JP4009218B2 - 耐水素脆化特性に優れたボルトおよびその製造方法 - Google Patents

耐水素脆化特性に優れたボルトおよびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車、各種産業機械や橋梁に好適な、特に引張強さが1600MPa以上で且つ耐遅れ破壊特性及び耐水素疲労特性に優れた高強度ボルトに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車や各種産業機械の軽量化、高性能化あるいは橋梁の建設費削減のために、高強度ボルトのニーズが高まっている。高強度ボルトは、例えばJIS G4105で規定されているSCM435やSCM440などの低合金鋼を使い、所定の形状に冷間成形後、焼入れ・焼戻し処理によって製造されている。しかし、引張強さが1300MPaを超えると遅れ破壊が発生しやすくなるという問題があった。
【0003】
高強度鋼の耐遅れ破壊特性を向上させる技術として、例えば、特許文献1にはP、S含有量を低減することが有効であり、また、特許文献2にはSi、Mn含有量を規制するとともに焼入れ処理後、焼戻し工程中で曲げ加工または引き抜き加工を施す方法が開示されている。更に、特許文献3〜5には、合金元素に着目した耐遅れ破壊特性向上技術が開示されている。更に、特許文献6、7には、パーライト鋼を伸線加工により強化したボルトが開示されている。
【0004】
これらの技術によって、高強度ボルトの耐遅れ破壊特性は、ある程度向上するものの、抜本的な解決には至っていない。更に、耐水素疲労特性と耐遅れ破壊特性を両立させる技術は未だに確立されていない。
【0005】
【特許文献1】
特公平5−59967号公報
【特許文献2】
特公平5−41684号公報
【特許文献3】
特開平7−70695号公報
【特許文献4】
特開平8−60291号公報
【特許文献5】
特開平11−236617号公報
【特許文献6】
特開昭54−101743号公報
【特許文献7】
特開平11−315348号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の課題に鑑みなされたものであって、耐水素疲労特性と耐遅れ破壊特性の良好な引張強さが1600MPa以上の高強度ボルトを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、実環境下で生じたボルトの破断状況を詳細に解析し、遅れ破壊以外に水素起因で生じる疲労破壊がかなりの頻度で発生していることから、ボルトが腐食して鋼材中に水素が侵入する環境下で、ボルトに所定の荷重以外に変動荷重が負荷されると、遅れ破壊以外に水素に起因する疲労破壊の頻度が増加することを見い出した。
【0008】
本発明は、鋼材組成、組織及び熱処理条件、伸線条件などを最適に選択すれば、耐水素疲労破壊特性と耐遅れ破壊特性の優れた高強度ボルトを実現できるという知見に基づいてなされたものであって、その要旨とするところは、次の通りである。
(1)質量%で、
C:0.8〜1.1%、 Si:0.05〜2%、
Mn:0.2〜2%、 V:0.2〜2%
を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、且つパーライトコロニーのアスペクト比が1.3〜4であるパーライト組織を有し、引張強さが1600MPa以上であることを特徴とする耐水素脆化特性に優れたボルト。
(2)質量%で、さらに、Mg:0.0002〜0.005%、Cr:0.1〜2%の1種または2種を含有することを特徴とする請求項1記載の耐水素脆化特性に優れたボルト。
(3)質量%で、さらに、Al:0.005〜0.1%、Ti:0.002〜0.1%、Nb:0.002〜0.1%の1種または2種以上を含有することを特徴とする(1)または(2)記載の耐水素脆化特性に優れたボルト。
(4)遅れ破壊限界拡散性水素量が0.4ppm以上であることを特徴とする(1)〜(3)の何れか1項に記載の耐水素脆化特性に優れたボルト。
(5)疲労限界拡散性水素量が0.7ppm以上であることを特徴とする(1)〜(4)の何れか1項に記載の耐水素脆化特性の優れたボルト。
