JPH05287451A - コンクリート中での耐塩性に優れたpc鋼線とその製造方法 - Google Patents

コンクリート中での耐塩性に優れたpc鋼線とその製造方法

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JPH05287451A
JPH05287451A JP11515792A JP11515792A JPH05287451A JP H05287451 A JPH05287451 A JP H05287451A JP 11515792 A JP11515792 A JP 11515792A JP 11515792 A JP11515792 A JP 11515792A JP H05287451 A JPH05287451 A JP H05287451A
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Japan
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less
steel
concrete
salt resistance
steel wire
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JP11515792A
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Akio Yamamoto
章夫 山本
Takeo Harada
武夫 原田
Takayoshi Konishi
孝義 小西
Takashige Nagato
隆重 長門
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明はCu,Wを含有し、コンクリート構
造物中でも優れた耐食性を示すPC鋼線とその製造方法
である。 【構成】 C:0.6%以上1.0%以下,Si:0.
005%以上0.1%以下,Mn:0.01%以上0.
6%以下,S:0.008%以下,Cu:0.05%以
上0.7%以下,W:0.02%以上1.0%以下,A
l:0.001%以上0.10%以下、またはこれに加
えNi,Cr,Mo,の内1種または2種以上、および
/またはV,Ti,Bの内の1種または2種以上を含有
する鋼を熱間圧延後2℃/s以上30℃/s以下の速度
で550℃以下に冷却し、しかる後伸線加工および時効
硬化処理を行なって製造する。 【効果】 コンクリート中での耐塩性に優れ、構造物の
安全性の向上と建設工事のコスト低減が達成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コンクリート補強材で
あるPC鋼線とその製造方法に関し、Cl-イオンを含
有するコンクリート構造物中でも優れた耐食性を示すP
C鋼線とその製造方法である。
【0002】
【従来の技術】従来コンクリートには容易に採取可能な
川砂を使用し、河川水,工業用水あるいは上水を使用し
て混練するのが通常であった。しかるにコンクリート構
造物の飛躍的な増加の結果、川砂の採取も容易でなくな
り、海砂の使用が余儀なくされてきた。
【0003】コンクリート中は通常pHが10を超える
強アルカリ環境であるために、大気中では腐食する炭素
鋼も腐食しない。しかし海浜地区に建造されるコンクリ
ート構造物や、混練する砂に未洗浄の海砂を使用したり
混練用の水に海水を使用したコンクリート構造物では、
pHが10を超える強アルカリであっても、Cl- イオ
ンが存在するために鋼材は腐食する。
【0004】その結果、鋼材は断面積が減少して強度が
低下したり、腐食で発生した水素が鋼中に侵入して脆化
する危険が生ずる。また腐食生成物の体積は鋼よりも大
きいためコンクリートにひび割れが発生し、腐食がます
ます促進されてコンクリート構造物の寿命が著しく低下
する。
【0005】従って海砂を使用する場合、十分な水洗を
行なって塩分を除去する必要があるため、作業工程が煩
雑になり工期が長くなる欠点が生ずる。また海洋構造物
の場合、コンクリート中へのCl- イオンの侵入が防止
できないため、補強用の鋼材の腐食とその結果のコンク
リートの寿命低下も避けられなかった。
【0006】これらの欠点は、いずれも補強用の鋼材の
腐食が原因である。従ってCl- イオンを含む強アルカ
リ環境での耐食性、すなわち耐塩性に優れたPC鋼材が
あれば解決する。
【0007】従来強度をそれほど問題としない鉄筋で耐
塩性が必要な場合、特開昭59−29154号に開示さ
れるエポキシ塗装を施した塗装鉄筋や、Znめっき鉄
筋,ステンレス鉄筋が使用されてきた。この考え方に従
って、PC鋼線に塗装やめっきを施せば同様に使用が可
能と思われる。
【0008】しかしPC鋼線は、コンクリートに圧縮応
力を加えるために高い引張応力を加えた状態でコンクリ
ートに埋め込まれる必要がある。塗装やZnめっき鋼材
は、この加工時に剥離したり疵がついてその部分の耐塩
