JPH05301921A - 超高分子量ポリエチレン製造用固体触媒成分 - Google Patents

超高分子量ポリエチレン製造用固体触媒成分

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JPH05301921A
JPH05301921A JP13139692A JP13139692A JPH05301921A JP H05301921 A JPH05301921 A JP H05301921A JP 13139692 A JP13139692 A JP 13139692A JP 13139692 A JP13139692 A JP 13139692A JP H05301921 A JPH05301921 A JP H05301921A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】エチレンの重合に供した際、高活性に作用し、
粒径が小さく、粒度分布が狭くかつ嵩密度の高い超高分
子量ポリエチレンを高収率で得られる固体触媒成分を提
供する。 【構成】ジエトキシマグネシウムとテトラブトキシチタ
ンを加熱混合することによって得られる均一溶液を、−
20〜10℃の温度を保持した炭化水素溶媒の存在下で、四
塩化ケイ素と接触させた後昇温し、40℃以上該炭化水素
溶媒の沸点以下の温度で反応させることにより生成する
微粒状固体組成物を、芳香族ジカルボン酸ジエステルの
共存下、四塩化チタンと接触させ、40〜130℃の温度域
で処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエチレンの重合に供した
際、平均分子量が約150 万以上を示す超高分子量ポリエ
チレンを高収率で得られる超高分子量ポリエチレン製造
用固体触媒成分に関する。
【0002】
【従来の技術】超高分子量ポリエチレンは汎用ポリエチ
レンと較べると著しく粘度が高いので成形加工性が悪い
とされている。この成形加工性を向上させるためにはポ
リエチレンパウダ−の粒径が小さく、その粒度分布が狭
くかつ嵩密度が高いこと等の特性を求められ、併せて触
媒成分当りの重合体の収量が高いという通常の触媒性能
も必要不可欠である。
【0003】このような超高分子量ポリエチレンを得る
ためには適切な固体触媒成分、有機アルミニウム化合物
を選択することが必要であることは知られている。とり
分け固体触媒成分については従来数多くの改良がなさ
れ、提案されている。その主流を占めるものがハロゲン
化マグネシウム、ハロゲン化チタンを必須成分とし、必
要に応じてケイ素化合物等の電子供与性化合物から構成
されているものであるが、ハロゲン化マグネシウムの中
でも特に一般的に用いられている塩化マグネシウムに含
有される塩素と同様、生成重合体に悪影響を及ぼすと共
に、使用される機器の腐食などに問題が残るため、実質
的に塩素の影響を無視し得るほどの高活性が要求された
り、或いは塩化マグネシウムそのものの濃度を低く抑え
るなど、未解決な部分を残していた。
【0004】そこで出発物質として塩化マグネシウムを
用いないものとして特開平2−70710号公報においては、
マグネシウムの含酸素無機化合物、ハロゲン化アルミニ
ウムエ−テラ−ト及びチタン化合物を必須成分として構
成する固体触媒成分が提案されている。
【0005】同公報によれば超高分子量ポリエチレン製
造方法に用いられ固体触媒成分として優れた特性を有し
ているが、触媒成分当りの重合体の収量(触媒活性)が
低く、一段の改善が望まれるものであった。
【0006】本発明者らは、特開平3−24103号におい
て、ジエトキシマグネシウムを、脂肪族ジハロゲン化炭
化水素の存在下に芳香族ジカルボン酸ジエステル及び四
塩化チタンと、二段階処理することによって得られる固
体触媒成分を提案し、平均分子量が200 万以上の超高分
子量ポリエチレンを高収率で得ることに成功している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】然し乍ら、本発明者ら
の開発した前記固体触媒成分を用いることによって得ら
れたポリエチレンは、平均粒径が小さく、その触媒成分
当りの重合体の収量(触媒活性)においても優れた特性
を示したが、粒度分布や嵩密度の点においては充分とは
いえず、更に改善すべき余地を残していた。本発明者ら
は斯る従来技術に残された課題、即ちハロゲン化マグネ
シウムを用いることなく、粒径が小さく、粒度分布の狭
いかつ嵩密度の高い超高分子量ポリエチレンを高活性に
