JPH05260640A - 電流差動保護継電装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、外部二線地絡事故で電圧が低下し
にくい系統においても、分岐負荷端の変圧器二次側事故
時には各相差電流継電器の動作出力をロックし、外部二
線地絡事故時には零相差電流継電器の動作出力をロック
して、装置の不要動作を確実に防止できる電流差動保護
継電装置を提供することを目的としている。 【構成】 系統の端子電流を伝送し、各端子電流のベク
トル和を動作量とする電流差動継電器を備えた保護継電
装置において、短絡事故を検出する継電器として、一線
地絡で不動作となる不足電圧継電器、一線地絡で不動作
となる過電流継電器および相手端子に設けた一線地絡で
不動作となる過電流継電器と、前記不足電圧継電器と過
電流継電器と相手端子の過電流継電器のいずれかの動作
により、零相差電流継電器の動作出力をロックするよう
構成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、保護区間内に分岐負荷
端子のある送電線を保護する電流差動継電装置に係わ
り、短絡優先回路の改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、送電線の保護は電流差動原理に基
づく、ＰＣＭ電流差動継電装置の採用が拡大されてい
る。周知のように電流差動継電装置は、原理上各端子の
電流量を伝送し合い、それらのベクトル和、即ち差電流
を演算し、動作量としている。

【０００３】保護区間内に差電流を取り込まない需要家
の分岐負荷端がある系統では、分岐負荷端に流れる電流
が差電流になるため、これによって電流差動継電装置の
不要動作を招くことが考えられる。なかでも、分岐負荷
端の変圧器二次側事故は外部事故のため、不要動作を防
止する対策が必要になるが、以下この点について説明す
る。図２は電流差動継電装置により分岐負荷端のある２
端子系統を保護する場合の構成図を示す。図２におい
て、送電線１の両端子Ａ，Ｂの変流器２Ａ，２Ｂを介し
て系統の電流量ｉＡ，ｉＢが各端子の電流差動継電装置
３Ａ，３Ｂに取込まれる。取込まれた電流ｉＡは伝送装
置４Ａ，４Ｂを介してＢ端子に伝送される。同時にＢ端
子からは電流ｉＢが伝送装置４Ｂ，４Ａを介して電流差
動継電装置３Ａに伝送されて取込まれる。各々の端子
Ａ，Ｂでは分岐端子の電流を導入しないので（１）式に
より差電流分ｉｄを演算する。 ｉｄ＝ｉＡ＋ｉＢ ……（１）

【０００４】ここで、変圧器６の二次側外部事故ＦC が
あると事故電流が分岐負荷端側に流れ、この差電流分が
電流差動継電器の動作感度を超えると継電器が動作する
が、これによる装置の不要動作を防止するため、従来図
３に示すような対策が行なわれている。送電線の内部短
絡事故発生時には系統電圧が低下するため、系統電圧の
低下を検出する不足電圧継電器11が動作するが、変圧器
二次側の外部事故では系統電圧は低下しないため、不足
電圧継電器11は不動作となる。これによって各相差電流
継電器12の出力はアンド回路15でロックされ、装置の不
要動作は防止される。一方、図２において外部二線地絡
事故ＦB の時には、短絡事故同様過大な通過電流が送電
線に流れる。この場合、地絡検出用の零相差電流継電器
は高感度であるため、前記のような過大通過電流が流れ
た時、変流器や入力変換器等の誤差により検出感度を超
えることもあり、零相差電流継電器が動作する可能性が
ある。

【０００５】また、地絡事故による零相電圧の増加を検
出する地絡過電圧継電器も動作し、装置が不要動作する
可能性があるために図３に示す対策が行なわれている。
送電線の外部二線地絡事故発生時には、系統電圧が低下
するため不足電圧継電器11が動作する。これによって、
零相差電流継電器13と地絡過電圧継電器14を入力とした
アンド回路17の出力はインヒビット回路16およびアンド
回路17でロックされ、装置の不要動作は防止される。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】外部二線地絡事故で電
圧が低下しにくい系統の場合、不足電圧継電器11は低感
度であると動作できないため零相差電流継電器13と地絡
過電圧継電器14のアンド出力をロックできず、装置が不
要動作する恐れがある。このため不足電圧継電器11は高
感度にする必要があるが、高感度にすると分岐負荷端の
変圧器二次側事故でも不足電圧継電器11が動作すること
があり、各相差電流継電器12の出力をロックできず、装
置が不要動作する恐れがある。

【０００７】本発明は、上記問題点を解決するためにな
されたものであり、外部二線地絡事故で電圧が低下しに
くい系統においても、分岐負荷端の変圧器二次側事故時
には各相差電流継電器の動作出力をロックし、外部二線
地絡事故時には零相差電流継電器の動作出力をロックし
て装置の不要動作を防止できる電流差動保護継電装置を
提供することを目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明の構成を、実施例
に対応する図１の構成図を参照して説明する。系統電圧
の低下を検出する不足電圧継電器11と、系統の短絡事故
電流を検出する過電流継電器20と、相手端に設けた過電
流継電器の動作状態を伝送して自端子で受信した信号の
相手端過電流継電器21と、系統内部の短絡事故電流を検
出する各相差電流継電器12と、系統内部の地絡事故電流
を検出する零相差電流継電器13と、地絡事故による零相
電圧の増加を検出する地絡過電圧継電器14を設け、各相
差電流継電器12の出力を不足電圧継電器11の不動作によ
りロックするように構成し、零相差電流継電器13と地絡
過電圧継電器14のアンド条件出力を不足電圧継電器11ま
たは過電流継電器20または相手端過電流継電器21の出力
でロックするよう構成した。

