Gly Thr 20 25
30 AGC ATA CAC TGG TAT CAG CAA AGA ACA
AAT GGT TCT CCA AGG CTT CTC 144 Ser Ile His Trp Tyr Gln Gln Arg Thr
Asn Gly Ser Pro Arg Leu Leu 35 40
45 ATA AAG TAT GCT TCT GAG TCT ATC TCT
GGG ATC CCT TCC AGG TTT AGT 192 Ile Lys Tyr Ala Ser Glu Ser Ile Ser
Gly Ile Pro Ser Arg Phe Ser 50 55
60 GGC AGT GGA TCA GGG ACA GAT TTT ACT
CTT AGC ATC AAC AAT GTG GAG 240 Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr
Leu Ser Ile Asn Asn Val Glu 65 70
75 80 TCT GAA GAT ATT GCA GAT TAT TAC TGT
CAA CAA ACT AAT ACC TGG CCA 288 Ser Glu Asp Ile Ala Asp Tyr Tyr Cys
Gln Gln Thr Asn Thr Trp Pro 85
90 95 ACG ACG TTC GGC TCG GGG ACC AAG CTG
GAG CTC AAA GTC GAC AAA TCC 336 Thr Thr Phe Gly Ser Gly Thr Lys Leu
Glu Leu Lys Val Asp Lys Ser 100 105
110 TCA GGA TCT GGC TCC GAA TCC AAA AGC
ACG CAG GTC AAA CTC GAG CAG 384 Ser Gly Ser Gly Ser Glu Ser Lys Ser
Thr Gln Val Lys Leu Glu Gln 115 120
125 TCA GGG GGA GGC TTA GTG AAG CCT GGA
GGG TCC CTG AAA CTC TCC TGT 432 Ser Gly Gly Gly Leu Val Lys Pro Gly
Gly Ser Leu Lys Leu Ser Cys 130 135
140 GCA GCC TCT GGA TTC GCT TTC AGT AGT
TAT GAC ATG TCT TGG GTT CGC 480 Ala Ala Ser Gly Phe Ala Phe Ser Ser
Tyr Asp Met Ser Trp Val Arg 145 150
155 160 CAG ACT CCG GAG AAG AGG CTG AAG TGG
GTC GCA ACC TTT AGT AGT GAT 528 Gln Thr Pro Glu Lys Arg Leu Lys Trp
Val Ala Thr Phe Ser Ser Asp 165
170 175 GGT AGT GAC ACC GAC TAT CCA GAC AGT
GTG AAG GGC CGA TTC ACC ATC 576 Gly Ser Asp Thr Asp Tyr Pro Asp Ser
Val Lys Gly Arg Phe Thr Ile 180 185
190 TCC AGA GAC AAT GCC AGG AAC ACC CTG
TAC CTG CAA ATG AGC AGT CTG 624 Ser Arg Asp Asn Ala Arg Asn Thr Leu
Tyr Leu Gln Met Ser Ser Leu 195 200
205 AGG TCT GAG GAC ACG GCC TTG TAT TAC
TGT GCA AGG GGG TAC CCC TAT 672 Arg Ser Glu Asp Thr Ala Leu Tyr Tyr
Cys Ala Arg Gly Tyr Pro Tyr 210 215
220 GCT ATG GAC TAC TGG GGT CAA GGG ACC
ACG GTC ACC GTC TCC TCA 717 Ala Met Asp Tyr Trp Gly Gln Gly Thr
Thr Val Thr Val Ser Ser 215 220
225
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年8月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】ところで、IL−2応答細胞上のIL−2
レセプターは、ともにIL−2との結合能を有する分子
量が約75,000のβ鎖と約55,000のα鎖の2つの糖タンパ
ク質分子からなることが知られている。それぞれの分子
