JP2535582B2 - ピッチ系炭素繊維の製造方法 - Google Patents

ピッチ系炭素繊維の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はピッチ系炭素繊維の製造方法に係わり、更に
詳しくは、ピッチ系炭素繊維の新規な不融化処理方法に
関する。
〔従来の技術〕
現在、炭素繊維の大分部はポリアクリロニトリル繊維
を原料として製造されているが、これは原料のポリアク
リロニトリル繊維が高価で、しかも炭化収率が低いとい
う欠点がある。
一方、炭素質ピッチを原料とするピッチ系炭素繊維は
原料が安価でしかも炭化収率が高いため安価な炭素繊維
として注目されているが、ピッチ系炭素繊維の製造には
炭化・黒鉛化に先立ってピッチ繊維の不融化処理が必須
である。一般に不融化処理方法としては空気などの酸素
を含むガスを用いて400℃以下で処理を施す方法が用い
られる。この方法では数時間という長時間の処理が必要
であり、他の工程と比べ著しく生産性が低いという問題
がある。そのため、これまでに不融化処理を効率化する
ための種々の方法が用が検討され、提案されているが、
不融化促進効果、最終製品である炭素繊維の物性および
不融化コストからみて実用上満足できるものは未だ得ら
れていない。例えば特開昭60−231825号公報によると、
ピッチ繊維を約10〜50容量%濃度の硝酸水溶液中に浸漬
して湿式で不融化処理する方法が開示されている。しか
しながら、この様な湿式処理方法ではピッチ繊維が脆弱
であるためハンドリングが困難で、またピッチ繊維への
損傷の問題が起きる。またこの方法では処理は簡略化す
るものの、処理後約1〜5日間保持する必要があり、し
かも最終製品である炭素繊維の物性は改善されていな
い。
また特開昭60−259629号公報、特公昭48−42696号公
報にはNO2を含む酸化性ガス雰囲気で不融化処理を行う
方法が開示されている。この方法では不融化促進効果が
あり、また最終製品である炭素繊維の物性改善効果も認
められるが、NO2ガスの価格が高く不融化コストが高く
なるという欠点がある。特公昭48−42696号公報、特開
昭49−75828号公報および特開昭59−1723号公報にはピ
ッチ繊維を塩素ガスを含有する酸化性ガス雰囲気下で不
融化処理する方法が開示されており、また特開昭60−18
5819号公報にはピッチ繊維をSO2を含有する酸化性ガス
雰囲気下が不融化処理する方法が開示されている。これ
らの方法では不融化促進効果が認められるが、最終製品
である炭素繊維の物性改善効果が認められていない。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、前記した如く、ピッチ系炭素繊維の製造工
程において、課題となっている不融化処理の効率化及び
処理コストの低減と製品物性の向上とを両立させる不融
化処理を開発せんとするものである。
〔課題を解決するための手段及びその作用の説明〕
本発明は、硝酸という低コストの酸化剤を気相状態で
不融化処理に用いることによって、不融化処理の効率化
と製品物性の向上を両立させるようにしたものであり、
本発明に従えば、炭素質ピッチを溶融紡糸して得られる
ピッチ繊維を、気相において硝酸を用いて不融化処理し
た後、これを炭化処理、又は更に必要に応じて黒鉛化処
理することによって炭素繊維を製造する方法が提供され
る。
以下、本発明を更に詳しく説明する。
本発明に用いるピッチとしてはコールタールピッチ・
石炭液化油などの石炭系ピッチおよびエチレンタール、
デカントオイルピッチなどの石油系ピッチなど各種のピ
ッチのいずれを用いても良い。また前記ピッチを改質し
たもの、例えば水素化処理したもの、熱処理によって改
質したもの又はこれらの方法を組み合わせて改質したも
のなどの各種変性したピッチも本発明において炭素質ピ
ッチとして用いることができる。すなわち本発明におい
て炭素質ピッチはピッチ繊維を形成し得る前駆体ピッチ
を総称する意味で用いる。
本発明において用いられる炭素質ピッチは光学的に等
方性のピッチであってもよいし、またメソフェース(光