(6)(1)〜(3)の何れか1項に記載の成分からなる鋼材を熱間圧延後、30℃/s以上で550〜700℃の温度範囲に冷却し、前記温度範囲に30〜300s保持し、パーライト変態後の引張強さを1350MPa以上にした後、真歪みが0.15〜0.8の範囲で伸線加工を行い、次いで冷間でボルト成形することを特徴とする(1)〜(5)の何れか1項に記載の耐水素脆化特性に優れたボルトの製造方法。
(7)(1)〜(3)の何れか1項に記載の成分からなる鋼材を熱間圧延後、900℃以上に再加熱し、30℃/s以上で550〜700℃の温度範囲に冷却し、前記温度範囲に30〜300s保持し、パーライト変態後の引張強さを1350MPa以上にした後、真歪みが0.15〜0.8の範囲で伸線加工を行い、次いで冷間でボルト成形することを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の耐水素脆化特性に優れたボルトの製造方法。
(8)伸線加工後、鋼材に引張強さの20〜60%の張力を負荷しながら200〜600℃の温度範囲に加熱し、冷却後、ボルト成形することを特徴とする(6)または(7)記載の耐水素脆化特性に優れたボルトの製造方法。
(9)ボルト成形後、200〜600℃の温度範囲に加熱することを特徴とする(6)〜(8)の何れか1項に記載の耐水素脆化特性に優れたボルト。
(10)ボルト成形後、ボルトに引張強さの20〜60%の張力を負荷しながら200〜600℃の温度範囲に加熱することを特徴とする(6)または(7)記載の耐水素脆化特性に優れたボルトの製造方法。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明者は、まず種々の強度レベルの高強度ボルトを用いて、疲労破壊に及ぼす水素の影響について詳細な解析を行った。ここで、疲労試験は下記の条件で行った。
【0010】
1) ボルトの疲労試験を行い、107サイクルの疲れ限度を求める。
【0011】
2) 電解水素チャージにより種々のレベルの拡散性水素量を含有させた後、疲労試験中に試料から大気中に水素が抜けることを防止するためにCdめっきを施し、次いで疲労試験を行い、疲労破壊までの疲労寿命(繰返し数)と拡散性水素量の関係を求める。ここで、疲労試験の応力は「1)で求めた疲れ限度の0.9倍」の一定にしている。
【0012】
図1に引張強さが1560MPaのボルトの疲労寿命と拡散性水素量について解析した一例を示す。横軸の繰返し数で例えば、1.E+04は1×104を表す。試料中に含まれる拡散性水素量が少なくなるほど疲労寿命が長くなり、拡散性水素量がある値以下では繰返し数が107サイクルでも疲労破壊が発生しなくなる。107サイクルで疲労破壊しない水素量の上限を「疲労限界拡散性水素量」と定義する。疲労限界拡散性水素量が高いほどボルトの耐水素疲労破壊特性は良好であり、鋼材の成分、熱処理等の製造条件によって決まる鋼材固有の値である。なお、ボルト中の拡散性水素量はガスクロマトグラフで容易に測定することができる。
【0013】
また、ボルトの耐遅れ破壊特性の評価は、遅れ破壊が発生しない「遅れ破壊限界拡散性水素量」を求めることにより評価した。この方法は、電解によって水素を含有させる電解水素チャージにより種々のレベルの拡散性水素量を試料に含有させた後、遅れ破壊試験中に試料から大気中に水素が抜けることを防止するためにCdめっきを施し、その後、大気中で所定の荷重を負荷し、遅れ破壊が発生しなくなる拡散性水素量を評価するものである。ここで、遅れ破壊試験片は、実ボルトを用い、遅れ破壊試験の荷重は最大引張荷重の0.9倍である。
【0014】
図2に拡散性水素量と遅れ破壊に至るまでの破断時間の関係について解析した一例を示す。破断時間の単位は分であり、図2の横軸には、[min]と示した。試料中に含まれる拡散性水素量が少なくなるほど遅れ破壊に至るまでの時間が長くなり、拡散性水素量がある値以下では遅れ破壊が発生しなくなる。6000分(100時間)で遅れ破壊しない水素量の上限を「遅れ破壊限界拡散性水素量」と定義する。遅れ破壊限界拡散性水素量が高いほど鋼材の耐遅れ破壊特性は良好であり、鋼材の成分、熱処理等の製造条件によって決まる鋼材固有の値である。
【0015】
