JP3233829B2 - スポット溶接部の遅れ破壊特性の優れた高強度pc鋼棒およびその製造方法 - Google Patents

スポット溶接部の遅れ破壊特性の優れた高強度pc鋼棒およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポール、パイルお
よび建築、橋梁等のプレストレストコンクリート構造物
の補強材として広く使われているPC鋼棒に関わるもの
であり、特に強度が1300MPa以上である遅れ破壊
特性の優れた高強度PC鋼棒およびその製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】ポール、パイルおよび建築、橋梁等のプ
レストレストコンクリート構造物の補強材として広く使
われているPC鋼材は、通常、JIS G 3536に
規定されているPC鋼線及びPC鋼より線、JIS G
3109に規定されているPC鋼棒が使われている。
PC鋼線に用いられる材料はJIS G 3502に適
合したピアノ線材であり、パテンティング処理をした
後、伸線加工することにより製造される。
【0003】一方、PC鋼棒は、例えば特公平5−41
684号公報に記載されているように、C量が0.25
〜0.35%の中炭素鋼を用いて焼入れ・焼戻し処理を
することによって製造されている。PC鋼線の強度はP
C鋼棒に比べ高いものの、C含有量が高いためにスポッ
ト溶接ができないという欠点がある。
【0004】これに対して、PC鋼棒のスポット溶接性
はPC鋼線に比べ良好であるが、「プレストレストコン
クリート設計施工規準・同解説」(日本建築学会編集、
丸善)の43〜45頁に記載されているように、強度が
1275MPa(130kgf/mm2 )を超えるような高強
度PC鋼棒は、PC鋼線に比べて遅れ破壊特性が劣って
いる。また、特公平5−59967号公報に記載されて
いるように、スポット溶接部は急冷されるためマルテン
サイトを主体とした組織となり、スポット溶接部で遅れ
破壊が発生しやすくなるという問題点がある。
【0005】PC鋼棒の遅れ破壊特性を向上させる従来
の知見として、例えば、特公平5−59967号公報で
は、P、S含有量を低減することが有効であると提案し
ている。確かに、低P、低S化は遅れ破壊に対して有効
であるが、現行のPC鋼棒のP、S含有量はいずれも既
に0.01%前後となっており、JIS G 3109
で規定されている量より低いレベルにあるのが実態であ
る。P、S含有量を更に低減化することは可能である
が、製造コストが高くなる。
【0006】また、特公平5−41684号公報では、
Si、Mn含有量を規制するとともに焼入れ処理後、焼
戻し工程中で曲げ加工または引き抜き加工を施すことを
提案している。さらに、特開平5−7963号公報で
は、PC鋼棒と鉄線とのスポット溶接部周辺に樹脂被覆
層を設けて遅れ破壊に対する感受性を低下させることが
提案されている。しかしながら、いずれの提案も本発明
者らの試験では、大幅な遅れ破壊特性の改善には至って
いない。以上のように、従来の技術では、遅れ破壊特性
を抜本的に向上させた高強度のPC鋼棒を製造すること
には限界があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の如き実
状に鑑みなされたものであって、遅れ破壊特性の良好な
強度が1300MPa以上の高強度のPC鋼棒を実現す
るとともにその製造方法を提供することを目的とするも
のである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、まず焼入
れ・焼戻し処理によって製造した種々の強度レベルのP
C鋼棒を用いて、遅れ破壊挙動を詳細に解析した。遅れ
破壊は鋼材中の水素に起因して発生していることは既に
明らかである。そこで、遅れ破壊特性について、遅れ破
壊が発生しない「限界拡散性水素量」を求めることによ
り評価した。
【0009】この方法は、電解水素チャージにより種々
のレベルの拡散性水素量を含有させた後、遅れ破壊試験
中に試料から大気中に水素が抜けることを防止するため
にCdめっきを施し、その後、大気中で所定の荷重を負
荷し、遅れ破壊が発生しなくなる拡散性水素量を評価す
るものである。
【0010】図1に拡散性水素量と遅れ破壊に至るまで
