JPH0480075B2 - - Google Patents
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- JPH0480075B2 JPH0480075B2 JP17844382A JP17844382A JPH0480075B2 JP H0480075 B2 JPH0480075 B2 JP H0480075B2 JP 17844382 A JP17844382 A JP 17844382A JP 17844382 A JP17844382 A JP 17844382A JP H0480075 B2 JPH0480075 B2 JP H0480075B2
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Description
本発明は高強度かつ高弾性率の炭素繊維を製造
する方法に関する。 現在、炭素繊維は主にポリアクリロニトリルを
原料として製造されている。しかしながらポリア
クリロニトリルを原料とした場合、原料が高価で
あり、また加熱炭化時において繊維状の原形がく
ずれ易く、さらに炭化収率も悪いという欠点があ
る。 近年、この点に着目して安価なピツチを原料と
して炭素繊維を製造する方法が数多く報告されて
いる。しかしながら、ピツチを原料として得られ
る炭素繊維は、ポリアクリロニトリル系炭素繊維
に比べ、強度が劣るという問題がある。 最近になつて、市販の石油ピツチを熱処理して
メソ相(mesophase)と呼ばれる光学的異方性の
液晶を40〜90重量%含有するピツチを得、このメ
ソ相を含有するピツチを溶融紡糸した後、不融化
し、次いで炭化あるいは更に黒鉛化することによ
り、弾性率および強度が向上した炭素繊維が得ら
れることが報告された(特開昭49−19127号)。 しかしながら、メソ相を40重量%以上含有する
ピツチは軟化点および粘度がきわめて高いため、
溶融紡糸は通常35℃以上の高い温度で行うことが
必要となる。このため、溶融紡糸の過程でピツチ
の熱分解が起こり易く、軽質ガスが発生するなど
の問題が生じ均一な紡糸は困難となる。 また軟化点および粘度を調整する目的で、メソ
相の含有量を低くおさえた場合には光学的に異方
性の領域と等方性の領域とが分離し、溶融特性が
著しく悪化する。すなわち、メソ相含量の低いピ
ツチを溶融紡糸したとしても、糸切れが頻発し、
はなはだしい場合には未溶解物粒子を連ねたよう
な繊維となり、さらにこの繊維を公知の方法で処
理して炭素繊維を製造したとしても、高強度、高
弾性率のものは得られない。 本発明者らは、低軟化点および低粘度の特性を
有するメソ相含有量の低いピツチについて鋭意検
討した結果、溶融特性を改善し、均一な紡糸を可
能とすることができ、さらに高強度かつ高弾性率
の炭素繊維を製造し得ることができたものであ
る。 すなわち、本発明は光学的に異方性な領域を5
〜35重量%含有するピツチを酸化性ガスで接触処
理した後、水素化処理することにより得られるピ
ツチを溶融紡糸し、不融化し、次いで炭化あるい
は更に黒鉛化して炭素繊維を製造する方法を提供
するものである。本発明方法の特徴はピツチの調
製にあり、上記のようにして得られるピツチを用
いることにより、均一な紡糸が可能となり、高強
度かつ高弾性率の炭素繊維を製造することができ
たことは全く予期せざることであつた。 メソ相を5網35重量%含有するピツチは、石炭
系ピツチ、石油系ピツチ等の炭素質ピツチを加熱
処理してメソ相することにより得る。 メソ相化は、通常、常圧あるいは減圧下に温度
340〜450℃、好ましくは370〜420℃にて熱処理す
ることにより行われる。また、このときのメソ相
化に際し、窒素等の不活性ガスを通気しながら熱
処理することも好ましく用いられる。加熱処理時
間は温度、不活性ガスの通気量等の条件により任
意に変え得るものであるが、通常1分〜30時間、