本発明者は、高強度ボルトの疲労限界拡散性水素量および遅れ破壊限界拡散性水素量を増加させる手段、即ち耐水素疲労破壊特性と耐遅れ破壊特性を両立させるべく、種々検討を重ねた。その結果、
A:0.8%C以上で且つVを添加した鋼材組成にする、
B:更にMg、Crの1種又は2種を添加する、
C:特定範囲のパーライトコロニーのアスペクト比を持つパーライト組織にする、
D:パーライト変態後の引張強さを高くし、伸線加工による強度増加を低下させる、
E:伸線加工後、張力を負荷しつつ特定範囲の温度に加熱する、
ことにより、疲労および遅れ破壊限界拡散性水素量を大幅に増加させるという全く新たな知見を見出した。なお、C量は0.85質量%以上とすることが好ましいという知見も得られた。
【0016】
パーライト変態後の引張強さを高くし、伸線加工による強度増加を低下させる理由は、パーライト組織が主体のボルトでは、伸線加工の真歪みを増加させるほど、ボルト頭部の直下から水素による疲労破壊や遅れ破壊が発生しやすくなるためである。これは、本発明のボルトの引張強さは、パーライト変態後の引張強さ、伸線加工の真歪み、ボルト成形後の熱処理温度によって変化し、特に、パーライト変態後の引張強さの増加、伸線加工の真歪みの増加のいずれの手段によっても、ボルトの高強度化は実現できるが、同一引張強さのボルトで、伸線加工の真歪みを増加させた高強度ボルトの耐遅れ破壊特性及び耐水素脆化特性は、パーライト変態後の引張強さを増加させたボルトよりも劣るという知見に基づくものである。
【0017】
次に、本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
まず、本発明の対象とする鋼の成分の限定理由について述べる。なお、鋼成分組成含有量はいずれも質量%である。
【0019】
Cは所定の引張強さを得る上で必須の元素であるが、0.8%未満ではパーライト変態後の引張強さを高めることが困難であり、本発明で目的とする引張強さの高いボルトにすることが困難であるため、Cの下限を0.8%に限定した。ボルトの高強度化と耐水素脆化特性を両立させるための好ましい条件は、0.85%以上である。一方、1.1%を超えて添加しても上記の効果が飽和し、更にパーライト変態時に初析セメンタイトが析出しやすくなるため、上限を1.1%に制限した。
【0020】
Siは固溶体硬化作用によって引張強さを高める作用がある。しかし、Siの添加量が0.05%未満では前記作用が発揮できず、一方、2%を超えても添加量に見合う効果が期待できないため、0.05〜2%の範囲に制限した。
【0021】
Mnは脱酸、脱硫のために必要であるばかりでなく、パーライト変態後の引張強さを高めるために有効な元素である。しかし、Mnの添加量が、0.2%未満では上記の効果が得られず、一方2%を超えて添加しても添加量に見合う効果が得られないため、0.2〜2%の範囲に制限した。
【0022】
Vはパーライト変態組織の引張強さの増加に対して極めて有効な元素であり、伸線加工の真歪みが少なくてもボルトの高強度化が達成できる。また、本発明で目的とするパーライト組織からなる高強度ボルトの耐遅れ破壊特性および耐水素疲労特性を著しく向上させる効果がある。しかし、Vが0.2%未満では、上記特性を向上させる効果が少なく、一方、2%を超えて添加しても製造コストの点で添加量に見合う効果を得ることが困難であるため、0.2〜2%に制限した。耐水素疲労特性および耐遅れ破壊特性と製造コストの点で好ましいVの添加量は、0.3〜1%の範囲である。
【0023】
必要に応じて、Mg、Cr、Al、Ti、Nbの1種又は2種以上を含有しても良い。
【0024】
Mgは、伸線加工された高強度のパーライト組織において、疲労および遅れ破壊の限界拡散性水素量を向上させる効果がある。しかし、Mgの添加量が0.0002%未満では上記効果がやや不十分であり、0.005%を超えて添加しても上記効果が飽和するため、0.0002〜0.005%の範囲に限定した。
【0025】
Crはパーライト変態後の引張強さを高める効果があるため、伸線加工の真歪みが少なくてもボルトの高強度化が達成できる。この結果、高強度ボルトの水素脆化特性を向上させる作用がある。しかし、Crの添加量が0.1%未満では、上記効果がやや不十分であり、また、2%を超えて添加しても効果が飽和するため、0.1〜2%の範囲に限定した。
