JPH05247731A - 繊維状活性炭とその製造方法 - Google Patents

繊維状活性炭とその製造方法

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JPH05247731A JP4050848A JP5084892A JPH05247731A JP H05247731 A JPH05247731 A JP H05247731A JP 4050848 A JP4050848 A JP 4050848A JP 5084892 A JP5084892 A JP 5084892A JP H05247731 A JPH05247731 A JP H05247731A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】高性能、高結晶性、高比表面積の繊維状活性炭
を提供すること。 【構成】光学異方性相を50体積%以上含有するピッチ
を溶融紡糸して製造される繊維状活性炭であって、BE
T法による比表面積が1000m2/g以上であり、か
つ水素元素の含有量が、0.5重量%以下であることを
特徴とする繊維状活性炭及び光学異方性相を50体積%
以上含有するピッチを溶融紡糸して焼成して得た焼成繊
維に薬剤を添加し、300〜1800℃の温度で反応さ
せて繊維状活性炭を得ることを特徴とする繊維状活性炭
の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高比表面積を有する繊維
状活性炭及びその製造方法に関するものであり、従来の
ものと異なり高結晶性の炭素質から成っており導電性を
必要とする電子、電池材料に適するものである。
【0002】
【従来の技術】高比表面積を有する活性炭は、これまで
にガス吸着剤、水処理剤、触媒など主に化学材料として
用いられてきたが、炭素材料が比較的導電性に優れてい
ることから電池材料や電子部品材料のようなエレクトロ
ニクス材料として注目されつつある。更に小さな電極部
材で、活性炭の性能を十分に発揮させる為に、繊維状の
活性炭からなるフェルト状の布の形態にして用いられる
ことが一般的であってフェノール、レーヨン、ポリアク
リロニトリル系の原料から製造した活性炭繊維を用いて
いた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これらの原料はいずれ
も難黒鉛化性の材料であって、通常の方法で焼成して製
造した炭素化合物は、黒鉛結晶が十分発達することが難
しく、活性炭素繊維中の黒鉛化度はいたって低く、水素
元素や、特にポリアクリロニトリルの場合には窒素元素
が残有しており、通常水素元素含有量が0.6重量%以
上は含まれている。この為に電子部品や電池材料に用い
るには導電性の点で改良することが望まれていた。つま
り、高比表面積を有する繊維状の活性炭であって、高結
晶性の炭素質物質からなり、炭素元素含有量が多く水素
元素や、窒素元素をほとんど含まないものが望まれてい
た。又、一方、高結晶性の炭素質物質になることが従来
からよく知られている光学異方性のピッチいわゆるメソ
フェーズピッチから高比表面積の繊維状活性炭の製造に
成功した例は従来なく、せいぜい比表面積が700m 2
/gの例(公開特許公報昭61−34225号)や比表
面積が1500m2/gのものを製造し得ても、光学的
に等方性のピッチに紡糸ノズルで複合化して、複合化分
割0.5と、繊維全体が高結晶性のものとなる繊維状活
性炭にはなりえなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者等は、鋭
意検討の結果、かかる課題が、光学異方質のピッチから
紡糸して焼成した焼成繊維を特定の方法で処理すること
により解決されることを見い出し本発明に到達した。す
なわち、本発明の目的は、高結晶性、高比表面積の活性
炭を提供することであり、かかる目的は、光学異方性相
