JPH0526441U - スタンプ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 比較的高粘度のインクを用いても、孔版原紙
の穿孔部のインク通過性が良好で、試し印字をしなくて
も、一度に十分に良好な印字像を得る事が出来るスタン
プ装置を提供する。 【構成】 インク含浸体１６の磁性インクが、スタンプ
台である磁石３３の磁気引力により孔版印刷用原紙２０
の穿孔部分を透過し、被転写物３２に転写される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はスタンプ装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、延伸された熱可塑性合成樹脂フィルムと、多孔性支持体とを貼り合わせ てなるシートに、選択的穿孔を施す事により形成された孔版印刷用原紙を用いて 孔版印刷を行うスタンプ装置が各種提案されている。この種のスタンプ装置では 、感熱ヘッド等の熱により、上記原版のフィルムに選択的穿孔を施すことにより 孔版原版を形成し、該孔版原版上からインク含浸体を押し当て、上記インク含浸 体中のインクが、押圧によって上記孔版原紙の穿孔部を通過して、被印刷物上に 移動する事により、上記被印刷物上にインク像が形成される。

【０００３】 この種のスタンプ装置においては、孔版印刷用原版の比較的小さい穿孔部をも インクが通過しなければならないため、従来、かなり柔らかで流動性に富んだ低 粘度のインクが用いられている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、流動性に富んだインクを用いると、被印刷物上に付着した上記 インクが乾燥する前に、自重および被印刷物への浸透拡散により付着時よりもさ らに大きく拡がり、いわゆる滲みの状態となってしまい、印字像の仕上がりを劣 化させる事となるのである。

【０００５】 また装置内にインク含浸体が装着されているため、流動性に富んだインクを用 いると、上記インク含浸体からインクが徐々に滲み出し、インクが無くなってし まったり、装置内部や被印刷物を必要以上に汚してしまう等の問題が発生したの である。

【０００６】 以上の問題を解決するために、使用するインクの粘度を高くしてやると、印字 像の滲みやインク含浸体からの滲みを防止する事は可能となるが、孔版印刷用原 版の穿孔部をインクが通過しにくくなるため、一部の穿孔部のみインクが通過し 、他の部分は全くインクが通過せず、スタンプしようとする文字や像の一部がカ スレてしまうなどの問題が多く発生した。従って、穿孔部全域をインクが通過す るまで何回も背後より圧力をかけ、試し印字を行わなければならず、たいへん面 倒であると同時に、無駄なインクの量も大変多くなってしまうのである。

【０００７】 本考案は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、比較的高粘 度のインクを用いても、孔版原紙の穿孔部のインク通過性が良好で、試し印字を しなくても、一度に十分に良好な印字像を得る事が出来るスタンプ装置を提供す る事を目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

この目的を達成するために本考案のスタンプ装置は、孔版原紙に選択的に穿孔 を施し、この穿孔部分にインクを含浸したインク含浸体を押し付け、前記穿孔部 分を透過したインクを被転写物に転写する構成であり、前記インクとして磁性イ ンクを用いると共に、被転写物を支持するスタンプ台を磁石により構成した。

【０００９】

【作用】

上記の構成を有する本考案のスタンプ装置においては、インク含浸体の磁性イ ンクが、スタンプ台である磁石の磁気引力により孔版原紙の穿孔部分を透過し、 被転写物に転写される。

【００１０】

【実施例】

以下、本考案を具体化した一実施例を図面を参照して説明する。

【００１１】 まず本実施例のスタンプ装置１０の構成を図２を参照して説明する。

【００１２】 枠体４０内部には孔版印刷用原紙２０が送出ローラ１２から送り出され、２個 の送りローラ１３によって送られ、巻取りローラ１４に巻取られるように構成さ れている。２個の送りローラ１３の間にはクランプ１７に設けられたインク含浸 体１６が孔版印刷用原紙２０に接離可能に設けられている。

【００１３】 また枠体４０には所望の印字情報を入力するための入力装置１１が設けられて いる。更にスタンプ装置１０とは別体にスタンプ台としての磁石３３が設けられ ている。

【００１４】 インク含浸体１６に含浸されたインクは磁性インクであり、磁性体を含み、磁 性体としては、磁石によって引力を受ける物で有れば何でもよく、鉄粉等を安定 に分散したものが用いられる。また、着色剤等を添加した磁性流体を使用する事 も可能である。

