JP3433992B2 - 異母線供給ループ送電線系統の保護方式 - Google Patents

異母線供給ループ送電線系統の保護方式

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隆文 前田
浩史 山口
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Tokyo Electric Power Co Inc
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Meidensha Corp
Tokyo Electric Power Co Inc
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、二重主母線変電所やユ
ニット変電所における事故時分離可能な異母線供給ルー
プ送電線の保護方式に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の異母線供給ループ送電線
系統では、環線(以下、ループ)系統の電力送り出し線
路保護用に環線系統保護継電装置を配し、事故発生時に
このリレーの動作により当該線路を開放することで事故
の拡大を防止していた。このように、線路保護継電器の
保護対象となる線路事故や負荷電気所母線事故について
は対策が講じられていたが、ループ供給系統のある電源
変電所を中心とした系統全体の動作状況を把握してルー
プ系統による電力供給に影響を及ぼす事故に対しては対
応策が講じられていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そのため、異母線から
ループ系統等に電力を供給する場合に、一方の母線に接
続されたループ送電線以外の送電線事故にて主保護の失
敗が発生すると、ループ送電線を通過する事故電流によ
っては健全系統側送り出し端子の後備リレー(以下、後
備リレー)が不要動作し、当該母線より電力供給を受け
ている負荷が全停する虞れがあった。
【0004】このように、従来の異母線供給送電線系統
では、不要全停の発生の可能性があるので、円滑な電力
供給ができない問題があった。
【0005】本発明は、かかる問題点に鑑みてなされた
もので、その目的とするところは、本来保護対象とする
ループ送電線以外の送電線事故による全停と不要停電を
防止し得る異母線供給ループ送電線の保護方式を提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する第一
の発明は、事故時分離可能な異母線より負荷に電力を供
給するループ送電線系統の保護方式であって、前記負荷
を含む系統の電力送り出し線路に挿設された遮断器と、
健全系統側母線からループ送電線を経由して事故系統側
母線に流れる事故電流検出時に夫々第二及び第三の動作
信号を出力する短絡距離継電器及び地絡方向継電器と、
電力送り出し端子からループ系統に向かう事故電流検出
時に第四の動作信号を出力する事故検出用短絡距離継電
器と、前記第四の動作信号の内健全系統側母線送り出し
端子側がアクティブかつ事故系統側母線送り出し端子側
がインアクティブの場合のみ第五の動作信号を出力する
論理回路と、前記第二の動作信号がアクティブかつ第五
の動作信号がアクティブの場合のみ第六の動作信号を出
力する論理回路と、前記第三及び第六の動作信号の少な
くとも一方により前記遮断器をトリップさせる制御手段
を有することを特徴とする。
【0007】また、上記目的を達成する第二の発明は、
上記第一の発明の構成において、基準値を超える自母線
向きの過大な短絡電流検出時に第七の動作信号を出力す
る短絡過電流継電器を付加し、この第七の動作信号と第
二の動作信号の論理和によって生成される動作信号を、
前記トリップ制御手段に導いて前記遮断器をトリップさ
せることを特徴とする。
【0008】なお、前記トリップ制御手段は、前記遮断
器のトリップ時点を制御するタイマ、及び、前記遮断器
のトリップを強制的に禁止する動作ロック手段を有す
る。
【0009】
【作用】第一及び第二の発明では短絡距離継電器や短
絡過電流継電器、地絡継電器により系統内事故電流を遮
断する。
【0010】即ち、健全系統側母線からループ送電線を
経由して事故系統側母線に向かう事故電流検出時に、事
故の種類に応じて短絡距離継電器又は地絡方向継電器か
ら夫々第二又は第三の動作信号が出力される。また、二
つの母線のループ送電線送り出し端子各々に設置された
二つのループ送電線系統事故検出用距離継電器からの第