性が劣化することが多く、実用に耐えないのが実情であ
る。
【0009】ステンレス鉄筋は、相応に耐塩性があり剥
離などの問題もなく溶接も可能であり、かつ熱処理で高
強度化しPC鋼材とすることは可能であるが、高価格で
あるため広範な使用はできなかった。
【0010】また耐塩性を有する鋼材では、特開昭50
−23310号,特開昭50−98420号,特開昭6
2−188754号の各公報に示されるCu,W,C
r,Ni,Mo等を適宜組合わせて添加した成分系の鋼
材や、また特開昭57−48054号,特開昭57−9
8653号,特開昭58−77551号の各公報には、
S低減に加えてCaやREMで一層の低S化を狙った鋼
材が開示されている。
【0011】これらの鋼材は、耐塩性には相応に効果が
認められるが、通常の伸線加工を行なっても強化でき
ず、PC鋼線の製造は不可能である。このため耐塩性の
高い鉄筋を多量に使用して強度を確保する、資源的には
無駄の多い施工方法を採用せざるを得なかった。
【0012】さらに最近では、特開昭62−19974
8号,特開昭64−79346号公報には、Alを数%
から数10%添加した高いAl含有鋼が提案されてい
る。このAl含有鋼は、耐塩性の点では通常鋼や前述し
た鋼より圧倒的に優れているが、冷間での強度を確保す
ることができず、しかも熱間や冷間での加工性,靱性が
極端に劣るため、やはりPC鋼線の製造はできなかっ
た。
【0013】この他にもPC鋼線の耐塩性向上させる方
法には、通常のPC鋼線にカロライジングやクロマイジ
ングなどの表面拡散浸透処理、Cr,Niなどの金属め
っきおよび表層合金化処理、PVDやCVDによるAl
N,TiN,TiCなどのセラミックスコーティングを
施すことが考えられる。
【0014】これらの方法では、PC鋼線としての材質
とともに耐塩性も確保可能と思われる。しかしこれらの
方法はいずれも特殊な装置や工程が必要で、PC鋼線の
ような量産鋼構造物用材料の表面処理への適用はコスト
的に困難である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来耐塩性
を改善したCu,W,Cr,Ni,Moなどの添加およ
びS低減を適宜組合わせることで耐塩性が向上するとの
知見をもとに、熱延後の冷却速度を適切に制御すること
で、強度,延性に優れたコンクリート中での耐塩性に優
れたPC鋼線とその製造方法を提供する。
【0016】
【課題を解決するための手段】前述したように、Cu,
W,Cr,Ni,Mo等の添加やS低減を適宜組合わせ
て成分設計した鉄筋用鋼材は、現行のPC鋼線並みの伸
線加工を行なっても強度の高いPC鋼線の製造は不可能
である。
【0017】これに対して本発明者らは、Cの増量とと
もに耐塩性を向上させる元素を適量添加することで、耐
塩性を維持しつつ伸線加工によって強度の上昇可能なこ
と、および熱延後の冷却速度を適切に制御することで、
特別な恒温変態処理工程を経ることなく伸線後の強度,
延性を確保できることを見出した。本発明はこの知見を
基に完成したものである。
【0018】すなわち第1の本発明のPC鋼線は、重量
%で、C:0.6%以上1.0%以下,Si:0.00
5%以上0.1%以下,Mn:0.01%以上0.6%
以下,S:0.008%以下,Cu:0.05%以上
0.7%以下,W:0.02%以上1.0%以下,A
l:0.001%以上0.10%以下を含有し、残部が
鉄および不可避不純物からなり、伸線加工および時効硬
化処理を行なったことを特徴とする。
【0019】上記PC鋼線の製造方法は、重量%で、
C:0.6%以上1.0%以下,Si:0.005%以
上0.1%以下,Mn:0.01%以上0.6%以下,
S:0.008%以下,Cu:0.05%以上0.7%
以下,W:0.02%以上1.0%以下,Al:0.0
01%以上0.10%以下を含有し、残部が鉄および不
可避不純物からなる成分鋼を直径5mm以上20mm以
下に熱間圧延し、次いで2℃/s以上30℃/s以下の
速度で550℃以下に冷却し、しかる後伸線加工および
時効硬化処理を行なうことを特徴とする。
【0020】第2の本発明のPC鋼線は、重量%で、
C:0.6%以上1.0%以下,Si:0.005%以
上0.1%以下,Mn:0.01%以上0.6%以下,
S:0.008%以下,Cu:0.05%以上0.7%
以下,W:0.02%以上1.0%以下,Al:0.0
01%以上0.10%以下、さらにNi:0.05%以
上1.5%以下,Cr:0.2%以上1.5%以下,M
o:0.05%以上1.0%以下の内の1種または2種
以上を含有し、残部が鉄および不可避不純物からなり、
伸線加工および時効硬化処理を行なったことを特徴とす
る。
【0021】またそのPC鋼線の製造方法は、重量%
で、C:0.6%以上1.0%以下,Si:0.005
%以上0.1%以下,Mn:0.01%以上0.6%以
下,S:0.008%以下,Cu:0.05%以上0.