の破断時間の関係について解析した一例を示す。試料中
に含まれる拡散性水素量が少なくなるほど遅れ破壊に至
るまでの時間が長くなり、拡散性水素量がある値以下で
は遅れ破壊が発生しなくなる。この水素量を「限界拡散
性水素量」と定義する。
【0011】限界拡散性水素量が高いほど鋼材の耐遅れ
破壊特性は良好であり、鋼材の成分、熱処理等の製造条
件によって決まる鋼材固有の値である。なお、試料中の
拡散性水素量はガスクロマトグラフで容易に測定するこ
とができる。
【0012】そこで、高強度PC鋼棒の限界拡散性水素
量を増加させる手段、即ち遅れ破壊特性を上げるべく、
オーステナイト結晶粒度、鋼材成分、熱処理条件の影響
等について検討を重ねた。この結果、上記の要因のいず
れを大きく変化させても、遅れ破壊特性は大幅に向上で
きないことがわかった。
【0013】そこで更に、遅れ破壊特性を向上させる手
段について、種々検討を重ねた結果、焼戻しマルテンサ
イトと粒界フェライトからなる組織を形成させれば、1
300MPaを超えるような高強度域でも、限界拡散性
水素量が高く、遅れ破壊特性が大幅に向上すると言う全
く新たな知見を見い出した。
【0014】さらに、粒界フェライトの厚みと遅れ破壊
特性の関係を詳細に解析し、その最適な条件を明確にす
るとともに、その製造条件を確立した。また、熱間圧延
後のPC鋼棒の焼戻し処理工程において、焼戻し温度へ
の加熱速度を増加させると限界拡散性水素量が向上し、
遅れ破壊特性が格段に向上することを見い出した。
【0015】以上の検討結果に基づき、鋼材組成、組織
形態、熱間圧延条件、熱処理条件を最適に選択すれば、
遅れ破壊特性に優れた高強度PC鋼棒を実現できるとい
う結論に達し、本発明をなしたものである。
【0016】本発明は以上の知見に基づいてなされたも
のであって、その要旨とするところは、次の通りであ
る。 (1)重量%で、C:0.2〜0.6%、Si:0.0
5〜2.0%、Mn:0.2〜2.0%、Al:0.0
05〜0.1%を含有するか、あるいは更にCr:0.
05〜2.0%、Mo:0.05〜1.0%、Ni:
0.05〜5.0%、Cu:0.05〜1.0%、V:
0.05〜0.3%、Nb:0.005〜0.1%、T
a:0.005〜0.5%、W:0.05〜0.5%、
Ti:0.005〜0.05%、B:0.0003〜
0.0050%の1種または2種以上を含むとともに残
部はFe及び不可避的不純物よりなる鋼において、焼戻
しマルテンサイトと厚みが0.2〜10μmの粒界フェ
ライト組織からなり、さらに限界拡散性水素量が0.3
2ppm以上で、かつ引張強さが1300MPa以上で
あることを特徴とするスポット溶接部の遅れ破壊特性の
優れた高強度PC鋼棒。
【0017】(2)上記化学成分を有する鋼を熱間圧延
後、Ar3 〜Ar1 の温度範囲で2〜100秒保持しオ
ーステナイト粒界にフェライトを析出させ、この後水冷
することにより残部をマルテンサイトにし、引き続き1
0℃/秒以上の加熱速度で250〜550℃の温度範囲
に加熱し焼き戻すことを特徴とするスポット溶接部の
れ破壊特性の優れた高強度PC鋼棒の製造方法。
【0018】
【発明の実施の形態】まず、本発明の対象とする鋼の成
分の限定理由について述べる。 C:CはPCの鋼棒の強度を確保する上で必須の元素で
あるが、0.2%未満では所要の強度が得られず、一方
0.6%を超えるとスポット溶接性が著しく劣化するた
め、0.2〜0.6%の範囲に制限した。
【0019】Si:Siはリラクゼーション特性を向上
させるとともに固溶体硬化作用によって強度を高める作
用がある。0.05%未満では前記作用が発揮できず、
一方、2%を超えても添加量に見合う効果が期待できな
いため、0.05〜2.0%の範囲に制限した。
【0020】Mn:Mnは脱酸、脱硫のために必要であ
るばかりでなく、焼入性を高めるために有効な元素であ
るが、0.2%未満では上記の効果が得られず、一方
2.0%を超えるとスポット溶接性が悪化するために、
0.2〜2.0%の範囲に制限した。
【0021】Al:Alは脱酸およびAlNを形成する
ことによりオーステナイト粒の粗大化を防止する効果を
有しているが、0.005%未満ではこれらの効果が発
揮されず、0.1%を超えても効果が飽和するため0.