学的異方性ピッチ)であっても良いが、高性能炭素繊維
の製造のためにはメソフェースピッチを用いる必要があ
る。メソフェースピッチとは、ピッチを熱処理すること
によって得られる光学的異方性相(メソフェース)を含
有するピッチであって、特に光学的異方性相(メソフェ
ース)の割合が40%〜100%、特に60%〜100%のものが
好ましい。また本発明に用いる炭素質ピッチは軟化点が
240〜340℃のものが紡糸性の観点から好ましい。
本発明において用いられるピッチ繊維は前記炭素質ピ
ッチを公知の方法にて溶融紡糸することによって得るこ
とができる。例えば、このようなピッチ繊維は、炭素質
ピッチをその軟化点よりも若干高い温度で溶融し、粘度
100〜3000ポイズの範囲で直径0.05〜0.5mmのノズルから
押し出しながら100〜1,000m/分で延伸することによって
得ることができる。
本発明に従えば、次にピッチ繊維を、気相において硝
酸を用いて不融化処理する。このときの硝酸の添加量と
しては、0.01〜20容量%、好ましくは0.1〜10容量%の
範囲が用いられる。硝酸の濃度をこれ以上濃度をあげて
も不融化効率にも、炭素繊維物性にも改善は認められな
い。不融化処理は通常400℃以下で行なわれ、好ましい
処理温度は100〜360℃である。この処理温度が低すぎる
場合には処理時間が長くなり、また処理温度が高すぎる
場合にはピッチ繊維の融着あるいは消耗が起きるので好
ましくない。一般に不融化処理の方法としては、初期に
100〜250℃の低温で処理し、処理が進むに従って昇温さ
せる方法がとられる。通常昇温速度は0.1〜50℃/分程
度である。
本発明に従って不融化処理の際に硝酸とともに用いて
もよい酸化性ガスとしては、空気、酸素、オゾン、窒素
酸化物、硫黄酸化物又はハロゲンガスなどであり、これ
らの酸化性ガスを1種又は2種以上混合して用いる。ま
たこれらのガスをN2、Ar等の不活性ガスで希釈したもの
を用いることもできる。本発明では酸化性ガスとして特
に空気又は酸素などを使用するのが好ましい。本発明で
用いる硝酸を含む雰囲気は通常純硝酸もしくは硝酸水溶
液を用いて発生させることができる。純硝酸もしくは硝
酸水溶液を加熱して発生したガス空気などの前記酸化性
ガスの混合するか、又は純硝酸もしくは硝酸水溶液を空
気などの前記酸化性ガスと混合した後、硝酸がガス化す
るまで加熱するなどの方法で不融化用ガスを調製するこ
とができる。なお純硝酸は濃硝酸に5〜6倍体積の濃硝
酸を加えて脱水蒸留して得られた高濃度の硝酸に計算量
のN2O5を加えることによって得ることができる。また硝
酸水溶液としてはどの様なものでもよいが、一般的には
高濃度のものが好ましく、例えば硝酸69.2重量%を含有
した共沸硝酸が入手しやすさの面を考慮すれば好ましい
ものの例としてあげられる。硝酸水溶液を用いた場合に
は、硝酸ガスとともに水蒸気ガスが混入することにな
る。ガス中の水蒸気は使用前に脱水することも可能であ
るが、特に脱水する必要もない。また発煙硝酸のように
窒素酸化物と硝酸の混合物を用いることもできる。
気相において硝酸を用いて不融化処理を実施した場
合、低濃度の添加で十分な不融化反応の促進効果がみら
れる。例えば空気を用いて不融化する場合、一般に120
分程度の不融化処理時間が必要であるのに対し、硝酸を
用いた場合には、例えば空気に約1容量%程度の少量の
硝酸添加を行うことによって約20〜30分間の不融化処理
時間で十分不融化することができる。また空気にNO2
添加した場合に比べでも、添加量が同じ場合には不融化
速度が早くすることが認められた。
このようにして得られた不融化繊維をN2、Arなどの不
活性ガス雰囲気下で10000℃〜2000℃、または必要に応
じて2000℃以上の適当な温度で熱処理し炭化もしくは黒
鉛化することによって炭素繊維とすることができる。
本発明による不融化方法を用いることによって不融化
処理が約30分以下の短時間で処理が完了し、またメソフ
ェースピッチ系炭素繊維の場合には、極めて高強度の炭
素繊維を得ることができる。
〔実施例〕
