JP2002241899A - 耐遅れ破壊性と鍛造性に優れた高強度鋼線およびその製造方法 - Google Patents
耐遅れ破壊性と鍛造性に優れた高強度鋼線およびその製造方法Info
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Abstract
がら、耐遅れ破壊性と共に鍛造性にも優れた高強度鋼
線、およびその様な高強度鋼線を製造するための有用な
方法を提供する。 【解決手段】 C:0.7〜1.2%を含有する鋼材か
らなり、ベイナイト組織の面積率を80%以上としたも
のであり、且つ線材を強伸線加工することによって12
00N/mm2以上の強度と優れた耐遅れ破壊性を有す
る様にしたものである。
Description
業機械用として使用されるボルト用鋼に適した高強度鋼
線、およびその製造方法に関するものであり、特に強度
(引張強度)が1200N/mm2以上でありながら耐
遅れ破壊性と共に鍛造性にも優れた高強度鋼線、および
その様な高強度鋼線を製造するための有用な方法に関す
るものである。
金鋼(SCM435、SCM440、SCr440等)
が使用され、こうした鋼材を所定のボルト形状に成形し
た後、焼入れ・焼戻し処理により必要な強度を確保する
様にしている。しかしその一方で、引張強度が約120
0N/mm2を超える領域になると遅れ破壊が発生する
危険があり、使用に制約を受けている。
腐食性環境で起こるものがあり、種々の要因が複雑に絡
み合って起こしている原因を特定することは難しい。特
に遅れ破壊性を左右するものとしては、焼もどし温度、
組織、材料硬さ、結晶粒度、各種合金元素等の関与が一
応認められているものの、遅れ破壊を防止する手段が確
立されている訳ではなく、試行錯誤的に種々の方法が提
案されているに過ぎないのが実状である。
的強度の低い鋼線をボルト加工し、その後焼入れ・焼戻
しにより必要強度を得る方法ではなく、非調質ボルト用
鋼の様に、強度の高い鋼材をボルト加工する場合には、
ボルト加工時の変形抵抗が高くなり、工具寿命を大きく
低下させ、生産性を阻害することがある。従って、こう
した加工法を適用する場合には、ボルト用鋼に要求され
る特性として鍛造性が良好であることが必要である。
術として、例えば特開平11−315347号、同11
−315348号、同11−315349号等の技術も
提案している。これらの技術では、パーライトを主体と
する組織からなる線材を強伸線加工して引張強度を12
00N/mm2以上にすることによって、耐遅れ破壊性
を大幅に改善した鋼線を実現したものである。しかしな
がら、これらの鋼線は変形抵抗が高く(鍛造性が低
く)、ボルト成形時の工具寿命の低下が懸念されるとい
う若干の問題があった。
に着目してなされたものであって、その目的は、引張強
度が1200N/mm2以上でありながら、耐遅れ破壊
性と共に鍛造性にも優れた高強度鋼線、およびその様な
高強度鋼線を製造するための有用な方法を提供すること
にある。
発明の高強度鋼線とは、C:0.7〜1.2%を含有す
る鋼材からなり、ベイナイト組織の面積率を80%以上
としたものであり、且つ線材を強伸線加工することによ
って1200N/mm2以上の強度と優れた耐遅れ破壊
性を有する様にしたものである点に要旨を有するもので
ある。尚、本発明において「線材」とは、棒状または線
状に熱間圧延された鋼材およびその後熱処理された鋼材
を意味し、「鋼線」とは主として伸線等の冷間加工を施
したものを意味する。
の他の具体的な化学成分としては、Mn:0.2〜1.
