JPH0312347Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の利用分野〕 この考案は粉砕装置に係り、特に、石灰の粉砕
量に応じて粉砕炭を輸送する空気量が変化する場
合に、粉砕炭の分級性能を維持する好適な粉砕装
置に関するものである。

〔考案の背景〕

第５図は微粉炭燃焼ボイラ等に一般に使用され
る縦形ボール式石灰粉砕装置の内部構造を示す図
である。

第５図において、石灰２０は、縦形ボール式石
灰粉砕装置１の縦軸Ｚ−Ｚと同軸の投入管１０に
よつて、下部粉砕輪３の中央部に投入される。下
部粉砕輪３はヨーク９上に載置固定されており、
減速機８を介して電動機７によつて、粉砕装置１
の縦軸Ｚ−Ｚを軸として矢印Ｒで示す方向に回転
させられる。上部粉砕輪５は粉砕装置１のケーシ
ング２に取り付けられ、加圧シリンダ１９および
加圧スプリング６によつて、下向きすなわち下部
粉砕輪３の方向に押圧されている。そして、複数
個の粉砕ボール４が上部粉砕輪５と下部粉砕輪３
との間に挟持されている。粉砕ボール４は、下部
粉砕輪３が縦軸Ｚ−Ｚを軸として矢印Ｒで示す方
向に回転するに連れて、上部粉砕輪５と下部粉砕
輪３との間を転がりながら縦軸Ｚ−Ｚの周囲を矢
印Ｒで示す方向に回転する。

投入管１０によつて下部粉砕輪３の中央部に投
入される石炭２０は、縦軸Ｚ−Ｚを軸として矢印
Ｒで示す方向に回転する下部粉砕輪３の遠心力に
よつて下部粉砕輪３の円周に向つて移動し、粉砕
ボール４と下部粉砕輪３との間に噛み込まれて粉
砕される。下部粉砕輪３の外側には、ノズルリン
グ１３が、下部粉砕輪３の外周と僅かな〓間を保
つて下部粉砕輪３と同心円状にケーシング２に固
定されており、粉砕ボール４と下部粉砕輪３との
間に噛み込まれて粉砕された粉砕炭２０ａは、下
部粉砕輪３からノズルリング１３上に排出され
る。

ノズルリング１３の内周に沿つてノズル２１が
配設されており、ノズル２１の噴出方向は鉛直方
向ではなく、縦軸Ｚ−Ｚを軸として矢印Ｒで示す
下部粉砕輪３の回転方向と同じ方向に傾斜してい
る。そして、下部粉砕輪３からノズルリング１３
上に排出される粉砕炭２０ａを乾燥しながら輸送
するための空気は、空気入口１１から供給されて
ノズル２１を下から上へと通流することによつ
て、矢印Ｒで示す下部粉砕輪３の回転方向と同じ
方向に縦軸Ｚ−Ｚを軸として旋回させられる。し
たがつて、粉砕炭２０ａは、縦軸Ｚ−Ｚを軸とし
て矢印Ｒで示す方向に旋回しながら上昇する空気
によつて、旋回させられるとともに乾燥されなが
ら矢印Ｘで示す方向に輸送される。

縦軸Ｚ−Ｚを軸として矢印Ｒで示す方向に旋回
しながら矢印Ｘで示す方向に輸送される粉砕炭２
０ａは、粉砕装置１の上部の分級器１２の入口ベ
ーン１８によつて、さらに旋回させられて分級器
１２内に導入され、微粉炭２０ｂと粗粉炭２０ｃ
とに分級される。

分級された微粉炭２０ｂは、輸送用空気によつ
て出口管２７から図示しない微粉炭燃焼ボイラの
微粉炭バーナへ輸送されて燃焼され、粗粉炭２０
ｃは、分級器１２の下部の戻しシユート２８によ
つて下部粉砕輪３の中央部に戻され、投入管１０
から投入される石灰２０とともに粉砕される。

この場合、分級器１２から図示しない微粉炭燃
焼ボイラの微粉炭バーナに輸送される微粉炭２０
ｂの量は、微粉炭燃焼ボイラの発生蒸気量の変化
すなわち微粉炭バーナの微粉炭燃焼量の変化に応
じて変化するので、微粉炭２０ｂを乾燥および輸
送する空気の量も、微粉炭２０ｂの量の変化に伴
つて当然変化する。したがつて、分級器１２は、
微粉炭燃焼ボイラの発生蒸気量が最小のときすな
わち微粉炭バーナの微粉炭燃焼量が最小のときで
も、必要とされる微粉炭２０ｂを分級しなければ
ならない。そのため、微粉炭２０ｂの量が最小の
ときすなわち微粉炭２０ｂを輸送する空気の量が
最小のときでも、分級器１２内における空気の旋
回速度すなわちノズルリング１３のノズル２１か
ら噴出する空気の旋回速度を、微粉炭２０ｂを分
級できる旋回速度に達するようにしなければなら
ない。

