JPH05301829A - cis−ビスアリールシクロブテニルエテンおよびその製造方法 - Google Patents

cis−ビスアリールシクロブテニルエテンおよびその製造方法

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JPH05301829A
JPH05301829A JP1280892A JP1280892A JPH05301829A JP H05301829 A JPH05301829 A JP H05301829A JP 1280892 A JP1280892 A JP 1280892A JP 1280892 A JP1280892 A JP 1280892A JP H05301829 A JPH05301829 A JP H05301829A
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JP
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cis
bisarylcyclobutenylethene
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liquid
room temperature
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JP1280892A
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Naoya Kitamura
直也 北村
Ataru Yokono
中 横野
Fumio Kataoka
文雄 片岡
Fusaji Shoji
房次 庄子
Hisashi Sugiyama
寿 杉山
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Publication date
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明の目的は、引火爆発の危険のある溶剤を
使用すること無く、また、そのためボイドピンホール無
く、低熱膨張性の高耐熱性絶縁材料のアリールシクロブ
テン系ポリマを与える液状モノマ及びオリゴマ、さらに
その製造方法を提供することにある。 【構成】 【化12】 化12に対応する化合物で、Arが任意のアリール基
で、R1,R2およびR3が水素、ハロゲン、アルキル
基、アリール基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、カル
ボキシル基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、
アルコキシカルボニル基、アルキルアミド基、トリアル
キルシリル基、トリアルキルシリルオキシ基から任意に
選ばれる置換基であり、mが1以上3以下、nが1以上
5以下の整数である、室温で液状であることを特徴とす
るcis−ビスアリールシクロブテニルエテンとそのオ
リゴマ及びそれらの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高耐熱性絶縁材料に係
り、さらに詳しくはアリールシクロブテン系ポリマ用液
状モノマ及びオリゴマ、さらにその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ビスアリールシクロブテン系モノマを重
合に充分な温度で加熱することにより得られるポリマに
関しては特公平3−21563号に記載されている。こ
のポリマは、高耐熱性、高絶縁性、低吸水性、接着性を
示すところから、耐熱材料、電子部品用絶縁材料、接着
剤等への応用が考えられている。
【0003】しかしながら上記モノマは室温では固体で
あり、一旦溶融した状態ないしは溶剤に溶解した状態に
して加熱しなければ重合させることができない。したが
って、ポリマを得る際に、工程が多くなったり、また蒸
発する溶剤の引火爆発の危険を伴うなど、問題がある。
特に配線構造体の高分子絶縁膜を用途とした場合、上述
したような溶剤を用いる方法では、形成された絶縁膜中
に溶剤蒸発の際のボイドやピンホールを残すので、薄膜
多層配線基板等の配線構造体を製造する場合には配線の
断線等重大な事故を招きかねない。
【0004】そこで、室温で溶剤を用いることの無い液
状のビスアリールシクロブテン系モノマが望まれるが、
このようなモノマとしては化4に示す特開平1−197
491に開示されたシロキサン構造を持つビスベンゾシ
クロブテンが知られているのみである。
【0005】本発明のビスアリールシクロブテニルエテ
ンとそのオリゴマに関する公知例としては特表昭61−
501572、特公平1−51495があるが、この中
にはビスアリールシクロブテニルエテンの一種であるビ
スベンゾシクロブテニルエテンの製造方法が実施例に示
されるのみで、この化合物の構造を決定したデータの記
載は無く、その実在の証明はない。また、このビスベン
ゾシクロブテニルエテンの合成方法は、エチレンガスを
用いる高圧反応の工程や複雑で高価な触媒系を使用する
反応工程を含むので、その実施に当たってはオートクレ
ープ等の特殊な反応装置が必要であり、また、製造コス
トも高く、より簡便で低コストの合成方法が望まれる。
【0006】一方、アリールシクロブテン系ポリマに
は、これを配線構造体、特に、薄膜多層配線基板の絶縁
膜材に用いた場合、高耐熱性、高絶縁性、低吸水性、接
着性に加えて、特に低熱膨張性が要求される。これは、
薄膜多層配線基板においては、このポリマの絶縁膜が微
細な配線を覆うように用いられるので、ポリマと配線金
属材料の熱膨張率に整合性がないと、基板製造時の熱処
理プロセスで断線、配線の変形、配線と絶縁材の剥離等
の重大事故を引き起こす危険があるからである。上記シ
ロキサン構造を持つビスベンゾシクロブテンから形成さ
れるポリマは6.5〜7.0×10~5℃~1の熱膨張率を
示すことが報告されているが、この値は銅、アルミニウ
ム等の配線金属材料に比べて3〜4倍大きい値であり、
より低熱膨張率を示すアリールシクロブテン系ポリマを
与える液状のビスアリールシクロブテン系モノマが望ま
れる。
【0007】
【化4】
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
したように一旦溶融した状態ないしは溶剤に溶解した状
態にしなければ重合できないという従来の取扱上の欠点
を無くする液状のビスアリールシクロブテン系モノマ
で、かつ、特開平1−197491に開示されたシロキ
サン構造を持つビスベンゾシクロブテンモノマから得ら
れるポリマよりも低い熱膨張係数を示すポリマを与える
cis−ビスアリールシクロブテニルエテン、(cis
−ビスアリールシクロブテニルエテン)オリゴマ、ci
s−ビスアリールシクロブテニルエテンとtrans−
ビスアリールシクロブテニルエテンの混合物より得られ
るオリゴマ及びそれらの製法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、種々のビ
スアリールシクロブテン系モノマを合成し、これらから
得られるポリマの物性を評価した結果、上記課題を解決
する材料として化5に
【0010】
【化5】
【0011】示すcis−ビスアリールシクロブテニル
エテン類が好ましく、更に化6,化7,化8,化9,化
10に示すcis−ビスアリールシクロブテニルエテン
類が好
【0012】
【化6】
【0013】
【化7】
【0014】
【化8】
【0015】
【化9】
【0016】
【化10】
【0017】ましく、この中でも特に化6に示すcis
−ビスベンゾシクロブテニルエテンが好ましいことを見
い出した。これらの化合物は、請求項4〜9により合成
することができる。
【0018】更に本発明を詳しく説明すると、cis−
体であるためにその結晶性が低く、また炭素−炭素二重
結合のアリール環への結合位置が違う位置異性体の混合
物であるために融点降下を示し、室温で液状となったと
考えられるこれらのcis−ビスアリールシクロブテニ
ルエテンは、化11に示すハロメチルアリールシクロブ
テンとトリアルキル(あるいはアリール)ホスフィンの
反応生成物であるアリールシクロブテニルメチルトリア
ルキル(アリール)ホスフォニウム ハイドライドとホ
ルミルアリールシクロブテンとを塩基性条件下、反応さ
せるウィッティッヒ(Wittig)反応により合成することが
できる。
【0019】
【化11】
【0020】ここでAr,R1,R2,R3,m,nは請
求項1と同一の意味を持ち、R4はアルキル基、アリー
ル基から任意に選ばれる置換基を示し、Xはハロゲン原
子を表す。
【0021】この反応の原料となるハロメチルアリール
シクロブテンは、芳香環のハロメチル化反応を利用して
アリールシクロブテンより合成される。このハロメチル