【0026】
Alは脱酸および熱処理時においてAlNを形成することによりオーステナイト粒の粗大化を防止する効果がある。しかし、Alの添加量が、0.005%未満ではこれらの効果がやや不十分であり、0.1%を超えても効果が飽和するため0.005〜0.1%の範囲に限定した。
【0027】
Tiは脱酸およびTiNを形成することによりオーステナイト粒の粗大化を防止する効果を有している。しかし、Tiの添加量が、0.002%未満ではこれらの効果がやや不十分であり、0.1%を超えても効果が飽和するため0.002〜0.1%の範囲に限定した。
【0028】
Nbは炭窒化物を生成することによりオーステナイト粒を微細化させるために有効な元素である。しかし、Nbの添加量が0.002%未満では上記効果がやや不十分であり、一方0.1%を超えると、この効果が飽和するため0.002〜0.1%に制限した。
【0029】
P、Sは不可避的不純物であり、特に制限しないものの、高強度ボルトの耐水素脆化特性を向上させる観点から、それぞれ0.02%以下が好ましい範囲である。
【0030】
NはAl、Ti、Nbの窒化物を生成することによりオーステナイト粒の細粒化効果がある。しかし、Nの添加量が0.002%未満であるとこの効果がやや不十分であり、0.015%を超えると延性が低下するため、0.002〜0.015%が好ましい範囲である。
【0031】
次にパーライトコロニーのアスペクト比、疲労限界拡散性水素量および遅れ破壊限界拡散性水素量の限定理由について説明する。
【0032】
ボルトの水素による疲労破壊および遅れ破壊に対して、パーライトコロニーのアスペクト比が著しく影響することを見出し、アスペクト比の範囲を限定している。ここで、パーライトコロニーはセメンタイトとフェライトの方向が揃った領域であり、アスペクト比はパーライトコロニーの長軸と短軸の比である。パーライトコロニーの詳細については、日本塑性加工学会編、「塑性加工技術シリーズ6引き抜き加工−基礎から先端技術まで−」、初版、コロナ社、1990年10月25日発行、p.143に記載されている。
【0033】
パーライトコロニーのアスペクト比が1.3未満では、ボルトの疲労限界拡散性水素量および遅れ破壊限界拡散性水素量が低く、耐水耐素脆化特性の向上効果がないため、下限を1.3にした。一方、アスペクト比が4を超えると、ボルトの耐水素脆化特性が低下し始めるため上限を4にした。即ち、パーライトコロニーのアスペクト比が1.3〜4であるパーライト組織が、耐水素脆化特性に対して最適の範囲である。ボルトの高強度化と耐水素脆化特性を両立化する観点で、より好ましいアスペクト比の範囲は、1.5〜3.5である。
【0034】
なお、本発明のパーライトコロニーのアスペクト比は、ボルト軸部の長手方向の断面において、表層から0.2〜0.5mmの範囲を走査型電子顕微鏡でランダムに50視野以上を写真撮影(5000〜10000倍)した後、パーライトコロニーの長軸と短軸を測定し、その平均値を求めたものである。
【0035】
疲労限界拡散性水素量が0.7ppm未満の高強度ボルトでは、使用環境における腐食あるいは潤滑油などから鋼材中に侵入する水素によって疲労破壊する頻度が増加するため、下限を0.7ppmに限定した。なお、水素疲労破壊の頻度を極力低下させるという観点では、疲労限界拡散性水素量の好ましい下限は1ppmである。疲労限界拡散性水素量の上限は特に定めることなく本発明の効果を得ることができるが、通常4ppmを超えることはない。
【0036】
遅れ破壊限界拡散性水素量が0.4ppm未満の高強度ボルトでは、使用環境における腐食あるいは潤滑油などから鋼材中に侵入する水素によって遅れ破壊が発生する頻度が増加するため、下限を0.4ppmに限定した。鋼材中に水素が侵入しやすい環境、即ち、腐食が著しい環境で使用する場合などでは、遅れ破壊限界拡散性水素量の好ましい下限は0.7ppmである。遅れ破壊限界拡散性水素量の上限は特に定めることなく本発明の効果を得ることができるが、通常3ppmを超えることはない。
【0037】
疲労限界拡散性水素量および遅れ破壊限界拡散性水素量は、前述したように電解水素チャージにより種々のレベルの拡散性水素量を試料に含有させた後、Cdめっきを施し、それぞれ、疲労試験および遅れ破壊試験を行った後の試料を用いて、ガスクロマトグラフによる昇温水素分析法で測定することができる。本発明では、昇温速度が100℃/時間であり、室温から400℃までに試料から放出される水素量を拡散性水素量と定義している。