0%およびSi:1.0%以下(0%を含まない)を夫
々含有すると共に、P:0.03%以下(0%を含む)
およびS:0.03%以下(0%を含む)に夫々抑制し
たものであることが好ましい。また、必要によって
(a)Cr:1.0%以下(0%を含まない)、(b)
Al:0.1%以下(0%を含まない)等を含有させる
ことが好ましい。更に、前記ベイナイト組織における結
晶粒径が、オーステナイト結晶粒度番号でNo.7以上
に相当するものであることが好ましい。
造するに当たっては、鋼材を800〜1000℃に加熱
後、300〜500℃の温度まで急冷し、その温度で恒
温保持することにより、初析フェライト、初析セメンタ
イト、パーライトおよびマルテンサイトの1種または2
種以上の組織生成を抑制してベイナイト組織の面積率を
80%以上とし、その後強伸線加工によって1200N
/mm2以上の強度にする様にすれば良い。
または鍛造終了温度が800〜1000℃となる様に熱
間圧延または鍛造を行った後、300〜500℃の温度
まで急冷し、その温度から1.0℃/秒以下の平均冷却
速度で200秒以上かけて冷却し、引き続き室温まで放
冷することにより、初析フェライト、初析セメンタイ
ト、パーライトおよびマルテンサイトの1種または2種
以上の組織生成を抑制してベイナイト組織の面積率を8
0%以上とし、その後強伸線加工によって1200N/
mm2以上の強度にする様にしても製造できる。
に鍛造性をも良好な高強度鋼線を実現するべく、様々な
角度から検討を加えた。その結果、組織をある制約を持
ったベイナイト組織とし、強伸線加工により1200N
/mm2以上の強度とすれば、耐遅れ破壊性をそれほど
低下させることなく良好な鍛造性が発揮されることを見
出し、本発明を完成した。
ェライト、初析セメンタイト、パーライトおよびマルテ
ンサイトの1種または2種以上の組織生成を抑制してベ
イナイト組織の面積率を80%以上とする必要がある。
上記組織のうち、初析フェライトと初析セメンタイトが
多く生成すると、伸線時に縦割れを起こし伸線できなく
なり、強伸線加工によって1200N/mm2以上の強
度を得ることができなくなる。また初析セメンタイトと
マルテンサイトは、伸線時に断線を引き起こすので少な
くする必要がある。更に、パーライトはベイナイトに比
べて変形抵抗が高く、良好な鍛造性を発揮できなくなる
ので少なくする必要がある。
ルテンサイト鋼よりも耐遅れ破壊性が良好であるばかり
でなく、パーライト組織より加工硬化しにくいため、鍛
造性も良好であり、できるだけ多くする必要がある。こ
うしたことから、初析フェライト、初析セメンタイト、
パーライトおよびマルテンサイト等の組織を少なくとも
1種の組織の生成を抑制して(即ち、20%未満にし
て)、ベイナイト組織の面積率を80%以上とする必要
がある。即ち、初析フェライト、初析セメンタイト、パ
ーライトおよびマルテンサイト等の組織の少なくとも1
種をできるだけ少なくして、その合計面積率を20%以
下となる様にしてベイナイト組織の面積率を80%以上
にする必要がある。ベイナイト組織の面積率は、好まし
くは90%以上とするのが良く、より好ましくは95%
以上のパーライト組織とするのが良い。
オーステナイト結晶粒度番号(JIS G0551)で
No.7以上に相当するものであることが望ましい。即
ち、ベイナイト組織の結晶を微細にすると、粒界に負荷
する応力が低減されると共に、粒界強度が上昇する。こ
れによって遅れ破壊時に見られる粒界破壊が抑制されて
耐遅れ破壊性が向上する。また、ベイナイト組織の結晶
を微細化することによって、延性および靭性が向上し、
こうした観点からも耐遅れ破壊性が向上する。
2%含む中炭素鋼を想定したものであるが、C含有量の
範囲限定は、以下の通りである。
り、C含有量を増加させるにつれて強度が増加する。目
標強度を確保するためには、Cは0.7%以上含有させ
る必要がある。しかしながら、C含有量が1.2%を超
えると、初析セメンタイトの析出量が増加し、靭延性の
低下が顕著に現れ、伸線加工性を劣化させる。C含有量
の好ましい下限は、0.8%であり、より好ましくは
0.9%である。またC含有量の好ましい上限は、1.
1%であり、より好ましくは1.0%である。
の具体的な化学成分としては、Mn:0.2〜1.0%
およびSi:1.0%以下を夫々含有すると共に、P:
0.03%以下およびS:0.03%以下に夫々抑制し
たものであることが好ましい。これらの成分の範囲限定
理由は下記の通りである。
て鋼材の断面積組織の均一性を高める効果を有する。こ
れらの作用は0.2%以上含有させることによって有効
に発揮される。しかし、Mn量が過剰になると、Mnの
偏析部にマルテンサイトの過冷組織が生成して伸線加工
性を劣化させるので、Mn量の上限は1.0%とした。
尚、Mn含有量の好ましい下限は、0.3%であり、よ
り好ましくは0.5%とするのが良い。またMn含有量
に好ましい上限は、0.9%であり、より好ましくは
0.7%とするのが良い。
析出を抑える効果を発揮する。また脱酸剤としての作用
が期待され、しかもフェライトに固溶して顕著な固溶強
化作用も発揮する。これらの効果は、その含有量が増加
するにつれて増大するが、Si含有量が過剰になると伸
線後の鋼材の延性を低下させると共に、鍛造性が著しく
低下させるので1.0%を上限とする。尚、Si含有量
の好ましい上限は0.5%であり、より好ましくは0.