アリールシクロブテンは、芳香環上のハロメチル基の結
合位置の異なる異性体の混合物である。ハロメチル化剤
としては、例えば、ハロゲン化水素−ホルムアルデヒ
ド、ハロゲン化水素−トリオキサン、ハロゲン化水素−
ジメトキシメタン、ハロゲン化水素−ハロゲノメチルエ
ーテル、ハロゲン化水素−ビス(ハロゲノメチル)エー
テル、ハロゲン化水素−1,4−ビス(ハロゲノメトキ
シ)ブタン、ハロゲン化水素−1−クロロ−4−ハロゲ
ノメトキシブタン等が挙げられ、必要に応じて塩化アル
ミニウム、塩化亜鉛、塩化スズ(IV)、硫酸、オルトリ
ン酸等の触媒や、酢酸、ジオキサン、四塩化炭素、クロ
ロホルム、二硫化炭素等の溶媒の使用が可能である。こ
れらの反応系のうち収率、量産性の面で特に優れた組合
せは、濃塩酸−ホルマリン、臭化水素酸−ホルマリンの
ハロゲン化水素−ホルムアルデヒド系の組合せであり無
触媒、無溶媒で実行が可能である。以上のようにして得
られたハロメチルアリールシクロブテンは、トリフェニ
ルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン等のトリア
ルキル(あるいはアリール)ホスフィンと無溶媒あるい
はベンゼン、トルエン、クロロホルム等の溶媒中で定量
的に反応してアリールシクロブテニルメチルトリアルキ
ル(アリール)ホスフォニウム ハイドライドを与え
る。
【0022】また、ホルミルアリールシクロブテンも位
置異性体混合物として同様に芳香環のホルミル化を利用
してアリールシクロブテンより合成される。例えば、ベ
ンゾシクロブテンに、エーテル、テトラクロロエタン、
あるいはベンゼン中で塩化アルミニウムや塩化亜鉛とい
った触媒存在下、シアン化水素と塩化水素、もしくはシ
アン化亜鉛と塩化水素を作用させるGatterman
n反応や塩化アルミニウムと塩化銅(I)存在下、一酸
化炭素と塩化水素を作用させるGattermann−
Koch反応によりホルミルベンゾシクロブテンが合成
される。この他、三フッ化ホウ素触媒存在下、ベンゾシ
クロブテンとフッ化ホルミルの反応によってもホルミル
ベンゾシクロブテンは合成される。また、塩化チタン
(IV)、塩化スズ(IV)や塩化アルミニウム触媒存在
下、ジクロロメチルメチルエーテル、ジクロロメチルn
−ブチルエーテル等のジクロロメチルアルキルエーテル
をベンゾシクロブテンとジクロロメタンや二硫化炭素等
の溶媒中で反応させると温和な反応条件下わずか5〜1
5分でホルミルベンゾシクロブテンを60〜90%の比
較的高収率で合成することができる。さらに、ベンゾシ
クロブテンを塩化ホスホリル、ホスゲン、塩化チオニル
の存在下、N,N−ジメチルホルムアミドやN−メチル
ホルムアニリドと無溶媒あるいはジクロロメタン、クロ
ロホルム、ベンゼン、ジクロロベンゼン等の溶媒中で反
応させるVilsmeier反応によってもホルミルベ
ンゾシクロブテンは合成される。
【0023】室温で液状のcis−ビスアリールシクロ
ブテニルエテンは、上記アリールシクロブテニルメチル
トリアルキル(アリール)ホスフォニウム ハイドライ
ドとホルミルアリールシクロブテンを水酸化ナトリウム
水溶液−ジクロロメタン、ナトリウムエトキシド−エタ
ノール、ナトリウムメトキシド−メタノ−ル/エーテ
ル、ナトリウムエトキシド−ジメチルホルムアミド、ナ
トリウムメトキシド−ジメチルホルムアミド、カリウム
tert−ブトキシド−テトラヒドロフラン、メチルリ
チウム−エーテル/ペンタン、n−ブチルリチウム−エ
ーテル、フェニルリチウム−エーテル、1,5−ジアザ
ビシクロ(4,3,0)ノネン−5−ジメチルスルホキ
シド等の塩基−溶媒系で反応させて、内部二重結合のア
リールシクロブテンの芳香環への結合位置の異なる位置
異性体混合物として合成することができる。また、この
際得られるcis−ビスアリールシクロブテニルエテン
とtrans−ビスアリールシクロブテニルエテンの混
合物に光照射することにより混合物中のcis−体の含
有率を増加させ、収率を向上させることが可能である。
つまり、ベンゼン、ヘキサン、ペンタン等の不活性溶媒
中でベンジル、α−ナフチル、β−ナフチル、ビアセチ
ル等の増感剤存在下、適当なフィルターを通して紫外、
あるいは可視光を照射してtrans−ビスアリールシ
クロブテニルエテンをcis−ビスアリールシクロブテ
ニルエテンに高収率で変換させることが可能である。な
お、上記塩基−溶媒の組合せのうち特にcis−体の含
有量が高いビスアリールシクロブテニルエテン混合物を
与える組合せは水酸化ナトリウム水溶液−ジクロロメタ
ンである。
【0024】以上本発明のcis−ビスアリールシクロ
ブテニルエテンの製造方法においては、アリールシクロ
ブテン環をベンゼン環等のアリール環と同様に扱って合
成反応を行なうことが可能で、そのため、ガス状の合成
原料、特殊な反応装置や高圧の反応条件は必要無く、低
コストでcis−ビスアリールシクロブテニルエテンを
製造することが可能である。
【0025】また、この液状のcis−ビスアリールシ
クロブテニルエテンのオリゴマやcis−ビスアリール
シクロブテニルエテンとtrans−ビスアリールシク
ロブテニルエテンの混合物から得られるオリゴマも液状
である。この液状オリゴマを与えるcis−ビスアリー
ルシクロブテニルエテンとtrans−ビスアリールシ
クロブテニルエテンの混合物のcis:trans比
は、好ましくは99:1〜1:99で、更に好ましくは
99:1〜40:60で、最も好ましくは99:1〜6
0:40(モル比)の範囲である。これらのオリゴマ
は、各モノマあるいはモノマ混合物を180〜200℃
で数十分〜数時間加熱部分重合させることによりゲル化
させることなく、最高60%の反応率で合成することが
でき、若干のモノマの蒸発が問題になる用途や高粘度の
ポリマ前駆体が要求される用途に使用される。
【0026】更に本発明の液状ビスアリールシクロブテ
ニルエテンから形成されるアリールシクロブテン系ポリ
マは、化4に示す特開平1−197491に開示された
シロキサン構造を持つビスベンゾシクロブテンから形成
されたアリールシクロブテン系ポリマより低い熱膨張率
を示し、銅,アルミニウム等の配線金属材料に比べて約
1.5倍である。この低熱膨張性は、化4に示す特開平
1−197491に開示されたビスベンゾシクロブテン
から形成されたアリールシクロブテン系ポリマが、モノ
マ由来の屈曲性に富むシロキサン構造を含むのに対し
て、本発明の液状ビスアリールシクロブテニルエテンか
ら形成されるアリールシクロブテン系ポリマは、剛直な
二重構造を含み、また、上記シロキサン構造よりこの二
重結合は短いので架橋密度が高くなるためと考えられ
る。
【0027】
【作用】cis−体、あるいは、オリゴマであるために
結晶性が低く、また、位置異性体を含むハロメチルアリ
ールシクロブテンとホルミルアリールシクロブテンから
合成されるために同様に位置異性体の混合物となって融
点降下を起こし、液状となる上記cis−ビスアリール
シクロブテニルエテン、(cis−ビスアリールシクロ
ブテニルエテン)オリゴマ及びcis−ビスアリールシ
クロブテニルエテンとtrans−ビスアリールシクロ
ブテニルエテンの混合物より得られるオリゴマは、室温
で固体のビスアリールシクロブテン系モノマより短い工
程でアリールシクロブテン系ポリマを形成することがで
きる。また、溶剤を使用する必要がないので形成された
ポリマ膜中に溶剤蒸発の際のボイドやピンホールが残ら
ず、薄膜多層配線基板等の配線構造体を製造する際に配
線の断線等の重大な事故が無い。
【0028】また、本発明のcis−ビスアリールシク
ロブテニルエテン、(cis−ビスアリールシクロブテ
ニルエテン)オリゴマ及びcis−ビスアリールシクロ
ブテニルエテンとtrans−ビスアリールシクロブテ
ニルエテンの混合物より得られるオリゴマから形成され
るアリールシクロブテン系ポリマは、シロキサン構造の
ような長く屈曲性に富む構造とは対照的な、剛直で短い
二重結合を含むので、従来の特開平1−197491に
開示されるシロキサン構造を持つビスベンゾシクロブテ
ンから形成されるベンゾシクロブテン系ポリマより低熱
膨張性を示す。
【0029】
【実施例】下記の実施例は説明のためであり本発明の範
囲を制限しない。
【0030】実施例1 1,2−ジハロ(ブロモあるいはヨード)ベンゾシクロ
ブテンの合成 撹拌装置、還流冷却管、温度計、窒素導入管を装着した
3lセパラブルフラスコにα,α,α’,α’−テトラ
ブロモ−o−キシレン275.3g(0.653mo
l)、ヨウ化ナトリウム487.8g(3.25mo
l)、エタノール2650mlを仕込み、100cc/分
の窒素気流下、還流させながら48時間反応させた。副
生した臭化ナトリウムを反応液から瀘別したのち、エタ
ノールをロータリーエバポレータで除去し、残渣を20
%亜硫酸ナトリウム水溶液2500mlに投入し、生成
物をジクロロメタン300mlで3回抽出した。この抽