得られる固体触媒成分を開発するために鋭意検討を重ね
た結果、固体触媒成分調製時の中間体組成物を微粒状と
することにより、目的とする固体触媒成分が得られると
の知見に基づき本発明を完成するに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、(a)ジエト
キシマグネシウムと(b)テトラブトキシチタンを加熱
混合することによって得られる均一溶液を、(c)炭化
水素溶媒の存在下に(d)四塩化ケイ素と−20〜10℃の
温度域で接触させた後昇温し、40℃以上該炭化水素溶媒
の沸点以下の温度域で反応させることにより生成する微
粒状固体組成物を、(e)芳香族ジカルボン酸ジエステ
ルの共存下、(f)四塩化チタンと接触させ、しかる後
に40〜130 ℃の温度域で処理することによって得られる
ことを特徴とする超高分子量ポリエチレン製造用固体触
媒成分を提供するものである。
【0009】本発明において使用される(c)炭化水素
溶媒(以下単に(c)物質ということがある。)として
はヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の常温で液
体の脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン等の常温で液
体の芳香族炭化水素が挙げられる。
【0010】本発明において使用される(e)芳香族ジ
カルボン酸ジエステル(以下単に(e)物質ということ
がある。)としては、フタル酸ジエステル類が好まし
く、例えばジメチルフタレ−ト、ジエチルフタレ−ト、
ジプロピルフタレ−ト、ジブチルフタレ−ト、ジイソブ
チルフタレ−ト、ジアミルフタレ−ト、ジイソアミルフ
タレ−ト、エチルブチルフタレ−ト、エチルイソブチル
フタレ−ト、エチルプロピルフタレ−ト、イソオクチル
フタレ−ト等を挙げることができる。
【0011】本発明における(a)ジエトキシマグネシ
ウム(以下単に(a)物質ということがある。)と
(b)テトラブトキシチタン(以下単に(b)物質とい
うことがある。)との均一溶液は、(a)物質と(b)
物質とを撹拌下、50〜150 ℃の温度域で10分以上、好ま
しくは1時間以上混合接触することにより形成する。こ
の際の(a)物質及び(b)物質の使用量比は任意であ
るが、通常(a)物質1gに対し、(b)物質は0.5〜
2.0gの範囲で用いることが好ましい。また、形成され
る均一溶液は高粘度を有するが、操作の容易性を考慮し
てヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の不活性
有機溶媒で希釈して用いることが望ましい。
【0012】斯くの如くして得られた均一溶液を、
(c)炭化水素溶媒(以下単に(c)物質ということが
ある。)の存在下、(d)四塩化ケイ素(以下単に
(d)物質ということがある。)と接触後反応させるこ
とによって微粒状固体組成物を生成させるが、この際の
各物質の使用割合は特に限定されないが、通常(c)物
質は(a)物質1g当り5ml〜100 ml、(d)物質は
(c)物質1ml当り0.05ml〜5mlの範囲で用いられる。
【0013】また、該均一溶液と(d)物質との接触は
(c)物質の存在下、−20〜10℃の温度域で(d)物質
中に徐々に滴下する方法で行なわれる。均一溶液の滴下
終了後昇温し、40℃以上(c)物質の沸点以下の温度域
で反応させることにより、微粒状固体組成物を生成させ
るが、反応時間は10分〜100 時間である。この際該均一
溶液と(d)物質との接触温度が10℃以上になったり、
接触終了後の反応温度が40℃以下の場合は、均一性の高
い微粒状固体組成物を得ることが難しく、結果として所
期の目的を達成するに足る固体触媒成分が調製できなく
なる。
【0014】該微粒状固体組成物は、必要に応じヘプタ
ン等の不活性有機溶媒で洗浄後、(e)物質の共存下、
(f)四塩化チタン(以下単に(f)物質ということが
ある。)と接触処理することにより、本発明の固体触媒
成分となる。この際の各物質の使用割合は通常(a)物
質1gに対し、(e)物質は 0.1〜1.0 g、(f)物質
は 0.1〜1.0 mlの範囲で用いられる。(f)物質は接触
処理に際し、ヘキサン、ヘプタン、デカン、トルエン、
キシレン等の炭化水素溶媒で希釈して用いてもよく、ま
た、(f)物質による接触処理を繰返し行なうことも妨
げない。
【0015】接触処理温度は40〜130 ℃の範囲であり、
接触処理時間は10分〜100 時間の範囲で適宜に定められ
