JPH0529080Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の技術分野］ 本考案は堅型粉砕機に係り、特に回転テーブル
上を遠心方向に移送された被粉砕物を回転ローラ
下に案内させるための案内部材を備えた堅型粉砕
機に関する。

［考案の技術的背景とその問題点］ 堅型粉砕機は、セメント原料や石炭等の塊状の
被粉砕物を粒状あるいは粉末状に粉砕する装置で
あり、ケーシング内の回転テーブル状中央部に供
給された被粉砕物を、回転テーブルの回転によつ
て遠心方向に移送させつつ回転テーブルとこれに
圧接しつつ回転する回転ローラ（粉砕ローラ）と
の間で粉砕し、その粉砕物を上昇熱ガス流により
ケーシング上方に吹き上げてセパレータで分級し
た後、分級された細粉をケーシング外に搬出する
ように構成されている。

しかしながら、従来の堅型粉砕機にあつては、
回転テーブル上に供給された被粉砕物をその遠心
力でのみ回転ローラ下を通過させようとしている
のであつて、かなりの量の被粉砕物が、ローラ下
に噛み込まれることなく、テーブル外周へ直接排
出され、そのまま上昇熱ガス流によつて搬送され
ていた。従つて噛み残し（未粉砕）が比較的多
く、セパレータを備えていても、微粉を得ること
は困難であつた。また、噛み残しが多いことか
ら、大粒径粒子の持ち上げによる上昇熱ガス流の
圧損が多く、フアン動力を多く必要とし、コスト
的に不利を招いていた。しかも被粉砕物が薄層状
態で回転テーブルと回転ローラとの間を通過する
ため、大きな震動が発生する欠点があつた。

なお、被粉砕物の層厚不足による震動の発生を
防止する目的で、回転ローラの前方に圧砕面上へ
の被粉砕物の誘導量をコントロールできる層厚制
御ブレードを設けた粉砕機が提案されている（実
開昭58−100044号）。しかし、上記ブレードが単
なる平板であるため、被粉砕物（特に細粉）は流
れが急激に変えられて動きが乱れ、粒子間に空気
が多く混入して流動化するようになる。このた
め、ブレードの背が低いと、被粉砕物がブレード
を飛び越えてしまい易く、仮にブレードの背を高
くしても、被粉砕物が回転ローラから逃げ、効率
よく噛込めない問題がある。

［考案の目的］ 本考案は上述したごとき従来技術の問題点を有
効に解決すべく創案されたものであり、その目的
は従来機では困難とされていた微粉領域の安定的
な粉砕を可能にするもので、処理能力の増大、フ
アン動力の低減並びに震動の低減を図ることがで
きる堅型粉砕機を提供することにある。

［考案の構成と作用］ 本考案は、被粉砕物をその中央部に受けつつ遠
心方向に移送させる回転テーブル上に、被粉砕物
を粉砕する回転ローラを配置すると共に遠心方向
に移送される被粉砕物を回転ローラ下に案内する
案内部材を配置した堅型粉砕機において、上記案
内部材をその前端部が回転テーブルの外縁部に、
後端部が回転ローラの正面に位置するように配置
し、その前後両端部間を回転テーブルの径方向内
方に凹状に湾曲させて形成すると共に、案内部材
の上部を径方向内方へほぼ直角に折曲げて形成し
たものである。

案内部材が回転テーブルの径方向内方に凹状に
湾曲して形成されているため、被粉砕物は流れが
スムーズに変えられ、粒子間に空気が混入しにく
く、また仮に粒子間に空気が混入したとしても、
径方向内方にほぼ直角に折曲げられた案内部材の
上部によつて流れが圧縮され、粒子間より空気が
押出されるので、流動化が防止される。

従つて、被粉砕物が案内部材を飛び越えたり、
回転ローラから逃げることがなく、被粉砕物を効
率よく噛み混むことができ、処理能力が向上す
る。

［考案の実施例］ 以下に本考案の好適一実施例を添付図面に基づ
いて詳述する。

第１図において、１は堅型粉砕機のケーシング
で、このケーシング１内には原動機２によつて回
転駆動される回転テーブル３が設けられている。
この回転テーブル３の上面周縁部には第２図に示
す如くその周方向に沿つて環状の溝４が形成さ
れ、この溝４内にはその周方向に沿つて適宜間隔
に回転ローラ５が回転自在に配置されている。

回転ローラ５はブラケツト６に回転自在に支承
され、それぞれのブラケツト６はケーシング１に
枢軸７を介して上下方向に回動自在に取付けられ
ている。また、ブラケツト６にはケーシング１の
下部に設けた圧下装置８のロツド９が連結され、
回転ローラ５を回転テーブル３に圧接させるよう
に構成されている。

上記回転テーブル３の上方にはその中央部に被
粉砕物を落下供給するためのシユート１０がケー
シング１外より導かれており、供給された被粉砕
物は回転テーブルの遠心方向へ移送されるように
なつている。また回転テーブル３の外周部にはこ
れにより外方へ遠心力で飛散した細粉を上昇移送
するために熱ガス流を噴出する熱ガス噴出口１１
が形成されている。そして、上記回転ローラ５の
回転方向前方には回転テーブル３上に沿つてその
遠心方向に移送される被粉砕物を確実に粉砕すべ
く回転ローラ下に案内するための案内部材１２が
設けられている。この案内部材１２は回転ローラ
５の回転方向前方において、その前端部１２ａが
回転テーブル３の外縁部に且つ後端部１２ｂが回
転ローラ５の正面に位置するように配置された板
材からなり、ケーシング１側より延出された腕１
３を介して回転テーブル上に摺接状態に支持され
ている。