四の動作信号の組み合わせで第五の動作信号が出力され
る。第二又は第三の動作信号が出力されるときは、ルー
プ送電線系統以外で事後が発生しているので、このとき
はトリップ制御手段が制御対象遮断器をトリップして電
力送り出し線路を開放することを基本とするが、ループ
系統内の母線至近端短絡の場合にも第二の動作信号が出
力する事も考えられるので、第二の動作信号と第五の動
作信号の論理積信号による第六の動作信号で電力送り出
し線路を開放する。これによりループ送電線系統以外で
の事故による事故電流を遮断するとともに、不要な線路
開放が防止される。
【0011】また、短絡事故においては、至近端事故で
の電圧喪失により方向弁別能力が欠落し、短絡距離継電
器が不動作し易くなる。これを補完するため、短絡過電
流継電器を付加し、基準値を超える自母線向きの過大な
短絡電流が流れたときは第七の動作信号を出力し、これ
と前記第二の動作信号の論理和によって生成される動作
信号と第五の動作信号の論理積によって生成される動作
信号を前記トリップ制御手段に導き、前記遮断器をトリ
ップさせる。
【0012】なお、タイマの設定時間を調整すること
で、前記遮断器のトリップ時点を任意に制御することが
でき、また、動作ロック手段で前記トリップを強制的に
禁止することで誤動作を防止することができる。
【0013】
【実施例】次に図面を参照して本発明の実施例を説明す
る。
【0014】(実施例) 本発明の実施例では、自系統に設けたリレー群によりル
ープ系統内外の事故を検出し、電力送り出し線路を開放
する。図1に実施例の構成図、図2にその機能ブロック
図を示す。
【0015】図1を参照すると、二重主母線変電所やユ
ニット変電所の第一及び第二の変圧器U 1 ,U 2 より電力
供給を受けるループ系統の例が示されている。本発明の
実施例では、異母線供給ループ送電線系統の各母線側電
力送り出し線路に、制御対象遮断器21,22、母線向
き短絡距離継電器(以下、短絡距離リレー)SOa1,S
a2、短絡過電流継電器(以下、短絡過電流リレー)S
b2,SOb1、母線向き地絡方向継電器(以下、地絡方
向リレー)GO1,GO2、ループ系統内事故検出用短絡
距離継電器(以下、事故検出リレー)SF1,SF2、を
夫々配している。
【0016】短絡距離リレーSOa1,SOa2は、自母線
に向かう短絡事故電流検出時に動作信号(第二の動作信
号)を出力するものであり、地絡方向リレーGO1,G
2は、自母線に向かう地絡電流検出時に動作信号(第
三の動作信号)を出力するものである。これらリレーS
a1,SOa2,GO1,GO2から動作信号が出力され
るときは、ループ系統以外の送電線で事故が発生して
いることを表している。
【0017】また、短絡過電流リレーSOb1,SO
b2は、基準値を超える過大な事故電流の検出時に動作信
号(第七の動作信号)を出力するもので、短絡事故にお
いて、至近端事故での電圧喪失による方向弁別能力の欠
落により、上記短絡距離リレーSOa1,SOa2が不動作
になることを補完する目的で設けられている。
【0018】事故検出リレーSF1,SF2は、ループ系
統送り出し端子からループ送電線に向かう事故電流検出
時、即ち、ループ系統内の事故検出時に動作信号(第四
の動作信号)を出力する。この動作信号は、制御対象遮
断器21,22のトリップを禁止して電力送り出し線路
の不要開放を防止する目的で設けられている。
【0019】本実施例では、更に、トリップ制御手段を
設け、上記各動作信号に基づいて前記制御対象遮断器2
1,22のトリップ制御を行うようにした。
【0020】このトリップ制御の様子を、図2を参照し
て説明する。今、A点で事故が発生し、B点での保護に
失敗した場合、前述の第二の動作信号 1 第七の動作
信号 1 少なくとも一方がアクティブ(High信
号)かつ第四の動作信号 1 がインアクティブ(Low
信号)かつ 2 がアクティブ又は第三の動作信号 1
クティブ(High信号)のときに対象遮断器21を
リップさせ、力送り出し線路を開放させる。これによ
りループ系統内を流れる事故電流If(LP)が遮断され
る。母線連絡線経由の事故電流は別の保護機能で、遮断
器31,32を開放して遮断する。なお、上記では、U
1側で事故が発生した場合について述べてきたが、U2
側で事故が発生した場合も同様に動作する。
【0021】図2中、T1〜T4はタイマであり、そのタ
イムアップ時間を用途に応じて設定することにより、制
御対象遮断器21,22のトリップ時点を任意に調整す
ることができる。
【0022】また、40は動作ロック手段であり、各制