好ましくは5分〜20時間で行う。不活性ガスの通
気量は通常0.7〜5.0scfh/lbピツチが好ましく用
いられる。 メソ相化によりピツチ中のメソ相割合を5〜35
重量%の範囲内となるように調整する。この範囲
からはずれた場合には本発明の効果は期待できな
い。 次に、メソ相を5〜35重量%含有するピツチを
酸化性ガスで接触処理する。通常、常圧あるいは
加圧下に温度150〜400℃、好ましくは200〜350℃
で酸化性ガスをピツチ中に通気して処理する。処
理時間は温度、酸化性ガスの通気量等の条件によ
り任意に変え得るものではあるが、通常5分〜3
時間、好ましくは10分〜2時間にて行われる。酸
化性ガスの通気量は0.5〜5.0scfh/lbピツチ、好
ましくは1.0〜3.5scfh/lbピツチである。酸化性
ガスによる処理はピツチの軟化点が350℃よりも
高くならないように制御されるべきであり、特に
300℃以下であることが好ましい。酸化性ガスと
しては空気、酸素、オゾン、窒素酸化物、亜硫酸
ガスおよびこれらの2種以上の混合ガス等が用い
られる。 酸化性ガスで接触処理した後、次に水素化処理
を行う。水素化処理は固体触媒を用いた不均一系
接触水素化法、テトラリンなどの水素供与性溶剤
を用いて水素化する方法などを用い得るが、水素
圧30〜300Kg/cm2・G、好ましくは50〜200Kg/
cm2・Gで、温度300〜500℃、好ましくは350〜450
℃で通常0.5〜3時間処理することにより水素化
する方法が特に好ましく用い得る。 本発明における水素化処理においてはメソ相含
量が5〜35重量%の範囲から逸脱しないように行
う。 かくして調製されたピツチは、公知の方法にて
溶融紡糸が行われる。 溶融紡糸されて得られるピツチ繊維は、次に酸
化性ガス雰囲気下で不融化処理が施される。酸化
性ガスとしては、通常、酸素、オゾン、空気、窒
素酸化物、ハロゲン、亜硫酸ガス等の酸化性ガス
を1種あるいは2種以上用いる。この不融化処理
は、被処理体である溶融紡糸されたピツチ繊維が
軟化変形しない温度条件下で実施される。例えば
20〜360℃、好ましくは20〜300℃の温度が採用さ
れる。また処理時間は通常、5分〜10時間であ
る。 不融化処理されたピツチ繊維は、次に不活性ガ
ス雰囲気下で炭化あるいは更に黒鉛化を行い、炭
素繊維を得る。炭化は通常、温度800〜2500℃で
行う。一般には炭化に要する処理時間は0.5分〜
10時間である。さらに黒鉛化を行う場合には、温
度2500〜3500℃で、通常1秒〜1時間行う。 また、不融化、炭化あるいは黒鉛化処理の際、
必要であれば被処理体に若干の荷重あるいは張力
をかけておくこともできる。 以下に実施例および比較例をあげて本発明を具
体的に説明するが、本発明はこれらに制限される
ものではない。 実施例 1 ナフサを830℃で水蒸気分解した際に副生した
沸点200℃以上の重質油(性状を第1表に示す)
を温度400℃、圧力15Kg/cm2・Gにて3時間熱処
理した。この熱処理油を250℃/1mmHgにて蒸留
し、軽質分を留去させ、軟化点82℃の原料ピツチ
(A)を得た。この原料ピツチ(A)30gに対し、窒素を
600ml/分で通気しながら攪拌し、温度400℃で1
時間熱処理を行い、軟化点220℃、メソ相含有量
20重量%のピツチ(1)を得た。 次にこのピツチ(1)30gに対し、空気を600ml/
分で通気しながら攪拌し、300℃で90分間処理を
行い、軟化点260℃、メソ相含有量20重量%のピ
ツチ(2)を得た。 このピツチ(2)50gを300mlのオートクレープに
張り込み水素圧150Kg/cm2・G、温度360℃で攪拌
しながら1時間水素化処理を行い、軟化点245℃、
メソ相含有量20重量%のピツチ(3)を得た。 かく調製されたピツチ(3)をノズル径0.3mmφ、
L/D=2の紡糸器を用い315℃で溶融紡糸し、
