JP2898555B2 - 電流差動保護継電装置 - Google Patents

電流差動保護継電装置

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JP2898555B2
JP2898555B2 JP6252224A JP25222494A JP2898555B2 JP 2898555 B2 JP2898555 B2 JP 2898555B2 JP 6252224 A JP6252224 A JP 6252224A JP 25222494 A JP25222494 A JP 25222494A JP 2898555 B2 JP2898555 B2 JP 2898555B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、2相以上の地絡事故
時に短絡優先とする方式において、事故点の位置に関係
なく確実に短絡優先とする電流差動保護継電装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】抵抗接地系に用いられる電流差動保護継
電装置において、2相以上にまたがる地絡事故発生時に
は短絡相当の大電流が流れる。このため、変流器誤差等
により地絡電流差動リレーが不正応動を阻止することを
目的として、相間電圧を導入した短絡不足電圧リレーを
設け、2相以上の事故時には、地絡電流差動リレーをロ
ックする短絡優先方式が適用される。
【0003】図4は例えば特開平2−95132号公報
に示された従来の抵抗接地系の系統図を示し、図におい
て、A,Bはそれぞれ電気所、1A,1Bは母線、2は
3相表現の送電線、3は変流器、4は母線変圧器、5は
電流差動リレー、6は短絡不足電圧リレー、7は地絡過
電圧リレー、Fは地絡事故点である。なお、図には示し
ていないが、電気所Bにも上述と同様の各リレーが設け
られているものとする。
【0004】図5は電気所Aに設けられた電流差動保護
継電装置を示すブロック図であり、電気所Bにも同様装
置が設けられている。図において、5aは地絡電流差動
リレー、6は短絡不足電圧リレー、7は地絡過電圧リレ
ー、11はオア論理、12はノット論理、13はアンド
論理を示す。
【0005】次に動作について説明する。まず、図4に
おいて、電気所Aに対し、例えばAB相の2相地絡事故
が遠方外部のF点にて発生した場合、遠方事故のため電
気所Aの電圧が十分に降下せず、短絡不足電圧リレー6
が動作しないことが考えられる。この場合、図5の引外
しブロック図において短絡不足電圧リレー6が不動作と
なり、その各相出力のオア論理11の出力は0レベル、
よってノット論理12の出力が1レベルとなる。
【0006】また、この時、短絡相当の大電流がF点に
流入した場合、電気所A,Bの変流器誤差の影響が顕著
となり、電気所A,Bに設けられた高感度な地絡電流差
動リレー5aに変流器誤差分の電流が差電流となって流
れ、その差電流が動作感度以上になると、地絡電流差動
リレー5aが誤動作となる。
【0007】従って、この場合図5の地絡電流差動リレ
ー5aが動作および地絡過電圧リレー7が動作となり、
かつノット論理12の出力が1レベルであるため、アン
ド論理13の入力が全て1レベルとなり、引外し指令が
出力されてしまう。以上のように短絡不足電圧リレー6
が動作できないような遠方事故時には短絡優先がかから
ず、各地絡リレー5a,7によりミストリップとなる場
合がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来の電流差動保護継
電装置は以上のように構成されているので、短絡優先と
するための各地絡リレー5a,7による引外しロック条
件として短絡不足電圧リレー6を用いているが、遠方地
絡事故に対して継電器接地点の事故電圧降下が十分でな
く、上記のように短絡不足電圧リレーが動作しないよう
な場合がある。
【0009】従って、短絡優先がかからず、多相外部地
絡時に短絡電流相当の大電流による変流器誤差により差
電流が発生した場合には、高感度な地絡電流差動リレー
5aが誤動作となり、ミストリップとなるなどの問題点
があった。
【0010】この請求項1の発明は上記のような問題点
を解消するためになされたものであり、遠方事故時に電
圧降下が不十分で、短絡不足電圧リレーが動作しない場
合であっても、短絡優先をかけることができる電流差動
保護継電装置を得ることを目的とする。
【0011】また、この請求項2の発明は自端および相
手端の地絡過電流リレーの動作を、引外し指令の成立条
件として短絡優先をかけることができる電流差動保護継