7%以下,W:0.02%以上1.0%以下,Al:
0.001%以上0.10%以下、さらにNi:0.0
5%以上1.5%以下,Cr:0.2%以上1.5%以
下,Mo:0.05%以上1.0%以下の内の1種また
は2種以上を含有し、残部が鉄および不可避不純物から
なる成分鋼を直径5mm以上20mm以下に熱間圧延
し、次いで2℃/s以上30℃/s以下の速度で550
℃以下に冷却し、しかる後伸線加工および時効硬化処理
を行なうことを特徴とする。
【0022】第3の本発明のPC鋼線は、重量%で、
C:0.6%以上1.0%以下,Si:0.005%以
上0.1%以下,Mn:0.01%以上0.6%以下,
S:0.008%以下,Cu:0.05%以上0.7%
以下,W:0.02%以上1.0%以下,Al:0.0
01%以上0.10%以下、さらにV:0.01%以上
0.5%以下,Ti:0.01%以上0.5%以下,
B:0.0003%以上0.005%以下の内の1種ま
たは2種以上を含有し、残部が鉄および不可避不純物か
らなり、伸線加工および時効硬化処理を行なったことを
特徴とする。
【0023】またそのPC鋼線の製造方法は、重量%
で、C:0.6%以上1.0%以下,Si:0.005
%以上0.1%以下,Mn:0.01%以上0.6%以
下,S:0.008%以下,Cu:0.05%以上0.
7%以下,W:0.02%以上1.0%以下,Al:
0.001%以上0.10%以下、さらにV:0.01
%以上0.5%以下,Ti:0.01%以上0.5%以
下,B:0.0003%以上0.005%以下の内の1
種または2種以上を含有し、残部が鉄および不可避不純
物からなる成分鋼を直径5mm以上20mm以下に熱間
圧延し、次いで2℃/s以上30℃/s以下の速度で5
50℃以下に冷却し、しかる後伸線加工および時効硬化
処理を行なうことを特徴とする。
【0024】第4の本発明のPC鋼線は、重量%で、
C:0.6%以上1.0%以下,Si:0.005%以
上0.1%以下,Mn:0.01%以上0.6%以下,
S:0.008%以下,Cu:0.05%以上0.7%
以下,W:0.02%以上1.0%以下,Al:0.0
01%以上0.10%以下、さらにNi:0.05%以
上1.5%以下,Cr:0.2%以上1.5%以下,M
o:0.05%以上1.0%以下の内の1種または2種
以上と、V:0.01%以上0.5%以下,Ti:0.
01%以上0.5%以下,B:0.0003%以上0.
005%以下の内の1種または2種以上を含有し、残部
が鉄および不可避不純物からなり、伸線加工および時効
硬化処理を行なったことを特徴とする。
【0025】またそのPC鋼線の製造方法は、重量%
で、C:0.6%以上1.0%以下,Si:0.005
%以上0.1%以下,Mn:0.01%以上0.6%以
下,S:0.008%以下,Cu:0.05%以上0.