また、案内部材１２の前後両端部間は回転テー
ブル３の径方向内方に凹状に湾曲して形成される
と共に、案内部材１２の上部は径方向内方へほぼ
直角に折曲げて形成されている。

次に上述の如く構成された堅型粉砕機の作用を
述べる。

シユート１０を介して回転テーブル３上の中央
部に供給された被粉砕物は遠心力により回転テー
ブル３上をその遠心方向に移送される過程で回転
ローラ５によつて圧壊される。圧壊された粉砕物
は未粉砕物と共に回転テーブル３の外縁部に至る
が、案内部材１２によつて径方向内方の回転ロー
ラ５下に戻され、再粉砕される。したがつて、案
内部材がない場合に比べ、ローラ下で粉砕される
回数が増え、また確率も高くなり粗粉が減少し、
微粉が多く得られることになる。特に、案内部材
１２が回転テーブル３の径方向内方に凹状に湾曲
しているため、被粉砕物は流れがスムーズに変え
られ、粒子間に空気が混入しにくくなり、また仮
に粒子間に空気が混入したとしても、径方向内方
にほぼ直角に折曲げられた案内部材１２の上部１
２ｃによつて流れが圧縮され、粒子間より空気が
押出されるので、流動化が防止されることにな
る。このため、被粉砕物が案内部材１２を飛び越
えたり、回転ローラ５から逃げたりすることがな
くなり、被粉砕物を効率よく噛み込むことができ
るようになり、処理能力が増大する。これによ
り、回転ローラ５と回転テーブル３との間を通過
する被粉砕物の層厚が増大することから、被粉砕
物による衝撃緩和効果が増大し、震動が低減する
ことになる。

一方、回転テーブル３より外方に放出された細
粉乃至微粉は、熱ガス噴出口１１から噴出する熱
ガス流によつて上方へ移送され、図示しないセパ
レータを介してケーシング外に搬出されることに
なる。この場合、被粉砕物は充分に微粉砕されて
いるので熱ガス流によつて容易に粒体移送するこ
とができ、圧損が少なく、フアン動力を可及的に
低減することができる。

なお、案内部材１２の長さ及び遠心方向の位
置、適用するテーブルやローラ形状も特に限定さ
れるものではない。特に第３図に示したようにロ
ーラ間全域にわたつて案内部材を取付けることに
よつてテーブル上のすべての被粉砕物をローラに
噛み込ませるにしてもよい。あるいは、第４図に
示したようにローラの回転方向後方に案内部材を
取付けることによつて、その前方のローラに噛み
込まれることなくテーブル外周へ出ようとする被
粉砕物をテーブル中央より戻し、次のローラに噛
み込ませるようにしてもよい。また、案内部材の
一部をスリツト状またはネツト状にすることによ
つて粗粉のみローラへ案内し、無用な過粉砕を避
けることもできる。

［考案の効果］ 以上要するに本考案によれば次のごとき優れた
効果を発揮する。

(1) 回転テーブル上に配置される案内部材が回転
テーブルの径方向内方に凹状に湾曲しているの
で、被粉砕物の流れをスムーズに変えることが
でき、粒子間への空気の混入を防止でき、また
仮に粒子間に空気が混入しても、案内部材の上
部が径方向内方へほぼ直角に折曲げられている
ので、上記被粉砕物の流れを圧縮して粒子間の
空気を押出すことができ、従つて被粉砕物の流
動化を防止できることから、被粉砕物が案内部
材を飛び越えたり、回転ローラから逃げたりす
ることがなくなり、被粉砕物を効率よく噛み込
むことができ、処理能力が向上する。

(2) 従つて、被粉砕物を充分に粉砕でき、その粒
体移送用のフアン動力の軽減が図れると共に、
回転ローラ下に被粉砕物が確実に導かれること
により震動、騒音の低減及び耐久性の向上が図
れる。

(3) 案内部材は駆動部を有しないシンプルな構造
であるため、製作及び既存設備への取付けが容
易にでき、メンテナンスも容易である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
は粉砕機の側断面図、第２図は同概略平面図、第
３図はローラ間全域に案内部材を取付けた場合の
概略平面図、第４図はローラの回転方向後方に案
内部材を取付けた場合の概略平面図である。 図中、３は回転テーブル、５は回転ローラ、１
２は案内部材である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 被粉砕物をその中央部に受けつつ遠心方向に移
   送させる回転テーブル上に、被粉砕物を粉砕する
   回転ローラを配置すると共に遠心方向に移送され
   る被粉砕物を回転ローラ下に案内する案内部材を
   配置した堅型粉砕機において、上記案内部材をそ
   の前端部が回転テーブルの外縁部に、後端部が回
   転ローラの正面に位置するように配置し、その前
   後両端部間を回転テーブルの径方向内方に凹状に
   湾曲させて形成すると共に、案内部材の上部を径
   方向内方へほぼ直角に折曲げて形成したことを特
   徴とする堅型粉砕機。