とIL−2との結合の解離定数は、α鎖の場合10
ー8 M、β鎖の場合10 ー9 Mであるが、α鎖とβ鎖の両方
の分子が接してIL−2との三者の会合体が形成された
場合には、解離定数が10 ー12 Mという高親和性の結合
となることが明らかとなっている。また、α鎖のみを発
現している細胞では、IL−2が結合してもなんら応答
反応が生じないが、β鎖、もしくはβ鎖とα鎖の両鎖を
発現している細胞では、IL−2の結合により様々な生
理活性が惹起されることから、IL−2の生理的機能が
発現されるためにはIL−2レセプターのβ鎖の存在が
必須であると考えられるようになってきた。すなわち、
IL−2とβ鎖の結合を阻害できれば、IL−2に対す
る応答が生じなくなるものと推定される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】その選択は例えば以下の様な方法を用いて
行うことができる。すなわち、一次スクリーニングとし
125標識ヒトIL−2を作成し、ハイブリドーマ培
養上清による 125標識ヒトIL−2と、IL−2レセ
プターのβ鎖分子,及びα鎖分子をともに発現している
TL-Mor細胞との結合阻害を測定する。二次スクリーニン
グとして、ハイブリドーマ培養上清による 125標識ヒ
トIL−2と、IL−2レセプターのα鎖のみを発現し
ているヒト成人T細胞白血病ウイルス感染T細胞株であ
るMT-1細胞との結合阻害活性を測定する。TL-Mor細胞と
IL−2との結合阻害活性を有しており、MT-1細胞とI
L−2との結合阻害活性を有していなければ、そのハイ
ブリドーマがIL−2レセプターのβ鎖分子に対する抗
体を産生しているハイブリドーマとなる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正内容】
【0015】 125標識ヒトIL−2の作成法として
は、IL−2が生理活性を有している限り、ボルトン・
ハンター法、ラクトパーオキシダーゼ法、クロラミンー
T法などいかなる方法を用いてもかまわない。また、一
次スクリーニングに用いる細胞は、β鎖、及びα鎖をと
もに発現しているヒト細胞である限り、いかなる細胞を
用いてもかまわない。また、二次スクリーニングに用い
る細胞も、β鎖、あるいはα鎖のいづれか一方を発現し
ているヒト細胞である限り、いかなる細胞を用いてもか
まわない。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正内容】
【0025】
【実施例】 (実施例1、ハイブリドーマの調製)6〜8週令の雌の
BALB/cマウスに、生理食塩水に懸濁したTL-Mor細胞を1
匹あたり1x10個 7 腹腔内投与することにより免疫し
た。その10日後、同様の操作により追加免疫し、更に
その5日後、マウスの眼窩静脈より採血して、後に述べ
る参考例に示す方法に従って 125標識IL−2のTL-Mo
r細胞に対する結合阻害活性を調べることにより抗体価
を測定した。抗体価の高かったマウスを更に同様の操作
にて最終免疫し、その3日後、脾臓を摘出して脾臓細胞
とマウス骨髄腫細胞(SP2/0-Ag14)とを、50%ポリエ
チレングリコール#4000(半井化学社製)存在下に
て細胞数で10:1の割合で混合し、細胞融合させた。
融合細胞を、10%牛胎児血清(ギブコ社製)を含むRP
MI1640培地(ギブコ社製)にて5x10 6 個/mlとな
るように懸濁し、1穴あたり5x10 5 個のマウス胸腺
細胞を含有する96穴平底プレート(コーニング社製)
に100μlずつ分注した。1日、2日、3日、6日後
に培地の半量をヒポキサンチン、アミノプテリン、チミ
ジンを含む培地(HAT培地)と交換し、以後3日ごと
に同様の操作を繰り返した。融合より約2週間後、融合
した細胞(ハイブリドーマ)の増殖してきた各穴の培養
上清について、 125標識IL−2のTL-Mor細胞に対す
る結合阻害活性、及びMT-1細胞に対する結合阻害活性を
測定し、TL-Mor細胞に対する結合阻害活性を有してお
り、MT-1細胞に対する結合阻害活性を有していない穴に
含まれるハイブリドーマを、限界希釈法にてクローン化
した。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正内容】
【0026】更にそれぞれのハイブリドーマクローンの
培養上清中の阻害活性を測定して、抗IL−2レセプタ
ーβ鎖抗体産生ハイブリドーマを得た。更に、得られた
抗IL−2レセプターβ鎖抗体産生ハイブリドーマの培
養上清について、以下の方法にてIL−2の生理活性の
抑制能を調べた。10%牛胎児血清を含むRPMI1640培地
にて2x10 5 個/mlの濃度となるように懸濁したILT