それ故、従来は、微粉炭２０ｂを輸送する空気
の量が最小のときに、微粉炭２０ｂを分級するた
めに必要とされる空気の旋回速度が得られるよう
に、ノズルリング１のノズル２１の開口面積を設
定していた。このため、図示しない微粉炭燃焼ボ
イラの発生蒸気量すなわち微粉炭バーナの微粉炭
燃焼量が増加し、微粉炭２０ｂを輸送する空気の
量が増加した場合、ノズルリング１３のノズル２
１を通流する空気の速度が大幅に速くなつて圧力
損失が増加するので、空気入口１１に接続する送
風機の容量を必要以上に大きくしなければなら
ず、従来から問題になつていた。さらに、粉砕装
置１の粉砕および分級能力の範囲を変更する場合
には、ノズル２１の開口面積を変更するためノズ
ルリング１３を取り替える必要があるので、その
都度粉砕装置１の運転を停止しなければならず、
この点も従来から問題になつていた。

〔考案の目的〕

この考案は、上記の問題点を解決するためにな
されたもので、石炭の粉砕量に応じて粉砕炭を乾
燥および輸送する空気量が変化する場合に、粉砕
装置の運転を停止することなく、適正な送風機容
量で、粉砕炭を分級するための空気の旋回速度を
得ることができる粉砕装置を提供することを目的
とするものである。

〔考案の概要〕

この考案は、粉砕装置のノズルリングのノズル
と同数の開口を有する円環板をノズルリングの上
部に配設し、粉砕装置の外部から円環板を回動す
ることにより、粉砕装置の運転中にノズルの開口
面積を変化することを特徴とするものである。

〔考案の実施例〕

この考案に係る実施例を図に基づいて説明す
る。

第１図〜第４図はこの考案に係る実施例を示す
図であつて、第１図はこの考案の調整用円環板を
ノズルリングの上部に配設した状況を示す断面
図、第２図はノズルリングの上部に配設したこの
考案の調整用円環板の全体を示す平面図、第３図
および第４図はこの考案の調整用円環板の開口の
位置によつて、ノズルリングのノズルの開口面積
が変化する状況を示す図である。

第１図〜第４図において、調整用円環板２３
が、ノズルリング１３の上部にノズルリング１３
と同心円状に配設されており、調整用円環板２３
の外周面とノズルリング１３の内壁面１７との間
には僅かな間〓が存在している。また、調整用円
環板２３は、ノズルリング１３のノズル２１の開
口形状、開口面積、開口数と同じ開口形状、開口
面積、開口数の空気口２４を有している。そして
複数個の位置調整用アーム２５が調整用円環板２
３の外周に取り付けられており、ケーシング２に
設けた調整ハンドル２６を粉砕装置１の外部から
操作することによつて、調整用円環板２３をノズ
ルリング１３と同心円状に回動し、調整用円環板
２３の空気口２４の開口とノズルリング１３のノ
ズル２１の開口との円周方向の重なりの程度が調
整されるようになつている。この際、調整用円環
板２３の外周面は、ノズルリング１３の内壁面１
７によつて半径方向の移動が抑制されているの
で、調整用円環板２３の空気口２４の開口とノズ
ルリング１３のノズル２１の開口との半径方向の
重なりが外れないようになつている。

このように構成されているため、粉砕装置１の
石灰の粉砕量が多く、粉砕炭２０ａを乾燥および
輸送する空気の量が多い場合には、調整ハンドル
２６を操作して調整用円環板２３を回動し、第３
図に示すように、調整用円環板２３の空気口２４
の開口とノズルリング１３のノズル２１の開口と
を合致させて、ノズル２１の開口長１５すなわち
ノズル２１の開口面積を最大にする。

ノズル２１から噴出する空気の噴出方向を矢印
２２で示す方向によつて、また、ノズル２１から
噴出する空気の噴出速度を矢印２２の長さによつ
て、夫々表現すると、この場合、下部粉砕輪３と
粉砕ボール４とによつて粉砕されて調整用円環板
２３上に排出される粉砕炭２０ａは、矢印２２ｖ
の長さで示す垂直速度の空気によつて上昇させら
れるとともに、矢印２２ｈの長さで示す水平速度
の空気によつて旋回させられる。そして、図示し
ない分級器１２に輸送される粉砕炭２０ａは、分
級器１２の入口ベーン１８によつて更に旋回させ
られ、微粉炭２０ｂと粗粉炭２０ｃとに分級され
る。

