JPH05255494A - 含フッ素ポリエステルカーボネート樹脂 - Google Patents
含フッ素ポリエステルカーボネート樹脂Info
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- JPH05255494A JPH05255494A JP8763792A JP8763792A JPH05255494A JP H05255494 A JPH05255494 A JP H05255494A JP 8763792 A JP8763792 A JP 8763792A JP 8763792 A JP8763792 A JP 8763792A JP H05255494 A JPH05255494 A JP H05255494A
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- JP
- Japan
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- bis
- fluorine
- polyester carbonate
- carbonate resin
- hexafluoropropane
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Abstract
(57)【要約】
【目的】従来存在しなかった構造単位を有する新規なポ
リカーボネート樹脂を提供すること、およびポリカーボ
ネート樹脂の成形性をあげることである。 【構成】式[1]で示される構造単位を必須とするポリ
エステルカーボネート樹脂。 【化1】
リカーボネート樹脂を提供すること、およびポリカーボ
ネート樹脂の成形性をあげることである。 【構成】式[1]で示される構造単位を必須とするポリ
エステルカーボネート樹脂。 【化1】
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な含フッ素ポリエス
テルカーボーネート樹脂に関する。
テルカーボーネート樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネート樹脂は工業的に広く使
用されている合成樹脂であって、通常2,2−ビス
(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下ビスフェ
ノールAと略記する)に代表される二価のフェノールの
ようなジオール成分とホスゲンのような炭酸誘導体との
反応により製造されている。ビスフェノールAから製造
されるポリカーボネート樹脂は、対衝撃性に優れた特性
を有しているが、近年、樹脂の用途開発が活発になるに
ともない、従来なかった構造を有し、新たな特性を有す
るポリカーボネート樹脂の開発への期待が高まってい
る。
用されている合成樹脂であって、通常2,2−ビス
(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下ビスフェ
ノールAと略記する)に代表される二価のフェノールの
ようなジオール成分とホスゲンのような炭酸誘導体との
反応により製造されている。ビスフェノールAから製造
されるポリカーボネート樹脂は、対衝撃性に優れた特性
を有しているが、近年、樹脂の用途開発が活発になるに
ともない、従来なかった構造を有し、新たな特性を有す
るポリカーボネート樹脂の開発への期待が高まってい
る。
【0003】本出願人は特願平3−89337号、特願
平3−242490号においてシクロヘキサノールの含
フッ素ポリエステルカーボネート樹脂を発明したが、光
ディスクなどに要求される樹脂が融点100〜220℃
程度であるのに対し、いずれも融点が高いため物性的に
満足できるものではなかった。
平3−242490号においてシクロヘキサノールの含
フッ素ポリエステルカーボネート樹脂を発明したが、光
ディスクなどに要求される樹脂が融点100〜220℃
程度であるのに対し、いずれも融点が高いため物性的に
満足できるものではなかった。
【0004】
【本発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従
来存在しなかった構造単位を有する新規なポリカーボネ
ート樹脂を提供することである。また、ポリカーボネー
ト樹脂の成形性を改善することである。
来存在しなかった構造単位を有する新規なポリカーボネ
ート樹脂を提供することである。また、ポリカーボネー
ト樹脂の成形性を改善することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するため種々の検討を重ねた結果、ジオール成
分として2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシカルボ
ニルフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフル
オロプロパンを用い、あるいは該化合物とビスフェノー
ルAとを組合せ用いることにより熱成形性に優れた新規
なポリエステルカーボネート樹脂を得ることを見いだ