出液を20%亜硫酸ナトリウム水溶液200mlで1
回、水200mlで4回洗浄し、無水硫酸マグネシウム
で乾燥後、ジクロロメタンをロータリーエバポレータで
除去して、粗収量157.32g(収率79%)で1,
2−ジハロ(含有比ブロモ:ヨード=54:46モル
%)ベンゾシクロブテンを得た。構造の同定は以下に示
すNMR、IRスペクトルにより行った。NMRスペク
トル(CDCl3)δ(ppm)、6.77〜7.50
(多重項、4H、ベンゼン環)、5.30〜5.57
(多重項、2H、シクロブテン環)。IRスペクトル
(KBr板、cm~1)、3080(ベンゼン環、νC−
H)、1470(シクロブテン環、δC−H)、121
0、1185、760(ベンゼン環、δC−H)、59
0、570、550(νC−ハロゲン)。
【0031】ベンゾシクロブテンの合成 撹拌装置、還流冷却管、温度計、窒素導入管を装着した
1l四つ口フラスコに1,2−ジハロベンゾシクロブテ
ン259.2g(0.850mol)、塩化トリブチル
スズ171.2g(0.588mol)、あらかじめモ
レキュラーシーブ5Åにより乾燥したテトラヒドロフラ
ン360mlを仕込んだ。窒素100cc/分の気流下、
水素化リチウムアルミニウムを少量ずつ添加し、反応熱
で溶液温度が50℃に達した時点でオイルバスを装着し
て昇温を開始した。反応溶液を穏やかに還流させながら
さらに少量ずつ水素化リチウムアルミニウムを添加し、
総添加量が25.64g(0.676mol)に達した
時点(総添加時間5.5時間)で添加を止め、反応溶液
を室温まで冷却した。2l三角フラスコに移した反応溶
液に、飽和硫酸ナトリウム水溶液70mlを発泡に気を
つけながら徐々に加えた後、さらにジクロロメタン50
0mlを加えて一昼夜放置した。生成した沈殿を瀘別
し、瀘液からジクロロメタン、テトラヒドロフランをロ
ータリーエバポレータで除去した後、残渣を減圧下(3
mmHg)、室温で7時間、60〜70℃で4時間加熱し
て、揮発成分を液体窒素トラップ中に回収した。回収揮
発成分を常圧蒸留し、151〜152℃の無色留分5
5.56g(収率53%)を得た。この留分は以下のN
MR、IRスペクトルによりベンゾシクロブテンと同定
された。NMRスペクトル(CDCl3)δ(pp
m)、6.78〜7.30(多重項、4H、ベンゼン
環)、3.13(一重項、4H、シクロブテン環)。I
Rスペクトル(KBr板、cm~1)、2840〜308
0(ベンゼン環、シクロブテン環、νC−H)、147
0(シクロブテン環、δC−H)、790、730(ベ
ンゼン環、δC−H)。
【0032】クロロメチルベンゾシクロブテンの合成 撹拌装置、還流冷却管、温度計を装着した1lセパラブ
ルフラスコにベンゾシクロブテン56.06g(0.5
38mol)、ホルマリン44.68g(ホルムアルデ
ヒドとして0.551mol)、濃塩酸398.5gを
仕込み、激しく撹拌しながら65〜70℃で6時間反応
させた。反応溶液を室温まで冷却した後氷水700ml
に投入し、生成物をジエチルエーテル500,200,
200mlで3回抽出した。この抽出液を水200ml
で1回、5%水酸化ナトリウム水溶液200mlで1
回、さらに水200mlで3回洗浄し、無水硫酸マグネ
シウムで乾燥した後、ジエチルエーテルをロータリーエ
バポレータで除去した。残渣から減圧下(3mmHg)、
50〜60℃で5時間加熱して未反応のベンゾシクロブ
テンを液体窒素トラップ中に回収した後、n−ヘキサン
を展開溶媒にしたシリカゲルカラムクロマトグラフィに
よりRf値0.53の無色の液体35.30g(収率4
6%)を分取した。この留分は以下のNMR(図1)、
IRスペクトル(図2)とガスクロマトグラフィーによ
り3−体:4−体=5:95(モル比)のクロロメチル
ベンゾシクロブテン混合物と同定された。NMRスペク
トル(CDCl3)δ(ppm)、6.86〜7.30
(多重項、3H、ベンゼン環)、4.50(一重項、2
H、クロロメチル基)、3.11(一重項、4H、シク
ロブテン環)。IRスペクトル(KBr板、cm~1)、
2850〜3090(ベンゼン環、シクロブテン環、ν
C−H)、1480、1440(シクロブテン環、δC
−H)、720(ベンゼン環、δC−H)、680(ν
C−Cl)。
【0033】ホルミルベンゾシクロブテンの合成 滴下ロート、還流冷却管、温度計、窒素導入管を装着し
た1l四つ口フラスコに、四塩化チタン181.73g
(0.958mol)と塩化カルシウムで乾燥したジク
ロロメタン300mlを仕込んだ。次いでこの溶液をメ
カニカルスターラーで撹拌し氷浴中で3℃に保ちながら
ベンゾシクロブテン52.07g(0.500mol)
を加え、さらに滴下ロートからジクロロメチルメチルエ
ーテル57.50g(0.500mol)を急激な反応
温度の上昇による突沸に気をつけながら加えた。室温で
さらに15分反応させた後、反応溶液を氷水2000m
lに突沸させないように静かに投入し、生成物をジクロ
ロメタン300mlで3回抽出した。この抽出液を水4
00mlで1回、15%塩酸水溶液200mlで2回、
さらに水400mlで5回洗浄し、無水硫酸マグネシウ
ムで乾燥した後、ジクロロメタンをロータリーエバポレ
ータで除去した。残渣を減圧蒸留し、60〜62℃/3
mmHgの無色の留分45.01g(収率68%)を得
た。この留分は以下のNMR(図3)、IRスペクトル
(図4)とガスクロマトグラフィーにより3−体:4−
体=5:95(モル比)のホルミルベンゾシクロブテン
混合物と同定された。NMRスペクトル(CDCl3
δ(ppm)、9.89(一重項、1H、ホルミル
基)、7.05〜7.87(多重項、3H、ベンゼン
環)、3.18(一重項、4H、シクロブテン環)。I
Rスペクトル(KBr板、cm~1)、2770〜308
0(ベンゼン環、シクロブテン環、νC−H)、170
0(νC=O)、1600(ベンゼン核)、1440
(シクロブテン環、δC−H)、1225、1210、
835(ベンゼン環、δC−H)。
【0034】cis−ビスベンゾシクロブテニルエテン
の合成 クロロメチルベンゾシクロブテンとトリフェニルホスフ
ィンを等モル、還流ベンゼン中で反応させることにより
定量的に得られたベンゾシクロブテニルメチルトリフェ
ニルホスフォニウム クロリド124.47g(0.3
00mol)、ホルミルベンゾシクロブテン39.61
g(0.300mol)、ジクロロメタン250mlを
滴下ロート、温度計を装着した1l三口フラスコに仕込
み、この懸濁液にメカニカルスターラーで撹拌しながら
滴下ロートから23%水酸化ナトリウム水溶液を10分
間かけて加えた。2時間室温で反応させた後、1000
mlの水に反応溶液を投入し、生成物をジクロロメタン
150mlで3回抽出した。この抽出液を10%塩酸水
溶液200mlで1回、水200mlで3回洗浄し、無
水硫酸マグネシウムで乾燥した後、ジクロロメタンをロ
ータリーエバポレータで除去した。残渣からベンゼンを
展開溶媒にしたシリカゲルカラムクロマトグラフィーに
より副生物のトリフェニルホスフィンオキシドを除去
し、更に得られた残渣からn−ヘキサンを展開溶媒にし
たシリカゲルカラムクロマトグラフィーによりRf値
0.43の留分24.77g(収率48%)を得た。こ
の留分は以下に示すNMR(図5)、IRスペクトル
(図6)とガスクロマトグラフィーよりcis−4,4
−ビスベンゾシクロブテニルエテンとcis−3,4−
ビスベンゾシクロブテニルエテンの92:8(モル比)
混合物と同定された。また、以下に示すNMR(図
7)、IRスペクトル(図8)より同定されるtran
s−ビスベンゾシクロブテニルエテンもRf値0.31
の留分として分取され、ベンゼンから再結晶されて13
0〜131℃の融点を示す無色の板状結晶として収量2
3.68g(収率46%)で単離された。NMRスペク
トル(CDCl3)δ(ppm)、cis−体;6.7
6〜7.27(多重項、6H、ベンゼン環)、6.47
(一重項、2H、内部二重結合)3.07(一重項、8
H、シクロブテン環)、trans−体;6.85〜
7.40(多重項、8H、ベンゼン環、内部二重結
合)、3.13(一重項、8H、シクロブテン環)。I
Rスペクトル、cis−体(KBr板、cm~1);285
0〜3080(ベンゼン環、内部二重結合、シクロブテ
ン環、νC−H)、1480、1435(シクロブテン
環、δC−H)、1210、900、820(ベンゼン
環、δC−H)、960、710(内部二重結合、δC
−H)、trans−体(KBr錠剤法、cm~1);28
40〜3080(ベンゼン環、内部二重結合、シクロブ
テン環、νC−H)、1480、1430(シクロブテ
ン環、δC−H)1220、885、840(ベンゼン
環、δC−H)、974(内部二重結合、δC−H)。
【0035】実施例2 クロロメチルベンゾシクロブテンの合成 滴下ロート、撹拌装置、温度計を装着した200ml三
つ口フラスコにベンゾシクロブテン25.11g(0.