2%であり、更に好ましくは0.1以下とするのが良
い。
素である。そこでP含有量を0.03%以下とすること
により、耐遅れ破壊性の向上が図れる。尚、P含有量
は、0.015%以下に低減するのが好ましく、より好
ましくは0.01%以下、更に好ましくは0.005%
以下とするのが良い。
のMnSが応力集中箇所となる。従って、耐遅れ破壊性
の改善にはS含有量をできるだけ減少させることが必要
となり、こうした観点から0.03%以下とするのが良
い。尚、S含有量は、0.015%以下に低減するのが
好ましく、より好ましく0.01%以下、更に好ましく
は0.005%以下とするのが良い。
Cr:1.0%以下やAl:0.1%以下を含有させる
ことが好ましいが、これらの成分の範囲限定理由は下記
の通りである。
る効果があり、初析セメンタイトの低減を図る本発明の
高強度鋼線における添加成分として有効である。こうし
た効果は、その含有量が増加するほど増大するが、1.
0%を超えて含有させてもその効果は飽和して不経済と
なるので、その上限を1.0%とした。尚、Cr含有量
の好ましい範囲は、0.1〜0.5%、更に好ましい範
囲は0.15〜0.3%である。
化することによって耐遅れ破壊性の向上に寄与する。し
かしながら、Al含有量が過剰になって0.1%を超え
ると、窒化物および酸化物系介在物が生成し、伸線性を
低下させるので0.1%以下とするのが良い。尚、Al
含有量の好ましい範囲は0.01〜0.07%、更に好
ましい範囲は0.025〜0.05%である。
種元素(Cu,Ni,Co,Mo,Ti,Nb,V,
W,B,N等)を含有しても良いことは勿論であるが、
これら必要によって含有される各元素の限定理由は下記
の通りである。
元素である。しかし過剰に添加すると粒界脆化を起こし
て、耐遅れ破壊性を劣化させる原因となるので0.5%
を上限とする。尚、Cu含有量の好ましい下限は、0.
05%であり、より好ましくは0.1%とするのが良
い。またCu含有量の好ましい上限は、0.3%であ
り、より好ましくは0.2%とするのが良い。
の靭性を高める効果を有する。しかし、Ni含有量が過
剰になると、変態終了時間が長くなり過ぎて、設備の大
型化、生産性の低下を来たすため、1.0%を上限とす
る。尚、Ni含有量の好ましい下限は、0.05%であ
り、より好ましくは0.1%とするのが良い。またNi
含有量の好ましい上限は、0.5%であり、より好まし
くは0.3%とするのが良い。
抑制する効果があり、初析セメンタイトの低減を図る本
発明の高強度鋼線における添加成分としては特に有効で
ある。こうした効果は、その含有量が増加するほど増大
するが、0.5%を超えて含有させてもその効果は飽和
して不経済となるので、その上限を0.5%とした。
尚、Co含有量の好ましい範囲は、0.05〜0.3
%、更に好ましい範囲は0.1〜0.2%である。
から選ばれる1種以上:合計で0.01〜0.5% これらの元素は、いずれも微細な炭・窒化物を形成して
耐遅れ破壊性の向上に寄与する。またこれらの窒化物お
よび炭化物は、結晶粒の微細化に有効である。こうした
効果を発揮させる為には、合計で0.01%以上含有さ
せる必要があるが、過剰に含有させると耐遅れ破壊性お
よび靭性を阻害するので、合計で0.5%以下にする必
要がある。尚、これらの元素含有量の好ましい下限は、
合計で0.02%であり、より好ましくは0.03%と
するのが良い。また好ましい上限は、合計で0.3%で
あり、より好ましくは0.1%とするのが良い。
発揮させる為には、0.0005%以上含有させる必要
がある。しかしながら、0.003%を超えて過剰に含
有すると却って靭性を阻害する。尚、B含有量の好まし
い下限は0.001%であり、好ましい上限は0.00
25%である。
化ひいては耐遅れ破壊性の向上に好影響を与える。しか
し、過剰に含有すると窒化物が増加し過ぎて伸線性に悪
影響を及ぼすだけでなく、固溶Nが伸線中の時効を促進
することがあるので、0.015%以下にする必要があ
る。尚、N含有量の好ましい上限は、0.007%であ
り、より好ましくは0.005%以下にするのが良い。
の通りであり、残部は実質的に鉄からなるものである。
ここで「実質的に鉄」とは、本発明の高強度鋼線にはF
e以外にもその特性を阻害しない程度の微量成分(許容
成分)をも含み得るものであり、こうした許容成分とし