【０００９】

【作用】上述の構成により、外部二線地絡事故で電圧が
低下しにくい系統においても、分岐負荷端の変圧器二次
側事故時には各相差電流継電器12の出力を不足電圧継電
器11の不動作によりロックし、外部二線地絡事故時には
零相差電流継電器13と地絡過電圧継電器14のアンド条件
出力を不足電圧継電器11、過電流継電器20あるいは相手
端過電流継電器25のいずれかの動作でロックするため、
装置の不要動作を防止することができる。

【００１０】

【実施例】図１は実施例の構成を説明するための論理回
路図である。

【００１１】系統電圧の低下を低感度に検出する不足電
圧継電器11と系統内部の短絡事故電流を検出する各相差
電流継電器12を設け、不足電圧継電器11の不動作および
アンド回路27により各相差電流継電器12の出力をロック
するよう構成する。更に系統の短絡事故電流を検出する
過電流継電器20と相手端の過電流継電器の動作状態を伝
送信号により受信した情報である相手端過電流継電器21
と系統内部の地絡事故電流を検出する零相差電流継電器
13と地絡事故による零相電圧の増加を検出する地絡過電
圧継電器14を設け、不足電圧継電器11と過電流継電器20
と相手端過電流継電器21をオア回路28に入力し、オア回
路28の出力はインヒビット回路29とアンド回路30により
零相差電流継電器13と地絡過電圧継電器14を入力とする
アンド回路31の出力をロックするよう構成した。次に、
上述の様に構成した電流差動保護継電装置の作用を説明
する。

【００１２】外部二線地絡事故で電圧が低下しにくい系
統においても、分岐負荷端の変圧器二次側事故時には、
各相差電流継電器12の出力を低感度な不足電圧継電器11
の不動作によりロックでき、電源端側の外部二線地絡事
故時には系統電圧が低下するため、低感度な不足電圧継
電器11が動作して零相差電流継電器13と地絡過電圧継電
器14を入力とするアンド回路31の出力をロックできる。

【００１３】非電源端側の外部二線地絡事故時には系統
電圧が低下しにくくなるが、電源端から非電源端の事故
方向に短絡事故電流が流れるため、過電流継電器20が動
作してアンド回路31の出力をロックできる。また、分岐
負荷端側の外部二線地絡事故時には系統電圧が低下しに
くく、更に事故電流は電源端側から分岐負荷端側に流れ
るため、非電源端には電流が流れない。この場合、非電
源端は電源端の過電流継電器動作を受信した信号である
相手端過電流継電器21の出力によりアンド回路31をロッ
クできるため装置が不要動作することはない。

【００１４】以上により、分岐負荷端の変圧器二次側事
故時には各相差電流継電器の動作出力を、外部二線地絡
事故時には零相差電流継電器の動作出力を確実にロック
でき、装置の不要動作を防止することが出来る。

【００１５】

【発明の効果】以上説明した如く、本発明によれば各相
電流差動継電器が分岐負荷端の変圧器二次側事故時で不
要動作するのを不足電圧継電器の不動作にてロックする
よう構成し、更に外部二線地絡事故時には零相差電流継
電器の不要動作出力を不足電圧継電器あるいは過電流継
電器あるいは相手端過電流継電器の動作にてロックする
よう構成したので、外部事故で装置が不要動作して事故
の影響を拡大することのない電流差動保護継電装置を提
供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一連の処理内容を説明するための理論
回路図。

【図２】電流差動継電装置により分岐負荷端子を含む２
端子系統を保護する場合のシステム構成図。

【図３】従来技術の一連の処理内容を説明するための論
理回路図。

【符号の説明】

１…送電線、２Ａ，２Ｂ…電流変成器、３Ａ，３Ｂ…電
流差動リレー、４Ａ，４Ｂ…伝送装置、５Ａ，５Ｂ…し
ゃ断器、６…変圧器、11…不足電圧継電器、12…各相差
電流継電器、13…零相差電流継電器、14…地絡過電圧継
電器、15…アンド回路、16…インヒビット回路、17…ア
ンド回路、18…オア回路、20…過電流継電器、21…相手
端過電流継電器、27…アンド回路、28…オア回路、29…
インヒビット回路、30…アンド回路、31…アンド回路、
32…オア回路。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 系統の端子電流を伝送し、各端子電流の
   ベクトル和を動作量とする電流差動継電器を備えた保護
   継電装置において、短絡事故を検出する継電器として、
   一線地絡で不動作となる不足電圧継電器、一線地絡で不
   動作となる過電流継電器および相手端子に設けた一線地
   絡で不動作となる過電流継電器と、前記不足電圧継電器
   と過電流継電器と相手端子の過電流継電器のいずれかの
   動作により、零相差電流継電器の動作出力をロックする
   よう構成したことを特徴とする電流差動保護継電装置。