し、本発明を完成した。
題を解決するため種々の検討を重ねた結果、ジオール成
分として2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシカルボ
ニルフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフル
オロプロパンを用い、あるいは該化合物とビスフェノー
ルAとを組合せ用いることにより熱成形性に優れた新規
なポリエステルカーボネート樹脂を得ることを見いだ
し、本発明を完成した。
【0006】即ち、本発明の含フッ素ポリエステルカー
ボネート樹脂は 1.式[1]で示される構造単位の繰り返しからなる含
フッ素ポリエステルカーボネート樹脂、
ボネート樹脂は 1.式[1]で示される構造単位の繰り返しからなる含
フッ素ポリエステルカーボネート樹脂、
【化3】
【0007】2.式[1]で示される構造単位と式
[2]で示される構造単位とを繰り返し単位として含む
含フッ素ポリエステルカーボネート樹脂、
[2]で示される構造単位とを繰り返し単位として含む
含フッ素ポリエステルカーボネート樹脂、
【化4】
【0008】3.式[1]で示される構造単位を得るた
めのジオール成分として2,2−ビス(4−ヒドロキシ
エトキシカルボニルフェニル)−1,1,1,3,3,
3−ヘキサフルオロプロパンを用い、式[2]で示され
る構造単位を得るためのジオール成分として2,2−ビ
ス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパンを用いること
によって得られる請求項1及至2記載の含フッ素ポリエ
ステルカーボネート樹脂
めのジオール成分として2,2−ビス(4−ヒドロキシ
エトキシカルボニルフェニル)−1,1,1,3,3,
3−ヘキサフルオロプロパンを用い、式[2]で示され
る構造単位を得るためのジオール成分として2,2−ビ
ス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパンを用いること
によって得られる請求項1及至2記載の含フッ素ポリエ
ステルカーボネート樹脂
【0009】4.2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキ
シカルボニルフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘ
キサフルオロプロパン5〜100モル%と2,2−ビス
(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン95〜0モル%
とからなるジオール成分を用いることによって得られる
請求項1及至3に記載の含フッ素ポリエステルカーボネ
ート樹脂、
シカルボニルフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘ
キサフルオロプロパン5〜100モル%と2,2−ビス
(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン95〜0モル%
とからなるジオール成分を用いることによって得られる
請求項1及至3に記載の含フッ素ポリエステルカーボネ
ート樹脂、
【0010】5.還元粘度が0.1から2.0(25
℃、0.5g/dlクロロホルム)である請求項1及至
4に記載の含フッ素ポリエステルカーボネート樹脂、
℃、0.5g/dlクロロホルム)である請求項1及至
4に記載の含フッ素ポリエステルカーボネート樹脂、
【0011】6.2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキ
シカルボニルフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘ
キサフルオロプロパン5〜100モル%と2,2−ビス
(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン95〜0%とか
らなるジオール成分を用い、酸受容体の存在下クロロギ
酸トリクロロメチルもしくはホスゲンを反応させること
を特徴とする含フッ素ポリエステルカーボネート樹脂の
製造法である。
シカルボニルフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘ
キサフルオロプロパン5〜100モル%と2,2−ビス
(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン95〜0%とか
らなるジオール成分を用い、酸受容体の存在下クロロギ
酸トリクロロメチルもしくはホスゲンを反応させること
を特徴とする含フッ素ポリエステルカーボネート樹脂の
製造法である。
【0012】本発明の含フッ素ポリエステルカーボネー
ト樹脂は融点が123.2℃と低いものも作れ、また、
融点と分解温度との間に94〜181℃と差があるの
で、成形が容易である。さらに、分解温度が294.4
〜364.1℃であるので耐熱性にも優れている。ま
た、透明性に優れた膜とすることもできて、しかもフッ
素を含むため複屈折の改善が期待できる。