【0038】
本発明の製造方法は、鋼材を熱間圧延後に急冷し、パーライト変態させる温度域で保持して引張強さを高め、伸線加工し、冷間でのボルト成形を行うものである。熱間圧延後に再加熱しても良く、伸線加工に次いで鋼材に張力を負荷しながら加熱しても良い。ボルト成形後に加熱しても良く、この加熱を行う際には張力を負荷しても良い。
【0039】
以下、それぞれの限定理由について説明する。
【0040】
熱間圧延後または熱間圧延後に再加熱した後、パーライト変態させる温度範囲までは急冷することが必要である。冷却速度は、30℃/s未満では、冷却途中にパーライト変態が生じ、パーライト変態後の引張強さが低下するため、30℃/sを下限とした。好ましい冷却速度は、50℃/s以上である。冷却速度の上限は規定しないが、500℃/sを超えることは技術的に困難である。
【0041】
本発明において、パーライト変態させる温度範囲は550〜700℃である。これは、熱間圧延後または熱間圧延後に急冷して保持する温度が550℃未満では、ベイナイトが発生しやすく、高強度ボルトの耐水素脆化特性を劣化させ、700℃を超えると、パーライト変態後の引張強さが低下し、目的とする高強度ボルトを実現することが困難になるためである。
【0042】
550〜700℃の温度範囲で、パーライト変態が終了するまで保持することが必要である。これは、パーライト変態途中で冷却を開始すると、疲労特性および遅れ破壊特性に対して有害なベイナイトあるいはマルテンサイトが発生するためである。550〜700℃の温度範囲での保持時間は、化学成分の含有量によって異なるが、本発明の成分範囲では、30〜300sである。
【0043】
本発明において、熱間圧延後または再加熱後、550〜700℃のソルト浴又は鉛浴に浸漬することにより、パーライト変態させることができる。
【0044】
また、熱間圧延後、再加熱する場合には、再加熱温度が900℃未満では、溶体化が不十分であり、未溶解炭化物が残存しやすくなるため、下限温度を900℃に限定した。上限は特に限定しないが、1100℃を超えるとオーステナイト粒が粗大化し、伸線加工後の延性低下が起きるため、好ましい再加熱温度の上限は1100℃である。
【0045】
本発明では、パーライト変態後の引張強さの下限を限定している。これは、パーライト変態後の引張強さが1350MPa未満では、ボルトの引張強さを1600MPa以上にするために、伸線加工の真歪みを増加せざるを得なく、この結果、耐水素脆化特性が劣化しやすくなるためである。耐水素脆化特性を一層向上させる観点で、好ましい引張強さ下限は、1400MPa以上である。なお、パーライト変態後の引張強さは、JIS Z 2241に準拠して引張試験により求めることができる。
【0046】
パーライト変態後の鋼材に真歪みが0.8超の伸線加工を行うと、高強度ボルトの耐水素疲労特性および耐遅れ破壊特性が劣化する。また、パーライトコロニーのアスペクト比が4を超えやすくなる。そこで、本発明では、伸線加工の真歪みの上限を0.8に限定した。また、真歪みが0.15未満では、本発明で目的とする高強度ボルトの製造が困難になり、また、耐水素疲労特性や耐遅れ破壊特性の向上効果が少なく、更にパーライトコロニーのアスペクト比が1.3以上にすることが困難になるため、真歪みの下限を0.15に限定した。ボルトの高強度化と耐遅れ破壊特性、耐水素疲労特性を両立化させる点で、好ましい真歪みの範囲は、0.2〜0.6である。ここで、伸線加工の真歪みとは、2×ln(伸線前の線径/伸線後の線径)で表す値である(lnは、自然対数を示す)。
【0047】
伸線後およびボルト成形後の熱処理は、特に耐水素疲労特性の向上を目的に行うものである。加熱温度が200℃未満では、耐水素疲労特性の向上効果が少なく、一方、600℃を超えると強度低下が著しいため、加熱温度範囲を200〜600℃に制限した。加熱時間は、加熱炉の方法によって変化するため特に限定しないが、上記効果を十分に発揮するために10〜600sが好ましい範囲である。
【0048】