ては例えばCa,Zr,Pb,Bi,Te,As,S
n,Sb等の元素が挙げられる。またその特性を更に良
好にするという観点からして、不純物であるOについて
は下記の様に抑制することが好ましい。
在物として存在し、伸線時にカッピー断線を引き起こす
原因となる。従って、O含有量は極力少なくすべきであ
り、少なくとも0.005%以下に抑える必要がある。
尚、O含有量は、0.003%以下に低減することが好
ましく、より好ましくは0.002%以下に低減するの
が良い。
法によって製造することができるが、各方法における作
用は下記の通りである。まず上記の様な化学成分組成を
有する鋼材を用い、この鋼材を800〜1000℃に加
熱後、300〜500℃まで急冷し、その温度で恒温保
持(パテンティング処理)することにより、通常の圧延
材より均質なベイナイト組織が得られ、伸線前(線材)
の強度上昇が図れる。
るとオーステナイト化が不十分となり、均質なベイナイ
ト組織が得られなくなるので、上記加熱温度は800℃
以上とする必要がある。また、この加熱温度が高くなり
過ぎると、オーステナイト結晶粒が粗大化するので10
00℃以下とする必要がある。またこの加熱温度の好ま
しい範囲は、850〜950℃程度であり、更に好まし
くは870〜900℃程度である。
は、ソルトバス、鉛、流動層等を利用し、加熱した線材
をできるだけ速い冷却速度で急冷することが望ましい。
また、均質なベイナイト組織を得るには、300〜50
0℃で恒温変態することが必要である。また、この恒温
保持温度の好ましい温度範囲は、350〜450℃であ
り、更に好ましい温度範囲は400〜430℃である。
00〜1000℃となる様に熱間圧延または熱間鍛造し
た後、300〜500℃の温度まで急冷し、その温度か
ら1.0℃/秒以下の平均冷却速度で200秒以上保持
し、引き続き放冷することによっても、通常の圧延材よ
りも均質なベイナイト組織が得られ、伸線前の強度上昇
が図れる。こうした方法を採用するときの各工程におけ
る作用は下記の通りである。
ついては、上記鋼材加熱温度と同様の理由で800〜1
000℃と定めた。またこの終了温度の好ましい範囲
は、上記と同様である。圧延後または熱間鍛造後の冷却
速度が遅すぎると、冷却中にフェライト変態を引き起こ
す可能性があるので、できるだけ速い冷却速度で急冷す
ることが好ましく、このときの平均冷却速度は5℃/秒
以上であることが好ましい。この急冷によって300〜
500℃まで冷却する必要があるが、この冷却終了温度
が300℃未満または500℃を超えると、その後の徐
冷によってベイナイト以外の組織が生成し易くなる。
織を得るという観点から、その温度(300〜500℃
の温度:徐冷開始温度)から1.0℃/秒以下の平均冷
却速度で冷却(徐冷)しつつ200秒以上保持する必要
がある。このとき平均冷却速度が1.0℃/秒よりも速
くなったり、保持時間が200秒未満になると、ベイナ
イト組織が変態する前に放冷されて、マルテンサイトが
生成し易くなる。尚、この冷却速度の好ましい範囲は、
0.5℃/秒以下であり、より好ましくは0.2℃/秒
以下とするのが良い。また上記保持温度の好ましい範囲
は、300秒以上であり、より好ましくは600秒以上
とするのが良い。
延のままおよび鍛造ままでは必要な寸法精度が得られ
ず、また1200N/mm2以上の強度を得ることが困
難になるので、最終工程としての強伸線加工が必要とな
る。
説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもの
ではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変形することは
いずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
径:7mmφまで熱間圧延して線材とした後、下記表2
に示すパテンティング処理(加熱温度:750〜105
0℃、恒温変態:250〜560℃×4分)を行なっ
た。その後、線径:5.2mmφまで伸線して鋼線とし
た(伸線率:45%)。
×P1.0のスタッドボルトを作製し、遅れ破壊試験を
行った。遅れ破壊試験は、ボルトを酸中に浸漬後(15
%HCl×30分)、水洗・乾燥して大気中で応力負荷
(負荷応力は引張強さの90%)し、100時間後の破
