JPS604597Y2 - 竪型ミル - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は竪型ミルに係り、特に粉砕部から排出される排
石（塊状ないし粒状の未粉砕物）をミル内上部で分級し
て排石中に含まれる細粉を回収すると共に、排石を粉砕
部に再入させるようになした竪型ミルに関する。

一般に、竪型ミルはセメント原料、クリンカ、石炭等の
被粉砕物を粉砕する装置として用いられており、ミルケ
ーシングの底部に設けられたガス噴出口から熱ガス等を
噴出させると共に、ミル上部の取出口に連通された排風
機によりミル内を負圧に吸引し、ミル内に上昇気流を猛
威させて粉砕部で粉砕された粉砕物を上昇気流により同
伴移送し、移送途上の粉砕物を分級して粗粉を粉砕部に
戻しつつ細粉を取出口よりミル外に取り出すように構成
されている。

ところで、竪型ミルにおいては、粉砕処理量を増大し生
産性を向上させるために、ミル内での粉体濃度を非常に
高い状態で運転させている。

このため粉体によるミル内の圧力損失が非常に大きく排
風機で強力に吸引しなければならず大きな排風機動力を
必要とし、これが竪型ミルのランニングコストを高める
主要な原因となっている。

これを解決すべく、ガス噴出口から噴出口から噴出され
る気体の風速を下げて圧力損失を低減させるようにする
と、粉砕部からガス噴出口に落下し排出される排石量が
増加し、これを従来のように粉砕部にそのまま戻すと排
石に相当に付着している細粉を再度過粉砕することにな
り、粉砕動力のロスが大きくなってしまう。

本考案は以上のような従来の問題点を有効に解決すべく
創案されたものであり、その目的は排石に含まれる細粉
を回収することができると共に、ランニングコストを大
幅に低減し得る竪型ミルを提供することにある。

本考案によれば、竪型ミルの性能を維持できる範囲でガ
ス噴出口から噴出されるガスの風速を出来るだけ低下さ
せ、排出される排石をミル内で分級して排石中の細粉を
回収すると共に、排石を粉砕部へ再入させて、竪型ミル
の粉砕処理能力の増大とランニングコストの低減を図っ
ている。

以下に本考案の好適一実施例を添付図面に基づいて詳述
する。

図示するごとく、１は筒体状のミルケーシングであり、
その底部にはセメント原料、石炭等の被粉砕物を粉砕す
る粉砕部２を有している。

粉砕部２は水平に回転駆動自在に設けられた回転テーブ
ル３上面に施された環状の溝上に、これに沿って適宜間
隔に圧接されつつ回転自在に設けられた粉砕ローラ４と
から主に構成されている。

回転テーブル３の外周部とミルケーシング１の内周壁５
との環状の間隙によりテーブル３下側全周に供給された
熱ガスを上方に噴出させるための噴出口６が形成され、
この噴出口６から噴出される上昇熱気流により回転テー
ブル３と粉砕ローラ４との間で粉砕された粉砕物Ｐを移
送するように構成されている。

ミルケーシング１の上部には上昇気流により運ばれ分級
された粉砕物Ｐ中の粗粉と後述する分級された排石とを
再び粉砕部２へ導入させるためのホッパとしての筒体７
が設けられている。

筒体７内にはケーシング１上端から鉛直方向に同心円状
に内管８とその外側に外管９とが挿入され、内管８内に
は排石を導入する通路１０が形成されている。

筒体７の上部側壁には、外管９に臨ませ、これを囲繞す
るように複数枚のガイドベーン１１が設けられている。

ガイドベーン１１は垂直方向に枢軸を有し、筒体７に流
入する粉砕物Ｐを伴った熱ガスの風向を調整する機能を
もっている。

内管８には、回転テーブル３とローラ４との間で粉砕さ
れないままにテーブル３から噴出口６へと落下し排石さ
れる細粉を含む未粉砕物たる排石Ｓを内管８に投入する
ための排石投入シュート１２が連設されている。

さらに、このシュート１２まで噴出口６から落下し排出
された排石Ｓを搬送すべく、図示省略の竪型コンベヤ等
の搬送手段がケーシング１外に設けられている。

また内管８の上端壁を貫通し内管８内を挿通させて回転
軸１３が設けられ、軸１３の下端部には円板上の分散板
１４が、その上端部には回転軸１３を駆動するモータ１
５が設けられている。

分散板１４の下方の筒体７側壁には、分散板１４上に供
給され分散板１４によりその外側へ飛散された排石Ｓを
吹き上げるために、環状の熱ガス供給ダクト１６が配設
され、その内周壁にはこれに沿ってダクト１６から筒体
７内に流入する気体が筒体７内で旋回流を起こさせるた
めのベーン１７が複数設けられている。

また、ダクト１６には、これら熱ガスを供給するための
供給管１８がケーシング１を貫通させて接続されている
。

また、分散板１４上には、分散板１４から延出され内管
８と外管９との間に挿入された筒状の支持部材１９を介
して分散板１４に連結された分級羽根２０が内管８を囲
むようにして設けられている。