241mol)と塩化亜鉛5.59g(0.041mo
l)を仕込んだ。この懸濁液を3℃に保ってクロロメチ
ルメチルエーテル23.27g(0.289mol)を
滴下ロートから滴下した。室温でさらに6時間反応させ
た後、反応溶液を氷水1000mlに投入し、生成物を
ジクロロメタン200mlで3回抽出した。この抽出液
を水200mlで3回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで
乾燥した後、ジクロロメタンをロータリーエバポレータ
で除去した。残渣を減圧蒸留し、119〜121℃/1
8mmHgの無色の留分14.35g(収率39%)を得
た。この留分は実施例1同様のスペクトルデータより3
−体:4−体=5:95(モル比)のクロロメチルベン
ゾシクロブテン混合物と同定された。
【0036】ホルミルベンゾシクロブテンの合成 ドライアイス−アセトン浴で冷却しながら500mlナ
スフラスコに仕込んだN,N−ジメチルホルムアミド2
50mlに滴下ロートから湿気を避けて仕込んだ塩化ホ
スホリル82.30g(0.537mol)を滴下し
た。この溶液を撹拌装置、滴下ロート、温度計を装着し
た1l三つ口フラスコに仕込んだベンゾシクロブテン5
2.07g(0.500mol)のN,N−ジメチルホ
ルムアミド400ml溶液に滴下ロートからゆっくり加
えた。20分後、反応溶液を水2500mlに投入し、
次いで10%アルカリ水溶液500mlを加えてアルカ
リ性とし、生成物をジクロロメタン300mlで3回抽
出した。この抽出液を水400mlで5回洗浄し、無水
硫酸マグネシウムで乾燥した後、ジクロロメタンをロー
タリーエバポレータで除去した。残渣を実施例1同様に
精製、分析し3−体:4−体=5:95(モル比)のホ
ルミルベンゾシクロブテン混合物35.80g(収率5
4%)を得た。
【0037】cis−ビスベンゾシクロブテニルエテン
の合成 撹拌装置、滴下ロート、還流冷却管、温度計を装着した
300ml三つ口フラスコに仕込んだエタノール140
mlに金属ナトリウム1.45g(0.63mol)を
小片に分けて穏やかに還流させながら加えた。さらに4
時間還流させた後、室温まで冷却したこの溶液にベンゾ
シクロブテニルメチルトリフェニルホスフォニウム ク
ロリド23.40g(0.0564mol)をエタノー
ル70mlに溶解した溶液を加え、1時間室温で撹拌し
た後、ホルミルベンゾシクロブテン7.20g(0.0
545mol)を加えて72時間室温で反応させた。反
応溶液を水2000mlに投入し、生成物をジクロロメ
タン200mlで3回抽出した。この抽出液を5%塩酸
水溶液300mlで2回、水300mlで5回洗浄し、
無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、ジクロロメタンを
ロータリーエバポレータで除去した。残渣を実施例1同
様に精製し、cis−体とtrans−体のビスベンゾ
シクロブテニルエテン混合物8.88g(収率70%)
を得た。この混合物は、そのNMRスペクトルよりci
s−体:trans−体=38:62(モル比)の混合
物であった。得られたcis−ビスベンゾシクロブテニ
ルエテンとtrans−ビスベンゾシクロブテニルエテ
ンの38:62(モル比)混合物5.81g(0.02
5mol)と増感剤としてベンジル5.26g(0.0
25mol)をベンゼン500mlに溶かし、この溶液
を30mlずつパイレックス管に入れ、窒素置換した
後、外部光照射装置(メリーゴーラウンド)を用い、溶
液フィルター(68mlのアンモニア水を希釈して1l
とし、40gの硫酸銅(CuSO4・5H2O)を加え
る)により、450W高圧水銀灯から取り出した435
nm光を60分間照射した。反応溶液からベンゼンをロ
ータリーエバポレータで除去した。残渣からn−ヘキサ
ンを展開溶媒にしたシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ーによりcis−ビスベンゾシクロブテニルエテン5.
31g(収率92%)を分離した。このcis−ビスベ
ンゾシクロブテニルエテンはガスクロマトグラフィーに
よりcis−4,4−ビスベンゾシクロブテニルエテン
とcis−3,4−ビスベンゾシクロブテニルエテンの
90:10(モル比)混合物であることがわかった。
【0038】実施例3 (cis−ビスベンゾシクロブテニルエテン)オリゴマ
の合成 cis−ビスベンゾシクロブテニルエテン2gを窒素導
入管を装着した50ml三つ口フラスコに仕込み、窒素
気流下、180℃で4時間反応させた。生成物は、25
℃で8500センチポアズの粘度を示す黄色のオイルで
あった。また、この生成物は、そのNMRスペクトル
(図9)より40%のシクロブテン環が開環しており、
またDSC曲線にモノマの融点に相当する吸熱ピークが
観察されないところからモノマ成分を含まないオリゴマ
混合物であることがわかった。
【0039】実施例4 (cis−ビスベンゾシクロブテニルエテン)ポリマの
合成 実施例3同様に実施例2で合成したcis−ビスベンゾ
シクロブテニルエテンとtrans−ビスベンゾシクロ
ブテニルエテンの38:62(モル比)混合物2gを2
00℃で45分反応させて生成した液状オリゴマ(シク
ロブテン環反応率54%)をガラス板に1mmの厚さにキ
ャストし、さらに窒素中250℃で1時間加熱硬化し
た。得られた黄色のポリマ片は、TMA分析によりガラ
ス転移点300℃、熱膨張係数3.0×10~5℃~1を、
また、TGA分析により430℃の重量減少開始温度を
それぞれ示した。
【0040】実施例5 (ビスベンゾシクロブテニルエテン)ポリマの平坦性評
価 図10に示すアルミニウムの高さ10μm、70μmと
130μmのライン&スペースパターンを設けたシリコ
ンウエハー上に、実施例1で合成したcis−ビスベン
ゾシクロブテニルエテンを用いて厚さ11μmのベンゾ
シクロブテンポリマ膜3を形成した。アルミニウムパタ
ーン上に生じたポリマ膜の段差5は1.2μmで、数1
の定義よりこのポリマ膜の平坦化度は90%となり、多
層配線基板などの配線構造体の一般的な絶縁膜材料とし
て知られるポリイミドの代表例であるPIQ(日立化成
商品名)を用いて同様に算出した平坦化度20%に比べ
て極めて優れていた。
【0041】
【数1】平坦化度=100×(1−ポリマ膜形成後段差
5/アルミニウムパターン高さ4)
【0042】
【発明の効果】本発明のビスアリールシクロブテニルエ
テンモノマあるいはオリゴマは、液状であるので溶剤を
用いること無く、コーティング条件の選択、オリゴマの
粘度の調整により、一回の塗布で所要の膜厚にボイド・
ピンホール等の欠陥無く、しかも平坦性に優れたベンゾ
シクロブテン系ポリマ膜を形成することができる。しか
も、このポリマは、薄膜多層配線基板等に用いられる
銅,アルミニウム等の配線金属材料とほぼ同じ熱膨張率
を示すので、本発明の液状ビスアリールシクロブテニル
エテンモノマあるいはオリゴマから得られたポリマを配
線構造体、特に薄膜多層配線基板の絶縁膜として用いた
場合、配線金属との熱膨張係数の整合性より薄膜多層配
線基板の製造プロセスにおいて配線にほとんど機械的ス
トレスを残さず断線、配線の変形、配線と絶縁膜の剥離
等の重大事故無く、高い信頼性の薄膜多層配線基板を提
供することができる。さらに、一回の塗布で所要の膜厚
にボイド・ピンホール等の欠陥無く、平坦性に優れた絶
縁膜を形成できるので絶縁膜の研削・研磨工程が省略で
き、薄膜多層配線基板の製造期間短縮に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】クロロメチルベンゾシクロブテンのNMRスペ
クトルを示す図である。
【図2】クロロメチルベンゾシクロブテンのIRスペク
トルを示す図である。
【図3】ホルミルベンゾシクロブテンのNMRスペクト
ルを示す図である。
【図4】ホルミルベンゾシクロブテンのIRスペクトル
を示す図である。
【図5】cis−4,4−ビスベンゾシクロブテニルエ
テンとcis−3,4−ビスベンゾシクロブテニルエテ
ンの92:8(モル比)混合物のNMRスペクトルを示
す図である。
【図6】cis−4,4−ビスベンゾシクロブテニルエ
テンとcis−3,4−ビスベンゾシクロブテニルエテ
ンの92:8(モル比)混合物のIRスペクトルを示す
図である。
【図7】trans−ビスベンゾシクロブテニルエテン
のNMRスペクトルを示す図である。
【図8】trans−ビスベンゾシクロブテニルエテン
のIRスペクトルを示す図である。
【図9】(cis−ビスベンゾシクロブテニルエテン)
オリゴマのNMRスペクトルを示す図である。
【図10】本発明による液状cis−ビスベンゾシクロ
ブテニルエテンから得られたポリマ膜を備えたシリコン
基板の断面図である。
【符号の説明】
1…シリコン基板、2…アルミニウムパターン、3…c
is−ビスベンゾシクロブテニルエテンポリマ膜、4…
アルミニウムパターン高さ、5…cis−ビスベンゾシ
クロブテニルエテンポリマ膜段差
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年12月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高耐熱性絶縁材料に係