また、伸線後の鋼材又は成形後のボルトに張力を負荷しつつ加熱処理を行うことによって、耐水素疲労特性が一層向上する。この場合、張力の下限が、引張強さの20%未満では、耐水素疲労特性の向上効果が少なく、一方、60%を超えて張力を負荷しても効果が飽和するため、20〜60%の範囲に限定した。
【0049】
【実施例】
以下、実施例により本発明の効果をさらに具体的に説明する。
【0050】
表1に示す化学成分を有する鋼材を用いて、表2に示した条件で、熱間圧延後直ちに、500〜700℃のソルト浴に浸漬し、または熱間圧延後に再加熱し、500〜700℃の鉛浴に浸漬し、パーライト変態させた。熱間圧延温度または再加熱温度からの冷却速度は、50℃/s以上、ソルト浴、鉛浴への浸漬時間は30〜300sとした。さらにパーライト変態後の鋼材に、表2に示す真歪みの伸線加工を行った後、冷間で各種サイズのボルトに成形した。また、伸線加工後および/またはボルト成形後に、表2、表3(表2のつづき)に示す条件での熱処理を行った。
【0051】
パーライト変態後の引張強さはJIS Z 2241に準拠して、ボルトの引張強さはJIS B 1051に準拠して、引張試験を行い求めた。さらに、ボルト軸部の長手方向の断面において、表層から0.2〜0.5mmの範囲を走査型電子顕微鏡でランダムに50視野を5000倍で観察し、写真を撮影してパーライトコロニーの長軸と短軸を測定し、その平均値を求め、パーライトコロニーのアスペクト比とした。また、電解水素チャージ後、Cdめっきを施し、疲労試験および遅れ破壊試験を行い、ガスクロマトグラフによる昇温水素分析法で、疲労限界拡散性水素量および遅れ破壊限界拡散性水素量を測定した。
【0052】
表2、表3(表2のつづき)に、パーライト変態後の引張強さ、パーライトコロニーのアスペクト比、ボルト引張強さおよびボルトの疲労限界拡散性水素量、遅れ破壊限界拡散性水素量の結果を示す。表2の試験No.1〜4、6〜11、14〜17、19〜21、23、24、26が本発明例で、試験No.5、12、13、18、22、25、27が比較例である。
【0053】
表2、表3(表2のつづき)に示したように、本発明例は、いずれも、パーライトコロニーのアスペクト比が最適範囲にあるとともにボルトの引張強さが1600MPa以上で且つ疲労限界拡散性水素量及び遅れ破壊限界拡散性水素量が高いレベルにあり、耐水素疲労特性と耐遅れ破壊特性の優れた高強度ボルトが実現されている。
【0054】
これに対して比較例であるNo.5、12、13、22、27は、化学成分が不適切な例である。即ち、No.5は、C含有量が本発明の範囲よりも多いためにパーライト変態中に初析セメンタイトが析出し、伸線加工工程で断線した例である。No.12は、C含有量が本発明の範囲よりも少ないためにパテンティング変態後の引張強さが1350MPa未満となり、目的とする1600MPa以上の高強度化が達成できなかった例である。
【0055】
No.13は、Vを添加していないため、パーライト変態後の引張強さが1350MPa未満であり、伸線加工の真歪みを高めて高強度化した例である。この結果、ボルトの引張強さは1600MPaを超えているものの、パーライトコロニーのアスペクト比が高すぎ、疲労限界拡散性水素量及び遅れ破壊限界拡散性水素量が低く、目的とする耐水素脆化特性の向上が達成できていない。No.22は、V含有量が本発明の範囲よりも少なく、No.27はVを添加していないために、パーライト変態後の引張強さが低く、ボルト引張強さが1600MPa未満であり、また、疲労限界拡散性水素量及び遅れ破壊限界拡散性水素量も目的とする値に到達しなかった例である。
【0056】
No.18、25は、伸線加工の真歪みが不適切な例である。即ち、No.18は、伸線加工の真歪みが低すぎたためにボルト引張強さが1600MPa未満であり、且つパーライトコロニーのアスペクト比が低すぎ、疲労限界拡散性水素量、遅れ破壊限界拡散性水素量も低かった例である。No.25は、逆に、伸線加工の真歪みが高すぎたために、パーライトコロニーのアスペクト比が高く、また疲労限界拡散性水素量と遅れ破壊限界拡散性水素量が低く、ボルトの耐水素脆化特性が劣化した例である。
【0057】
【表1】
Figure 0004009218
【0058】
【表2】