【００１５】 孔版印刷用原紙２０としては、図３に示すように厚さ５〜１２μｍ程度の延伸 された薄い塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体合成樹脂フィルム、ポリプロピ レン合成樹脂フィルム等の合成樹脂フィルム２１と、こうぞ、みつまた、マニラ 麻等の天然繊維、もしくはレーヨン、ビニロン、ポリエステル、アクリロニトリ ル等の合成繊維、金属、グラスファイバー等を主原料とした秤量８乃至１２ｇ／ ｍ²程度の多孔性支持体２２とを貼り合わせてなるものを用いる。

【００１６】 穿孔画像の形成は、瞬時の熱破断によるもので前記フィルムは緊張（ストレス ）が必要となるために、フィルムの縦方向、横方向にそれぞれ２．５倍以上の延 伸をかけられていることが望ましい。

【００１７】 インク含浸体１６としては、多くのインクを保持できる多孔質体ならいずれの 物も使用可能であるが、対圧力変形や、孔版印刷用原版への密着性を考慮して、 ゴム多孔質体を使用するのが最も好ましい。

【００１８】 次に作用を説明する。

【００１９】 始めに孔版印刷用原紙２０（例えば理想科学工業（株）製の理想スクリーンマ スター１３５Ｐ−３０）を幅３cmスリットし、約３ｍほど送出ローラ１２に巻き 、スタンプ装置１０内にセットする。また下記組成のインクを公知の手法で製造 し、ゴム多孔質体に含浸させ、インク含浸体１６を製造し、これもスタンプ装置 １０内にセットせしめた。

【００２０】 インク組成 重量部 磁性流体 ８５ カーボンブラック １０ 有機ベントナイト ５ 次に、印字したいスタンプ文字を入力装置１１で装置へ入力する。その情報に 基づき、送出ローラ１２から孔版印刷用原紙２０が送り出され、送りローラ１３ と巻取りローラ１４によって搬送される。と同時に、感熱ヘッド１５により孔版 印刷用原紙２０に所望の文字に合わせて選択的に加熱し、孔版印刷用原紙２０の 熱可塑性樹脂フィルム層２１が溶融し穿孔することにより、所望の文字の形状に に熱可塑性樹脂フィルム層２１が穿孔され孔版原版３１が形成される。孔版原版 ３１更に搬送され、インク含浸体１６の下方まで送られ、そこで停止される。

【００２１】 次に被転写物３２を磁石３３上に固定し、スタンプ装置１０を被転写物２１上 の所定の位置にセットせしめ、クランプ１７を下へ押さえ込む（図１（ａ））事 により圧力を加えると、インク含浸体１６が孔版原版３１に押し当てられ、流出 した磁性インクが、磁石３３からの磁力により被転写物３２へ引き寄せられ、孔 版原版３１の穿孔部を通過して被転写物３２上に付着し、印字像３４が得られる （図１（ｂ））。この印字像３４はカスレ等はなく、また放置して置いても像に 滲みは全く発生しなかった。

【００２２】 以上の操作を繰り返せば、何回も像を形成する事が可能となるのである。

【００２３】 磁性インクは、印字する際に被転写物３２の背面に備えた磁石３３からの磁力 により引力を受け、粘度が少々高くても孔版印刷用原版の穿孔部を容易に通過し 、被転写物３２上に到達するのである。このため試し印字をしなくても一回目か ら良好な印字像を得る事が可能となる。

【００２４】 そして被転写物３２に付着したインクは、粘度が高いため、滲んだりする事こ となく良好な印字像となる。

【００２５】 尚、本考案は以上詳述した実施例には限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲 の変更は可能である。

【００２６】

【考案の効果】

以上、詳述したことから明かなように、本考案のスタンプ装置においては、イ ンク含浸体の磁性インクが、スタンプ台である磁石の磁気引力により孔版原紙の 穿孔部分を透過し、被転写物に転写されるため、比較的粘度の高いインクを用い ても、容易にインクが上記孔版印刷用原版の穿孔部を通過でき、何回も試し印字 をしなくても容易に印字出来るようになり、また出来上がった像にはカスレや滲 み等が発生しない。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）スタンプ時の説明図である。 （ｂ）スタンプ後の説明図である。

【図２】スタンプ装置の構成図である。

【図３】孔版印刷用原紙の構成図である。

【符号の説明】

１０ スタンプ装置 １６ インク含浸体 ２０ 孔版印刷用原紙 ３２ 被転写物 ３３ 磁石

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 孔版原紙に選択的に穿孔を施し、この穿
   孔部分にインクを含浸したインク含浸体を押し付け、前
   記穿孔部分を透過したインクを被転写物に転写する構成
   のスタンプ装置において、 前記インクとして磁性インクを用いると共に、被転写物
   を支持するスタンプ台を磁石により構成したことを特徴
   とするスタンプ装置。