り、さらに詳しくはアリールシクロブテン系ポリマ用液
状モノマ及びオリゴマ、さらにその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ビスアリールシクロブテン系モノマを重
合に充分な温度で加熱することにより得られるポリマに
関しては特公平3−21563号に記載されている。こ
のポリマは、高耐熱性、高絶縁性、低吸水性、接着性を
示すところから、耐熱材料、電子部品用絶縁材料、接着
剤等への応用が考えられている。
【0003】しかしながら上記モノマは室温では固体で
あり、一旦溶融した状態ないしは溶剤に溶解した状態に
して加熱しなければ重合させることができない。したが
って、ポリマを得る際に、工程が多くなったり、また蒸
発する溶剤の引火爆発の危険を伴うなど、問題がある。
特に配線構造体の高分子絶縁膜を用途とした場合、上述
したような溶剤を用いる方法では、形成された絶縁膜中
に溶剤蒸発の際のボイドやピンホールを残すので、薄膜
多層配線基板等の配線構造体を製造する場合には配線の
断線等重大な事故を招きかねない。
【0004】そこで、室温で溶剤を用いることの無い液
状のビスアリールシクロブテン系モノマが望まれるが、
このようなモノマとしては化4に示す特開平1−197
491に開示されたシロキサン構造を持つビスベンゾシ
クロブテンが知られているのみである。
【0005】本発明のビスアリールシクロブテニルエテ
ンとそのオリゴマに関する公知例としては特表昭61−
501572、特公平1−51495があるが、この中
にはビスアリールシクロブテニルエテンの一種であるビ
スベンゾシクロブテニルエテンの製造方法が実施例に示
されるのみで、この化合物の構造を決定したデータの記
載は無く、その実在の証明はない。また、このビスベン
ゾシクロブテニルエテンの合成方法は、エチレンガスを
用いる高圧反応の工程や複雑で高価な触媒系を使用する
反応工程を含むので、その実施に当たってはオートクレ
ープ等の特殊な反応装置が必要であり、また、製造コス
トも高く、より簡便で低コストの合成方法が望まれる。
【0006】一方、アリールシクロブテン系ポリマに
は、これを配線構造体、特に、薄膜多層配線基板の絶縁
膜材に用いた場合、高耐熱性、高絶縁性、低吸水性、接
着性に加えて、特に低熱膨張性が要求される。これは、
薄膜多層配線基板においては、このポリマの絶縁膜が微
細な配線を覆うように用いられるので、ポリマと配線金
属材料の熱膨張率に整合性がないと、基板製造時の熱処
理プロセスで断線、配線の変形、配線と絶縁材の剥離等
の重大事故を引き起こす危険があるからである。上記シ
ロキサン構造を持つビスベンゾシクロブテンから形成さ
れるポリマは6.5〜7.0×10~5℃~1の熱膨張率を
示すことが報告されているが、この値は銅、アルミニウ
ム等の配線金属材料に比べて3〜4倍大きい値であり、
より低熱膨張率を示すアリールシクロブテン系ポリマを
与える液状のビスアリールシクロブテン系モノマが望ま
れる。
【0007】
【化4】
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
したように一旦溶融した状態ないしは溶剤に溶解した状
態にしなければ重合できないという従来の取扱上の欠点
を無くする液状のビスアリールシクロブテン系モノマ
で、かつ、特開平1−197491に開示されたシロキ
サン構造を持つビスベンゾシクロブテンモノマから得ら
れるポリマよりも低い熱膨張係数を示すポリマを与える
cis−ビスアリールシクロブテニルエテン、(cis
−ビスアリールシクロブテニルエテン)オリゴマ、ci
s−ビスアリールシクロブテニルエテンとtrans−
ビスアリールシクロブテニルエテンの混合物より得られ
るオリゴマ及びそれらの製法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、種々のビ
スアリールシクロブテン系モノマを合成し、これらから
得られるポリマの物性を評価した結果、上記課題を解決
する材料として化5に
【0010】
【化5】
【0011】示すcis−ビスアリールシクロブテニル
エテン類が好ましく、更に化6,化7,化8,化9,化
10に示すcis−ビスアリールシクロブテニルエテン
類が好
【0012】
【化6】
【0013】
【化7】
【0014】
【化8】
【0015】
【化9】
【0016】
【化10】
【0017】ましく、この中でも特に化6に示すcis
−ビスベンゾシクロブテニルエテンが好ましいことを見
い出した。これらの化合物は、請求項4〜9により合成
することができる。
【0018】更に本発明を詳しく説明すると、cis−
体であるためにその結晶性が低く、また炭素−炭素二重
結合のアリール環への結合位置が違う位置異性体の混合
物であるために融点降下を示し、室温で液状となったと
考えられるこれらのcis−ビスアリールシクロブテニ
ルエテンは、化11に示すハロメチルアリールシクロブ
テンとトリアルキル(あるいはアリール)ホスフィンの
反応生成物であるアリールシクロブテニルメチルトリア
ルキル(アリール)ホスフォニウム ハイドライドとホ
ルミルアリールシクロブテンとを塩基性条件下、反応さ
せるウィッティッヒ(Wittig)反応により合成することが
できる。
【0019】
【化11】
【0020】ここでAr,R1,R2,R3,m,nは請
求項1と同一の意味を持ち、R4はアルキル基、アリー
ル基から任意に選ばれる置換基を示し、Xはハロゲン原
子を表す。
【0021】この反応の原料となるハロメチルアリール
シクロブテンは、芳香環のハロメチル化反応を利用して
アリールシクロブテンより合成される。このハロメチル
アリールシクロブテンは、芳香環上のハロメチル基の結
合位置の異なる異性体の混合物である。ハロメチル化剤
としては、例えば、ハロゲン化水素−ホルムアルデヒ
ド、ハロゲン化水素−トリオキサン、ハロゲン化水素−
ジメトキシメタン、ハロゲン化水素−ハロゲノメチルエ
ーテル、ハロゲン化水素−ビス(ハロゲノメチル)エー
テル、ハロゲン化水素−1,4−ビス(ハロゲノメトキ
シ)ブタン、ハロゲン化水素−1−クロロ−4−ハロゲ
ノメトキシブタン等が挙げられ、必要に応じて塩化アル
ミニウム、塩化亜鉛、塩化スズ(IV)、硫酸、オルトリ
ン酸等の触媒や、酢酸、ジオキサン、四塩化炭素、クロ
ロホルム、二硫化炭素等の溶媒の使用が可能である。こ
れらの反応系のうち収率、量産性の面で特に優れた組合
せは、濃塩酸−ホルマリン、臭化水素酸−ホルマリンの
ハロゲン化水素−ホルムアルデヒド系の組合せであり無
触媒、無溶媒で実行が可能である。以上のようにして得
られたハロメチルアリールシクロブテンは、トリフェニ
ルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン等のトリア
ルキル(あるいはアリール)ホスフィンと無溶媒あるい
はベンゼン、トルエン、クロロホルム等の溶媒中で定量
的に反応してアリールシクロブテニルメチルトリアルキ
ル(アリール)ホスフォニウム ハイドライドを与え
る。
【0022】また、ホルミルアリールシクロブテンも位
置異性体混合物として同様に芳香環のホルミル化を利用
してアリールシクロブテンより合成される。例えば、ベ
ンゾシクロブテンに、エーテル、テトラクロロエタン、
あるいはベンゼン中で塩化アルミニウムや塩化亜鉛とい
った触媒存在下、シアン化水素と塩化水素、もしくはシ
アン化亜鉛と塩化水素を作用させるGatterman
n反応や塩化アルミニウムと塩化銅(I)存在下、一酸
化炭素と塩化水素を作用させるGattermann−
Koch反応によりホルミルベンゾシクロブテンが合成
される。この他、三フッ化ホウ素触媒存在下、ベンゾシ
クロブテンとフッ化ホルミルの反応によってもホルミル
ベンゾシクロブテンは合成される。また、塩化チタン
(IV)、塩化スズ(IV)や塩化アルミニウム触媒存在
下、ジクロロメチルメチルエーテル、ジクロロメチルn
−ブチルエーテル等のジクロロメチルアルキルエーテル
をベンゾシクロブテンとジクロロメタンや二硫化炭素等
の溶媒中で反応させると温和な反応条件下わずか5〜1
5分でホルミルベンゾシクロブテンを60〜90%の比
較的高収率で合成することができる。さらに、ベンゾシ
クロブテンを塩化ホスホリル、ホスゲン、塩化チオニル
の存在下、N,N−ジメチルホルムアミドやN−メチル
ホルムアニリドと無溶媒あるいはジクロロメタン、クロ
ロホルム、ベンゼン、ジクロロベンゼン等の溶媒中で反
応させるVilsmeier反応によってもホルミルベ
ンゾシクロブテンは合成される。
【0023】室温で液状のcis−ビスアリールシクロ
ブテニルエテンは、上記アリールシクロブテニルメチル
トリアルキル(アリール)ホスフォニウム ハイドライ
ドとホルミルアリールシクロブテンを水酸化ナトリウム
水溶液−ジクロロメタン、ナトリウムエトキシド−エタ
ノール、ナトリウムメトキシド−メタノ−ル/エーテ
ル、ナトリウムエトキシド−ジメチルホルムアミド、ナ
トリウムメトキシド−ジメチルホルムアミド、カリウム
tert−ブトキシド−テトラヒドロフラン、メチルリ
チウム−エーテル/ペンタン、n−ブチルリチウム−エ