以下に実施例および比較例を示して本発明を更に具体
的に説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定
するものでないことはいうまでもない。
〔実施例1〕 光学的異方相(メソフェース)76%を含み、トルエン
不溶分(TI)が79%及びキノリン不溶分(QI)が6%の
石炭系メソフェースピッチを、直径0.2mmφのノズルを
用いて溶融紡糸し、約13μmφのピッチ繊維を得た。こ
のピッチ繊維を硝酸ガス1容量%、水蒸気1.5容量%を
含む空気を用いて不融化処理を行い、ついで黒鉛化処理
を行い、炭素繊維を得た。
不融化処理の際の硝酸を含むガスは、比重1.42の共沸
硝酸(硝酸分69.3重量%)を90℃に加温した中に乾燥空
気を0.5/minの割合で送り込みバブリングさせて発生
させた。また不融化処理条件は、200℃で10分間保持し
た後、10℃/分の昇温速度で300℃まで昇温するという
ヒートパターンを採用した(不融化処理時間20分間)。
炭化処理として、Ar気流下で常温より50℃/分の昇温
速度で昇温し1200℃で15分間処理して炭素繊維(炭化
品)を得た。この炭素繊維(炭化品)の物性は繊維径約
11μm、弾性率15t/mm2引張強度250Kg/mm2であった。
また黒鉛化処理としてAr気流下で常温より50℃/分の
昇温速度で昇温し、2300℃で15分間処理して炭素繊維
(黒鉛化品)を得た。この炭素繊維(黒鉛化品)の物性
は繊維径約10μm.弾性率48t/mm2引張強度320Kg/mm2であ
った。
〔実施例2〕 実施例1で用いたピッチ繊維を硝酸ガス0.8容量%水
蒸気1.2容量%を含む空気を用いて不融化処理を行い、
ついで黒鉛化処理を行い、炭素繊維を得た。
不融化処理条件として200℃で10分間保持後、10℃/
分の昇温速度で昇温し、300℃で10分間保持するという
ヒートパターン採用した(不融化処理時間30分間)。炭
化処理および黒鉛化処理は実施例1と同じ条件で実施し
た。
得られた炭素繊維(炭化品)の物性は繊維径約11μ
m、弾性率15t/mm2、引張強度260Kg/mm2であった。
また、炭素繊維(黒鉛化品)の物性は繊維径約10μ
m、弾性率48t/mm2、引張強度340Kg/mm2であった。
〔比較例1〕 実施例1で用いたピッチ繊維を空気を用いて不融化処
理を行い、次いで黒鉛化処理を行なって炭素繊維を得
た。不融化処理条件として、200℃より0.5℃/分で昇温
し、300℃で60分間保持するというヒートパターンを採
用した(不融化処理時間260分間)。炭化処理および黒
鉛化処理は実施例1と同様の条件で実施した。
得られた炭素繊維(炭化品)の物性は繊維径約11μ
m、弾性率16t/mm2、引張強度190Kg/mm2であり、また炭
素繊維(黒鉛化品)の物性は繊維径約10μm、弾性率50
t/mm2引張強度240Kg/mm2であった。
〔比較例2〕 実施例1で用いたピッチ繊維を二酸化窒素ガスを含む
空気を用いて不融化処理を行い、ついで黒鉛化処理を行
って炭素繊維を得た。不融化条件は第1表に示した通り
である。
黒鉛化処理は実施例1と同様の条件で実施した。得ら
れた炭素繊維の物性を第1表に示す。
実施例1と比較例2を比較すると空気に硝酸を1容量
%添加した場合はNO25容量%添加した場合よりも不融化
速度が早く、NO210容量%添加時とほぼ同様の不融化速
度であることがわかる。
〔発明の効果〕 本発明の炭素繊維製造方法は、不融化処理をコストを
あげずに短時間で実施することができ、効率的である。
また本発明の方法によって製造した炭素繊維は従来の方
法によって製造された炭素繊維に比べ強度が改善され
る。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素質ピッチを溶解紡糸して得られるピッ
    チ繊維を、気相において硝酸を用いて不融化処理した
    後、これを炭化処理又は更に黒鉛化処理することを特徴
    とするピッチ系炭素繊維の製造方法。
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