御対象遮断器21,22のトリップを強制的に禁止する
ためのロック信号(図示の例ではHigh信号)を生成
出力する。
【0023】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、第一の
発明では、自母線側の電力送り出し線路に短絡距離リレ
ー及び地絡方向リレーを設け、これらリレーによりルー
プ系統以外の事故を検出して速かに線路を開放すると共
に、事故検出リレーによりループ系統での開放点を検出
したときは前記線路の開放を禁止するようにしたので、
ループ系統以外の事故による全停及び不要停電をより確
実に防止することができる。
【0024】更に、第二の発明では、第一の発明の構成
に短絡過電流リレーを付加して短絡距離リレーを補完す
るようにしたので、至近端短絡事故での電圧喪失により
方向性が欠落した場合であっても確実に線路開放を行う
ことができる。
【0025】このように、本発明によれば、二重主母線
変電所やユニット変電所における事故時分離可能な異母
線供給ループ送電線を有する系統において事故時の系統
保護が確実になると共に、負荷への電力供給が円滑化さ
れる保護方式を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による異母線供給ループ送電線
系統の説明図。
【図2】実施例の機能ブロック図。
【符号の説明】21,22 …制御対象遮断器 SOa1,SOa2…短絡距離リレー(母線向き短絡距離継
電器) SOb1,SOb2…短絡過電流リレー(母線向き短絡過電
流継電器) SF1,SF2…事故検出リレー(自系統事故検出用継電
器) GO1,GO2…地絡方向リレー(母線向き地絡検出用継
電器) T1〜T4…タイマ 40…動作ロック手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤本 敏朗 東京都品川区大崎2丁目1番17号 株式 会社明電舎内 (56)参考文献 特開 平4−364325(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02H 7/22 - 7/30

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 事故時分離可能な異母線より負荷に電力
    を供給するループ送電線系統の保護方式であって、 前記負荷を含むループ系統の送り出し端子に挿設された
    制御対象遮断器と、 健全系統側母線からループ送電線を経由して事故系統側
    母線に流れる事故電流検出時に夫々第二及び第三の動作
    信号を出力する短絡距離継電器及び地絡方向継電器と、 電力送り出し端子からループ系統に向かう事故電流検出
    時に第四の動作信号を出力する事故検出用短絡距離継電
    器と、 前記第四の動作信号の内健全系統側母線送り出し端子側
    がアクティブかつ事故系統側母線送り出し端子側がイン
    アクティブの場合のみ第五の動作信号を出力する論理回
    路と、 前記第二の動作信号がアクティブかつ第五の動作信号が
    アクティブの場合のみ第六の動作信号を出力する論理回
    路と、 前記第三及び第六の動作信号の少なくとも一方により前
    記遮断器をトリップさせる制御手段と、を有することを
    特徴とする異母線供給ループ送電線系統の保護方式。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の異母線供給ループ送電線
    系統の保護方式において、 基準値を超える自母線向きの過大な短絡電流検出時に第
    七の動作信号を出力する短絡過電流継電器を付加し、こ
    の第七の動作信号と第二の動作信号の論理和によって生
    成される動作信号を前記トリップ制御手段に導いて前記
    遮断器をトリップさせることを特徴とする異母線供給ル
    ープ送電線系統の保護方式。
  3. 【請求項3】 前記トリップ制御手段は、前記遮断器の
    トリップ時点を制御するタイマを有することを特徴とす
    請求項1又は記載の異母線供給ループ送電線系統の
    保護方式。
  4. 【請求項4】 前記トリップ制御手段は、更に、前記遮
    断器のトリップ動作を強制的に禁止する動作ロック手段
    を有することを特徴とする請求項1乃至のいずれかの
    項記載の異母線供給ループ送電線系統の保護方式。
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