14〜17μのピツチ繊維をつくり、さらに下記に示
す条件にて不融化、炭化および黒鉛化処理して炭
素繊維を得た。 Γ不融化条件:空気雰囲気中で、200℃までは3
℃/分、300℃までは1℃/分の昇温速度で加
熱し、300℃で30分間保持。 Γ炭化条件:窒素雰囲気中で、5℃/分で昇温し
1000℃で30分間保持。 Γ黒鉛化条件:アルゴン気流中で、25℃/分の昇
温速度で、2500℃まで加熱処理。 得られた炭素繊維の引張強度は200Kg/mm2、ヤ
ング率は32ton/mm2であつた。
する方法に関する。 現在、炭素繊維は主にポリアクリロニトリルを
原料として製造されている。しかしながらポリア
クリロニトリルを原料とした場合、原料が高価で
あり、また加熱炭化時において繊維状の原形がく
ずれ易く、さらに炭化収率も悪いという欠点があ
る。 近年、この点に着目して安価なピツチを原料と
して炭素繊維を製造する方法が数多く報告されて
いる。しかしながら、ピツチを原料として得られ
る炭素繊維は、ポリアクリロニトリル系炭素繊維
に比べ、強度が劣るという問題がある。 最近になつて、市販の石油ピツチを熱処理して
メソ相(mesophase)と呼ばれる光学的異方性の
液晶を40〜90重量%含有するピツチを得、このメ
ソ相を含有するピツチを溶融紡糸した後、不融化
し、次いで炭化あるいは更に黒鉛化することによ
り、弾性率および強度が向上した炭素繊維が得ら
れることが報告された(特開昭49−19127号)。 しかしながら、メソ相を40重量%以上含有する
ピツチは軟化点および粘度がきわめて高いため、
溶融紡糸は通常35℃以上の高い温度で行うことが
必要となる。このため、溶融紡糸の過程でピツチ
の熱分解が起こり易く、軽質ガスが発生するなど
の問題が生じ均一な紡糸は困難となる。 また軟化点および粘度を調整する目的で、メソ
相の含有量を低くおさえた場合には光学的に異方
性の領域と等方性の領域とが分離し、溶融特性が
著しく悪化する。すなわち、メソ相含量の低いピ
ツチを溶融紡糸したとしても、糸切れが頻発し、
はなはだしい場合には未溶解物粒子を連ねたよう
な繊維となり、さらにこの繊維を公知の方法で処
理して炭素繊維を製造したとしても、高強度、高
弾性率のものは得られない。 本発明者らは、低軟化点および低粘度の特性を
有するメソ相含有量の低いピツチについて鋭意検
討した結果、溶融特性を改善し、均一な紡糸を可
能とすることができ、さらに高強度かつ高弾性率
の炭素繊維を製造し得ることができたものであ
る。 すなわち、本発明は光学的に異方性な領域を5
〜35重量%含有するピツチを酸化性ガスで接触処
理した後、水素化処理することにより得られるピ
ツチを溶融紡糸し、不融化し、次いで炭化あるい
は更に黒鉛化して炭素繊維を製造する方法を提供
するものである。本発明方法の特徴はピツチの調
製にあり、上記のようにして得られるピツチを用
いることにより、均一な紡糸が可能となり、高強
度かつ高弾性率の炭素繊維を製造することができ
たことは全く予期せざることであつた。 メソ相を5網35重量%含有するピツチは、石炭
系ピツチ、石油系ピツチ等の炭素質ピツチを加熱
処理してメソ相することにより得る。 メソ相化は、通常、常圧あるいは減圧下に温度
340〜450℃、好ましくは370〜420℃にて熱処理す
ることにより行われる。また、このときのメソ相
化に際し、窒素等の不活性ガスを通気しながら熱
処理することも好ましく用いられる。加熱処理時
間は温度、不活性ガスの通気量等の条件により任
意に変え得るものであるが、通常1分〜30時間、
好ましくは5分〜20時間で行う。不活性ガスの通
気量は通常0.7〜5.0scfh/lbピツチが好ましく用
いられる。 メソ相化によりピツチ中のメソ相割合を5〜35
重量%の範囲内となるように調整する。この範囲
からはずれた場合には本発明の効果は期待できな
い。 次に、メソ相を5〜35重量%含有するピツチを