005〜0.1%の範囲に限定した。
【0022】以上が本発明の対象とする鋼の基本成分で
あるが、本発明においては、さらにこの鋼にCr:0.
05〜2.0%、Mo:0.05〜1.0%、Ni:
0.05〜5.0%、Cu:0.05〜1.0%、V:
0.05〜0.3%、Nb:0.005〜0.1%、T
a:0.005〜0.5%、W:0.05〜0.5%、
Ti:0.005〜0.05%、B:0.0003〜
0.0050%の1種または2種以上を含有せしめるこ
とができる。
【0023】Cr:Crは焼入性を高めるとともに焼戻
し処理時の軟化抵抗を増加させるために有効な元素であ
るが、0.05%未満ではその効果が十分に発揮でき
ず、一方2.0%を超えるとスポット溶接性が劣化する
ために0.05〜2.0%に限定した。
【0024】Mo:MoはCrと同様に強い焼戻し軟化
抵抗を有し熱処理後の引張強さを高めるために有効な元
素であり、更にリラクゼーション特性を向上させる効果
も有しているが、0.05%未満ではその効果が少な
く、一方1.0%を超えて添加してもその効果が飽和す
るため、0.05〜1.0%の範囲に制限した。
【0025】Ni:Niは高強度化に伴って劣化する延
性を向上させるとともに焼入性を向上させて引張強さを
増加させるために添加されるが、0.05%未満ではそ
の効果が少なく、一方5.0%を超えても添加量にみあ
う効果が発揮できないため、0.05〜5.0%の範囲
に制限した。
【0026】Cu:Cuはベイナイトの強度を高めるた
めに有効な元素であるが、0.05%未満では効果が発
揮できず、1.0%を超えると熱間加工性が劣化するた
め、0.05〜1.0%に制限した。
【0027】V:Vは炭窒化物を生成することによりオ
ーステナイト粒を微細化させるとともにリラクゼーショ
ン値を増加させる効果があるが、0.05%未満では前
記作用の効果が得られず、一方0.3%を超えても効果
が飽和するため0.05〜0.3%に限定した。
【0028】Nb:NbもVと同様に炭窒化物を生成す
ることによりオーステナイト粒を微細化させるために有
効な元素である。0.005%未満では上記効果が不十
分であり、一方0.1%を超えるとこの効果が飽和する
ため0.005〜0.1%に制限した。
【0029】Ta:TaもNbと同様に炭窒化物を生成
することによりオーステナイト粒を微細化させるために
有効な元素であるが、0.005%未満では前記の効果
が発揮されず、0.5%を超えて添加しても効果が飽和
するため、0.005〜0.5%に限定した。
【0030】W:Wは高強度のPC鋼棒の遅れ破壊特性
を向上させるために有効な元素であるが、0.05%未
満では前記の効果が発揮されず、一方、0.5%を超え
て添加しても効果が飽和するため、0.05〜0.5%
の範囲に限定した。
【0031】Ti:Tiは脱酸およびTiNを形成する
ことによりオーステナイト粒の粗大化を防止する効果と
ともにNを固定し遅れ破壊特性の向上に有効な固溶Bを
確保する効果を有しているが、0.005%未満ではこ
れらの効果が発揮されず、0.05%を超えても効果が
飽和するため0.005〜0.05%の範囲に限定し
た。
【0032】B:Bは遅れ破壊特性を向上させる効果が
あり、更にオーステナイト粒界に偏析することにより焼
入性を著しく高める効果も有しているが、Bが0.00
03%未満では前記の効果が発揮されず、0.0050
%を超えても効果が飽和するため0.0003〜0.0
050%に制限した。
【0033】P、Sについては特に制限しないものの、
PC鋼棒の遅れ破壊特性を向上させる観点から、それぞ
れ0.015%以下が好ましい範囲である。また、Nは
Al、V、Nb、Tiの窒化物を生成することによりオ
ーステナイト粒の細粒化効果があるため、0.003〜
0.015%が好ましい範囲である。
【0034】次に本発明で目的とする高強度PC鋼棒の
遅れ破壊特性の向上に対して最も重要な点であるPC鋼
棒の組織形態の限定理由について述べる。図2にPC鋼
棒の限界拡散性水素量に及ぼす粒界フェライト厚みの影
響について解析した一例を示す。粒界フェライト厚みは
「0」のPC鋼棒は従来方法で製造したものであり、粒
界フェライトが存在しない焼戻しマルテンサイトからな
る鋼である。
【0035】同図から明らかなように、フェライト厚み