電装置を得ることを目的とする。
【0012】さらに、この請求項3の発明は自端および
相手端の地絡距離リレーの動作を、引外し指令の成立条
件として短絡優先をかけることができる電流差動保護継
電装置を得ることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】この請求項1の発明に係
る電流差動保護継電装置は、自端の地絡電流差動リレー
の動作と地絡事故検出条件としての自端の地絡過電圧リ
レーの動作および自端の短絡不足電圧リレーの不動作と
を条件に引外し指令を発する電流差動保護継電装置にお
いて、相手端の地絡過電圧リレーの動作と相手端の短絡
不足電圧リレーの不動作および上記引外し指令を発する
条件とが共に成立したとき上記引外し指令を許容する論
理回路を設けたものである。
【0014】また、この請求項2の発明に係る電流差動
保護継電装置は、自端の地絡電流差動リレーの動作と地
絡事故検出条件としての自端の地絡過電圧リレーの動作
および自端の短絡不足電圧リレーの不動作とを条件に引
外し指令を発する電流差動保護継電装置において、相手
端の地絡過電流リレーの動作と相手端の短絡不足電圧リ
レーの不動作および上記引外し指令を発する条件とが共
に成立したとき上記引外し指令を許容する論理回路を設
けたものである。
【0015】さらに、この請求項3の発明に係る電流差
動保護継電装置は、自端の地絡電流差動リレーの動作
絡事故検出条件としての自端の地絡過電圧リレーの動
および自端の短絡不足電圧リレーの不動作とを条件に
引外し指令を発する電流差動保護継電装置において、相
手端の地絡距離リレーの動作と相手端の短絡不足電圧リ
レーの不動作および上記引外し指令を発する条件とが共
に成立したとき上記引外し指令を許容する論理回路を設
けたものである。
【0016】
【作用】この請求項1の発明における電流差動保護継電
装置は、相手端の短絡不足電圧リレーの不動作と地絡過
電圧リレーの動作が、自端の地絡電流差動リレーの動
作,自端の地絡過電圧リレーの動作および自端の短絡不
足電圧リレーの不動作とともに地絡検出条件を形成する
ので、事故による電圧降下が不十分で、短絡不足電圧リ
レーが不動作となる場合でも、確実な地絡検出を行える
ようにする。
【0017】また、この請求項2における電流差動保護
継電装置は、相手端の短絡不足電圧リレーの不動作と相
手端の地絡過電流リレーの動作を地絡検出条件の1つと
することにより、自端の短絡不足電圧リレーが不動作と
なる場合でも、確実に地絡検出を行えるようにする。
【0018】さらに、この請求項3における電流差動保
護継電装置は、相手端の短絡不足電圧リレーの不動作と
相手端の地絡距離リレーの動作を地絡検出条件の1つと
することにより、自端の短絡不足電圧リレーが不動作と
なる場合でも、確実に地絡検出を行えるようにする。
【0019】
【実施例】実施例1.以下、この発明の一実施例を図に
ついて説明する。図1において、5aは自端の地絡電流
差動リレー、6は自端の短絡不足電圧リレー、7は自端
の地絡過電圧リレー、11はオア論理、12はノット論
理、13はアンド論理であり、これらは図3に示したも
のと同一である。また、20は相手端の地絡過電圧リレ
ー、21は相手端の短絡不足電圧リレー、11aはオア
論理、12aはノット論理、13,13a,13bはア
ンド論理、lは伝送路である。そして、これらのオア論
理11,11a、ノット論理12,12a、アンド論理
13,13a,13bは論理回路Lを構成している。
【0020】次に動作について説明する。いま、図4に
示すように、電気所B外部の地絡事故点Fに2相地絡事
故が発生し、電気所Aの短絡不足電圧リレー6が動作し
ない場合を考える。この時、電気所Bに設置された相手
端の短絡不足電圧リレー21は事故点に近いので十分動
作できる。
【0021】そこで、相手端の短絡不足電圧リレー21
が動作した場合には、オア論理11aは1レベルとな
り、ノット論理12aの出力は0レベルとなる。この結
果として、アンド論理13の出力はロックされ、地絡電
流差動リレー5aの不正応動があっても、確実に不要引
外しを阻止することができる。
【0022】また、相手端の短絡不足電圧リレー21の
動作信号の受信が信号伝送路における遅延時間により遅
延しても、同一端子の地絡過電圧リレー20の動作信号
の伝送も同様に遅延するため、不要に引外しのための許
容信号が出ることがない。このように遅延時間により、
相手端の短絡不足電圧リレー21の動作で引外し指令を
ロックするのが困難な場合も、目的を達成することが可
能である。
【0023】実施例2.なお、上記実施例では地絡検出