ト樹脂は融点が123.2℃と低いものも作れ、また、
融点と分解温度との間に94〜181℃と差があるの
で、成形が容易である。さらに、分解温度が294.4
〜364.1℃であるので耐熱性にも優れている。ま
た、透明性に優れた膜とすることもできて、しかもフッ
素を含むため複屈折の改善が期待できる。
【0013】本発明の含フッ素ポリエステルカーボネー
ト樹脂は式[1]で示される構造単位を得るためのジオ
ール成分として2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシ
カルボニルフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキ
サフルオロプロパン5〜100モル%、式[2]で示さ
れる構造単位を得るためのジオール成分としてビスフェ
ノールA95〜0モル%からなるジオール成分を用いる
ことによって得られる。
ト樹脂は式[1]で示される構造単位を得るためのジオ
ール成分として2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシ
カルボニルフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキ
サフルオロプロパン5〜100モル%、式[2]で示さ
れる構造単位を得るためのジオール成分としてビスフェ
ノールA95〜0モル%からなるジオール成分を用いる
ことによって得られる。
【0014】本発明の含フッ素ポリエステルカーボネー
ト樹脂の製造法は、まず、式[3]
ト樹脂の製造法は、まず、式[3]
【化5】 で示される2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシカル
ボニルフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフ
ルオロプロパンを次式で示すように,2,2,−ビス
(4−カルボキシフェニル−1,1,1,3,3,3−
ヘキサフルオロプロパンジクロリドと過剰のエチレング
リコールを適宜混合しピリジンなどの酸受容体の存在下
で反応して製造する。
ボニルフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフ
ルオロプロパンを次式で示すように,2,2,−ビス
(4−カルボキシフェニル−1,1,1,3,3,3−
ヘキサフルオロプロパンジクロリドと過剰のエチレング
リコールを適宜混合しピリジンなどの酸受容体の存在下
で反応して製造する。
【化6】 こうしてできた2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシ
カルボニルフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキ
サフルオロプロパン5〜100モル%と式[4]
カルボニルフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキ
サフルオロプロパン5〜100モル%と式[4]
【化7】 で示されるビスフェノールA95〜0モル%とを混合
し、ピリジンなどの酸受容体の存在下、式[5]
し、ピリジンなどの酸受容体の存在下、式[5]
【化8】 で示されるクロロギ酸トリクロロメチルと反応させる。
上記製造法においてクロロギ酸トリクロロメチルの代わ
りにホスゲンを使用することもできる。反応温度、反応
時間は特に限定しないが好ましくは20〜100℃、1
〜5時間である。クロロギ酸トリクロロメチル、ホスゲ
ンの使用量は特に限定しないがジオールの成分の合計と
等モルまたは、やや過剰であることが好ましい。
上記製造法においてクロロギ酸トリクロロメチルの代わ
りにホスゲンを使用することもできる。反応温度、反応
時間は特に限定しないが好ましくは20〜100℃、1
〜5時間である。クロロギ酸トリクロロメチル、ホスゲ
ンの使用量は特に限定しないがジオールの成分の合計と
等モルまたは、やや過剰であることが好ましい。
【0015】また、金属酸化物等のエステル交換触媒の
存在下に、上記のジオール成分と炭酸ジアリールエステ
ルとを200〜300℃で4〜10時間反応させる方法
でも製造できる。これらの方法において分子量調整剤を
ジオール成分に対し1〜10モル%必要により添加する
ことができる。分子量調整剤としては一価のフェノー
ル、例えばフェノール,p−ターシャリーブチルフェノ
ール、p−クミルフェノールなどをあげることができ
る。また、溶媒としてジクロロメタン、クロロベンゼン
のようなハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエンな
どの芳香族炭化水素の他にエーテル系のテトラヒドロフ
ラン、ジオキサン等、また酸受容体として、ピリジン、
トリエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,
0]−7−ウンデセンなどの3級アミン、水酸化ナトリ
ウムのような無機塩基など、炭酸誘導体としてはホスゲ
ン、クロロギ酸トリクロロメチルなど、炭酸ジアリール