が増加するほど限界拡散性水素量が増加し、遅れ破壊特
性が格段に向上する。ここで、粒界フェライト厚みが
0.2μm未満では遅れ破壊特性が顕著でないため、粒
界フェライト厚みの下限を0.2μmに限定した。
【0036】なお、0.5μm以上で顕著な効果を発揮
することから、好ましい条件は0.5μm以上である。
一方、10μmを超えるとフェライトの体積分率が大き
くなり、強度が低下しやすくなるため上限を10μmに
制限した。フェライトの体積分率については特に限定し
ないものの、体積分率が多くなると強度が低下しやすく
なるため、粒内フェライトも含めたフェライトの体積分
率の好ましい上限値は20%である。
【0037】また、粒界フェライトはPC鋼棒の全断面
にわたって存在する必要はなく、PC鋼棒の表層から少
なくてもPC鋼棒の半径の15%の領域で生成していれ
ば、遅れ破壊特性を向上させる効果がある。
【0038】本発明の遅れ破壊特性の優れた高強度PC
鋼棒の製造方法では、通常の熱間圧延を行った後に、所
定の温度範囲に保持して粒界フェライトを生成させ、更
に焼戻し処理を行うものである。
【0039】以下に製造条件の限定理由を述べる。 熱間圧延後の保持温度と時間:熱間圧延後にAr3 〜A
1 の温度範囲に保持する理由は、粒界フェライトを生
成させるためである。ここで、保持温度がAr3 以上で
はフェライトが生成せず、一方、Ar1 未満ではパーラ
イトが生成するために、保持温度範囲をAr3 〜Ar1
に制限した。保持時間は、保持温度と成分によって変わ
ってくるが、2秒未満では粒界フェライトを生成させる
ことが困難であり、一方、100秒を超えるとフェライ
トの体積分率が増加し強度が低下するため、保持時間を
2〜100秒に限定した。
【0040】なお、保持後はオーステナイトの残部を水
冷することによりマルテンサイトにするものであるが、
マルテンサイト組織において、体積分率で20%未満の
パーライト、ベイナイト、残留オーステナイトまたはこ
れらの混合組織が生成しても遅れ破壊特性の劣化はな
く、なんら制限を受けるものではない。
【0041】焼戻し加熱速度:PC鋼棒を焼き戻す際の
加熱速度(昇温速度)が10℃/秒未満では、組織形態
が焼戻しマルテンサイトと粒界フェライトであっても限
界拡散性水素量が低く、遅れ破壊特性の大幅な向上が望
めないため、加熱速度の下限を10℃/秒に制限した。
安定して遅れ破壊特性の優れたPC鋼棒を製造するため
の好ましい条件は、20℃/秒以上である。
【0042】焼戻し温度:焼戻し温度が250℃未満で
は焼戻しの効果が少なく、一方、550℃を超えると引
張強さが低下しやすくなり高強度のPC鋼棒を製造する
ことが困難になるため、焼戻し温度範囲を250〜55
0℃に限定した。
【0043】本発明では熱間圧延後、あるいは焼戻し処
理後に線径調整、他の目的で軽度の伸線加工を行っても
遅れ破壊特性、機械的特性の劣化はなく、なんら制限を
受けるものではない。
【0044】
【実施例】表1に示す化学組成を有する供試材を通常の
熱間圧延条件で圧延した後、種々の温度範囲で保持し、
水冷後、焼戻し処理を施してPC鋼棒を製造した。上記
の試料を用いて、機械的性質、組織形態、遅れ破壊特性
について評価した結果を表2に示す。遅れ破壊特性は、
スポット溶接を施した試料を用いて、前に述べた限界拡
散性水素量で評価を行い、負荷応力は引張強さの80%
の条件で実施した。
【0045】表2の試験No. 1〜11が本発明例で、
その他は比較例である。同表に見られるように本発明例
はいずれもPC鋼棒の限界拡散性水素量が0.32pp
m以上で、かつ引張強さが1300MPa以上であると
ともに、焼戻しマルテンサイトと粒界フェライトにする
ことにより、限界拡散性水素量が従来のPC鋼棒に比べ
高く、スポット溶接部の遅れ破壊特性の優れたPC鋼棒
が実現されている。
【0046】これに対して比較例であるNo.12、1
8は、いずれも従来の製造方法で製造したものである。
即ち、熱間圧延後、焼入れ・焼戻し処理によって製造し
たものであり、粒界フェライトが含まれないPC鋼棒の
例である。このため、限界拡散性水素量が低く、遅れ破
壊特性が悪い例である。
【0047】比較例であるNo.13、14、15は熱
間圧延後の保持時間が不適切な例である。即ち、No.