7%以下,W:0.02%以上1.0%以下,Al:
0.001%以上0.10%以下、さらにNi:0.0
5%以上1.5%以下,Cr:0.2%以上1.5%以
下,Mo:0.05%以上1.0%以下の内の1種また
は2種以上と、V:0.01%以上0.5%以下,T
i:0.01%以上0.5%以下,B:0.0003%
以上0.005%以下の内の1種または2種以上を含有
し、残部が鉄および不可避不純物からなる成分鋼を直径
5mm以上20mm以下に熱間圧延し、次いで2℃/s
以上30℃/s以下の速度で550℃以下に冷却し、し
かる後伸線加工および時効硬化処理を行なうことを特徴
とする。
【0026】
【作用】本発明の鋼線は、従来法に従い熱間圧延後慨ね
500〜600℃でパテンティング処理を行なって組織
をパーライト化し、それを伸線して必要な場合はさらに
矯直を行ない、最終的に時効効果処理を行なうことで、
製造することが可能である。しかしこの工程では、多数
回の熱処理が必要となり、コストが大幅に上昇する。
【0027】これに対して本発明者らは、熱間圧延サイ
ズを適切に限定し、さらに熱間圧延後の冷却速度を一定
範囲に制御することで、熱間圧延後のパテンティング処
理を省略して製造できる方法を発明したものである。
【0028】以下本発明条件の限定理由について説明す
る。
【0029】Cは、0.6%未満では伸線加工を行なっ
ても強度が932N/mm2 未満となり、PC鋼線とし
ての強度が不足するため0.6%を下限とし、1.0%
を超えると、熱延後初析セメンタイトがγ粒界に析出
し、伸線加工時に割れを生ずるなど加工性が著しく劣化
するので1.0%を上限とした。
【0030】Siは、0.1%を超えると耐塩性が劣化
するので上限とした。Siは低いほど耐塩性が向上する
が、0.005%未満に低減すると鋼の清浄度を低下さ
せ、延性の低下や折損の基点となるため0.005%を
下限した。
【0031】Mnも、0.6%を超えると耐塩性が劣化
するので0.6%を上限とした。しかし0.01%未満
では、焼入れ性が著しく低下するとともに、強度の確保
も困難になるため0.01%を下限とした。
【0032】Sは、低ければ低いほど耐塩性が良好であ
るが、0.008%以下であれば他の元素との組合わせ
でほぼ一定となるため、0.008%を上限とした。
【0033】Cuは、耐塩性を確保するために必須の元
素であり、0.05%未満では効果が認められないので
0.05%を下限とし、0.7%を超えると熱間加工性
が著しく低下するために、0.7%を上限とした。
【0034】Wも、耐塩性を確保するために必須の元素
であり、0.02%未満では効果が認められないので
0.02%を下限とし、1.0%を超えるとコストが著
しく上昇するために、1.0%を上限とした。
【0035】Alは、脱酸材として本発明方法に適用す
る低Si鋼の清浄度を確保するために必須の元素であ
り、0.001%未満では効果がないので0.001%
を下限とし、0.10%を超えると効果が飽和するだけ
でなく、熱間加工性が低下するため0.10%を上限と
した。
【0036】Ni,Cr,Moは、耐塩性を損うことな
く母材の強度を確保するための元素であり、単独でも2
種以上の複合でも効果が認められる。この場合、Niと
Moは0.05%未満,Crは0.2%未満では効果が
ないので、NiとMoは0.05%,Crは0.2%を
下限とし、NiとCrは1.5%,Moは1.0%を超
えるとコスト的に不利となるため、NiとCrは1.5
%,Moは1.0%を上限とした。
【0037】V,Ti,Bは、伸線前のパーライト組織
におけるラメラ間隔を狭め、結果的に伸線素材の強化を
促進するための元素であり、単独でも2種以上の複合で
も効果が認められる。この場合、V,Tiは0.01%
未満では効果がないので0.01%を下限とし、0.5
%を超えるとコスト的に不利となるため、0.5%を上
限とした。またBは、0.0003%未満では効果がな
いので0.0003%を下限とし、0.005%を超え
ると鋼の清浄度が劣化するため0.005%上限とし
た。
【0038】圧延サイズは、直径5mm未満の圧延は熱
間圧延では効率が悪く、コスト上昇の原因となるため5
mm下限とした。また20mmを超える圧延材では、熱
延後の冷却速度が表層部と中心部で大きく異なるため
に、材質が不安定となるので20mmを上限とした。
【0039】熱延後の冷却速度は、その過程で適切な強
度のパーライト変態を起こさせることが目的であるの
で、限定する必要がある。冷却速度が30℃/sより大
きい場合、ベーナイト相やマルテンサイト相を生じ伸線
加工が不可能となるので、冷却速度の30℃/sを上限
とした。また2℃/s未満の冷却速度の場合、パーライ
ト変態は起こるもののラメラ間隔が広く強度の低い素材
となるため、2℃/sを下限とした。
【0040】本発明方法では、鋼材にCu,W,Cr,
Ni,Mo等を適宜組合わせ、添加することで耐塩性を
確保している。特にCuは、腐食が発生した際のアノー