エステルとしては炭酸ジフェニルなどをあげることがで
きる。
存在下に、上記のジオール成分と炭酸ジアリールエステ
ルとを200〜300℃で4〜10時間反応させる方法
でも製造できる。これらの方法において分子量調整剤を
ジオール成分に対し1〜10モル%必要により添加する
ことができる。分子量調整剤としては一価のフェノー
ル、例えばフェノール,p−ターシャリーブチルフェノ
ール、p−クミルフェノールなどをあげることができ
る。また、溶媒としてジクロロメタン、クロロベンゼン
のようなハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエンな
どの芳香族炭化水素の他にエーテル系のテトラヒドロフ
ラン、ジオキサン等、また酸受容体として、ピリジン、
トリエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,
0]−7−ウンデセンなどの3級アミン、水酸化ナトリ
ウムのような無機塩基など、炭酸誘導体としてはホスゲ
ン、クロロギ酸トリクロロメチルなど、炭酸ジアリール
エステルとしては炭酸ジフェニルなどをあげることがで
きる。
【0016】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例によって何等限定され
るものではない。まず、実施例で得られた含フッ素ポリ
エステルカーボネート樹脂の物性の測定方法を示す。 還元粘度:クロロホルムを溶媒として25℃、0.5g
/dlの濃度で測定した。 融点(Tm):偏光顕微鏡にホットステージ(メトラー
社製FP−82)を装着して毎分3℃の昇温温度で測定
した。 分解温度(Td):セイコー電子工業社製TG/DTA
−220型を用い毎分10℃の昇温温度で測定し、重量
減少5%の温度を測定した。 また、収率はジオール成分を基準として求めた理論収量
で含フッ素ポリカーボネート樹脂の収量を割ることによ
り算出した。
明するが、本発明はこれら実施例によって何等限定され
るものではない。まず、実施例で得られた含フッ素ポリ
エステルカーボネート樹脂の物性の測定方法を示す。 還元粘度:クロロホルムを溶媒として25℃、0.5g
/dlの濃度で測定した。 融点(Tm):偏光顕微鏡にホットステージ(メトラー
社製FP−82)を装着して毎分3℃の昇温温度で測定
した。 分解温度(Td):セイコー電子工業社製TG/DTA
−220型を用い毎分10℃の昇温温度で測定し、重量
減少5%の温度を測定した。 また、収率はジオール成分を基準として求めた理論収量
で含フッ素ポリカーボネート樹脂の収量を割ることによ
り算出した。
【0017】実施例1 式[1]で示される構造単位、および式[2]で示され
る構造単位からなる含フッ素ポリエステルカーボネート
樹脂の製造: 1)2,2−ビス(4−カルボニルフェニル)−1,
1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンジクロリ
ドの製造。 200mlのナスフラスコに2,2−ビス(4−カルボ
キシフェニル)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオ
ロプロパン20.0g(0.05mol)と塩化チオニ
ル30mlを加え、100℃で2時間反応させた。反応
終了後、減圧下過剰の塩化チオニルを留去し、残査にト
ルエンを加え熱時ろ過し不溶分を除いた。ろ液を濃縮
し、淡黄色シラップを18.9g(収率88.1%)得
た。この成分をこのまま次の反応に用いた。 2)2,2,−ビス(4−ヒドロキシエトキシカルボニ
ルフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオ
ロプロパン、式[3]の製造。 冷却器、攪拌機をつけた300mlの三ツ口フラスコに
ピリジン14ml、エチレングリコール200mlを入
れて100℃で攪拌した。これに2,2−ビス(4−カ
ルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサ
フルオロプロパンジクロリド18.9g(0.04mo
l)をテトラヒドロフラン50mlに溶かした溶液を6
0分で滴下して、24時間反応を行った。反応終了後こ
の反応液を1リットルの水に加えて、酢酸エチル1.5
リットルで抽出した。続いて有機層を3N塩酸で3回、
1N水酸化ナトリウムで3回、さらに水で洗浄した。得
られた酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した
後、溶媒を減圧下留去して残ったシラップを冷却し結晶
化させ2,2,−ビス(4−ヒドロキシエトキシカルボ
ニルフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフル
オロプロパン13.6g(収率63.3%)を得た。融
点は38〜42℃であった。得られものをそのまま重合
に用いた。 3)溶液重縮合 100mlの三ツ口フラスコに2,2,−ビス(4−ヒ
ドロキシエトキシカルボニルフェニル)−1,1,1,
3,3,3−ヘキサフルオロプロパン0.14g(0.