断の有無で評価した。また、初析フェライト、パーライ
ト、マルテンサイトおよびパーライト組織の分類を下記
の方法で行ない、各組識の面積率を求めた。更に、ベイ
ナイト組織の結晶粒径を、下記の方法で測定した。
端面拘束圧縮試験により圧縮特性についても評価した。
このとき、変形抵抗は圧下率50%のときの値で比較
し、変形能は、割れ発生を起こさない最低の圧下率とし
た。
込み、研磨後、5%ピクリン酸アルコール液に15〜3
0秒腐食した後、走査型電子顕微鏡(SEM)によって
D/4(Dは直径)部を組織観察した。1000〜30
00倍で5〜10視野撮影し、ベイナイト組織部分を確
定した後、画像解析装置によって各組識の面積率を求め
た。
下記表2に、遅れ破壊試験結果および圧縮特性を伸線条
件および機械的特性と共に下記表3に夫々示す。
条件にて線径7mmφまで熱間圧延して線材とした。そ
の後、線径:5.2mmφまで伸線して鋼線とした(伸
線率:45%)。
たM6×P1.0のスタッドボルトを作製し、遅れ破壊試
験を実施例1と同様にして行った。また圧縮特性試験に
ついても、を実施例1と同様にして行った。各鋼線の組
織を前記表4に併記するとともに、遅れ破壊試験結果お
よび圧縮特性を伸線条件および機械的特性と共に下記表
5に夫々示す。
の要件を満足する高強度鋼線を使用してボルトを製造し
た場合には、優れた鍛造性の下でボルトが得られると共
に、得られたボルトは引張強さ1200N/mm2以上
であっても優れた遅れ破壊特性を有していることが分か
る。
張強度が1200N/mm2以上でありながら、耐遅れ
破壊性と共に鍛造性にも優れた高強度鋼線、およびその
様な高強度鋼線を製造するための有用な方法が実現でき
た。
形状を示す概略説明図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 C:0.7〜1.2%(質量%の意味、
以下同じ)を含有する鋼材からなり、ベイナイト組織の
面積率を80%以上としたものであり、且つ線材を強伸
線加工することによって1200N/mm2以上の強度
と優れた耐遅れ破壊性を有する様にしたものであること
を特徴とする耐遅れ破壊性と鍛造性に優れた高強度鋼
線。 - 【請求項2】 更にMn:0.2〜1.0%およびS
i:1.0%以下(0%を含まない)を夫々含有すると
共に、P:0.03%以下(0%を含む)およびS:
0.03%以下(0%を含む)に夫々抑制したものであ
る請求項1に記載の高強度鋼線。 - 【請求項3】 更にCr:1.0%以下(0%を含まな
い)を含有するものである請求項1または2に記載の高
強度鋼線。 - 【請求項4】 Al:0.1%以下(0%を含まない)
を含有するものである請求項1〜3のいずれかに記載の
高強度鋼線。 - 【請求項5】 前記ベイナイト組織における結晶粒径
が、オーステナイト結晶粒度番号でNo.7以上に相当
するものである請求項1〜4のいずれかに記載の高強度
鋼線。 - 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の高強度
鋼線を製造するに当たり、鋼材を800〜1000℃に
加熱後、300〜500℃の温度まで急冷し、その温度
で恒温保持することにより、初析フェライト、初析セメ
ンタイト、パーライトおよびマルテンサイトの1種また
は2種以上の組織生成を抑制してベイナイト組織の面積
率を80%以上とし、その後強伸線加工によって120
0N/mm2以上の強度にすることを特徴とする耐遅れ
破壊性と鍛造性に優れた高強度鋼線の製造方法。 - 【請求項7】 請求項1〜5のいずれかに記載の高強度
鋼線を製造するに当たり、鋼材の圧延または鍛造終了温
度が800〜1000℃となる様に熱間圧延または鍛造
を行った後、300〜500℃の温度まで急冷し、その
温度から1.0℃/秒以下の平均冷却速度で200秒以
上かけて冷却し、引き続き室温まで放冷することによ
り、初析フェライト、初析セメンタイト、パーライトお
よびマルテンサイトの1種または2種以上の組織生成を
抑制してベイナイト組織の面積率を80%以上とし、そ
の後強伸線加工によって1200N/mm2以上の強度
にすることを特徴とする耐遅れ破壊性と鍛造性に優れた
高強度鋼線の製造方法。
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