支持部材１９の下側部には分散板１４により飛散される
排石Ｓを通過させるための通孔２１が施されている。

分級羽根２０の上方の外管９の内壁には、分級羽根２０
によって外向きに飛ばされる粗粉を流下させる為に、渦
流を作り下向きの流れを形成するための仕切壁２７と該
仕切壁の上に位置し内管８と外管９とに区画されて分級
された細粉を採集する筒状の採集室２２が形成され、採
集室２２を区画する外管９には室２２内の細粉を排出す
るための排出口２３を有する排出管２４が接続されてい
る。

筒体７の内底部には、筒体７に噴出口６からの上昇熱気
流を流入させないために、円錐状のヘッド２５と、ヘッ
ド２５下端周壁に沿いつつこれに枢支され筒体７内壁ま
で垂下された複数枚のダストベー７２６とが設けられて
いる。

次に本実施例の作用について述べる。

排出管２４に連設された排風機の作動により吸引されて
ケーシング１内は負圧されると共に、噴出口６から熱ガ
スが噴出されケーシング１内には上昇熱気流が形成され
る。

回転テーブル３上に供給され、テーブル３とテーブル３
の回転に追従して回転する粉砕ローラ４との間で粉砕さ
れた粉砕物Ｐは上昇熱気流とともに上方に移送され、ガ
イドベーン１１に沿って筒体７内に流入する。

流入した流体はガイドベーン１１により旋回流を与えら
れると共に、外管９下側壁によりその向きが転回され、
粉砕物Ｐ中の粗粉は外管９または筒体７壁に突き当り、
減速されであるいは、仕切壁２７によって形成される渦
流に依る下向きの流れによって筒体７内を流下し、一方
、細粉は分級羽根２０によりさらに分級され採集室２２
から排出管２４へと排出される。

一方、粉砕部２で粉砕されずにテーブル３から噴出口６
に落下し排出された排石Ｓは搬送手段により排石投入シ
ュート１２へと搬送される。

シュート１２から通路１０に投入され通路１０を通って
分散板１４上に供給された排石Ｓは、回転軸１３を介し
てモータ１５により回転駆動される分散板１４により飛
散され支持部材１９の通孔２１を通って筒体７内に分散
される。

分散された排石Ｓは供給管１８から熱ガス供給ダクト１
６に供給され、ベーン１７により旋回流を与えられた筒
体７内を上昇する熱気流に吹き上げられ、分級羽根２０
により分級される。

分級された細粉は採集室２２へと上昇し排出管２４へと
吸い込まれ、排石Ｓは外管９や筒体７と衝突し、減速さ
れであるいは、仕切壁２７によって形成される下向流に
よって筒体７内と流下する。

排石Ｓと上述した粉砕物Ｐ中の分級された粗粉とは筒体
７底部のダストベーン２５と筒体７側壁との間に堆積さ
れ、所定の堆積量となると、その重量によりダストベー
ン２６が開いて、排石Ｓと粗粉とは再び回転テーブル３
上に戻されることになる。

以上の説明で明らかなように本考案によれば次のような
優れた効果を発揮する。

（１）粉砕部から排出された未粉砕物（排石）をミル内
上部で分級することにより、未粉砕物に含まれる細粉を
回収することができ、粉砕処理能力を増大できる。

（２）従来のように排出された未粉砕物をそのまま粉砕
部に戻すことによる細粉の過粉砕を避けることができ、
粉砕動力損失を低下できる。

（３） 未粉砕物中の細粉を回収しているため、ミル
内の上昇気流の風速を低下させた際に未粉砕物の排出量
が増加してもほとんど問題にはならず、排風機動力の大
幅な軽減を図れる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る竪型ミルの一実施例を示す概略縦断
面図である。 １はミルケーシング、２は粉砕部、７はホッパ（筒体）
、１０は通路、１３は回転軸、１４は分散板、２０は分
級羽根、２３は排出口、Ｓは未粉砕物（排石）である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ミルケーシングの底部に猛威された粉砕部から排出され
   る細粉を含む未粉砕物を粉砕部上方で細粉と未粉砕物と
   に分級し未粉砕物を粉砕部に再入させる竪型ミルにおい
   て、上記ミルケーシングの上部に設けられケーシング内
   に垂下された回転軸と、該回転軸の下端部にその半径方
   向外方に延出されて取り付けられた分散板と、上記回転
   軸に沿って猛威され分散板に細粉を含む未粉砕物を導入
   する通路と、該通路の外側に位置され分散板に設けられ
   た分級羽根と、該分級羽根によって分級された細粉を取
   り出す排出口と、上記分散板の下方に猛威され分級羽根
   によって分級された未粉砕物を粉砕部へ再入させるため
   のホッパとを備えたことを特徴とする竪型ミル。