30mmol)、ビスフェノールA0.62g(2.7
0mmol)、ピリジン1mlおよび1,2−ジクロロ
エタン(以下、DCEと称する)5mlを入れて攪拌
し、次いで、この液をマントルヒーターで90℃に保
ち、還流下にクロロギ酸トリクロロメチル0.33g
(1.7mmol)をDCE2mlに溶かした溶液を2
0分間で滴下し、そのまま3時間反応を行った。得られ
た反応液を放冷した後メタノール300mlに注ぎ、析
出した沈澱物をろ過した。このろ過物を熱メタノール中
で洗浄し、次いで乾燥して0.77g(収率92.4
%)の含フッ素ポリエステルカーボネート樹脂が得られ
た。この含フッ素ポリエステルカーボネート樹脂は、還
元粘度0.94、融点241.3〜270.3℃、ガラ
ス転移温度は145.0℃、分解温度364.1℃であ
った。また、このポリマーのクロロホルム溶液をガラス
板上にキャストし乾燥したところ透明な含フッ素ポリエ
ステルカーボネート樹脂が得られた。また、ガラスプレ
ートにポリマーをのせ、300℃に熱し、溶融した後に
冷却しても良好なフィルムが得られた。
る構造単位からなる含フッ素ポリエステルカーボネート
樹脂の製造: 1)2,2−ビス(4−カルボニルフェニル)−1,
1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンジクロリ
ドの製造。 200mlのナスフラスコに2,2−ビス(4−カルボ
キシフェニル)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオ
ロプロパン20.0g(0.05mol)と塩化チオニ
ル30mlを加え、100℃で2時間反応させた。反応
終了後、減圧下過剰の塩化チオニルを留去し、残査にト
ルエンを加え熱時ろ過し不溶分を除いた。ろ液を濃縮
し、淡黄色シラップを18.9g(収率88.1%)得
た。この成分をこのまま次の反応に用いた。 2)2,2,−ビス(4−ヒドロキシエトキシカルボニ
ルフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオ
ロプロパン、式[3]の製造。 冷却器、攪拌機をつけた300mlの三ツ口フラスコに
ピリジン14ml、エチレングリコール200mlを入
れて100℃で攪拌した。これに2,2−ビス(4−カ
ルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサ
フルオロプロパンジクロリド18.9g(0.04mo
l)をテトラヒドロフラン50mlに溶かした溶液を6
0分で滴下して、24時間反応を行った。反応終了後こ
の反応液を1リットルの水に加えて、酢酸エチル1.5
リットルで抽出した。続いて有機層を3N塩酸で3回、
1N水酸化ナトリウムで3回、さらに水で洗浄した。得
られた酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した
後、溶媒を減圧下留去して残ったシラップを冷却し結晶
化させ2,2,−ビス(4−ヒドロキシエトキシカルボ
ニルフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフル
オロプロパン13.6g(収率63.3%)を得た。融
点は38〜42℃であった。得られものをそのまま重合
に用いた。 3)溶液重縮合 100mlの三ツ口フラスコに2,2,−ビス(4−ヒ
ドロキシエトキシカルボニルフェニル)−1,1,1,
3,3,3−ヘキサフルオロプロパン0.14g(0.