を50体積%以上含有するピッチを溶融紡糸して製造さ
れる繊維状活性炭であってBET法による比表面積が1
000m2/g以上であり、かつ水素元素の含有量が
0.5重量%以下であることを特徴とする繊維状活性
炭、及び光学異方性相を50体積%以上含有するピッチ
を溶融紡糸して焼成して得た焼成繊維に薬剤を添加し、
300〜1800℃の温度で反応させて繊維状活性炭素
を得ることを特徴とする繊維状活性炭の製造方法、によ
り達成される。
【0005】以下、本発明をより詳細に説明する。ここ
で用いる光学異方性相を含有するピッチは、炭素質原料
を出発物質として製造する。例えば、石炭系のコールタ
ール、コールタールピッチ、石炭液化物、石油系の重質
油、ピッチ、石油樹脂の熱重縮合反応生成物、ナフタレ
ンやアントラセンの触媒反応による重合反応生成物さら
に低分子芳香族化合物のホルマリン架橋樹脂等が挙げら
れる。これらの炭素質原料にはフリーカーボン、未溶解
石炭、灰分、触媒等の不純物が含まれているが、これら
の不純物は、濾過、遠心分離、あるいは溶剤を使用する
静置沈降分離等の周知の方法であらかじめ除去しておく
ことが望ましい。
【0006】一般的には本発明の特徴を具備するピッチ
の製造法では前述の炭素質の出発物質を通常350〜5
00℃、好ましくは380〜450℃で、2分から50
時間、好ましくは5分から5時間、窒素、アルゴン、水
蒸気等の不活性ガス雰囲気下、あるいは、吹き込み下に
加熱処理する。又更に必要に応じた処理を行ないピッチ
を製造する。この様にして得られた紡糸ピッチから製造
したピッチ繊維は酸化性雰囲気下で不融化を目的に焼成
して不融化繊維を得る不融化条件は150℃〜400℃
の温度条件で5分〜120時間、好ましくは20分〜1
0時間で行なう。
【0007】次いで必要に応じて窒素ガス、アルゴンガ
スの様な不活性ガス雰囲気下400℃〜2000℃、好
ましくは400℃〜1500℃の温度で炭化処理して炭
化繊維を得る。さらに必要に応じて1500〜3000
℃の温度で焼成して黒鉛結晶の発達した黒鉛繊維を得
る。次に、上述の様な方法で製造した不融化繊維、炭化
繊維、黒鉛繊維いずれかを好ましくは不融化繊維又は4
00℃〜1500℃で不活性ガス雰囲気下焼成した炭化
繊維、より好ましくは不融化処理を300℃以上の温度
条件が100〜200℃から一定の昇温速度で行った不
融化繊維、又はその後400〜800℃で不活性ガス雰
囲気下焼成した炭化繊維に、薬剤を、焼成繊維に対し、
0.01〜50重量部、好ましくは1〜20重量部添加
し300℃〜1800℃好ましくは400℃〜100℃
の温度で、1分〜50時間好ましくは10分〜10時間
処理して賦活する。用いる薬剤としてはKOH、NaO
H、CsOH等のアルカリ金属水酸化物、Mg(OH)
2、Ca(OH)2、Ba(OH)2、等のアルカリ土類
金属水酸化物、ZnCl2、CaCl2 等の金属塩化
物、H2SO4、H3PO4等の酸、K2S、K2SO4等の
カリウム塩を単独又は2種以上混合して用いる。好まし
くはアルカリ金属の水酸化物を用いる。
【0008】薬剤処理する時の雰囲気は窒素、アルゴ
ン、ヘリウムの様る不活性ガスを用いることが一般的で
あるが、アルカリ金属の水酸化物を薬剤とする場合に賦
活処理中に副生するアルカリ金属を再生し、発火等の異
常反応を防止する為に、処理中又は処理後半以降水蒸気
等の酸化性のガスを混入することがある。薬剤で処理す
る反応条件は、通常ピッチ焼成繊維に対する薬剤の量
比、処理温度、処理時間を調節して行うことが出来る
が、これらの反応条件を厳しくする方向つまり、薬剤の
量比、温度、時間を大きくすると細孔容量、比表面積が
例えば2000m2/g以上と大きくなり、とくに、細
孔直径20Å以上の細孔容量を例えば0.4cm2/g
以上増加しうる。細孔直径20Å以上の細孔は、特に大
きな分子サイズのものの吸着に有効な細孔であり、有機
分子、無機分子のイオンの吸着に適しており、電池用電