13、15は保持時間が長すぎたためにフェライトの体
積分率が増加し、いずれも目的とする高強度のPC鋼棒
が実現できなかった例である。No.14は逆に保持時
間が短すぎたために粒界フェライトの厚みが薄すぎて、
遅れ破壊特性の向上効果が少なかった例である。
【0048】また、比較例であるNo.16は、熱間圧
延後の保持温度がAr3 を超えているため粒界フェライ
トが生成せず、遅れ破壊特性が悪かった例である。更
に、比較例であるNo.17は、焼戻し処理時の加熱速
度が低いために限界拡散性水素量が低く、遅れ破壊特性
が劣化した例である。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【発明の効果】本発明は焼戻しマルテンサイトと粒界フ
ェライトからなる組織にすることにより、引張強さが1
300MPa以上の高強度PC鋼棒の遅れ破壊特性を大
幅に向上させることを可能にするとともに、鋼の化学成
分、熱間圧延条件、熱処理条件を最適に選択することに
よって、その製造方法を確立したものであり、産業上の
効果は極めて顕著なものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】拡散性水素量と遅れ破壊時間の関係の一例を示
す図表である。
【図2】限界拡散性水素量と粒界フェライトの厚みの関
係について解析した一例を示す図表である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 稔彦 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社 技術開発本部内 (56)参考文献 特開 平2−107743(JP,A) 特開 平2−236223(JP,A) 特開 平7−224355(JP,A) 特開 平4−358023(JP,A) 特開 平5−222450(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60 C21D 8/00 - 8/10

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C :0.2〜0.6%、 Si:0.05〜2.0%、 Mn:0.2〜2.0%、 Al:0.005〜0.1% を含有し、残部がFe及び不可避的不純物よりなる鋼に
    おいて、焼戻しマルテンサイトと厚みが0.2〜10μ
    mの粒界フェライト組織からなり、さらに限界拡散性水
    素量が0.32ppm以上で、かつ引張強さが1300
    MPa以上であることを特徴とするスポット溶接部の
    れ破壊特性の優れた高強度PC鋼棒。
  2. 【請求項2】 重量%で、 Cr:0.05〜2.0%、 Mo:0.05〜1.0%、 Ni:0.05〜5.0%、 Cu:0.05〜1.0%、 V :0.05〜0.3%、 Nb:0.005〜0.1%、 Ta:0.005〜0.5%、 W :0.05〜0.5%、 Ti:0.005〜0.05%、 B :0.0003〜0.0050% の1種または2種以上をさらに含有することを特徴とす
    る請求項1記載のスポット溶接部の遅れ破壊特性の優れ
    た高強度PC鋼棒。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の高強度PC鋼棒を製造す
    る方法であって、重量%で、 C :0.2〜0.6%、 Si:0.05〜2.0%、 Mn:0.2〜2.0%、 Al:0.005〜0.1% を含有し、残部がFe及び不可避的不純物よりなる鋼を
    熱間圧延後、Ar3 〜Ar1 の温度範囲で2〜100秒
    保持しオーステナイト粒界にフェライトを析出させ、こ
    の後水冷することにより残部をマルテンサイトにし、引
    き続き10℃/秒以上の加熱速度で250〜550℃の
    温度範囲に加熱し焼き戻すことを特徴とするスポット溶
    接部の遅れ破壊特性の優れた高強度PC鋼棒の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 重量%で、 Cr:0.05〜2.0%、 Mo:0.05〜1.0%、 Ni:0.05〜5.0%、 Cu:0.05〜1.0%、 V :0.05〜0.3%、 Nb:0.005〜0.1%、 Ta:0.005〜0.5%、 W :0.05〜0.5%、 Ti:0.005〜0.05%、 B :0.0003〜0.0050% の1種または2種以上をさらに含有することを特徴とす
    る請求項3記載のスポット溶接部の遅れ破壊特性の優れ
    た高強度PC鋼棒の製造方法。
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