30mmol)、ビスフェノールA0.62g(2.7
0mmol)、ピリジン1mlおよび1,2−ジクロロ
エタン(以下、DCEと称する)5mlを入れて攪拌
し、次いで、この液をマントルヒーターで90℃に保
ち、還流下にクロロギ酸トリクロロメチル0.33g
(1.7mmol)をDCE2mlに溶かした溶液を2
0分間で滴下し、そのまま3時間反応を行った。得られ
た反応液を放冷した後メタノール300mlに注ぎ、析
出した沈澱物をろ過した。このろ過物を熱メタノール中
で洗浄し、次いで乾燥して0.77g(収率92.4
%)の含フッ素ポリエステルカーボネート樹脂が得られ
た。この含フッ素ポリエステルカーボネート樹脂は、還
元粘度0.94、融点241.3〜270.3℃、ガラ
ス転移温度は145.0℃、分解温度364.1℃であ
った。また、このポリマーのクロロホルム溶液をガラス
板上にキャストし乾燥したところ透明な含フッ素ポリエ
ステルカーボネート樹脂が得られた。また、ガラスプレ
ートにポリマーをのせ、300℃に熱し、溶融した後に
冷却しても良好なフィルムが得られた。
【0018】実施例2〜4 2,2,−ビス(4−ヒドロキシエトキシカルボニルフ
ェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプ
ロパン、およびビスフェノールAの成分比を変える以外
は、実施例1に準拠して行った。その成分比と得られた
含フッ素ポリエステルカーボネート樹脂の物性値を表1
に示す。
ェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプ
ロパン、およびビスフェノールAの成分比を変える以外
は、実施例1に準拠して行った。その成分比と得られた
含フッ素ポリエステルカーボネート樹脂の物性値を表1
に示す。
【0019】実施例5 式[1]で示される構造単位からなる含フッ素ポリエス
テルカーボネート樹脂の製造:100mlの三つ口フラ
スコに2,2,−ビス(4−ヒドロキシエトキシカルボ
ニルフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフル
オロプロパン1.44g(3.0mmol)、ピリジン
1mlおよびDCE5mlを入れて攪拌し、次いで、こ
の液をマントルヒーターで90℃に保ち、還流下にクロ
ロギ酸トリクロロメチル0.33g(1.7mmol)
をDCE2mlに溶かした溶液を20分間で滴下し、そ
のまま3時間反応を行った。得られた反応液を放冷した
後メタノール300mlに注ぎ、析出した沈澱物をろ過
した。このろ過物を熱メタノール中で洗浄し、次いで乾
燥して1.37g(収率90.0%)の含フッ素ポリエ
ステルカーボネート樹脂が得られた。この含フッ素ポリ
エステルカーボネート樹脂は、還元粘度0.16、融点
123.2〜135.9℃、ガラス転移温度は96.3
℃、分解温度294.4℃であった。また、このポリマ
ーのクロロホルム溶液をガラス板上にキャストし乾燥し
たところ透明な含フッ素ポリエステルカーボネート樹脂
が得られた。
テルカーボネート樹脂の製造:100mlの三つ口フラ
スコに2,2,−ビス(4−ヒドロキシエトキシカルボ
ニルフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフル
オロプロパン1.44g(3.0mmol)、ピリジン
1mlおよびDCE5mlを入れて攪拌し、次いで、こ
の液をマントルヒーターで90℃に保ち、還流下にクロ
ロギ酸トリクロロメチル0.33g(1.7mmol)
をDCE2mlに溶かした溶液を20分間で滴下し、そ
のまま3時間反応を行った。得られた反応液を放冷した
後メタノール300mlに注ぎ、析出した沈澱物をろ過
した。このろ過物を熱メタノール中で洗浄し、次いで乾
燥して1.37g(収率90.0%)の含フッ素ポリエ
ステルカーボネート樹脂が得られた。この含フッ素ポリ
エステルカーボネート樹脂は、還元粘度0.16、融点
123.2〜135.9℃、ガラス転移温度は96.3
℃、分解温度294.4℃であった。また、このポリマ
ーのクロロホルム溶液をガラス板上にキャストし乾燥し
たところ透明な含フッ素ポリエステルカーボネート樹脂
が得られた。
【0020】
【表1】
【0021】
【発明の効果】本発明の含フッ素ポリエステルカーボネ
ート樹脂は融点が123.2〜270.3℃、融点と分
解温度との間に94〜181℃と差があり、樹脂の成形
が容易である。また、本発明の樹脂は分解温度を29
4.4℃以上にもつので、他の樹脂と比べ高温での使用
が可能である。また、透明性に優れた膜を作ることもで
き、特に光学記録基板等の光学樹脂材料として有用であ
る。このように、本発明の含フッ素ポリエステルカーボ
ネート樹脂は、それ自体で有用なものであるが、他の公
知の樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リメチルメタクリレート、ABS、ポリアミド類、ポリ
アクリレート類、ポリカーボネート類、ポリエチレンテ
レフタレートのようなポリエステル類またはポリフェニ
レンオキシド類などと混合し、これら樹脂の熱成形性の
改良を図るとともに複屈折性の低減など新しい性質を付
加することも期待できる。
ート樹脂は融点が123.2〜270.3℃、融点と分
解温度との間に94〜181℃と差があり、樹脂の成形
が容易である。また、本発明の樹脂は分解温度を29
4.4℃以上にもつので、他の樹脂と比べ高温での使用