用のリレーとして地絡過電圧リレー7,20を用いた場
合を示したが、これらに代えて、図2に示すような、地
絡過電流を検出して動作する地絡過電流継電器8,22
を用いてもよく、上記実施例と同様の効果を奏する。
【0024】実施例3.また、上記実施例では地絡検出
用リレーとして地絡過電圧リレー7,20を用いた場合
を示したが、これらに代えて、図3に示すように、距離
の大小で動作時限が異なる地絡距離継電器9,23を用
いてもよく、上記実施例と同様の効果を奏する。
【0025】
【発明の効果】以上のように、この請求項1の発明によ
れば自端の地絡電流差動リレーの動作と地絡事故検出条
件としての自端の地絡過電圧リレーの動作および自端の
短絡不足電圧リレーの不動作とを条件に引外し指令を発
する電流差動保護継電装置において、相手端の地絡過電
圧リレーの動作と相手端の短絡不足電圧リレーの不動作
および上記引外し指令を発する条件とが共に成立したと
き上記引外し指令を許容する論理回路を設けるように構
成したので、系統条件や伝送遅延時間によらずに、確実
に短絡優先として、正常な引外し指令を出力できるもの
が得られる効果がある。
【0026】また、この請求項2の発明によれば相手端
の地絡過電流リレーおよび相手端の短絡不足電圧リレー
を引外し指令の許容条件の各1つとして加えるように構
成したので、地絡過電流を引外し条件とした引外し指令
を、上記同様にして出力できるものが得られる効果があ
る。
【0027】さらに、この請求項3の発明によれば相手
端の地絡距離リレーおよび相手端の短絡不足電圧リレー
を引外し指令の許容条件の各1つとして加えるように構
成したので、距離の大小で動作時限が異なる地絡距離デ
ータを引外し条件として引外し指令を、上記同様にして
出力できるものが得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施例による電流差動保護継
電装置を示すブロック図である。
【図2】この発明の第2の実施例による電流差動保護継
電装置を示すブロック図である。
【図3】この発明の第3の実施例による電流差動保護継
電装置を示すブロック図である。
【図4】従来の抵抗接地系を示す系統図である。
【図5】従来の電流差動保護継電装置を示すブロック図
である。
【符号の説明】
5a 自端の地絡電流差動リレー 6 自端の短絡不足電圧リレー 7 自端の地絡過電圧リレー 8 自端の地絡過電流リレー 9 自端の地絡距離リレー 20 相手端の地絡過電圧リレー 21 相手端の短絡不足電圧リレー 22 相手端の地絡過電流リレー 23 相手端の地絡距離リレー L 論理回路

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向する各端電気所の検出電流値の差を
    求めて動作量とする自端の地絡電流差動リレーの動作
    絡事故検出条件としての自端の地絡過電圧リレーの動
    および自端の短絡不足電圧リレーの不動作とを条件に
    引外し指令を発する電流差動保護継電装置において、相
    手端の地絡過電圧リレーの動作と相手端の短絡不足電圧
    リレーの不動作および上記引外し指令を発する条件とが
    共に成立したとき上記引外し指令を許容する論理回路を
    設けたことを特徴とする電流差動保護継電装置。
  2. 【請求項2】 対向する各端電気所の検出電流値の差を
    求めて動作量とする自端の地絡電流差動リレーの動作
    絡事故検出条件としての自端の地絡過電流リレーの動
    および自端の短絡不足電圧リレーの不動作とを条件に
    引外し指令を発する電流差動保護継電装置において、相
    手端の地絡過電流リレーの動作と相手端の短絡不足電圧
    リレーの不動作および上記引外し指令を発する条件とが
    共に成立したとき上記引外し指令を許容する論理回路を
    設けたことを特徴とする電流差動保護継電装置。
  3. 【請求項3】 対向する各端電気所の検出電流値の差を
    求めて動作量とする自端の地絡電流差動リレーの動作
    絡事故検出条件としての自端の地絡距離リレーの動作
    および自端の短絡不足電圧リレーの不動作とを条件に引
    外し指令を発する電流差動保護継電装置において、相手
    端の地絡距離リレーの動作と相手端の短絡不足電圧リレ
    ーの不動作および上記引外し指令を発する条件とが共に
    成立したとき上記引外し指令を許容する論理回路を設け
    たことを特徴とする電流差動保護継電装置。
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