る。以上の如くして調製された固体触媒成分はヘプタン
等の不活性有機溶媒で洗浄することも可能であり、洗浄
後のそのままで或いは洗浄後乾燥した後、有機アルミニ
ウム化合物と組み合わせて超高分子量ポリエチレン製造
用の重合触媒を形成する。
【0016】 は炭化水素基、Xはハロゲン原子1≦n≦3である。)
で表されるものであり、具体的にはトリエチルアルミニ
ウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニ
ウムクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド等が
挙げられる。尚、これ等有機アルミニウム化合物を二種
以上混合して用いることも可能である。
【0017】重合触媒を形成する際の有機アルミニウム
化合物の使用量は、固体触媒成分中のチタン原子のモル
当りモル比で1〜1000の範囲である。重合温度は0〜15
0 ℃、重合圧力は0〜100 kg/cm2・Gである。また、重
合に際してエステル類、ケトン類、アミン類、Si−O
−C結合を有するケイ素化合物等の電子供与性化合物を
添加使用することも可能である。
【0018】
【作用】本発明の固体触媒成分を用いてエチレンの重合
を行なった場合、製造されたポリエチレンは平均分子量
で約150万以上を示し、平均粒径が小さく、嵩密度が高
くかつ粒度分布も狭く、しかも優れた触媒活性を示して
おり、当該分野の固体触媒成分として極めてバランス良
く作用していることを裏付けている。
【0019】
【実施例】以下本発明を実施例により具体的に説明す
る。 実施例1 <固体触媒成分の調製>窒素ガスで充分に置換され、撹
拌機を具備した容量2 lの丸底フラスコにジエトキシマ
グネシウム100 gおよびテトラブトキシチタン124 mlを
装入して懸濁状態とし、130 ℃で6時間撹拌しながら処
理することにより粘度の高い均一溶液を得た。これを90
℃まで冷却後、90℃に予め加熱したトルエン800 mlを加
え、1時間撹拌することにより無色透明な均一溶液を得
た。この均一溶液90mlを、撹拌機を具備した500 mlの丸
底フラスコに装入した0℃のn−ヘプタン150 mlおよび
四塩化ケイ素50ml中に、系内の温度を0℃に保ちつつ、
撹拌数 300 rpmで1時間かけて滴下した。その後、1時
間かけて55℃まで昇温し、1時間反応させることにより
白色の微粒状固体組成物を得た。次いで、室温のn−ヘ
プタン200 mlで5回洗浄し、上澄み液を除去した後、ト
ルエン40mlを加え0℃に冷却した。この中に、四塩化チ
タン20mlを1時間かけて滴下し、ジ−n−ブチルフタレ
−トを1.5 ml添加した後、3時間かけて110 ℃まで昇温
し、2時間処理を行なった。最後に、室温のn−ヘプタ
ン100 mlで7回洗浄することにより約10gの固体触媒成
分を得た。この固体触媒成分中のチタン含有量は3.3 重
量%であった。
【0020】<重合>エチレンガスで完全に置換された
内容積1500mlの撹拌装置付きステンレス製オ−トクレ−
ブにn−ヘプタン700 mlを装入し、20℃においてエチレ
ンガス雰囲気下に保ちつつトリエチルアルミニウム0.70
mmolを装入した。次いで70℃に昇温後、前記固体触媒成
分をチタン原子として0.0052mmol装入し、系内の圧力が
4kg/cm2・G になるようにエチレンを供給しつつ3時間
重合を行なった。濾別後減圧乾燥したところ、215 gの
ポリエチレンパウダ−が得られた。触媒活性を、重合時
間3時間における触媒成分1g当りのポリマ−収量で表
すと、28,500g/g-cat.であった。得られたポリマ−の
嵩密度は0.35g/cm3であり、積算重量50%で表される平
均粒径は160 ミクロンであった。粒度分布の広がり(S
PAN)を(Dp90−Dp10)/Dp50(ここでDpx
は積算重量X%における粒径を示す)で示した場合、S
PAN=0.7 であった。また、このポリマ−のデカリン
(135 ℃)中における極限粘度から求めた平均分子量は
250 万であった。
【0021】実施例2 実施例1において調製したジエトキシマグネシウム及び
テトラブトキシチタンを含む均一溶液を、n−ヘプタン
及び四塩化ケイ素中に滴下する際の撹拌数を400rpmとす
る以外は、実施例1と同様にして固体触媒成分の調製及
び重合を行なった。得られた結果は表.1に示すとおり
である。
【0022】実施例3 実施例1において調製したジエトキシマグネシウム及び
テトラブトキシチタンを含む均一溶液を、n−ヘプタン