が可能である。また、透明性に優れた膜を作ることもで
き、特に光学記録基板等の光学樹脂材料として有用であ
る。このように、本発明の含フッ素ポリエステルカーボ
ネート樹脂は、それ自体で有用なものであるが、他の公
知の樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リメチルメタクリレート、ABS、ポリアミド類、ポリ
アクリレート類、ポリカーボネート類、ポリエチレンテ
レフタレートのようなポリエステル類またはポリフェニ
レンオキシド類などと混合し、これら樹脂の熱成形性の
改良を図るとともに複屈折性の低減など新しい性質を付
加することも期待できる。
Claims (6)
- 【請求項1】式[1]で示される構造単位の繰り返しか
らなる含フッ素ポリエステルカーボネート樹脂。 【化1】 - 【請求項2】式[1]で示される構造単位と式[2]で
示される構造単位とを繰り返し単位として含む含フッ素
ポリエステルカーボネート樹脂。 【化2】 - 【請求項3】式[1]で示される構造単位を得るための
ジオール成分として2,2−ビス(4−ヒドロキシエト
キシカルボニルフェニル)−1,1,1,3,3,3−
ヘキサフルオロプロパンを用い、式[2]で示される構
造単位を得るためのジオール成分として2,2−ビス
(4’−ヒドロキシフェニル)プロパンを用いることに
よって得られる請求項1及至2記載の含フッ素ポリエス
テルカーボネート樹脂。 - 【請求項4】2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシカ
ルボニルフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサ
フルオロプロパン5〜100モル%と2,2−ビス
(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン95〜0モル%
とからなるジオール成分を用いることによって得られる
請求項1及至3に記載の含フッ素ポリエステルカーボネ
ート樹脂。 - 【請求項5】還元粘度が0.1から2.0(25℃、0.
5g/dlクロロホルム)である請求項1及至4に記載
の含フッ素ポリエステルカーボネート樹脂。 - 【請求項6】2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシカ
ルボニルフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサ
フルオロプロパン5〜100モル%と2,2−ビス
(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン95〜0%とか
らなるジオール成分を用い、酸受容体の存在下クロロギ
酸トリクロロメチルもしくはホスゲンを反応させること
を特徴とする含フッ素ポリエステルカーボネート樹脂の
製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08763792A JP3196303B2 (ja) | 1992-03-11 | 1992-03-11 | 含フッ素ポリエステルカーボネート樹脂 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08763792A JP3196303B2 (ja) | 1992-03-11 | 1992-03-11 | 含フッ素ポリエステルカーボネート樹脂 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05255494A true JPH05255494A (ja) | 1993-10-05 |
JP3196303B2 JP3196303B2 (ja) | 2001-08-06 |
Family
ID=13920500
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP08763792A Expired - Fee Related JP3196303B2 (ja) | 1992-03-11 | 1992-03-11 | 含フッ素ポリエステルカーボネート樹脂 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3196303B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100452339B1 (ko) * | 2001-12-29 | 2004-10-08 | 주식회사 효성 | 1,1-비스(4-하이드록시페닐)-1-펜타플루오로페닐-에탄 및그의 제조방법 |
-
1992
- 1992-03-11 JP JP08763792A patent/JP3196303B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100452339B1 (ko) * | 2001-12-29 | 2004-10-08 | 주식회사 효성 | 1,1-비스(4-하이드록시페닐)-1-펜타플루오로페닐-에탄 및그의 제조방법 |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JP3196303B2 (ja) | 2001-08-06 |
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