酸化性ガスで接触処理する。通常、常圧あるいは
加圧下に温度150〜400℃、好ましくは200〜350℃
で酸化性ガスをピツチ中に通気して処理する。処
理時間は温度、酸化性ガスの通気量等の条件によ
り任意に変え得るものではあるが、通常5分〜3
時間、好ましくは10分〜2時間にて行われる。酸
化性ガスの通気量は0.5〜5.0scfh/lbピツチ、好
ましくは1.0〜3.5scfh/lbピツチである。酸化性
ガスによる処理はピツチの軟化点が350℃よりも
高くならないように制御されるべきであり、特に
300℃以下であることが好ましい。酸化性ガスと
しては空気、酸素、オゾン、窒素酸化物、亜硫酸
ガスおよびこれらの2種以上の混合ガス等が用い
られる。 酸化性ガスで接触処理した後、次に水素化処理
を行う。水素化処理は固体触媒を用いた不均一系
接触水素化法、テトラリンなどの水素供与性溶剤
を用いて水素化する方法などを用い得るが、水素
圧30〜300Kg/cm2・G、好ましくは50〜200Kg/
cm2・Gで、温度300〜500℃、好ましくは350〜450
℃で通常0.5〜3時間処理することにより水素化
する方法が特に好ましく用い得る。 本発明における水素化処理においてはメソ相含
量が5〜35重量%の範囲から逸脱しないように行
う。 かくして調製されたピツチは、公知の方法にて
溶融紡糸が行われる。 溶融紡糸されて得られるピツチ繊維は、次に酸
化性ガス雰囲気下で不融化処理が施される。酸化
性ガスとしては、通常、酸素、オゾン、空気、窒
素酸化物、ハロゲン、亜硫酸ガス等の酸化性ガス
を1種あるいは2種以上用いる。この不融化処理
は、被処理体である溶融紡糸されたピツチ繊維が
軟化変形しない温度条件下で実施される。例えば
20〜360℃、好ましくは20〜300℃の温度が採用さ
れる。また処理時間は通常、5分〜10時間であ
る。 不融化処理されたピツチ繊維は、次に不活性ガ
ス雰囲気下で炭化あるいは更に黒鉛化を行い、炭
素繊維を得る。炭化は通常、温度800〜2500℃で
行う。一般には炭化に要する処理時間は0.5分〜
10時間である。さらに黒鉛化を行う場合には、温
度2500〜3500℃で、通常1秒〜1時間行う。 また、不融化、炭化あるいは黒鉛化処理の際、
必要であれば被処理体に若干の荷重あるいは張力
をかけておくこともできる。 以下に実施例および比較例をあげて本発明を具
体的に説明するが、本発明はこれらに制限される
ものではない。 実施例 1 ナフサを830℃で水蒸気分解した際に副生した
沸点200℃以上の重質油(性状を第1表に示す)
を温度400℃、圧力15Kg/cm2・Gにて3時間熱処
理した。この熱処理油を250℃/1mmHgにて蒸留
し、軽質分を留去させ、軟化点82℃の原料ピツチ
(A)を得た。この原料ピツチ(A)30gに対し、窒素を
600ml/分で通気しながら攪拌し、温度400℃で1
時間熱処理を行い、軟化点220℃、メソ相含有量
20重量%のピツチ(1)を得た。 次にこのピツチ(1)30gに対し、空気を600ml/
分で通気しながら攪拌し、300℃で90分間処理を
行い、軟化点260℃、メソ相含有量20重量%のピ
ツチ(2)を得た。 このピツチ(2)50gを300mlのオートクレープに
張り込み水素圧150Kg/cm2・G、温度360℃で攪拌
しながら1時間水素化処理を行い、軟化点245℃、
メソ相含有量20重量%のピツチ(3)を得た。 かく調製されたピツチ(3)をノズル径0.3mmφ、
L/D=2の紡糸器を用い315℃で溶融紡糸し、
14〜17μのピツチ繊維をつくり、さらに下記に示
す条件にて不融化、炭化および黒鉛化処理して炭
素繊維を得た。 Γ不融化条件:空気雰囲気中で、200℃までは3
℃/分、300℃までは1℃/分の昇温速度で加
熱し、300℃で30分間保持。 Γ炭化条件:窒素雰囲気中で、5℃/分で昇温し