ド溶解を低減させることが認められており、Wは溶解後
WO3-イオンとなって溶解部分を再不動態化する機能を
有していることが認められており、耐塩性を確保する上
で不可欠の元素である。
【0041】また熱間圧延後適切な冷却速度で冷却する
ことで、強度が高くラメラ間隔の狭いパーライト組織と
なり、その後の伸線で強化されることで、特別な恒温変
態処理工程を経ることなくPC鋼線の製造が可能とな
る。
【0042】
【実施例】表1に示した成分の鋼を溶製し、162mm
角の鋼片に加工した。これらの鋼片は、12.7mmφ
または15.5mmφまで熱間圧延し、表2に示した冷
却速度で300℃まで冷却しその後空冷した。しかる後
伸線加工および400℃の時効硬化処理により、9.2
mmφ(素材12.7mmφ)または11mmφ(素材
15.5mmφ)のPC鋼線を製造した。
【0043】これらのPC鋼線の強度、延性および耐塩
性の評価結果を、表2に合わせて示した。なお、耐塩性
評価試験は、JIS−A6205に規定されたオートク
レーブ装置によるコンクリート中の鉄筋の腐食促進試験
法を適用し、無負荷でかつコンクリート中のCl- イオ
ン添加量0.8[kg/m3 ]とした。評価は錆発生面
積率で行なった。
【0044】表2には、No.24に比較例として熱延
後オフラインで鉛パテンティング(以下LPと略称す
る)を実施した後伸線加工したPC鋼線の製造方法を示
した。
【0045】表2に示したように、No.1〜No.1
9の本発明例では、いずれもオフラインのLPを実施し
たPC鋼線と同じレベルの強度,延性を示し、オートク
レーブによる耐塩性評価試験での錆の発生がないなど、
コンクリート中での耐塩性に優れたPC鋼線が製造でき
た。
【0046】比較例No.20は、冷却速度が小さいた
め粗大なパーライト組織となり、PC鋼線として必要な
強度が得られなかった。また比較例No.21は、冷却
速度が大きいためベーナイト相またはマルテンサイト相
が生じ、その結果伸線中に破断し伸線材の製造ができな
かった。
【0047】比較例No.22は、素材のC量が低いた
めフェライト+パーライト組織となって、PC鋼線とし
て必要な強度が得られなかった。また比較例No.23
は、使用した鋼材のCu添加量が少ないため、強度,延
性はオフラインのLPを実施したPC鋼線と同じレベル
であったが、オートクレーブによる耐塩性評価試験で錆
が激しく発生し、コンクリート中での耐塩性が劣るもの
であった。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、従来のP
C鋼線が有する施工性が確保されると共に、さらに耐塩
性に優れたコンクリート補強用PC鋼線が供給され、本
発明により海浜地区の建造物等で頻発している補強用鋼
材の腐食によるコンクリートの崩壊事故を未然に防止で
き、構造物の安全性が向上するとともに、コンクリート
に安価で豊富な海砂を使用することが可能となり、建設
工事の大幅なコスト低減が達成できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長門 隆重 北海道室蘭市仲町12 新日本製鐵株式会社 室蘭製鐵所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.6%以上1.0%以
    下,Si:0.005%以上0.1%以下,Mn:0.
    01%以上0.6%以下,S:0.008%以下,C
    u:0.05%以上0.7%以下,W:0.02%以上
    1.0%以下,Al:0.001%以上0.10%以下
    を含有し、残部が鉄および不可避不純物からなり、伸線
    加工および時効硬化処理を行なったことを特徴とするコ
    ンクリート中での耐塩性に優れたPC鋼線。
  2. 【請求項2】 重量%で、C:0.6%以上1.0%以
    下,Si:0.005%以上0.1%以下,Mn:0.
    01%以上0.6%以下,S:0.008%以下,C
    u:0.05%以上0.7%以下,W:0.02%以上
    1.0%以下,Al:0.001%以上0.10%以下
    を含有し、残部が鉄および不可避不純物からなる成分鋼
    を直径5mm以上20mm以下に熱間圧延し、次いで2
    ℃/s以上30℃/s以下の速度で550℃以下に冷却
    し、しかる後伸線加工および時効硬化処理を行なうこと
    を特徴とするコンクリート中での耐塩性に優れたPC鋼
    線の製造方法。
  3. 【請求項3】 重量%で、C:0.6%以上1.0%以
    下,Si:0.005%以上0.1%以下,Mn:0.
    01%以上0.6%以下,S:0.008%以下,C
    u:0.05%以上0.7%以下,W:0.02%以上
    1.0%以下,Al:0.001%以上0.10%以
    下、さらにNi:0.05%以上1.5%以下,Cr:
    0.2%以上1.5%以下,Mo:0.05%以上1.