-Mat細胞液を1穴あたり100μlずつ96穴平底マイ
クロプレートに分注して、サンプルの培養上清を50μ
l加え、37℃、30分間インキュベートした。更に、
10%牛胎児血清を含むRPMI1640培地にて200u/m
lに調製したヒトリコンビナントIL−2溶液を50μ
lずつ加えて、5%CO2存在下37℃にて48時間培
養した。最後の4時間は1μCiの3H−チミジン(デ
ュポン社製)を加えて培養し、細胞内に取り込まれた放
射活性量をシンチレーシンカウンター(パッカード社
製)にて測定することにより、培養上清によるIL−2
の生理活性の阻害能を調べた。このような方法にて抗I
L−2レセプターβ鎖に対する抗体を産生するハイブリ
ドーマを調製した。こうして得られたハイブリドーマと
してTU27(FERM BP-2510)、TU25(FERM BP-35
29)がある。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正内容】
【0027】(実施例2、ハイブリドーマより抗体のV
領域cDNAの調製)5x10 6 個のハイブリドーマT
U27、あるいはTU25をPBSにて洗浄後、guanidine
thiocyanate, N-lauryl sarcosine, EDTAを含むRNA
抽出用緩衝液(ファルマシア社製)を加えて懸濁した
後、あらかじめ等容量のCesium Cloride溶液(ρ=1.51g
/ml,ファルマシア社製)を入れたチューブ重層し、12
5,000gにて16時間遠心した。上清を吸い取っ
たのち、1mMEDTAを含む10mMトリス塩酸塩緩衝液
(pH7.5)を加えて懸濁し、新しいチューブに入
れ、65℃で5分間インキュベートした。更に、2M P
otassium Acetate(pH5.0)(ファルマシア社製)
を1/10容量とエタノール(ナカライテスク社製)を
3倍容量加えて、−20℃に一晩放置した。5,000
gにて20分間遠心して、上清を捨てた後、80%エ
タノールにて遠心洗浄し、沈澱を乾燥させた。沈澱を1
mMEDTAを含む10mMトリス塩酸塩緩衝液(pH7.
5)にて溶解してtotalRNA画分とした。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正内容】
【0028】次に、totalRNA画分溶液に、あらかじ
めデザインした抗体のH鎖、L鎖のV領域の3’側に相
補的なプライマー溶液(最終濃度で1μM)、deoxyNTP
混合液、cDNA合成用緩衝液(アマシャム社製)、RN
Aase Inhibitor(宝酒造社製)、及びReverse Transcri
ptase(宝酒造社製)を加えて42℃にて1時間反応さ
せcDNAを合成した。更に、PCR用緩衝液(シータ
ス社製)、deoxyNTP混合液、抗体H鎖、及び抗体L鎖V
領域cDNA増幅用5’側プライマー、及び3’側プラ
イマー(それぞれ最終濃度1μM)、及びTaq Polymera
se(宝酒造社製)を加えPCR(シータス社、サーマル
サイクラー)を行った。反応は変性30秒(94℃)、
アニール30秒(55℃)、プライマーイクステンショ
ン1分(72℃)にて30サイクル行い、各サイクル毎
にプライマーイクステンションの時間を15秒ずつ延長
させた。反応後、1mMEDTAを含む40mMトリス酢酸
緩衝液(pH8.0)にてアガロースゲル電気泳動を行
い、該当するcDNAフラグメントを切り出し、ジーン
クリーンキット(バイオ101社製)を用いて抽出・精
製した。なお、PCRに用いたプライマーの配列を図1
に示した。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正内容】
【0030】次に、同じく図3に示す通り、合成DNA
断片とプラスミドpT13SNcoを制限酵素ClaIとBamHIで切
断して得られる大きい断片を連結して得たプラスミドを
制限酵素EcoRI、PvuII(いずれも宝酒造社製)にて切断
して得られる小さいDNA断片と、pUC18(Messing J.,
Methods in Enzymology, 101巻, 20-78頁, 1983年)の
HindIIIサイトとNdeIサイトを、制限酵素で切断後T4
DNAポリメラーゼ(宝酒造社製)で平滑化し、更にT
4リガーゼを用いて連結することにより消失させたもの
を、EcoRI、HincII(宝酒造社製)にて切断して得られ
る大きいDNA断片とをT4リガーゼにて連結すること
により、複製起点をpUC系とするpFv-DEを得た。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正内容】
【0035】(実施例7、ポリペプチドFv(TU27)、及び
Fv(TU25)の抗体活性の検定)0.5%BSA、0.02%N