1000℃で30分間保持。 Γ黒鉛化条件:アルゴン気流中で、25℃/分の昇
温速度で、2500℃まで加熱処理。 得られた炭素繊維の引張強度は200Kg/mm2、ヤ
ング率は32ton/mm2であつた。
【表】
比較例 1
実施例1で用いたピツチ(1)を実施例1と同様の
方法で溶融紡糸を行つたところ、糸切れが頻発し
連続的に紡糸することができなかつた。 比較例 2 実施例1で用いたピツチ(2)を実施例1で用いた
紡糸器を用い330℃で溶融紡糸した後、実施例1
と同様の方法で不融化、炭化および黒鉛化処理し
て炭素繊維を得た。 得られた炭素繊維の引張強度は160Kg/mm2、ヤ
ング率は30ton/mm2であつた。 比較例 3 実施例4で用いたピツチ(1)を実施例1と同様な
方法で水素圧150Kg/cm2・G、温度360℃で攪拌し
ながら1時間処理を行い軟化点250℃、メソ相含
有量35重量%のピツチ(4)を得た。 かく調製されたピツチ(4)を実施例1で使用した
紡糸器を用い、320℃で溶融紡糸を行つたところ
糸切れが頻発し連続的に紡糸することが出来なか
つた。 実施例 2 実施例1で用いた重質油を実施例1と同様の方
法で窒素を通気しながら攪拌し、400℃で2時間
熱処理し、軟化点230℃、メソ相含有量33重量%
のピツチ(5)を得た。 次に、このピツチ(5)を実施例1と同様の方法で
空気を通気しながら攪拌し、300℃で90分間処理
を行い、軟化点270℃、メソ相含有量33重量%の
ピツチ(6)を得た。 このピツチ(6)を実施例1と同様の方法で水素圧
150Kg/cm2・G、温度360℃で攪拌しながら1時間
水素化処理を行い、軟化点255℃、メソ相含有量
33重量%のピツチ(7)を得た。 かく調製されたピツチ(7)を実施例1で用いた紡
糸器を用い330℃で溶融紡糸した後、実施例1と
同様の方法で不融化、炭化および黒鉛化処理して
炭素繊維を得た。 得られた炭素繊維の引張強度は230Kg/mm2、ヤ
ング率は40ton/mm2であつた。 実施例 3 実施例1で用いた重質油を実施例1と同様の方
法で窒素を通気しながら攪拌し、400℃で30分間
熱処理し、軟化点198℃、メソ相含有量8重量%
のピツチ(8)を得た。 次に、このピツチ(8)を実施例1と同様の方法で
空気を通気しながら攪拌し、300℃で90分間処理
を行い、軟化点243℃、メソ相含有量8重量%の
ピツチ(9)を得た。 このピツチ(9)を実施例1と同様な方法で、水素
圧150Kg/cm2・G、温度360℃で攪拌しながら1時
間水素化処理を行い、軟化点230℃、メソ相含有
量8重量%のピツチ(10)を得た。 かく調製されたピツチ(10)を実施例1で用いた紡
糸器を用い300℃で溶融紡糸した後、実施例1と
同様の方法で不融化、炭化および黒鉛化処理して
炭素繊維を得た。 得られた炭素繊維の引張強度は180Kg/mm2、ヤ
ング率は30ton/mm2であつた。 実施例 4 アラビア系原油の減圧軽油をシリカ・アルミナ
系触媒を用いて500℃にて接触分解して得られた
重質油(性状を第2表に示す)を温度430℃、圧
力15Kg/cm2・Gにて3時間熱処理した。この熱処
理油を250℃/1mmHgにて蒸留し、軽質分を留去
させ、軟化点85℃の原料ピツチ(B)を得た。この原
料ピツチ(B)を、実施例1と同様の方法で窒素を通
気しながら攪拌し、温度400℃で1.5時間熱処理を
行い、軟化点225℃、メソ相含有量32重量%のピ
ツチ(11)を得た。 次に、このピツチ(11)を実施例1と同様の方法
で空気を通気しながら攪拌し、300℃で90分間処
理を行い軟化点260℃、メソ相含有量32重量%の
ピツチ(12)を得た。 このピツチ(12)を実施例1と同様な方法で水素
圧150Kg/cm2・G、温度360℃で攪拌しながら1時
間水素化処理を行い、軟化点250℃、メソ相含有
量32重量%のピツチ(13)を得た。 かく調製されたピツチ(13)を実施例1で使用し