粉砕装置１の石炭の粉砕量が少なく、粉砕炭２
０ａを乾燥および輸送する空気の量が少ない場合
には、調整ハンドル２６を操作して矢印Ｒで示す
下部粉砕輪３の回転方向すなわちノズル２１の傾
斜方向に調整用円環板２３を回動し、第４図に示
すように、調整用円環板２３の空気口２４の開口
とノズルリング１３のノズル２１の開口とをずら
せる。

これにより、ノズル２１の開口長１５は短くな
つて実質開口長１６となるので、ノズル２１の開
口面積が狭められるとともに、実質開口長１６の
開口から噴出される空気の矢印２２′で示す噴出
方向が、矢印２２で示すノズル２１の空気の噴出
方向よりも水平方向に傾斜させられる。それ故、
実質開口長１６の開口から噴出する空気の噴出速
度を示す矢印２２′の長さは、第３図において既
に説明した空気の量が多いときの開口長１５のノ
ズル２１から噴出する空気の噴出速度を示す矢印
２２の長さよりも短いが、噴出速度が矢印２２′
長さで示される空気の水平速度を示す矢印２２′
ｈの長さは、噴出速書が矢印２２の長さで示され
る空気の水平速度を示す矢印２２ｈの長さで示さ
れる空気の水平速度を示す矢印２２ｈの長さにほ
ぼ等しくなる。すなわち、空気の量が少ないとき
の粉砕炭２０ａを旋回させる空気の水平速度が、
空気の量が多いときの粉砕炭２０ａを旋回させる
空気の水平速度にほぼ等しくなる。

したがつて、図示しない分級器１２に旋回しな
がら輸送され、分級器１２の入口ベーン１８によ
つて更に旋回させられる空気の量が少ないときの
粉砕炭２０ａは、空気の量が多いときの粉砕炭２
０ａとほぼ同じように分級器１２によつて分級さ
れる。なお、調整用円環板２３を回動することに
よつてノズル２１の開口面積が狭められるが、空
気の量が少ないのでノズル２１を通過する空気の
速度は、空気量が多くノズル２１の開口面積が最
大のときのノズル２１を通過する空気の速度をほ
ぼ等しく、したがつて、圧力損失はほぼ等しい。

〔考案の効果〕

この考案は、以上説明したように、粉砕装置１
の石灰の粉砕量が増減して粉砕炭２０ａを乾燥お
よび輸送する空気の量が変動した場合に、粉砕装
置１の外部から調整用円環板２３を回動してノズ
ル２１の開口面積を変化することにより、粉砕炭
２０ａを旋回させる空気の水平速度が変動しない
ようにしている。

したがつて、空気の量が変動しても粉砕炭２０
ａの旋回速度がほぼ等しいので、粉砕装置１を停
止することなく、粉砕炭２０ａを分級できる効果
がある。また、ノズル２１から噴出する空気の速
度がほぼ等しいので、ノズル２１を通流する空気
の圧力損失が増加せず、送風機の容量を必要以上
に大きくすることがなくなる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の調整用円環板をノズルリン
グの上部に配設した状況を示す断面図、第２図は
ノズルリングの上部に配設したこの考案の調整用
円環板の全体を示す平面図、第３図および第４図
はこの考案の調整用円環板の開口の位置によつて
ノズルリングの開口面積が変化する状況を示す
図、第５図は縦形ボール式石灰粉砕装置の内部構
造を示す図である。 １…石灰粉砕装置、２…ケーシング、３…下部
粉砕輪、４…粉砕ボール、５…上部粉砕輪、６…
スプリング、７…電動機、８…減速機、９…ヨー
ク、１０…投入管、１１…空気入口、１２…分級
器、１３…ノズルリング、１４…羽根、１５，１
６…開口長、１７…内壁面、１８…入口ベーン、
１９…加圧シリンダ、２０…石灰、２０ａ…粉砕
炭、２０ｂ…微粉炭、２０ｃ…粗粉炭、２１…ノ
ズル、２２，２２ｈ，２２ｖ，２２′，２２′ｈ，
２２′ｖ…矢印、２３…調整用円環板、２４…空
気口、２５…アーム、２６…ハンドル、２７…出
口管、２８…戻しシユート。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 粉砕ボールと下部粉砕輪との間で被粉砕物を粉
   砕し、ノズルリングのノズルから噴出する空気に
   よつて前記粉砕した粉砕物を施回させるとともに
   分級器に輪送し、前記分級器によつて前記粉砕し
   た粉砕物を分級する粉砕装置において、前記ノズ
   ルの開口形状、開口面積、開口数と同じ開口形
   状、開口面積、開口数の開口を有する円環板を、
   前記ノズルリングの直上に回動可能に設けること
   を特徴とする粉砕装置。