及び四塩化ケイ素中に滴下する際の撹拌数を500rpmとす
る以外は、実施例1と同様にして固体触媒成分の調製及
び重合を行なった。得られた結果は表.1に示すとおり
である。
【0023】実施例4 実施例3において得られた固体触媒成分を用い、系内の
圧力を5kg/cm2・Gとする以外は実施例1に記載の条件に
したがって重合を実施したところ、表.1に示すような
結果が得られた。
【0024】実施例5 窒素ガスで充分に置換され、撹拌機を具備した容量2 l
の丸底フラスコにジエトキシマグネシウム50gおよびテ
トラブトキシチタン60mlを装入して懸濁状態とし、130
℃で6時間撹拌しながら処理することにより粘度の高い
均一溶液を得た。これを90℃まで冷却後、90℃に予め加
熱したo−キシレン800 mlを加え、1時間撹拌すること
により無色透明な均一溶液を得た。この均一溶液90ml
を、撹拌機を具備した500 mlの丸底フラスコに装入した
0℃のトルエン150 mlおよび四塩化ケイ素50ml中に、系
内の温度を0℃に保ちつつ、300rpmで1時間かけて滴下
した。その後、1時間かけて55℃まで昇温し、1時間反
応させることにより白色の微粒状固体組成物を得た。次
いで、室温のn−ヘプタン200 mlで5回洗浄し、上澄み
液を除去した後、トルエン40mlを加え0℃に冷却した。
この中に、四塩化チタン20mlを1時間かけて滴下し、ジ
−n−ブチルフタレ−トを0.75ml添加した後、3時間か
けて110 ℃まで昇温し、2時間処理を行なった。最後
に、室温のn−ヘプタン100 mlで7回洗浄することによ
り固体触媒成分を得た。この固体触媒成分を実施例1と
同様の条件でエチレンの重合に供したところ、表.1に
示すような結果が得られた。
【0025】実施例6 実施例5における四塩化ケイ素処理時に共存させる炭化
水素溶媒として、トルエンの代わりにヘプタン150 mlを
使用すること以外は、実施例5と同様にして固体触媒成
分の調製及び重合を試みた。得られた結果は表.1に示
すとおりである。
【0026】
【発明の効果】本発明によって得られた固体触媒成分を
用いてエチレンの重合を行なった場合、平均分子量が15
0 万以上の超高分子量ポリエチレンを高収率で得ること
ができる。それに加えて、本発明の特徴とするところ
は、粒径が小さくしかも粒度分布が狭く、かつ嵩密度の
高い超高分子量ポリエチレンを得ることのできる高活性
固体触媒成分を提供することである。また、触媒調製時
における撹拌条件等の変化により粒度分布が著しく影響
されることがないため、スケ−ルアップが容易であるこ
とや、原料マグネシウム化合物のロスが少ないため、比
較的低いコストで固体触媒成分を製造することができる
等の利点も有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】添付第1図は本発明における固体触媒成分の調
製工程に関するフロ−チャ−トである。
【表1】 表.1 注1) 注2) 実施例No. Ti含有量 触媒活性 嵩密度 平均粒径 SPAN 平均分子量 (wt%) (g-PE/g-cat.) (g/ml) (micron) 2 3.2 28,900 0.35 150 0.6 200万 3 2.9 32,300 0.35 140 0.8 230万 4 2.9 39.300 0.37 150 0.9 230万 5 3.8 35,000 0.36 190 0.6 190万 6 4.2 56,000 0.35 170 1.0 180万 注1) SPAN=(Dp90−Dp10)/Dp50 注2) デカリン( 135℃)中における極限粘度から
の算出値

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)ジエトキシマグネシウムと
    (b)テトラブトキシチタンを加熱混合することによっ
    て得られる均一溶液を、(c)炭化水素溶媒の存在下に
    (d)四塩化ケイ素と−20〜10℃の温度域で接触させた
    後昇温し、40℃以上該炭化水素溶媒の沸点以下で反応さ
    せることにより生成する微粒状固体組成物を、(e)芳
    香族ジカルボン酸ジエステルの共存下、(f)四塩化チ
    タンと接触させ、しかる後に40〜130 ℃の温度域で処理
    することによって得られることを特徴とする超高分子量
    ポリエチレン製造用固体触媒成分。
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