た紡糸器を用い、320℃で溶融紡糸を行つた後、
実施例1と同様の方法で不融化、炭化および黒鉛
化処理して炭素繊維を得た。 得られた炭素繊維の引張強度は270Kg/mm2、ヤ
ング率は50ton/mm2であつた。
方法で溶融紡糸を行つたところ、糸切れが頻発し
連続的に紡糸することができなかつた。 比較例 2 実施例1で用いたピツチ(2)を実施例1で用いた
紡糸器を用い330℃で溶融紡糸した後、実施例1
と同様の方法で不融化、炭化および黒鉛化処理し
て炭素繊維を得た。 得られた炭素繊維の引張強度は160Kg/mm2、ヤ
ング率は30ton/mm2であつた。 比較例 3 実施例4で用いたピツチ(1)を実施例1と同様な
方法で水素圧150Kg/cm2・G、温度360℃で攪拌し
ながら1時間処理を行い軟化点250℃、メソ相含
有量35重量%のピツチ(4)を得た。 かく調製されたピツチ(4)を実施例1で使用した
紡糸器を用い、320℃で溶融紡糸を行つたところ
糸切れが頻発し連続的に紡糸することが出来なか
つた。 実施例 2 実施例1で用いた重質油を実施例1と同様の方
法で窒素を通気しながら攪拌し、400℃で2時間
熱処理し、軟化点230℃、メソ相含有量33重量%
のピツチ(5)を得た。 次に、このピツチ(5)を実施例1と同様の方法で
空気を通気しながら攪拌し、300℃で90分間処理
を行い、軟化点270℃、メソ相含有量33重量%の
ピツチ(6)を得た。 このピツチ(6)を実施例1と同様の方法で水素圧
150Kg/cm2・G、温度360℃で攪拌しながら1時間
水素化処理を行い、軟化点255℃、メソ相含有量
33重量%のピツチ(7)を得た。 かく調製されたピツチ(7)を実施例1で用いた紡
糸器を用い330℃で溶融紡糸した後、実施例1と
同様の方法で不融化、炭化および黒鉛化処理して
炭素繊維を得た。 得られた炭素繊維の引張強度は230Kg/mm2、ヤ
ング率は40ton/mm2であつた。 実施例 3 実施例1で用いた重質油を実施例1と同様の方
法で窒素を通気しながら攪拌し、400℃で30分間
熱処理し、軟化点198℃、メソ相含有量8重量%
のピツチ(8)を得た。 次に、このピツチ(8)を実施例1と同様の方法で
空気を通気しながら攪拌し、300℃で90分間処理
を行い、軟化点243℃、メソ相含有量8重量%の
ピツチ(9)を得た。 このピツチ(9)を実施例1と同様な方法で、水素
圧150Kg/cm2・G、温度360℃で攪拌しながら1時
間水素化処理を行い、軟化点230℃、メソ相含有
量8重量%のピツチ(10)を得た。 かく調製されたピツチ(10)を実施例1で用いた紡
糸器を用い300℃で溶融紡糸した後、実施例1と
同様の方法で不融化、炭化および黒鉛化処理して
炭素繊維を得た。 得られた炭素繊維の引張強度は180Kg/mm2、ヤ
ング率は30ton/mm2であつた。 実施例 4 アラビア系原油の減圧軽油をシリカ・アルミナ
系触媒を用いて500℃にて接触分解して得られた
重質油(性状を第2表に示す)を温度430℃、圧
力15Kg/cm2・Gにて3時間熱処理した。この熱処
理油を250℃/1mmHgにて蒸留し、軽質分を留去
させ、軟化点85℃の原料ピツチ(B)を得た。この原
料ピツチ(B)を、実施例1と同様の方法で窒素を通
気しながら攪拌し、温度400℃で1.5時間熱処理を
行い、軟化点225℃、メソ相含有量32重量%のピ
ツチ(11)を得た。 次に、このピツチ(11)を実施例1と同様の方法
で空気を通気しながら攪拌し、300℃で90分間処
理を行い軟化点260℃、メソ相含有量32重量%の
ピツチ(12)を得た。 このピツチ(12)を実施例1と同様な方法で水素
圧150Kg/cm2・G、温度360℃で攪拌しながら1時
間水素化処理を行い、軟化点250℃、メソ相含有
量32重量%のピツチ(13)を得た。 かく調製されたピツチ(13)を実施例1で使用し