極等に好適なものが製造出来る。薬剤処理終了後、水洗
等の洗浄を行ない、残有する薬剤を除去し、必要に応じ
て乾燥して、高比表面積のピッチ繊維状活性炭を製造す
る。
【0009】
【発明の効果】本発明によれば、従来高比表面積の繊維
状活性炭にはなり得ないとされてきた光学異方質のピッ
チ(メソフェーズピッチ)を使用して高性能、高結晶性
の繊維状活性炭を得られる。以下本発明を実施例を用い
てより詳細に説明する。
【0010】
【実施例】
実施例1コールタールピッチより軟化点300℃かつ偏
光顕微鏡下で観察した光学的異方性割合が95%の紡糸
ピッチを調製した。これをノズル径0.1mm、孔約4
000の紡糸口金を用い、口金温度330℃で溶融紡糸
し、得られた糸径12μmのピッチ繊維にシリコン系の
油剤を付着させ集束した。このピッチ繊維を室温からゆ
っくり310℃まで空気中で昇温し、焼成し、不融化繊
維を得た。更に、この不融化繊維を窒素ガス中545℃
で炭化し、炭素繊維を得た。この炭素繊維10gに K
OH 40g、水20ml、エチルアルコール 20m
lを加え、超音波で振とうした。
【0011】このあと、ロータリーエバポレーターで、
水とエチルアルコーロを留去し、さらに120℃で一昼
夜乾燥した。これを黒鉛のルツボに入れ窒素ガス気流下
電気炉中で400℃から2℃/分で800℃まで昇温
し、2時間800℃で保持してKOHによる賦活処理を
行った。反応終了後、室温まで冷却し、水蒸気を反応生
成的にさらし、さらにこのあと水を125ml加え副生
したアルカリ金属を処理し無害化し、さらに3回125
mlの水で、KOHを洗浄除去した。さらに5%塩酸8
0mlで洗浄し、微少量残るKOHを洗浄除去した。こ
のあと塩酸を除去する目的で水、エチルアルコールで反
応生成的繊維状活性炭を洗浄し、最後に120℃で一昼
夜乾燥した。得られた繊維状活性炭は5.6grであ
り、これをBET法で測定した比表面積は2560m2
/g、全細孔容積は1.155cc/g、細孔径20Å
以上の細孔容積は0.173cc/g、元素分析では水
素元素は0.3重量%以下、であった。
【0012】実施例2 炭素繊維10gにKOH 70g、水20ml、エチル
アルコール20mlを加えた以外は実施例1と同様に処
理して繊維状活性炭3.4grを得た。 これをBET
法で測定した比表面積は2500m2/g、全細孔容積
は1.251cc/g、細孔径30Å以上の細孔容積は
0.470cc/g、元素分析では水素元素は0.3重
量%以下であった。 実施例3 実施例1で製造した繊維状活性炭を窒素ガス雰囲気中で
800℃、2時間焼成した。このものの元素分析は、炭
素元素95.4重量%、水素、窒素元素は0.3重量%
以下であった。さらにこれをアルゴン雰囲気中で280
0℃で30分間焼成し、粉末X線法で調べたところ黒鉛
結晶の生成が見られ、黒鉛面間隔であるdoo2は3.
39Å、黒鉛結晶子の厚さLcは120Åであった。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学異方性相を50体積%以上含有す
    るピッチを溶融紡糸して製造される繊維状活性炭であっ
    て、BET法による比表面積が1000m2/g以上で
    あり、かつ水素元素の含有量が0.5重量%以下である
    ことを特徴とする繊維状活性炭。
  2. 【請求項2】 BET法による比表面積が2000m
    2/g以上であり、かつ細孔直径20Å以上の細孔容量
    が0.4cm3/g以上である請求項1記載の繊維状活
    性炭。
  3. 【請求項3】 光学異方性相を50体積%以上含有す
    るピッチを溶融紡糸して焼成して得た焼成繊維に薬剤を
    添加し、300〜1800℃の温度で反応させて繊維状
    活性炭を得ることを特徴とする繊維状活性炭の製造方
    法。
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