    0%以下の内の1種または2種以上を含有し、残部が鉄
    および不可避不純物からなり、伸線加工および時効硬化
    処理を行なったことを特徴とするコンクリート中での耐
    塩性に優れたPC鋼線。
  4. 【請求項4】 重量%で、C:0.6%以上1.0%以
    下,Si:0.005%以上0.1%以下,Mn:0.
    01%以上0.6%以下,S:0.008%以下,C
    u:0.05%以上0.7%以下,W:0.02%以上
    1.0%以下,Al:0.001%以上0.10%以
    下、さらにNi:0.05%以上1.5%以下,Cr:
    0.2%以上1.5%以下,Mo:0.05%以上1.
    0%以下の内の1種または2種以上を含有し、残部が鉄
    および不可避不純物からなる成分鋼を直径5mm以上2
    0mm以下に熱間圧延し、次いで2℃/s以上30℃/
    s以下の速度で550℃以下に冷却し、しかる後伸線加
    工および時効硬化処理を行なうことを特徴とするコンク
    リート中での耐塩性に優れたPC鋼線の製造方法。
  5. 【請求項5】 重量%で、C:0.6%以上1.0%以
    下,Si:0.005%以上0.1%以下,Mn:0.
    01%以上0.6%以下,S:0.008%以下,C
    u:0.05%以上0.7%以下,W:0.02%以上
    1.0%以下,Al:0.001%以上0.10%以
    下、さらにV:0.01%以上0.5%以下,Ti:
    0.01%以上0.5%以下,B:0.0003%以上
    0.005%以下の内の1種または2種以上を含有し、
    残部が鉄および不可避不純物からなり、伸線加工および
    時効硬化処理を行なったことを特徴とするコンクリート
    中での耐塩性に優れたPC鋼線。
  6. 【請求項6】 重量%で、C:0.6%以上1.0%以
    下,Si:0.005%以上0.1%以下,Mn:0.
    01%以上0.6%以下,S:0.008%以下,C
    u:0.05%以上0.7%以下,W:0.02%以上
    1.0%以下,Al:0.001%以上0.10%以
    下、さらにV:0.01%以上0.5%以下,Ti:
    0.01%以上0.5%以下,B:0.0003%以上
    0.005%以下の内の1種または2種以上を含有し、
    残部が鉄および不可避不純物からなる成分鋼を直径5m
    m以上20mm以下に熱間圧延し、次いで2℃/s以上
    30℃/s以下の速度で550℃以下に冷却し、しかる
    後伸線加工および時効硬化処理を行なうことを特徴とす
    るコンクリート中での耐塩性に優れたPC鋼線の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 重量%で、C:0.6%以上1.0%以
    下,Si:0.005%以上0.1%以下,Mn:0.
    01%以上0.6%以下,S:0.008%以下,C
    u:0.05%以上0.7%以下,W:0.02%以上
    1.0%以下,Al:0.001%以上0.10%以
    下、さらにNi:0.05%以上1.5%以下,Cr:
    0.2%以上1.5%以下,Mo:0.05%以上1.
    0%以下の内1種または2種以上と、V:0.01%以
    上0.5%以下,Ti:0.01%以上0.5%以下,
    B:0.0003%以上0.005%以下の内の1種ま
    たは2種以上を含有し、残部が鉄および不可避不純物か
    らなり、伸線加工および時効硬化処理を行なったことを
    特徴とするコンクリート中での耐塩性に優れたPC鋼
    線。
  8. 【請求項8】 重量%で、C:0.6%以上1.0%以
    下,Si:0.005%以上0.1%以下,Mn:0.
    01%以上0.6%以下,S:0.008%以下,C
    u:0.05%以上0.7%以下,W:0.02%以上
    1.0%以下,Al:0.001%以上0.10%以
    下、さらにNi:0.05%以上1.5%以下,Cr:
    0.2%以上1.5%以下,Mo:0.05%以上1.
    0%以下の内1種または2種以上と、V:0.01%以
    上0.5%以下,Ti:0.01%以上0.5%以下,
    B:0.0003%以上0.005%以下の内の1種ま
    たは2種以上を含有し、残部が鉄および不可避不純物か
    らなる成分鋼を直径5mm以上20mm以下に熱間圧延
    し、次いで2℃/s以上30℃/s以下の速度で550
    ℃以下に冷却し、しかる後伸線加工および時効硬化処理
    を行なうことを特徴とするコンクリート中での耐塩性に
    優れたPC鋼線の製造方法。
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