た紡糸器を用い、320℃で溶融紡糸を行つた後、
実施例1と同様の方法で不融化、炭化および黒鉛
化処理して炭素繊維を得た。 得られた炭素繊維の引張強度は270Kg/mm2、ヤ
ング率は50ton/mm2であつた。
Claims (1)
- 1 光学的に異方性な領域を5〜35重量%含有す
るピツチを酸化性ガスで接触処理した後、水素化
処理することにより得られるピツチを溶融紡糸
し、不融化し、次いで炭化あるいは更に黒鉛化し
て炭素繊維を製造する方法。
Priority Applications (7)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17844382A JPS5968389A (ja) | 1982-10-13 | 1982-10-13 | 炭素繊維の製造方法 |
KR1019830000462A KR880002095B1 (ko) | 1982-02-15 | 1983-02-07 | 탄소섬유용 피치 |
GB08303321A GB2115437B (en) | 1982-02-15 | 1983-02-07 | Pitch for carbon fibers |
CA000421123A CA1192517A (en) | 1982-02-15 | 1983-02-08 | Pitch for carbon fibers |
US06/465,329 US4474617A (en) | 1982-02-15 | 1983-02-09 | Pitch for carbon fibers |
DE19833305055 DE3305055A1 (de) | 1982-02-15 | 1983-02-14 | Pech fuer kohlenstoffasern |
FR8302407A FR2521585B1 (fr) | 1982-02-15 | 1983-02-15 | Goudron modifie pour la fabrication de fibres de carbone et son procede de fabrication |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17844382A JPS5968389A (ja) | 1982-10-13 | 1982-10-13 | 炭素繊維の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS5968389A JPS5968389A (ja) | 1984-04-18 |
JPH0480075B2 true JPH0480075B2 (ja) | 1992-12-17 |
Family
ID=16048606
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17844382A Granted JPS5968389A (ja) | 1982-02-15 | 1982-10-13 | 炭素繊維の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS5968389A (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0663134B2 (ja) * | 1984-04-26 | 1994-08-17 | 株式会社日本自動車部品総合研究所 | 窒素―酸素分離用分子篩炭素繊維の製法 |
-
1982
- 1982-10-13 JP JP17844382A patent/JPS5968389A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS5968389A (ja) | 1984-04-18 |
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