ーテル、フェニルリチウム−エーテル、1,5−ジアザ
ビシクロ(4,3,0)ノネン−5−ジメチルスルホキ
シド等の塩基−溶媒系で反応させて、内部二重結合のア
リールシクロブテンの芳香環への結合位置の異なる位置
異性体混合物として合成することができる。また、この
際得られるcis−ビスアリールシクロブテニルエテン
とtrans−ビスアリールシクロブテニルエテンの混
合物に光照射することにより混合物中のcis−体の含
有率を増加させ、収率を向上させることが可能である。
つまり、ベンゼン、ヘキサン、ペンタン等の不活性溶媒
中でベンジル、α−ナフチル、β−ナフチル、ビアセチ
ル等の増感剤存在下、適当なフィルターを通して紫外、
あるいは可視光を照射してtrans−ビスアリールシ
クロブテニルエテンをcis−ビスアリールシクロブテ
ニルエテンに高収率で変換させることが可能である。な
お、上記塩基−溶媒の組合せのうち特にcis−体の含
有量が高いビスアリールシクロブテニルエテン混合物を
与える組合せは水酸化ナトリウム水溶液−ジクロロメタ
ンである。
【0024】以上本発明のcis−ビスアリールシクロ
ブテニルエテンの製造方法においては、アリールシクロ
ブテン環をベンゼン環等のアリール環と同様に扱って合
成反応を行なうことが可能で、そのため、ガス状の合成
原料、特殊な反応装置や高圧の反応条件は必要無く、低
コストでcis−ビスアリールシクロブテニルエテンを
製造することが可能である。
【0025】また、この液状のcis−ビスアリールシ
クロブテニルエテンのオリゴマやcis−ビスアリール
シクロブテニルエテンとtrans−ビスアリールシク
ロブテニルエテンの混合物から得られるオリゴマも液状
である。この液状オリゴマを与えるcis−ビスアリー
ルシクロブテニルエテンとtrans−ビスアリールシ
クロブテニルエテンの混合物のcis:trans比
は、好ましくは99:1〜1:99で、更に好ましくは
99:1〜40:60で、最も好ましくは99:1〜6
0:40(モル比)の範囲である。これらのオリゴマ
は、各モノマあるいはモノマ混合物を180〜200℃
で数十分〜数時間加熱部分重合させることによりゲル化
させることなく、最高60%の反応率で合成することが
でき、若干のモノマの蒸発が問題になる用途や高粘度の
ポリマ前駆体が要求される用途に使用される。
【0026】更に本発明の液状ビスアリールシクロブテ
ニルエテンから形成されるアリールシクロブテン系ポリ
マは、化4に示す特開平1−197491に開示された
シロキサン構造を持つビスベンゾシクロブテンから形成
されたアリールシクロブテン系ポリマより低い熱膨張率
を示し、銅,アルミニウム等の配線金属材料に比べて約
1.5倍である。この低熱膨張性は、化4に示す特開平
1−197491に開示されたビスベンゾシクロブテン
から形成されたアリールシクロブテン系ポリマが、モノ
マ由来の屈曲性に富むシロキサン構造を含むのに対し
て、本発明の液状ビスアリールシクロブテニルエテンか
ら形成されるアリールシクロブテン系ポリマは、剛直な
二重構造を含み、また、上記シロキサン構造よりこの二
重結合は短いので架橋密度が高くなるためと考えられ
る。
【0027】
【作用】cis−体、あるいは、オリゴマであるために
結晶性が低く、また、位置異性体を含むハロメチルアリ
ールシクロブテンとホルミルアリールシクロブテンから
合成されるために同様に位置異性体の混合物となって融
点降下を起こし、液状となる上記cis−ビスアリール
シクロブテニルエテン、(cis−ビスアリールシクロ
ブテニルエテン)オリゴマ及びcis−ビスアリールシ
クロブテニルエテンとtrans−ビスアリールシクロ
ブテニルエテンの混合物より得られるオリゴマは、室温
で固体のビスアリールシクロブテン系モノマより短い工
程でアリールシクロブテン系ポリマを形成することがで
きる。また、溶剤を使用する必要がないので形成された
ポリマ膜中に溶剤蒸発の際のボイドやピンホールが残ら
ず、薄膜多層配線基板等の配線構造体を製造する際に配
線の断線等の重大な事故が無い。
【0028】また、本発明のcis−ビスアリールシク
ロブテニルエテン、(cis−ビスアリールシクロブテ
ニルエテン)オリゴマ及びcis−ビスアリールシクロ
ブテニルエテンとtrans−ビスアリールシクロブテ
ニルエテンの混合物より得られるオリゴマから形成され
るアリールシクロブテン系ポリマは、シロキサン構造の
ような長く屈曲性に富む構造とは対照的な、剛直で短い
二重結合を含むので、従来の特開平1−197491に
開示されるシロキサン構造を持つビスベンゾシクロブテ
ンから形成されるベンゾシクロブテン系ポリマより低熱
膨張性を示す。
【0029】
【実施例】下記の実施例は説明のためであり本発明の範
囲を制限しない。
【0030】実施例1 1,2−ジハロ(ブロモあるいはヨード)ベンゾシクロ
ブテンの合成 撹拌装置、還流冷却管、温度計、窒素導入管を装着した
3lセパラブルフラスコにα,α,α’,α’−テトラ
ブロモ−o−キシレン275.3g(0.653mo
l)、ヨウ化ナトリウム487.8g(3.25mo
l)、エタノール2650mlを仕込み、100cc/分
の窒素気流下、還流させながら48時間反応させた。副
生した臭化ナトリウムを反応液から瀘別したのち、エタ
ノールをロータリーエバポレータで除去し、残渣を20
%亜硫酸ナトリウム水溶液2500mlに投入し、生成
物をジクロロメタン300mlで3回抽出した。この抽
出液を20%亜硫酸ナトリウム水溶液200mlで1
回、水200mlで4回洗浄し、無水硫酸マグネシウム
で乾燥後、ジクロロメタンをロータリーエバポレータで
除去して、粗収量157.32g(収率79%)で1,
2−ジハロ(含有比ブロモ:ヨード=54:46モル
%)ベンゾシクロブテンを得た。構造の同定は以下に示
すNMR、IRスペクトルにより行った。NMRスペク
トル(CDCl3)δ(ppm)、6.77〜7.50
(多重項、4H、ベンゼン環)、5.30〜5.57
(多重項、2H、シクロブテン環)。IRスペクトル
(KBr板、cm~1)、3080(ベンゼン環、νC−
H)、1470(シクロブテン環、δC−H)、121
0、1185、760(ベンゼン環、δC−H)、59
0、570、550(νC−ハロゲン)。
【0031】ベンゾシクロブテンの合成 撹拌装置、還流冷却管、温度計、窒素導入管を装着した
1l四つ口フラスコに1,2−ジハロベンゾシクロブテ
ン259.2g(0.850mol)、塩化トリブチル
スズ171.2g(0.588mol)、あらかじめモ
レキュラーシーブ5Åにより乾燥したテトラヒドロフラ
ン360mlを仕込んだ。窒素100cc/分の気流下、
水素化リチウムアルミニウムを少量ずつ添加し、反応熱
で溶液温度が50℃に達した時点でオイルバスを装着し
て昇温を開始した。反応溶液を穏やかに還流させながら
さらに少量ずつ水素化リチウムアルミニウムを添加し、
総添加量が25.64g(0.676mol)に達した
時点(総添加時間5.5時間)で添加を止め、反応溶液
を室温まで冷却した。2l三角フラスコに移した反応溶
液に、飽和硫酸ナトリウム水溶液70mlを発泡に気を
つけながら徐々に加えた後、さらにジクロロメタン50
0mlを加えて一昼夜放置した。生成した沈殿を瀘別
し、瀘液からジクロロメタン、テトラヒドロフランをロ
ータリーエバポレータで除去した後、残渣を減圧下(3
mmHg)、室温で7時間、60〜70℃で4時間加熱し
て、揮発成分を液体窒素トラップ中に回収した。回収揮
発成分を常圧蒸留し、151〜152℃の無色留分5
5.56g(収率53%)を得た。この留分は以下のN
MR、IRスペクトルによりベンゾシクロブテンと同定
された。NMRスペクトル(CDCl3)δ(pp
m)、6.78〜7.30(多重項、4H、ベンゼン
環)、3.13(一重項、4H、シクロブテン環)。I
Rスペクトル(KBr板、cm~1)、2840〜308
0(ベンゼン環、シクロブテン環、νC−H)、147
0(シクロブテン環、δC−H)、790、730(ベ
ンゼン環、δC−H)。
【0032】クロロメチルベンゾシクロブテンの合成 撹拌装置、還流冷却管、温度計を装着した1lセパラブ
ルフラスコにベンゾシクロブテン56.06g(0.5
38mol)、ホルマリン44.68g(ホルムアルデ
ヒドとして0.551mol)、濃塩酸398.5gを
仕込み、激しく撹拌しながら65〜70℃で6時間反応
させた。反応溶液を室温まで冷却した後氷水700ml
に投入し、生成物をジエチルエーテル500,200,
200mlで3回抽出した。この抽出液を水200ml
で1回、5%水酸化ナトリウム水溶液200mlで1
回、さらに水200mlで3回洗浄し、無水硫酸マグネ
シウムで乾燥した後、ジエチルエーテルをロータリーエ
バポレータで除去した。残渣から減圧下(3mmHg)、
50〜60℃で5時間加熱して未反応のベンゾシクロブ
テンを液体窒素トラップ中に回収した後、n−ヘキサン
を展開溶媒にしたシリカゲルカラムクロマトグラフィに
よりRf値0.53の無色の液体35.30g(収率4
6%)を分取した。この留分は以下のNMR(図1)、
IRスペクトル(図2)とガスクロマトグラフィーによ
り3−体:4−体=5:95(モル比)のクロロメチル