aN3を含むRPMI-1640培地に懸濁した5x10 5 個のYT
細胞に、同培地にて適当な濃度に希釈したポリペプチド
Fv(TU27)、TU27抗体、ポリペプチドFv(TU25)及びTU25抗
体を添加し、4℃にて1時間反応した。次に、クロラミ
ンT法により 125標識したTU27抗体、あるいはTU25抗
体を添加し、4°Cにて2時間反応させた後、細胞に結
合した放射活性を測定した。図5に示す通り、ポリペプ
チドFv(TU27)、及びポリペプチドFv(TU25)はそれぞれTU
27モノクローナル抗体(ハイブリドーマ FERM BP-2510
由来)、TU25モノクローナル抗体(ハイブリドーマ、FE
RM BP-3529由来)のYT細胞表面上にあるIL−2レセ
プターβ鎖への結合を阻害する活性を有していることが
明らかとなった。次に、0.5%BSA、0.02%NaN3
を含むRPMI-1640培地に懸濁した5x10 5 個のIL−2
レセプターβ鎖のcDNAを導入したMOLT4細胞に、同
培地にて適当な濃度に希釈したポリペプチドFv(TU27)、
TU27モノクローナル抗体(ハイブリドーマ FERM BP-251
0由来)、ポリペプチドFv(TU25)及びTU25モノクローナ
ル抗体(ハイブリドーマ、FERM BP-3529由来)を添加
し、4°Cにて1時間反応した。次に、ボルトンハンタ
ー法により 125標識したIL−2を添加し、4°Cに
て2時間反応させた後、細胞に結合した放射活性を測定
した。図6に示す通り、ポリペプチドFv(TU27)及びFv(T
U25)はいづれもIL−2のIL−2レセプターβ鎖への
結合を阻害する活性を有していることが明らかとなっ
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 1/21 7236−4B 15/13 15/70 // A61K 37/02 ABC 8314−4C 39/395 U 9284−4C C12N 5/20 15/06 (C12P 21/08 C12R 1:19) (C12P 21/08 C12R 1:91) (C12N 1/21 C12R 1:19) 8931−4B C12N 15/00 C

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(1)ヒトインターロイキン2(以下IL
    −2と略する)受容体重鎖に結合活性を有し、かつ
    (2)IL−2とIL−2受容体重鎖との結合を阻害す
    る活性を有するポリペプチド。
  2. 【請求項2】 ポリペプチドがIL−2受容体重鎖に対
    するモノクローナル抗体のH鎖及びL鎖可変領域(以
    下、V領域と略する)を含む請求項1記載のポリペプチ
    ド。
  3. 【請求項3】 ポリペプチドが配列表の配列番号1記載
    のアミノ酸配列を有する請求項1叉は2記載のポリペプ
    チド。
  4. 【請求項4】 ポリペプチドが配列表の配列番号2記載
    のアミノ酸配列を有する請求項1叉は2記載のポリペプ
    チド。
  5. 【請求項5】 ポリペプチドが配列表の配列番号1記載
    のアミノ酸配列のN末端Metが除かれたものである請
    求項1又は2記載のポリペプチド。
  6. 【請求項6】 ポリペプチドが配列表の配列番号2記載
    のアミノ酸配列のN末端Metが除かれたものである請
    求項1又は2記載のポリペプチド。
  7. 【請求項7】 請求項1、2、3、4、5又は6記載の
    ポリペプチドをコードする遺伝子。
  8. 【請求項8】 遺伝子が配列表の配列番号1記載のDN
    A配列を有する請求項7記載の遺伝子。
  9. 【請求項9】 遺伝子が配列表の配列番号2記載のDN
    A配列を有する請求項7記載の遺伝子。
  10. 【請求項10】 請求項7、8叉は9記載の遺伝子を有
    するプラスミド。
  11. 【請求項11】 請求項10記載のプラスミドを有する
    形質転換体。
  12. 【請求項12】 形質転換体が大腸菌である請求項11
    記載の形質転換体。
  13. 【請求項13】 請求項11叉は12記載の形質転換体
    を培養することにより、目的とする(1)ヒトIL−2
    受容体重鎖に結合活性を有し、かつ(2)IL−2とI
    L−2受容体重鎖との結合を阻害する活性を有するポリ
    ペプチドを生産させた後、該ポリペプチドを取得するこ
    とを特徴とする該ポリペプチドの製造法。
  14. 【請求項14】 請求項1、2、3、4、5又は6記載
    のポリペプチドを含有してなる免疫抑制剤。
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