Figure 0004009218
【0059】
【表3】
Figure 0004009218
【0060】
【発明の効果】
本発明は、鋼材組成、パーライト組織形態、パーライト変態温度、パーライト変態後の引張強さ、伸線加工の真歪み、冷間でのボルト成形前後の熱処理条件を最適に選択することによって、引張強さが1600MPa以上の高強度ボルトの疲労限界拡散性水素量と遅れ破壊限界拡散性水素量を大幅に向上させることが可能となる。この結果、高強度ボルトの耐水素疲労特性および耐遅れ破壊特性を著しく向上させることができ、産業上の効果は極めて顕著なものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】水素疲労試験における拡散性水素量と疲労寿命(破断までの繰返し数)の関係について解析した一例を示す図である。
【図2】遅れ破壊試験における拡散性水素量と破断時間の関係について解析した一例を示す図である。

Claims (10)

  1. 質量%で、
    C:0.8〜1.1%、
    Si:0.05〜2%、
    Mn:0.2〜2%、
    V:0.2〜2%
    を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、且つパーライトコロニーのアスペクト比が1.3〜4であるパーライト組織を有し、引張強さが1600MPa以上であることを特徴とする耐水素脆化特性に優れたボルト。
  2. 質量%で、さらに、
    Mg:0.0002〜0.005%、
    Cr:0.1〜2%
    の1種または2種を含有することを特徴とする請求項1記載の耐水素脆化特性に優れたボルト。
  3. 質量%で、さらに、
    Al:0.005〜0.1%、
    Ti:0.002〜0.1%、
    Nb:0.002〜0.1%
    の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2記載の耐水素脆化特性に優れたボルト。
  4. 遅れ破壊限界拡散性水素量が0.4ppm以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の耐水素脆化特性に優れたボルト。
  5. 疲労限界拡散性水素量が0.7ppm以上であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の耐水素脆化特性の優れたボルト。
  6. 請求項1〜3の何れか1項に記載の成分からなる鋼材を熱間圧延後、30℃/s以上で550〜700℃の温度範囲に冷却し、前記温度範囲に30〜300s保持し、パーライト変態後の引張強さを1350MPa以上にした後、真歪みが0.15〜0.8の範囲で伸線加工を行い、次いで冷間でボルト成形することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の耐水素脆化特性に優れたボルトの製造方法。
  7. 請求項1〜3の何れか1項に記載の成分からなる鋼材を熱間圧延後、900℃以上に再加熱し、30℃/s以上で550〜700℃の温度範囲に冷却し、前記温度範囲に30〜300s保持し、パーライト変態後の引張強さを1350MPa以上にした後、真歪みが0.15〜0.8の範囲で伸線加工を行い、次いで冷間でボルト成形することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐水素脆化特性に優れたボルトの製造方法。
  8. 伸線加工後、鋼材に引張強さの20〜60%の張力を負荷しながら200〜600℃の温度範囲に加熱し、冷却後、ボルト成形することを特徴とする請求項6または7記載の耐水素脆化特性に優れたボルトの製造方法。
  9. ボルト成形後、200〜600℃の温度範囲に加熱することを特徴とする請求項6〜8の何れか1項に記載の耐水素脆化特性に優れたボルト。
  10. ボルト成形後、ボルトに引張強さの20〜60%の張力を負荷しながら200〜600℃の温度範囲に加熱することを特徴とする請求項6または7記載の耐水素脆化特性に優れたボルトの製造方法。
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