ベンゾシクロブテン混合物と同定された。NMRスペク
トル(CDCl3)δ(ppm)、6.86〜7.30
(多重項、3H、ベンゼン環)、4.50(一重項、2
H、クロロメチル基)、3.11(一重項、4H、シク
ロブテン環)。IRスペクトル(KBr板、cm~1)、
2850〜3090(ベンゼン環、シクロブテン環、ν
C−H)、1480、1440(シクロブテン環、δC
−H)、720(ベンゼン環、δC−H)、680(ν
C−Cl)。
【0033】ホルミルベンゾシクロブテンの合成 滴下ロート、還流冷却管、温度計、窒素導入管を装着し
た1l四つ口フラスコに、四塩化チタン181.73g
(0.958mol)と塩化カルシウムで乾燥したジク
ロロメタン300mlを仕込んだ。次いでこの溶液をメ
カニカルスターラーで撹拌し氷浴中で3℃に保ちながら
ベンゾシクロブテン52.07g(0.500mol)
を加え、さらに滴下ロートからジクロロメチルメチルエ
ーテル57.50g(0.500mol)を急激な反応
温度の上昇による突沸に気をつけながら加えた。室温で
さらに15分反応させた後、反応溶液を氷水2000m
lに突沸させないように静かに投入し、生成物をジクロ
ロメタン300mlで3回抽出した。この抽出液を水4
00mlで1回、15%塩酸水溶液200mlで2回、
さらに水400mlで5回洗浄し、無水硫酸マグネシウ
ムで乾燥した後、ジクロロメタンをロータリーエバポレ
ータで除去した。残渣を減圧蒸留し、60〜62℃/3
mmHgの無色の留分45.01g(収率68%)を得
た。この留分は以下のNMR(図3)、IRスペクトル
(図4)とガスクロマトグラフィーにより3−体:4−
体=5:95(モル比)のホルミルベンゾシクロブテン
混合物と同定された。NMRスペクトル(CDCl3
δ(ppm)、9.89(一重項、1H、ホルミル
基)、7.05〜7.87(多重項、3H、ベンゼン
環)、3.18(一重項、4H、シクロブテン環)。I
Rスペクトル(KBr板、cm~1)、2770〜308
0(ベンゼン環、シクロブテン環、νC−H)、170
0(νC=O)、1600(ベンゼン核)、1440
(シクロブテン環、δC−H)、1225、1210、
835(ベンゼン環、δC−H)。
【0034】cis−ビスベンゾシクロブテニルエテン
の合成 クロロメチルベンゾシクロブテンとトリフェニルホスフ
ィンを等モル、還流ベンゼン中で反応させることにより
定量的に得られたベンゾシクロブテニルメチルトリフェ
ニルホスフォニウム クロリド124.47g(0.3
00mol)、ホルミルベンゾシクロブテン39.61
g(0.300mol)、ジクロロメタン250mlを
滴下ロート、温度計を装着した1l三口フラスコに仕込
み、この懸濁液にメカニカルスターラーで撹拌しながら
滴下ロートから23%水酸化ナトリウム水溶液を10分
間かけて加えた。2時間室温で反応させた後、1000
mlの水に反応溶液を投入し、生成物をジクロロメタン
150mlで3回抽出した。この抽出液を10%塩酸水
溶液200mlで1回、水200mlで3回洗浄し、無
水硫酸マグネシウムで乾燥した後、ジクロロメタンをロ
ータリーエバポレータで除去した。残渣からベンゼンを
展開溶媒にしたシリカゲルカラムクロマトグラフィーに
より副生物のトリフェニルホスフィンオキシドを除去
し、更に得られた残渣からn−ヘキサンを展開溶媒にし
たシリカゲルカラムクロマトグラフィーによりRf値
0.43の留分24.77g(収率48%)を得た。こ
の留分は以下に示すNMR(図5)、IRスペクトル
(図6)とガスクロマトグラフィーよりcis−4,4
−ビスベンゾシクロブテニルエテンとcis−3,4−
ビスベンゾシクロブテニルエテンの92:8(モル比)
混合物と同定された。また、以下に示すNMR(図
7)、IRスペクトル(図8)より同定されるtran
s−ビスベンゾシクロブテニルエテンもRf値0.31
の留分として分取され、ベンゼンから再結晶されて13
0〜131℃の融点を示す無色の板状結晶として収量2
3.68g(収率46%)で単離された。NMRスペク
トル(CDCl3)δ(ppm)、cis−体;6.7
6〜7.27(多重項、6H、ベンゼン環)、6.47
(一重項、2H、内部二重結合)3.07(一重項、8
H、シクロブテン環)、trans−体;6.85〜
7.40(多重項、8H、ベンゼン環、内部二重結
合)、3.13(一重項、8H、シクロブテン環)。I
Rスペクトル、cis−体(KBr板、cm~1);285
0〜3080(ベンゼン環、内部二重結合、シクロブテ
ン環、νC−H)、1480、1435(シクロブテン
環、δC−H)、1210、900、820(ベンゼン
環、δC−H)、960、710(内部二重結合、δC
−H)、trans−体(KBr錠剤法、cm~1);28
40〜3080(ベンゼン環、内部二重結合、シクロブ
テン環、νC−H)、1480、1430(シクロブテ
ン環、δC−H)1220、885、840(ベンゼン
環、δC−H)、974(内部二重結合、δC−H)。
【0035】実施例2 クロロメチルベンゾシクロブテンの合成 滴下ロート、撹拌装置、温度計を装着した200ml三
つ口フラスコにベンゾシクロブテン25.11g(0.
241mol)と塩化亜鉛5.59g(0.041mo
l)を仕込んだ。この懸濁液を3℃に保ってクロロメチ
ルメチルエーテル23.27g(0.289mol)を
滴下ロートから滴下した。室温でさらに6時間反応させ
た後、反応溶液を氷水1000mlに投入し、生成物を
ジクロロメタン200mlで3回抽出した。この抽出液
を水200mlで3回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで
乾燥した後、ジクロロメタンをロータリーエバポレータ
で除去した。残渣を減圧蒸留し、119〜121℃/1
8mmHgの無色の留分14.35g(収率39%)を得
た。この留分は実施例1同様のスペクトルデータより3
−体:4−体=5:95(モル比)のクロロメチルベン
ゾシクロブテン混合物と同定された。
【0036】ホルミルベンゾシクロブテンの合成 ドライアイス−アセトン浴で冷却しながら500mlナ
スフラスコに仕込んだN,N−ジメチルホルムアミド2
50mlに滴下ロートから湿気を避けて仕込んだ塩化ホ
スホリル82.30g(0.537mol)を滴下し
た。この溶液を撹拌装置、滴下ロート、温度計を装着し
た1l三つ口フラスコに仕込んだベンゾシクロブテン5
2.07g(0.500mol)のN,N−ジメチルホ
ルムアミド400ml溶液に滴下ロートからゆっくり加
えた。20分後、反応溶液を水2500mlに投入し、
次いで10%アルカリ水溶液500mlを加えてアルカ
リ性とし、生成物をジクロロメタン300mlで3回抽
出した。この抽出液を水400mlで5回洗浄し、無水
硫酸マグネシウムで乾燥した後、ジクロロメタンをロー
タリーエバポレータで除去した。残渣を実施例1同様に
精製、分析し3−体:4−体=5:95(モル比)のホ
ルミルベンゾシクロブテン混合物35.80g(収率5
4%)を得た。
【0037】cis−ビスベンゾシクロブテニルエテン
の合成 撹拌装置、滴下ロート、還流冷却管、温度計を装着した
300ml三つ口フラスコに仕込んだエタノール140
mlに金属ナトリウム1.45g(0.63mol)を
小片に分けて穏やかに還流させながら加えた。さらに4
時間還流させた後、室温まで冷却したこの溶液にベンゾ
シクロブテニルメチルトリフェニルホスフォニウム ク
ロリド23.40g(0.0564mol)をエタノー
ル70mlに溶解した溶液を加え、1時間室温で撹拌し
た後、ホルミルベンゾシクロブテン7.20g(0.0
545mol)を加えて72時間室温で反応させた。反
応溶液を水2000mlに投入し、生成物をジクロロメ
タン200mlで3回抽出した。この抽出液を5%塩酸
水溶液300mlで2回、水300mlで5回洗浄し、
無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、ジクロロメタンを
ロータリーエバポレータで除去した。残渣を実施例1同
様に精製し、cis−体とtrans−体のビスベンゾ
シクロブテニルエテン混合物8.88g(収率70%)
を得た。この混合物は、そのNMRスペクトルよりci
s−体:trans−体=38:62(モル比)の混合
物であった。得られたcis−ビスベンゾシクロブテニ
ルエテンとtrans−ビスベンゾシクロブテニルエテ
ンの38:62(モル比)混合物5.81g(0.02
5mol)と増感剤としてベンジル5.26g(0.0
25mol)をベンゼン500mlに溶かし、この溶液
を30mlずつパイレックス管に入れ、窒素置換した
後、外部光照射装置(メリーゴーラウンド)を用い、溶
液フィルター(68mlのアンモニア水を希釈して1l
とし、40gの硫酸銅(CuSO4・5H2O)を加え
る)により、450W高圧水銀灯から取り出した435
nm光を60分間照射した。反応溶液からベンゼンをロ
ータリーエバポレータで除去した。残渣からn−ヘキサ
ンを展開溶媒にしたシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ーによりcis−ビスベンゾシクロブテニルエテン5.
31g(収率92%)を分離した。このcis−ビスベ
ンゾシクロブテニルエテンはガスクロマトグラフィーに
よりcis−4,4−ビスベンゾシクロブテニルエテン
とcis−3,4−ビスベンゾシクロブテニルエテンの
90:10(モル比)混合物であることがわかった。
【0038】実施例3 (cis−ビスベンゾシクロブテニルエテン)オリゴマ
の合成 cis−ビスベンゾシクロブテニルエテン2gを窒素導
入管を装着した50ml三つ口フラスコに仕込み、窒素
気流下、180℃で4時間反応させた。生成物は、25
℃で8500センチポアズの粘度を示す黄色のオイルで
あった。また、この生成物は、そのNMRスペクトル
(図9)より40%のシクロブテン環が開環しており、
またDSC曲線にモノマの融点に相当する吸熱ピークが
観察されないところからモノマ成分を含まないオリゴマ
混合物であることがわかった。
【0039】実施例4 (cis−ビスベンゾシクロブテニルエテン)ポリマの
合成 実施例3同様に実施例2で合成したcis−ビスベンゾ
シクロブテニルエテンとtrans−ビスベンゾシクロ
ブテニルエテンの38:62(モル比)混合物2gを2
00℃で45分反応させて生成した液状オリゴマ(シク
ロブテン環反応率54%)をガラス板に1mmの厚さにキ
ャストし、さらに窒素中250℃で1時間加熱硬化し
た。得られた黄色のポリマ片は、TMA分析によりガラ
ス転移点300℃、熱膨張係数3.0×10~5℃~1を、
また、TGA分析により430℃の重量減少開始温度を
それぞれ示した。
【0040】実施例5 (ビスベンゾシクロブテニルエテン)ポリマの平坦性評
価 図10に示すアルミニウムの高さ10μm、70μmと
130μmのライン&スペースパターンを設けたシリコ
ンウエハー上に、実施例1で合成したcis−ビスベン
ゾシクロブテニルエテンを用いて厚さ11μmのベンゾ
シクロブテンポリマ膜3を形成した。アルミニウムパタ
ーン上に生じたポリマ膜の段差5は1.2μmで、数1
の定義よりこのポリマ膜の平坦化度は90%となり、多
層配線基板などの配線構造体の一般的な絶縁膜材料とし
て知られるポリイミドの代表例であるPIQ(日立化成
商品名)を用いて同様に算出した平坦化度20%に比べ
て極めて優れていた。
【0041】
【数1】平坦化度=100×(1−ポリマ膜形成後段差
5/アルミニウムパターン高さ4)
【0042】
【発明の効果】本発明のビスアリールシクロブテニルエ
テンモノマあるいはオリゴマは、液状であるので溶剤を
用いること無く、コーティング条件の選択、オリゴマの
粘度の調整により、一回の塗布で所要の膜厚にボイド・
ピンホール等の欠陥無く、しかも平坦性に優れたベンゾ
シクロブテン系ポリマ膜を形成することができる。しか
も、このポリマは、薄膜多層配線基板等に用いられる
銅,アルミニウム等の配線金属材料とほぼ同じ熱膨張率
を示すので、本発明の液状ビスアリールシクロブテニル
エテンモノマあるいはオリゴマから得られたポリマを配
線構造体、特に薄膜多層配線基板の絶縁膜として用いた
場合、配線金属との熱膨張係数の整合性より薄膜多層配
線基板の製造プロセスにおいて配線にほとんど機械的ス
トレスを残さず断線、配線の変形、配線と絶縁膜の剥離
等の重大事故無く、高い信頼性の薄膜多層配線基板を提
供することができる。さらに、一回の塗布で所要の膜厚
にボイド・ピンホール等の欠陥無く、平坦性に優れた絶
縁膜を形成できるので絶縁膜の研削・研磨工程が省略で
き、薄膜多層配線基板の製造期間短縮に貢献できる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】追加
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】クロロメチルベンゾシクロブテンのNMRスペ
クトルを示す図である。
【図2】クロロメチルベンゾシクロブテンのIRスペク
トルを示す図である。
【図3】ホルミルベンゾシクロブテンのNMRスペクト
ルを示す図である。
【図4】ホルミルベンゾシクロブテンのIRスペクトル
を示す図である。
【図5】cis−4,4−ビスベンゾシクロブテニルエ
テンとcis−3,4−ビスベンゾシクロブテニルエテ
ンの92:8(モル比)混合物のNMRスペクトルを示
す図である。
【図6】cis−4,4−ビスベンゾシクロブテニルエ
テンとcis−3,4−ビスベンゾシクロブテニルエテ
ンの92:8(モル比)混合物のIRスペクトルを示す
図である。
【図7】trans−ビスベンゾシクロブテニルエテン
のNMRスペクトルを示す図である。
【図8】trans−ビスベンゾシクロブテニルエテン
のIRスペクトルを示す図である。
【図9】(cis−ビスベンゾシクロブテニルエテン)
オリゴマのNMRスペクトルを示す図である。
【図10】本発明による液状cis−ビスベンゾシクロ
ブテニルエテンから得られたポリマ膜を備えたシリコン
基板の断面図である。
【符号の説明】 1…シリコン基板、2…アルミニウムパターン、3…c
is−ビスベンゾシクロブテニルエテンポリマ膜、4…
アルミニウムパターン高さ、5…cis−ビスベンゾシ
クロブテニルエテンポリマ膜段差
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 43/188 8619−4H 47/546 7457−4H 205/05 6917−4H 233/06 7106−4H 233/23 7106−4H 255/47 6917−4H C07F 7/08 A 8018−4H C08F 12/32 MJY 7211−4J C08G 61/06 NLG 8215−4J (72)発明者 庄子 房次 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地株式 会社日立製作所生産技術研究所内 (72)発明者 杉山 寿 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地株式 会社日立製作所生産技術研究所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】化1に対応する化合物で、Arが任意のア
    リール基で、R1,R2およびR3が水素、ハロゲン、ア
    ルキル基、アリール基、シアノ基、ニトロ基、アミノ
    基、カルボキシル基、アルコキシ基、アシル基、アシロ
    キシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルアミド基、
    トリアルキルシリル基、トリアルキルシリルオキシ基か
    ら任意に選ばれる置換基であり、mが1以上3以下、n
    が1以上5以下の整数である、室温で液状であることを
    特徴とするcis−ビスアリールシクロブテニルエテ
    ン。 【化1】
  2. 【請求項2】化2に対応する化合物で、R1,R2および
    3が水素、ハロゲン、アルキル基、アリール基、シア
    ノ基、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキ
    シ基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル
    基、アルキルアミド基、トリアルキルシリル基、トリア
    ルキルシリルオキシ基から任意に選ばれる置換基であ
    り、nが1以上3以下の整数である、室温で液状である
    ことを特徴とするcis−ビスアリールシクロブテニル
    エテン。 【化2】
  3. 【請求項3】化3に対応する請求項2記載の室温で液状
    のcis−ビスアリールシクロブテニルエテンであるこ
    とを特徴とするcis−ビスベンゾシクロブテニルエテ
    ン。 【化3】
  4. 【請求項4】芳香環をハロメチル化されたアリールシク
    ロブテンとホスフィン化合物から得られるアリールシク
    ロブテニルメチルホスフォニウム塩誘導体と芳香環をホ
    ルミル化されたアリールシクロブテンとを塩基性条件
    下、ウィッティッヒ反応させることにより得られること
    を特徴とする請求項1又は2記載の室温で液状であるc
    is−ビスアリールシクロブテニルエテンの製造方法。
  5. 【請求項5】アリールシクロブテンと芳香環のハロメチ
    ル化剤から合成されるハロメチルアリールシクロブテン
    を用いることを特徴とする請求項4記載の室温で液状で
    あるcis−ビスアリールシクロブテニルエテンの製造
    方法。
  6. 【請求項6】アリールシクロブテンと芳香環のホルミル
    化剤から合成されるホルミルアリールシクロブテンを用
    いることを特徴とする請求項4記載の室温で液状である
    cis−ビスアリールシクロブテニルエテンの製造方
    法。
  7. 【請求項7】請求項4記載のウィッティッヒ反応におい
    て副生するtrans−ビスアリールシクロブテニルエ
    テンを光照射によりcis−体に異性化する工程を含む
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の室温で液状であ
    るcis−ビスアリールシクロブテニルエテンの製造方
    法。
  8. 【請求項8】cis−ビスアリールシクロブテニルエテ
    ン単独、あるいはcis−ビスアリールシクロブテニル
    エテンとtrans−ビスアリールシクロブテニルエテ
    ンの混合物を加熱部分重合して得られる室温で液状の
    (ビスアリールシクロブテニルエテン)オリゴマ。
  9. 【請求項9】cis−ビスアリールシクロブテニルエテ
    ンとtrans−ビスアリールシクロブテニルエテンの
    混合比が99:1〜1:99(モル比)であることを特
    徴とする請求項8記載の室温で液状の(ビスアリールシ
    クロブテニルエテン)オリゴマ。
  10. 【請求項10】請求項1,2、又は8記載の室温が、0
    〜80℃であることを特徴とする請求項1又は2記載の
    液状cis−ビスアリールシクロブテニルエテンと請求
    項8記載の液状(1,2−ビスベンゾシクロブテニルエ
    テン)オリゴマ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019099802A (ja) * 2017-12-01 2019-06-24 ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ エルエルシーRohm and Haas Electronic Materials LLC 改善された硬化速度を有する安定した熱重合性ビニル、アミノ、またはオリゴマーフェノキシベンゾキシシクロブテンモノマーを製造する方法

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